説明

電源タップ

【課題】電気機器自体に通信手段を増設することなく、また電灯線に一切特別な工事を行うことなく、一般に広く用いられているインターネットやイントラネットなどのIPネットワークを利用して電気機器の電源制御を簡単に行うことが可能な電源タップの提供。
【解決手段】配電線に接続するための電源プラグ2と、電気機器の電源プラグを接続するためのプラグ差込口3a,3b,3cと、IPネットワークへ接続するためのIPネットワーク接続部4と、IPネットワークを介して他の装置から接続可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部9と、配電線に接続するための電源プラグ2とプラグ差込口3a,3b,3cとの間を電気的に接続または切断するリレー5a,5b,5cと、IPネットワークを介して接続された他の装置から送信される制御情報に基づいて、リレー5a,5b,5cを制御する制御部7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを通じて遠隔で電気機器の電源制御を行うための電源タップに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを通じて遠隔で電気機器の電源を制御可能にするものとして、例えば、特許文献1に記載の家電機器制御ネットワークシステムが知られている。この家電機器制御ネットワークシステムは、家電機器自体に予めネットワークを通じてコントローラとの間で通信を行うための通信機能を設けることにより、コントローラから家電機器の電源を制御可能にしたものである。
【0003】
また、特許文献2に記載のテーブルタップは、家電機器に電源を供給するテーブルタップに電灯線搬送通信モデムを設けることにより、宅外の制御機器から家電機器の電源を制御可能にしたものである。このテーブルタップでは、テーブルタップのソケットに接続される家電機器をスライドスイッチやロータリスイッチなどにより構成された機種スイッチにより特定し、家電機器ごとに制御することが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2001−86572号公報(段落0067−0070、図4)
【特許文献2】特開2004−30930号公報(第4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように家電機器自体と通信を行うことにより電源制御を行うシステムでは、制御する家電機器ごとにそれぞれ通信手段を設ける必要があるため、家電機器自体のコストが増大してしまうという問題がある。また、通信手段を持たない既設の家電機器について、通信手段を備えた家電機器に交換しなければならないので、利用者の負担が大きくなるという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2に記載のテーブルタップでは、家電機器自体に通信手段を設けることなく、また、複数のテーブルタップが同一の電灯線に接続されていても、各テーブルタップの各ソケットに接続される家電機器を機種スイッチにより特定して個別に制御することが可能であるが、各家電機器に応じて機種スイッチによりそれぞれ個別の値を設定しなければならない。
【0007】
特許文献2に記載のテーブルタップで、同一の電灯線に接続される複数のテーブルタップの機種スイッチの値が誤って重複してしまった場合には、正常に家電機器の電源制御を行うことができなくなる。また、特許文献2には、特別な工事をせずに簡単に設置することができる旨記載されているが、電灯線通信の技術自体未完成であり、実際にこのような電灯線通信により正常な制御ができるかどうか不明である。電灯線を通信に利用しようとする試みは従来なされているものの、実際には電灯線通信を行うために、電灯線自体を引き直したり、電灯線にブロッキングフィルタを接続したりといった特別な工事を行わなければならない。
【0008】
そこで、本発明においては、電気機器自体に通信手段を増設することなく、また電灯線に一切特別な工事を行うことなく、一般に広く用いられているインターネットやイントラネットなどのIP(Internet Protocol;インターネットプロトコル)ネットワークを利用して電気機器の電源制御を簡単に行うことが可能な電源タップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電源タップは、配電線と電気機器との間に介在させる電源タップであって、配電線に接続するための電源プラグと、電気機器の電源プラグを接続するためのプラグ接続部と、IPネットワークへ接続するためのIPネットワーク接続部と、IPネットワークを介して他の装置から接続可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部と、配電線に接続するための電源プラグとプラグ接続部との間を電気的に接続または切断するスイッチ部と、IPネットワークを介して接続された他の装置から送信される制御情報に基づいて、スイッチ部を制御する制御部とを有するものである。
【0010】
