説明

電源システム

【課題】燃料電池と蓄電池を併用する電源システムにおいて、蓄電池に充放電制御用の変換器を付設することなく、燃料を節約し、蓄電池の状態を好適に維持する電源システムを提供する。
【解決手段】蓄電装置と燃料電池装置とをそれぞれ負荷に並列接続し、負荷に電力を供給する電源システムであって、蓄電装置は、1個または複数個の二次電池を直列または並列接続した二次電池群を備え、燃料電池装置は、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池スタックと、該燃料電池スタックの発電電力を変換し燃料電池装置の出力に供給するDC/DCコンバータと、燃料電池装置の出力電圧を検出する電圧検出手段と、燃料電池装置の出力電流を検出する電流検出手段と、電圧検出手段が検出した出力電圧値と電流検出手段が検出した出力電流値とから蓄電装置の充放電状態を判定し、その判定結果に基づいてDC/DCコンバータの出力電圧を制御する蓄電装置状態判定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源等に用いられ、燃料電池と蓄電池とを併用して構成した電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の一種である固体高分子型燃料電池(PEFC)は、水素を主成分とする燃料ガスと酸化剤ガスを電気化学的に反応させて起電力を得る電池である。PEFCは、発電電力および排熱を利用するコージェネシステムのほか、停電など系統電力の異常時に、特に通信インフラやデータサーバなどの基幹産業機器へバックアップ給電を行う電源システムへの利用が検討されている。また、他のバックアップ電源としては鉛蓄電池を用いた電源システムが利用されている。さらに、鉛蓄電池と燃料電池を並列接続して併用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−112871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池は燃料を消費して電力を得るため、経済的な動作を行うためには燃料の節約が重要となる。蓄電池と燃料電池を並列接続して併用した電源システムでは、燃料電池システム、蓄電池、負荷の電力バランスにより蓄電池に出入りする電力が変動する。蓄電池は充放電の際に損失が発生するため、燃料電池の発電電力を蓄電池に充電させない動作を行うことで燃料の節約が可能となる。蓄電池に充放電制御用の変換器を付設することで蓄電池の充電を回避する方法があるが、変換器により損失が発生する課題がある。また、蓄電池はその充電率や放電深度を適切に管理しない場合、寿命に影響が出ることが知られている。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、燃料電池と蓄電池を併用するバックアップ電源システムにおいて、蓄電池に充放電制御用の変換器を付設せず、燃料電池装置の動作により蓄電池の状態を管理することで、燃料を節約し、蓄電池の状態を好適に維持することができる電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明に係る電源システムは、蓄電装置と燃料電池装置とをそれぞれ負荷に並列接続し、該負荷に電力を供給する電源システムであって、前記蓄電装置は、1個または複数個の二次電池を直列または並列接続した二次電池群を備え、前記燃料電池装置は、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池スタックと、該燃料電池スタックの発電電力を変換し前記燃料電池装置の出力に供給するDC/DCコンバータと、前記燃料電池装置の出力電圧を検出する電圧検出手段と、前記燃料電池装置の出力電流を検出する電流検出手段と、前記電圧検出手段が検出した出力電圧値と前記電流検出手段が検出した出力電流値とから前記蓄電装置の充放電状態を判定し、その判定結果に基づいて前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する蓄電装置状態判定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料電池と蓄電池を併用する電源システムにおいて、蓄電池に充放電制御用の変換器を付設することなく、燃料を節約し、蓄電池の状態を好適に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る電源システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の電源システムの動作タイムチャートである。
【図3】図1の蓄電装置の充放電判定を説明するための出力電圧−出力電流の分布特性を示すグラフである。
