説明

電池駆動型流体検体測定器の急速充電および電源管理

測定器の急速充電および電源管理のためのシステムおよび方法が記載されている。充電器コンポーネントは測定器と動作的に関連付けられ、充電式電池のための急速充電アルゴリズムを実行することができる。アルゴリズムは、外部電源への接続を監視すること、および、第1の充電レートで、そして、次に第2の充電レートで電池の充電ルーチンを実施することを含む。第2の充電レートは第1の充電レートより低い。第1の充電レートに起因する充電式電池の中の温度上昇は、ごく僅かな熱伝達の影響を流体試料に与える。測定器は、電池残量計への電流フローを制御する電源スイッチをさらに含むことがある。電源スイッチは測定器がスリープモードに入るときに開く。電池充電状態は測定器がスリープモードを出た後に判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年12月10日に出願され、その内容が参照によって本明細書に組み込まれた、米国特許出願第61/012,690号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に充電式電池によって給電される試験センサに関し、特に、電池駆動型センサの急速充電および電力管理に関する。
【0003】
背景技術
体液中の検体の定量は、ある健康状態の診断および維持において非常に重要である。たとえば、乳酸、コレステロール、および、ビリルビンは、ある個人では監視されるべきである。特に、体液中のブドウ糖を定量することは、食事中のブドウ糖摂取を調節するために体液中のブドウ糖レベルを頻繁にチェックしなければならない糖尿病をもつ個人にとって重要である。このような試験の結果は、もしあるとすれば、どれほどのインスリンまたは他の薬剤が投与される必要があるかを判定するため使用可能である。試験システムの1つの形態では、試験センサが血液の試料のような流体を試験するため使用される。
【0004】
多くの個人は1日に数回自分の血糖を試験する。したがって、個人は、多くの場合に、自分の血液中のブドウ糖濃度を定量する測定器を携行しなければならない。個人は、試験センサ、ランセット、使い捨てランセット、注射器、インスリン、経口薬、ティッシュ・ペーパーなどの他の検体試験器具を携行することもある。よって、個人は、自宅、勤務先(たとえば、オフィスビルまたは仕事場)、レクリエーションの場などの様々な場所で自分の血糖の試験を実行できる。これらの様々な場所に測定器および/または他の検体試験器具を携行することは厄介なことがある。
【0005】
血糖測定器は、電池または標準的なコンセントに差し込み可能なアダプタのような様々な形態の給電構造を使用して給電可能である。電池の使用は、電源コンセントを使用することなく装置を携帯することおよび移動させることを可能にする。血糖測定器で用いるため入手可能な電池は、使い捨て電池と充電式電池との両方を含む。血糖測定器のための充電式電池の使用は、電池が測定器を機能させるために十分な充電状態であることを必要とする。時に、電池が放電したとき、緊急血糖試験を必要とする危機的な状況が起こることがある。
【0006】
血糖濃度の測定は、典型的に、血糖と試薬との間の化学反応に基づいている。化学反応と、その結果として生じ、血糖測定器によって定量されるような血糖の読みは、温度感受性がある。したがって、温度センサが、典型的に、血糖測定器の内部に設置される。このような測定器での血糖濃度の計算は、典型的に、試薬の温度が測定器の内部に設置されたセンサからの温度の読みと同じであることを仮定している。しかし、試薬と測定器の実際の温度が異なる場合、計算された血糖濃度は正確ではなくなる。血糖測定器の内部の温度の上昇または熱源の存在は、一般に、血糖の誤った測定をもたらすことになる。
【0007】
電池駆動型血糖測定器における電源管理は、電池充電の状態を監視するため電池残量計を使用することを含む可能性がある。電池残量計は、典型的に、残量計の電池の中を両方向に流れる電流を継続的に監視する。しかし、このような継続的な監視は、電池残量計が常に動作し、電池駆動型血糖測定器がスリープモードにあるときでさえ、電力消費を増加させることをさらに必要とする。増加した電力消費は、より大型の電池サイズを必要とし、特に、携帯型装置の場合に電池経費を高める。
【0008】
電池駆動型測定器を著しい温度上昇無しで急速充電可能にすることが望ましい。不使用の期間中に、電池充電の状態の正確な評価を維持すると同時に電力消費を最小限に抑えるため、電池駆動型測定器の電力消費を管理することがさらに望ましい。
【0009】
発明の概要
一実施形態によれば、電池駆動型測定器は、試験センサを使用して流体試料の検体濃度を定量するため適合している。測定器は、試験センサの少なくとも一部分を受容するようなサイズのポートを含む。前部は、流体試料の検体濃度を表示するよう動作可能であるディスプレイを含む。ユーザ相互作用機構部は測定器を制御するよう動作可能である。測定器は充電式電池のための筐体をさらに含む。電池充電器コンポーネントは測定器と動作的に関連付けられている。電池充電器コンポーネントは、充電式電池のための急速充電アルゴリズムを実行することができる。アルゴリズムは、外部電源への接続を監視することを含む。外部電源が検出された場合、充電ルーチンが第1の所定の事象が起こるまで第1の充電レートによる電池の急速充電のため実施され、その後に続いて、第2の所定の事象が起こるまで電池を第2の充電レートで充電する。第2の充電レートは第1の充電レートより低い。
【0010】
別の実施形態によれば、流体検体測定器において電池を急速充電する方法は、外部電源への接続を監視するステップを含む。急速充電ルーチンが第1の所定の期間に亘って第1の充電電流レートで電池を充電するため実施される。第1の所定の期間の後に続いて、通常充電ルーチンが第2の所定の期間に亘って第2の充電電流レートで電池を充電するため実施される。第1の充電電流レートは第2の充電電流レートより大きい。第1の所定の期間は、第1の充電電流レートと関連付けられた充電電流に起因する電池の中の近似温度上昇に少なくとも部分的に基づいている。
【0011】
さらなる実施形態によれば、コンピュータ読み取り可能な媒体は流体試料の検体濃度を定量するように動作可能である測定器の電池の急速充電を指令する命令を用いて符号化される。命令は、外部電源への接続を監視することと、第1の所定の事象が起こるまで第1の充電電流で電池を充電する急速充電ルーチンを実施することとを含む。第1の所定の事象が起こった後、通常充電ルーチンが第2の所定の事象が起こるまで第2の充電電流で電池を充電するため実施される。第1の充電電流は第2の充電電流より大きい。温度上昇は電池と測定器との少なくとも一方について、1つ以上の所定の時間間隔で監視される。電池または測定器の中の温度上昇が所定の閾値を超える場合、急速充電ルーチンまたは通常充電ルーチンは中止される。
【0012】
別の実施形態によれば、回路を有する携帯型測定器は回路内の検出素子に給電するため電池を用いて構成されている。測定器は回路によって給電されたプロセッサを含む。プロセッサは測定器をアクティブモードおよびスリープモードで動作させるように構成されている。残量計は回路によって給電される。残量計は、測定器のアクティブモード動作中に電池から受信された電池充電状態データを追跡するように構成されている。インターフェースが電池充電状態データを残量計からプロセッサへ転送するように構成されている。電源スイッチは残量計への電流フローを制御し、プロセッサによって開閉されるように構成されている。プロセッサは、測定器がスリープモードに入る場合、開位置に変化させる信号を電源スイッチに送り、測定器がアクティブモードに入る場合、閉位置に変化させる信号を電源スイッチに送る。スリープモードに入る前に、プロセッサは、電池の第1の電池充電状態、および、測定器が上記スリープモードに入る直前の第1の時刻基準を記録するように構成されている。プロセッサは、測定器がスリープモードを出てアクティブモードに入る直後の第2の時刻基準で第2の電池充電状態を判定するようにさらに構成されている。第2の電池充電状態は、記録された第1の充電状態と、第1の基準時刻と、第2の基準時刻と、スリープモード中の測定器の所定のエネルギ使用率とに基づいて判定される。
【0013】
別の実施形態によれば、電源管理方法は、アクティブモードおよびスタンバイモードで動作するように構成された電池駆動型測定器を含む。電池駆動型測定器は、電池残量計およびマイクロコントローラを含む。この方法は、スタンバイモードに入るための第1の要求を受信するステップを含む。第1の充電状態は測定器の電池のため記録される。記録は第1の要求が受信された直後の第1の基準時刻に行われる。第1の基準時刻はマイクロコントローラを使用して記録される。測定器は、電池残量計への電力が断たれるスタンバイモードに入れられる。スタンバイモードを出て、アクティブモードに入るための第2の要求は第2の基準時刻に受信される。第2の基準時刻は第1の基準時刻の後に現れる。第2の要求に応答して、第2の基準時刻が直ちに記録され、マイクロコントローラは、第1の基準時刻、第2の基準時刻、測定器のスタンバイモード電流、および、測定器のスタンバイモード電圧に基づいて第2の電池充電状態を判定する。
【0014】