本発明の電源タップは、電源プラグを配電線に接続し、プラグ接続部に電気機器の電源プラグを接続し、さらにIPネットワーク接続部によりIPネットワークに接続して使用する。この電源タップは、IPアドレスを記憶しているので、IPネットワークに接続するだけで、このIPネットワークを介して他の装置からIPアドレスにより接続することが可能となる。そして、このIPネットワークを介して接続された他の装置から送信される制御情報に基づいてスイッチ部を制御し、電源プラグとプラグ接続部との間を電気的に接続または切断することにより、電気機器の電源をオンまたはオフする制御を行うことができる。また、この電源タップはIPアドレスにより個々を識別することができるので、複数の電源タップが同じIPネットワークに接続された場合であっても個々の電源タップを特定して他の装置から制御情報を送信することができ、それぞれの電源タップに接続された電気機器の電源制御を行うことができる。
【0011】
本発明の電源タップは、IPネットワークを介して接続された他の装置から制御情報を取得するためのウェブページを他の装置へ提供するウェブサーバ手段を有することが望ましい。ウェブページとは、インターネットやイントラネットなどのIPネットワークで標準的に用いられているWWW(World Wide Web;ワールドワイドウェブ)システムを使って他の装置へ提供されるものであり、他の装置はこのウェブページを閲覧するためのアプリケーションソフトウェアであるウェブブラウザを備える。ウェブブラウザは広く普及しており、IPネットワークに接続されるパーソナルコンピュータや携帯電話装置は、通常標準で装備している。本発明の電源タップは、ウェブサーバ手段により他の装置へ制御情報を取得するためのウェブページを提供し、このウェブページ上のフォームから他の装置により送信された制御情報を取得することができる。
【0012】
また、本発明の電源タップは、プラグ接続部を複数備え、スイッチ部は、配電線に接続するための電源プラグと複数のプラグ接続部との間をそれぞれ個別に接続または切断するものとして構成することができる。これにより、1つの電源タップの複数のプラグ接続部に複数の電気機器を接続し、スイッチ部によりそれぞれのプラグ接続部と電源プラグとの間を電気的に接続または切断することにより、1つの電源タップで複数の電気機器の電源制御を行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の電源タップは、IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、制御部による制御状態を示す情報を提供する第1の情報提供手段を有することが望ましい。これにより、遠隔で電源制御する電気機器の制御状態を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で確認することが可能となる。
【0014】
また、本発明の電源タップは、IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、電気機器への通電状態を示す情報を提供する第2の情報提供手段を有することが望ましい。これにより、本発明の電源タップに接続された電気機器への通電状態を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で確認することが可能となる。ここで、通電状態を示す情報は、例えば、電流波形と、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間およびピーク位置と、電圧と消費電流との位相差、時間差および力率とのうち1つまたは複数の特徴量に関する情報である。
【0015】
また、本発明の電源タップは、電気機器への通電状態の変化から電気機器の状態を検出する状態検出手段と、IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、状態検出手段により検出した電気機器の状態を示す情報を提供する第3の情報提供手段とを有することが望ましい。これにより、本発明の電源タップに接続された電気機器への通電状態の変化から検出された電気機器の状態を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で確認することが可能となる。
【0016】
また、本発明の電源タップは、複数のプラグ接続部に接続された各電気機器への通電状態を示す情報から各電気機器の消費電力量を積算する消費電力量積算手段と、この積算手段により積算された各電気機器の消費電力量を累積した値を使用電力量として記憶する使用電力量記憶手段と、IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、使用電力量記憶手段に記憶された使用電力量の情報を提供する第4の情報提供手段とを有することが望ましい。これにより、本発明の電源タップに接続された各電気機器の使用電力量を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で確認することが可能となる。
【0017】
