説明

電池

【課題】 高温特性を向上させることができる電池を提供する。
【解決手段】 負極22は、構成元素としてSiまたはSnを含む負極活物質を含んでいる。セパレータ15には、溶媒と電解質塩とを含む電解液が含浸されている。溶媒には4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが含まれており、電解質塩にはLiN(Cn 2n+1SO2 2 (nは1から4の整数)が含まれている。これらを共に用いることにより、負極22の表面に高温においても安定な被膜を形成することができ、高温における電解液に化学的安定性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成元素としてケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも一方を含む負極活物質を用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(Videotape Recorder;ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。それに伴い、これらの電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度を得ることができる二次電池の開発が進められている。高エネルギー密度を得ることができる二次電池としては、例えばリチウムイオン二次電池が知られている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池では、負極活物質に、比較的高容量を示し良好なサイクル特性を有する黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。しかし、近年の高容量化の要求を考えると、炭素材料の更なる高容量化が課題となっている。そこで、最近では、負極活物質として、炭素材料に代えてスズ(Sn)あるいはケイ素(Si)などを用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。スズの理論容量は994mAh/g、ケイ素の理論容量は4199mAh/gと、黒鉛の理論容量の372mAh/gに比べて格段に大きく、容量の向上を期待できるからである。
【特許文献1】米国特許第4950566号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リチウム(Li)を吸蔵したスズ合金あるいはケイ素合金は活性が高いので、電解液が分解されやすいという問題があった。そこで、電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いることにより、充放電効率の低下を抑制し、サイクル特性を向上させることが検討されている。しかし、これにより室温におけるサイクル特性は向上するものの、高温におけるサイクル特性は十分ではなく、高温特性の向上が望まれていた。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高温特性を向上させることができる電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池は、正極および負極と共に電解液を備えたものであって、負極は、構成元素としてケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を含む負極活物質を含有し、電解液は、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含む溶媒と、LiN(Cn 2n+1SO2 2 (nは1から4の整数である)で表されるイミド塩とを含有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電池によれば、電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含むようにしたので、電解液の耐還元性を高くすることができる。また、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンに加えて、LiN(Cn 2n+1SO2 2 を含むようにしたので、負極の表面に高温においても安定な被膜を形成することができる。よって、高温における電解液の化学的安定性を向上させることができ、高温特性を向上させることができる。
【0008】
特に、スズに加えて、上述した第2の構成元素と第3の構成元素とを含む負極活物質を用いるように、中でも、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、これらの含有量が上述した範囲内の負極活物質を用いるようにすれば、より高い特性を得ることができる。
【0009】
また、負極活物質層と前記負極集電体とが界面の少なくとも一部において合金化している場合、または、負極活物質層が気相法,液相法および焼成法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものである場合にも、より高い効果を得ることができる。
【0010】
更に、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量を0.1質量%以上80質量%以下の範囲内とすれば、または、電解液におけるイミド塩の含有量を0.01mol/l以上1.5mol/l以下の範囲内とすれば、または、電解液に更に六フッ化リン酸リチウムを含有するようにすれば、より特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池はいわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、電解液が注入され、セパレータ23に含浸されている。また、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
【0013】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0014】
巻回電極体20の中心には例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0015】
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。
【0016】
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着材を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料としては、例えば、硫化チタン(TiS2 ),硫化モリブデン(MoS2 ),セレン化ニオブ(NbSe2 )あるいは酸化バナジウム(V2 5 )などのリチウムを含有しないカルコゲン化物、またはリチウムを含有するリチウム含有化合物が挙げられる。
【0017】