さらなる実施形態によれば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、アクティブモードおよびスリープモードで動作する電池駆動型測定器の電源を管理する命令が記憶されている。命令は、スリープモードに入るための第1の要求を受信するステップと、測定器の電池の第1の充電状態を記録するステップとを含む。記録は第1の要求が受信された直後の第1の基準時刻に行われる。第1の基準時刻は記録される。測定器は、電池残量計への電力が断たれるスタンバイモードに入る。第2の要求が、スリープモードを出てアクティブモードに入るために第2の基準時刻に受信される。第2の基準時刻は第1の基準時刻の後に現れる。第2の要求の直後に、第2の基準時刻が記録される。第2の電池充電状態は、第1の基準時刻、第2の基準時刻、スリープモード電流、および、スリープモード電圧に基づいて判定される。
【0015】
本発明のさらなる態様は、以下に簡単な説明が記載されている図面を参照して行われた様々な実施形態の詳細な説明を考慮して当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】一実施形態による蓋を含むセンサを示す図である。
【図1b】蓋のない図1aのセンサを示す図である。
【図2a】一実施形態によるディスプレイ付きの測定器の正面図である。
【図2b】図2aによる測定器の側面図である。
【図3】一実施形態による充電式電池の充電回路を示す図である。
【図4】電池を充電するため使用される高温度上昇フェーズを有する充電アルゴリズムを示す図である。
【図5】一実施形態による高温度上昇フェーズおよび低温度上昇フェーズを有する電流調節フェーズを示す図である。
【図6】一実施形態による温度上昇を最小限に抑える充電式電池を急速充電する方法の有限状態機械を示す図である。
【図7】一実施形態による電池充電プロファイルを示す図である。
【図8】一実施形態による残量計および電池充電器付きの測定器のための回路を示す図である。
【図9】一実施形態による電池駆動型装置のための電源管理方法の有限状態機械を示す図である。
【0017】
本発明は様々な変形および代替的な形態を受けやすいが、特定の実施形態が一例として図面に示され、本明細書中で詳細に説明されている。しかし、本発明は開示された特有の形態に限定されることを意図されていないことが理解されるべきである。むしろ、本発明は、発明の精神および範囲に含まれるすべての変形、均等物、および、代替物を対象としている。
【0018】
詳細な説明
測定器の電池を急速充電するシステムおよび方法が本明細書中に記載されている。電池駆動型測定器の充電式電池が放電状態になると、緊急試験が必要とされる場合に、たとえば、血糖測定器を使用しているとき、ユーザにとって危機的な状況が起こる。このような危機的な状況は、充電式電池を使って給電される測定器のため最小限に抑えることが可能である。放電した電池は、血糖濃度分析のような1回以上の試験を完了するため測定器にエネルギを与えるのに十分な電荷を供給するために、測定器の中の温度上昇を最小限に抑えたままで、急速充電技術を使用して非常に短期間に充電可能である。
【0019】
図1aおよび図1bと図2aおよび図2bとは、本開示による、血糖測定器のような測定器のある実施形態を示している。この装置は、流体中の少なくとも1つの検体の濃度を定量するため使用される電気化学試験センサを収容できる。この装置を使用して定量される検体は、ブドウ糖、脂質プロフィール(たとえば、コレステロール、中性脂肪、LDLおよびHDL)、マイクロアルブミン、ヘモグロビンAC、果糖、乳酸、または、ビリルビンを含む。しかし、本発明は、これらの特定の検体を定量する装置に限定されることはなく、他の検体濃度が定量されることがあると考えられる。検体は、たとえば、全血試料、血清試料、血漿試料、または、ISF(間質液)および尿のような他の体液の中にあってもよい。
【0020】
図1および図2の測定器はほぼ長方形であるとして図示されているが、本明細書中で使用される測定器の断面は、円形、正方形、六角形、八角形、他の多角形形状、または、長円形でもよいことに注意を要する。測定器は、典型的に、ポリマー材料製である。測定器を形成する際に使用されることがあるポリマー材料の非限定的な実施例は、ポリカーボネート、ABS、ナイロン、ポリプロピレン、または、これらの組み合わせを含む。測定器は非ポリマー材料を使用して製作されてもよいと考えられる。
【0021】
ある実施形態では、この装置の試験センサは、典型的に、センサの前部または試験端部からセンサの中に配置されたバイオセンシングまたは試薬材料まで延びる毛管路が設けられている。センサの試験端部が流体(たとえば、人の指が針で刺された後に指の上に溜まる血液)の中に置かれるとき、流体の一部分が毛管現象によって毛管路の中に吸い込まれる。流体は、その後に、センサの中の試薬材料と化学反応し、その結果、被試験流体中の検体(たとえば、ブドウ糖)濃度を示す電気信号が提供され、続いて電気組立体へ送られる。
【0022】
ブドウ糖濃度を定量するため使用することがある試薬材料はブドウ糖酸化酵素を含む。ブドウ糖脱水素酵素のような他の試薬材料がブドウ糖濃度を定量するため使用されることがあると考えられる。ブドウ糖以外の検体を試験する場合、異なる試薬材料を同様に使用することになる。
【0023】
試験センサの一実施例は図1a、図1bに示されている。図1a、図1bは、毛管路72と、蓋74と、複数の電極76、78、80とを含む試験センサ70を示している。図1bは蓋無しで示されている。複数の電極は、対極76と、検出電極78と、作用(測定)電極80とを含む。図1bに示されているように、試験センサ70は、試薬を含有する流体受容領域82を含む。他の電気化学試験センサを利用することもあると考えられる。
【0024】
図2a−図2bを参照すると、測定器100の一実施例が本開示の一実施形態により示されている。測定器100は、望ましくは、ユーザの財布またはポケットの中にほぼ収まるようなサイズである。よって、必然的ではないが、測定器100は、携帯性を高めるために約2から3インチ未満の長さを有することが望ましい。測定器100は、約6から9平方インチ未満の専有面積を有することがさらに望ましい。測定器100は約3平方インチの範囲内の専有面積を有することもある。
【0025】
図2aおよび図2bに示されているように、測定器100は、前部120を介して見えるディスプレイ102と、試験センサ取り出しポート104と、ユーザインターフェース・機構部106とを含む。ユーザインターフェース機構106は、ボタン、スクロールホイールなどでもよい。図2aはある程度の個数の表示セグメントを備える測定器100を示している。ユーザが試験センサに流体(たとえば、血液)を設置した後、検体(たとえば、ブドウ糖)レベルが、読みをディスプレイ102に表示する測定器100によって定量される。
【0026】
測定器100は、典型的に、試験手順中に生成されたデータを処理および/または記憶するマイクロプロセッサなどを含む。たとえば、ユーザインターフェース機構106a−106bは、測定器100の電子機器を作動させたり、前の試験手順の結果を呼び出して閲覧したり、食事および/または運動の指標を入力するなどのために押し下げられる。測定器100は、電池駆動型装置のための測定器100の再充電機能を制御するルーチンを実行することを含む電源管理のため、同じまたは異なるマイクロプロセッサをさらに使用することがある。
【0027】
試験センサ取り出しポート104は、試験センサを受容および/または保持し、流体試料の検体濃度を定量するのを助けるために適合している。少なくとも検体濃度をユーザに通知するため、測定器100はディスプレイ102を含む。測定器100で使用されることがあるディスプレイ102の一実施例は液晶ディスプレイである。液晶ディスプレイは、典型的に、試験手順からの情報、および/または、ユーザインターフェース機構106a−106bによって入力された信号に応答した情報を示す。ディスプレイの他の形態は、たとえば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、バックライト付き液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ(TFT)、セグメントディスプレイ、または、他の形態の透過型ディスプレイを含む。この形態のディスプレイは、測定器によって使用されるエネルギの量に最低限または重大な影響を与えることがある。
【0028】
測定器100は、主電源、電池、または、他の適当などのような電源によって給電されることがある。主電源は、内部駆動型ACおよび/またはDC電源を含むことがある。測定器100は、測定器100の携帯性のため電池によって給電されることが望ましい可能性がある。電池筐体130は、測定器100の後部122または前部120の内側に位置することがある。
【0029】
ある実施形態では、測定器100の電池は、電源アダプタレセプタクル124を介して測定器100に接続可能である主電源によって再充電できる。たとえば、リチウムイオン(Li−Ion)と、リチウムポリマ(Li−Po)と、ニッケルカドミウム(NiCd)と、ニッケル金属水素(NiMH)を含む様々な形態の充電式電池構成が測定器100に給電するため使用されることがある。
