電源一体型半導体モジュールおよびその製造方法
【課題】十分な出力特性を備えた小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを提供することを可能にする。
【解決手段】絶縁性基板1と、絶縁性基板上に設けられた半導体素子2と、絶縁性基板に設けられ、正極5と、負極6と、正極および負極を分離するセパレータ7と、および正極、負極、およびセパレータに含浸されイオン液体を主成分とする非水電解質とを有し、半導体素子を駆動する非水電解質電池4と、半導体素子および非水電解質電池を覆うように設けられた封止樹脂10と、を備え、正極、負極、およびセパレータのいずれかは絶縁性基板および封止樹脂と接している。
【解決手段】絶縁性基板1と、絶縁性基板上に設けられた半導体素子2と、絶縁性基板に設けられ、正極5と、負極6と、正極および負極を分離するセパレータ7と、および正極、負極、およびセパレータに含浸されイオン液体を主成分とする非水電解質とを有し、半導体素子を駆動する非水電解質電池4と、半導体素子および非水電解質電池を覆うように設けられた封止樹脂10と、を備え、正極、負極、およびセパレータのいずれかは絶縁性基板および封止樹脂と接している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子とこの半導体素子を駆動する電源と一体化して形成された電源一体型半導体モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどワンチップで機能を発現する半導体モジュールが実現されつつある。このタグには、電源を内蔵しない場合と、電源を内蔵する場合とがある。電源を内蔵しない場合、使用時にはタグに内蔵された回路に有線ないし無線で電力を供給する必要がある。有線で電力を供給する場合、一つ一つのタグへコネクターやリード線を接続する必要があり、多数のタグから情報を収集することは困難である。また、無線で電力を供給する場合は、使用時に電磁誘導法などによりタグ内部で電力を発生させる。このため、外部の電力供給装置とタグとの距離が離れると発電効率が極端に低下し、多数のタグから短時間に情報を収集することは困難である。
【0003】
一方、タグ内に電源を内蔵する場合、タグから発信する信号強度は強く、離れたところからでも情報収集ができるため多数のタグから短時間に情報収集することが可能となる。しかし、電源を内蔵することにより電源の体積分だけタグの容積が大きくなるため、電源の小型化が求められている。
【0004】
タグに内蔵する電源としては、電池やキャパシターなどを用いることができるが、一般的には容量低下が少ないことから電池の方が好ましいと考えられている。一般的に小型電池としては、コイン型電池、ラミネート型電池が挙げられるが、いずれも封止・封口用の空間が必要なため、一定の空間に収納できる電池の容量が小さく、小型半導体モジュールへの搭載は困難である。
【0005】
一方、電池の表面上にICチップを実装した半導体素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この半導体素子は、電池の表面上にICチップが実装されているため、小型化できない。
【0006】
また、近年スパッタなどの手法により基板上に直接、電池モジュールを形成する技術も検討されている。しかし、使用できる電解質が固体電解質に限定されるため活物質層を薄くする必要があり、結果として電極単位面積あたりの放電容量を十分に得ることができない。また、固体電解質と電極活物質との接触が十分でなく、さらに固体電解質のリチウムイオン伝導度が低いために十分な放電出力特性を得ることができない。
【特許文献1】特開2005−286011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、十分な出力特性を備えた小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様による電源一体型半導体モジュールは、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に設けられた半導体素子と、前記絶縁性基板に設けられ、正極と、負極と、前記正極および前記負極を分離するセパレータと、および前記正極、前記負極、および前記セパレータに含浸されイオン液体を主成分とする非水電解質とを有し、前記半導体素子を駆動する非水電解質電池と、前記半導体素子および前記非水電解質電池を覆うように設けられた封止樹脂と、
を備え、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかは前記絶縁性基板および前記封止樹脂と接していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様による電源一体型半導体モジュールの製造方法は、絶縁性基板上に半導体素子を形成する工程と、前記絶縁性基板上に、正極と、負極と、前記正極と前記負極を分離するセパレータとを積層した後に、イオン液体を主成分とする非水電解質を前記正極、前記負極および前記セパレータに注液して含浸させ、非水電解質電池を形成する工程と、前記半導体素子および前記非水電解質電池を樹脂で封止する工程と、を備え、前記非水電解質は、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかを介して前記絶縁性基板および前記樹脂に接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、十分な出力特性を備えた小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、図面は模式的なものであり、寸法や比率が異なって示されている場合もある。
【0012】
(実施形態)
本発明の一実施形態による電源一体型半導体モジュールを図1A、1Bに示す。本実施形態による電源一体型半導体モジュールの断面図を図1Aに、樹脂を除去したときの上面図を図1Bに示す。
【0013】
本実施形態の電源一体型半導体モジュールは、絶縁性基板1上に形成された半導体素子2と、絶縁性基板1に設けられた凹部1a内に配置された非水電解質電池4と、を備えている。非水電解質電池4は、多孔質のセパレータ7と、このセパレータ7を介して対向して配置され正極5および負極6と、非水電解質と、を有し、周囲全体がセパレータ7により覆われた構造を有している。非水電解質は、イオン液体を主成分とし、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸されている。半導体素子と、非水電解質電池4の正極5、負極6とを接続するための配線8が絶縁性基板1上に設けられているとともに、外部との通信のために、半導体素子2に接続されたループ状アンテナ線9が絶縁性基板2に設けられている。なお、非水電解質電池4の正極5、負極6は、それぞれのリード5a、6aを介して、配線8に接続される。また、半導体素子2および非水電解質電池4は封止樹脂10によって覆われている。
【0014】
本実施形態においては、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分としており、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸され、かつ非水電解質はセパレータ7を介して絶縁性基板1および封止樹脂10と接触するように構成されている。すなわち、絶縁性基板1および封止樹脂10が非水電解質電池4の外装を兼ねた構成となっている。
【0015】
このように、本実施形態においては、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分とした液体電解質であるため、固体電解質の場合に比べて大きな出力特性を得ることができる。そして、この非水電解質は、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸され、かつセパレータ7を介して絶縁性基板1および封止樹脂10と接触するように構成されているので、液体電解質を有する電池を用いて電源一体型半導体モジュールを形成する場合に必要となる電池の外装が不要となる。このため、本実施形態に係る非水電解質電池4は電源一体型半導体モジュールに実装する際に新たな外装が不要となり、小型化することができる。
【0016】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例を図2A乃至図3Dを参照して説明する。なお、以下の変形例においては、リード5a、6a、および配線8等は説明を簡単にするために省略してある。
【0017】
図2Aに示す第1変形例の電源一体型半導体モジュールは、図1Aに示す本実施形態において、負極6を絶縁性基板1の凹部の底面に接するように形成した構成となっている。この第1変形例においては、第1実施形態と同様に、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分としており、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸されている。このため、非水電解質はセパレータ7または負極6を介して絶縁性基板1と接触するとともにセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するように構成されている。したがって、第1変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0018】
図2Bに示す第2変形例の電源一体型半導体モジュールは、図2Aに示す第1変形例において、正極5の負極6と反対側の面(正極5の上面)および側面が封止樹脂10に接するように形成した構成となっている。すなわち、この第2変形例においては、非水電解質はセパレータ7または負極6を介して絶縁性基板1と接触するとともにセパレータ7または正極5を介して封止樹脂10と接触するように構成されている。したがって、第2変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0019】
図2Cに示す第3変形例の電源一体型半導体モジュールは、図2Bに示す第2変形例において、正極5を絶縁性基板1の凹部1aを覆うように形成した構成となっている。すなわち、この第3変形例においては、非水電解質は正極5、セパレータ7、または負極6を介して絶縁性基板1と接触するとともに正極5を介して封止樹脂10と接触するように構成されている。したがって、第3変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0020】
図2Dに示す第4変形例の電源一体型半導体モジュールは、図1Aに示す本実施形態において、絶縁性基板1に凹部1aを設けずに、絶縁性基板1上に負極6、セパレータ7、および正極5の順に積層された非水電解質電池4を形成した構成となっている。すなわち、この第4変形例においては、非水電解質は正極5、セパレータ7、または負極6を介して封止樹脂10と接触するとともに負極6を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第4変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0021】
図3Aに示す第5変形例の電源一体型半導体モジュールは、図2Dに示す第4変形例において、セパレータ7が負極6の上面ばかりでなく側面を覆って裾が絶縁性基板1に接するように形成した構成となっている。すなわち、この第5変形例においては、非水電解質は正極5、またはセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するとともに負極6またはセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第5変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0022】
図3Bに示す第6変形例の電源一体型半導体モジュールは、図3Aに示す第5変形例において、セパレータ7を正極5の側面および上面を覆うように形成した構成となっている。すなわち、この第6変形例においては、非水電解質はセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するとともに負極6またはセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第6変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0023】