中でも、リチウム含有化合物は、高電圧および高エネルギー密度を得ることができるものがあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられ、特にコバルト(Co),ニッケルおよびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧を得ることができるからである。その化学式は、例えば、Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表される。式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
【0018】
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) Cov Mnw 2 (v+w<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、ニッケルを含む複合酸化物が好ましい。高い容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性も得ることができるからである。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))が挙げられる。
【0019】
負極22は、例えば、正極21と同様に、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。負極集電体22Aは、例えば、銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。
【0020】
負極活物質層22Bは、ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を構成元素として含む負極活物質を含有している。ケイ素およびスズはリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。このような負極活物質としては、例えば、ケイ素の単体,合金,あるいは化合物、または、スズの単体,合金,あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。この負極活物質は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0021】
このような負極活物質としては、例えば、スズを第1の構成元素とし、スズに加えて第2の構成元素と第3の構成元素とを含むものが好ましい。第2の構成元素は、コバルト,鉄,マグネシウム(Mg),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),マンガン,ニッケル,銅,亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),銀(Ag),インジウム(In),セリウム(Ce),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta),タングステン(W),ビスマス(Bi)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素(B),炭素(C),アルミニウム(Al)およびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2の元素および第3の元素を含むことにより、サイクル特性を向上させることができるからである。
【0022】
中でも、この負極活物質としては、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合Co/(Sn+Co)が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
【0023】
このSnCoC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素,鉄,ニッケル,クロム,インジウム,ニオブ,ゲルマニウム(Ge),チタン,モリブデン,アルミニウム,リン,ガリウムまたはビスマスが好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
【0024】
なお、このSnCoC含有材料は、スズと、コバルトと、炭素とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このSnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
【0025】
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
【0026】
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
【0027】
このような負極活物質は、例えば各構成元素の原料を混合して電気炉,高周波誘導炉あるいはアーク溶解炉などにより溶解しその後凝固することにより、また、ガスアトマイズあるいは水アトマイズなどの各種アトマイズ法、各種ロール法、またはメカニカルアロイング法あるいはメカニカルミリング法などのメカノケミカル反応を利用した方法により製造することができる。中でも、メカノケミカル反応を利用した方法により製造することが好ましい。負極活物質を低結晶化あるいは非晶質な構造とすることができるからである。この方法には、例えば、遊星ボールミル装置やアトライター等の製造装置を用いることができる。
【0028】
負極活物質層22Bは、また、上述した負極活物質に加えて他の負極活物質、または導電材などの他の材料を含んでいてもよい。他の負極活物質としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素質材料が挙げられる。この炭素質材料は、充放電サイクル特性を向上させることができると共に、導電材としても機能するので好ましい。炭素質材料としては、例えば難黒鉛化炭素,易黒鉛化炭素,グラファイト,熱分解炭素類,コークス,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,活性炭およびカーボンブラックなどのいずれか1種または2種以上を用いることができる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子化合物を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。これらの炭素質材料の形状は、繊維状,球状,粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。
【0029】
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0030】
セパレータ23に含浸された電解液は、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
【0031】