【0030】
ある測定器100の構成では、充電式電池(図示せず)を、測定器100の電池筐体130から取り外し、たとえば、標準的なAC壁コンセントに差し込むか、または、自動車バッテリに接続される別個の充電器の中に収納する。他の測定器は、電池が電池筐体130の中に存在している間に、専用アダプタの一方の端部を測定器100の電源アダプタリセプタクル124に差し込むことにより充電可能である。次に、電池を充電するため、専用アダプタのもう一方の端部をAC電源コンセントに差し込む。ある実施形態では、専用アダプタの一方の端部をユニバーサル・シリアル・バス(USB)のようなコンピュータの供給源に接続し、もう一方の端部を電源アダプタリセプタクル124に接続することによって測定器100に給電することがある。
【0031】
電池充電器は、電池の劣化を最小限に抑えて電池を充電するため典型的に使用される充電電流より高い充電電流を使用することにより充電式電池に高速または急速充電を行う能力がある。この電池の急速充電の原理は、電池充電器集積回路にも当てはまる。たとえば、Li−Ion、LiPo、NiCd、およびNiMHのような充電式電池は、電池寿命を著しく短縮すること無しに、約2Cから5Cまでの高速充電レートを可能にする。用語Cは、充電中の所与の電池の定格能力として定義される。たとえば、200mAhの容量の電池は、200mAの1Cレート、400mAの2Cレート、および、1000mAの5Cレートを有する。ある実施形態では、高い充電レートでの電池の非常に短い充電時間は、数回の流体検体濃度試験を可能にするために十分なエネルギを測定器電池に供給可能である。
【0032】
ある実施形態では、装置は、たとえば、約10回の流体検体濃度試験が電池の残りの充電量で完了できる、という早期警戒警報を発することがある。装置は、たとえば、2回以下の試験が残りの充電量に基づいて完了できることを示す最終警報をさらに発することがある。このような状況では、特に、最終警報の後に、非常に短い時間に高い充電レートで電池を充電することが有利であろう。
【0033】
1回の検体濃度試験で使用されるエネルギ量を実証する一実施例が本明細書に記載された実施形態に類似した測定器に関して与えられる。試験が2分を要し、測定器100のディスプレイ102がこの時間中に常時動いている、と仮定すると、透過型ディスプレイ(たとえば、OLED、バックライト付きLCD、TFT)を有する測定器100は、3.6ボルト(V)の充電式電池から最大で約40ミリアンペア(mA)を消費する可能性がある。以下の式は、試験の所要時間、電池電圧、および、電流に対する、測定器によって消費されるエネルギの関係を数学的に明らかにする。
FROM BATTERY=I×VBAT×tOPERATION
式中、EFEOM BATTERYはエネルギ消費量であり、
BATは電池の電圧であり、
Iは測定器によって引き出される電流であり、
OPERATIONは検体濃度試験の所要時間である。
上記実施例からの値を適用すると、
FROM BATTERY=40×10−3A×3.6V×2分×60秒≒17J
である。
【0034】
別の実施例は、本明細書に記載された実施形態に類似した測定器用の充電式電池の急速充電のシナリオを実証する。測定器は、USBポートに接続してもよい専用アダプタを使用して電源に、または、別の電源に差し込むことが可能である。本実施例では、内部電池充電回路は充電レート2Cを提供する。電池が、たとえば、ある期間tCHARGING(たとえば、30秒、1分)に亘って充電された後、電池充電器から受けるエネルギは以下の関係によって近似される。
CHARGED=ICHARGING×VBAT×tCHARGING
式中、ECHARGEDは電池充電器から受けたエネルギであり、
BATは電池の電圧であり、
CHARGINGは充電電流(たとえば、200mAh電池の場合、ICHARGINGは、充電レート2Cで400mA)であり、
CHARGINGは充電所要時間(たとえば、本実施例では1分)である。
上記実施例からの値を適用すると、
CHARGED=0.4A×3.6V×60秒=86.4J
である。本実施例は、電流レート2Cで約60秒間電池を充電した後、上記の実施例で17ジュールであると計算された1回の試験のエネルギの消費量に基づいて約5回の試験(86.4J/17J≒5)を実行するために十分なエネルギが充電式電池に供給できることを実証する。
【0035】
測定器電池のための急速充電の使用は、測定器の温度上昇をもたらし、測定器によって出力された結果として得られる検体濃度の読みを変える可能性がある。したがって、急速充電は、たとえば、充電式電池を有する測定器のような温度感受性測定器のため望ましいが、装置のため温度上昇を最小限に抑えることがさらに望ましい。
【0036】
本明細書に記載された実施形態は、電源を使用することで短時間に電池を急速充電する携帯型測定器のような、温度感受性のある試験を実行する測定器用の電池の急速充電を可能にする。ある実施形態では、充電過程は、急速充電が完了した後、通常充電レートで継続する。実施形態は、望ましくは、測定器の温度上昇を最小限に抑える。
【0037】
ある実施形態では、測定器の内部充電回路は、急速充電モードおよび通常充電モードを有することがある。内部充電回路は、急速充電レートから温度上昇がごくわずかな状態である通常充電レートへ充電レートを低下することにより、測定器の温度上昇をさらに制限可能である。このような実施形態は、ユーザが急速充電に続いて専用アダプタを電源から抜かないときに特に有利である。
【0038】
ある実施形態では、測定器電池がUSBポートまたは電源アダプタのような外部電源に接続されると、内部充電回路または電池充電器は、最初に急速充電モードに入り、続いて、特定の温度感受性のある携帯型測定器のための温度上昇基準に従って、通常または遅速充電モードに切り替わることがある。たとえば、急速充電モードは、約5Cまでの充電レートを有することがある。他の実施形態では、充電レートは5Cを超えることがある。充電レートは、電池の構成または電源(たとえば、USBポートまたは電源アダプタ)の電流出力のような基準に基づいて変化することになる。リチウムイオン電池の実施例では、最大充電レートは約2Cである。USBポートの実施例では、電流能力は100mAまたは500mAのいずれでもよい。
【0039】
ある実施形態では、充電式電池の急速充電が完了したとき、内部電子回路は、可聴信号または光信号のような知覚できる信号をユーザに供給可能である。この信号は、電池が所望の(複数の)試験に給電するために十分なエネルギを有することをユーザに知らせる。この時点で、ユーザは、電源から測定器を抜き、検体濃度試験を実行するという選択肢がある。ユーザが電源から測定器を抜かない場合、測定器用の充電回路は、たとえば、約0.5Cから1Cの範囲に入る充電レートを提供する通常充電モードに切り替わるように構成可能である。通常充電モードでは、電池にて発生する熱は、急速充電モードの高い充電レートの場合より少ない。ある実施形態では、通常充電モードは、充電に起因する放熱と、温度感受性のある測定器から周囲外気(たとえば、空気)への熱放射との間の平衡を可能にさせる充電電流レベルに設定可能である。ある実施形態では、通常充電モードにおいて、急速充電モードの間に到達した温度を維持することが望ましい。
【0040】
今度は図3を参照すると、ある実施形態による充電式電池310の充電回路300の概略が示されている。充電回路300は、測定器電池の充電中に起こる電池温度上昇と類似した電池温度上昇が電池310の充電中に生じる。電池310は電池の放熱の原因となる内部等価直列抵抗(ESR)312を有する。さらに、電池310の温度上昇は、充電時間と、二次充電電流とに比例することになる。ESRは電池の形態に応じて変化する。たとえば、50%放電したリチウムポリマ電池は、およそ0.07オームより小さい典型的な等価直列抵抗を有する。充電回路300は、電池310に接続された、外部電源のような、充電器330をさらに含む。
【0041】
別の実施例は、急速充電モードにおいて電池の中に発生された熱の量の近似を実証する。電流レート2Cおよび容量200mAhを有する上記リチウムイオン電池のようなリチウムイオン電池を仮定して、充電電流の値を以下の通り計算した。
CHG=2×200=400mA=0.4A
充電過程中に電池310の内部等価直列抵抗312によって引き起こされる電力消費、または、熱は、以下の関係を使用して計算できる。
P=ICHG×ESR
上記値を適用すると、電池電力消費は、
DISP=(0.4A)×0.07=0.012W
である。仮定した60秒の急速充電に対するエネルギ消費は、以下の関係式を使用して0.72ジュールと計算された。
Q=PDISP×t=0.012W×60秒=0.72J
伝達された熱の一般的な関係は、
Q=m×(ΔT)×C(J)
として表現され、式中、
Q=伝達された熱
ΔT=温度変化
=電池の比熱
m=質量
である。比熱は使用される充電式電池の形態に依存して変化することになる。プラスチック/箔/繊維の混合材料から作られたリチウムポリマ電池の実施例では、比熱は1から3J/g・℃の範囲に入る。温度上昇を慎重に計算するため、より低い比熱の値が使用されることになる。典型的な200mAhリチウムポリマ電池の質量は約5グラムである。上記値および結果を適用すると、この熱伝達関係によって生じる温度上昇は、
