説明

電波伝搬解析装置

【課題】電波受信ノードが数多く存在しても効率的に電波伝搬解析を行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】位置情報取得部11は、電波送信ノードと複数の電波受信ノードの位置情報を取得する。電波伝搬解析部12は電波送信ノードと電波受信ノードの間の電波伝搬解析を行う。その際、電波伝搬解析部12は、全ての電波受信ノードに対して同じ解析方法で電波伝搬解析を行うのではなく、電波受信ノードごとに電波伝搬解析の解析方法を異ならせることができる。例えば、高精度な電波伝搬解析が必要な電波受信ノードに対しては高精度な電波伝搬解析を行い、該電波受信ノード以外の電波受信ノードに対しては簡易な電波伝搬解析を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波送信ノードと複数の電波受信ノードとの間の電波伝搬解析を行う電波伝搬解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両相互情報通信、携帯電話、無線LANなどの無線ネットワーク技術は、その有用性により、利用分野が広がってきている。
【0003】
一般に、送信アンテナなどの電波の送信点から放たれた電波は、送信点を中心に放射線状に直進する。しかし、その先に障害物(建物、車両など)がある場合には、電波は障害物に反射、透過、回折し、様々な方向へ広がり、減衰していく。
【0004】
上述したような電波伝搬特性(反射、透過、回折など)は、無線ネットワークシステムのデータ通信性能に大きく影響を与える。そのため、車両相互情報通信、携帯電話、無線LANなどの無線ネットワーク技術を含む製品を、製造・販売する際には、その製造・販売の前段階として、電波が対象空間内でどのように伝搬するか、どこまで電波が行き届き得るのかなどを調べておく必要がある。
【0005】
そのような電波伝搬特性は、実験装置や試作機を用いて測定すると、大規模な装置が必要であったり、多大な労力・コストが必要になったりするため、現在ではコンピュータシミュレーションにより解析(電波伝搬解析)する手法が数多く利用されている。
【0006】
そのような解析手法として、電磁界解析手法や幾何光学的手法がある。
【0007】
電磁界解析手法は、Maxwellの電磁界方程式を例えばFDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いて解き、その結果により電界強度分布を推定するというものである。しかし、この手法は解析対象モデルの寸法に比べて波長が短くなるUHF帯以上の周波数帯では演算量が膨大になってしまうというものである。
【0008】
幾何光学的手法(レイトレーシング法)は、電波を幾何光学的な光線と仮定し、送信点から送信され受信点に到達する光線の軌跡情報から電界強度を計算するものである。軌跡の導出方法は、鏡像点法(イメージング法)とレイラウンチング法の2つに大別できる。
【0009】
鏡像点法は、送信点、受信点及び全ての反射面の組み合わせから反射点を導出し、光線の軌跡を求めるものであり、光線の軌跡を厳密に求めることができる。しかし、演算量は反射面数の反射回数のべき乗に比例するため解析構造物の形状が複雑である場合には膨大となる。
【0010】
レイラウンチング法は、送信点から送信角度間隔ごとに離散的に光線を発射して、その軌跡を逐次追跡して、受信点の回りに定義された受信空間に到達した光線の各々に対して、距離損失、偏波による損失、反射損失などの伝搬損失から複素受信レベルを導出し、各々の光線を位相合成することで受信レベルを導出するものである。よって、計算処理量は反射面数に比例するため、解析構造物の形状が複雑である場合でも鏡像点法と比較して小さい。しかし、受信点を受信空間で定義するため、厳密に光線の軌跡を導出できる鏡像点法と比較して精度は悪い。
【0011】
上記電波伝搬解析の従来技術として、特許文献1では、複数の光線情報を導出後、空間を複数に分割し、分割された空間のうち受信空間の存在する空間の光線情報のみを読み出して使用する電波伝搬解析方法が開示されている。
【0012】
特許文献2では、第1送信角度で送信された複数の主光線のうち、第1受信空間に到達する到達主光線を特定し、該到達主光線近傍へ、第1送信角度よりも小さい角度間隔で複数の副光線を送信し、第2受信空間に到達する到達副光線を特定する電波伝搬解析方法が開示されている。
【0013】
特許文献3では、送信点から受信領域(受信点から所定の広さの領域)までの電波伝搬経路をレイラウンチング法により求め、該電波伝搬経路中に存在する物体面のみに電波が反射するものとして、送信点から受信点までの電波伝搬経路をイメージング法により求める電波伝搬の推定プログラムが開示されている。
【0014】
この種の解析手法は、複数の電波受信ノードがある場合、高精度な解析手法を用いると非常に長い処理時間が必要になり、簡易な解析手法を用いると処理時間は短くなるものの解析精度が悪くなってしまうという問題がある。そのため、電波受信ノードが数多く存在しても効率的に電波伝搬解析を行うことのできる技術が望まれている。
【特許文献1】特開2001−136130号公報
【特許文献2】特開2001−133494号公報
【特許文献3】特開2006−287685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電波受信ノードが数多く存在しても効率的に電波伝搬解析を行うことのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。
【0017】
