説明

電流負荷駆動装置

【課題】電源と外部負荷の接続の仕方によって2線式と3線式の回路に自動的に切り替わる電流負荷駆動装置を提供する。
【解決手段】
定電圧源22は、制御部23に定電圧VBを供給する。制御部23は、定電圧源22から供給される定電圧VBを入力とし電流制御部24の電流を調節することで電源ラインの電圧をVBの定数倍の電圧に保持する。指令部28は、物体の有無、距離などを検知し電流出力部24の出力のオン/オフを制御する。電流出力部24は、指令部28の信号により出力のオン/オフを切り替えられる。また、制御部23は、外部負荷29及び電源30の2線/3線の接続方式に応じて、電源ラインの電圧Vccを異なる定電圧に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流負荷駆動装置に関し、具体的には、近接センサ等の検知出力によって電流負荷(外部負荷)を駆動する検出装置などとして用いられる電流負荷駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(2線式と3線式)
例えば自動化工作機器等では、その各種工具の動作や状態を監視するために検出装置を備えており、センサが各種工具の異常などを検知すると検出装置から工作機械等の外部負荷へ信号を出力するようにしている。
【0003】
センサの検知出力によって電流負荷を駆動する検出装置(電流負荷駆動装置)には、電源端子、出力端子およびアース端子を備えた3線式のものと、電源端子と出力端子とが共用されていて電源端子およびアース端子を備えた2線式のものとがある。
【0004】
3線式の検出装置は電源端子、出力端子、アース端子を備え、電源端子とアース端子との間に電源を接続し、出力端子とアース端子との間に外部負荷を接続するように構成される。また、2線式の検出装置は電源端子を出力端子と共用しており、電源端子とアース端子との間に電源と外部負荷を直列にして接続される。
【0005】
2線式の検出装置では、外部負荷が検出装置と直列に接続されるため、省配線のメリットがある。特に、外部負荷や電源が検出装置から離れた位置にある場合には、この省配線のメリットは大きい。一方、2線式では、電源電圧を外部負荷と検出装置とで分割消費するので、消費電流の大きな外部負荷になると、その電圧降下により検出装置自体が正常動作するための電圧が得られなくなる。よって、2線式の検出装置では、外部負荷の駆動電流が大きくなり過ぎないように出力電流を制御する必要があり、用途が限定される。従って、従来においては、2線式の検出装置とは別に、3線式の検出装置も必要とされていた。
【0006】
しかし、2線式の検出装置と3線式の検出装置を別個に提供することになると、品種が増加する結果、検出装置のコストが上昇するという問題がある。そのため、駆動回路の異なる2線式と3線式の双方に対応できる検出装置が求められていた。
【0007】
(2線/3線共用式)
2線式および3線式のいずれにも対応することのできる検出装置としては、特許文献1に開示されたものがある。図1はこの検出装置を示すブロック図であって、符号1は検知器、2は出力回路、3は電源端子、4は出力端子、5はアース端子、6は2線/3線切換手段、6aは入力端子、6bは3線側出力端子、6cは2線側出力端子、6dは切換端子、7は電流増幅手段、8は出力ドライバ手段、9は基準電圧生成手段、10は電流設定手段、11はセンサ、12は抵抗、13は比較器である。
【0008】
この検出装置では、2線式として用いる場合には、2線/3線切換手段6の切換端子6dを開放にすると、それに連動して3線側出力端子6bが開放され、2線側出力端子6cが閉成される。そして、電源端子3と出力端子4を短絡接続し、外部負荷と電源を直列にして電源端子3(出力端子4)とアース端子5の間に接続する。切り換え端子6dを開放にすると、入力端子6aが2線側出力端子6cに接続されて電流設定手段10が有効になるので、電流設定手段10は電源端子3の入力電圧Vccが基準電圧生成手段9から出力される基準電圧Vrefより低くならないように電流増幅手段7に供給する電流を調整し、それによって外部負荷の電圧降下を抑制して検出装置が正常に動作する電圧を確保する。
【0009】