【数1】


である。
【0042】
ある実施形態で起こり得る、急速充電のシナリオに適用可能な上記の実施例では、0.14℃以下の温度上昇は無視できると考えられ、検体の濃度の読みに影響を与えることはないと予想される。他の実施形態では、約1℃以下の温度上昇は、流体試料の検体濃度の試験にとって無視できると考えてよい。さらに、上記の実施例では、測定器と空気との間の熱伝達が計算結果から減算されていないし、電池−測定器システム全体に基づいて温度上昇が計算されてもいないので、予想されるよりも高い温度の上昇が慎重に推定されている。それどころか、温度の上昇の計算は、電池だけに対して慎重に推定された。
【0043】
上記計算は、他の仮定された因子と共に仮定された60秒の急速充電時間を使用する一連の計算に基づいている。計算が実証するように、たとえば、充電レート2Cで、30秒のより短い急速充電時間は、1回以上の検体濃度の試験のため十分なエネルギを仮定された測定器に供給する。
【0044】
今度は図4および図5を参照すると、標準的な充電アルゴリズムが図4に示され、急速充電アルゴリズムの実施形態が図5に開示されている。図4および図5のアルゴリズムの充電手順は、プレコンディショニングフェーズで始まり、次に、電流調整フェーズへ進み、そして、電圧調整および終端フェーズで終わり、その後、電池の充電が完了すると考えられる。図5の急速充電アルゴリズムは、電流調整フェーズを2個の別個のステップにさらに分割する。電流調整フェーズは、温度上昇が高い急速充電モードまたは高電流調整フェーズにおいて始まり、所定の期間の経過後、または、所定の充電電圧が達成された後、充電電流は減少するか、または、温度上昇が低い低電流調整に移ることになる。
【0045】
図4および図5の両方に関して、電池が電池充電器からエネルギを受ける限り、電池は、電池が調整電圧に達するまで充電し続けることがあり、その調整電圧に達した点で充電電流は充電が完了したと考えられるまで減少する。図4と図5との間の相違点は、標準的な充電アルゴリズム(図4)では、電流充電が最低充電電圧に達した時点から調整電圧に達する時点まで一定に保たれることである。しかし、急速充電アルゴリズムでは、充電電流は、最低充電電圧に達した後、短期間に亘って上昇し、その後、充電電圧は降下するので、温度上昇は測定器を用いて実施されるどのような温度感受性試験に対しても無視できる点まで最小限に抑えられる。図5のアルゴリズムの充電時間は、図4に示された標準的な充電アルゴリズムより長くなることがある。
【0046】
今度は図6を参照すると、測定器電池の急速充電のための有限状態機械の実施形態が図示されている。図6の実施形態は、たとえば、コントローラまたはマイクロプロセッサを使用して実施可能である。測定器は、測定器が電源、たとえば、電源アダプタまたはUSBポートに接続されていないステップ600でスタンドアロンモードまたは非充電モードに入る。測定器は、今度は、充電式電池を有する測定器における充電アルゴリズムを開始可能であるステップ605で電源に接続される。ある実施形態では、バッテリは、電流が、たとえば、充電電流2Cから5Cに調整されるステップ610において、急速充電レートで充電を開始する。急速充電レートは、ステップ615で、たとえば、30秒間または1分間のような所定の期間に亘って持続する。急速充電期間は、例えばある時間または温度上昇を超えることなく、充電電圧の閾値に達した電池に基づいて決定されることもある。
【0047】
急速充電ステージ610の間に、ステップ625において、電池温度が高すぎるかどうかの判定を温度センサによる監視を通じて行ってもよい。ある実施形態では、電池温度がステップ625で非常に高いと認められた場合、充電過程は停止可能であり、充電器および/または電池故障が起こったか否かの判定がステップ630で行われる。この時点で、測定器はステップ600のスタンドアロンモードに復帰可能であり、是正措置をとることが可能である。ある実施形態では、ステップ620で時間または電圧が閾値に達すると、ステップ635で可聴もしくは可視警報、または、他の信号が、急速充電の完了をユーザに知らせるため使用されることがある。
【0048】
有限状態機械の急速充電方法は、その後、ステップ640で、充電電流が削減される通常充電フェーズに入ることがある。ある実施形態では、測定器は、その後、ステップ645で電源から切断されることがある。ステップ650において、電池温度が高すぎるかどうかについての別の判定のこの段階で行われ、充電過程の停止の原因となることがあり、ステップ630で充電器および/または電池故障が起こったかどうかが判定される。通常充電モード中に、ルーチンは、ステップ655で、電池電圧が閾値を超えたかどうかをさらに評価可能である。閾値を超えた場合、充電はステップ660で定電圧調整フェーズに入ることが可能である。ある実施形態では、測定器はステップ665で電源から切断されることがある。ステップ670において、電池温度が高すぎるかどうかのさらなる評価がこの時点でさらに行われることがあり、同様に充電過程の停止の原因となることがあり、ステップ630で、充電器および/または電池故障が起こったかどうかが判定される。ある実施形態では、ルーチンは、充電電流がステップ675である閾値を超えたかどうかを周期的にチェック可能である。充電電流が閾値を超える場合、充電ルーチンはステップ660で定電圧調整フェーズを継続することがある。充電電流がステップ680で所定の閾値未満である場合、ユーザは、たとえば、可聴または可視キューを使用して、電池またはシステムの充電が完了したことをステップ685で知らされる可能性がある。測定器は、この時点で、充電過程が完了したステップ690のスタンバイモードに入ることが可能である。ユーザは、この時点で、ステップ695において電源から測定器を抜くことがあり、その時点で、測定器はステップ600のスタンドアロンモードに復帰する。
【0049】
ここで開示された温度感受性のある測定器用電池の急速充電の実施形態は、多数の利点を提供する。たとえば、電圧が所定のレベルに達するまで、一定の高いレートで電池を絶えず充電する代わりに、電池は、制限された回数の血糖濃度試験のため十分なエネルギを供給するために短期間だけ高レートで充電されている。急速充電後、充電器は、急速充電フェーズの終わりでの電池温度を維持する低レートまたは通常充電モードに切り替わることがある。本明細書中に開示された実施形態は、測定器の実施例では、ユーザが充電式電池によって動作する測定器を使用することに関連した利益を享受することを可能にすると共に、温度上昇によって試験の正確さを犠牲にすることなく、測定器を急速充電することをさらに可能にする。
【0050】
ある実施形態では、温度上昇は、電池または測定器に関して所定の周期的な間隔で監視可能である。測定器の電池内の温度上昇が所定の閾値を超える場合、急速充電ルーチンまたは通常充電ルーチンは取消可能である。このような温度上昇は、測定器装置または電池の故障を示すことがある。
【0051】
ある実施形態では、電池駆動型測定器は、試験センサを使用して流体試料の検体濃度を判定するため適合している。測定器は、試験センサの少なくとも一部分を受容するようなサイズの試験ポートまたは開口部を含む。前部は流体試料の検体濃度を表示するため動作可能であるディスプレイを有する。ユーザ相互作用機構部は測定器を制御するため使用できる。筐体は充電式電池を保持するため設けられることがある。電池充電器コンポーネントは、測定器と動作的に関連付けることができ、充電式電池のための急速充電アルゴリズムをさらに実行可能である。一実施形態では、アルゴリズムは、(i)外部電源への接続を監視するステップと、(ii)外部電源が検出された場合、第1の所定の事象が発生するまで、第1の充電レートで電池を急速充電するため充電ルーチンを実施し、引き続き、第2の所定の事象が発生するまで、第2の充電レートで前記電池を充電するステップとを含む。第2の充電レートは第1の充電レートより低い。他の実施形態では、第1の充電レートに起因した充電式電池における温度上昇は、流体試料にごくわずかな熱伝達の影響を与える。
【0052】
他の実施形態では、電池駆動型測定器は血糖測定器である。電池駆動型測定器は2Cから5Cまで変化する第1の充電レートをもつことが可能である。電池駆動型測定器は1C未満である第2の充電レートをもつことも可能である。電池充電器コンポーネントは集積回路の一部でもよい。
【0053】
他の実施形態では、電池駆動型測定器の第1の所定の事象は所定の時間の経過である。所定の時間は、およそ1分間以下でもよい。電池駆動型測定器の第1の所定の事象は、所定の充電電圧を超えることでもよく、または、充電式電池の中で温度が所定の閾値を超えることでもよい。電池駆動型測定器の第1の所定の事象は、測定器の中で温度が閾値を超えることでもよい。
【0054】
他の実施形態では、電池駆動型測定器の外部電源は、コンピュータ装置のポートでもよい。充電式電池が、上昇する温度を読むために周期的に監視されてもよい。
【0055】