また、本発明の電源タップが、制御情報として所定時間経過後にスイッチ部による電気的な接続または切断を行うためのタイマー設定情報を含み、制御部が、このタイマー設定情報に基づいてスイッチ部を制御する構成とすることにより、遠隔で所定時間経過後に自動的に電気機器の電源をオンまたはオフすることが可能となる。
【0018】
また、本発明に係るIPネットワーク接続部は、IPネットワークとしてのインターネットを介して他の装置から接続可能にするためのゲートウェイ機能を有するものであることが望ましい。これにより、本発明の電源タップ単体で、IPネットワークとしてのインターネットを介して他の装置から直接接続して、電気機器の遠隔電源制御を行うことが可能となる。
【0019】
また、本発明の電源タップは、制御部に制御情報を送信可能なリモートコントローラを備えた構成することが望ましい。これにより、本発明の電源タップに接続された電気機器の電源を、この電源タップに対するリモートコントローラの操作によりオンまたはオフすることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
(1)配電線に接続するための電源プラグと、電気機器の電源プラグを接続するためのプラグ接続部と、IPネットワークへ接続するためのIPネットワーク接続部と、IPネットワークを介して他の装置から接続可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部と、配電線に接続するための電源プラグとプラグ接続部との間を電気的に接続または切断するスイッチ部と、IPネットワークを介して接続された他の装置から送信される制御情報に基づいて、スイッチ部を制御する制御部とを有することにより、一般に広く用いられているIPネットワークを介して他の装置から接続し、制御信号を送信することにより、遠隔で電気機器の電源制御を簡単に行うことが可能となる。また、電気機器自体に通信手段を増設したり、電灯線に一切特別な工事を行ったりする必要がないので、安価に電気機器の遠隔電源制御を行うことが可能となる。さらに、この電源タップはIPアドレスにより個々を識別することができるので、複数の電源タップが同じIPネットワークに接続された場合であっても個々の電源タップを特定して他の装置から制御情報を送信することができ、それぞれの電源タップに接続された電気機器の電源制御を容易に行うことができる。
【0021】
(2)IPネットワークを介して接続された他の装置から制御情報を取得するためのウェブページを他の装置へ提供するウェブサーバ手段を備えたことにより、広く普及しているIPネットワークに接続されるパーソナルコンピュータや携帯電話装置に通常標準で装備されているウェブブラウザから電気機器の制御情報を容易に送信することが可能となる。
【0022】
(3)プラグ接続部を複数備え、スイッチ部が、配電線に接続するための電源プラグと複数のプラグ接続部との間をそれぞれ個別に接続または切断するものであることにより、1つの電源タップの複数のプラグ接続部に複数の電気機器を接続し、1つの電源タップで複数の電気機器の電源制御を容易に行うことが可能となる。
【0023】
(4)IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、制御部による制御状態を示す情報を提供する第1の情報提供手段を有することにより、遠隔で電源制御する電気機器の制御状態を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で確認することが可能となる。これにより、遠隔で電気機器の電源を制御する場合に、正常に電源制御できているかどうかを確認することが可能となり、異常発生時には速やかに対処することが可能となる。
【0024】
(5)IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、電気機器への通電状態を示す情報を提供する第2の情報提供手段を有することにより、電気機器への通電状態を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で確認することが可能となる。これにより、遠隔で電気機器の通電状態を確認して、電気機器を管理することが可能となる。また、遠隔で電気機器の通電状態に基づいて電気機器その他の異常の発生の有無を確認することが可能となるので、異常発生時には速やかに対処することが可能となる。
【0025】
(6)電気機器への通電状態の変化から電気機器の状態を検出する状態検出手段と、IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、状態検出手段により検出した電気機器の状態を示す情報を提供する第3の情報提供手段とを有することにより、電気機器の状態を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で一目で確認することが可能となる。これにより、電気機器の状態に基づいて電気機器その他の異常の発生の有無を確認することが可能となり、異常発生時には速やかに対処することが可能となる。
【0026】