図3Cに示す第7変形例の電源一体型半導体モジュールは、図3Bに示す第6変形例において、絶縁性基板1と負極6との間にもセパレータ7を形成した構成となっている。すなわち、この第7変形例においては、非水電解質はセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するとともにセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第6変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0024】
図3Dに示す第8変形例の電源一体型半導体モジュールは、図1Aに示す本実施形態において、絶縁性基板1に凹部1aを形成しないで、絶縁性基板1上に負極6を形成し、この負極6を覆うようにセパレータ7を形成し、このセパレータ7を覆うように正極5を形成した構成となっている。この第8変形例においては、第1実施形態と同様に、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分としており、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸されている。このため、この第8変形例においては、非水電解質は正極5を介して封止樹脂10と接触するとともに正極5、負極6、またはセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第8変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0025】
なお、上記実施形態およびその変形例においては、正極5が負極6の上側に設けられていたが、正極5と負極6の配置は入れ替えた構成であっても良い。
【0026】
次に、本実施形態の電源一体型半導体モジュールの製造方法を図4A乃至図6Bを参照して説明する。
【0027】
まず、電池収納用の凹部1aが設けられた絶縁性基板1に半導体素子2、配線8、およびループ状のアンテナ線9を形成する(図4A、4B)。続いて、凹部1aにセパレータ7、負極6、セパレータ7、正極5、セパレータ7を順次積層し、負極6および正極5のリード線6aおよび5aを半導体素子2の配線8に接続する(図5A、5B)。その後、全体を100℃で真空乾燥した後に、リチウム塩を溶解したイオン液体からなる非水電解質を、セパレータ7、負極6、セパレータ7、正極5、およびセパレータ7が積層され収納された凹部1aに注ぎ、さらに雰囲気を真空―常圧とすることにより、正極5、負極6、およびセパレータ7に非水電解質を含浸させる(図5A、5B)。次に、絶縁性基板1を金型に収納して60℃に保ち、真空状態でエポキシ化合物と、硬化剤と、硬化促進剤と、充填剤とを含む液状エポキシ樹脂組成物10を絶縁性基板1覆うように充填した。さらに110℃で1時間、150℃で4時間の加熱を行ってエポキシ樹脂組成物を硬化し、電池一体型半導体モジュールを作成した(図6A、6B)。
【0028】
(非水電解質電池)
次に、本実施形態に係る非水電解質電池4について詳細に説明する。非水電解質電池4は、正極5、負極6、およびセパレータ7を具備しており、各々にはイオン液体を主成分とする非水電解質が含浸されている。正極5と負極6は、短冊状の電極を積層したものや、あるいは長いリボン上の電極を捲回あるいは九十九折にしたものを用いることができる。積層の数あるいはコイル状とした電極の長さは、電源一体型半導体モジュールの機能に応じて増減することができる。
【0029】
次に、非水電解質、正極、負極、セパレータについて説明する。
【0030】
1)非水電解質
非水電解質としては、イオン液体を主成分とし、リチウム塩を溶解させたものを用いることができる。イオン液体はカチオンとアニオンから構成される常温で液状の塩であり、不揮発性・不燃性という特徴を備えている。
【0031】
なお、非水電解質としては、EC(エチレンカーボネート)あるいはPC(プロピレンカーボネート)に代表される有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものもあるが、これらを、本実施形態の電池一体型半導体モジュールに用いた場合、非水電解質注液後の真空含浸工程や、液状エポキシ樹脂組成物の硬化工程において有機溶媒が揮発してしまい、電池特性が失われてしまう。また、有機溶媒は硬化後のエポキシ樹脂を膨潤させてしまうために、樹脂にクラックが入り、半導体素子2を含む回路を短絡させ、半導体素子の機能が失われる可能性がある。
【0032】
これに対して、本実施形態においては、非水電解質はイオン液体を主成分としている。イオン液体は不揮発性であり、注液後の真空含浸工程や、液状エポキシ組成物の硬化工程において揮発することはない。また、イオン液体を構成する後述のカチオン成分は、液状エポキシ樹脂の硬化促進剤として機能するものであり、エポキシ樹脂を膨潤させることはなく、逆に硬化を促進して強度を高めるという好ましい効果がある。
【0033】
イオン液体はカチオンとアニオンから構成される塩であり、カチオンとしては、次に示す構造を有するものが好ましい。
【化1】
【化2】
【0034】
これらは単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。(1)式においてR1、R2、R3、R4は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であるか、またはR1、R2は互いに結合して炭素数4以上5以下の環状構造を形成していてもよい。また、(2)式においてR5、R7は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であり、R6は水素あるいはメチル基より選ばれる置換基である。
【0035】
炭素数4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tertブチル基、secブチル基を挙げることができる。
【0036】
炭素数4以下のエーテル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、(2−メトキシ)プロピル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などを挙げることができる。炭素数4以下のエステル基としては、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、アセチルエチル基、プロピオニルメチル基などを挙げることができる。
【0037】
炭素数4以下の炭酸エステル基としては、鎖状の−CH2OCOOCH3、−CH2CH2OCOOCH3、−CH2OCOOCH2CH3、あるいは環状構造を有する
【化3】
または
【化4】
などを挙げることができる。
【0038】
具体的には、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3,4−トリメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオンなどを挙げることができる。
【0039】
中でも、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオンは、粘度が低く耐電圧性に優れたイオン液体が得られるために好ましい。さらに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオンは、イオン液体のリチウム塩の溶解度が高く、高イオン伝導性電解質が得られるために、より好ましい。
【0040】
アニオンとしては、PF6−、[PF3(C2F5)3]−、[PF3(CF3)3]−、BF4−、[BF2(CF3)2]−、[BF2(C2F5)2]−、[BF3(CF3)]−、[BF3(C2F5)]−、[B(COOCOO)2]−、CF3SO3−、C4F9SO3−、[(CF3SO2)2N]−(TFSI−)、[(C2F5SO2)2N]−(BETI−)、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−、[(CN)2N]−、[(CF3SO2)3C]−、[(CN)3C]−より選ばれるアニオンであることが望ましく、これらは単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。中でも、BF4−,[BF3(CF3)]−、[BF3(C2F5)]−、TFSI−、BETI−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−は、粘度の低いイオン液体が得られるために好ましい。さらに、TFSI−、BETI−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−は、耐高温性の優れたイオン液体が得られるために、より好ましい。
【0041】
上記カチオンとアニオンから構成されるイオン液体は、単独で用いてもよいが、複数種のイオン液体を混合して用いても良い。
【0042】
上記イオン液体に加えるリチウム塩としては、LiPF6,Li[PF3(C2F5)3]、Li[PF3(CF3)3]、LiBF4,Li[BF2(CF3)2]、Li[BF2(C2F5)2]、Li[BF3(CF3)]、Li[BF3(C2F5)]、LiBOB、LiTf、LiNf、LiTFSI、LiBETI、Li[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]、Li[(CN)2N]、Li[(CF3SO2)3C]などを用いることができる。これらリチウム塩のアニオンは、イオン液体を構成するアニオンと同じものであっても、異なっていてもよい。また、単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。
【0043】
また上記リチウム塩としては、中でもLiBF4,Li[BF3(CF3)]、Li[BF3(C2F5)]、LiTFSI、LiBETI、Li[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]は、非水電解質の粘度が低いために好ましい。さらに、LiTFSI、LiBETI、Li[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]は、耐高温性に優れた非水電解質が得られるために、より好ましい。リチウム塩の濃度としては、0.2M以上、4.0M以下であることが好ましい。リチウム塩濃度が0.2Mを下回ると、リチウムイオン伝導度が低下して大電流放電特性が低下する。また、リチウム塩濃度が4.0Mを超えると粘度が高くなり電極やセパレータへの含浸が困難になる他、リチウム塩が溶解しきらずに析出するため、充分な特性を得ることができなくなる。特に望ましいリチウム塩濃度は、0.5M以上2.5M以下である。
【0044】
2)正極
正極は例えば、正極活物質、導電剤およびバインダーを混練し、得られた合剤を膜状に成形することにより作製される。電気伝導を高めるために、シート状の集電体を用いることができる。
【0045】
上記正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(LixCoO2)、リチウム鉄酸化物(LixFeO2)、リチウムニッケル酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト酸化物(LixNiyCo1-yO;0<y<1)、リチウムマンガン酸化物(LixMn2O4)等のリチウム金属酸化物、マンガン酸化物(MnO2)、五酸化バナジウム(V2O5)、クロム酸化物(Cr3O8,CrO2)、三酸化モリブデン(MoO3)、二酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物を用いることができる。これら金属酸化物を用いることによって、高電圧で、高容量の非水電解質二次電池が得られる。中でも、LixCoO2 、LixFeO2 、LixNiO2 、LixNiyCo1-yO2 (0<y<1)、LiMn2O4 は、電圧が高く、高エネルギー密度の非水電解質電池が得られるためにより好ましい。なお、上記化合物において、xの範囲は、充放電反応の可逆性を高める観点から、0≦x≦2、好ましくは0<x<1.1とすると良い。
【0046】
また、上記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。前記バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。これらは特に限定されるものではない。