【図4】図3の分布特性を説明するための出力回路の計算モデルを示す回路図である。
【図5】蓄電装置充放電判定の負荷変動判定を示す図であり、(a)は出力電圧−出力電流特性の偏差が小さい場合、(b)は出力電圧−出力電流特性の偏差が大きい場合の例を示す図である。
【図6】本発明に係る電源システムの第2の実施形態において、蓄電装置の充電率の判定例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電源システムの構成を示す概略図である。図1に示すように、電源システムは、燃料電池装置を構成する燃料電池モジュール1と、蓄電装置4とを備え、燃料電池モジュール1と蓄電装置4とを負荷7に並列接続し、負荷7に電力を供給するシステムである。本実施形態では、燃料電池モジュール1と蓄電装置4は、系統電源6から供給される交流電力を変換して直流電力を得る整流器5と共に負荷7に接続され、系統電源6の停止時等のバックアップ電源として機能する。
【0010】
燃料電池モジュール1は、内部に燃料電池スタック8とDC/DCコンバータ9と補器10とを備える。燃料電池モジュール1の燃料電池スタック8には、水素ボンベ2より水素配管3を通じて水素燃料が供給される。水素配管3より供給された水素燃料と燃料電池モジュール1周辺の空気の一部は、補器10の動作により燃料電池スタック8を通流し、燃料電池スタック8の起電力として消費される。
【0011】
燃料電池スタック8は、複数の燃料電池セルを直列接続するように積層した構造を有し、最端部の燃料電池セルの正負端子がDC/DCコンバータ9の入力に接続される。DC/DCコンバータ9は、入力より得られた燃料電池スタック8の起電力を、所定の電圧指令VO_refに制御された電圧の直流電力に変換する。なおDC/DCコンバータ9の出力には逆流防止用のダイオードを設けてもよい。
【0012】
DC/DCコンバータ9の出力は、燃料電池モジュール1の外部に出力として取り出され、負荷7、整流器5の直流出力、および蓄電装置4にそれぞれ並列に接続されている。ここで負荷7には直流電力を消費する機器、例えば放送・通信用基地局、データサーバなどを設けてもよい。DC/DCコンバータ9の出力に接続される直流電力伝送回路は、DC24V又はDC48Vなどを基準の電圧として運用してもよい。整流器5は、系統電源6より受電する商用のAC100VまたはAC200V級の交流電力を入力とし、直流電力の出力に変換する機能があり、停電など系統電源6の異常時には出力を停止する。燃料電池モジュール1、および蓄電装置4は、主に系統電源6が異常となり整流器5の出力が停止した場合に負荷7への電力供給を継続するためのバックアップ動作を行う。
【0013】
燃料電池モジュール1は、さらに、DC/DCコンバータ9の出力電圧VOを検出する電圧検出手段11と、DC/DCコンバータの出力電流IOを検出する電流検出手段12と、出力電圧VO及び出力電流IOに基づき蓄電装置4の充放電状態の判定を行う蓄電装置状態判定手段13とを備える。蓄電装置状態判定手段13は、DC/DCコンバータ9の出力電圧VOを制御する電圧指令VO_refを算出し、DC/DCコンバータ9に送信する。電流検出手段12は、ホール素子またはシャント抵抗を用いた電流センサを用いて構成されてもよい。また、蓄電装置状態判定手段13は電気回路、電気回路上のマイコン又はDSPなどに搭載される制御プログラムなどの手段で燃料電池モジュール1に実装されることが望ましい。
【0014】
図2は、燃料電池モジュール1の動作に関するタイムチャートの一例を示している。図2に示すように、燃料電池モジュール1の動作は、大きくモードAとモードBの2つのモードに分類されている。本実施形態では、燃料電池モジュール1は、モードAとモードBとを交互に繰り返し、モードAとモードBの継続時間がそれぞれ設定されている。
【0015】
モードAでは、燃料電池モジュール1は電圧指令VO_refを変動させながら、変動に応答する出力電圧VO、出力電流IOをそれぞれ蓄電装置状態判定手段13に記憶する。図2では、5段階の電圧変動を与えている。DC/DCコンバータ9は出力電圧VOをVO_refに一致するように制御を行うため、出力電圧VOは電圧指令VO_refに概ね一致する。
【0016】
本実施形態のように蓄電装置4が充放電制御用の変換器を付設しない二次電池である場合、出力電流IOは所定の跳ね上がり形状の過渡変化を示す。これは二次電池の分極電圧によるものであり、蓄電装置状態判定手段13が記憶するデータはこの過渡変化が収束した時点が望ましい。従って、電圧指令VO_refに所定の変動を与えた後、所定の遅れ時間Tdを経過した後の出力電圧VO、出力電流IOのデータを蓄電装置状態判定に用いる。蓄電装置4が鉛蓄電池で構成される場合、遅れ時間Tdは1分から5分程度が望ましい。モードAにおける出力電圧VO及び出力電流IOの計測については、アナログフィルタ、もしくは一次遅れや移動平均などのデジタルフィルタ処理により計測ノイズを除去する操作を行ってもよく、フィルタには上述の過渡変化の収束時間を考慮した時定数を選定してもよい。