本発明に係る電波伝搬解析装置は、電波送信ノードと複数の電波受信ノードとの間の電波伝搬解析を行う電波伝搬解析装置であって、電波送信ノードと複数の電波受信ノードの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記電波送信ノードと前記電波受信ノードの間の電波伝搬解析を行う電波伝搬解析手段と、を備え、前記電波伝搬解析手段は、複数の解析手法から電波伝搬解析に用いる解析手法を選択することができ、電波受信ノードごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが可能である。
【0018】
本発明に係る電波伝搬解析装置では、電波受信ノードごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることができる。これにより、例えば、高精度な解析が必要な電波受信ノードには高精度な解析手法を用い、高精度な解析が必要ではない電波受信ノードには簡易な解析手法を用いることができるため、電波受信ノードが数多く存在しても効率的な電波伝搬解析が図れる。
【0019】
前記電波伝搬解析手段は、前記複数の電波受信ノードの中から特定された特定電波受信ノードと、該特定電波受信ノード以外の電波受信ノードとで前記電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが好ましい。例えば、高精度な解析が必要な電波受信ノードを特定し(特定された電波受信ノードを特定電波受信ノードと呼ぶ)、該特定電波受信ノードには高精度な解析手法を用い、該特定電波受信ノード以外の電波受信ノードには簡易な解析手法を用いればよい。これにより、電波受信ノードが数多く存在しても効率的な電波伝搬解析
が図れる。
【0020】
前記電波伝搬解析手段は、前記電波送信ノードと前記電波受信ノード間の距離に応じて前記電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが好ましい。例えば、電波送信ノードからの距離が近い電波受信ノードほど電波が与える影響がどのようなものかを詳細に把握しなくてはいけない場合がある(例えば、自動車におけるプリクラッシュセーフティーシステムなどの製品をシミュレートする場合など)。この場合、電波送信ノードからの距離が近い電波受信ノードには高精度な解析手法を用い、電波送信ノードからの距離が遠い電波受信ノードには簡易な解析手法を用いることにより、電波受信ノードが数多く存在しても効率的な電波伝搬解析が図れる。
【0021】
前記電波伝搬解析手段は、解析対象とするエリアの一部である部分エリア内の電波受信ノードと該部分エリア外の電波受信ノードとで前記電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが好ましい。これにより、高精度な解析が必要な領域と簡易な解析で十分な領域とを分けることができる。そして、部分エリアごとに解析手法を異ならせることにより、ユーザは容易に解析手法を異ならせることができ、且つ、電波受信ノードが数多く存在しても効率的な電波伝搬解析が図れる。
【0022】
前記電波伝搬解析手段は、解析対象とするエリアの一部である部分エリアごとに、その部分エリアの代表ノードについてのみ電波伝搬解析を行い、該電波伝搬解析の結果を該部分エリア内の全ての電波受信ノードの夫々に対する電波伝搬解析の結果とみなすことが好ましい。例えば、電波伝搬解析が低精度(簡易)である場合、互いの距離が近い複数の電波受信ノードでは、夫々に対する電波伝搬解析の結果に大きな差は生じない。そこで、部分エリア内に存在する複数の電波受信ノードのうちの1つ、又は、複数の電波受信ノードの中心位置、部分エリアの中心位置などにおける仮想の電波受信ノードを代表ノードとする。そして、該部分エリアについては、該代表ノードに対してのみ電波伝搬解析を行う。換言すれば、高精度な電波伝搬解析が必要な電波受信ノードに対しては、1対1(電波送信ノード対電波受信ノード)の電波伝搬解析を行い、それ以外の電波受信ノードに対しては、1対複数の電波伝搬解析を行うのである。そして、その結果を、該部分エリア内の複数の電波受信ノードの夫々に対する電波伝搬解析結果とみなすことにより、全ての電波受信ノードの夫々に対して電波伝搬解析を行うのに比べ、効率的な電波伝搬解析が図れる(これは、用いる解析手法が同じであっても、実質的に、電波伝搬解析の解析手法を異ならせていることになる)。
【0023】
前記複数の解析手法は、夫々、解析アルゴリズムが異なることが好ましい。例えば、高精度な電波伝搬解析が必要な電波受信ノードには高精度な電波伝搬解析アルゴリズムを用い、該電波受信ノード以外の電波受信ノードには簡易な電波伝搬解析アルゴリズムを用いればよい。これにより、全ての電波受信ノードに対して高精度な電波伝搬解析アルゴリズムを用いるよりも効率的な、且つ、全ての電波受信ノードに対して簡易な電波伝搬解析アルゴリズムを用いるよりも高精度な電波伝搬解析が図れる。
【0024】
前記複数の解析手法は、夫々、解析パラメータが異なることが好ましい。例えば、高精度な電波伝搬解析が必要な電波受信ノードには解析パラメータを詳細に設定し、該電波受信ノード以外の電波受信ノードには大雑把な解析パラメータを設定すればよい。これにより、全ての電波受信ノードに対して詳細な解析パラメータを設定するよりも効率的な、且つ、全ての電波受信ノードに対して大雑把な解析パラメータを設定するよりも高精度な電波伝搬解析が図れる。
【0025】
また、本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する電波伝搬解析装置として捉えてもよいし、上記処理の少なくとも一部を含む電波伝搬解析方法、または、かかる方法を実現
