説明

電波吸収特性測定方法,電波吸収特性測定装置

【課題】 省スペースで,また,サイドローブ結合の問題を生じさせずに,被測定物における電波の入射角依存性評価のための電波吸収特性測定を行うこと。
【解決手段】 送受信アンテナ3からの電波を被測定物11に照射し,その反射電波を送受信アンテナ3に入射させて測定信号を得るにあたり,電波の経路中に反射板21を配置し,進行経路を途中で反転して逆進する進行経路とする。その際,被測定物11及び反射板21各々について,それら相互間の相対位置と方向を変更することにより,電波の経路長を一定に維持しながら被測定物11への電波の入射角を変更し,その変更ごとに測定信号を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,送信アンテナからの電波を電波吸収特性の被測定物に照射し,その反射電波を受信アンテナに入射させて測定信号を得る電波吸収特性測定方法及びそれに用いる電波吸収特性測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や無線LAN,或いはETC(自動料金収受システム)等の無線通信機器が普及し,電波の利用が広がるにつれて電波吸収体の需要も増大してきている。このような電波吸収体は,電波がほぼ垂直入射される状況のみならず,電波の入射角が大きい状況で利用される場面が増え,これに伴い,電波吸収体の電波吸収特性測定において,入射角依存性評価が要求されている。
図9は,前記入射角依存性評価のための従来の電波吸収特性測定方法を模式的に表した図である。
図9に示すように,所定の位置に配置した被測定物11(電波吸収体)に対して送信アンテナ1からの電波を照射し,その反射電波を受信アンテナ2に入射させて測定信号を得る。その際,送信アンテナ1及び受信アンテナ2各々を,被測定物11の測定部11aを中心として,その測定部11a表面の垂線14の方向に対する両側各々に対称な角度(図中,角度a,b等)で回動させることにより,被測定物11への電波の入射角を変更し,その変更ごとに測定信号(受信アンテナ2による受信信号)を得る。これにより,被測定物11への電波の入射角度と測定信号の減衰レベルとの関係から,被測定物11の電波吸収特性の入射角依存性を評価することができる。
また,図9に示す測定を実現する測定装置の具体例として,例えば,特許文献1の図26には,アーチ状のアンテナ支持具に送信アンテナと受信アンテナとを移動可能に取り付ける構成を有するものが示されている。
同じく,特許文献1の図27には,左右対称となる位置に配置された対となる送信アンテナと受信アンテナとを複数組設け,信号線切換機により測定信号の入力経路を切り替える構成を有するものが示されている。
ここで,電波吸収特性の測定は,特許文献1にも示されるように,周囲からの雑音となる不要な電波の影響を除くため,電波暗室内で行うことが望ましい。
【特許文献1】2002−111277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,図9及び特許文献1の図26,図27等に示される従来の電波吸収特性の測定では,被測定物に対して左右対称の離れた位置に送信アンテナと受信アンテナとが配置されるため,測定に大きな空間を必要とするという問題点があった。特に,電波暗室内での測定を行う場合,非常に大型の電波暗室を用意する必要があり,測定装置の大型化,高コスト化を招くという問題点があった。
また,図9に示すような従来の測定方法では,電波の入射角が大きくなると,送信アンテナと受信アンテナとの間で生じるサイドローブ結合により,測定の精度不良が生じるという問題点もあった。
図10は,従来の電波吸収特性測定方法におけるサイドローブ結合を説明する図である。
一般に,アンテナの利得は,その正面方向に対する角度に依存した利得分布(以下,角度特性という)を有する。この角度特性は,正面方向からの角度が大きくなるにつれて利得が単調減少するのではなく,特定の角度で利得の極大値(ピーク)が現れる利得分布特性を有する。
図10には,模式的に,送信アンテナ1及び受信アンテナ2各々の最大利得が現れる正面方向近傍の部分であるメインローブ73,73’と,送信アンテナ1及び受信アンテナ2各々の斜め方向(正面から所定角度の方向)であってメインローブ73,73’の次に高い利得の極大値が現れる方向近傍の部分であるサイドローブ74,74’とを示している。
一般に,サイドローブ74,74’での利得は,メインローブ73,73’での利得よりも十数dBから20dB以上低い。このため,受信アンテナ2において,そのサイドローブ74’方向から強い電波が入射されない限り,メインローブ73’方向からの電波により得られる信号に対し,ごく小さなノイズとしてしか影響しない。
電波吸収特性測定では,送信アンテナ1及び受信アンテナ2ともに,それらのメインローブ73,73’方向の特性を用いて測定を行う。しかしながら,電波の入射角が大きくなると,図10に示すように,送信アンテナ1のサイドローブ74方向と,受信アンテナ2のサイドローブ74’方向とが対向する配置となる場合がある。この場合,送信アンテナ1のサイドローブ74と受信アンテナ2のサイドローブ74’との結合(サイドローブ結合)が生じる。ここで,受信アンテナ2のメインローブ73’方向からの電波,即ち,被測定物11に対する反射電波の強度レベルが十分高ければ,サイドローブ結合によるノイズの影響は少ない。しかし,被測定物11の電波吸収性能が高い場合,電波の反射率が−20dB以下であることも十分あり得るため,その場合,サイドローブ結合による電波の影響が無視できなくなる。