【0017】
モードAの終了時点では、蓄電装置状態判定手段13は記憶された出力電圧VO及び出力電流IOのデータを用いて蓄電装置4の状態を判定し、判定の結果に従い最適な出力電圧VBを求め、電圧指令VO_refをVB相当の値に変更し、モードBへ移行する。次に、モードBでは、電圧指令VO_refをVB相当の値に固定した動作を行い、モードBの継続期間終了後はモードAの動作を再開する。
【0018】
蓄電装置状態判定手段13は、出力電流IOに対する出力電圧VOの分布に基づき、蓄電装置が放電状態、充電状態、放電と充電の境界状態となる出力電圧の範囲を判定する。以下、充放電状態の判定方法について説明する。
【0019】
図3は、蓄電装置状態判定手段13における、蓄電装置の充放電判定に用いられる出力電圧−出力電流の分布特性の一例を示すグラフである。モードAにおいて、例えば、5段階の電圧指令VO_refの変動を与えた場合、出力電圧VO−出力電流IOの分布は、図3に示すように、5つ得られる。なお、図3では5段階の電圧指令VO_refに関する分布をそれぞれ5つの点で表示したが、電圧指令VO_refの条件毎に複数回の記録を行った場合は、偏差を含む複数個の点の集合が5つ表示されることになる。このような場合は、各集合について、分布の重心、平均値、最大値、最小値、中央値などを求め、各集合の代表点として取り扱っても構わない。
【0020】
モードAの間において負荷7の消費電力PLが大きく変動していない場合、図3に示すように、出力電圧VO、出力電流IOの分布は、傾きの異なる2種類の直線状となる。ここで、2直線の交点における出力電圧VOを電圧VBと判定する。
【0021】
図4は、出力電圧VO−出力電流IOの分布が2種類の直線状となる分布特性を説明するための計算モデルである。図4の計算モデルでは、蓄電装置4を電圧源V2と内部抵抗rとで模擬し、負荷7の消費電流をIL、燃料電池モジュール1と蓄電装置4との間の配線抵抗をRとしている。この計算モデルについて、出力電圧VO−出力電流IOの関係は以下の式1で表すことができる。一般の電源システムでは損失低減のため配線抵抗Rを十分小さい値に設計するため、式1において負荷7の消費電流ILと電圧源V2が概ね一定であれば、出力電圧VO−出力電流IOの関係は概ね直線状の分布となり、その傾きは蓄電装置4の内部抵抗rによって定まる。
【0022】
【数1】

一般に蓄電装置4に用いられる二次電池の内部抵抗rは、充電時においては放電時よりも大きい値を示す。特に、充電率が80%程度以上の高い状態での充電時は内部抵抗rが大きく上昇する。従って、出力電圧VOと出力電流IOの関係は、内部抵抗rの変化により、放電状態および充電状態とで傾きの異なる2種類の直線状の分布特性となり、2直線の交点電圧VBよりも低い出力電圧VOの範囲では放電状態、電圧VBよりも高い出力電圧VOの範囲では充電状態と判定できる。
【0023】
ここで、燃料電池モジュール1と蓄電装置4を併用したシステム全体のバックアップ動作について検討する。燃料電池モジュール1は水素ボンベ2から供給される水素を用いて発電を行うため、消費した水素ボンベ2を交換する手間を省くには水素消費を節約する必要がある。一方、蓄電装置4は、充放電の際に発生する損失が発生するほか、水素を用いずとも系統電源6より充電できることから、燃料電池モジュール1の発電電力で蓄電装置4を充電する動作を避けることで消費する水素の節約ができる。従って、本電源システムは、蓄電装置状態判定手段13において蓄電装置4の充放電状態を判定し、動作モードBにおいて電圧指令VO_refを電圧VB以下に保つことで、燃料電池モジュール1の発電電力で蓄電装置4を充電する動作を避けることができ、水素ボンベ2の消費水素節約に貢献できる。
【0024】
また、モードAにおいて記憶する出力電圧VO−出力電流IOの分布に偏差が現れると、蓄電装置状態判定手段で演算される判定結果に影響を与えるため、出力電圧VO及び出力電流IOの記録はできるだけ偏差を生じない条件が望ましい。偏差を生じる条件としては、特に、蓄電装置4の分極電圧や負荷7の電力PLの変動が挙げられる。
【0025】
蓄電装置4の分極電圧は一般に負荷7の電力PLの変動が無ければ過渡変化として最終的に収束する形で変化するため、モードAの継続時間を、蓄電装置4を構成する二次電池の分極電圧の平衡時定数よりも長い時間に設定することにより、分極電圧の影響を最低限に抑制できる。
【0026】