するための電波伝搬解析プログラムやそのプログラムを記憶した記憶媒体として捉えることもできる。なお、上記手段及び処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電波伝搬解析装置では、電波受信ノードごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることができる。これにより、例えば、高精度な解析が必要な電波受信ノードには高精度な解析手法を用い、高精度な解析が必要ではない電波受信ノードには簡易な解析手法を用いることができるため、電波受信ノードが数多く存在しても効率的な電波伝搬解析が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0028】
<装置構成>
図1は、本発明の実施形態に係る電波伝搬解析装置の機能構成を示すブロック図である。この電波伝搬解析装置は、電波送信ノードと複数の電波受信ノードとの間の電波伝搬解析(電波伝搬のシミュレーション)を行う装置であり、例えば、車両相互情報通信機能を搭載した車両を製品化するために、その機能が正常に動作するかどうかをシミュレートする(電波伝搬特性を調べる)ためなどに用いられる。本実施形態では、電波送信ノードと電波受信ノードが車両(電波送信車両、電波受信車両)の場合について説明する。なお、この電波伝搬解析装置は、車両間における電波伝搬特性に限らず、通信端末を所持する人間と通信機能を搭載した車両との間など、様々な電波送信ノードと電波受信ノードの間の電波伝搬特性を調べるために用いることができる。
【0029】
電波伝搬解析装置は、図1に示す複数の機能要素、すなわち、位置情報取得部11、電波伝搬解析部12、結果記憶部13、表示部14を備えている。本実施形態では、これらの機能要素は、コンピュータの演算処理装置がソフトウエア(プログラム)を実行し、必要に応じてハードディスク、メモリ、ディスプレイなどのハードウエア資源を制御することで実現される。ただし、これらの機能要素を専用のチップで構成しても構わない。
【0030】
位置情報取得部11は、電波送信車両と複数の電波受信車両の位置の情報(位置情報)を取得する機能である。なお、位置情報取得部11は、ユーザに位置情報の入力を要求し、入力された情報を取得してもよいし、位置情報を予めハードディスクなどの記憶装置に記憶させておき、該記憶装置から位置情報を取得してもよい。更に、本実施形態の位置情報取得部11は、電波送信車両及び電波受信車両の位置情報以外に、それらの大きさ及び速度の情報、道路情報(道路の位置、形状(直線、曲線など)、幅など)、及び、障害物の情報(建物の位置及び大きさなど)など、解析に必要なパラメータの情報(パラメータ情報)も取得する(なお、それらの情報は2次元の情報でもよいし、3次元の情報でもよい)。なお、パラメータ情報は、位置情報取得部11で取得しなくてもよい。電波伝搬解析装置に、該情報を取得する他の機能を備え、個別に取得してもよい。
【0031】
電波伝搬解析部12は、電波送信車両と電波受信車両の間の電波伝搬解析を行う機能である。電波伝搬解析部12による電波伝搬解析は、電磁界解析手法、幾何光学的解析手法、統計式を利用した手法(奥村−秦カーブ、坂上式、池上式などを用いた手法)など、既存の電波伝搬解析のどのような技術が適用されてもよい(他の特許文献に記載された手法も含む)。
【0032】
一般に、高精度な電波伝搬解析は、演算量も多く、長い処理時間を要する。一方、短い処理時間で行うことのできる電波伝搬解析(簡易な電波伝搬解析)は、演算量も少ないが
、解析精度が低い。そのため、高精度な電波伝搬解析を行う場合、複数の電波受信ノードが存在すると、非常に長い処理時間を要することになり、簡易な電波伝搬解析を行うと、解析精度が低いため、信頼性が低くなってしまう。
【0033】
そこで、本実施形態の電波伝搬解析部12は、複数の解析手法から電波伝搬解析に用いる解析手法を選択することができ、電波受信車両ごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることを可能とした。電波受信車両ごとに解析手法を異ならせるためには、例えば、解析アルゴリズム、解析パラメータなどを異ならせればよい。具体的には、高精度な電波伝搬解析が必要な電波受信車両には高精度な解析アルゴリズム(又は解析パラメータなど)を用いればよいし、それ以外の電波受信車両には、簡易な解析アルゴリズム(又は解析パラメータなど)を用いればよい。解析パラメータは、解析に必要なパラメータのことであり、例えば、空間分解能、時間分解能、障害物の形状などである(また、レイラウンチング法を用いる場合では、光線の送信角度間隔などを解析パラメータとしてもよい)。
【0034】
これにより(電波受信車両ごとに解析手法を異ならせることにより)、電波受信車両ごとに処理時間を異ならせることや、電波受信車両ごとに演算量を異ならせること、電波受信車両ごとに解析精度を異ならせることなどが可能となる。解析手法選択処理(電波受信車両ごとに解析手法を異ならせる手法)については、後で詳しく説明する。
【0035】
結果記憶部13は、電波伝搬解析部12から出力された結果を記憶する記憶装置である。この記憶装置としては、不揮発性メモリやハードディスクなど、どのような具体的技術が適用されてもよい。なお、電波伝搬解析の結果は、電波の受信電界強度、電波経路、電波の遅延情報などである。
【0036】
表示部14としては、液晶ディスプレイなど、どのような具体的技術が適用されてもよい。
【0037】
<電波伝搬解析機能>
図2のフローチャートに沿って、電波伝搬解析装置の機能及び処理の流れを説明する。
【0038】