溶媒は、化1に示した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含んでいる。負極22にケイ素またはスズを構成元素として含む負極活物質を用いると、負極22の活性が高くなり、電解液の分解反応が生じやすいが、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンは高い耐還元性を有しているので、電解液の分解反応を抑制することができるからである。溶媒は、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンのみにより構成するようにしてもよいが、他の1種または2種以上の溶媒と混合して用いた方が好ましい。イオン伝導性などの特性を向上させることができるからである。その場合、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量は、0.1質量%以上80質量%以下の範囲内とすることが好ましく、1質量%以上80質量%以下の範囲内、更には、5質量%以上65質量%以下の範囲内とすればより好ましい。この範囲内においてサイクル特性をより向上させることができるからである。
【0032】
【化1】

【0033】
他の溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、あるいは1,3−ジオキソール−2−オンなどの環式炭酸エステル、γ−ブチロラクトンあるいはγ−バレロラクトンなどのラクトン、2−メチル−1−ピロリドンなどのラクタム、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの環式カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホンなどの環式スルホン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、あるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖式炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、イソ酪酸メチル、あるいはトリメチル酢酸メチルなどの鎖式カルボン酸エステル、ピナコリンなどのケトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、あるいは1,4−ジオキサンなどのエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖式アミド、または、N,N−ジメチルカルバミン酸メチル、N,N−ジエチルカルバミン酸メチルなどの鎖式カルバミン酸エステルが挙げられる。
【0034】
中でも、粘度が1mPa・s以下の低粘度溶媒を少なくとも1種混合して用いることが好ましい。粘度を低くことによりイオン伝導性を向上させることができるからである。低粘度溶媒としては、上述した溶媒のうち鎖式炭酸エステル、鎖式カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、鎖式アミド、または鎖式カルバミン酸エステルが挙げられる。
【0035】
電解質塩は、LiN(Cn 2n+1SO2 2 (nは1から4の整数である)で表されるイミド塩を含んでいる。上述した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと共にこのイミド塩を用いることにより、負極22の表面に高温においても安定した被膜を形成することができ、高温における電解液の分解反応を抑制することができるからである。このイミド塩は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。LiN(Cn 2n+1SO2 2 の電解液における含有量は、0.01mol/l以上1.5mol/l以下の範囲内とすることが好ましい。含有量が少ないと電解液の分解を抑制する効果が低く、含有量が多いと電解液の粘度が高くなり、イオン伝導性が低下してしまうからである。
【0036】
また、電解質塩は、このイミド塩のみにより構成するようにしてもよいが、他の1種または2種以上のリチウム塩と混合して用いてもよい。他のリチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、メタンスルホン酸リチウム(CH3 SO3 Li)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )、あるいはリチウムビスオキサレートボレート(LiB(C2 4 2 )などが挙げられる。中でも、六フッ化リン酸リチウムを混合して用いるようにすれば、より高い特性を得ることができるので好ましい。
【0037】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0038】
まず、例えば、正極集電体21Aに正極活物質層21Bを形成し正極21を作製する。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質の粉末と導電材と結着材とを混合して正極合剤を調製したのち、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。また、例えば、正極21と同様にして、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成し負極22を作製する。
【0039】
次いで、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。続いて、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1,2に示した二次電池が完成する。
【0040】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。その際、電解液には4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、LiN(Cn 2n+1SO2 2 とが含まれているので、負極22の表面に高温においても安定な被膜が形成され、高温における電解液の分解反応が抑制される。
【0041】
このように本実施の形態によれば、電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含むようにしたので、電解液の耐還元性を高くすることができる。また、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンに加えて、LiN(Cn 2n+1SO2 2 を含むようにしたので、負極22の表面に高温においても安定な被膜を形成することができる。よって、高温における電解液の化学的安定性を向上させることができ、高温特性を向上させることができる。
【0042】
特に、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量を0.1質量%以上80質量%以下の範囲内とすれば、または、電解液におけるLiN(Cn 2n+1SO2 2 の含有量を0.01mol/l以上1.5mol/l以下の範囲内とすれば、または、電解液に更に六フッ化リン酸リチウムを含有するようにすれば、より高い特性を得ることができる。
【0043】
また、負極22に、スズに加えて、上述した第2の構成元素と第3の構成元素とを含む負極活物質を用いるように、中でも、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、これらの含有量が上述した範囲内の負極活物質を用いるようにすれば、より高い特性を得ることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る二次電池は、負極22の構成が異なることを除き、他は第1の実施の形態と同様の構成・作用および効果を有しており、同様にして製造することができる。よって、図1および図2を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付して同一の部分の説明は省略する。