このように,従来の測定方法では,電波の入射角が大きくなると,サイドローブ結合によって測定の精度不良が生じ得る。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,省スペースで,また,サイドローブ結合の問題を生じさせずに,被測定物における電波の入射角依存性評価のための電波吸収特性測定方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,被測定物における電波の入射角依存性評価のための電波吸収特性を測定する場合に適用されるものであり,送信アンテナからの電波を被測定物に照射し,その反射電波を受信アンテナに入射させて測定信号を得るにあたり,前記送信アンテナから前記受信アンテナに至る電波の経路中に電波を反射して変向させる(電波の進行方向を変える)反射部材を配置することにより,従来は直線状であった電波の進行経路を屈曲状或いは途中で反転して逆進する進行経路とし,測定空間の省スペース化及びサイドローブ結合の防止を図るものである。そのため,前記送信アンテナ,前記受信アンテナ,前記被測定物及び前記反射部材各々について,それら相互間の相対位置や方向を変更し,これによって前記送信アンテナから前記受信アンテナに至る電波の経路長を一定に維持しながら前記被測定物への電波の入射角を変更し,その変更ごとに測定信号を得る。
これにより,アンテナ,被測定物,反射部材の各要素の位置を比較的狭い範囲で移動させるだけでも,電波の被測定物への入射角を広範囲で変化させることができるので,測定空間を省スペース化でき,また,両アンテナをサイドローブ結合が生じる位置関係とならないように配置できる。
その際,例えば,前記送信アンテナ,前記受信アンテナ及び前記被測定物のうちの少なくとも1つの位置及び方向を固定すれば,全体としての各要素の位置決めがシンプルとなる。
【0005】
例えば,前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの両機能を兼用する送受信アンテナを用い,その送受信アンテナから出射されて前記被測定物に反射した後の電波を,前記反射部材により反転反射させてその進行経路を逆進させる(電波を前記送受信アンテナに戻す)ことが考えられる。これにより,電波はその出射元である前記送受信アンテナに戻ることになる。
一般に,電波を被測定物に対して垂直な方向に照射した場合の電波吸収特性(標準的な電波吸収特性)は,送受信アンテナを用いて測定されるが,上記方法によってこれと同様の測定が可能となる。また,前記反射部材と前記被測定物との距離を小さくして配置することにより,測定空間を省スペース化できる。さらに,アンテナが1つであるので,サイドローブ結合の問題は生じない。
【0006】
また,上述した測定を具現するため,前記送信アンテナと前記受信アンテナ(若しくは前記送受信アンテナ)及び前記反射部材の各々を支持し,それらの相対位置や方向を変更可能とする支持機構(可変支持機構)の具体的構成としては,例えば,回転軸とその回転軸の軸線を中心に回動する回動部とをリンクして,前記回転軸の回転角度の2倍の角度で前記回動部を回動させるリンク機構,或いはそれを複数組み合わせた組合せリンク機構を設け,そのリンク機構又は組合せリンク機構における前記回転軸及び前記回動部の各々によって前記被測定物又は前記反射部材を支持する構成が考えられる。
後述するように,例えば,前記送信アンテナから被測定物に至る電波の経路を固定した状態で前記被測定物を回転させれば,前記入射角を変更できるが,その際,前記被測定物に対する電波の反射方向は,前記被測定物の回転角度の2倍の角度分だけ変化することになる。このような位置関係の変更を具現するには,前記リンク機構或いは前記組合せリンク機構を用いることが有効である。
【0007】
前記リンク機構を用いる構成としては,例えば,前記送受信アンテナを固定支持し,前記反射部材を前記リンク機構における前記回動部に支持するとともに前記被測定物を前記リンク機構の前記回転軸に支持する構成が考えられる。
このような構成により,固定支持された前記送受信アンテナから前記被測定物への電波の入射角度は,前記被測定物を支持する前記回転軸の回転によって変更できる。
また,前記リンク機構の作用により,前記被測定物(前記回転軸)の回転に伴い,前記回動部が,前記被測定物の測定部を中心に,前記被測定物の回転角度の2倍の角度分,即ち,前記入射角度の変化の2倍の角度分だけ回動するので,その回動部に支持された前記反射部材を,前記被測定部に対する電波の反射方向へ位置させることができる。
従って,前記反射部材を,その反射方向を前記測定部に向けて前記回動部に支持させておけば,前記送受信アンテナから出射されて前記被測定物に反射した後の電波を,前記反射部材により反転反射させてその進行経路を逆進させる(電波を前記送受信アンテナに戻す)ことができる。これについては,図1及び図3を用いて後述する。