(7)複数のプラグ接続部に接続された各電気機器への通電状態を示す情報から各電気機器の消費電力量を積算する消費電力量積算手段と、この積算手段により積算された各電気機器の消費電力量を累積した値を使用電力量として記憶する使用電力量記憶手段と、IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、使用電力量記憶手段に記憶された使用電力量の情報を提供する第4の情報提供手段とを有することにより、各電気機器の使用電力量を、IPネットワークを介して接続する他の装置によりその場で確認することが可能となる。これにより、電力機器の個々の使用電力量を遠隔で管理することが可能となる。
【0027】
(8)制御情報として所定時間経過後にスイッチ部による電気的な接続または切断を行うためのタイマー設定情報を含み、制御部が、このタイマー設定情報に基づいてスイッチ部を制御することにより、遠隔で所定時間経過後に自動的に電気機器の電源をオンまたはオフすることが可能となる。
【0028】
(9)IPネットワーク接続部は、IPネットワークとしてのインターネットを介して他の装置から接続可能にするためのゲートウェイ機能を有するものであることにより、本発明の電源タップ単体で、IPネットワークとしてのインターネットを介して他の装置から直接接続して、電気機器の遠隔電源制御を行うことが可能となる。
【0029】
(10)制御部に制御情報を送信可能なリモートコントローラを備えたことにより、本発明の電源タップに接続された電気機器の電源を、この電源タップに対するリモートコントローラの操作によりオンまたはオフすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は本発明の実施の形態における電源タップの使用状態を示す概略図である。
図1において、本発明の実施の形態における電源タップ1は、配電線Wと電気機器A,B,Cとの間に介在させるものである。電源タップ1は、配電線Wのプラグ差込口Xに差し込んで配電線Wに接続するための電源プラグ2と、電気機器A,B,Cの各電源プラグD,E,Fを接続するためのプラグ接続部としてのプラグ差込口3a,3b,3cと、IPネットワークとしての家庭内や職場内等のLAN(Local Area Network;ローカルエリアネットワーク)Yに接続するためのIPネットワーク接続部4とを備える。
【0031】
図2は図1の電源タップ1の詳細な構成を示すブロック図である。
電源プラグ2と各プラグ差込口3a,3b,3cとは、それぞれ電気的に接続または切断することが可能なスイッチ部としてのリレー5a,5b,5cを介して接続されている。また、電源プラグ2と各プラグ差込口3a,3b,3cとを接続する電線の途中には計測センサ6a,6b,6cがそれぞれ設けられている。なお、図2では、各計測センサ6a,6b,6cを各リレー5a,5b,5cと電源プラグ2との間に設けた例を示しているが、各計測センサ6a,6b,6cは、各リレー5a,5b,5cと各プラグ差込口3a,3b,3cとの間に設けることも可能である。
【0032】
また、電源タップ1は、LANYおよびIPネットワークとしてのインターネットZを介して接続されるパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と称す。)Pや携帯電話装置H等の他の装置あるいは後述するリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称す。)10から送信される制御情報に基づいてリレー5a,5b,5cを制御する制御部7を備える。なお、制御部7を駆動するための電流は、電源プラグ2からの電線に分岐接続された電源回路8によって供給される。また、電源タップ1は、LANYおよびインターネットZを介して他の装置から接続可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部9を備える。
【0033】
制御部7は、IPネットワーク接続部4を介してLANYおよびインターネットZに接続し、通信するための通信回路12を備える。通信回路12は、IPアドレス記憶部9に記憶されたIPアドレスを用いてLANYおよびインターネットZに接続する。なお、本実施形態においては、LANYとインターネットZとの間にこれらの間の信号を中継するゲートウェイ11が設置されているが、このゲートウェイ11と同様の機能をIPネットワーク接続部4が備える構成とすれば、ゲートウェイ11は不要である。また、LANYは、有線接続/無線接続を問わない。
【0034】
リモコン10は、制御部7に対して制御情報を送信可能なものである。リモコン10は、LANYに接続して電源タップ1の通信回路12と通信するための通信手段(図示せず。)を備える。あるいは、リモコン10は、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の他の通信手段により電源タップ1と通信する構成としてもよい。リモコン10は、前述のパソコンPや携帯電話装置H等の装置から送信する制御信号と同様の制御信号を、キー入力により送信することが可能である。
【0035】