【0045】
負極22は、第1の実施の形態と同様に、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層22Bは、ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を含む負極活物質を含有している。具体的には、例えば、ケイ素の単体,合金,あるいは化合物、またはスズの単体,合金,あるいは化合物を含有しており、それらの2種以上を含有していてもよい。
【0046】
また、負極活物質層22Bは、例えば、気相法,液相法,あるいは焼成法、またはそれらの2以上の方法を用いて形成されたものであり、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22Aの構成元素が負極活物質層22Bに、または負極活物質の構成元素が負極集電体22Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層22Bの膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
【0047】
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition )法,プラズマ化学気相成長法あるいは溶射法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金あるいは無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。焼成法というのは、例えば、粒子状の負極活物質を結着材などと混合して溶剤に分散させ、塗布したのち、結着材などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法,反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が挙げられる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図3は、第3の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型といわれるものであり、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものである。
【0049】
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0050】
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0051】
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0052】
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0053】
正極33は、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、上述した第1または第2の実施の形態における正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
【0054】
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液の構成は、第1の実施の形態と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物あるいはアクリレート系高分子化合物、またはポリフッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ化ビニリデンの重合体が挙げられ、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。特に、酸化還元安定性の観点からは、フッ化ビニリデンの重合体などのフッ素系高分子化合物を用いることが望ましい。
【0055】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0056】
まず、正極33および負極34のそれぞれに、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。次いで、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。そののち、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3,4に示した二次電池が完成する。
【0057】
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着して密封する。そののち、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3,4に示した二次電池を組み立てる。
【0058】
この二次電池は、第1の実施の形態に係る二次電池と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0059】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0060】
(実施例1−1〜1−27)
図1,2に示した円筒型の二次電池を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合し、空気中において890℃で5時間焼成してリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。得られたLiCoO2 についてX線回折を行ったところ、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standard)ファイルに登録されたLiCoO2 のピークとよく一致していた。続いて、このリチウム・コバルト複合酸化物を粉砕して平均粒子径が10μmの粉末状とし、正極活物質とした。
【0061】
次いで、このLiCoO2 95質量部と、Li2 CO3 粉末5質量部とを混合し、この混合物91質量部と、導電材としてグラファイト(ロンザ製 KS-15 )6質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。続いて、この正極合剤スラリーを厚み20μmの帯状のアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。そののち、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
【0062】
