説明

電波吸収織物及びその製造方法

【課題】電波吸収織物において、建物内で十分な電波の吸収性能を有するとともに断熱性・吸音性をも兼ね備え、かつ極めて軽量で建材としての取扱い性・作業性に優れること。
【解決手段】電波吸収織物1は、レーヨン繊維に備長炭の粉を練り込んだものからなる多数本の糸2の間に、所定間隔として25mmをおいて、熱により収縮する高収縮糸4を3本と、カーボン繊維からなるカーボン糸3が1本配置されるように、織機で縦横に織って織物1Aを製造し、所定温度に加熱することによって高収縮糸4が収縮して、格子状に配置された高収縮糸4に囲まれた多数本の糸2が屈曲して膨らんだ状態となる。同時に、高収縮糸4に隣り合って格子状に織り込まれた、カーボン繊維からなるカーボン糸3も弛んだ状態となる。このように弛んだ状態のカーボン糸3が縦横に入っていることによって、電波吸収織物1は電波吸収特性を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に建物内において優れた電波の吸収材として用いることができるとともに、断熱性・吸音性をも備えており、壁材の断熱材等に応用することができる電波吸収織物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IT(情報技術)の発達によって、パーソナル・コンピュータ(以下、「パソコン」という。)を始めとするIT機器・OA機器が急速に普及し、通常の家庭環境や職場環境においても、これらのIT機器・OA機器から放射される電磁波が人体にもたらす影響が問題にされるようになってきた。また、インターネットの発達・普及に伴って無線LANが多用されるようになり、建物内における無線LANの混線も問題になっている。
【0003】
そこで、このような建物内における電波散乱の問題を解決するために、特許文献1においては、電波反射層の上に透湿率が2.0×10-8g/Pa・s・m以下でかつ両面に防水部が形成された無機質建材層が設けられ、かつ無機質建材層の上には抵抗膜層が形成されてなる電波吸収建材の発明について開示している。かかる構成を有する電波吸収建材は、無機質建材層の含水率の変化によって生じる電波吸収性能の変化を防止し、湿気や水分に影響されない安定した電波吸収性能を得ることができるとしている。
【0004】
また、特許文献2においては、水硬化性無機バインダー100重量部に対して、繊維状誘電体0.01重量部〜1.0重量部を配合してなる電磁波吸収層からなる電磁波吸収材の発明について開示している。かかる構成を有する電磁波吸収材は、準マイクロ波帯域からミリ波帯域までの各種の無線通信システム周波数帯域の電磁波を吸収し、かつ軽量であり、建材としての取扱い性・作業性に優れた難燃性の電磁波吸収材となるとしている。
【特許文献1】特開2000−216587号公報
【特許文献2】特開平10−200285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電波吸収建材においては、無機質建材層として繊維補強セメント板・ケイ酸カルシウム板・石膏板等を用いているために重量が大きくなり、建材としての取扱い性・作業性に劣り、また構造が複雑であるため高価になるという問題点があった。また、上記特許文献2に記載の電磁波吸収材においても、水硬化性無機バインダーとしてポルトランドセメント・アルミナセメント・ケイ酸カルシウム・石膏等を用いているために重量が大きくなり、建材としての取扱い性・作業性に優れるとは言えないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる電波吸収織物及びその製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にかかる電波吸収織物は、可紡性繊維からなる多数本の糸の間に所定間隔で熱により収縮する高収縮糸が数本とカーボン繊維からなるカーボン糸または金属線が1本または数本配置されるように織機で縦横に織ってなる織物を加熱して、前記高収縮糸を収縮させることによって、格子状に配置された前記高収縮糸に囲まれた前記可紡性繊維からなる多数本の糸が屈曲して膨らんでなるものである。
【0008】
ここで、「可紡性繊維」としては、通常、木綿、絹、麻、羊毛、ナイロン、ビニロン、ポリエステル繊維、アクリル繊維、塩化ビニリデン繊維、アセテート、レーヨン等の有機質繊維、ガラス繊維等の無機質繊維を用いることができ、またはこれらの繊維を混用することができる。また、「金属線」としては、ステンレス線、銅線、亜鉛メッキした銅線、等を用いることができる。
【0009】