また、3線式として用いる場合には、2線/3線切換手段6の切換端子6dを閉じると、それに連動して3線側出力端子6bが閉成され、2線側出力端子6cが開放される。そして、電源端子3とアース端子5の間に電源を接続し、出力端子4とアース端子5の間に外部負荷を接続する。
【0010】
このように特許文献1に開示された検出装置では、2線式として使用するか3線式として使用するかを設定するための2線/3線切換手段6を備えており、2線式として用いる場合には切換端子6dを開放に、3線式として用いる場合には切換端子6dを閉成にそれぞれ手動で切り替えなければならなかった。そのため、人為的な設定ミスにより、切換端子6dの設定が、外部負荷及び電源の接続のされ方と一致せず、検出装置が正常に動作しなくなる恐れがあった。
【特許文献1】特許第3488034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電源と外部負荷の接続の仕方によって2線式と3線式の回路に自動的に切り替わる電流負荷駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる電流負荷駆動装置は、電源ラインにつながった電源端子と、アースラインにつながったアース端子と、1つ又は複数の出力端子と、定電圧源と、制御部と、電流出力部と、指令部とを備え、前記定電圧源は、前記制御部に定電圧を供給し、前記制御部は、電源ラインとアースラインの間の電圧が前記定電圧を一定倍した目標電圧となるように前記電流出力部に制御用電流を出力し、電源ラインとアースラインの間の電圧が前記目標電圧に達しないときには前記制御用電流を出力停止し、前記指令部は、前記電流出力部に電流出力のオンとオフを切り替えるための信号を供給し、前記電流出力部は、前記制御部からの制御用電流により出力端子へ出力する電流を増減させ、前記制御用電流が出力停止している場合には、一定値の電流を出力するように構成され、かつ、前記出力端子への電流出力は前記指令部の信号によってオンとオフに切り換えられることを特徴としている。
【0013】
本発明の電流負荷駆動装置は、指令部から出力された信号によって電流出力部の出力電流のオン/オフを切り換えることができるので、例えば物体の検知/非検知に応じて電流出力部から外部負荷への出力電流をオン/オフ(あるいは、オフ/オン)させることができ、物体の検知/非検知に応じて外部負荷の動作を変化させることができる。
【0014】
また、本発明の電流負荷駆動装置の制御部は、電源ラインとアースラインの間の電圧Vccが定電圧源からの定電圧VBを一定倍した目標電圧VAとなるように電流出力部に制御用電流を出力するので、電源端子と出力端子とを短絡させ、電源端子とアース端子との間に外部負荷と電源とを直列にして接続した(2線式)場合には、電源ラインの電圧Vccが所定の定電圧VAに保たれ、電流負荷駆動装置を駆動するのに必要な電圧を確保できる。また、電源ラインとアースラインの間の電圧Vccが目標電圧VAと等しくなるように制御できないときには、制御用電流を制御出力部へ出力しないようにしているので、電源端子とアース端子の間に電源を接続し、電源端子と出力端子の間に外部負荷を接続した(3線式)の場合には、電源ラインの電圧Vccが電源の電圧に保たれ、電流負荷駆動装置を駆動するのに必要な電圧を確保できる。よって、本発明の電流負荷駆動装置によれば、電流駆動装置の内部のスイッチや内部配線等を操作することなく、電源端子、出力端子およびアース端子に接続する外部負荷及び電源の接続の仕方が2線式であるか、3線式であるかに応じて電流負荷駆動装置も2線式用と3線式に切り換えられる。従って、従来例のように電流負荷駆動装置の設定ミスによって電流負荷駆動装置が動作不全を起こす恐れがない。
【0015】
本発明にかかる電流負荷駆動装置のある実施態様は、前記制御部は、電源ラインとアースラインとの間の電圧を分圧するための分圧手段と、非反転入力端子に前記定電圧源からの定電圧を供給されると共に反転入力端子に前記分圧手段で分圧された電圧を供給される差動増幅器と、前記差動増幅器の出力をベースに接続されたトランジスタによって構成されていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、分圧手段で分圧された電源ラインの電圧と定電圧源から供給された定電圧を比較することにより、電源ラインの電圧が所定の電圧と等しくなるように制御するための制御用電流を生成することができる。
【0016】