図5(a)及び図5(b)は、蓄電装置充放電判定における負荷7の変動判定を示す図である。負荷7の電力PLに変動が生じると、出力電圧VO−出力電流IOの分布に偏差が生じる。そこで、各分布の出力電流IOについて平均電流IAVEを求め、所定の偏差幅ΔIを加算した上下限電流閾値IAVE±ΔIを逸脱する分布点が存在した場合に、負荷7の変動として判定する。図5(a)では、上下限電流閾値IAVE±ΔIを超える分布点が存在せず、偏差が小さいとみなされ、負荷7の電力PLの変動がないと判定されるのに対し、図5(b)では、上下限電流閾値IAVE±ΔIを超える分布点が存在するため、偏差が大きいとみなされ、負荷7の電力PLに変動があったと判定される。なお、図5では、出力電流IOの偏差を求めて負荷7の変動判定を行っているが、出力電圧VOについて偏差を求めて負荷7の変動と判定してもよい。
【0027】
ここで、負荷7の変動を判定した場合に蓄電装置充放電判定の結果を補正してもよい。その補正方法としては、例えば、負荷7の変動を判定した場合に、変動を判定した当該モードAにおける蓄電装置充放電判定を無視し、前回のモードA以前に得られた出力電圧VBを基に次回のモードBの動作を実施すれば、負荷7の変動による影響を回避することができる。また、負荷7の変動を判定した場合や、常時変動し蓄電装置充放電判定が適当に実施できない負荷7が接続されていると判定した場合に、その判定結果を燃料電池モジュール1の外部に表示・通信などの手段を用いて通知する機能を設けてもよい。
【0028】
本実施形態の電源システムによれば、燃料電池モジュール1の出力電圧VOと出力電流IOとから蓄電装置4の充放電状態(充電状態、放電状態、或いは、充電と放電の境界状態)を判定し、その蓄電装置4の充放電状態に基づいてDC/DCコンバータ9への電圧指令VO_refを用いて出力電圧VOを制御することにより、水素燃料の消費を抑え、かつ蓄電池の状態を好適に維持することができる。
【0029】
ただし、モードAの動作時には、一時的に、最適な出力電圧VBよりも大きい電圧指令VO_refの動作を含むため、蓄電装置4への充電が行われ水素を多く消費する場合がある。そこで、両モード全体での水素消費を考慮し、モードBでの水素節約効果がモードAでの余分な水素消費を相殺すべく、少なくともモードBの継続時間をモードAの継続時間よりも長く設定することにより、水素の節約効果を高めることが可能となる。例えば、モードBの継続期間はモードAの継続時間の2倍以上に設定されるのが好ましい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0030】
本実施形態の電源システムの基本的な構成部分は、図1の電源システムとほぼ同様である。本実施形態では、蓄電装置状態判定手段13が、出力電流値IOに対する出力電力値VOの分布に基づき、蓄電装置4の充電率(SOC)を判定する機能を有する。
【0031】
図6は、蓄電装置状態判定手段13における、蓄電装置充電率判定に関する一例を示す図である。蓄電装置4を構成する二次電池の2通りの充電率S1及びS2(S1>S2)について、出力電圧VO−出力電流IOの分布を示している。図6に示すグラフによれば、例えば、出力電圧VO−出力電流IOの分布は充電率が高くなるにつれて右側にシフトするように、充電率S1、S2の違いに応じて出力電圧VO−出力電流IOの分布はそれぞれ異なる。出力電圧VO−出力電流IOの分布と充電率との関係を、蓄電装置状態判定手段13に予め記憶しておくか、もしくは実際の動作の経過より学習することによって、充電率を推定することが可能となる。
【0032】
二次電池、特に鉛蓄電池は、放電が進み充電率が下がると電池の寿命に影響を与える傾向がある。従って、蓄電装置状態判定手段13において蓄電装置充電率判定を行い適切な充電率に蓄電装置4を維持することにより、蓄電装置4の寿命を延長することが可能である。具体的には、モードBの動作時において、蓄電装置4の充電率が予め設定された充電率(第1の充電率閾値)より低い場合には、蓄電装置4の充電率が第1の充電率閾値より高いときの固定電圧(電圧指令VO_ref(通常時の電圧指令))よりも、固定電圧(電圧指令VO_ref)を高く設定する。これにより、燃料電池モジュール1の出力を増加させ、蓄電装置4の放電量を緩和することができ、電池の寿命への影響を防止することができる。
【0033】
蓄電装置4の充電率が十分に高い場合、例えば、充電率が90%以上であった場合は燃料電池モジュール1が発電しなくとも、蓄電装置4の放電のみで負荷7をバックアップ可能な場合がある。このように、所定の充電率閾値(第2の充電率閾値)よりも充電率が高いと判定した場合は、モードBにおいて燃料電池モジュール1の発電動作を休止して、水素の消費を節約することができる。
【0034】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定される。
【符号の説明】
【0035】