【0047】
また、上記正極の集電体としては、例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケル、タングステン、チタン、又はモリブデンからなる金属箔、金属網等を用いることができる。中でもアルミニウムは、軽量で高エネルギー密度の非水電解質電池が得られるために、より好ましい。上記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金を被覆しても良い。
【0048】
また、上記バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンープロピレンーブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。中でもPVdFは、結着力が強くサイクル特性に優れた非水電解質電池が得られるために好ましい。
【0049】
3)負極
負極は、例えば、負極活物質、バインダーおよび必要に応じて導電剤を混練し、得られた合剤を膜状に成形することにより作製される。また電気伝導を高めるために、シート状の集電体を用いることができる。
【0050】
上記負極活物質としては、従来のリチウムイオン電池またはリチウム電池に使用されている材料を使用することができる。中でも、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、リチウム金属、リチウム合金、リチウム複合酸化物、またはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料を、負極活物質として使用することが好ましい。
【0051】
上記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、チタン含有金属複合酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などを挙げることができる。上記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物などを挙げることができる。上記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物などを挙げることができる。上記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。上記炭素質物としては、例えば、黒鉛、等方性黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素などを挙げることができる。中でも、メソフェーズピッチを原料とした炭素繊維や、球状炭素を含む負極は、充電効率が高いためにサイクル寿命を向上することができ、好適である。さらに、メソフェーズピッチを原料とした炭素繊維や、球状炭素の黒鉛結晶の配向は、放射状であることが好ましい。
【0052】
中でも、チタン含有金属複合酸化物は、充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池が得られるために好ましい。
【0053】
上述したチタン含有金属複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン酸化物、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物などを挙げることができる。リチウムチタン酸化物としては、例えばLi4+xTi5O12(0≦x≦3)やLi2+xTi3O7(0≦x≦3)などが挙げられる。チタン系酸化物としては、TiO2、TiとP、V、Sn、Cu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物などが挙げられる。
【0054】
さらに、Li4+xTi5O12(0≦x≦3)は、放電時の電圧変化が平坦な非水電解質電池が得られるために、より好ましい。
【0055】
上記負極の集電体としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、タングステン、チタンからなる金属箔、金属網等を用いることができる。中でもアルミニウムは、軽量で高エネルギー密度の非水電解質電池が得られるために、より好ましい。上記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金を被覆しても良い。
【0056】
上記バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンープロピレンーブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。中でもPVdFは、結着力が強くサイクル特性に優れた非水電解質電池が得られるために好ましい。
【0057】
4)セパレータ
セパレータとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリエチレンーテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミド、セルロースポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニリデンフルオライド(PVdF)などの有機高分子を含む多孔質フィルムや、合成樹脂製不織布、あるいはガラス繊維製不織布などを用いることができる。前記セパレータには、アルミナ、酸化ジルコニウムなどの無機酸化物の粒子を混合して用いることができる。
【0058】
5)封止樹脂
次に、封止樹脂について説明する。
【0059】
封止樹脂としては、一般に半導体素子の封止に用いるものであれば特に限定するものではないが、中でもエポキシ樹脂が好ましい。さらに、エポキシ樹脂の中でも1分子中に2個以上のエポキシ基を有しているエポキシ樹脂が好ましい。
【0060】
具体的には例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール系のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリまたはテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンから誘導されるエポキシ化合物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルメタン系エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物、複素環式エポキシ樹脂、芳香族ジグリシジルアミン化合物などを用いることができる。
【0061】
これらのエポキシ樹脂は2種以上を混合して用いても良い。なお、これらのエポキシ樹脂は常温で液状であることが好ましい。また、上述したエポキシ樹脂のうちのビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた場合には、樹脂組成物の粘度が下がり、かつ貯蔵安定性にも優れていることから、エポキシ樹脂を混合する場合にはビスフェノールF型エポキシ樹脂をエポキシ樹脂マトリクスの少なくとも1つとして用いることが好ましい。
【0062】
上記エポキシ樹脂は、エポキシ化合物と、硬化剤(重合開始剤)と、充填材と、必要に応じて硬化促進剤ならびに触媒を添加したエポキシ樹脂組成物を硬化させたものである。
【0063】
上記硬化剤としては、酸無水物類、アミン類、メルカプタン類、フェノール類、ジシアナミド類などを用いることができる。中でも酸無水物は、非水電解質中に混入した場合でも非水電解質電池の性能を低下させないために、より好ましい。上記酸無水物としては、具体的には無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸(3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸)、メチルー3,6−エンドメチレン無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、グリセロールトリストリメリテート三無水物、1,10−デカメチレンビストリメリテート二無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などを用いることができる。
【0064】
これらの酸無水物は2種以上を混合して用いても良い。なお、これらの酸無水物は常温で液状であることが好ましい。硬化剤の配合量は特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比(硬化剤の反応基/エポキシ基)を0.5〜1.5の範囲にすることが望ましい。この当量比が0.5未満では硬化反応が十分に起こりにくくなり、一方、1.5を超えると硬化物の物性、特に耐湿性が低下する恐れがあるからである。なお、当量比のより好ましい範囲は0.8〜1.2である。
【0065】
硬化促進剤としては、60℃以上の温度で触媒活性を示す潜在性触媒であれば任意の化合物を用いることができ、特に制限されない。触媒活性を示す温度が60℃未満であると、樹脂組成物の貯蔵安定性が著しく低下してしまい長期間安定に保存できなくなる。これに加えて60℃未満であると、半導体素子を封止する工程において、樹脂の流動中に粘度が上昇して成形性が損なわれる。
【0066】
このような潜在性の硬化促進剤としては、具体的には例えば、ジシアンジアミド、高融点イミダゾール化合物、有機酸ジヒドラジド類、アミノマレオニトリル、メラミンおよびその誘導体、ポリアミン類などの高温でエポキシ樹脂に溶解して活性を示す高融点分解型触媒;アミンイミド化合物、エポキシ樹脂に可溶な第3アミン塩やイミダゾール塩などの高温において分解して活性化する塩基性触媒;3フッ化ホウ素のモノエチルアミン塩に代表されるルイス酸塩やルイス酸錯体、ブレンステッド酸の脂肪族スルホニウム塩に代表されるブレンステッド酸塩などの高温解離型のカチオン重合触媒;触媒をモレキュラシーブやゼオライトのような空孔を有する化合物に吸着させた吸着型触媒などを用いることができる。中でも、1,3位に置換基を有するイミダゾリウム化合物類は、非水電解質に混入しても非水電解質電池の性能を損なわないため好ましい。具体的には、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウムカチオンなどを挙げることができる。
【0067】
なお、硬化促進剤の配合量は特に限定されないが、反応に関わる樹脂マトリクスに対して0.01〜10wt%であることが望ましい。配合量が0.01wt%未満であると樹脂組成物の硬化特性が低下する傾向にあり、一方、10wt%を超えると硬化物の耐湿性および樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する恐れがあるからである。
【0068】
上記充填剤としては、例えば無機質充填剤が挙げられる。無機質充填剤としては、最大粒径が40μm以下の球状の溶融シリカ粉末を用いるのが好ましい。最大粒径が40μmを超えると、半導体素子と基板との間の間隙への樹脂の充填性が悪化し、半導体装置の成形性が低下する。また、この溶融シリカ粉末は平均粒径1〜10μmのものと平均粒径1μm未満のものとを適宜組み合わせて用いることが最も好ましい。このように大小2種の平均粒径を有する溶融シリカ粉末を組み合わせて配合することで、充填剤は最密充填構造をとりやすくなり、溶融シリカ粉末が高充填でも良好な樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0069】
この溶融シリカ粉末と共に他の無機質充填剤を併用しても良い。他の無機質充填剤としては、具体的には例えば、結晶性シリカ粉末、タルク、アルミナ粉末、窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、ケイ酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末、マグネシア粉末などを用いることができる。
【0070】
ただし、樹脂組成物の流動性や貯蔵安定性、半導体素子と基板との間の間隙への流れ込み性をあまり損なわないように、その配合量を決定する必要がある。さらに耐湿性をより向上させるためには、無機質充填剤の表面処理を行うことが好ましい。表面処理を行う場合、通常の表面処理に使用されるようなシランカップリング剤であれば特に制限なく用いることができる。
【0071】