請求項2の発明にかかる電波吸収織物は、合成繊維に炭粉を練り込んだものからなる多数本の糸の間に所定間隔で熱により収縮する高収縮糸が数本とカーボン繊維からなるカーボン糸または金属線が1本または数本配置されるように織機で縦横に織ってなる織物を加熱して、前記高収縮糸を収縮させることによって、格子状に配置された前記高収縮糸に囲まれた前記合成繊維に炭粉を練り込んだものからなる多数本の糸が屈曲して膨らんでなるものである。
【0010】
ここで、「合成繊維」としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル繊維、アクリル繊維、塩化ビニリデン繊維、アセテート、レーヨン等の合成繊維を用いることができ、またはこれらの繊維を混用することができる。
【0011】
請求項3の発明にかかる電波吸収織物は、請求項2の構成において、前記炭粉は備長炭の粉であるものである。
【0012】
請求項4の発明にかかる電波吸収織物は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記カーボン繊維からなるカーボン糸を用いた場合に前記所定間隔は15mm〜50mmの範囲内であるものである。
【0013】
請求項5の発明にかかる電波吸収織物は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記金属線を用いた場合に前記所定間隔は5mm〜15mmの範囲内であるものである。
【0014】
請求項6の発明にかかる電波吸収織物は、請求項1乃至請求項3または請求項5のいずれか1つの構成において、前記金属線はステンレス線または亜鉛メッキした銅線であるものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明にかかる電波吸収織物は、可紡性繊維からなる多数本の糸の間に所定間隔で熱により収縮する高収縮糸が数本とカーボン繊維からなるカーボン糸または金属線が1本または数本配置されるように織機で縦横に織ってなる織物を加熱して、高収縮糸を収縮させることによって、格子状に配置された高収縮糸に囲まれた可紡性繊維からなる多数本の糸が屈曲して膨らんでなる。
【0016】
ここで、「可紡性繊維」としては、通常、木綿、絹、麻、羊毛、ナイロン、ビニロン、ポリエステル繊維、アクリル繊維、塩化ビニリデン繊維、アセテート、レーヨン等の有機質繊維、ガラス繊維等の無機質繊維を用いることができ、またはこれらの繊維を混用することができる。また、「金属線」としては、ステンレス線、銅線、亜鉛メッキした銅線、等を用いることができる。
【0017】
こうして作製された電波吸収織物は、平らに設置した状態においては数dBの電波吸収性能しか示さないが、折りたたんで50mm以上の厚さにすることによって、10dB以上の電波吸収性能を示す。しかも、ミリ波からマイクロ波に亘る広い周波数帯域において、10dB以上の電波吸収性能を示す。室内における電波吸収性能は、10dB以上あれば十分とされており、壁材等に用いられる断熱材は、一般に50mm以上の厚さを有することから、本発明に係る電波吸収織物を折りたたんで50mm以上の厚さにすることによって、室内において十分な電波吸収性能を得ることができる。
【0018】
また、こうして作製された電波吸収織物は、格子状に配置された高収縮糸に囲まれた可紡性繊維からなる多数本の糸が屈曲して膨らんでいることから、この部分に十分な空気を含んでいるために、優れた断熱性を示すとともに、優れた吸音効果をも示すものとなる。そして、織物として構成されるために、極めて軽量であり、取扱い性・作業性に優れたものとなる。
【0019】
このようにして、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる電波吸収織物となる。
【0020】
請求項2の発明にかかる電波吸収織物は、合成繊維に炭粉を練り込んだものからなる多数本の糸の間に所定間隔で熱により収縮する高収縮糸が数本とカーボン繊維からなるカーボン糸または金属線が1本または数本配置されるように織機で縦横に織ってなる織物を加熱して、高収縮糸を収縮させることによって、格子状に配置された高収縮糸に囲まれた合成繊維に炭粉を練り込んだものからなる多数本の糸が屈曲して膨らんでなる。ここで、「合成繊維」としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル繊維、アクリル繊維、塩化ビニリデン繊維、アセテート、レーヨン等の合成繊維を用いることができ、またはこれらの繊維を混用することができる。
【0021】