ある実施形態では、血糖またはその他の流体検体測定器の中の電池を急速充電する方法は、外部電源への接続を監視するステップと、第1の所定の時間に亘って第1の充電電流レートで電池を充電する急速充電ルーチンを実施するステップとを含む。第1の所定の時間に続いて、この方法は、第2の所定の時間に亘って第2の充電電流レートで電池を充電する通常充電ルーチンを実施するステップをさらに含む。第1の充電電流レートは第2の充電電流レートより大きい。第1の所定の時間は、第1の充電電流レートと関連付けられた充電電流に起因した上記電池の中のおおよその温度上昇に少なくとも部分的に基づいている。
【0056】
他の実施形態では、この方法のための第1の所定の時間は、充電電圧の閾値に少なくとも部分的に基づいている。測定器は液晶ディスプレイをさらに有することがあり、充電電圧の閾値は、5回以下の血糖濃度試験を実施するために十分であることがある。第1の充電電流レートおよび第2の充電電流レートはほぼ一定でもよい。
【0057】
他の実施形態では、この方法は、第1の所定の時間後に、血糖測定器のユーザに知覚できる信号を使って通知するステップをさらに含む。所定の事象が起こるまで、第2の充電電流レートより低い第3の電流レートで電池を充電する充電終了ルーチンが第2の所定の時間後にさらに実施されることがある。第3の充電電流レートは連続的に減少することもある。
【0058】
ある実施形態では、コンピュータ読み取り可能な媒体は、血糖測定器のような測定器用の電池の急速充電を指令する命令を用いて符号化される。測定器は、一般に、流体試料の検定濃度の判定のような温度感受性のある試験を実施している。命令は外部電源への接続を監視するステップを含むことがある。急速充電ルーチンまたはアルゴリズムは、その後、ある時間の経過またはある電圧の閾値への到達のような第1の所定の事象が起こるまで、第1の充電電流で電池を充電するため実施されることがある。第1の所定の事象の出現後、通常充電ルーチンまたはアルゴリズムが第2の所定の事象が起こるまで第2の充電電流で電池を充電するため実施されることがある。第1の充電電流は第2の充電電流より大きい。
【0059】
血糖濃度を試験するシステムのような電池駆動型測定器のある実施形態は、電池残量計を含むことがあると考えられる。たとえば、電池残量計集積回路が電池の充電の状態を判定するためシステムに組み込まれることがある。電池充電情報は電池駆動型測定器システムの内部で動作する電源管理ルーチンによって使用されることもあると考えられる。電源管理ルーチンは、使用期間および不使用期間に電源を管理することによって測定器が延長された期間に亘って動作することを可能にすることがある。たとえば、電池駆動型血糖測定器における電源管理ルーチンは、血糖濃度が分析される期間中、および、このような分析の間の期間中に電力消費を制御することにより、電池を再充電する必要なしに長時間に亘る測定器の使用を可能にする。
【0060】
図2に示された典型的な実施形態において、上述されているように、異なる形態の充電式電池構成が、リチウムイオン(Li−Ion)電池、リチウムポリマ(Li−Po)電池、ニッケルカドミウム(NiCd)電池、または、ニッケル金属水素(NiMH)電池を含む測定器に給電するため使用されることがある。リチウムベースの電池の使用は、リチウム電池の両端間の電圧が典型的に測定器動作中に、すなわち、放電過程中に著しく降下しないので、測定器動作に対して一定の利益をもたらす。
【0061】
図7は本願のある実施形態による電池放電プロファイルを示している。放電プロファイルは、血糖測定器のような測定器の動作中の電池放電期間のLi−Po電池に関する負荷電圧の変化を示している。図示されたLi−Po電池の完全充電電圧は約4.1ボルトである。放電プロファイルは、電池の定格容量(C)の20、50、および、100パーセント、すなわち、それぞれ、0.2C、0.5C、および、1Cで動作する電池に関して示されている。たとえば、0.5Cで動作するLi−Po電池を用いると、電池の残り充電量40パーセントから残り充電量20パーセントまで変わる範囲に亘って、Li−Po電池は、約40ミリボルト以下である電圧変化が生じる。0.2Cから1Cまでの放電電流の変動がある場合でも、図示されたLi−Po電池の電圧変化は100ミリボルトレンジに亘ることがある。初期放電電流0.5Cの場合、このことは、0.2Cまで降下し、1Cまで上昇する放電電流の変化に対し、平均電圧変化±50ミリボルトを意味する。図7にさらに示されているように、測定器で使用されることがあるLi−Po電池のようなLi−Po電池の負荷電圧は、充電量の5パーセント未満が残っているとき、著しく減少することがある。
【0062】
電池の充電状態を判定する従来型の直流電圧測定方法は、典型的に、Li−Po電池またはLi−Ion電池の場合にうまく機能しないので、電池残量計は、ある電池駆動型装置、たとえば、リチウム電池を使用する携帯型測定器に役立つことがある。たとえば、図7に示されているように、リチウム電池の両端間の電圧は、電池の放電段階の間に大幅に変化しない。リチウム電池の残りの充電量を評価することは、難しくなる。なぜなら、電池駆動型装置による電池への負荷、または、電池の放電による、リチウム電池の電圧変化が小さいことがあるためである。電池残量計は、たとえば、充電中に電池が受け取る電荷の個数と、放電中に電池が失う電荷の個数とを計数して、充電および放電の両方の方向で電池の中を流れる電流を連続的に監視することが可能である。
【0063】
図8は、本開示のある実施形態による、たとえば、血糖測定器のような測定器に適用可能である残量計803付きの電池充電器801を含む回路を示している。電池充電器は主電源811と連結されることがある。主電源は、電源コンセント、発電機、AC/DC壁取り付けアダプタ、USBポート、または、電池を充電するため十分な電力を供給可能である他の電源でもよい。電池充電器801は電池802の正電極に接続される。電池802の負電極は検出抵抗器807を介して接地820に連結される。図8に示されているように、マイクロコントローラ805および残量計803は、電圧調整器804を使用して給電されることがある。電池充電器801および電池802に対する電圧調整器804の構成は、電圧調整器が、たとえば、システムが電池を充電しているときには電池充電器801、または、システムが放電しているときには電池802のいずれかから常に電力を受けることを可能にする。マイクロコントローラ805と残量計803との間のインターフェース813は2台の装置の間での情報の伝達を可能にするので、電池802の充電の状態が判定可能である。マイクロコントローラ805は、リアルタイムクロックを含むことがあり、残量計803からデータをさらに受信し処理することがある。残量計からのデータがマイクロコントローラ805によって処理された後、マイクロコントローラ805は電池802の充電の状態をディスプレイ806に表示することがある。
【0064】
図8に示された実施形態は、電流が電池充電器801から電池802へ流れる充電過程を可能にする。充電過程の間に、電流は検出抵抗器807を通って電池802から接地820へ進む。充電過程の間に、残量計803は、電池802が電池充電器801から受ける電荷の個数を判定するため検出抵抗器803の両端間の電圧を監視する。電池802の充電が完了したとき、電池充電器801は電池充電が完了したという信号812をマイクロコントローラ805へ送信する。電池充電器812とマイクロコントローラ805との間の充電が完了したという通信は、マイクロコントローラ805を残量計803と同期させることを含む。電池充電完了信号812と同時またはほぼ同時に、マイクロコントローラは、充電が完了したことを示す「充電完了」テキスト、または、アイコンがディスプレイ806に表示されるように、ディスプレイ806と通信することがある。
【0065】
電池充電器801は主電源811から切断されることがある。切断されたとき、電池802は、その後、図8に示された回路の唯一の電源になる。さらに、主電源811からの切断後すぐに、それまで電池から検出抵抗器807へ流れていた電流の向きは、変化、または、反転する。この時点で、同様に、残量計803は、瞬時またはほぼ瞬時に、検出抵抗器807の両端の電圧の反転された極性を検出する。検出抵抗器807における反転された極性は、電池が放電しているときに電池802から出るエネルギ単位、すなわち、電荷を計数することにより電池802からの電流の追跡を開始するように残量計803を始動させる。図8に示された回路の放電フェーズの間に、マイクロコントローラ805および残量計803は、マイクロコントローラが電池802の充電状態に関する最新情報を受信することを可能にするため、インターフェース813を介して周期的に、または、ほぼ連続的に通信可能である。
【0066】
主電源811は放電過程の間のいつでも電池充電器801に接続できる。接続は、電池802を流れる電流の向きを反転させ、放電モードから充電モードへ切り替えさせる。電池802を流れる電流の向きの反転の時点または反転の時点の付近で、残量計803は、充電過程の間に電池802に入る電荷の個数を計数することにより電池802への電流を追跡する。
【0067】
充電過程および放電過程は、残量計803およびマイクロコントローラ805を使用して定期的に(たとえば、周期的、連続的など)監視可能である。定期的または連続的な監視を通じて、マイクロコントローラ805は、電池に残存しているエネルギ単位に関する情報を更新し、電池802の中の電池充電の状態の比較的正確な評価を行うことを可能にする。マイクロコントローラ805によって判定された電池充電の状態は、その後、ディスプレイ806に表示されることがある。ディスプレイ806に表示される実施形態は、充電の状態をユーザに見せるために4個のバーをもつアイコンである。