シランカップリング剤としては、具体的には例えば、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、アクリルシランなどを用いることができる。このシランカップリング剤の添加量は、充填剤全体を100重量部としたときに0.02〜10重量部が好ましい。0.02重量部未満であると樹脂組成物を硬化したさせた成形物の強度が低下する恐れがあり、一方、10重量部を超えると成形物の吸湿性が上昇しやすく、またボイドが発生しやすくなる恐れがあるからである。充填剤としては、無機質充填剤の他に有機質充填剤を用いることができる。この有機質充填剤を用いることによって、液状エポキシ樹脂組成物が低粘度で流動性および成形性に優れ、かつ低応力なものとなる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0073】
(実施例1)
本実施例は、図1Aおよび図1Bに示す電源一体型半導体モジュールを作成する。
【0074】
正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )を用い、これに導電剤として正極合材全体に対し8重量%の割合となるように黒鉛粉末、バインダーとして正極合材全体に対し5重量%の割合となるようにポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液をそれぞれ配合し、得られた塗液をアルミ箔に塗布し、乾燥することにより正極シートを作製した。
【0075】
また、負極活物質としてチタン酸リチウムを用い、これに導電剤として負極合材全体に対し8重量%の割合となるようにアセチレンブラック粉末、バインダーとして負極合材全体に対し5重量%の割合となるようにPVdFのNMP溶液をそれぞれ配合し、得られた塗液をアルミ箔に塗布し、乾燥することにより負極シートを作製した。
【0076】
正極5および負極6を各々5mm角に切断し、幅1mmのアルミ箔のリードを超音波溶接により溶接した。セパレータ7として7mm角のPET製多孔質フィルムを準備した。絶縁性基板1に配線を形成し、半導体素子2を実装し、さらに6mm角の深さ100μmの凹部1aを絶縁性基板1に形成した。形成した凹部1aにセパレータ7/正極5/セパレータ7/負極6/セパレータ7の順に積層し、最外周部を絶縁性基板1と熱融着することにより、正極5、負極6、およびセパレータ7を絶縁性基板1に固定し、さらに正極5と負極6に接続するリード5a、6aを絶縁性基板1上の配線8と接続した。
【0077】
1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムBETIに、0.75モル/Lの割合でLiBETIを溶解し、イオン液体を主成分とする非水電解質を作成した。絶縁性基板1の凹部1a内に配置された正極5、負極6、およびセパレータ7の積層物の上に、上記非水電解質を滴下し、真空含浸することによりセパレータ7、正極5、および負極6に非水電解質を含浸し、非水電解質電池4を作成した。
【0078】
封止樹脂にはエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤および充填剤の混合物を用いた。エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量169、油化シェルエポキシ社製、エピコート807)を100重量部、硬化剤として酸無水物硬化剤であるメチルテトラヒドロ無水フタル酸を100重量部、硬化促進剤としてイミダゾリウム化合物である1,3−ジベンジルー2−メチルイミダゾリウムクロライドを5重量部、充填剤として球状の無機質充填剤である球状シリカ:SP−3B(平均粒径3.3μm、最大粒径12μm、扶桑シルテック社製)を180重量部、およびSO−E5(平均粒径1.5μm、最大粒径3.0μm、アドマテック社製)を80重量部混合し、液状のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0079】
半導体素子2と非水電解質電池4を実装した絶縁性基板1を60℃に加熱し、上記エポキシ樹脂組成物を充填した後に、真空含浸を実施、さらに110℃8時間加熱することによりエポキシ樹脂組成物10を硬化し、電源一体型半導体モジュールを作成した。
【0080】
(比較例1)
比較例1として、イオン液体を主成分としない非水電解質を用いる以外は実施例1と同じ電源一体型半導体モジュールを作成した。この比較例1の非水電解質として、エチルメチルカーボネートとエチレンカーボネートを体積で1:1に混合した溶媒に、1.0モル/Lの割合でLiPF6を溶解したものを用いた。しかし、この比較例の完成した電源一体型半導体モジュール内で電池は機能しなかった。モジュールを切断して電池部分を観察したところ、非水電解質が固体となっていた。そして、この固体の主成分はエチレンカーボネートとLiPF6であった。このことから、比較例1の製造中の非水電解質の真空含浸工程と、エポキシ樹脂組成物の硬化工程とにおいて、非水電解質に含まれる低沸点成分であるエチルメチルカーボネートが揮発したものと考えられる。
【0081】
(比較例2)
この比較例2では、非水電解質電池として、ラミネート外装を有する電池を以下の手法で作成した。まず正極および負極を各々5mm角に切断し、幅1mmのアルミ箔のリードを超音波溶接により溶接した。セパレータとして7mm角のPET製多孔質フィルムを準備した。外装材として7mm角のアルミラミネートフィルムを準備した。アルミラミネートフィルム/正極/セパレータ/負極/アルミラミネートフィルムの順に積層し、実施例1と同じイオン液体を主成分とする非水電解質を注液した。最外周部を熱融着することにより封止を試みたが、封止することができなかった。熱融着の幅が1mmでは足りなかったためと考えられる。熱融着の幅が3mmであれば十分な強度が得られることが明らかとなったが、5mm角の電極を収容するためには11mm角のラミネートフィルムが必要となり、実施例1と同じサイズの半導体モジュールに実装することができなかった。
【0082】
一方、外装材として、7mm角のアルミラミネートフィルムを用いた場合、非水電解質を封止するためには、電極は1mm角となってしまうため、半導体モジュールが作動する十分な電力を得ることができなかった。
【0083】
以上説明したように、本実施例によれば、十分な出力特性を備えた小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】本発明の一実施形態による電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図1B】一実施形態による電池一体型半導体モジュールの、樹脂を除去したときの上面図。
【図2A】第1変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図2B】第2変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図2C】第3変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図2D】第4変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3A】第5変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3B】第6変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3C】第7変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3D】第8変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図4A】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す断面図。
【図4B】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す上面図。
【図5A】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す断面図。
【図5B】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す上面図。
【図6A】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す断面図。
【図6B】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す上面図。
【符号の説明】
【0085】
1 絶縁性基板
1a 凹部
2 半導体素子
4 非水電解質電池
5 正極
5a リード
6 負極
6a リード
7 セパレータ
8 配線
9 ループ状アンテナ
10 封止樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子とこの半導体素子を駆動する電源と一体化して形成された電源一体型半導体モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどワンチップで機能を発現する半導体モジュールが実現されつつある。このタグには、電源を内蔵しない場合と、電源を内蔵する場合とがある。電源を内蔵しない場合、使用時にはタグに内蔵された回路に有線ないし無線で電力を供給する必要がある。有線で電力を供給する場合、一つ一つのタグへコネクターやリード線を接続する必要があり、多数のタグから情報を収集することは困難である。また、無線で電力を供給する場合は、使用時に電磁誘導法などによりタグ内部で電力を発生させる。このため、外部の電力供給装置とタグとの距離が離れると発電効率が極端に低下し、多数のタグから短時間に情報を収集することは困難である。
【0003】
一方、タグ内に電源を内蔵する場合、タグから発信する信号強度は強く、離れたところからでも情報収集ができるため多数のタグから短時間に情報収集することが可能となる。しかし、電源を内蔵することにより電源の体積分だけタグの容積が大きくなるため、電源の小型化が求められている。
【0004】
タグに内蔵する電源としては、電池やキャパシターなどを用いることができるが、一般的には容量低下が少ないことから電池の方が好ましいと考えられている。一般的に小型電池としては、コイン型電池、ラミネート型電池が挙げられるが、いずれも封止・封口用の空間が必要なため、一定の空間に収納できる電池の容量が小さく、小型半導体モジュールへの搭載は困難である。
【0005】
一方、電池の表面上にICチップを実装した半導体素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この半導体素子は、電池の表面上にICチップが実装されているため、小型化できない。
【0006】
また、近年スパッタなどの手法により基板上に直接、電池モジュールを形成する技術も検討されている。しかし、使用できる電解質が固体電解質に限定されるため活物質層を薄くする必要があり、結果として電極単位面積あたりの放電容量を十分に得ることができない。また、固体電解質と電極活物質との接触が十分でなく、さらに固体電解質のリチウムイオン伝導度が低いために十分な放電出力特性を得ることができない。
【特許文献1】特開2005−286011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、十分な出力特性を備えた小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様による電源一体型半導体モジュールは、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に設けられた半導体素子と、前記絶縁性基板に設けられ、正極と、負極と、前記正極および前記負極を分離するセパレータと、および前記正極、前記負極、および前記セパレータに含浸されイオン液体を主成分とする非水電解質とを有し、前記半導体素子を駆動する非水電解質電池と、前記半導体素子および前記非水電解質電池を覆うように設けられた封止樹脂と、
