説明

電源制御装置、パワーコンディショナ、電源システム、プログラム、および電源制御方法

【課題】太陽電池の出力電力が最大となる出力電圧で太陽電池を動作させられない場合がある。
【解決手段】出力電圧制御部は、並列接続回路の出力電圧を制御する。極大値探索部は、第1の電源の出力電力および昇圧回路の出力電力を含む合成出力電力の極大値を探索する。極大値探索制御部は、出力電圧制御部によって第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら、極大値探索部に極大値を探索させ、予め定められた期間経過後に第1電圧値よりも大きい第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させた後、出力電圧制御部によって第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら、極大値探索部に極大値を探索させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置、パワーコンディショナ、電源システム、プログラム、および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーコンディショナは、太陽電池の出力電圧を変動させることにより、太陽電池の出力電力の極大値を探索し、極大値に対応する出力電圧で太陽電池を動作させている。
特許文献1 特開平09−230952号公報
特許文献2 特開2002−238246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の太陽電池を備える太陽光発電システムでは、出力電力に複数の極大値が存在する場合がある。そのため、太陽電池の出力電力が最大となる出力電圧で太陽電池を動作させられない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様に係る電源制御装置は、第1の電源と、出力電力が極大となる出力電圧が第1の電源より低い第2の電源と、第2の電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、昇圧回路の出力端と第1の電源とを並列に接続する並列接続回路と、並列接続回路の出力電圧に基づいて昇圧回路の昇圧比を制御する昇圧制御部と、を備える電源ユニットの動作を制御する電源制御装置であって、並列接続回路の出力電圧を制御する出力電圧制御部と、第1の電源の出力電力および昇圧回路の出力電力を含む合成出力電力の極大値を探索する極大値探索部と、出力電圧制御部によって第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら、極大値探索部に極大値を探索させ、予め定められた期間経過後に第1電圧値よりも大きい第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させた後、出力電圧制御部によって第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら、極大値探索部に極大値を探索させる極大値探索制御部とを備える。
【0005】
極大値探索制御部は、第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させた後、出力電圧制御部によって第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら、極大値探索部に極大値を探索させる動作を、予め定められた周期で繰り返してもよい。
【0006】
極大値探索部は、合成出力電力が基準値に達した場合に、合成出力電力の極大値の探索を開始し、極大値探索制御部は、第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させ、出力電圧制御部によって第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら、極大値探索部に極大値を探索させる動作を、極大値探索部が極大値の探索を開始した後、予め定められた周期で、予め定められた回数繰り返してもよい。
【0007】
極大値探索制御部は、第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させた後に探索された極大値が、第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させる直前に探索された極大値よりも小さい場合に、第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させる直前に探索された極大値に対応する出力電圧に並列接続回路の出力電圧を戻してもよい。
【0008】
極大値探索部は、出力電圧制御部によって並列接続回路の出力電圧を増加させ、変化前の合成出力電力と変化後の合成出力電力とを比較して、変化前の合成出力電力が変化後の合成出力電力よりも大きい場合には、出力電圧制御部によって並列接続回路の出力電圧を減少させ、変化前の合成出力電力が変化後の合成出力電力よりも小さい場合には、出力電圧制御部によって並列接続回路の出力電圧を増加させて、変化前の合成出力電力と変化後の合成出力電力とを比較して並列接続回路の出力電圧を変化させる処理を繰り返すことにより、合成出力電力の極大値を特定してもよい。