電波伝搬解析処理が起動すると、位置情報取得部11が、位置情報及びパラメータ情報(電波送信車両及び電波受信車両の大きさ及び速度、道路情報、及び、障害物の情報)を取得する(ステップS11)。なお、必要に応じて、ユーザは、該位置情報及びパラメータ情報を表示部14で確認することができる。
【0039】
本実施形態における位置情報の一例を図3に示す。図3の位置情報は、1台の電波送信車両31、13台の電波受信車両32、14戸の建物33、2本の道路34の情報を含んでいる。
【0040】
次に、電波伝搬解析部12が、電波送信車両と電波受信車両の間の電波伝搬解析を行う(ステップS12)。その際、電波伝搬解析部12は、電波受信車両ごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが可能である。
【0041】
そして、ステップS12の結果が、結果記憶部13に格納される(ステップS13)。ユーザは、格納された結果を表示部14で確認することができる。
【0042】
<解析手法選択処理>
上述したように、複数の電波受信車両の夫々に対する電波伝搬解析は、高精度な解析手法を用いると非常に長い処理時間を要し、簡易な解析手法を用いると、処理時間は短くなるものの、解析精度が悪くなってしまう。しかし、実際には、複数の電波受信車両の内、
高精度な電波伝搬解析が必要な電波受信車両は限られており、全ての電波受信車両の夫々について高精度な解析手法を用いなくてはならない場合というのはほとんど無い。そこで、本実施形態では、電波受信車両ごとに解析手法を異ならせる(解析手法選択処理)ことによって、目的の精度を保ちつつ、効率的な電波伝搬解析を行う。
【0043】
図4〜7のフローチャートに沿って、解析手法選択処理(ステップS12の一処理)の具体例(解析手法選択処理1〜4)について、詳しく説明する。なお、ステップS12には、以下に説明する解析手法選択処理1〜4のどの手法を用いてもよいし、それらを組み合わせた手法を用いてもよい。なお、解析手法選択処理の手法は、電波伝搬解析装置が自動で選択してもよいし、ユーザが目的に応じて選択してもよい。
【0044】
<解析手法選択処理1>
解析手法選択処理1では、複数の電波受信車両のうち、少なくとも1つを特定し、特定された電波受信車両(特定電波受信車両)と、該特定電波受信車両以外の電波受信車両とで、解析手法を異ならせる。なお、この処理の手法は、特別な電波受信車両(他の電波受信車両に比べ高精度な電波伝搬解析が必要な電波受信車両、又は、簡易な電波伝搬解析で十分な電波受信車両)が少数存在する場合に有効である。
【0045】
特定電波受信車両は、例えば、位置情報取得部11が、ユーザに特定電波受信車両を特定するための情報の入力を要求し、該情報を取得することにより特定してもよいし、該情報をハードディスクなどの記憶装置に記憶させておき、該記憶装置から該情報を取得することよって特定してもよい(なお、該情報を取得するのは、位置情報取得部11でなくてもよい。電波伝搬解析装置に、該情報を取得する他の機能を備えてもよい。)。特定電波受信車両を特定するための情報は、特定電波受信車両の識別子、位置、電波送信車両からの距離など、特定電波受信車両を特定できるものであればどのような情報でもよい。
【0046】
また、特定電波受信車両は、道路情報などに基づいて電波伝搬解析装置が特定してもよい。
【0047】
例えば、交通事故防止システムのシミュレーションの場合、電波送信車両に対して交通事故を引き起こしそうな位置関係にある電波受信車両を、位置情報、パラメータ情報などに基づいて特定してもよい。具体的には、電波送信車両が交差点付近にいる場合に、同じ交差点付近にいる電波受信車両が交通事故を引き起こしそうな位置関係にいるか否かを、互いの速度などに基づいて判定する。そして、交通事故を引き起こしそうな位置関係にいると判断された場合に、該電波受信車両を特定電波受信車両とすればよい。
【0048】
もう一つの例としては、電波送信車両がユニキャスト通信やマルチキャスト通信を行うことを想定したシミュレーションの場合に、通信相手車両である電波受信車両を特定電波受信車両としてもよい。
【0049】
なお、本実施形態では、特定電波受信車両に対して高精度な解析手法を用い、それ以外の電波受信車両に対しては簡易な解析手法を用いる。
【0050】
図8は本実施形態における解析対象の一例を示す図である(同一のものについては同じ符号を付けている)。図8の例は、複数の電波受信車両82のうち1つが、特定電波受信車両81として特定された場合を示している。
【0051】
図4のフローチャートは、解析手法選択処理1の一具体例を示したものである。
【0052】
まず、電波伝搬解析部12が、複数の電波受信車両のうち1つを選択する(ステップS
21)。
【0053】
そして、電波伝搬解析部12が、ステップS21で選択された電波受信車両が特定電波受信車両であるか否かを判定する(ステップS22)。選択された電波受信車両が特定電波受信車両である場合(ステップS22;YES)、該電波受信車両に対し高精度な電波伝搬解析を行い(ステップS23)、ステップS25に進む。選択された電波受信車両が特定電波受信車両でない場合(ステップS22;NO)、該電波受信車両に対し簡易な電波伝搬解析を行い(ステップS24)、ステップS25に進む。
【0054】
ステップS25では、電波伝搬解析部12が、他の電波受信車両があるか否かを判定する。他の電波受信車両がある場合(ステップS25;YES)、その電波受信車両を選択し(ステップS21)、他の電波受信車両が無くなるまで、ステップS21〜ステップS25の工程を繰り返す。全ての電波受信車両に対して電波伝搬解析が行われたら(ステップS25;NO)、当該解析手法選択処理1を終了する。