【0068】
携帯型または電池駆動型測定器に含めることができる特徴は、不使用期間または限定使用期間における測定器の電力消費を制限するスリープモードまたはスタンバイモードである。図8に示された実施形態では、マイクロコントローラ805は回路をスリープモードに移行させるために使用可能である。電力消費を制限するため、マイクロコントローラ805がシステムをスリープモードに移行させるとき、残量計803は配電回路から取り外されることが望ましい。図8に示されているように、マイクロコントローラ805から電源スイッチ814への電源スイッチ制御信号815は、残量計803を分離するため使用可能である。
【0069】
図8に示された実施形態はスリープモード中の電力消費が著しく削減されることを可能にするので役に立つ。残存電池充電量を連続的に監視する残量計によるエネルギ使用は重大であることがある。連続動作する残量計803は、低電力残量計であるとしても、スリープモードに入れられたシステムの場合でさえ、約50から100マイクロアンペアを消費する。血糖測定器のような携帯型電池駆動型システムにおけるこのような電力消費は重大であると考えられる。マイクロコントローラ805は、スリープモードの間であっても、数マイクロアンペア(たとえば、およそ1から10マイクロアンペア)しか消費しないことがある。
【0070】
ある実施形態では、システムがスタンバイまたはスリープモードに入ったとき、バッテリ残量計803は分離されるとともに、電池からの電力を消費することを許容されなくなる。電源スイッチ814は、放電過程中に、すなわち、主電源811が切断されているとき、電圧調整器804によって残量計803へ向けられる電力を制御するため使用可能である。電圧調整器804は、放電過程中にマイクロコントローラ805および残量計803に給電するために回路内に設けられる。電源スイッチ814はマイクロコントローラ805に接続されるので、マイクロコントローラは電源スイッチ制御信号815を電源スイッチ814へ送信可能である。電源スイッチ814は、その後、残量計803に給電する回路を開閉することになる。たとえば、マイクロコントローラ805が測定器はスタンバイまたはスリープモードに入るべきであると判定する場合、マイクロコントローラ805は、電流を残量計803へ向ける回路を開く信号815を電源スイッチ814へ送信する。図8の図解では、電源スイッチ814によって回路を開くことにより、電池802の電流消費が約50から100マイクロアンペア削減される。測定器がアクティブモードに復帰するとき、マイクロコントローラ805は、電流が残量計システム803に再導入されるとき残量計803がその機能を再開できるように、電池802と残量計803との間の回路を閉じるため、別の信号815を電源スイッチ814へ送信可能である。
【0071】
スタンバイまたはスリープモードの期間中、測定器は電池802の残存期間を評価し続けることが望ましい。たとえば、血糖測定器の場合、ユーザは装置を毎日作動させることがある。装置が1日以上、または、1週間以上に亘って使用されず、したがって、スタンバイまたはスリープモードのままである、ということも考えられる。図8に示された実施形態では、マイクロコントローラ805は、スリープモード(たとえば、超低電力消費)の間に、電流約2から3マイクロアンペアを引き出し続ける。残量計803が、図8に示されているように、スリープモード中に電力消費回路から取り外し可能である間、マイクロコントローラ805のような残りの電力引き出しコンポーネントの電力消費を追跡することが重要である可能性がある。しかし、電力消費回路から残量計803を取り外すことによって、電流蓄積および消費を追跡する装置である残量計803の動作が行われなくなる。
【0072】
ある実施形態では、残量計の非動作中の電池の残存期間または電力消費の評価は、電源管理ルーチンを含むプロセッサまたはマイクロコントローラを使用して達成可能である。電源管理ルーチンは、たとえば、充電式電池のような有限電源を有する測定器の実行時間を延長可能である。
【0073】
図8の実施形態では、電源管理ルーチンを実施するマイクロコントローラ805は、スタンバイまたはスリープモードに入る前にいくつかのステップを実行可能である。マイクロコントローラ805は、タイマを含むか、または、タイマからデータを受信する。タイマは、電池802の中の残存電荷を評価するのに使用される(複数の)基準時刻を維持する。タイマは、リアルタイムクロックを使用して(複数の)基準時刻を定めることがある。たとえば、スリープモードに入る前に、マイクロコントローラ805は、電池充電の最後の状態を記録すると共に基準時刻または実際の時刻を記録する。マイクロコントローラ805は、その後、残量計803への回路を開くため、すなわち、電力消費ループから残量計803を取り除くため、信号815を電源スイッチ814へ送信する。残量計803は電力を受けないので、電池802からの電力の消費は著しく低減されるが、残量計は電力消費の追跡を停止する。しかし、スリープ又はスタンバイモードに入る前に、マイクロコントローラ805による基準時刻の記録は、マイクロコントローラ805がウェイクアップした後に測定器システム内での電力消費量の判定を可能にする。測定器は、ユーザが測定器に指示することによりスリープモードを終了することがある。たとえば、ユーザはボタンを押すことがあり、または、所定のウェイクアップ基準が測定器のため確立されることがある。
【0074】
マイクロコントローラ805がスタンバイまたはスリープモードを終了する指示を受信した後、いくつかの動作が残量計803の非動作中に失われた電池放電電荷の数を再計算し回復するため行われる。電源スイッチ制御信号815が電池残量計803にエネルギを与えるため電源スイッチ814へ送信される。マイクロコントローラ805は、
第2の基準時刻、たとえば、マイクロコントローラがウェイクアップするか、または、アクティブモードに入る時刻から、マイクロコントローラ805が現在励起されているスリープモードに入ったときに記録された第1の基準時刻を差し引くことにより、スタンバイ又はスリープモードの持続期間をさらに判定する。マイクロコントローラ805は、その後、計算されたスリープモード持続期間に既知のスリープモード電流および電圧を乗算する。スリープモード持続期間と既知の電流および電圧との積は、スタンバイまたはスリープモードのあいだに回路によって消費される電力である。マイクロコントローラ805は、その後、計算された消費電力を最後に記録された既知の電池充電状態、たとえば、最後のスタンバイまたはスリープモードに入る直前の残存電荷から差し引く。その結果は、電池充電状態の推定値である。
【0075】
図9は、本願のある実施形態による電池駆動型装置のための電源管理方法の有限状態機械を示している。電源管理方法は、電池駆動型装置内の電力を監視するコンピュータ又はコンピュータ化されたシステムで実施されるアルゴリズムまたはルーチンの形式でもよい。たとえば、この方法は、プロセッサ形態またはマイクロコントローラ形態の装置を含むシステムで実施されることがある。この方法は、正確な電池充電状態に関する情報の損失を最小限に抑えると同時に、残量計集積回路の平均電力消費を削減可能である。
【0076】
ある実施形態では、測定器、たとえば、電池駆動型血糖測定器のような装置は、通常動作状態で機能することが可能である。測定器は、アクティブモード、たとえば、通常モードと、スリープモード、たとえば、スタンバイモードとで動作するよう構成されることがある。ステップ900における通常動作時の測定器装置からはじめて、ステップ910におけるスリープモードに入るための要求はマイクロコントローラによって受信可能である。要求は、プロセッサまたはマイクロコントローラによって受信される信号の生成を誘発するユーザからの入力、または、予め定められた期間の経過に基づいて行われることがある。ステップ910においてスリープモードの要求が受信された後、プロセッサまたはマイクロコントローラは、ステップ920において、要求の時点で、要求の時刻、および、電池充電状態を記録可能である。ある実施形態では、電池充電状態情報は、図8に示された残量計のような電池残量計からプロセッサによって受信されたデータによってもたらされることになる。スリープモード中の電力消費を削減するため、残量計への電流を制御する電源スイッチは残量計への電力を中断するために開くことが可能である。マイクロコントローラ又はプロセッサは、その後、ステップ930において測定器をスリープモードに保つことが可能であり、その間、電力消費はマイクロコントローラに限定されることがある。ステップ930におけるスリープモードの間に、マイクロコントローラは、循環し、ステップ940におけるウェイクアップ事象を特定する信号を待ち受けることが可能である。ステップ940におけるウェイクアップ事象は、たとえば、測定器のユーザからの入力の受信と、主電源への接続と、予め選択されたトリガ事象などを含むことがある。ステップ940におけるウェイクアップ事象がマイクロコントローラによって受信された後、スリープモード後の電池充電状態が判定され、残量計からの電池充電状態がステップ950で更新される。電池充電状態の更新は、スリープモード持続期間と、スリープモード中に回路内に存在していた電流及び電圧とを使用して判定可能である。ステップ940におけるウェイクアップ事象は、残量計にエネルギを与える電源スイッチへの信号の送信をさらに含むことがある。