を備え、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかは前記絶縁性基板および前記封止樹脂と接していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様による電源一体型半導体モジュールの製造方法は、絶縁性基板上に半導体素子を形成する工程と、前記絶縁性基板上に、正極と、負極と、前記正極と前記負極を分離するセパレータとを積層した後に、イオン液体を主成分とする非水電解質を前記正極、前記負極および前記セパレータに注液して含浸させ、非水電解質電池を形成する工程と、前記半導体素子および前記非水電解質電池を樹脂で封止する工程と、を備え、前記非水電解質は、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかを介して前記絶縁性基板および前記樹脂に接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、十分な出力特性を備えた小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、図面は模式的なものであり、寸法や比率が異なって示されている場合もある。
【0012】
(実施形態)
本発明の一実施形態による電源一体型半導体モジュールを図1A、1Bに示す。本実施形態による電源一体型半導体モジュールの断面図を図1Aに、樹脂を除去したときの上面図を図1Bに示す。
【0013】
本実施形態の電源一体型半導体モジュールは、絶縁性基板1上に形成された半導体素子2と、絶縁性基板1に設けられた凹部1a内に配置された非水電解質電池4と、を備えている。非水電解質電池4は、多孔質のセパレータ7と、このセパレータ7を介して対向して配置され正極5および負極6と、非水電解質と、を有し、周囲全体がセパレータ7により覆われた構造を有している。非水電解質は、イオン液体を主成分とし、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸されている。半導体素子と、非水電解質電池4の正極5、負極6とを接続するための配線8が絶縁性基板1上に設けられているとともに、外部との通信のために、半導体素子2に接続されたループ状アンテナ線9が絶縁性基板2に設けられている。なお、非水電解質電池4の正極5、負極6は、それぞれのリード5a、6aを介して、配線8に接続される。また、半導体素子2および非水電解質電池4は封止樹脂10によって覆われている。
【0014】
本実施形態においては、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分としており、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸され、かつ非水電解質はセパレータ7を介して絶縁性基板1および封止樹脂10と接触するように構成されている。すなわち、絶縁性基板1および封止樹脂10が非水電解質電池4の外装を兼ねた構成となっている。
【0015】
このように、本実施形態においては、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分とした液体電解質であるため、固体電解質の場合に比べて大きな出力特性を得ることができる。そして、この非水電解質は、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸され、かつセパレータ7を介して絶縁性基板1および封止樹脂10と接触するように構成されているので、液体電解質を有する電池を用いて電源一体型半導体モジュールを形成する場合に必要となる電池の外装が不要となる。このため、本実施形態に係る非水電解質電池4は電源一体型半導体モジュールに実装する際に新たな外装が不要となり、小型化することができる。
【0016】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例を図2A乃至図3Dを参照して説明する。なお、以下の変形例においては、リード5a、6a、および配線8等は説明を簡単にするために省略してある。
【0017】
図2Aに示す第1変形例の電源一体型半導体モジュールは、図1Aに示す本実施形態において、負極6を絶縁性基板1の凹部の底面に接するように形成した構成となっている。この第1変形例においては、第1実施形態と同様に、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分としており、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸されている。このため、非水電解質はセパレータ7または負極6を介して絶縁性基板1と接触するとともにセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するように構成されている。したがって、第1変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0018】
図2Bに示す第2変形例の電源一体型半導体モジュールは、図2Aに示す第1変形例において、正極5の負極6と反対側の面(正極5の上面)および側面が封止樹脂10に接するように形成した構成となっている。すなわち、この第2変形例においては、非水電解質はセパレータ7または負極6を介して絶縁性基板1と接触するとともにセパレータ7または正極5を介して封止樹脂10と接触するように構成されている。したがって、第2変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0019】
図2Cに示す第3変形例の電源一体型半導体モジュールは、図2Bに示す第2変形例において、正極5を絶縁性基板1の凹部1aを覆うように形成した構成となっている。すなわち、この第3変形例においては、非水電解質は正極5、セパレータ7、または負極6を介して絶縁性基板1と接触するとともに正極5を介して封止樹脂10と接触するように構成されている。したがって、第3変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0020】
図2Dに示す第4変形例の電源一体型半導体モジュールは、図1Aに示す本実施形態において、絶縁性基板1に凹部1aを設けずに、絶縁性基板1上に負極6、セパレータ7、および正極5の順に積層された非水電解質電池4を形成した構成となっている。すなわち、この第4変形例においては、非水電解質は正極5、セパレータ7、または負極6を介して封止樹脂10と接触するとともに負極6を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第4変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0021】
図3Aに示す第5変形例の電源一体型半導体モジュールは、図2Dに示す第4変形例において、セパレータ7が負極6の上面ばかりでなく側面を覆って裾が絶縁性基板1に接するように形成した構成となっている。すなわち、この第5変形例においては、非水電解質は正極5、またはセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するとともに負極6またはセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第5変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0022】
図3Bに示す第6変形例の電源一体型半導体モジュールは、図3Aに示す第5変形例において、セパレータ7を正極5の側面および上面を覆うように形成した構成となっている。すなわち、この第6変形例においては、非水電解質はセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するとともに負極6またはセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第6変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0023】
図3Cに示す第7変形例の電源一体型半導体モジュールは、図3Bに示す第6変形例において、絶縁性基板1と負極6との間にもセパレータ7を形成した構成となっている。すなわち、この第7変形例においては、非水電解質はセパレータ7を介して封止樹脂10と接触するとともにセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第6変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0024】
図3Dに示す第8変形例の電源一体型半導体モジュールは、図1Aに示す本実施形態において、絶縁性基板1に凹部1aを形成しないで、絶縁性基板1上に負極6を形成し、この負極6を覆うようにセパレータ7を形成し、このセパレータ7を覆うように正極5を形成した構成となっている。この第8変形例においては、第1実施形態と同様に、非水電解質電池4の非水電解質はイオン液体を主成分としており、正極5、負極6およびセパレータ7にそれぞれ含浸されている。このため、この第8変形例においては、非水電解質は正極5を介して封止樹脂10と接触するとともに正極5、負極6、またはセパレータ7を介して絶縁性基板1と接触するように構成されている。したがって、この第8変形例も本実施形態と同様に、十分な出力特性を有する小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを得ることができる。
【0025】
なお、上記実施形態およびその変形例においては、正極5が負極6の上側に設けられていたが、正極5と負極6の配置は入れ替えた構成であっても良い。
【0026】
次に、本実施形態の電源一体型半導体モジュールの製造方法を図4A乃至図6Bを参照して説明する。
【0027】
まず、電池収納用の凹部1aが設けられた絶縁性基板1に半導体素子2、配線8、およびループ状のアンテナ線9を形成する(図4A、4B)。続いて、凹部1aにセパレータ7、負極6、セパレータ7、正極5、セパレータ7を順次積層し、負極6および正極5のリード線6aおよび5aを半導体素子2の配線8に接続する(図5A、5B)。その後、全体を100℃で真空乾燥した後に、リチウム塩を溶解したイオン液体からなる非水電解質を、セパレータ7、負極6、セパレータ7、正極5、およびセパレータ7が積層され収納された凹部1aに注ぎ、さらに雰囲気を真空―常圧とすることにより、正極5、負極6、およびセパレータ7に非水電解質を含浸させる(図5A、5B)。次に、絶縁性基板1を金型に収納して60℃に保ち、真空状態でエポキシ化合物と、硬化剤と、硬化促進剤と、充填剤とを含む液状エポキシ樹脂組成物10を絶縁性基板1覆うように充填した。さらに110℃で1時間、150℃で4時間の加熱を行ってエポキシ樹脂組成物を硬化し、電池一体型半導体モジュールを作成した(図6A、6B)。
【0028】
(非水電解質電池)
次に、本実施形態に係る非水電解質電池4について詳細に説明する。非水電解質電池4は、正極5、負極6、およびセパレータ7を具備しており、各々にはイオン液体を主成分とする非水電解質が含浸されている。正極5と負極6は、短冊状の電極を積層したものや、あるいは長いリボン上の電極を捲回あるいは九十九折にしたものを用いることができる。積層の数あるいはコイル状とした電極の長さは、電源一体型半導体モジュールの機能に応じて増減することができる。
【0029】
次に、非水電解質、正極、負極、セパレータについて説明する。
【0030】
1)非水電解質
非水電解質としては、イオン液体を主成分とし、リチウム塩を溶解させたものを用いることができる。イオン液体はカチオンとアニオンから構成される常温で液状の塩であり、不揮発性・不燃性という特徴を備えている。
【0031】
なお、非水電解質としては、EC(エチレンカーボネート)あるいはPC(プロピレンカーボネート)に代表される有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものもあるが、これらを、本実施形態の電池一体型半導体モジュールに用いた場合、非水電解質注液後の真空含浸工程や、液状エポキシ樹脂組成物の硬化工程において有機溶媒が揮発してしまい、電池特性が失われてしまう。また、有機溶媒は硬化後のエポキシ樹脂を膨潤させてしまうために、樹脂にクラックが入り、半導体素子2を含む回路を短絡させ、半導体素子の機能が失われる可能性がある。
【0032】
これに対して、本実施形態においては、非水電解質はイオン液体を主成分としている。イオン液体は不揮発性であり、注液後の真空含浸工程や、液状エポキシ組成物の硬化工程において揮発することはない。また、イオン液体を構成する後述のカチオン成分は、液状エポキシ樹脂の硬化促進剤として機能するものであり、エポキシ樹脂を膨潤させることはなく、逆に硬化を促進して強度を高めるという好ましい効果がある。
【0033】