また、制御部7は、計測センサ6a,6b,6cにより計測した値に基づいて各プラグ差込口3a,3b,3cに接続された電気機器A,B,Cへの通電状態を示す情報(電流波形、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間およびピーク位置、電圧と消費電流との位相差や、時間差および力率などの特徴量)を演算する駆動計測回路13を備える。また、駆動計測回路13は、この電気機器A,B,Cへの通電状態の変化から各電気機器A,B,Cの状態を検出する状態検出手段(図示せず。)を備える。また、駆動計測回路13は、各電気機器A,B,Cへの通電状態を示す情報から各電気機器A,B,Cの消費電力量を積算する消費電力量積算手段(図示せず。)と、この消費電力積算手段により積算された各電気機器A,B,Cの消費電力量を累積した値を使用電力量として記憶する使用電力量記憶手段(図示せず。)とを備える。さらに、駆動計測回路13は、通信回路12により取得した制御情報に基づいて各リレー5a,5b,5cを制御するリレー制御手段(図示せず。)を備える。
【0036】
また、制御部7は、パソコンPや携帯電話装置H等の他の装置へ各種情報を提供したり、これらの他の装置から制御情報を取得したりするためのウェブページを、これらの他の装置へ提供するウェブサーバ部14を備える。図3はウェブサーバ部14によりパソコンPへ提供されるウェブページの例を示している。なお、以下の説明では、図3のウェブページ20を例にとって説明するが、携帯電話装置Hに提供されるウェブページについてもレイアウト等が異なるだけであって基本的には同様の構成である。
【0037】
図3の例では、ウェブサーバ部14からパソコンPや携帯電話装置Hに提供されるウェブページ20には、各プラグ差込口3a,3b,3cに対応するそれぞれの番号21、各プラグ差込口3a,3b,3cに対応する各リレー5a,5b,5cをタイマー動作させるまでの時間を指定するプルダウンボックス22、各リレー5a,5b,5cによる電気的接続(オン)または切断(オフ)の切り替えを指定するラジオボタン23、プルダウンボックス22およびラジオボタン23により指定された内容を制御情報として電源タップ1に送信するための送信ボタン24、制御部7による各リレー5a,5b,5cの制御状態を示す情報25、駆動計測回路13により積算した各プラグ差込口3a,3b,3cに接続された各電気機器A,B,Cの消費電力量26、および消費電力量26の積算値を初期値に戻すリセットボタン26aが表示されている。
【0038】
また、ウェブページ20には、このウェブページ20に表示されている各情報を最新の情報に更新するための再読込ボタン27、IPネットワーク接続部4によりIPネットワークに接続するためのIPアドレスを入力および表示するためのテキストボックス28、同じくIPネットワークに接続するためのネットマスクを入力および表示するためのテキストボックス29、LANYおよびインターネットZを介してパソコンPや携帯電話装置H等と電源タップ1との間で通信を行うためのゲートウェイ11のゲートウェイアドレスを入力および表示するためのテキストボックス30、および、各テキストボックス28,29,30に入力された設定値を電源タップ1へ送信し、IPアドレス記憶部9に記憶するための保存ボタン32が設けられている。また、このウェブページ20には、IPネットワーク上でIPネットワーク接続部4を識別するための固有のID番号であるマック(MAC)アドレスが表示されている。
【0039】
なお、図示していないが、このウェブページ20にはオプションとして、駆動計測回路13により演算した各電気機器A,B,Cへの通電状態を示す情報(電流波形、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間およびピーク位置、電圧と消費電流との位相差や、時間差および力率などの各種特徴量)を表示したり、駆動計測回路13の状態検出手段により検出した各電気機器A,B,Cの状態を示す情報を表示したり、駆動計測回路13の使用電力量記憶手段に記憶された使用電力量の情報を表示したりすることも可能である。また、パソコンPや携帯電話装置H等から電源タップ1に接続してこのウェブページ20を取得するためにパスワードを用いて認証させる場合には、これらの設定情報をウェブページ20に入力および表示し、入力された設定情報を電源タップ1へ送信し、記憶させる構成とすることも可能である。
【0040】
以下、上記構成の電源タップ1の動作について図4のフロー図に基づいて説明する。
まず、電源タップ1の各プラグ差込口3a,3b,3cにそれぞれ電気機器A,B,Cを接続しておき、制御部7を起動しておく(ステップS101)。利用者は、パソコンPや携帯電話装置H等によりインターネットZ、ゲートウェイ11およびLANYを介して所望の電源タップ1に接続する。このとき、複数の電源タップ1が同じLANY内に存在しても、各電源タップ1には異なるIPアドレスが設定され、それぞれのIPアドレス記憶部9に記憶されているので、利用者は制御したい電気機器がA,B,Cが接続されている電源タップ1に接続することが可能である。
【0041】