また、極大値探索制御部は、極大値探索部によって探索された極大値に対応する出力電圧が基準電圧値以上の場合には、第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させる処理を停止してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様に係る電源制御方法は、第1の電源と、出力電力が極大となる出力電圧が第1の電源より低い第2の電源と、第2の電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、昇圧回路の出力端と第1の電源とを並列に接続する並列接続回路と、並列接続回路の出力電圧に基づいて昇圧回路の昇圧比を制御する昇圧制御部と、を備える電源ユニットの動作を制御する電源制御方法であって、第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら、第1の電源の出力電力および昇圧回路の出力電力を含む合成出力電力の極大値を探索する工程と、第1電圧値よりも大きい第2電圧値だけ並列接続回路の出力電圧を増加させた後、第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧を変化させながら合成出力電力の極大値を探索する工程とを備える。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る太陽光発電システムの機能ブロックを示す図である。
【図2】出力電圧Vpを徐々に増加させ、それに併せて第2の太陽電池に対する昇圧比を徐々に増加させていった場合の合成出力電力の変化を示す図である。
【図3】パワーコンディショナが実行する極大値探索のフローチャートである。
【図4】昇圧回路が昇圧していく過程における合成出力電力の変化の様子を示す図である。
【図5】照度と必要シフト量(第2電圧値)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る太陽光発電システムの機能ブロックを示す。太陽光発電システム300は、第1の太陽電池10、第2の太陽電池12、昇圧ユニット20、並列接続回路14、およびパワーコンディショナ100を備える。太陽光発電システム300は、電源システムの一例である。第1の太陽電池10および第2の太陽電池12は、第1の電源および第2の電源の一例である。また、第1の太陽電池10、第2の太陽電池12、昇圧回路21、昇圧制御部22、および並列接続回路14が電源ユニットの一例である。
【0014】
本実施形態において、第1の太陽電池10または第2の太陽電池12に対する照度が上昇し、並列接続回路14を介して入力される電力が基準値に達すると、パワーコンディショナ100は、入力される直流電力を交流電力に変換して出力する。動作開始後、パワーコンディショナ100は、第1の太陽電池10および第2の太陽電池12のそれぞれから最大電力が出力されるように、第1の太陽電池10および第2の太陽電池12の出力電圧を制御している。さらに言えば、パワーコンディショナ100は、第1の太陽電池10および第2の太陽電池12から最大電力が得られるように、並列接続回路14の出力電圧Vp、つまり、パワーコンディショナ100への入力電圧を制御している。より具体的には、パワーコンディショナ100は、MPPT(最大電力追従)方式の一つである山登り法を用いて、第1の太陽電池10の出力電力および第2の太陽電池12の出力電力を含む合成出力電力の極大値を追従している。そして、パワーコンディショナ100は、極大値に対応する電圧が最大の合成出力電力が得られる最適な出力電圧Vpであると判断して、並列接続回路14を介してその最適な出力電圧Vpが入力されるように、動作している。
【0015】
また、本実施形態において、第1の太陽電池10は、第1の枚数の太陽電池モジュールを直列に接続した第1の太陽電池ストリングである。そして、第2の太陽電池12は、第1の枚数より少ない第2の枚数の太陽電池モジュールを直列に接続した第2の太陽電池ストリングである。したがって、第1の太陽電池10の出力電力の特性と、第2の太陽電池12の出力電力の特性とは異なる。より具体的には、第2の太陽電池12は、出力電力が極大となる出力電圧Vpが第1の太陽電池より低い。なお、本実施形態では、第1の太陽電池10を構成する太陽電池モジュールと、第2の太陽電池12を構成する太陽電池モジュールとは、同一種類の太陽電池モジュールである。しかし、第1の太陽電池10を構成する太陽電池モジュールと、第2の太陽電池12を構成する太陽電池モジュールとは、異なる種類の太陽電池モジュールでもよい。
【0016】
このような太陽光発電システム300において、第1の太陽電池10に対する照度が基準値には達したものの、第1の太陽電池10および第2の太陽電池12に対する照度がそれぞれ比較的低い場合、パワーコンディショナ100が、第1の太陽電池10からの電力が得られない状態において探索された第2の太陽電池12が出力する電力に起因する極大値を追従しつづけることがある。この状態では、第1の太陽電池10は、合成出力電力が最大となる出力電圧Vp付近で動作していないことになり、第1の太陽電池10の電力を無駄にしてしまうことがある。
【0017】