さらに、上記実施態様においては、前記定電圧源が、前記制御部に定電圧を出力するためのバンドギャップ回路と、前記バンドギャップ回路に定電圧を供給する定電圧回路とによって構成されていてもよい。かかる定電圧源によれば、定電圧回路から供給された定電圧によってバンドギャップ回路から定電圧を出力しているので、定電圧源から出力される定電圧の安定性を高めることができる。
【0017】
本発明にかかる電流負荷駆動装置の別な実施態様は、外部負荷を直接に接続するための1つの前記出力端子を備え、前記電流出力部は、その電流出力を直接に外部負荷に供給できるように構成されていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、電源端子、出力端子およびアース端子に直接に外部負荷と電源を2線式もしくは3線式で接続することができる。
【0018】
本発明にかかる電流負荷駆動装置のさらに別な実施態様は、2つの前記出力端子を備え、前記電流出力部は、一方の出力端子に接続されたNPN型の外付用トランジスタを介して外部負荷に電流出力を供給でき、また、他方の出力端子に接続されたPNP型の外付用トランジスタを介して外部負荷に電流出力を供給できるように構成されていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、3線式で外部負荷と電源を接続する場合には、外部負荷の種類に応じて、NPN型の外付用トランジスタを介して外部負荷を一方の出力端子に接続するか(NPN出力方式)、あるいは、PNP型の外付用トランジスタを介して外部負荷を他方の出力端子に接続するか(PNP出力方式)を選択することができる。
【0019】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
以下、図2〜図6を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図2(a)は本発明の実施形態1による電流負荷駆動装置21のブロック図である。また、図2(b)、(c)は、電流負荷駆動装置21に外部負荷29(電流負荷)と電源30を2線式で接続する場合と3線式で接続する場合のそれぞれの配線状態を示す。
【0022】
図2(a)に示すように、電流負荷駆動装置21は、定電圧源22、制御部23、電流出力部24、電源端子25、出力端子26、アース端子27および指令部28によって構成される。定電圧源22、制御部23および電流出力部24は、電源端子25につながった電源ラインとアース端子27につながったアースラインとの間に互いに並列に接続されている。
【0023】
定電圧源22は、制御部23へ定電圧VBを供給する。制御部23は、電源ラインの電圧Vccが定電圧VBを一定倍した電圧VAになるように、電流出力部24に制御用電流Icを出力する。よって、この場合には、Vcc=VA=kVBとなる(kは定数)。ただし、制御部23が電源ラインの電圧VccをVAに調整しようとしても電圧Vccが変化しない場合には、制御部23は制御用電流Icをオフにする(すなわち、Ic=0アンペアとなる)。
【0024】
電流出力部24の出力は出力端子26につながっており、電流出力部24は制御用電流Icの値に応じた電流Ioutを出力端子26へ出力する。この出力電流Ioutは、制御部23からの制御用電流Icによって変化するが、0アンペアになることはなく(Iout≠0アンペア)、しかも制御用電流Icの増減に伴って出力電流Ioutは単調に増減する。ただし、制御用電流Icがオフの場合には、電流出力部24は一定電流Iout(≠0アンペア)を出力端子26へ出力する。
【0025】
指令部28は、電流出力部24の出力のオン、オフを切り替える信号Isを電流出力部24に出力する。電流出力部24は、指令部28からの信号Isによって出力がオンになっている場合には、制御用電流Icの値に応じて0アンペアでない電流Ioutを出力し、信号Isによって出力がオフになっている場合には、制御用電流Icの値にかかわらず出力端子26へ電流を出力しない(つまり、Iout=0アンペア)。
【0026】
この電流負荷駆動装置21に外部負荷29と電源30を2線式で接続する場合には、図2(b)に示すように、電源端子25と出力端子26をつないで短絡させるとともに、外部負荷29と電源30を直列に接続したものを電源端子25とアース端子27の間に接続する。