こうして作製された電波吸収織物は、平らに設置した状態においては数dBの電波吸収性能しか示さないが、折りたたんで50mm以上の厚さにすることによって、10dB以上の電波吸収性能を示す。しかも、ミリ波からマイクロ波に亘る広い周波数帯域において、10dB以上の電波吸収性能を示す。室内における電波吸収性能は、10dB以上あれば十分とされており、壁材等に用いられる断熱材は、一般に50mm以上の厚さを有することから、本発明に係る電波吸収織物を折りたたんで50mm以上の厚さにすることによって、室内において十分な電波吸収性能を得ることができる。
【0022】
また、こうして作製された電波吸収織物は、格子状に配置された高収縮糸に囲まれた合成繊維に炭粉を練り込んだものからなる多数本の糸が屈曲して膨らんでいることから、この部分に十分な空気を含んでいるために、優れた断熱性を示すとともに、優れた吸音効果をも示すものとなる。更に、合成繊維に炭粉が練り込まれていることから、優れた吸臭性をも示す。そして、織物として構成されるために、極めて軽量であり、取扱い性・作業性に優れたものとなる。
【0023】
このようにして、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性・吸臭性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる電波吸収織物となる。
【0024】
請求項3の発明にかかる電波吸収織物は、炭粉が備長炭の粉である。したがって、請求項2に記載の効果に加えて、備長炭の粉が発する遠赤外線による保温効果をも得ることができる。また、吸臭性についても、備長炭の粉の方が通常の炭粉よりも優れている。
【0025】
このようにして、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性・吸臭性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる電波吸収織物となる。
【0026】
請求項4の発明にかかる電波吸収織物は、カーボン繊維からなるカーボン糸を用いた場合に所定間隔が15mm〜50mmの範囲内である。本発明者は、通常カーボン糸として用いられる600デニール,1200デニール,1800デニールのカーボン糸を用いた場合に、所定間隔がどの程度の範囲内の場合に最も効率良く電波吸収効果が得られるかについて鋭意実験研究を重ねた結果、所定間隔が15mm〜50mmの範囲内である場合に最も効率良く電波吸収効果が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0027】
即ち、所定間隔が15mm未満の場合には、隣り合うカーボン糸の間隔が狭くなり過ぎて電波吸収ではなく電波反射を起こしてしまい、一方所定間隔が50mmを超える場合には、隣り合うカーボン糸の間隔が広くなり過ぎて効率良く電波吸収を行うことができなくなってしまう。したがって、カーボン糸を用いた場合には、所定間隔が15mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。
【0028】
このようにして、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる電波吸収織物となる。
【0029】
請求項5の発明にかかる電波吸収織物は、金属線を用いた場合に所定間隔が5mm〜15mmの範囲内である。本発明者は、通常織物に用いられる金属線である太さが50μm〜150μmの金属線を用いた場合に、所定間隔がどの程度の範囲内の場合に最も効率良く電波吸収効果が得られるかについて鋭意実験研究を重ねた結果、所定間隔が5mm〜15mmの範囲内である場合に最も効率良く電波吸収効果が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0030】
即ち、所定間隔が5mm未満の場合には、隣り合う金属線の間隔が狭くなり過ぎて電波吸収ではなく電波反射を起こしてしまい、一方所定間隔が15mmを超える場合には、隣り合う金属線の間隔が広くなり過ぎて効率良く電波吸収を行うことができなくなってしまう。したがって、金属線を用いた場合には、所定間隔が5mm〜15mmの範囲内であることが好ましい。
【0031】
このようにして、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる電波吸収織物となる。
【0032】
請求項6の発明にかかる電波吸収織物は、金属線がステンレス線または亜鉛メッキした銅線である。ステンレス線及び亜鉛メッキした銅線は、水分が存在しても錆びることがなく耐久性に優れ、また弾力性があるため織機で織った場合にも切れる恐れが少ない。