イオン液体はカチオンとアニオンから構成される塩であり、カチオンとしては、次に示す構造を有するものが好ましい。
【化1】
【化2】
【0034】
これらは単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。(1)式においてR1、R2、R3、R4は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であるか、またはR1、R2は互いに結合して炭素数4以上5以下の環状構造を形成していてもよい。また、(2)式においてR5、R7は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であり、R6は水素あるいはメチル基より選ばれる置換基である。
【0035】
炭素数4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tertブチル基、secブチル基を挙げることができる。
【0036】
炭素数4以下のエーテル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、(2−メトキシ)プロピル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などを挙げることができる。炭素数4以下のエステル基としては、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、アセチルエチル基、プロピオニルメチル基などを挙げることができる。
【0037】
炭素数4以下の炭酸エステル基としては、鎖状の−CH2OCOOCH3、−CH2CH2OCOOCH3、−CH2OCOOCH2CH3、あるいは環状構造を有する
【化3】
または
【化4】
などを挙げることができる。
【0038】
具体的には、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3,4−トリメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオンなどを挙げることができる。
【0039】
中でも、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオンは、粘度が低く耐電圧性に優れたイオン液体が得られるために好ましい。さらに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオンは、イオン液体のリチウム塩の溶解度が高く、高イオン伝導性電解質が得られるために、より好ましい。
【0040】
アニオンとしては、PF6−、[PF3(C2F5)3]−、[PF3(CF3)3]−、BF4−、[BF2(CF3)2]−、[BF2(C2F5)2]−、[BF3(CF3)]−、[BF3(C2F5)]−、[B(COOCOO)2]−、CF3SO3−、C4F9SO3−、[(CF3SO2)2N]−(TFSI−)、[(C2F5SO2)2N]−(BETI−)、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−、[(CN)2N]−、[(CF3SO2)3C]−、[(CN)3C]−より選ばれるアニオンであることが望ましく、これらは単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。中でも、BF4−,[BF3(CF3)]−、[BF3(C2F5)]−、TFSI−、BETI−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−は、粘度の低いイオン液体が得られるために好ましい。さらに、TFSI−、BETI−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−は、耐高温性の優れたイオン液体が得られるために、より好ましい。
【0041】
上記カチオンとアニオンから構成されるイオン液体は、単独で用いてもよいが、複数種のイオン液体を混合して用いても良い。
【0042】
上記イオン液体に加えるリチウム塩としては、LiPF6,Li[PF3(C2F5)3]、Li[PF3(CF3)3]、LiBF4,Li[BF2(CF3)2]、Li[BF2(C2F5)2]、Li[BF3(CF3)]、Li[BF3(C2F5)]、LiBOB、LiTf、LiNf、LiTFSI、LiBETI、Li[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]、Li[(CN)2N]、Li[(CF3SO2)3C]などを用いることができる。これらリチウム塩のアニオンは、イオン液体を構成するアニオンと同じものであっても、異なっていてもよい。また、単独で用いても複数種を混合して用いてもよい。
【0043】
また上記リチウム塩としては、中でもLiBF4,Li[BF3(CF3)]、Li[BF3(C2F5)]、LiTFSI、LiBETI、Li[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]は、非水電解質の粘度が低いために好ましい。さらに、LiTFSI、LiBETI、Li[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]は、耐高温性に優れた非水電解質が得られるために、より好ましい。リチウム塩の濃度としては、0.2M以上、4.0M以下であることが好ましい。リチウム塩濃度が0.2Mを下回ると、リチウムイオン伝導度が低下して大電流放電特性が低下する。また、リチウム塩濃度が4.0Mを超えると粘度が高くなり電極やセパレータへの含浸が困難になる他、リチウム塩が溶解しきらずに析出するため、充分な特性を得ることができなくなる。特に望ましいリチウム塩濃度は、0.5M以上2.5M以下である。
【0044】
2)正極
正極は例えば、正極活物質、導電剤およびバインダーを混練し、得られた合剤を膜状に成形することにより作製される。電気伝導を高めるために、シート状の集電体を用いることができる。
【0045】
上記正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(LixCoO2)、リチウム鉄酸化物(LixFeO2)、リチウムニッケル酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト酸化物(LixNiyCo1-yO;0<y<1)、リチウムマンガン酸化物(LixMn2O4)等のリチウム金属酸化物、マンガン酸化物(MnO2)、五酸化バナジウム(V2O5)、クロム酸化物(Cr3O8,CrO2)、三酸化モリブデン(MoO3)、二酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物を用いることができる。これら金属酸化物を用いることによって、高電圧で、高容量の非水電解質二次電池が得られる。中でも、LixCoO2 、LixFeO2 、LixNiO2 、LixNiyCo1-yO2 (0<y<1)、LiMn2O4 は、電圧が高く、高エネルギー密度の非水電解質電池が得られるためにより好ましい。なお、上記化合物において、xの範囲は、充放電反応の可逆性を高める観点から、0≦x≦2、好ましくは0<x<1.1とすると良い。
【0046】
また、上記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。前記バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。これらは特に限定されるものではない。
【0047】
また、上記正極の集電体としては、例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケル、タングステン、チタン、又はモリブデンからなる金属箔、金属網等を用いることができる。中でもアルミニウムは、軽量で高エネルギー密度の非水電解質電池が得られるために、より好ましい。上記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金を被覆しても良い。
【0048】
また、上記バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンープロピレンーブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。中でもPVdFは、結着力が強くサイクル特性に優れた非水電解質電池が得られるために好ましい。
【0049】
3)負極
負極は、例えば、負極活物質、バインダーおよび必要に応じて導電剤を混練し、得られた合剤を膜状に成形することにより作製される。また電気伝導を高めるために、シート状の集電体を用いることができる。
【0050】
上記負極活物質としては、従来のリチウムイオン電池またはリチウム電池に使用されている材料を使用することができる。中でも、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、リチウム金属、リチウム合金、リチウム複合酸化物、またはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料を、負極活物質として使用することが好ましい。
【0051】
上記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、チタン含有金属複合酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などを挙げることができる。上記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物などを挙げることができる。上記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物などを挙げることができる。上記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。上記炭素質物としては、例えば、黒鉛、等方性黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素などを挙げることができる。中でも、メソフェーズピッチを原料とした炭素繊維や、球状炭素を含む負極は、充電効率が高いためにサイクル寿命を向上することができ、好適である。さらに、メソフェーズピッチを原料とした炭素繊維や、球状炭素の黒鉛結晶の配向は、放射状であることが好ましい。
【0052】
中でも、チタン含有金属複合酸化物は、充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池が得られるために好ましい。
【0053】
上述したチタン含有金属複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン酸化物、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物などを挙げることができる。リチウムチタン酸化物としては、例えばLi4+xTi5O12(0≦x≦3)やLi2+xTi3O7(0≦x≦3)などが挙げられる。チタン系酸化物としては、TiO2、TiとP、V、Sn、Cu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物などが挙げられる。
【0054】
さらに、Li4+xTi5O12(0≦x≦3)は、放電時の電圧変化が平坦な非水電解質電池が得られるために、より好ましい。
【0055】
上記負極の集電体としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、タングステン、チタンからなる金属箔、金属網等を用いることができる。中でもアルミニウムは、軽量で高エネルギー密度の非水電解質電池が得られるために、より好ましい。上記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金を被覆しても良い。
【0056】
上記バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンープロピレンーブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。中でもPVdFは、結着力が強くサイクル特性に優れた非水電解質電池が得られるために好ましい。
【0057】
4)セパレータ
セパレータとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリエチレンーテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミド、セルロースポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニリデンフルオライド(PVdF)などの有機高分子を含む多孔質フィルムや、合成樹脂製不織布、あるいはガラス繊維製不織布などを用いることができる。前記セパレータには、アルミナ、酸化ジルコニウムなどの無機酸化物の粒子を混合して用いることができる。
【0058】
5)封止樹脂
次に、封止樹脂について説明する。
【0059】
封止樹脂としては、一般に半導体素子の封止に用いるものであれば特に限定するものではないが、中でもエポキシ樹脂が好ましい。さらに、エポキシ樹脂の中でも1分子中に2個以上のエポキシ基を有しているエポキシ樹脂が好ましい。
【0060】
具体的には例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール系のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリまたはテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンから誘導されるエポキシ化合物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルメタン系エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物、複素環式エポキシ樹脂、芳香族ジグリシジルアミン化合物などを用いることができる。
【0061】
これらのエポキシ樹脂は2種以上を混合して用いても良い。なお、これらのエポキシ樹脂は常温で液状であることが好ましい。また、上述したエポキシ樹脂のうちのビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた場合には、樹脂組成物の粘度が下がり、かつ貯蔵安定性にも優れていることから、エポキシ樹脂を混合する場合にはビスフェノールF型エポキシ樹脂をエポキシ樹脂マトリクスの少なくとも1つとして用いることが好ましい。
【0062】
上記エポキシ樹脂は、エポキシ化合物と、硬化剤(重合開始剤)と、充填材と、必要に応じて硬化促進剤ならびに触媒を添加したエポキシ樹脂組成物を硬化させたものである。
【0063】
上記硬化剤としては、酸無水物類、アミン類、メルカプタン類、フェノール類、ジシアナミド類などを用いることができる。中でも酸無水物は、非水電解質中に混入した場合でも非水電解質電池の性能を低下させないために、より好ましい。上記酸無水物としては、具体的には無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸(3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸)、メチルー3,6−エンドメチレン無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、グリセロールトリストリメリテート三無水物、1,10−デカメチレンビストリメリテート二無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などを用いることができる。
【0064】
これらの酸無水物は2種以上を混合して用いても良い。なお、これらの酸無水物は常温で液状であることが好ましい。硬化剤の配合量は特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比(硬化剤の反応基/エポキシ基)を0.5〜1.5の範囲にすることが望ましい。この当量比が0.5未満では硬化反応が十分に起こりにくくなり、一方、1.5を超えると硬化物の物性、特に耐湿性が低下する恐れがあるからである。なお、当量比のより好ましい範囲は0.8〜1.2である。
【0065】
硬化促進剤としては、60℃以上の温度で触媒活性を示す潜在性触媒であれば任意の化合物を用いることができ、特に制限されない。触媒活性を示す温度が60℃未満であると、樹脂組成物の貯蔵安定性が著しく低下してしまい長期間安定に保存できなくなる。これに加えて60℃未満であると、半導体素子を封止する工程において、樹脂の流動中に粘度が上昇して成形性が損なわれる。
【0066】
このような潜在性の硬化促進剤としては、具体的には例えば、ジシアンジアミド、高融点イミダゾール化合物、有機酸ジヒドラジド類、アミノマレオニトリル、メラミンおよびその誘導体、ポリアミン類などの高温でエポキシ樹脂に溶解して活性を示す高融点分解型触媒;アミンイミド化合物、エポキシ樹脂に可溶な第3アミン塩やイミダゾール塩などの高温において分解して活性化する塩基性触媒;3フッ化ホウ素のモノエチルアミン塩に代表されるルイス酸塩やルイス酸錯体、ブレンステッド酸の脂肪族スルホニウム塩に代表されるブレンステッド酸塩などの高温解離型のカチオン重合触媒;触媒をモレキュラシーブやゼオライトのような空孔を有する化合物に吸着させた吸着型触媒などを用いることができる。中でも、1,3位に置換基を有するイミダゾリウム化合物類は、非水電解質に混入しても非水電解質電池の性能を損なわないため好ましい。具体的には、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウムカチオンなどを挙げることができる。
【0067】
なお、硬化促進剤の配合量は特に限定されないが、反応に関わる樹脂マトリクスに対して0.01〜10wt%であることが望ましい。配合量が0.01wt%未満であると樹脂組成物の硬化特性が低下する傾向にあり、一方、10wt%を超えると硬化物の耐湿性および樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する恐れがあるからである。
【0068】
上記充填剤としては、例えば無機質充填剤が挙げられる。無機質充填剤としては、最大粒径が40μm以下の球状の溶融シリカ粉末を用いるのが好ましい。最大粒径が40μmを超えると、半導体素子と基板との間の間隙への樹脂の充填性が悪化し、半導体装置の成形性が低下する。また、この溶融シリカ粉末は平均粒径1〜10μmのものと平均粒径1μm未満のものとを適宜組み合わせて用いることが最も好ましい。このように大小2種の平均粒径を有する溶融シリカ粉末を組み合わせて配合することで、充填剤は最密充填構造をとりやすくなり、溶融シリカ粉末が高充填でも良好な樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0069】
この溶融シリカ粉末と共に他の無機質充填剤を併用しても良い。他の無機質充填剤としては、具体的には例えば、結晶性シリカ粉末、タルク、アルミナ粉末、窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、ケイ酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末、マグネシア粉末などを用いることができる。
【0070】
ただし、樹脂組成物の流動性や貯蔵安定性、半導体素子と基板との間の間隙への流れ込み性をあまり損なわないように、その配合量を決定する必要がある。さらに耐湿性をより向上させるためには、無機質充填剤の表面処理を行うことが好ましい。表面処理を行う場合、通常の表面処理に使用されるようなシランカップリング剤であれば特に制限なく用いることができる。
【0071】
シランカップリング剤としては、具体的には例えば、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、アクリルシランなどを用いることができる。このシランカップリング剤の添加量は、充填剤全体を100重量部としたときに0.02〜10重量部が好ましい。0.02重量部未満であると樹脂組成物を硬化したさせた成形物の強度が低下する恐れがあり、一方、10重量部を超えると成形物の吸湿性が上昇しやすく、またボイドが発生しやすくなる恐れがあるからである。充填剤としては、無機質充填剤の他に有機質充填剤を用いることができる。この有機質充填剤を用いることによって、液状エポキシ樹脂組成物が低粘度で流動性および成形性に優れ、かつ低応力なものとなる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0073】
(実施例1)
本実施例は、図1Aおよび図1Bに示す電源一体型半導体モジュールを作成する。
【0074】
正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )を用い、これに導電剤として正極合材全体に対し8重量%の割合となるように黒鉛粉末、バインダーとして正極合材全体に対し5重量%の割合となるようにポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液をそれぞれ配合し、得られた塗液をアルミ箔に塗布し、乾燥することにより正極シートを作製した。
【0075】
また、負極活物質としてチタン酸リチウムを用い、これに導電剤として負極合材全体に対し8重量%の割合となるようにアセチレンブラック粉末、バインダーとして負極合材全体に対し5重量%の割合となるようにPVdFのNMP溶液をそれぞれ配合し、得られた塗液をアルミ箔に塗布し、乾燥することにより負極シートを作製した。
【0076】
正極5および負極6を各々5mm角に切断し、幅1mmのアルミ箔のリードを超音波溶接により溶接した。セパレータ7として7mm角のPET製多孔質フィルムを準備した。絶縁性基板1に配線を形成し、半導体素子2を実装し、さらに6mm角の深さ100μmの凹部1aを絶縁性基板1に形成した。形成した凹部1aにセパレータ7/正極5/セパレータ7/負極6/セパレータ7の順に積層し、最外周部を絶縁性基板1と熱融着することにより、正極5、負極6、およびセパレータ7を絶縁性基板1に固定し、さらに正極5と負極6に接続するリード5a、6aを絶縁性基板1上の配線8と接続した。
【0077】
1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムBETIに、0.75モル/Lの割合でLiBETIを溶解し、イオン液体を主成分とする非水電解質を作成した。絶縁性基板1の凹部1a内に配置された正極5、負極6、およびセパレータ7の積層物の上に、上記非水電解質を滴下し、真空含浸することによりセパレータ7、正極5、および負極6に非水電解質を含浸し、非水電解質電池4を作成した。
【0078】
封止樹脂にはエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤および充填剤の混合物を用いた。エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量169、油化シェルエポキシ社製、エピコート807)を100重量部、硬化剤として酸無水物硬化剤であるメチルテトラヒドロ無水フタル酸を100重量部、硬化促進剤としてイミダゾリウム化合物である1,3−ジベンジルー2−メチルイミダゾリウムクロライドを5重量部、充填剤として球状の無機質充填剤である球状シリカ:SP−3B(平均粒径3.3μm、最大粒径12μm、扶桑シルテック社製)を180重量部、およびSO−E5(平均粒径1.5μm、最大粒径3.0μm、アドマテック社製)を80重量部混合し、液状のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0079】
半導体素子2と非水電解質電池4を実装した絶縁性基板1を60℃に加熱し、上記エポキシ樹脂組成物を充填した後に、真空含浸を実施、さらに110℃8時間加熱することによりエポキシ樹脂組成物10を硬化し、電源一体型半導体モジュールを作成した。
【0080】
(比較例1)
比較例1として、イオン液体を主成分としない非水電解質を用いる以外は実施例1と同じ電源一体型半導体モジュールを作成した。この比較例1の非水電解質として、エチルメチルカーボネートとエチレンカーボネートを体積で1:1に混合した溶媒に、1.0モル/Lの割合でLiPF6を溶解したものを用いた。しかし、この比較例の完成した電源一体型半導体モジュール内で電池は機能しなかった。モジュールを切断して電池部分を観察したところ、非水電解質が固体となっていた。そして、この固体の主成分はエチレンカーボネートとLiPF6であった。このことから、比較例1の製造中の非水電解質の真空含浸工程と、エポキシ樹脂組成物の硬化工程とにおいて、非水電解質に含まれる低沸点成分であるエチルメチルカーボネートが揮発したものと考えられる。
【0081】
(比較例2)