【0008】
また,前記リンク機構を用いる他の構成例としては,2つの前記リンク機構各々の前記回動部を一体化し,その一方の前記リンク機構の前記回転軸の位置を固定した前記組合せリンク機構(第1の組合せリンク機構)を用いることが考えられる。
この場合,前記送信アンテナ又は前記受信アンテナの一方を固定支持し,その他方を固定されずに回動する側の前記リンク機構に対して相対位置を一定に維持して支持するとともに,前記被測定物と前記反射部材とを,固定された側の前記リンク機構の前記回転軸と回動する側の前記リンク機構の前記回転軸との各々に支持する構成が考えられる。
このような構成によっても,測定空間の省スペース化及びサイドローブ結合の防止が図れる。これについては,図2及び図5を用いて後述する。
【0009】
さらに,前記リンク機構を用いる他の構成例としては,2つの前記リンク機構各々の前記回動部をリンクし,これら回動部各々を既定の基準軸線を中心にその基準軸線における既定の基準放線方向(軸線に直角の方向)に対する両側(左右両側)各々に対称な角度で回動させる前記組合せリンク機構(第2の組合せリンク機構)を用いることが考えられる。
この場合,前記送信アンテナと前記受信アンテナとを,各々2つの前記リンク機構各々に対して相対位置を一定に維持して支持するとともに,2つの前記反射部材各々を2つの前記リンク機構の前記回転軸各々に支持し,前記被測定物を前記基準軸線の位置に前記基準放線方向に向けて固定支持する構成が考えられる。
このような構成によっても,測定空間の省スペース化及びサイドローブ結合の防止が図れる。これについては,図3及び図6を用いて後述する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,送信アンテナから受信アンテナに至る電波の経路中に電波を反射して変向させる反射部材を用い,前記送信アンテナ,前記受信アンテナ,前記被測定物及び前記反射部材各々の相対位置や方向を変更することによって前記被測定物への電波の入射角を変更するので,従来は直線状であった電波の進行経路を,屈曲状或いは途中で反転して逆進する進行経路とすることができ,測定空間の省スペース化とサイドローブ結合の防止とを図ることができる。その結果,その測定空間を確保するための電波暗室の小型化及びコスト低減が可能となり,さらに,測定精度不良の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の第1実施形態に係る電波吸収特性測定方法X1を模式的に表した図,図2は本発明の第2実施形態に係る電波吸収特性測定方法X2を模式的に表した図,図3は本発明の第3実施形態に係る電波吸収特性測定方法X3を模式的に表した図,図4は電波吸収特性測定方法X1の実施に用いる支持機構Y1の構成を表す正面図及び側面図,図5は電波吸収特性測定方法X2の実施に用いる支持機構Y2の構成を表す図,図6は電波吸収特性測定方法X3の実施に用いる支持機構Y3の構成を表す図,図7は本発明の第4実施形態に係る電波吸収特性測定方法に用いる支持機構Y4の構成を表す図,図8は電波吸収特性測定方法X1によるサイドローブ結合防止効果を従来の測定方法との比較により説明する図,図9は従来の電波吸収特性測定方法を模式的に表した図,図10は従来の電波吸収特性測定方法におけるサイドローブ結合を説明する図である。
【0012】
以下,本発明の実施形態に係る電波吸収特性測定方法X1〜X3について説明する。
以下に示す電波吸収特性測定方法X1〜X3は,送信アンテナ1からの電波を電波吸収特性の被測定物11に照射し,その反射電波を受信アンテナ2に入射させて測定信号を得る際の,電波の進行経路及びそれを実現するための構成に特徴を有するものである。即ち,送信アンテナ1から受信アンテナ2に至る電波の経路中に,電波をほぼ全反射する金属板等の反射板21〜24(後述)を配置することにより,電波の進路を変向させる(電波の進行方向を変える)点に特徴がある。従って,得られた測定信号(前記受信アンテナ2による受信信号)は,ネットワークアナライザ等に入力され,周知のデータ処理により電波の減衰程度を測定する。測定信号をどのように処理するかについては,従来の測定方法と特に変わりはない。
【0013】
(第1実施形態)
まず,図1の模式図を用いて,本発明の第1実施形態に係る電波吸収特性測定方法X1(以下,測定方法X1という)について説明する。
測定方法X1では,前記送信アンテナ1及び前記受信アンテナ2(図9参照)の両機能を兼用する送受信アンテナ3と,電波を反射する金属板等の反射板21とを用いる。
測定方法X1では,電波の入射角依存性評価を行うため,被測定物11への電波の入射角(被測定物11の測定部11aにおける垂線14方向に対する角度)を変更可能に各要素3,11,21を支持し,入射角を変更するごとに測定信号(受信信号)を得る。その際,電波の減衰に影響する入射角以外の条件を一定とするため,前記送受信アンテナ3(送信アンテナの一例)から出射されてその送受信アンテナ3(受信アンテナの一例)に戻るまでの電波の経路長を一定に維持しつつ,被測定物11への電波の入射角を変更する。