また、第1の構成元素としてスズを含む負極活物質を、メカノケミカル反応を利用して合成した。その際、実施例1−1〜1−27で表1〜6に示したように組成を変化させた。具体的には、実施例1−1〜1−21では、第2の構成元素をコバルト,鉄,マグネシウム,チタン,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,銅,亜鉛,ガリウム,ジルコニウム,ニオブ,モリブデン,銀,インジウム,セリウム,ハフニウム,タンタル,タングステンまたはビスマスと変化させ、第3の構成元素は炭素とした。実施例1−22〜1−24では、第2の構成元素はコバルトとし、第3の構成元素をホウ素,アルミニウムまたはリンと変化させた。実施例1−25〜1−27では、第2の構成元素をコバルト、第3の構成元素を炭素とし、更にそれらに加えて、他の構成元素を添加した。
【0063】
得られた負極活物質粉末について組成分析を行った。炭素の含有量は、炭素・硫黄分析装置により測定し、他の元素の含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析により測定した。得られた結果を表1〜6の負極活物質の欄に括弧書きで示す。なお、括弧内においてスラッシュで区切って示した数字は、上に記した元素の含有量(質量%)を順に対応して表している。
【0064】
次いで、得られた負極活物質粉末80質量部と、導電材としてグラファイト(ロンザ製 KS-15 )11質量部およびアセチレンブラック1質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン8質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。続いて、この負極合剤スラリーを厚み10μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、一定圧力で圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し負極22を作製した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。
【0065】
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、厚み25μmのポリプロピレン−ポリエチレン−ポリプロピレンからなる3層構造のセパレータ23(宇部興産製 UP3015 )を用意し、負極22,セパレータ23,正極21,セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻状に多数回巻回し、粘着テープを用いて巻き終わり部分を固定して巻回電極体20を作製した。
【0066】
巻回電極体20を作製したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解液を減圧方式により注入して、直径18mm、高さ65mmの円筒型の二次電池を作製した。電解液には、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン20質量%と、炭酸エチレン20質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiN(C2 5 SO2 2 と六フッ化リン酸リチウムとを0.5mol/lずつ混合し、全体で1mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
【0067】
各実施例1−1〜1−27に対する比較例1−1−1〜1−27−1として、電解質塩にLiN(C2 5 SO2 2 を用いず、六フッ化リン酸リチウムを1mol/lとなるように溶解させたことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。また、比較例1−1−2〜1−27−2として、溶媒に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いず、炭酸エチレン40質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合したことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。更に、比較例1−1−3〜1−27−3として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよびLiN(C2 5 SO2 2 を用いず、炭酸エチレン40質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを1mol/lとなるように溶解させたことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0068】
また、比較例1−28−1〜1−28−4として、負極活物質を人造黒鉛に代え、更に、比較例1−28−2〜1−28−4では、LiN(C2 5 SO2 2 または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いなかったことを除き、他は本実施例と同様にして二次電池を作製した。更に、比較例1−29−1〜1−29−4として、負極集電体22Aにリチウム金属箔よりなる負極活物質層22Bを設けた負極22を用い、更に、比較例1−29−2〜1−29−4では、LiN(C2 5 SO2 2 または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いなかったことを除き、他は本実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0069】
作製した実施例1−1〜1−27および比較例1−1−1〜1−29−4の二次電池について、25℃および50℃におけるサイクル特性を測定した。それらの結果を表1〜7に示す。なお、サイクル特性は、25℃または50℃において、それぞれ2500mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行ったのち、2000mAの定電流放電を終止電圧2.6Vまで行うという充放電を150サイクル行い、1サイクル目の放電容量を100とした場合の150サイクル目の放電容量維持率(%)を求めた。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
【表7】

【0077】
表1〜7に示したように、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよびLiN(C2 5 SO2 2 を共に用いた本実施例によれば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンのみを用いた比較例1−1−1〜1−27−1に比べて、25℃における放電容量維持率は同等であったものの、50℃における放電容量維持率は向上させることができた。また、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いなかった比較例1−1−2〜1−27−2と比較例1−1−3〜1−27−3とでは、LiN(C2 5 SO2 2 を添加してもしなくても、特性に差がなかった。
【0078】