電源タップ1に接続すると、電源タップ1から利用者のパソコンPや携帯電話装置H等にログインパスワードの入力を促すウェブページ(図示せず。)がウェブサーバ部14により送信される。利用者はこのウェブページからログインパスワードを入力し、送信する(ステップS102)。送信されたログインパスワードは電源タップ1の制御部7により受信され、認証処理が行われる(ステップS103)。ここで、ログインパスワードが適正でない場合、認証が失敗し、再度ログインパスワードの入力を促すウェブページが送信される。
【0042】
ログインパスワードが適正な場合、認証が完了し、ウェブサーバ部14から利用者のパソコンPや携帯電話装置H等に図3に示すようなウェブページが送信される。利用者はこのウェブページに対して所定の操作を行い、送信ボタン24か保存ボタン32かを押下する。これらのいずれかが押下された場合、その情報が利用者のパソコンPや携帯電話装置H等から電源タップ1に送信される。送信された情報は電源タップ1の制御部7により受信され(ステップS104)、制御部7により命令判断がなされる(ステップS105)。
【0043】
送信ボタン24が押下された場合、制御部7は各送信ボタン24に対応するリレー3a,3b,3cの制御命令であると判断し、命令の実行を行う(ステップS106)。一方、保存ボタン32が押下された場合、制御部7は各テキストボックス28,29,30等に入力された情報をIPアドレス記憶部9に記憶する(ステップS107)。そして、各処理が終了した後、ログアウト処理が行われる(ステップS108)。
【0044】
ここで、ステップS106の命令の実行処理について例を挙げて詳細に説明する。
【0045】
利用者が家電機器Aの電源を入れたい場合、パソコンPや携帯電話装置Hに提供される図3のウェブページ20において、家電機器Aが差し込まれているプラグ差込口3aに対応する番号21のラジオボタン23にて、オンを指定し、同じ行の送信ボタン24を押下する。この操作によりパソコンPや携帯電話装置Hから電源タップ1に対してリレー3aを接続する制御命令が送信される。電源タップ1はこの制御命令を受信し、この制御命令にしたがって、駆動計測回路13にてリレー5aを接続する。これにより、電源プラグとプラグ差込口3aとが電気的に接続され、電気機器Aに電源が供給される。
【0046】
一方、利用者が家電機器Aの電源を切りたい場合、図3のウェブページ20において、家電機器Aが差し込まれているプラグ差込口3aに対応する番号21のラジオボタン23にて、オフを指定し、同じ行の送信ボタン24を押下する。この操作によりパソコンPや携帯電話装置Hから電源タップ1に対してリレー3aを切断する制御命令が送信される。電源タップ1はこの制御命令を受信し、この制御命令にしたがって、駆動計測回路13にてリレー5aを切断する。これにより、電源プラグ2とプラグ差込口3aとが電気的に切断され、電気機器Aへの電源供給が止まる。なお、利用者は、リレー5aによる制御状態をウェブページ20の情報25によって確認することができる。
【0047】
また、所定時間経過後に電気機器Aの電源を自動的にオン/オフしたい場合、図3のウェブページ20において、ラジオボタン23にてオン/オフを指定して送信ボタン24を押下する際、プルダウンボックス22にてラジオボタン23にて指定した動作を開始するまでの時間を指定してから押下する。この操作により電源タップ1の駆動計測回路13は送信ボタン24が押下されてからの経過時間を監視し、指定時間経過後にリレー5aを接続または切断する。これにより、電源プラグ2とプラグ差込口3aとが指定時間経過後に自動的に接続または切断され、電気機器Aの電源が自動的にオン/オフされる。
【0048】
なお、電気機器B,Cについても同様に、ウェブページ20において該当する家電機器B,Cが差し込まれているプラグ差込口3aに対応する番号21のプルダウンボックス22、ラジオボタン23および送信ボタン24によって電源をオン/オフすることができる。また、電源タップ1と同じLANYに接続されている別の電源タップ1についても、個々の電源タップ1が、各電源タップ1のIPアドレス(ウェブページ20のテキストボックス28によって設定される。)によって特定されるので、各電源タップ1のプラグ差込口3a,3b,3cに接続されている電気機器も同様に電源をオン/オフすることができる。
【0049】
以上のように、本実施形態における電源タップ1によれば、一般に広く用いられているIPネットワーク(LANYおよびインターネットZ)に接続されているパソコンPや携帯電話装置H等であれば世界中のどこからでも接続して、制御信号を送信することにより、遠隔で電気機器A,B,Cの電源制御を簡単に行うことが可能である。また、電気機器A,B,C自体に通信手段を増設したり、電灯線に一切特別な工事を行ったりする必要がない。したがって、国や地域によって異なる電源事情を考慮する必要がなく、安価に電気機器の遠隔電源制御を行うことが可能である。さらに、LANYを無線接続とすれば、電源タップ1をプラグ差込口Xに差し込むだけで使用可能となり、その他の配線工事を一切行う必要がなくなる。
【0050】