【0027】
2線式の場合には、制御部23によって電源ラインの電圧Vccが一定電圧VA=kVBとなるように制御される。そのため、制御部23から電流出力部24には、外部負荷29の抵抗値に応じた値の制御用電流Icが出力される。そして、指令部28からの信号Isで電流出力部24の出力がオンになっている場合には、電流出力部24の出力から外部負荷29に制御用電流Icの値に応じた電流Iout(≠0アンペア)が出力される。また、指令部28からの信号Isで電流出力部24の出力がオフになった場合には、電流出力部24の出力から外部負荷29に電流が流れなくなる(Iout=0アンペア)。
【0028】
電流負荷駆動装置21に外部負荷29と電源30を3線式で接続する場合には、図2(c)に示すように、電源端子25と出力端子26の間に外部負荷29を接続し、電源端子25とアース端子27の間に電源30を接続する。
【0029】
3線式の場合には、電源ラインの電圧Vccは電源30の電圧Voに等しくなり、制御部23によって電源ラインの電圧Vccが一定電圧VA=kVBとなるように制御することができないので、制御部23から電流出力部24に出力される制御用電流Icはオフ(0アンペア)となる。そして、指令部28からの信号Isで電流出力部24の出力がオンになっている場合には、電流出力部24の出力から外部負荷29に一定電流Iout(≠0アンペア)が出力される。また、指令部28からの信号Isで電流出力部24の出力がオフになった場合には、電流出力部24の出力から外部負荷29には電流は流れなくなる(Iout=0アンペア)。
【0030】
上記のような電流負荷駆動装置21では、省配線の可能な2線式としても用いることができる。2線式として用いる場合には、制御部の働きにより電源ラインの電圧Vccを予め設定した一定電圧に保つことによって電圧Vccが不足して電流負荷駆動装置21が動作不全を起こさないようにしている。すなわち、外部負荷29の負荷が大きい場合は制御用電流Ic及び出力電流Ioutの値が変化して外部負荷29に流れる電流を減少させ、それによって電源ラインの電圧Vccを一定に保つ。
【0031】
また、上記のような電流負荷駆動装置21によれば、電流負荷駆動装置21の電源端子25、出力端子26、アース端子27に接続する外部負荷29や電源30などの接続の仕方を変えるだけで2線式と3線式とに切り替えることができるので、電流負荷駆動装置21自体のスイッチ切り替えや内部配線の変更などを行う必要がなく、従来例のように外部負荷や電源の接続の仕方と電流負荷駆動装置の設定の仕方が食い違って電流負荷駆動装置21が動作不全となる恐れがなくなる。
【0032】
さらに、この電流負荷駆動装置21によれば、2線式の場合に定電圧源22の出力VBを一定倍した電圧VA=kVBを電源ライン電圧の制御目標としているため、制御目標値の精度が高い。
【0033】
(具体回路)
図3及び図4は、図2に示した電流負荷駆動装置21の具体回路の一例を示す図であって、図3は2線式で外部負荷29と電源30を接続した場合を示し、図4は3線式で外部負荷29と電源30を接続した場合を示す。ただし、図3及び図4においては指令部28は省略している(電流出力部24の出力がオンになっている場合)。
【0034】
まず、2線式で外部負荷29及び電源30を接続した電流負荷駆動装置21の場合を図3により説明する。定電圧源22は、電源ラインとアースラインの間に接続された定電圧回路31と、定電圧回路31の出力を受けるバンドギャップ回路32によって構成されており、定電圧回路31から出力された定電圧でバンドギャップ回路32を駆動してバンドギャップ回路32から定電圧VBを出力する。
【0035】
制御部23は、オペアンプ33(差動増幅器)、分圧抵抗34、35、PNP型トランジスタ36によって構成される。分圧抵抗34、35は直列接続して電源ラインとアースラインとの間に接続されている(分圧手段)。オペアンプ33の反転入力端子には、分圧抵抗34、35の中点電圧が入力され、非反転入力端子には定電圧源22から出力された定電圧VBが入力されている。
【0036】
このような構成の制御部23の働きにより電源ラインの電圧Vccは、以下のようにして定電圧VBに比例した定電圧に維持される。分圧抵抗34、35の各抵抗値をR1、R2とし、電源ラインの電圧をVcc、としたとき、分圧抵抗34、35の中点電圧はR2×Vcc/(R1+R2)である。負帰還のかかったオペアンプ33の反転入力端子電圧と非反転入力端子電圧とは等しくなるので、