1…燃料電池モジュール 4…蓄電装置 5…整流器 7…負荷 8…燃料電池スタック 9…DC/DCコンバータ 11…電圧検出手段 12…電流検出手段 13…蓄電装置状態判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と燃料電池装置とをそれぞれ負荷に並列接続し、該負荷に電力を供給する電源システムであって、
前記蓄電装置は、1個または複数個の二次電池を直列または並列接続した二次電池群を備え、
前記燃料電池装置は、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池スタックと、該燃料電池スタックの発電電力を変換し前記燃料電池装置の出力に供給するDC/DCコンバータと、前記燃料電池装置の出力電圧を検出する電圧検出手段と、前記燃料電池装置の出力電流を検出する電流検出手段と、前記電圧検出手段が検出した出力電圧値と前記電流検出手段が検出した出力電流値とから前記蓄電装置の充放電状態を判定し、その判定結果に基づいて前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する蓄電装置状態判定手段とを備えたことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
請求項1記載の電源システムであって、前記燃料電池装置は、
前記燃料電池装置の出力電圧を前記DC/DCコンバータの操作により所定範囲で変動させて出力すると共に、その変動に応答する前記出力電圧値および前記出力電流値の分布を前記蓄電装置状態判定手段に記録する動作モードAと、
前記動作モードAにおいて記録した前記分布から前記蓄電装置の充放電状態を判定し、燃料電池装置の出力電圧を蓄電装置状態に対応した所定の固定電圧を出力する動作モードBと
のどちらか一方のモードで動作されることを特徴とする電源システム。
【請求項3】
請求項2記載の電源システムであって、前記動作モードAの継続時間を、前記二次電池の分極電圧の平衡時定数よりも長い時間に設定したことを特徴とする電源システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の電源システムであって、前記動作モードA及び前記動作モードBを交互に繰り返す動作を行い、前記動作モードBの継続時間を、前記動作モードAの継続時間より長い時間に設定したことを特徴とする電源システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項記載の電源システムであって、前記蓄電装置状態判定手段は、前記動作モードAにおける所定の出力電圧値に対する出力電流値の偏差或いは出力電流値に対する出力電圧値の偏差に基づき、前記負荷の変動を判定することを特徴とする電源システム。
【請求項6】
請求項5記載の電源システムであって、前記蓄電装置状態判定手段は、前記負荷の変動の判定結果に基づき、前記蓄電装置の充放電状態判定を補正することを特徴とする電源システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の電源システムであって、前記蓄電装置状態判定手段は、前記出力電流値に対する前記出力電圧値の分布に基づき、前記蓄電装置が放電状態、充電状態又は放電と充電の境界状態となる出力電圧の範囲を判定することを特徴とする電源システム。
【請求項8】
請求項7記載の電源システムであって、前記動作モードBにおける前記固定電圧を、放電状態となる前記出力電圧の範囲に設定することを特徴とする電源システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項記載の電源システムであって、前記蓄電装置状態判定手段は、前記出力電流値に対する出力電圧値の分布に基づき、前記蓄電装置の充電率を判定することを特徴とする電源システム。
【請求項10】
請求項9記載の電源システムであって、前記充電率が所定の第1の充電率閾値より低いときは、前記動作モードBにおける前記固定電圧を、前記充電率が前記第1の充電率閾値より高いときの固定電圧より高く設定することを特徴とする電源システム。
【請求項11】
請求項9又は10記載の電源システムであって、前記蓄電装置状態判定手段が、前記充電率が所定の第2の充電率閾値よりも高いと判定した場合、前記燃料電池装置は、前記動作モードBの開始時に発電動作を停止し、前記動作モードBの終了時に発電動作を開始することを特徴とする電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−15485(P2011−15485A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155362(P2009−155362)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】