【0055】
以上述べたように、本実施形態における電波伝搬解析は、解析手法選択処理1の手法により、特定電波受信車両に対する電波伝搬解析と、該特定電波受信車両以外の電波受信車両に対する電波伝搬解析とで、電波伝搬解析の解析手法を異ならせることができる(図8の例では、電波受信車両81に対してのみ高精度な解析手法が用いられ、それ以外の電波受信車両82に対しては簡易な解析手法が用いられる)。それにより、全ての電波受信車両に対して高精度な解析手法を用いるよりも効率的な、且つ、全ての電波受信車両に対して簡易な解析手法を用いるよりも高精度な電波伝搬解析が図れる。
【0056】
<解析手法選択処理2>
解析手法選択処理2では、電波送信車両と電波受信車両間の距離に応じて電波伝搬解析の解析手法を異ならせる。プリクラッシュセーフティーシステムなどの交通事故防止のためのシステムをシミュレートする場合などでは、電波受信車両からの距離に応じて解析の重要度が異なる。この処理の方法は、そのような場合に有効であり、例えば、電波送信車両からの距離が近い電波受信車両ほど高精度な解析手法を用いるようにすることや、電波送信車両からの距離が遠い電波受信車両ほど高精度な解析手法を用いるようにすること、電波送信車両からの距離が或る距離付近の場合に高精度な解析手法を用いるようにすることなどが可能となる。なお、電波送信車両と電波受信車両間の距離は、直線距離でもよいし、道路情報に基づいて経路を探索し、探索された経路の距離としてもよいし、その解析手法を用いる距離の範囲を方向によって異ならせてもよい。
【0057】
本実施形態では、電波伝搬解析部12に、電波送信車両と電波受信車両間の距離が距離La未満の場合、高精度な解析手法を用い、電波送信車両と電波受信車両間の距離が距離La以上、距離Lb未満の場合、標準的な解析手法を用い、電波送信車両と電波受信車両間の距離が距離Lb以上の場合、簡易な解析手法を用いるという情報が予め設定してある。なお、上記情報は、距離に応じて解析手法を異ならせることができる情報であればどのようなものであってもよい。例えば、距離を変数とするような関数の値によって解析手法を決定してもよい。更に、該情報は、予め設定するのではなく、電波伝搬解析装置に該情報を取得する機能を備えてもよいし、位置情報取得部11で取得してもよい。その場合には、該機能が、ユーザに該情報の入力を要求し、入力された情報を取得してもよいし、該情報をハードディスクなどの記憶装置に予め記憶させておき、該記憶装置から取得してもよい。
【0058】
図5のフローチャートは、解析手法選択処理2の一具体例を示したものである。
【0059】
まず、電波伝搬解析部12が、複数の電波受信車両のうち1つを選択する(ステップS
31)。
【0060】
次に、電波伝搬解析部12が、電波送信車両とステップS31で選択された電波受信車両との距離を計算する(ステップS32)。図9は、本実施形態における解析対象の一例を示す図である(同一のものについては同じ符号を付けている)。図9の例では、図3における複数の電波受信車両32のうち、5つの電波受信車両91の夫々と電波送信車両31との距離が距離La未満であり、3つの電波受信車両92の夫々と電波送信車両31との距離が距離La以上、距離Lb未満であり、5つの電波受信車両93の夫々と電波送信車両31との距離が距離Lb以上である場合を示している。
【0061】
そして、電波伝搬解析部12が、ステップS32で計算された距離に応じて、該電波受信車両に対する電波伝搬解析の解析手法を選択する(ステップS33)。本実施形態では、電波送信車両と電波受信車両間の距離<距離Laの場合、高精度な解析手法を選択し(ステップS34)、距離La≦電波送信車両と電波受信車両間の距離<距離Lbの場合、標準的な解析手法を選択し(ステップS35)、距離Lb≦電波送信車両と電波受信車両間の距離の場合、簡易な解析手法を選択する(ステップS36)。図9の例では、ステップS31で電波受信車両91が選択された場合、高精度な解析手法が選択され、電波受信車両92が選択された場合、標準的な解析手法が選択され、電波受信車両93が選択された場合、簡易な解析手法が選択される。
【0062】
次に、電波伝搬解析部12が、ステップS33で選択された解析手法を用いて電波伝搬解析を行う(ステップS37)。
【0063】
ステップS31で選択された電波受信車両に対する電波伝搬解析が終わったら(ステップS37の次に)、電波伝搬解析部12が、他の電波受信車両があるか否かを判定する(ステップS38)。他の電波受信車両がある場合(ステップS38;YES)、その電波受信車両を選択し(ステップS31)、他の電波受信車両が無くなるまで、ステップS31〜ステップS38の工程を繰り返す。全ての電波受信車両に対して電波伝搬解析が行われたら(ステップS38;NO)、当該解析手法選択処理2を終了する。
【0064】
以上述べたように、本実施形態における電波伝搬解析は、解析手法選択処理2の手法により、電波送信車両と電波受信車両間の距離に応じて電波伝搬解析の解析手法を異ならせることができる。それにより、全ての電波受信車両に対して高精度な解析手法を用いるよりも効率的な、且つ、全ての電波受信車両に対して簡易な解析手法を用いるよりも高精度な電波伝搬解析が図れる。
【0065】
なお、本実施形態では、3つの距離の範囲を設定し、夫々の範囲に異なる解析手法を設定しているが、距離の範囲の数はいくつであってもよいし、異なる範囲に同じ解析手法が設定してあってもよい。
【0066】
<解析手法選択処理3>