このような電源タップ1は、家庭、学校、オフィスや工場等の広い範囲に分散して配置されている多くの電気機器の電源を、IPネットワークに接続されている身近なパソコンPや携帯電話装置H等の装置により操作することができるので、各電気機器の電源を管理するのに適している。この電源タップ1によれば、各電気機器のそれぞれの設置場所を巡回する必要もないので、各電気機器の電源をこまめに管理することが可能である。したがて、この電源タップ1では、室内照明、コンピュータルームのモニターやプリンタ等の待機電力をウェブページ20により一元管理できるので、無駄な消費電力を抑えて電気の使用料金を削減することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態における電源タップ1では、ウェブページ20のテキストボックス28によってIPアドレスを設定することにより、複数の電源タップ1を同じIPネットワークに接続して使用することができ、個々のIPアドレスによりそれぞれの電源タップ1に接続された電気機器の電源制御を容易に行うことができる。
【0052】
また、本実施形態における電源タップ1では、IPネットワークを介して接続されたパソコンPや携帯電話装置H等の他の装置から制御情報を取得するためのウェブページ20を提供するウェブサーバ部14を備えているので、広く普及しているIPネットワークに接続されるパソコンPや携帯電話装置H等に通常標準で装備されているウェブブラウザから電気機器の制御情報を送信して制御することが容易である。
【0053】
また、本実施形態における電源タップ1では、複数のプラグ差込口3a,3b,3cおよび複数のリレー5a,5b,5cを備えるので、1つの電源タップ1の複数のプラグ差込口3a,3b,3cに複数の電気機器を接続して、1つの電源タップ1で複数の電気機器の電源制御を容易に行うことができる。なお、1つの電源タップ1に1つのプラグ差込口を備える構成とすることも可能であり、また2個や4個以上とすることも可能である。
【0054】
また、本実施形態における電源タップ1では、ウェブページ20に示すように、IPネットワークを介して接続されたパソコンPや携帯電話装置H等の他の装置に対し、制御部7による制御状態を示す情報25を提供するので、遠隔で電源制御する電気機器の制御状態を利用者はその場で確認することが可能である。これにより、遠隔で電気機器の電源を制御する場合に、正常に電源制御できているかどうかを確認することが可能となり、異常発生時には速やかに対処することが可能である。したがって、この電源タップ1では、セキュリティー分野にも適用可能である。
【0055】
また、図示していないが、本実施形態における電源タップ1では、ウェブページ20に電流波形、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間およびピーク位置、電圧と消費電流との位相差や、時間差および力率などの各種特徴量等の各電気機器への通電状態を示す情報を提供することができるので、電気機器への通電状態を利用者はこれらの情報をその場で確認することが可能である。これにより、利用者は遠隔で電気機器の通電状態を確認して、電気機器を管理することが可能となる。また、遠隔で電気機器の通電状態に基づいて電気機器その他の異常の発生の有無を確認して、異常発生時には速やかに対処することができる。
【0056】
また、図示していないが、本実施形態における電源タップ1では、ウェブページ20に駆動計測回路13の状態検出手段により検出した各電気機器の状態を示す情報を表示することができるので、利用者は電気機器の状態を、IPネットワークを介して接続するパソコンPや携帯電話装置H等の他の装置によりその場で一目で確認することが可能である。これにより、電気機器の状態に基づいて電気機器その他の異常の発生の有無を確認して、異常発生時には速やかに対処することができる。
【0057】
また、図示していないが、本実施形態における電源タップ1では、ウェブページ20に複数のプラグ差込口3a,3b,3cに接続された各電気機器の消費電力量および使用電力量を表示することができるので、利用者はこれらの情報をその場で確認して、各電力機器の個々の消費電力量および使用電力量を遠隔で管理することが可能である。
【0058】
また、本実施形態における電源タップ1では、ゲートウェイ11を別途設置しているが、前述のようにこのゲートウェイ11と同様の機能をIPネットワーク接続部4が備える構成とすることで、電源タップ1単体で、インターネットZを介してパソコンPや携帯電話装置H等の他の装置から直接接続して、各電気機器の遠隔電源制御を行うことが可能となる。
【0059】
また、本実施形態における電源タップ1では、リモコン10によって制御部7に制御情報を送信することが可能であるため、パソコンPや携帯電話装置H等を用いることなくこのリモコン10により電源タップ1に接続された各電気機器の電源をオン/オフすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の電源タップは、家庭、学校、オフィスや工場等の電気機器を遠隔で行う装置として有用である。特に、本発明の電源タップは、多くの電気機器の電源を、IPネットワークに接続されている身近なパソコンPや携帯電話装置H等の装置により操作することができるので、広い範囲に分散して配置されている電気機器を一元管理するものとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態における電源タップの使用状態を示す概略図である。