これに対して、負極活物質を人造黒鉛とした比較例1−28−1〜1−28−4では、LiN(C2 5 SO2 2 の添加により50℃におけるサイクル特性の向上が見られるものの、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを添加してもしなくても特性に差がなく、相乗効果は見られなかった。負極活物質をリチウム金属とした比較例1−29−1〜1−29−4では、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンまたはLiN(C2 5 SO2 2 を添加することにより特性はそれぞれ向上するものの、それらを共に添加することによる相乗効果は見られなかった。
【0079】
すなわち、構成元素としてケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を含む負極活物質を用いる場合に、電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとLiN(C2 5 SO2 2 とを共に含有させるようにすれば、高温におけるサイクル特性を効果的に向上させることができることが分かった。
【0080】
また、実施例1−1〜1−27を比較すれば分かるように、スズとコバルトと炭素とを含むSnCoC含有材料を用いた実施例1−1,1−25〜1−27において、特に高い特性を得ることができた。すなわち、SnCoC含有材料を用いるようにすれば、より特性を向上させることができ、好ましいことが分かった。
【0081】
(実施例2−1〜2−6)
SnCoC含有材料の組成を変化させたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。作製した実施例2−1〜2−6のCoSnC含有材料についても、実施例1−1と同様にして組成の分析を行った。それらの結果を表8,9に示す。また、実施例1−1,2−1〜2−6のCoSnC含有材料についてX線回折を行ったところ、回折角2θ=20°〜50°の間に、回折角2θが1.0°以上の広い半値幅を有する回折ピークが観察された。更に、これらのCoSnC含有材料についてXPSを行ったところ、図5に示したようにピークP1が得られた。ピークP1を解析すると、表面汚染炭素のピークP2と、ピークP2よりも低エネルギー側にSnCoC含有材料中におけるC1sのピークP3とが得られた。このピークP3は、284.5eVよりも低い領域に得られた。すなわち、SnCoC含有材料中の炭素が他の元素と結合していることが確認された。
【0082】
また、作製した実施例2−1〜2−6の二次電池についても、実施例1−1と同様にして25℃および50℃におけるサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−1の結果と共に表8,9に示す。また、表9には25℃における1サイクル目の放電容量も合わせて示した。
【0083】
【表8】

【0084】
【表9】

【0085】
表8に示したように、炭素の含有量を増加させるに従い、放電容量維持率は25℃においても50℃においても共に向上し、極大値を示したのち低下する傾向が見られた。また、表9に示したように、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合Co/(Sn+Co)を増加させるに従い、放電容量維持率は向上するものの、放電容量は低下する傾向が見られた。すなわち、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合Co/(Sn+Co)が30質量%以上70質量%以下のSnCoC含有材料を用いるようにすれば、高い容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができ、好ましいことが分かった。
【0086】
(実施例3−1〜3−4)
負極22の構成を変えたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。その際、実施例3−1では、負極集電体22Aに電子ビーム蒸着によりケイ素よりなる負極活物質層22Bを形成したのち、加熱処理することにより負極22を作製した。実施例3−2では、負極集電体22Aにスパッタによりケイ素よりなる負極活物質層22Bを形成することにより負極22を作製した。実施例3−3では、平均粒径1μmのケイ素粉末90質量%と、結着材であるポリフッ化ビニリデン10質量%とを、分散媒に分散させて負極集電体22Aに塗布したのち、焼成することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製した。実施例3−4では、負極集電体22にめっきによりスズよりなる負極活物質層22Bを形成することにより負極22を作製した。
【0087】
各実施例3−1〜3−4に対する比較例3−1−1〜3−4−1として、電解質塩にLiN(C2 5 SO2 2 を用いず、六フッ化リン酸リチウムを1mol/lとなるように溶解させたことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。また、比較例3−1−2〜3−4−2として、溶媒に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いず、炭酸エチレン40質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合したことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。更に、比較例3−1−3〜3−4−3として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよびLiN(C2 5 SO2 2 を用いず、炭酸エチレン40質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを1mol/lとなるように溶解させたことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0088】
作製した実施例3−1〜3−4および比較例3−1−1〜3−4−3の二次電池についても、実施例1−1と同様にして25℃および50℃におけるサイクル特性を測定した。それらの結果を表10に示す。
【0089】
【表10】

【0090】
表10に示したように、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよびLiN(C2 5 SO2 2 を共に用いた本実施例によれば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンのみを用いた比較例3−1−1〜3−4−1に比べて、25℃における放電容量維持率は同等であったものの、50℃における放電容量維持率は向上させることができた。また、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いなかった比較例3−1−2〜3−4−2と比較例3−1−3〜3−4−3とでは、LiN(C2 5 SO2 2 を添加してもしなくても、特性に差がなかった。
【0091】
すなわち、構成元素としてケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を含む負極活物質を用いる場合であれば、負極22の構造に関係なく、同様の効果を得られることが分かった。
【0092】
(実施例4−1〜4−18)