解析手法選択処理3では、部分エリア内の電波受信車両と該部分エリア外の電波受信車両とで解析手法を異ならせる(部分エリアとは、解析対象とするエリアの一部のエリアのことである。なお、本実施形態では車両間の電波伝搬解析を例にしているため、部分エリアは道路を含む領域、又は、道路の一部であることが好ましい。つまり、本実施形態における部分エリアは、道路情報などに基づいて選択することが好ましい。)。なお、この処理の手法は、電波伝搬解析に用いる解析手法が領域ごとに予め決まっている場合などに有効である。
【0067】
図10は本実施形態における解析対象の一例を示す図である。本実施形態では、図10
に示す部分エリア101の情報と、その部分エリア内の電波受信車両に用いる解析手法(本実施形態では、部分エリア101に高精度な解析手法を用いる)と、部分エリア外の電波受信車両に用いる解析手法(本実施形態では簡易な解析手法)との情報が予め設定してあるとする(それらの情報を解析情報と呼ぶ)。部分エリアの情報は、部分エリアの頂点の位置、中心位置とその半径など、対象とするエリアの部分的な領域を表せる情報であればどのようなものでもよい。なお、本実施形態では、1つの部分エリアしか設定していないが、部分エリアの数はいくつであってもよい。その場合、部分エリアごとに解析手法を異ならせてもよい。なお、部分エリア外の電波受信車両については、部分エリアの数に関係なく、電波受信車両ごとに解析手法を異ならせてもよい。
【0068】
なお、解析情報は、予め設定するのではなく、電波伝搬解析装置に該情報を取得する機能を備えてもよいし、位置情報取得部11で取得してもよい。その場合には、解析情報を取得する機能が、ユーザに該情報の入力を要求し、入力された解析情報を取得してもよいし、解析情報をハードディスクなどの記憶装置に予め記憶させておき、該記憶装置から取得してもよい。
【0069】
なお、解析情報は、設定や取得などではなく、電波伝搬解析装置が、位置情報、パラメータ情報などに基づいて決定してもよい。例えば、交通事故防止システムのシミュレーションの場合、電波送信車両が交通事故にあう可能性が高い領域、交通事故にあう可能性が低い領域などを、位置情報、パラメータ情報などに基づいて検出し、該領域を部分エリアとしてもよい。具体的には、電波送信車両が交差点付近にいる場合に、該交差点付近は交通事故が発生しやすい状況か否かを、位置情報、パラメータ情報などに基づいて判定する。そして、交通事故が発生しやすいと判断された場合に、該交差点付近の領域(交差点の中心を中心位置として或る大きさだけ広がりを持つような領域など)を部分エリアとすればよい。そのような場合には、交通事故にあう可能性が高い領域は高精度な解析が必要であると考えられるため、そのような部分エリアには高精度な解析手法を設定し、その部分エリア以外の部分エリア(又は、部分エリアに属さない電波受信車両)には、簡易な解析手法を設定するようにすればよい。
【0070】
図10の例は、図3における複数の電波受信車両32のうち、6つの電波受信車両102が部分エリア101に属し、7つの電波受信車両103が部分エリアに属さない場合を示している。
【0071】
図6のフローチャートは、解析手法選択処理3の一具体例を示したものである。
【0072】
まず、電波伝搬解析部12が、複数の電波受信車両のうち1つを選択する(ステップS41)。
【0073】
そして、電波伝搬解析部12は、ステップS41で選択された電波受信車両が、どの部分エリアに属するのか(部分エリアに属さないのか)、を判定し、解析手法を選択する(ステップS42)。本実施形態では、電波受信車両が部分エリア101に属する場合、高精度な解析手法を選択し(ステップS43)、部分エリアに属さない場合、簡易な解析手法を選択する(ステップS44)。
【0074】
次に、電波伝搬解析部12が、ステップS42で選択された解析手法を用いて電波伝搬解析を行う(ステップS45)。
【0075】
ステップS41で選択された電波受信車両に対する電波伝搬解析が終わったら(ステップS45の次に)、電波伝搬解析部12が、他の電波受信車両があるか否かを判定する(ステップS46)。他の電波受信車両がある場合(ステップS46;YES)、その電波
受信車両を選択し(ステップS41)、他の電波受信車両が無くなるまで、ステップS41〜ステップS46の工程を繰り返す。全ての電波受信車両に対して電波伝搬解析が行われたら(ステップS46;NO)、当該解析手法選択処理3を終了する。
【0076】
以上述べたように、本実施形態における電波伝搬解析は、解析手法選択処理3の手法により、部分エリアを考え、部分エリア内の電波受信車両に対する電波伝搬解析と、部分エリア外の電波受信車両に対する電波伝搬解析とで、電波伝搬解析の解析手法を異ならせることができる。それにより、全ての電波受信車両に対して高精度な解析手法を用いるよりも効率的な、且つ、全ての電波受信車両に対して簡易な解析手法を用いるよりも高精度な電波伝搬解析が図れる。
【0077】
<解析手法選択処理4>
解析手法選択処理4では、部分エリアごとに、その部分エリアの代表車両についてのみ電波伝搬解析を行う。そして、該電波伝搬解析の結果を該部分エリア内の全ての電波受信車両の夫々に対する電波伝搬解析の結果とみなす。これにより、該部分エリアの代表車両以外の電波受信車両に対する電波伝搬解析を省略することができる。なお、この処理の手法は、複数の電波受信車両が互いに近い距離に存在し、夫々の解析結果がほぼ同一となることが予想される場合や、夫々の電波受信車両に対して高精度な電波伝搬解析が必要で無い場合などに有効である。
【0078】
代表車両とは、例えば、図11に示す部分エリア111内の複数の電波受信車両112のうちの1つ(図11の代表車両113)のことである。また、部分エリア111内の複数の電波受信車両の中心位置における仮想の電波受信車両(図11の代表車両114)を代表車両としてもよい。また、部分エリア111の中心位置などにおける仮想の電波受信車両(図11の代表車両115)などを代表車両としてもよい。