【図2】図1の電源タップの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】ウェブサーバ部によりパソコンへ提供されるウェブページの例を示す図である。
【図4】電源タップの動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0062】
1 電源タップ
2 電源プラグ
3a,3b,3c プラグ差込口
4 IPネットワーク接続部
5a,5b,5c リレー
6a,6b,6c 計測センサ
7 制御部
8 電源回路
9 IPアドレス記憶部
10 リモートコントローラ(リモコン)
11 ゲートウェイ
12 通信回路
13 駆動計測回路
14 ウェブサーバ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線と電気機器との間に介在させる電源タップであって、
前記配電線に接続するための電源プラグと、
前記電気機器の電源プラグを接続するためのプラグ接続部と、
IPネットワークへ接続するためのIPネットワーク接続部と、
前記IPネットワークを介して他の装置から接続可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部と、
前記配電線に接続するための電源プラグと前記プラグ接続部との間を電気的に接続または切断するスイッチ部と、
前記IPネットワークを介して接続された他の装置から送信される制御情報に基づいて、前記スイッチ部を制御する制御部と
を有する電源タップ。
【請求項2】
前記IPネットワークを介して接続された他の装置から前記制御情報を取得するためのウェブページを前記他の装置へ提供するウェブサーバ手段を有する請求項1記載の電源タップ。
【請求項3】
前記プラグ接続部を複数備え、
前記スイッチ部は、前記配電線に接続するための電源プラグと前記複数のプラグ接続部との間をそれぞれ個別に接続または切断するものである請求項1または2に記載の電源タップ。
【請求項4】
前記IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、前記制御部による制御状態を示す情報を提供する第1の情報提供手段を有する請求項1から3のいずれかに記載の電源タップ。
【請求項5】
前記IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、前記電気機器への通電状態を示す情報を提供する第2の情報提供手段を有する請求項1から4のいずれかに記載の電源タップ。
【請求項6】
前記通電状態を示す情報は、電流波形と、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間およびピーク位置と、電圧と消費電流との位相差、時間差および力率とのうち1つまたは複数の特徴量に関する情報である請求項5記載の電源タップ。
【請求項7】
前記電気機器への通電状態の変化から前記電気機器の状態を検出する状態検出手段と、
前記IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、前記状態検出手段により検出した前記電気機器の状態を示す情報を提供する第3の情報提供手段と
を有する請求項1から6のいずれかに記載の電源タップ。
【請求項8】
前記複数のプラグ接続部に接続された各電気機器への通電状態を示す情報から各電気機器の消費電力量を積算する消費電力量積算手段と、
この積算手段により積算された各電気機器の消費電力量を累積した値を使用電力量として記憶する使用電力量記憶手段と、
前記IPネットワークを介して接続された他の装置に対し、前記使用電力量記憶手段に記憶された使用電力量の情報を提供する第4の情報提供手段と
を有する請求項3記載の電源タップ。
【請求項9】
前記制御情報として所定時間経過後に前記スイッチ部による電気的な接続または切断を行うためのタイマー設定情報を含み、前記制御部は、前記タイマー設定情報に基づいて前記スイッチ部を制御するものである請求項1から8のいずれかに記載の電源タップ。
【請求項10】
前記IPネットワーク接続部は、前記IPネットワークとしてのインターネットを介して前記他の装置から接続可能にするためのゲートウェイ機能を有するものである請求項1から9のいずれかに記載の電源タップ。
【請求項11】
前記制御部に制御情報を送信可能なリモートコントローラを備えた請求項1から10のいずれかに記載の電源タップ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−114997(P2006−114997A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297912(P2004−297912)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(504380921)
【Fターム(参考)】