溶媒の組成を変えたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。その際、実施例4−1〜4−9では、実施例1−1と同様に、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと炭酸エチレンと炭酸ジメチルとを混合した溶媒を用い、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと炭酸エチレンとの割合を表11に示したように変化させた。また、実施例4−10〜4−16では、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと炭酸ジメチルとを混合した溶媒を用い、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと炭酸ジメチルとの割合を表11に示したように変化させた。更に、実施例4−17,4−18では、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと炭酸プロピレンと炭酸ジメチルとを混合した溶媒を用い、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと炭酸プロピレンとの割合を表11に示したように変化させた。
【0093】
作製した実施例4−1〜4−18の二次電池についても、実施例1−1と同様にしてサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−1および比較例1−1−2の結果と共に表11に示す。
【0094】
【表11】

【0095】
表11に示したように、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量を増加させると放電容量維持率は向上し、極大値を示したのち低下する傾向が見られた。また、炭酸エチレンに代えて炭酸プロピレンを用いても、ほぼ同等の特性が得られた。すなわち、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量は0.1質量%以上80質量%以下の範囲内とすれば好ましく、1質量%以上80質量%以下の範囲内、更には、5質量%以上65質量%以下の範囲内とすればより好ましいことが分かった。
【0096】
(実施例5−1〜5−10)
イミド塩LiN(Cn 2n+1SO2 2 の含有量または種類を変えたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。その際、実施例5−1〜5−5では、電解質塩としてLiN(C2 5 SO2 2 と六フッ化リン酸リチウムとを用い、合計の含有量が1mol/lとなるようにそれぞれの含有量を表12に示したように変化させた。実施例5−6,5−7では、電解質塩としてLiN(C2 5 SO2 2 のみを用い、その含有量を表12に示したように変化させた。実施例5−8〜5−10では、イミド塩としてLiN(CF3 SO2 2 ,LiN(C3 7 SO2 2 またはLiN(C4 9 SO2 2 を用い、イミド塩の含有量を0.1mol/l、六フッ化リン酸リチウムの含有量を0.9mol/lとした。
【0097】
作製した実施例5−1〜5−10の二次電池についても、実施例1−1と同様にしてサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−1および比較例1−1−1の結果と共に表12に示す。
【0098】
【表12】

【0099】
表12に示したように、イミド塩の含有量を増加させると、50℃における放電容量維持率は向上し、極大値を示したのち低下する傾向が見られた。また、他のイミド塩を用いても、50℃における放電容量維持率を向上させることができた。すなわち、LiN(Cn 2n+1SO2 2 (nは1から4の整数である)で表されるイミド塩を用いるようにすれば、高温特性を向上させることができ、その電解液における含有量は0.01mol/l以上1.5mol/l以下の範囲内とすることが好ましいことが分かった。
【0100】
(実施例6−1〜6−4)
図3および図4に示した二次電池を作製した。まず、実施例1−1と同様にして正極33を作製した。導電材にはケッチェンブラック(ライオン製)を用いた。次いで、負極34を作製した。その際、実施例6−1〜6−4で負極34の構成を変化させた。実施例6−1では、実施例1−1と同様に、SnCoC含有材料を用いて負極34を作製した。導電材にはグラファイト(JFE スチール製 球晶黒鉛 MESOPHASE FINE CARBON ・ GRAPHITE POWDER)を用いた。実施例6−2では、実施例3−1と同様に、電子ビーム蒸着によりケイ素よりなる負極活物質層34Bを形成することにより負極34を作製した。実施例6−3では、実施例3−2と同様に、スパッタによりケイ素よりなる負極活物質層34Bを形成することにより負極34を作製した。実施例6−4では、実施例3−3と同様に、ケイ素粉末を用いて焼成することにより負極活物質層34Bを形成し、負極34を作製した。
【0101】
続いて、高分子化合物として、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体のうち重量平均分子量が70万のもの(A)と、31万のもの(B)とを、(A):(B)=9:1の質量比で混合したものを用意した。共重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの割合は7質量%とした。そののち、この高分子化合物と、電解液とを、混合溶剤を用いて混合して前駆溶液を作製した。電解液には、実施例1−1と同様に、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン20質量%と、炭酸エチレン20質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した溶媒に、LiN(C2 5 SO2 2 と六フッ化リン酸リチウムとを0.5mol/lずつ溶解させたものを用いた。
【0102】
次いで、作製した前駆溶液を、正極33および負極34のそれぞれにバーコーターを用いて塗布したのち、混合溶剤を揮発させてゲル状の電解質層36を形成した。そののち、正極33と負極34とを厚み16μmのポリエチレンからなるセパレータ35(東燃化学製 E16MMS )を介して積層し、平たく巻回して巻回電極体30を形成した。続いて、この巻回電極体30をラミネートフィルムよりなる外装部材40に減圧封入することにより二次電池を得た。
【0103】
各実施例6−1〜6−4に対する比較例6−1−1〜6−4−1として、電解質塩にLiN(C2 5 SO2 2 を用いず、六フッ化リン酸リチウムを1mol/lとなるように溶解させたことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。また、比較例6−1−2〜6−4−2として、溶媒に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いず、炭酸エチレン40質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合したことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。更に、比較例6−1−3〜6−4−3として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよびLiN(C2 5 SO2 2 を用いず、炭酸エチレン40質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを1mol/lとなるように溶解させたことを除き、他は各実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0104】