この比較例2では、非水電解質電池として、ラミネート外装を有する電池を以下の手法で作成した。まず正極および負極を各々5mm角に切断し、幅1mmのアルミ箔のリードを超音波溶接により溶接した。セパレータとして7mm角のPET製多孔質フィルムを準備した。外装材として7mm角のアルミラミネートフィルムを準備した。アルミラミネートフィルム/正極/セパレータ/負極/アルミラミネートフィルムの順に積層し、実施例1と同じイオン液体を主成分とする非水電解質を注液した。最外周部を熱融着することにより封止を試みたが、封止することができなかった。熱融着の幅が1mmでは足りなかったためと考えられる。熱融着の幅が3mmであれば十分な強度が得られることが明らかとなったが、5mm角の電極を収容するためには11mm角のラミネートフィルムが必要となり、実施例1と同じサイズの半導体モジュールに実装することができなかった。
【0082】
一方、外装材として、7mm角のアルミラミネートフィルムを用いた場合、非水電解質を封止するためには、電極は1mm角となってしまうため、半導体モジュールが作動する十分な電力を得ることができなかった。
【0083】
以上説明したように、本実施例によれば、十分な出力特性を備えた小型電池を内蔵した電源一体型半導体モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】本発明の一実施形態による電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図1B】一実施形態による電池一体型半導体モジュールの、樹脂を除去したときの上面図。
【図2A】第1変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図2B】第2変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図2C】第3変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図2D】第4変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3A】第5変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3B】第6変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3C】第7変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図3D】第8変形例よる電池一体型半導体モジュールの断面図。
【図4A】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す断面図。
【図4B】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す上面図。
【図5A】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す断面図。
【図5B】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す上面図。
【図6A】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す断面図。
【図6B】一実施形態の電池一体型半導体モジュールの製造工程を示す上面図。
【符号の説明】
【0085】
1 絶縁性基板
1a 凹部
2 半導体素子
4 非水電解質電池
5 正極
5a リード
6 負極
6a リード
7 セパレータ
8 配線
9 ループ状アンテナ
10 封止樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上に設けられた半導体素子と、
前記絶縁性基板に設けられ、正極と、負極と、前記正極および前記負極を分離するセパレータと、および前記正極、前記負極、および前記セパレータに含浸されイオン液体を主成分とする非水電解質とを有し、前記半導体素子を駆動する非水電解質電池と、
前記半導体素子および前記非水電解質電池を覆うように設けられた封止樹脂と、
を備え、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかは前記絶縁性基板および前記封止樹脂と接していることを特徴とする電源一体型半導体モジュール。
【請求項2】
前記イオン液体は、次の(1)式または(2)式により表されるカチオンを含むことを特徴とする、請求項1記載の電源一体型半導体モジュール。
【化1】
【化2】
(1)式中、R1、R2、R3、R4は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であるか、またはR1、R2は互いに結合して炭素数4以上5以下の環状構造を形成しており、(2)式中、R5、R7は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であり、R6は水素あるいはメチル基より選ばれる置換基である。
【請求項3】
前記イオン液体は、PF6−、[PF3(C2F5)3]−、[PF3(CF3)3]−、BF4−、[BF2(CF3)2]−、[BF2(C2F5)2]−、[BF3(CF3)]−、[BF3(C2F5)]−、[B(COOCOO)2]−、CF3SO3−、C4F9SO3−、[(CF3SO2)2N]−、[(C2F5SO2)2N]−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−、[(CN)2N]−、[(CF3SO2)3C]−、[(CN)3C]−より選ばれる少なくとも1種類のアニオンを含むことを特徴とする請求項1または2記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項4】
前記イオン液体に含まれるアニオンは、[(CF3SO2)2N]−、[(C2F5SO2)2N]−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−より選ばれたもので構成されることを特徴とする請求項3記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項5】
前記負極はチタン含有金属複合酸化物を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項6】
前記封止樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂は、少なくともエポキシ基を有する有機化合物と酸無水物基を有する有機化合物との反応硬化物であることを特徴とする請求項6記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項8】
前記セパレータは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースより選ばれる樹脂で構成されていることを特徴とする1乃至7のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項9】
前記絶縁性基板にはループ状のアンテナが設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項10】
絶縁性基板上に半導体素子を形成する工程と、
前記絶縁性基板上に、正極と、負極と、前記正極と前記負極を分離するセパレータとを積層した後に、イオン液体を主成分とする非水電解質を前記正極、前記負極および前記セパレータに注液して含浸させ、非水電解質電池を形成する工程と、
前記半導体素子および前記非水電解質電池を樹脂で封止する工程と、
を備え、前記非水電解質は、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかは前記絶縁性基板および前記樹脂に接していることを特徴とする電源一体型半導体モジュールの製造方法。
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上に設けられた半導体素子と、
前記絶縁性基板に設けられ、正極と、負極と、前記正極および前記負極を分離するセパレータと、および前記正極、前記負極、および前記セパレータに含浸されイオン液体を主成分とする非水電解質とを有し、前記半導体素子を駆動する非水電解質電池と、
前記半導体素子および前記非水電解質電池を覆うように設けられた封止樹脂と、
を備え、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかは前記絶縁性基板および前記封止樹脂と接していることを特徴とする電源一体型半導体モジュール。
【請求項2】
前記イオン液体は、次の(1)式または(2)式により表されるカチオンを含むことを特徴とする、請求項1記載の電源一体型半導体モジュール。
【化1】
【化2】
(1)式中、R1、R2、R3、R4は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であるか、またはR1、R2は互いに結合して炭素数4以上5以下の環状構造を形成しており、(2)式中、R5、R7は炭素数4以下のアルキル基、エーテル基、エステル基、炭酸エステル基より選ばれる置換基であり、R6は水素あるいはメチル基より選ばれる置換基である。
【請求項3】
前記イオン液体は、PF6−、[PF3(C2F5)3]−、[PF3(CF3)3]−、BF4−、[BF2(CF3)2]−、[BF2(C2F5)2]−、[BF3(CF3)]−、[BF3(C2F5)]−、[B(COOCOO)2]−、CF3SO3−、C4F9SO3−、[(CF3SO2)2N]−、[(C2F5SO2)2N]−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−、[(CN)2N]−、[(CF3SO2)3C]−、[(CN)3C]−より選ばれる少なくとも1種類のアニオンを含むことを特徴とする請求項1または2記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項4】
前記イオン液体に含まれるアニオンは、[(CF3SO2)2N]−、[(C2F5SO2)2N]−、[(CF3SO2)(C4F9SO2)N]−より選ばれたもので構成されることを特徴とする請求項3記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項5】
前記負極はチタン含有金属複合酸化物を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項6】
前記封止樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂は、少なくともエポキシ基を有する有機化合物と酸無水物基を有する有機化合物との反応硬化物であることを特徴とする請求項6記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項8】
前記セパレータは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースより選ばれる樹脂で構成されていることを特徴とする1乃至7のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項9】
前記絶縁性基板にはループ状のアンテナが設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電源一体型半導体モジュール。
【請求項10】
絶縁性基板上に半導体素子を形成する工程と、
前記絶縁性基板上に、正極と、負極と、前記正極と前記負極を分離するセパレータとを積層した後に、イオン液体を主成分とする非水電解質を前記正極、前記負極および前記セパレータに注液して含浸させ、非水電解質電池を形成する工程と、
前記半導体素子および前記非水電解質電池を樹脂で封止する工程と、
を備え、前記非水電解質は、前記正極、前記負極、および前記セパレータのいずれかは前記絶縁性基板および前記樹脂に接していることを特徴とする電源一体型半導体モジュールの製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【公開番号】特開2008−147391(P2008−147391A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332341(P2006−332341)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]