【0077】
スリープモードを終了した後の電池充電状態は、ステップ940におけるウェイクアップ事象の直後または少し後に判定可能である。更新された電池充電状態がステップ960で判定された後、測定器はステップ900で通常動作モード、たとえば、アクティブモードに再び入ることが可能である。ステップ900での装置の通常動作中に、たとえば、リアルタイムクロックのような、ステップ970におけるタイマは、回路が充電モードと、アクティブ放電モードと、スリープ放電モードとの間で変化するときのような基準時刻を記録できるようにするため使用可能である。通常動作モード中に、電池充電状態は、残量計から受信された情報を使用してステップ975で連続的または周期的に更新され、ディスプレイに表示される。ステップ900における電池駆動型血糖測定器のような装置の通常動作中に、主電源はシステム内の電池充電器に接続されることがある。電池充電器の監視は、ステップ980で充電が完了したという信号がマイクロコントローラへ送信されるまでに完了可能である。この時点で、ステップ985で残量計を更新するため、電池が完全に充電されたという別の信号を送信可能である。信号が電池充電状態に関し残量計を更新するため送信された後、装置は、その後、ステップ900で通常動作モードへ再び戻ることが可能である。
【0078】
ある実施形態では、回路を有する携帯型測定器は、回路内の検出素子に給電するため電池を使って構成されている。測定器は、回路によって給電されるプロセッサを含む。プロセッサは、アクティブモードおよびスリープモードで測定器を動かすように構成されている。残量計は回路によって給電される。残量計は、測定器のアクティブモード動作中に電池から受信された電池充電データの状態を追跡するように構成されている。インターフェースは、残量計からプロセッサへ電池充電状態データを転送するように構成されている。電源スイッチは、残量計への電流フローを制御し、プロセッサによって開閉されるように構成されている。プロセッサは、測定器がスリープモードに入る場合に、電源スイッチを開位置に入れる信号を送り、測定器がアクティブモードに入る場合に、電源スイッチを閉位置に入れる信号を送る。スリープモードに入る前に、プロセッサは、測定器が上記スリープモードに入る直前の電池の第1の電池充電状態と第1の時刻基準とを記録するように構成されている。プロセッサは、測定器がスリープモードを終了してアクティブモードに入る直後の第2の基準時刻での第2の電池充電状態を判定するようにさらに構成されている。第2の電池充電状態は、記録された第1の充電状態と、第1の基準時刻と、第2の基準時刻と、スリープモード中の測定器の所定のエネルギ使用率とに基づいて判定される。
【0079】
他の実施形態では、携帯型測定器は血糖測定器である。残量計は、測定器の動作のアクティブモード中に電池充電状態を連続的に追跡可能である。残量計は集積回路であることもある。携帯型測定器は、現在の電池充電状態を表示するように構成されるとともに、プロセッサに連結されたディスプレイをさらに含むことがある。プロセッサはマイクロコントローラであることもある。電池は充電式電池であることもある。携帯型測定器は、主電源が電池を充電しているときに、アクティブモードに入ることが可能である。
【0080】
別の実施形態によれば、電源管理方法は、アクティブモードおよびスタンバイモードで動作するように構成された電池駆動型測定器を含む。電池駆動型測定器は、電池残量計およびマイクロコントローラを含む。この方法は、スタンバイモードに入るための第1の要求を受信するステップを含む。第1の充電状態は測定器の電池に関して記録される。記録は、第1の要求が受信された直後の第1の基準時刻に行われる。第1の基準時刻はマイクロコントローラを使用して記録される。測定器は、電池残量計への電力が断たれるスタンバイモードに移行する。スタンバイモードを出てアクティブモードに入るための第2の要求は第2の基準時刻に受信される。第2の基準時刻は第1の基準時刻の後に現れる。第2の要求に応答して、第2の基準時刻は瞬時に記録され、マイクロコントローラは、第1の基準時刻と、第2の基準時刻と、測定器のスタンバイモード電流およびスタンバイモード電圧とに基づいて第2の電池充電状態を判定する。
【0081】
他の実施形態では、電池に関する第1の電池充電状態は電池残量計を使用して判定される。電池駆動型測定器は最初にアクティブモードで動作可能である。測定器がアクティブモードにある場合、電池充電状態は電池残量計からマイクロコントローラによって受信された電池充電データを使用して更新可能である。更新は連続的であることもある。電池充電状態は表示計器に表示されることもある。
【0082】
さらなる実施形態によれば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、アクティブモードおよびスリープモードで動作する電池駆動型測定器の電源を管理する命令が記憶されている。命令は、スリープモードに入るための第1の要求を受信するステップと、測定器の電池に関する第1の充電状態を記録するステップとを含む。記録は第1の要求が受信された直後の第1の基準時刻で行われる。第1の基準時刻は記録される。測定器は、電池残量計への電力が断たれるスタンバイモードに移行する。第2の要求がスリープモードを出てアクティブモードに入るために第2の基準時刻に受信される。第2の基準時刻は第1の基準時刻の後に現れる。第2の要求の直後に、第2の基準時刻が記録される。第2の電池充電状態は、第1の基準時刻、第2の基準時刻、スリープモード電流、および、スリープモード電圧に基づいて判定される。
【0083】
ある実施形態では、測定器は、たとえば、血糖濃度試験動作およびグローバル・ポジショニング・システムのような複数の動作を組み込むことがある。このような携帯型測定器上の複数の動作は、電池からのさらなる電力を必要とすることがある。電力所要量は、より大型の電池、効率的な電源管理技術、または、両方の組み合わせを使用することによって供給可能である。
【0084】
本発明は、図示された実施形態の詳細に関して説明されているが、これらの詳細は請求項に記載されているような発明の範囲を限定することが意図されていない。たとえば、電池用の急速充電システムは、様々な熱的に敏感な用途で使用されることがある。開示された実施形態およびそれらの自明な変形は、請求項にかかる発明の精神および範囲に含まれるものとして考えられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験センサを使用して流体試料の検体濃度を測定するように構成された電池駆動型測定器であって、
前記試験センサの少なくとも一部分を受容するようなサイズのポートと、
前記流体試料の前記検体濃度を表示するよう動作可能であるディスプレイを含む前部と、
前記測定器を制御するよう動作可能であるユーザ相互作用機構部と、
充電式電池のための筐体と、
前記測定器と動作的に関連付けられ、充電式電池用の急速充電アルゴリズムを実行するように構成されている電池充電器コンポーネントと、
を含み、
前記アルゴリズムが、
(i)外部電源への接続を監視するステップと、
(ii)前記外部電源が検出された場合、第1の所定の事象が起こるまで第1の充電レートで前記電池の急速充電のための第1の充電ルーチンを実施し、その後に続いて、第2の所定の事象が起こるまで前記第1の充電レートより低い第2の充電レートで前記電池を充電するステップと、
を含む、電池駆動型測定器。
【請求項2】
前記第1の充電レートに起因する前記充電式電池内での温度上昇がごくわずかな熱伝達の影響を前記流体試料に与える、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項3】
前記第1の充電レートの範囲が2Cから5Cである、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項4】
前記第2の充電レートが1C未満である、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項5】
前記電池充電器コンポーネントが集積回路の一部である、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項6】
前記第1の所定の事象が所定の期間の経過である、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項7】
前記所定の期間が約1分間以下である、請求項6に記載の電池駆動型測定器。
【請求項8】
前記第1の所定の事象が、前記充電式電池が所定の充電電圧を超えることである、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項9】
前記第1の所定の事象が、前記充電式電池の中の温度が閾値を超えることである、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項10】