作製した実施例6−1〜6−4および比較例6−1−1〜6−4−3の二次電池について、25℃および50℃におけるサイクル特性を測定した。それらの結果を表13に示す。なお、サイクル特性は、25℃または50℃において、830mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行ったのち、660mAの定電流放電を終止電圧2.6Vまで行うという充放電を150サイクル行い、1サイクル目の放電容量を100とした場合の150サイクル目の放電容量維持率(%)を求めた。
【0105】
【表13】

【0106】
表13に示したように、実施例1−1,3−1〜3−3と同様の結果が得られた。すなわち、電解液を高分子化合物に保持させるようにしても、同様の効果を得られることが分かった。
【0107】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、電解質として電解液または電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質を用いる場合についても説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、イオン伝導性セラミックス,イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などのイオン伝導性無機化合物と電解液とを混合したもの、または他の無機化合物と電解液とを混合したもの、またはこれらの無機化合物とゲル状電解質とを混合したものが挙げられる。
【0108】
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる電池について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができる。その際、負極には、上記実施の形態で説明した負極活物質、例えばスズまたはケイ素を構成元素として含むものを同様にして用いることができる。
【0109】
更に、上記実施の形態または実施例では、円筒型あるいはラミネートフィルム型の二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明はコイン型、ボタン型、あるいは角型などの他の形状を有する二次電池、または積層構造などの他の構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。また、本発明は、二次電池に限らず、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図4】図3に示した巻回電極体のI−I線に沿った構成を表す断面図である。
【図5】実施例で作製したCoSnC含有材料に係るX線光電子分光法により得られたピークの一例を表すものである。
【符号の説明】
【0111】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極と共に電解液を備えた電池であって、
前記負極は、構成元素としてケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも一方を含む負極活物質を含有し、
前記電解液は、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含む溶媒と、LiN(Cn 2n+1SO2 2 (nは1から4の整数である)で表されるイミド塩とを含有する
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記負極は、第1の構成元素であるスズと、第2の構成元素と、第3の構成元素とを含む負極活物質を含有し、
前記第2の構成元素は、コバルト(Co),鉄(Fe),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),マンガン(Mn),ニッケル(Ni),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),銀(Ag),インジウム(In),セリウム(Ce),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta),タングステン(W),ビスマス(Bi)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種であり、
前記第3の構成元素は、ホウ素(B),炭素(C),アルミニウム(Al)およびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記負極は、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下である負極活物質を含有する
ことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項4】
前記負極は、前記負極活物質を含む負極活物質層と、この負極活物質層が設けられた負極集電体とを有し、
前記負極活物質層と前記負極集電体とは界面の少なくとも一部において合金化している
ことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項5】
前記負極は、前記負極活物質を含む負極活物質層と、この負極活物質層が設けられた負極集電体とを有し、
前記負極活物質層は、気相法,液相法および焼成法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された
ことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項6】
前記溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量は、0.1質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項7】
前記電解液における前記イミド塩の含有量は、0.01mol/l以上1.5mol/l以下であることを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項8】
前記電解液は、更に、六フッ化リン酸リチウムを含有することを特徴とする請求項1記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−294375(P2006−294375A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112054(P2005−112054)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】