【0033】
このようにして、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる電波吸収織物となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。図1(a)は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物の表側を示す斜視図、(b)は電波吸収織物の裏側を示す斜視図である。図2(a),(b)は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物の製造方法と詳細な構造を示す部分拡大図である。図3は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物を建物の内部の断熱材として使用した状態を示す部分断面図である。図4は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物の電波吸収特性を示すグラフである。
【0035】
図1に示されるように、本実施の形態にかかる電波吸収織物1は、合成繊維としてのレーヨン繊維に炭粉としての備長炭の粉を練り込んだものからなる多数本の糸2の間に、所定間隔で熱により収縮する図示されない高収縮糸が数本と、カーボン繊維からなるカーボン糸3が1本配置されるように織機で縦横に織ってなる織物を加熱して、高収縮糸を収縮させることによって、格子状に配置された高収縮糸に囲まれた多数本の糸2が屈曲して膨らんでなる。したがって、図1(a)に示されるように嵩高い織物となり、内部に空気を十分に含んだものとなる。
【0036】
本実施の形態にかかる電波吸収織物1の製造方法及び詳細な構造について、図2を参照して説明する。図2(a)に示されるように、本実施の形態にかかる電波吸収織物1は、レーヨン繊維に備長炭の粉を練り込んだものからなる多数本の糸2の間に、所定間隔として25mmをおいて、熱により収縮する高収縮糸4を3本と、カーボン繊維からなるカーボン糸3が1本配置されるように、織機で縦横に織って織物1Aを製造する。
【0037】
続いて、この織物1Aを所定温度に加熱することによって、図2(b)に示されるように高収縮糸4が収縮して、格子状に配置された高収縮糸4に囲まれた多数本の糸2が屈曲して膨らんだ状態となる。同時に、高収縮糸4に隣り合って格子状に織り込まれた、カーボン繊維からなるカーボン糸3も弛んだ状態となる。このように弛んだ状態のカーボン糸3が縦横に入っていることによって、本実施の形態にかかる電波吸収織物1は電波吸収特性を発揮する。
【0038】
次に、本実施の形態にかかる電波吸収織物1を断熱材として使用した一例について、図3を参照して説明する。図3に示されるように、部屋を仕切る壁材として使用する場合には、一定間隔tで固定された1対の表面パネル材5の間に、電波吸収織物1を折りたたんで収納していく。このときの間隔tは、50mm以上あることが好ましい。こうして、1対の表面パネル材5の間に、電波吸収織物1を折りたたんで充填することによって、電波吸収織物1中の弛んだ状態のカーボン糸3が、更に複雑に屈曲して優れた電波吸収性能を示す。
【0039】
本実施の形態にかかる電波吸収織物1の電波吸収性能について、図4を参照して説明する。電波吸収織物1を図3に示されるように折りたたまず、図1に示されるように平面状に設置した場合には、図4に破線S1で示されるように、電波吸収性能は4.3dBに過ぎない。しかし、電波吸収織物1を図3に示されるように折りたたんで測定した場合には、図3のt=50mmのときに、図4に実線S2で示されるように、電波吸収性能は11.2dBに達する。しかも、4.9GHzから7.05GHzまでの広い周波数帯域に亘って変わらない電波吸収性能を示す。
【0040】
上述したように、室内における電波障害の諸問題を解決するためには、電波吸収性能としては10dBあれば十分であると考えられている。したがって、図3に示されるように、本実施の形態にかかる電波吸収織物1を折りたたんで断熱材として用いることによって、マイクロ波からミリ波に亘る広い帯域において、必要な電波吸収性能を得ることができる。また電波吸収織物1は内部に空気を十分に含んでいるために、断熱性及び吸音性も優れており、更に多数本の糸2には備長炭の粉が練り込まれた繊維が使用されているため、優れた吸臭性をも有し、備長炭の遠赤外線による保温効果も得られる。
【0041】