前記第1の所定の事象が、前記測定器の中の温度が閾値を超えることである、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項11】
前記外部電源がコンピュータ装置のポートである、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項12】
前記充電式電池が、上昇する温度の読みのために定期的に監視される、請求項1に記載の電池駆動型測定器。
【請求項13】
流体検体測定器において電池を急速充電する方法であって、
外部電源への接続を監視するステップと、
第1の所定の期間に亘って第1の充電電流レートで前記電池を充電する急速充電ルーチンを実施するステップと、
前記第1の所定の期間の後に続いて、第2の所定の期間に亘って、前記第1の充電電流レートの方が大きい第2の充電電流レートで前記電池を充電する通常充電ルーチンを実施するステップと、
を含み、
前記第1の所定の期間が前記第1の充電電流レートと関連付けられた充電電流に起因する前記電池の中の推定温度上昇に少なくとも部分的に基づいている、方法。
【請求項14】
前記第1の所定の期間がさらに充電電圧の閾値に少なくとも部分的に基づいている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の充電電流レートおよび第2の充電電流レートがほぼ一定である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の所定の期間の後に続いて、知覚できる信号を使って前記測定器のユーザに通知するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の所定の期間の後に続いて、所定の事象が起こるまで前記第2の充電電流レートより低い第3の充電電流レートで前記電池を充電する充電終了ルーチンを実施するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第3の充電電流レートが連続的に減少する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
流体試料の検体濃度を定量するように動作可能である測定器の電池の急速充電を指令する命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記命令が、
外部電源への接続を監視するステップと、
第1の所定の事象が起こるまで第1の充電電流で前記電池を充電する急速充電ルーチンを実施するステップと、
前記第1の所定の事象の出現の後に続いて、第2の所定の事象が起こるまで前記第1の充電電流の方が大きい第2の充電電流で前記電池を充電する通常充電ルーチンを実施するステップと、
前記電池と前記測定器とのうちの少なくとも一方について、1つ以上の所定の時間間隔で温度上昇を監視するステップと、
前記電池と前記測定器とのうちの少なくとも一方の中の前記温度上昇が所定の閾値を超える場合、前記急速充電ルーチンと前記通常充電ルーチンとのうちの少なくとも一方を中止するステップと、
を含む、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項20】
回路を備えており、前記回路内の検出素子に給電するために前記回路が電池を備えている携帯型測定器であって、
前記回路によって給電され、前記測定器をアクティブモードおよびスリープモードで動作させるように構成されているプロセッサと、
前記回路によって給電され、前記測定器のアクティブモード動作中に前記電池から受信された電池充電状態データを追跡するように構成されている残量計と、
前記電池充電状態データを前記残量計から前記プロセッサへ転送するように構成されているインターフェースと、
前記測定器がスリープモードに入る場合、開位置に変化させる信号を前記電源スイッチに送り、前記測定器がアクティブモードに入る場合、閉位置に変化させる信号を前記電源スイッチに送る前記プロセッサによって開閉されるように構成され、前記残量計への電流フローを制御する電源スイッチと、
を含み、
前記スリープモードに入る前に、前記プロセッサが、前記電池の第1の電池充電状態、および、前記測定器が前記スリープモードに入る直前の第1の時刻基準を記録するように構成され、前記プロセッサが、前記測定器が前記スリープモードを出て前記アクティブモードに入る直後の第2の時刻基準で、前記記録された第1の充電状態と、前記第1の基準時刻と、前記第2の基準時刻と、前記スリープモード中の前記測定器の所定のエネルギ使用率とに基づいて、第2の電池充電状態を判定するようにさらに構成されている、
携帯型測定器。
【請求項21】
前記残量計が前記測定器の動作のアクティブモード中に電池充電状態を連続的に追跡する、請求項20に記載の携帯型測定器。
【請求項22】
前記残量計が集積回路である、請求項20に記載の携帯型測定器。
【請求項23】
前記プロセッサに結合され、現在の電池充電状態を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、請求項20に記載の携帯型測定器。
【請求項24】
前記プロセッサがマイクロコントローラである、請求項20に記載の携帯型測定器。
【請求項25】
前記電池が充電式電池である、請求項20に記載の携帯型測定器。
【請求項26】
主電源が前記電池を充電しているときに前記アクティブモードに入る、請求項25に記載の携帯型測定器。
【請求項27】
アクティブモードおよびスタンバイモードで動作するように構成され、電池残量計およびマイクロコントローラを含む電池駆動型測定器における電源管理の方法であって、
スタンバイモードに入るための第1の要求を受信するステップと、
前記第1の要求が受信された直後の第1の基準時刻に、前記測定器の電池に関する第1の充電状態を記録するステップと、
前記マイクロコントローラを使用して前記第1の基準時刻を記録するステップと、
前記測定器を前記電池残量計への電力が断たれる前記スタンバイモードに入れるステップと、
前記スタンバイモードを出て前記アクティブモードに入るための第2の要求を前記第1の基準時刻の後に現れる第2の基準時刻に受信するステップと、
を含み、
前記第2の要求に応答して、第2の基準時刻が直ちに記録され、前記マイクロコントローラが、前記第1の基準時刻と、前記第2の基準時刻と、前記測定器のスタンバイモード電流およびスタンバイモード電圧とに基づいて第2の電池充電状態を判定する、電源管理の方法。
【請求項28】
前記電池駆動型測定器が血糖測定器である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記電池に関する前記第1の電池充電状態が前記電池残量計を使用して判定される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記電池駆動型測定器が最初に前記アクティブモードにある、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記測定器がアクティブモードにある場合、前記電池残量計から前記マイクロコントローラによって受信された電池充電データを使用して電池充電状態を更新するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記更新が連続的である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記電池充電状態を表示計器に表示するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
アクティブモードおよびスリープモードで動作する電池駆動型測定器の電源を管理する命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記命令が、
前記スリープモードに入るための第1の要求を受信するステップと、
前記第1の要求が受信された直後の第1の基準時刻に前記測定器の電池に関する第1の充電状態を記録するステップと、
前記第1の基準時刻を記録するステップと、
前記測定器を電池残量計への電力が断たれる前記スタンバイモードに入れるステップと、
前記スリープモードを出て前記アクティブモードに入るための第2の要求を前記第1の基準時刻の後に現れる第2の基準時刻に受信するステップと、
前記第2の要求の直後に、第2の基準時刻を記録するステップと、
前記第1の基準時刻、前記第2の基準時刻、スリープモード電流、および、スリープモード電圧に基づいて第2の電池充電状態を判定するステップと、
を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−509101(P2011−509101A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537915(P2010−537915)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/006789
【国際公開番号】WO2009/075696
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】