図1に示す例では,前記送受信アンテナ3(送信アンテナ及び受信アンテナの一例)の位置及び方向を固定し,その正面方向の所定位置に被測定物11の測定部11aを位置させるとともに,その測定部11aを中心として被測定物11を回転可能に支持する。
一方,前記反射板21については,その正面を前記測定部11aに向けて対向させた状態で,被測定物11の回転に応じて,前記反射板21と前記送受信アンテナ3とが,前記測定部11aの垂線14方向に対する両側各々に対称な角度cの位置となるように,前記測定部11aを中心として回動させる。
即ち,測定方法X1では,被測定物11を所定角度cだけ回転させた場合,前記反射板21をその2倍の角度分(2c)だけ前記測定部11aを中心に回動させる。
【0014】
以上示した各要素(送受信アンテナ3,被測定物11,反射板21)の位置決め(相対位置や方向の変更)により,前記送受信アンテナ3から出射された電波を被測定物11に照射させるとともに,その反射電波を,前記反射板21(反射部材の一例)により反転反射させてその進行経路を逆進させ,電波を前記送受信アンテナ3に戻す。
ここで,前記送受信アンテナ3と前記測定部11aとの距離は一定であり,前記測定部11aと前記反射板21との距離r(即ち,前記反射板21の回動半径r)も一定であるので,電波の被測定部部11への入射角に関わらず,電波の経路長は一定に維持される。
また,電波の進行経路中への配置により電波を変向させる反射板21の回動半径rを,前記送受信アンテナ3と前記測定部11aとの距離Lよりも小さくすることにより,測定に必要なスペースを,図9に示した従来の測定法に比べて小さくできる。
また,前記反射板21での反射による電波の減衰量は極めて小さいので,測定上無視することができる。
なお,送信アンテナと受信アンテナとを兼用した場合における信号送信及び受信の制御や,データ処理の方法については,通常の被測定物11の電波吸収特性の測定,即ち,被測定物11表面の垂線方向からの電波照射による電波吸収特性の測定の場合と同じであるので,ここでは説明を省略する。
【0015】
(第2実施形態)
次に,図2の模式図を用いて,本発明の第2実施形態に係る電波吸収特性測定方法X2(以下,測定方法X2という)について説明する。
測定方法X2では,前記送信アンテナ1と前記受信アンテナ2と電波を反射する反射板22とを用いる。
測定方法X2においても,前記送信アンテナ1から出射されて前記受信アンテナ2に至るまでの電波の経路長を一定に維持しつつ,被測定物11への電波の入射角を変更可能に各要素1,2,11,22を支持し,入射角を変更するごとに測定信号(受信信号)を得る。
図2に示す例では,前記送信アンテナ1の位置及び方向を固定して支持し,その正面方向の所定位置に被測定物11の測定部11aを位置させるとともに,その測定部11aを中心として被測定物11を回転可能に支持する。
一方,前記反射板22については,電波の反射部22aを中心として回転可能とするとともに,被測定物11の回転に応じて,前記反射板22と前記送信アンテナ1とが,前記測定部11aの垂線14方向に対する両側各々に対称な角度dの位置となるように,前記測定部11aを中心として回動させる(回動半径=L2)。
即ち,測定方法X2では,被測定物11を所定角度dだけ回転させた場合,前記反射板22をその2倍の角度分(2d)だけ前記測定部11aを中心に回動させる。
また,前記受信アンテナ2については,前記反射板22の移動(回動)に伴い,前記反射板22の反射部22aに対する相対位置を一定(距離=L3)に維持して移動させる。
さらに,前記反射板22を,当該反射板22の回動(即ち,被測定物11の回転)に応じて,前記受信アンテナ2と前記測定部11aとが,当該反射板22の電波の反射部22aの垂線15方向に対する両側各々に対称な角度d’の位置となるように,前記反射部22aを中心として回転させる。
即ち,測定方法X2では,前記反射板22を,前記測定部11aを中心に所定角度(2d)だけ回動させた場合,その2分の1の角度分(d)だけ前記反射部22aを中心に回転させる。
【0016】
以上示した各要素(送信アンテナ1,受信アンテナ2,被測定物11,反射部材22)の位置決め(相対位置や方向の変更)により,前記送信アンテナ1から前記受信アンテナ2に至る電波の経路中で前記反射板22(反射部材)によって電波の進路が変向される。
また,前記送信アンテナ1と前記測定部11aとの距離L1,前記測定部11aと前記反射板22の反射部22aとの距離L2(即ち,前記反射板22の回動半径),及び前記反射部22aと前記受信アンテナ2との距離L3は各々一定であるので,被測定物11への電波の入射角に関わらず,電波の経路長は一定に維持される。
また,被測定物11から前記受信アンテナ2に至る電波の進路が,前記反射板22によって屈曲(変向)されるので,前記受信アンテナ2の位置を比較的狭い範囲で移動させるだけでも,電波の被測定物11への入射角dを広範囲で変化させることができ,その結果,測定空間を省スペース化できる。
なお,測定方法X2における前記送信アンテナ1と前記受信アンテナ2との配置位置を入れ替えても同様の作用効果を奏する。
【0017】
(第3実施形態)