また、電波吸収織物1は内部に空気を十分に含んだ織物であるために、極めて軽量であり、建材として運搬・施工が容易であり、取扱い性・作業性に優れている。
【0042】
このようにして、本実施の形態にかかる電波吸収織物1は、建物内において十分な電波の吸収性能を有するとともに、断熱性・吸音性・吸臭性をも兼ね備えており、かつ極めて軽量であって建材としての取扱い性・作業性に優れ、壁材の断熱材等に容易に応用することができる。
【0043】
本実施の形態においては、電波吸収材としてカーボン繊維からなるカーボン糸3を使用した場合について説明したが、カーボン糸3の代わりにステンレス線または亜鉛メッキした銅線等の金属線を用いることもできる。この場合には、金属線を5mm〜15mmの範囲内の間隔で配置することが好ましい。
【0044】
また、本実施の形態においては、多数本の糸として備長炭の粉を練り込んだレーヨン繊維からなる糸2を用いた場合について説明したが、レーヨン繊維以外の合成繊維に備長炭の粉を練り込んだものからなる糸を使用しても良いし、備長炭の粉以外の炭粉を練り込んだものからなる糸を使用しても良いし、木綿、絹、麻、羊毛を始めとする可紡性繊維からなる糸を使用しても良い。
【0045】
電波吸収織物のその他の部分の構成、形状、数量、材質、太さ、厚さ、大きさ、接続関係、使用方法等についても、本実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1(a)は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物の表側を示す斜視図、(b)は電波吸収織物の裏側を示す斜視図である。
【図2】図2(a),(b)は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物の製造方法と詳細な構造を示す部分拡大図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物を建物の内部の断熱材として使用した状態を示す部分断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態にかかる電波吸収織物の電波吸収特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1 電波吸収織物
2 多数本の糸
3 カーボン繊維からなるカーボン糸
4 高収縮糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可紡性繊維からなる多数本の糸の間に所定間隔で熱により収縮する高収縮糸が数本とカーボン繊維からなるカーボン糸または金属線が1本または数本配置されるように織機で縦横に織ってなる織物を加熱して、前記高収縮糸を収縮させることによって、格子状に配置された前記高収縮糸に囲まれた前記可紡性繊維からなる多数本の糸が屈曲して膨らんでなることを特徴とする電波吸収織物。
【請求項2】
合成繊維に炭粉を練り込んだものからなる多数本の糸の間に所定間隔で熱により収縮する高収縮糸が数本とカーボン繊維からなるカーボン糸または金属線が1本または数本配置されるように織機で縦横に織ってなる織物を加熱して、前記高収縮糸を収縮させることによって、格子状に配置された前記高収縮糸に囲まれた前記合成繊維に炭粉を練り込んだものからなる多数本の糸が屈曲して膨らんでなることを特徴とする電波吸収織物。
【請求項3】
前記炭粉は備長炭の粉であることを特徴とする請求項2に記載の電波吸収織物。
【請求項4】
前記カーボン繊維からなるカーボン糸を用いた場合に前記所定間隔は15mm〜50mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の電波吸収織物。
【請求項5】
前記金属線を用いた場合に前記所定間隔は5mm〜15mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の電波吸収織物。
【請求項6】
前記金属線はステンレス線または亜鉛メッキした銅線であることを特徴とする請求項1乃至請求項3または請求項5のいずれか1つに記載の電波吸収織物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−115489(P2008−115489A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298624(P2006−298624)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(503210441)松山毛織株式会社 (11)
【Fターム(参考)】