【0079】
図12は本実施形態における解析対象の一例を示す図である。本実施形態では、図12に示す部分エリア121及び部分エリア122の情報が予め設定してあるとする(本実施形態では、交差点付近の電波受信車両に対しては高精度な電波伝搬解析が必要であるとし、交差点から離れた位置に部分エリアを設けている。)。なお、本実施形態では解析手法について詳しく述べていないが、全ての電波伝搬解析について同じ解析手法を用いてもよいし、代表車両ごとや、部分エリア外の電波受信車両ごとに異ならせてもよい。
【0080】
また、図12の例は、図3における複数の電波受信車両32のうち、4つの電波受信車両123が部分エリア121に属し、3つの電波受信車両124が部分エリア122に属し、6つの電波受信車両125が部分エリアに属さない場合を示している。
【0081】
図7のフローチャートは、解析手法選択処理4の一具体例を示したものである。
【0082】
まず、電波伝搬解析部12が、複数の電波受信車両のうち1つを選択する(ステップS51)。
【0083】
そして、電波伝搬解析部12は、ステップS51で選択された電波受信車両が、部分エリアに属するのか否か、を判定する(ステップS52)。部分エリアに属すると判定された場合(ステップS52;YES)、該部分エリアの代表車両を決定し(ステップS53)、ステップS54へ進む。部分エリアに属さないと判定された場合(ステップS52;NO)、そのままステップS54へ進む。本実施形態では、ステップS51で電波受信車両123又は電波受信車両124が選択された場合、部分エリアに属すると判定され、図12に示す部分エリア121の代表車両126又は部分エリア122の代表車両127が決定される。電波受信車両125が選択された場合は、部分エリアに属さないと判定され
る。
【0084】
ステップS54では、電波伝搬解析部12が、ステップS53で決定された代表車両、又は、ステップS51で選択された部分エリアに属さない電波受信車両に対して電波伝搬解析を行う。
【0085】
次に、電波伝搬解析部12は、ステップS54の電波伝搬解析が代表車両に対してのものか否かを判定する(ステップS55)。電波伝搬解析が代表車両に対してのものである場合(ステップS55;YES)、ステップS56へ進み、電波伝搬解析が代表車両に対してのものでない場合(ステップS55;NO)、ステップS57へ進む。
【0086】
ステップS56では、電波伝搬解析部12が、ステップS54で得られた代表車両に対する電波伝搬解析の結果を該代表車両が属する部分エリア内の電波受信車両の結果とし、ステップS57へ進む。このとき、電波伝搬解析部12は、該代表車両が属する部分エリア内の電波受信車両に対しては電波伝搬解析を行ったものとみなし、処理対象から除外する。本実施形態では、代表車両126の結果が電波受信車両123の結果となり、代表車両127の結果が電波受信車両124の結果となる。
【0087】
ステップS57では、電波伝搬解析部12が、他の電波受信車両があるか否かを判定する。他の電波受信車両がある場合(ステップS57;YES)、その電波受信車両を選択し(ステップS51)、他の電波受信車両が無くなるまで、ステップS51〜ステップS57の工程を繰り返す。全ての電波受信車両に対して電波伝搬解析が行われたら(ステップS57;NO)、当該解析手法選択処理4を終了する。
【0088】
以上述べたように、本実施形態における電波伝搬解析は、解析手法選択処理4の手法により、部分エリアについては、その部分エリアの代表車両に対してのみ電波伝搬解析を行い、該電波伝搬解析の結果を該部分エリア内の全ての電波受信車両の夫々に対する電波伝搬解析の結果とする。それにより、全ての電波受信車両に対して高精度な解析手法を用いるよりも効率的な、且つ、全ての電波受信車両に対して簡易な解析手法を用いるよりも高精度な電波伝搬解析が図れる。
【0089】
なお、解析手法選択処理として、上記4つの手法を説明したが、これらに限らず、電波受信車両ごとに解析手法を異ならせる手法であれば、どのような手法を用いてもよい。
【0090】
なお、本実施形態では、位置情報の形式について述べていないが、位置情報は、電波受信車両と電波送信車両の位置の情報が取得できる形式であれば画像データ、文字データ、及び、数値データなど、どのような形式であってもよい。なお、ユーザは、位置情報を表示部14で確認しながら該位置情報の内容を変更することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、障害物として建物を考えているが、建物に限らず、電波を反射、透過、吸収するようなものであればどのようなものでもよい。例えば、電波送信車両及び電波受信車両も障害物となり得る。
【0092】
なお、本実施形態では、解析手法選択手段3及び解析手法選択手段4における部分エリアについて詳しく説明していないが、部分エリアは領域として考えられるものであれば、大きさ、形状、位置などはどのようなものであってもよい。例えば、電波送信車両からの距離に応じて部分エリアの面積が大きくなるようにしてもよいし、三角形、四角形などの多角形、円、楕円などの曲線で囲まれた領域を部分エリアとしてもよいし、環状の領域を考えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、電波伝搬解析装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、電波伝搬解析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図3は、位置情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、解析手法選択処理1の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、解析手法選択処理2の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、解析手法選択処理3の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、解析手法選択処理4の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、解析手法選択処理1における解析対象の一例を示す図である。