次に,図3の模式図を用いて,本発明の第3実施形態に係る電波吸収特性測定方法X3(以下,測定方法X3という)について説明する。
測定方法X3では,前記送信アンテナ1と前記受信アンテナ2と電波を反射する2つの反射板23,24とを用い,前記送信アンテナ1から被測定物11に至る電波の経路と,被測定物11から前記受信アンテナ2に至る電波の経路各々において前記反射板23,24各々により電波の進路を変向させる。
測定方法X3においても,前記送信アンテナ1から出射されて前記受信アンテナ2に至るまでの電波の経路長を一定に維持しつつ,被測定物11への電波の入射角を変更可能に各要素1,2,11,23,24を支持し,入射角を変更するごとに測定信号(受信信号)を得る。
測定方法X3では,被測定物11の位置及び方向を固定支持し,2つの前記反射板23,24各々を,前記測定部11aを中心に,その測定部11a(測定面)における垂線方向14に対する両側各々に対称な角度eとなるように回動させる。
さらに,前記送信アンテナ1を,その正面方向を一方の前記反射板23の電波反射部23aに向けた状態で,その反射部23aに対して相対位置を一定に維持させ,前記反射板23の移動(回動)に応じて移動させる。同様に,前記受信アンテナ2を,その正面方向を他方の前記反射板24の電波反射部24aに向けた状態で,その反射部24aに対して相対位置を一定に維持させ,前記反射板24の移動(回動)に応じて移動させる。
また,前記反射板23を,当該反射板23の回動に応じて,前記送信アンテナ1と前記測定部11aとが,当該反射板23における電波の反射部23aの垂線16方向に対する両側各々に対称な角度e’の位置となるように,前記反射部23aを中心として回転させる。
同様に,前記反射板24を,当該反射板24の回動に応じて,前記受信アンテナ2と前記測定部11aとが,当該反射板24における電波の反射部24aの垂線17方向に対する両側各々に対称な角度e’の位置となるように,前記反射部23aを中心として回転させる。
【0018】
以上示した各要素(送信アンテナ1,受信アンテナ2,被測定物11,反射部材23,24)の位置決め(相対位置や方向の変更)により,前記送信アンテナ1から前記受信アンテナ2に至る電波の経路中で前記反射板23,24(反射部材)によって電波の進路が変向される。
また,前記送信アンテナ1と前記反射部23aとの距離L11,前記反射部23aと前記測定部11aとの距離L12(前記反射板23の回動半径),前記測定部11aと前記反射部24aとの距離L13(前記反射板24の回動半径),及び前記反射部24aと前記受信アンテナ2との距離L14は各々一定であるので,被測定物11への電波の入射角に関わらず,電波の経路長は一定に維持される。
また,被測定物11から前記受信アンテナ2に至る電波の進路が,前記反射板23,24によって屈曲(変向)されるので,前記送信アンテナ1及び前記受信アンテナ2の位置を比較的狭い範囲で移動させるだけでも,電波の被測定物11への入射角eを広範囲で変化させることができ,その結果,測定空間を省スペース化できる。
なお,測定方法X3における前記送信アンテナ1と前記受信アンテナ2との配置位置を入れ替えても同様の作用効果を奏することはいうまでもない。
【0019】
(第1実施形態における各要素の支持機構)
次に,図4を用いて,前記電波吸収特性測定方法X1を実施する際に用いる測定の各構成要素の支持機構Y1の構成について説明する。ここで,図4(a),(b)は,各々,支持機構Y1の正面図及び側面図を表す。
支持機構Y1は,所定の回転軸30と,その回転軸30を中心に回動する回動部31とを4つの歯車G1〜G4でリンクし,前記回転軸30の回転角度θの2倍の角度(2θ)で前記回動部31を回動させるリンク機構Aを備えている。
より具体的には,前記リンク機構Aは,前記回転軸30に設けられた歯車G1と,この歯車G1と噛み合う歯車G2との歯数の比(G1:G2)が1:1に構成されている。さらに,前記歯車G2と同軸に設けられた歯車G4と,この歯車G4と噛み合うとともに,その回転中心が前記回転軸30の軸線上にある歯車G3との歯数の比(G4:G3)が2:1に構成されている。このような構成により,前記回転軸30を所定角度θだけ回転させると,前記回動部31は,2θ(2倍の角度)分だけ前記回動軸30を中心に回動する。
そして,前記支持機構Y1は,前記送受信アンテナ3を,前記リンク機構Aにおける前記回転軸30の放線方向(軸の周面の法線方向)の所定位置に,その正面方向が前記回転軸30に向かうように位置及び方向を固定して支持する。
さらに,前記支持機構Y1は,前記反射板22(反射部材)を,前記リンク機構Aにおける前記回動部31に,その正面が前記回転軸30に向かう方向に支持するとともに,被測定物11を,前記リンク機構Aにおける前記回転軸30に,その測定部11aが前記送受信アンテナ3の方向と前記反射板21の方向との中間方向に向くように支持する。ここで,前記回転軸30は,被測定物11の測定部11aが回転中心となるよう,即ち,測定部11aが前記回転軸30の軸線上に位置するように被測定物11を支持する。