図2は、出力電圧Vpを徐々に増加させ、それに併せて第2の太陽電池12に対する昇圧比を徐々に増加させていった場合の合成出力電力の変化の一例を示す図である。第1の太陽電池10および第2の太陽電池12からそれぞれ電力が出力されている場合、出力電圧Vpを徐々に増加させ、それに併せて第2の太陽電池12に対する昇圧比を徐々に増加させていった場合、曲線201a、曲線201b、曲線201b'および曲線201cに示すように、昇圧回路21から出力される出力電力の特性も変化する。そして、曲線202は、第1の太陽電池10の出力特性を示す。昇圧回路21の昇圧比を増加させていく場合、通常は、合成出力電力も徐々に増加していく。よって、パワーコンディショナ100は、山登り法の検出により、合成出力電力が最大となる極大値を探索することができる。しかし、照度が低い場合、図2に示すように、特定の出力電圧Vp2において、昇圧ユニット20が第2の太陽電池12の出力電力が極大となる昇圧比で動作しない場合がある。つまり、本来、昇圧ユニット20は、第2の太陽電池12を曲線201b'が示す出力特性で動作させて、第2の太陽電池12が出力電力P2'を出力できるように昇圧比を制御する必要がある。しかし、昇圧ユニット20が昇圧動作することによるエネルギー損失などにより、昇圧ユニット20が、第2の太陽電池12を曲線201bが示す出力特性で動作させて、第2の太陽電池12が出力電力P2'より小さい出力電力P2を出力するように昇圧比を制御することがある。この場合、出力電圧Vpを徐々に増加させ、それに併せて第2の太陽電池12に対する昇圧比を徐々に増加させていった場合の合成出力電力は、曲線203に示すような特性を示す。これにより、昇圧ユニット20が昇圧比を増加させていく過程において、合成出力電力において符号206で示すような「谷」が発生することがある。
【0018】
例えば、第1の太陽電池10に対する照度が基準値に対応する電力を出力できるレベルに達していない状態で、第2の太陽電池12に対する照度が基準値に対応する電力を出力できるレベルで達した場合、パワーコンディショナ100は、まず第2の太陽電池12の電力が最大となる極大値を追従し、動作する。つまり、パワーコンディショナ100は、出力電圧Vp1付近で動作する。その後、第1の太陽電池10に対する照度が基準値に対応する電力を出力できるレベルに達した場合、パワーコンディショナ100が、出力電圧Vpを変化させながら、合成出力電力の極大値を追従していく。この場合、符号206に示す「谷」付近において合成出力電力が減少してしまうので、パワーコンディショナ100は、極大値Pを追従することができない。この場合、第1の太陽電池10は、合成出力電力が最大となる動作電圧付近で動作していないことになり、第1の太陽電池10の電力を無駄にしてしまう。
【0019】
そこで、本実施形態では、照度が比較的低いレベルにある場合に、第2の太陽電池12からの出力電力が基準値に達した後に、第1の太陽電池10からの出力電力が基準値に達した場合でも、パワーコンディショナ100が、第1の太陽電池10および第2の太陽電池12のそれぞれから最大電力が得られるように、第1の太陽電池10および第2の太陽電池12の出力電圧を制御する。より具体的には、パワーコンディショナ100は、予め定められた周期で、予め定められた回数、探索された極大値に対応する出力電圧Vpを、通常の山登り法で変化させる電圧値よりも大きい予め定められた電圧値だけ増加させる。ここで、予め定められた電圧値は、図2に示す「谷」の幅208に相当する値以上の値であることが好ましい。そして、予め定められた電圧値だけ出力電圧Vpを増加させることで、昇圧ユニット20が第2の太陽電池12の出力電圧を「谷」を超えるレベルで昇圧する。これにより、第2の太陽電池12に対する照度が基準値に対応する電力を出力できるレベルに達した後に、第1の太陽電池10に対する照度が基準値に対応する電力を出力できるレベルに達した場合でも、パワーコンディショナ100は、最大の合成出力電力を得られるように、最適な極大値を追従できる。なお、第1の太陽電池10に対する照度が基準値に達しているものの、第1の太陽電池10の出力電力が小さすぎる場合、第1の太陽電池10の出力電力の極大値を見つけられず、第2の太陽電池12が出力する電力に起因する極大値を追従しつづけることがある。この場合にも、本実施形態によれば、パワーコンディショナ100は、最大の合成出力電力を得られるように、最適な極大値を追従できる。
【0020】
昇圧ユニット20は、昇圧回路21、昇圧制御部22、入力電流センサ23、入力電圧センサ24、および出力電圧センサ25を備える。昇圧回路21は、第2の太陽電池12の出力電圧を昇圧する。昇圧制御部22は、並列接続回路14の出力電圧Vpに基づいて昇圧回路21の昇圧比を制御する。昇圧制御部22は、パワーコンディショナ100から要求される出力電圧Vpを出力電圧センサ25を介して取得する。昇圧制御部22は、入力電流センサ23を介して取得した第2の太陽電池12からの入力電流、および入力電圧センサ24を介して取得した第2の太陽電池12からの入力電圧に基づいて、第2の太陽電池12の出力電力を算出する。昇圧制御部22は、パワーコンディショナ100から要求される出力電圧Vpを維持しつつ、算出された第2の太陽電池12の出力電力が極大となるように、昇圧回路21の昇圧比を制御する。
【0021】
並列接続回路14は、昇圧回路21の出力端と第1の太陽電池10とを並列に接続する。ここで、第1の太陽電池10、第2の太陽電池12、昇圧ユニット20、および並列接続回路14を含むユニットが、電源ユニットの一例である。なお、並列接続回路14と第1の太陽電池10との間、および並列接続回路14と第2の太陽電池12との間には、逆流防止ダイオードを設けてもよい。
【0022】
パワーコンディショナ100は、インバータ回路110、インバータ制御部112、極大値探索部114、極大値探索制御部116、入力電流センサ120、入力電圧センサ122、および出力電流センサ124を備える。インバータ回路110は、インバータ制御部112によって制御され、並列接続回路14の出力電圧を直流から交流に変換する。インバータ回路110は、インバータ制御部112によって制御され、並列接続回路14からの直流電力を商用電力と同一の位相および同一の周波数を有する交流電力に変換し、商用電力系統30に供給する。インバータ制御部112は、並列接続回路14の出力電圧Vpをインバータ回路110を介して制御し、インバータ回路110からの出力電流が最大となるようにインバータ回路110を制御する。ここで、インバータ制御部112は、出力電圧制御部の一例である。