R2×Vcc/(R1+R2)=VB
となる。よって、電源ラインの電圧Vccは、制御部23により定電圧VBに比例した定電圧VAとなるように制御される。
VA=Vcc=(R1+R2)×VB/R2 …(数式1)
【0037】
トランジスタ36はベースをオペアンプ33の出力端子に接続され、エミッタを電流出力部24に接続され、コレクタをアースラインに接続されている。トランジスタ36のエミッタからオペアンプ33の出力端子に電流が流れ込むので、トランジスタ36がオンになり、トランジスタ36のエミッタには制御用電流Ic(=−I3)が流れる。
【0038】
電流出力部24は、定電流源37、トランジスタ38、39、抵抗40、41、出力用トランジスタ42によって構成される。NPN型トランジスタ38とNPN型トランジスタ39はベースどうしを接続し、トランジスタ38のコレクタとベースを短絡させることによってカレントミラー回路を構成されている。電源ラインとトランジスタ38のコレクタとの間には出力電流I1の定電流源37が接続され、さらにトランジスタ38のコレクタには制御部23(トランジスタ36のエミッタ)が接続されている。トランジスタ39のコレクタは電源ラインに接続されている。また、トランジスタ38のエミッタは抵抗40を介してNPN型の出力用トランジスタ42のベースに接続され、トランジスタ39のエミッタも抵抗41を介して出力用トランジスタ42のベースに接続されている。出力用トランジスタ42のエミッタはアースラインに接続され、コレクタは出力端子26につながっている。
【0039】
電源端子25と出力端子26は短絡され、外部負荷29と電源30は直列に接続されて両端を電源端子25とアース端子27に接続されている。
【0040】
図3に示すように、定電流源37の出力電流をI1、出力用トランジスタ42のベース電流をI2、トランジスタ36のエミッタ電流をI3(=−Ic)、定電流源37からカレントミラー回路(トランジスタ38、39)に流れ込む電流をI4、トランジスタ39のコレクタ電流をI5、出力端子26から流れ込む出力用トランジスタ42のコレクタ電流をI6(=−Iout)、電源端子25から流れ込む電流をI7とする。これらの電流値の間には、次のような関係がある。
I7=I1+I5
I1=I3+I4
I5=αI4 (α:トランジスタ38、39と抵抗40、41により決まる増幅係数)
I2=I4+I5=(1+α)I4
I6=βI2 (β:出力用トランジスタ42の持つ増幅率)
VA−Vo=(I6+I7)R (R:外部負荷29の抵抗値) …(数式2)
よって、
I6=β(1+α)(I1−I3)
あるいは、
Iout=−β(1+α)(Ic+I1) …(数式3)
が得られる。
【0041】
数式1〜3などによれば、2線式の場合には、外部負荷29の抵抗値Rが異なると制御部23の制御用電流Ic(=−I3)が変化することにより、電源ラインの電圧Vccが、外部負荷29の抵抗値Rにかかわりなく一定電圧VAに保たれることが分かる。
【0042】
具体的に説明すると、電源ラインの電圧VccがVAよりも大きくなると、オペアンプ33の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧VBよりも高くなるので、トランジスタ36のベース電流が減少し、トランジスタ36のエミッタ電流I3も減少する。よって、定電流源37から引き抜かれる電流が少なくなるので、出力用トランジスタ42のベース電流I2が増加する。その結果、出力用トランジスタ42のコレクタ電流I6が増加して電源ラインの電圧Vccが引き下げられる。逆に、電源ラインの電圧VccがVAよりも小さくなった場合には、出力用トランジスタ42のコレクタ電流I6が減少して電源ラインの電圧Vccが高くなる。こうして、電源ラインの電圧Vccは、VA=(R1+R2)×VB/R2に等しくなった状態で安定することになる。
【0043】
また、外部負荷29の抵抗値Rが大きくなると、トランジスタ36のエミッタ電流I3が増加し、出力用トランジスタ42のコレクタ電流が小さくなることによって外部負荷29による電圧降下を一定に保ち、電流負荷駆動装置21で電圧不足が起こらないようにしている。
【0044】