このような構成により,支持機構Y1は,各構成要素(送受信アンテナ3,被測定物11,反射板22)の各々を,前記送受信アンテナ3から出射されて被測定物11に反射した後の電波が,前記反射板21に反転反射してその進行経路が逆進する位置及び方向に支持することになる。従って,この支持機構Y1を用いれば,前記電波吸収特性測定方法X1を容易に実施できる。
【0020】
(第2実施形態における各要素の支持機構)
次に,図5を用いて,前記電波吸収特性測定方法X2を実施する際に用いる測定の各構成要素の支持機構Y2の構成について説明する。
支持機構Y2は,2つの前記リンク機構A各々の前記回動部を組み合わせたリンク機構(組合せリンク機構)を備える。以下,便宜上,2つの前記リンク機構をA及びA’(その他の対応する構成要素も「’」を付して区別する)として表すが,リンク機構そのものの構成は同じものである。
図5に示すように,支持機構Y2は,2つの前記リンク機構A,A’各々の前記回動部31,31’が一体化され,その一方の前記リンク機構Aの前記回転軸30の位置が固定されている。これにより,他方の前記リンク機構A’が前記回転軸30を中心に回動する。この2つの前記リンク機構A,A’を組み合わせた機構を,以下,組合せリンク機構B1という(第1の組合せリンク機構の一例)。
そして,前記支持機構Y2は,前記送信アンテナ1又は前記受信アンテナ2の一方を,固定側の前記リンク機構Aにおける前記回転軸30の放線方向の所定位置に,その正面方向が前記回転軸30に向かうように位置及び方向を固定して支持する。
さらに,前記支持機構Y2は,他方のアンテナ(2又は1)を前記組合せリンク機構B1を構成する回動する側の前記リンク機構A’に対し,その正面方向が前記回転軸30’に向かうように前記リンク機構A’に固定(リンク機構A’に対する相対位置を一定に維持)して支持する。
また,前記支持機構Y2は,被測定物11を固定された側の前記リンク機構Aの前記回転軸30に固定支持し,前記反射板22を回動する側の前記リンク機構A’の前記回転軸30’に支持する。
このような構成の支持機構Y1を用いることにより,前記電波吸収特性測定方法X2における各構成要素の位置決めを容易に行うことができる。
【0021】
(第3実施形態における各要素の支持機構)
次に,図6を用いて,前記電波吸収特性測定方法X3を実施する際に用いる測定の各構成要素の支持機構Y3の構成について説明する。
支持機構Y3は,2つの前記リンク機構A各々の前記回動部を組み合わせたリンク機構(組合せリンク機構)を備える。以下,前記支持機構Y2と同様に,便宜上,2つの前記リンク機構をA及びA’(その他の対応する構成要素も「’」を付して区別する)として表すが,リンク機構そのものの構成は同じものである。
図6(a)に示すように,支持機構Y3は,2つの前記リンク機構A,A’各々の前記回動部31,31’をリンクし,その回動部31,31’各々を,位置が固定された(既定の)基準軸線40を中心に,その基準軸線40における既定の基準放線41の方向に対する両側各々に対称な角度eで回動させる組合せリンク機構B2(第2の組合せリンク機構の一例)を備えている。ここで,前記電波吸収特性測定方法X3(図3参照)における前記測定部11aが,前記基準軸線40上に位置し,前記測定部11aの垂線方向14(図3参照)が前記基準放線41の方向となるよう構成されている。
図6(b)及び(c)の各々は,2つの前記リンク機構A,A’の連結機構の一例を表す平面図及び側面図である。
図6(b),(c)に示すように,前記基準軸線40を中心に回転する2つの歯車G5,G6を,他の2つの歯車G7,G8でリンクすることにより,前記歯車G5又は前記歯車G6の一方を所定角度回転させれば,他方がそれと反対方向(反対回り)に同じ角度だけ回転する。従って,前記歯車G5の回転軸G5a又は前記歯車G6の回転軸G6aの各々に,2つの前記リンク機構A,A’の前記回動部31,31’を固定支持させれば,2つの前記リンク機構A,A’は,前記基準放線41の方向に対して対称に回動するよう構成できる。
そして,前記支持機構Y3では,前記送信アンテナ1と前記受信アンテナ2との各々を,その正面方向が2つの前記リンク機構A,A’各々の前記回転軸30,30’に向かうように前記リンク機構A,A’各々に固定(各リンク機構A,A’に対する相対位置を一定に維持)して支持する。
さらに,前記支持機構Y3は,2つの前記反射板23,24各々を,2つの前記リンク機構A,A’の前記回転軸30,30’各々に固定支持する。
また,被測定物11を,前記基準軸線40の位置に,前記基準放線41の方向に向けて固定支持する。
このような構成の支持機構Y3を用いることにより,前記電波吸収特性測定方法X3における各構成要素の位置決めを容易に行うことができる。
【0022】
(第4実施形態における各要素の支持機構)
以上示した実施形態の他にも,前記反射板を用いて電波の進路を変向することにより,測定スペースを省スペース化する構成は各種考えられる。
図7は,前記支持機構Y2を変形した,第4実施形態に係る電波吸収特性測定方法に用いる各構成要素の支持機構Y4の構成を表すものである。
