説明

電波遮蔽検査室の扉構造

【課題】電波遮蔽検査室の室内圧力が上昇した場合にも室内作業者を簡易に外に避難させることができる。
【解決手段】電波遮蔽検査室の電波遮蔽壁Mに設けた開口部1と、開口部1に電波遮蔽検査室の内側に開閉するように設けられると共に、開口部1に電波シールドブロック5を介して密接される開閉扉2と、開閉扉2に人の出入りが可能な大きさに開口した小開口部3と、小開口部3に電波遮蔽検査室の外側に開閉するように設けられると共に、小開口部3に電波シールドブロック5を介して密接される小開閉扉4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRI検査室や所謂電波シールドルームなどの電波遮蔽検査室における扉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電波シールドルームに、子扉付シールド扉を介して電波シールド空間を設けることが記載されている。この電波シールド空間は、電波遮蔽材を内側に有する壁面を備えており、この壁面に、子扉付シールド扉が設けられている。この従来技術によると、大扉のシールド部材と、子扉のシールド部材を対向しないように配置することで、人が電波シールドルームに出入りする際にも高いシールド性能が得られるようにしている。この際、大扉は電波シールドルームの内側に開く構造になっており、子扉は電波シールド空間の外側に開く構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−177576号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術で示すように、電波遮蔽検査室などの電波シールドルームの扉は、室内側に開閉する構造になっている。このため、室内でMRIなどに使用されているガス(Heガス)の圧力が上昇した場合には、この圧力が扉を壁面に押しつけることになるので、扉が開き難くなる。したがって、室内の圧力が高くなるような事態が生じた場合には、中で作業する人が扉を開けて外に避難しにくくなる問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、室内の圧力が高くなる可能性のある電波遮蔽検査室の扉構造において、室内の圧力が高くなった場合であっても、室内で作業する人が簡易に外に避難することができることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明による電波遮蔽検査室の扉構造は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
電波遮蔽検査室の電波遮蔽壁に設けた開口部と、前記開口部に前記電波遮蔽検査室の内側に開閉するように設けられると共に、前記開口部に電波シールドブロックを介して密接される開閉扉と、前記開閉扉に人の出入りが可能な大きさに開口した小開口部と、前記小開口部に前記電波遮蔽検査室の外側に開閉するように設けられると共に、前記小開口部に電波シールドブロックを介して密接される小開閉扉とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような電波遮蔽検査室の扉構造によると、電波遮蔽検査室内の電波遮蔽効果を維持しながら、室内の圧力が上昇した場合であっても、室内の作業者は小開閉扉を外側に開けて小開口部から簡易に外に避難することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る電波遮蔽検査室の扉構造を示した正面図(室内側からみた正面図)
【図2】本発明の一実施形態に係る電波遮蔽検査室の扉構造を示した横断面図
【図3】本発明の一実施形態に係る電波遮蔽検査室の扉構造を示した縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電波遮蔽検査室の扉構造を示した正面図(室内側からみた正面図)、図2は図1の横断面図、図3は図1の縦断面図をそれぞれ示している。
【0010】
本発明の実施形態に係る電波遮蔽室の扉構造は、電波遮蔽検査室の電波遮蔽壁Mに設けた開口部1と、開口部1に電波遮蔽検査室の内側に開閉するように設けられると共に、開口部1に電波シールドブロック5を介して密接される開閉扉2と、開閉扉2に人の出入りが可能な大きさに開口した小開口部3と、小開口部3に電波遮蔽検査室の外側に開閉するように設けられると共に、小開口部3に電波シールドブロック5を介して密接される小開閉扉4とを備えている。
【0011】
図示の例では、電波遮蔽検査室(以下、検査室という)の外側に前室が配置されており、電波遮蔽部材Maが内蔵された壁Mに形成された開口部1は、検査室と前室との通路を形成している。開口部1に開閉扉2が蝶番2Aによって開閉自在に装着されている。開閉扉2は検査室側に開く構造になっており、開閉扉2の検査室側及び前室側の両面には、グレモンハンドル2Bが装備されている。また、開口部1は、ステンレス製のアングル部材によって囲まれており、そのアングル部材1Aが開閉扉2と当接する周囲に電波シールドブロック5が配備されている。電波シールドブロック5は、例えば、柔軟性のあるプラスチック発泡体の内部に金属網材を保持した構造を有している。
【0012】
そして、開閉扉2に小開口部3を設けている。小開口部3は人が出入りすることが可能な大きさで有り、例えば幅600mm×高さ1200mm程度の大きさになっている。小開口部3には小開閉扉4が蝶番4Aによって開閉自在に装着されている。小開閉扉4は検査室の外側(前室側)に開く構造になっており、小開閉扉4の室内側の面には、グレモンハンドル4B(開閉用のハンドル)が装備されている。
【0013】
このような電波遮蔽検査室の扉構造によると、検査室と前室との通路は、比較的大きい開閉扉2を開放することによって確保することができ、機材の出し入れ等はこの開閉扉2を開放することで行うことができる。一方、検査室内での作業中に検査室内の圧力が上昇することで開閉扉2の開放が困難になった場合には、検査室内の作業者は、小開閉扉4を外側に開けることで脱出の通路を確保することができる。これによって、電波遮蔽検査室内における作業者の安全を確保することができる。また、開閉扉2と小開閉扉4はいずれも閉時に電波シールドブロック5によって密閉されているので、検査室内の電波遮蔽機能は高いレベルで維持することができる。
【符号の説明】
【0014】
1:開口部,2:開閉扉,3:小開口部,4:小開閉扉,
5:電波シールドブロック,M:壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波遮蔽検査室の電波遮蔽壁に設けた開口部と、
前記開口部に前記電波遮蔽検査室の内側に開閉するように設けられると共に、前記開口部に電波シールドブロックを介して密接される開閉扉と、
前記開閉扉に人の出入りが可能な大きさに開口した小開口部と、
前記小開口部に前記電波遮蔽検査室の外側に開閉するように設けられると共に、前記小開口部に電波シールドブロックを介して密接される小開閉扉とを備えたことを特徴とする電波遮蔽検査室の扉構造。
【請求項2】
前記小開閉扉は、前記電波遮蔽検査室の室内側に開閉用のハンドルを備えたことを特徴とする電波遮蔽検査室の扉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−30635(P2013−30635A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166036(P2011−166036)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(508123641)Sメディカルシールド株式会社 (2)
【Fターム(参考)】