つぎに、3線式で外部負荷29及び電源30を接続した電流負荷駆動装置21の場合を図4により説明する。この場合には、電源端子25と出力端子26の間に外部負荷29を接続し、電源端子25とアース端子27との間に電源30を接続する。
【0045】
3線式の場合には、電源ラインの電圧Vccは電源30の電圧Vo(通常は、5ボルト以上)と等しくなるので、オペアンプ33の反転入力端子の電圧は、分圧抵抗34、35で分圧された電圧
R2×Vo/(R1+R2) (>VB)
となる。そのため、オペアンプ33はハイインピーダンスとなり、トランジスタ36はオフになる。よって、制御用電流Ic=−I3=0アンペアとなる。この結果、電流出力部24の出力電流Ioutは、定電流源37の電流値I1で決まる電流
Iout=−I6=−β(1+α)I1
となり、外部負荷29はこの出力電流Ioutで駆動されることになる。
【0046】
(指令部の構成)
図5は指令部28の具体的な構成を示す。指令部28は、物体の有無や距離などを検出する検出器46からの信号を読み取り、物体の検知/非検知を判定して電流出力部24に信号Isを出力し、電流出力部24の出力をオン/オフに切り替えるものである。指令部28は、近接センサや測距センサ等の検出器46、論理判定部47、モード切換端子48によって構成されており、検出器46及び論理判定部47には、定電圧源22から定電圧Vrが供給されている。検出器46は、物体の有無や距離などを検出すると、論理判定部47に信号を送る。論理判定部47は、ノーマルオープンとノーマルクローズを切り換えるためのモード切換端子48を有しており、モード切換端子48に入力する信号のハイ/ローを切り替えることにより、検出器46が検知状態のときにオン信号Isを出力して検出器46が非検知状態のときにオフ信号Isを出力するか、あるいは、検出器46が検知状態のときにオフ信号Isを出力して検出器46が非検知状態のときにオン信号Isを出力するかを切り替えることができる。指令部28は、検出器46の信号に基づいて、モード切換端子48により設定されたモードでオン/オフ信号Isを電流出力部24に送る。
【0047】
図6は指令部28からのオン/オフ信号Isによって電流出力部24の出力をオン又はオフさせるための具体的な構成を示す。この具体例では、定電流源37を出力電流がIrefの定電流源53と、2段のカレントミラー回路によって構成している。1段目のカレントミラー回路はPNP型トランジスタ51、52によって構成されており、トランジスタ51のベースとトランジスタ52のベースが接続され、トランジスタ51のベースとコレクタが短絡されている。トランジスタ51、52の各エミッタは電源ラインに接続されており、トランジスタ52のコレクタが定電流源37の出力となっていて、トランジスタ38のコレクタとトランジスタ36のエミッタに接続されている。2段目のカレントミラー回路はNPN型トランジスタ54、55によって構成されており、トランジスタ54のベースとトランジスタ55のベースが接続され、トランジスタ54のベースとコレクタが短絡させられている。トランジスタ54、55の各エミッタはアースラインに接続されており、トランジスタ55のコレクタが1段目のカレントミラー回路のトランジスタ51のコレクタに接続されている。また、定電流源53には定電圧回路31から電圧を供給されており、定電流源53の出力はトランジスタ54のコレクタに接続されている。
【0048】
また、NPN型のトランジスタ56は、指令部28のオン/オフ信号Isによって電流出力部24の出力をオン、オフさせるものであって、コレクタを定電流源53の出力に接続し、エミッタをアースラインに接続しており、ベースに指令部28から出力されたオン/オフ信号Isを入力されている。
【0049】
指令部28からオン信号Is(ローレベルの信号)が出力されている場合には、トランジスタ56がオフになるので、1段目及び2段目のカレントミラー回路に電流が流れて定電流源37から電流I1が流れ、トランジスタ38、39、42がオンになって電流出力部24の出力がオンになり、出力端子26から外部負荷29へ出力電流Ioutが流れる。反対に、指令部28からオフ信号Is(ハイレベルの信号)が出力されている場合には、トランジスタ56がオンになるので、1段目及び2段目のカレントミラー回路に電流が流れず、定電流源37からは電流が出力されなくなる。その結果、電流出力部24の出力がオフになって出力端子26と外部負荷29の間に電流が流れなくなる。