前記支持機構Y2では,位置が固定された前記リンク機構Aの回動部30と,他方の前記リンク機構A’の回動部30’とを一体化させることにより,前記リンク機構A’を回動させるものであったが,当該支持機構Y4では,両回動部30,30’をスライド機構によって連結する等により,前記リンク機構Aの回転軸30と前記リンク機構A’の回転軸30’との距離を伸縮自在に構成するとともに,前記リンク機構A’及び前記受信アンテナ2(又は前記送信アンテナ1)を,前記送信アンテナ1(又は前記受信アンテナ2)と前記リンク機構Aの回転軸30とを結ぶ線と平行な方向42に平行移動可能に構成している。
さらに,前記受信アンテナ2(又は前記送信アンテナ1)は,前記リンク機構A’に対して固定するのではなく,前記回転軸30→前記回転軸30’→前記受信アンテナ2(又は前記送信アンテナ1)の経路長が一定に維持されるように前記方向42に沿って平行移動させる。そのための構成としては,例えば,前記回転軸30→前記回転軸30’→前記受信アンテナ2(又は前記送信アンテナ1)の経路に沿ってワイヤ等の一定長さのひも状部材50を設け,この一定長さのひも状部材50で前記回転軸30と前記受信アンテナ(又は前記送信アンテナ1)とを接続することにより,前記回転軸30→前記回転軸30’→前記受信アンテナ2(又は前記送信アンテナ1)の経路長を一定に維持する。この場合,前記リンク機構A’の回転軸30’にプーリーを設け,このプーリーに前記ひも状部材50を通せば,前記ひも状部材50の動きを円滑にすることができる。
このような構成によっても,被測定物11への電波の入射角を変向でき,その入射角の変向に関わらず,電波の経路長を一定に維持できる。
また,前記支持機構Y3について前記支持機構Y4と同様の変形をした構成,即ち,前記支持機構Y3における前記リンク機構A及び前記送信アンテナ1と,前記リンク機構A’及び前記受信アンテナ2との各々を,前記支持機構Y4における前記リンク機構A’及び前記受信アンテナ2と同様の構成に変形したものも考えられる。
【0023】
次に,前記測定方法X1の場合を例に,本発明によるサイドローブ結合防止効果について説明する。
図8は,電波吸収特性測定方法X1によるサイドローブ結合防止効果を従来の測定方法との比較により説明する図である。
ここで,図8(a)は,従来の測定方法における系を表し,図8(b)は,前記測定方法X1(図1)の系における前記送受信アンテナ3を,仮想的な送信アンテナ1’と受信アンテナ2’とに置き換えた仮想の系を表す。
前記測定方法X1(図1)の系における前記送受信アンテナ3を,仮想的な送信アンテナ1’と受信アンテナ2’とに置き換えて考えた系は,図8に示すように,前記測定方法X1の系が,前記反射板21の面21bを対称面として鏡面対称に形成された系と等価と考えられる。
【0024】
ここで,従来の測定方法において,被測定物11に対する電波の入射角をα,前記送信アンテナ1及び前記受信アンテナ2各々の正面方向に対する相手側アンテナの方向の角度(以下,アンテナ同士を見込む角度という)をβとすると,αとβとの関係は次の(1)式で表される。
β=(180°−2α)/2=90°−α …(1)
前記アンテナ同士を見込む角度が,各アンテナの前記サイドローブの方向と略一致すると,前記サイドローブ結合の問題が生じる。
一方,前記測定方法X1の仮想系において,被測定物11に対する電波の入射角をα,前記送信アンテナ1’及び前記受信アンテナ2’の前記アンテナ同士を見込む角度をγとすると,αとγとの関係は次の(2)式で表される。
β=(360°−4α)/2=180°−2α …(2)
これらの式より,γ=2βとなる。
このように,前記測定方法X1によれば,従来の測定方法よりも,同じ入射角αに対する前記アンテナ同士を見込む角度を比較的大きくとれるので,前記アンテナ同士を見込む角度が小さい場合に生じるサイドローブ結合の問題が発生しにくいことがわかる。このことは,前記測定方法X2〜X4についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は,電波吸収特性の測定に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電波吸収特性測定方法X1を模式的に表した図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電波吸収特性測定方法X2を模式的に表した図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る電波吸収特性測定方法X3を模式的に表した図。
【図4】電波吸収特性測定方法X1の実施に用いる支持機構Y1の構成を表す正面図及び側面図。
【図5】電波吸収特性測定方法X2の実施に用いる支持機構Y2の構成を表す図。
【図6】電波吸収特性測定方法X3の実施に用いる支持機構Y3の構成を表す図。
【図7】本発明の第4実施形態に係る電波吸収特性測定方法に用いる支持機構Y4の構成を表す図。
【図8】電波吸収特性測定方法X1によるサイドローブ結合防止効果を従来の測定方法との比較により説明する図。
【図9】従来の電波吸収特性測定方法を模式的に表した図。
【図10】従来の電波吸収特性測定方法におけるサイドローブ結合を説明する図。
【符号の説明】
【0027】
Y1,Y2,Y3,Y4…支持機構
A,A’…リンク機構
1…送信アンテナ
2…受信アンテナ
3…送受信アンテナ
11…被測定物
21〜24…反射板
30,30’…回転軸