【図9】図9は、解析手法選択処理2における解析対象の一例を示す図である。
【図10】図10は、解析手法選択処理3における解析対象の一例を示す図である。
【図11】図11は、代表車両の一例を示す図である。
【図12】図12は、解析手法選択処理4における解析対象の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
11 位置情報取得部
12 電波伝搬解析部
13 結果記憶部
14 表示部
31 電波送信車両
32 電波受信車両
33 建物
81 特定電波受信車両
82 電波受信車両
91,92,93 電波受信車両
101 部分エリア
102,103 電波受信車両
111 部分エリア
112 電波受信車両
113,114,115 代表車両
121,122 部分エリア
123,124,125 電波受信車両
126,127 代表車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波送信ノードと複数の電波受信ノードとの間の電波伝搬解析を行う電波伝搬解析装置であって、
電波送信ノードと複数の電波受信ノードの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記電波送信ノードと前記電波受信ノードの間の電波伝搬解析を行う電波伝搬解析手段と、
を備え、
前記電波伝搬解析手段は、複数の解析手法から電波伝搬解析に用いる解析手法を選択することができ、電波受信ノードごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが可能である
ことを特徴とする電波伝搬解析装置。
【請求項2】
前記電波伝搬解析手段は、前記複数の電波受信ノードの中から特定された特定電波受信ノードと、該特定電波受信ノード以外の電波受信ノードとで前記電波伝搬解析の解析手法を異ならせる
ことを特徴とする請求項1に記載の電波伝搬解析装置。
【請求項3】
前記電波伝搬解析手段は、前記電波送信ノードと前記電波受信ノード間の距離に応じて前記電波伝搬解析の解析手法を異ならせる
ことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の電波伝搬解析装置。
【請求項4】
前記電波伝搬解析手段は、解析対象とするエリアの一部である部分エリア内の電波受信ノードと該部分エリア外の電波受信ノードとで前記電波伝搬解析の解析手法を異ならせることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電波伝搬解析装置。
【請求項5】
前記電波伝搬解析手段は、解析対象とするエリアの一部である部分エリアごとに、その部分エリアの代表ノードについてのみ電波伝搬解析を行い、該電波伝搬解析の結果を該部分エリア内の全ての電波受信ノードの夫々に対する電波伝搬解析の結果とみなす
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電波伝搬解析装置。
【請求項6】
前記複数の解析手法は、夫々、解析アルゴリズムが異なる
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電波伝搬解析装置。
【請求項7】
前記複数の解析手法は、夫々、解析パラメータが異なる
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電波伝搬解析装置。
【請求項8】
コンピュータが、
電波送信ノードと複数の電波受信ノードの位置情報を取得するステップと、
前記電波送信ノードと前記電波受信ノードの間の電波伝搬解析を行うステップと、
を実行する電波伝搬解析方法であって、
前記電波伝搬解析を行うステップでは、
複数の解析手法から電波伝搬解析に用いる解析手法を選択することができ、電波受信ノードごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが可能である
電波伝搬解析方法。
【請求項9】
コンピュータに、
電波送信ノードと複数の電波受信ノードの位置情報を取得するステップと、
前記電波送信ノードと前記電波受信ノードの間の電波伝搬解析を行うステップと、
を実行させるための電波伝搬解析プログラムであって、
前記電波伝搬解析を行うステップでは、
複数の解析手法から電波伝搬解析に用いる解析手法を選択することができ、電波受信ノードごとに電波伝搬解析の解析手法を異ならせることが可能である
電波伝搬解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−5250(P2009−5250A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166335(P2007−166335)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】