【0050】
よって、指令部28における検知、あるいは非検知に応じて出力端子26から外部負荷29へ電流が出力され、あるいは電流が出力されなくなる。なお、図6では2線式の場合について説明したが、3線式の場合も同様である。
【0051】
(第2の実施形態)
つぎに、本発明の実施形態2による電流負荷駆動装置を説明する。実施形態2の電流負荷駆動装置は、図3又は図4に示した電流負荷駆動装置21において、出力用トランジスタ42のコレクタ位置にあった出力端子26を2つに分けて出力用トランジスタ42のベース位置とトランジスタ39のコレクタ位置とに設け、出力用トランジスタ42に代えて外付用のトランジスタを用いるようにしたものである。
【0052】
図7は、実施形態2の電流負荷駆動装置61を3線式で用いた場合の具体回路を示す。ただし、図7においては指令部28は省略(図8、図9も同様)しているが、電流出力部24に指令部28を接続することで、電流出力部24の出力をオン/オフに切り替えることができる(図5、図6を参照)。
【0053】
この電流負荷駆動装置61においては、トランジスタ39のコレクタ位置に第1出力端子26aを設け、抵抗40、41の結線部分に第2出力端子26bを設けてあり、電流出力部24から実施形態1の出力用トランジスタ42を除いている。
【0054】
この電流負荷駆動装置61を3線式で用いる場合には、図7に示すように、NPN型の外付用トランジスタ62のベースを第2出力端子26bに接続し、エミッタをアース端子27に接続する。また、第1出力端子26aは電源端子25に短絡させておく。そして、外部負荷29を電源端子25と外付用トランジスタ62のコレクタの間に接続し、電源30を電源端子25とアース端子27の間に接続する。これは図4と同じ回路である。
【0055】
また、電流負荷駆動装置61を3線式で用いる場合には、図8に示すように、PNP型の外付用トランジスタ63のベースを第1出力端子26aに接続し、エミッタを電源端子25に接続する。また、第2出力端子26bはアース端子27に短絡させておく。そして、外部負荷29を外付用トランジスタ63のコレクタとアース端子27の間に接続し、電源30を電源端子25とアース端子27の間に接続してもよい。
【0056】
このように実施形態2の電流負荷駆動装置61では、3線式で用いる場合には、NPN型の外付用トランジスタ62を外付けしたNPN出力方式と、PNP型の外付用トランジスタ63を外付けしたPNP出力方式を選択することができる。
【0057】
通常、3線式では電源電圧が5ボルト以上であり、図7又は図8のように直列に接続された分圧抵抗34、35の両端に電源電圧が直接入力された場合、オペアンプ33の反転入力端子電圧はバンドギャップ回路32の出力電圧VB(バンドギャップ電圧)以上となり、トランジスタ36はオフになる。これにより、定電流源37の出力電流I1はすべて出力端子26a又は26bに流れ、NPN型の外付用トランジスタ62又はPNP型の外付用トランジスタ63に定電流を供給する。また、出力端子26a、26bに流れる電流は、定電流源37の出力電流I1を一定倍した定電流となるので、必要以上に回路電流を大きくすることなく外付用トランジスタ62、63を動作させることができる。
【0058】
実施形態2の電流負荷駆動装置61を2線式で用いる場合には、図9に示すように、NPN型の外付用トランジスタ62のベースを第2出力端子26bに接続し、エミッタをアース端子27に接続する。また、第1出力端子26aは電源端子25に短絡させておく。そして、外部負荷29と電源30を直列に接続したものを電源端子25とアース端子27の間に接続する。これは図3と同じ回路である。
【0059】
従って、実施形態1の電流負荷駆動装置61によれば、外部負荷29と電源30を2線式と3線式のいずれでも接続することができ、さらに3線式で接続する場合には、NPN型の外付用トランジスタ62を用いたNPN出力方式とすることもでき、PNP型の外付用トランジスタ63を用いたPNP出力方式とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、特許文献1に記載された検出装置を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態1による電流負荷駆動装置のブロック図である。図2(b)は、当該電流負荷駆動装置に外部負荷と電源を2線式で接続した場合を示すブロック図である。図2(c)は、当該電流負荷駆動装置に外部負荷と電源を3線式で接続した場合を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施形態1の電流負荷駆動装置を2線式として用いた場合の具体回路図である。