31,31’…回動部
G1〜G8…歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナからの電波を被測定物に照射し,その反射電波を受信アンテナに入射させて前記被測定物の電波吸収特性測定用の測定信号を得る電波吸収特性測定方法であって,
前記送信アンテナから前記受信アンテナに至る電波の経路中において電波を反射する反射部材により電波の進路を変向させるとともに,
前記送信アンテナ,前記受信アンテナ,前記被測定物及び前記反射部材各々の相対位置及び方向のうちの複数を変更することにより,前記送信アンテナから前記受信アンテナに至る電波の経路長を一定に維持しつつ前記被測定物への電波の入射角を変更し,その変更ごとに前記測定信号を得ることを特徴とする電波吸収特性測定方法。
【請求項2】
前記送信アンテナ,前記受信アンテナ及び前記被測定物のうちの少なくとも1つの位置及び方向を固定してなる請求項1に記載の電波吸収特性測定方法。
【請求項3】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの両機能を兼用する送受信アンテナから出射され前記被測定物に反射した後の電波を,前記反射部材により反転反射させてその進行経路を逆進させてなる請求項1又は2に記載の電波吸収特性測定方法。
【請求項4】
送信アンテナからの電波を被測定物に照射させ,その反射電波を受信アンテナに入射させて前記被測定物の電波吸収特性測定用の測定信号を得るための電波吸収特性測定装置であって,
前記送信アンテナ,前記受信アンテナ,前記被測定物及び電波を反射する1又は複数の反射部材の各々を,それらの相対位置及び方向のうちの複数について変更可能に支持し,前記送信アンテナから前記受信アンテナに至る電波の経路中に前記反射部材を位置決めして電波の進路を変向させるとともに,前記送信アンテナから前記受信アンテナに至る電波の経路長を一定に維持しつつ前記被測定物への電波の入射角を変更可能とする可変支持機構を具備してなることを特徴とする電波吸収特性測定装置。
【請求項5】
前記可変支持機構が,前記送信アンテナ,前記受信アンテナ及び前記被測定物のうちの1つの位置及び方向を固定して支持するものである請求項4に記載の電波吸収特性測定装置。
【請求項6】
前記可変支持機構が,前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの両機能を兼用する送受信アンテナ,前記被測定物及び前記反射部材の各々を,前記送受信アンテナから出射され前記被測定物に反射した後の電波が前記反射部材に反転反射してその進行経路が逆進する位置及び方向に支持してなる請求項4又は5に記載の電波吸収特性測定装置。
【請求項7】
前記可変支持機構が,回転軸と該回転軸の軸線を中心に回動する回動部とをリンクして前記回転軸の回転角度の2倍の角度で前記回動部を回動させるリンク機構又はこれを複数組み合わせた組合せリンク機構を備え,前記リンク機構又は前記組合せリンク機構における前記回転軸及び前記回動部の各々により,前記被測定物又は前記反射部材を支持してなる請求項5又は6に記載の電波吸収特性測定装置。
【請求項8】
前記可変支持機構が,前記送受信アンテナを固定支持し,前記反射部材を前記リンク機構における前記回動部に支持するとともに前記被測定物を前記リンク機構の前記回転軸に支持してなる請求項7に記載の電波吸収特性測定装置。
【請求項9】
前記可変支持機構が,2つの前記リンク機構各々の前記回動部が一体化され,その一方の前記リンク機構の前記回転軸の位置が固定されることにより他方の前記リンク機構が回動する前記組合せリンク機構である第1の組合せリンク機構を備え,
前記送信アンテナ又は前記受信アンテナの一方を固定支持してその他方を前記第1のリンク機構を構成する回動する側の前記リンク機構に対して相対位置を一定に維持して支持するとともに,前記被測定物と前記反射部材とを前記第1のリンク機構を構成する固定された側の前記リンク機構の前記回転軸と回動する側の前記リンク機構の前記回転軸との各々に支持してなる請求項7に記載の電波吸収特性測定装置。
【請求項10】
前記可変支持機構が,2つの前記リンク機構各々の前記回動部をリンクし,該回動部各々を既定の基準軸線を中心に該基準軸線における既定の基準放線方向に対する両側各々に対称な角度で回動させる前記組合せリンク機構である第2の組合せリンク機構を備え,
前記送信アンテナと前記受信アンテナとを各々前記第2のリンク機構を構成する2つの前記リンク機構各々に対して相対位置を一定に維持して支持するとともに,2つの前記反射部材各々を2つの前記リンク機構の前記回転軸各々に支持し,前記被測定物を前記基準軸線の位置に前記基準基準放線方向に向けて固定支持してなる請求項7に記載の電波吸収特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−10592(P2006−10592A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190676(P2004−190676)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】