【図4】図4は、実施形態1の電流負荷駆動装置を3線式として用いた場合の具体回路図である。
【図5】図5は、指令部の構成を具体的に表した図である。
【図6】図6は、指令部からの信号Isによって電流出力部をオン又はオフさせるための具体的な回路を示した図である。
【図7】図7は、実施形態2の電流負荷駆動装置を3線式として用いる場合の具体回路図である。
【図8】図8は、実施形態2の電流負荷駆動装置を3線式として用いる別な構成を示す具体回路図である。
【図9】図9は、実施形態2の電流負荷駆動装置を2線式として用いる場合の具体回路図である。
【符号の説明】
【0061】
21、61 電流負荷駆動装置
22 定電圧源
23 制御部
24 電流出力部
25 電源端子
26 出力端子
26a 第1出力端子
26b 第2出力端子
27 アース端子
28 指令部
29 外部負荷
30 電源
62、63 外付用トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ラインにつながった電源端子と、アースラインにつながったアース端子と、1つ又は複数の出力端子と、定電圧源と、制御部と、電流出力部と、指令部とを備え、
前記定電圧源は、前記制御部に定電圧を供給し、
前記制御部は、電源ラインとアースラインの間の電圧が前記定電圧を一定倍した目標電圧となるように前記電流出力部に制御用電流を出力し、電源ラインとアースラインの間の電圧が前記目標電圧に達しないときには前記制御用電流を出力停止し、
前記指令部は、前記電流出力部に電流出力のオンとオフを切り替えるための信号を供給し、
前記電流出力部は、前記制御部からの制御用電流により出力端子へ出力する電流を増減させ、前記制御用電流が出力停止している場合には、一定値の電流を出力するように構成され、かつ、前記出力端子への電流出力は前記指令部の信号によってオンとオフに切り換えられることを特徴とする電流負荷駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、電源ラインとアースラインとの間の電圧を分圧するための分圧手段と、非反転入力端子に前記定電圧源からの定電圧を供給されると共に反転入力端子に前記分圧手段で分圧された電圧を供給される差動増幅器と、前記差動増幅器の出力をベースに接続されたトランジスタによって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電流負荷駆動装置。
【請求項3】
前記定電圧源は、前記制御部に定電圧を出力するためのバンドギャップ回路と、前記バンドギャップ回路に定電圧を供給する定電圧回路とによって構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の電流負荷駆動装置。
【請求項4】
外部負荷を直接に接続するための1つの前記出力端子を備え、前記電流出力部は、その電流出力を直接に外部負荷に供給できるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電流負荷駆動装置。
【請求項5】
2つの前記出力端子を備え、前記電流出力部は、一方の出力端子に接続されたNPN型の外付用トランジスタを介して外部負荷に電流出力を供給でき、また、他方の出力端子に接続されたPNP型の外付用トランジスタを介して外部負荷に電流出力を供給できるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電流負荷駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−130041(P2010−130041A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299196(P2008−299196)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】