【0023】
極大値探索部114は、合成出力電力が基準値に達した場合に、第1の太陽電池10の出力電力および昇圧回路21の出力電力を含む合成出力電力の極大値を探索する。極大値探索部114は、並列接続回路14の出力電圧をインバータ制御部112を介して第1電圧値ずつ変化させることにより、第1の太陽電池10の出力電力および昇圧回路21の出力電力を含む合成出力電力の極大値を探索する。ここで、第1電圧値は、予め定められた固定値でもよい。あるいは、第1電圧値は、予め定められたタイミングで変化させてもよい。また、第1電圧値は、パワーコンディショナ100に入力される電力または電圧の大きさに基づいて変化させてもよい。インバータ制御部112は、並列接続回路14の出力電圧が、極大値探索部114により探索された極大値に対応する出力電圧になるように、第1の太陽電池10、第2の太陽電池12、および昇圧ユニット20を動作させる。
【0024】
極大値探索部114は、MPPT(最大電力追従)方式の制御方法としていわゆる山登り法を用いて合成出力電力の極大値を特定する。より具体的には、極大値探索部114は、例えば並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値だけ増加させ、変化前の合成出力電力と変化後の合成出力電力とを比較する。比較の結果、極大値探索部114は、変化前の合成出力電力が変化後の合成出力電力より大きい場合には、並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値だけ減少させる。一方、極大値探索部114は、変化前の合成出力電力が変化後の合成出力電力より小さい場合には、並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値だけ増加させる。次いで、極大値探索部114は、変化前の合成出力電力と変化後の合成出力電力とを比較する。極大値探索部114は、この一連の処理を繰り返すことにより、合成出力電力の極大値を特定する。極大値探索部114は、並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値だけ増加させた後の比較の結果、変化前の合成出力電力が変化後の合成出力電力より大きい場合には、変化前の合成出力電力を極大値として特定する。なお、上記では、並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値だけ増加させた後に比較して第1電圧値の増減動作をおこなう場合を説明したが、並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値だけ減少させた後に比較して第1電圧値の増減動作をおこなってもよい。
【0025】
極大値探索制御部116は、インバータ制御部112により第1電圧値ずつ並列接続回路の出力電圧Vpを変化させながら、極大値探索部114に極大値を探索させる。さらに、極大値探索制御部116は、予め定められた期間経過後、第1電圧値(例えば1V)より大きい第2電圧値(例えば12V)だけ並列接続回路14の出力電圧Vpを増加させた後、インバータ制御部112により第1電圧値ずつ並列接続回路14の出力電圧を変化させながら、極大値探索部114に極大値を探索させる。
【0026】
極大値探索制御部116は、第2電圧値だけ並列接続回路14の出力電圧を増加させた後、インバータ制御部112により第1電圧値ずつ並列接続回路14の出力電圧を変化させながら、極大値探索部114に極大値を探索させる動作を、予め定められた周期(例えば、10分ごと)で、予め定められた回数(例えば、6回)繰り返す。極大値探索制御部116は、第2電圧値だけ並列接続回路14の出力電圧を増加させた後に探索された極大値が、第2電圧値だけ並列接続回路14の出力電圧を増加させる直前に探索された極大値より小さい場合、第2電圧値だけ並列接続回路14の出力電圧を増加させる直前に探索された極大値に対応する出力電圧に並列接続回路14の出力電圧を戻してもよい。なお、ここでいう、第2電圧値だけ並列接続回路14の出力電圧を増加させた後に探索された極大値としては、例えば、第2電圧値だけ並列接続回路14の出力電圧を増加させた後であって、合成出力電力が安定した時に探索された極大値である。
【0027】
本実施形態によれば、極大値探索部114により探索された極大値に対応する出力電圧から予め定められた第1電圧値だけ大きい出力電圧を、パワーコンディショナ100が要求する入力電圧として設定する。これにより、昇圧回路21が第2の太陽電池12の出力電圧を強制的に昇圧できる。よって、第2の太陽電池12に対する照度が基準値に対応する電力を出力できるレベルに達した後に、第1の太陽電池10に対する照度が基準値に対応する電力を出力できるレベルに達した場合でも、パワーコンディショナ100は、最大の合成出力電力を得られるように、最適な極大値を追従できる。
【0028】
図3は、パワーコンディショナ100が実行する極大値探索のフローチャートを示す。パワーコンディショナ100は、並列接続回路14を介して入力される電力が基準値に達した場合に、極大値探索の処理を開始する。まず、極大値探索部114が、インバータ制御部112を介して並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値ずつ変化させることにより、合成出力電力の極大値を探索する(S100)。次いで、極大値探索制御部116は、並列接続回路14を介して入力される電力が基準値に達してから予め定められた第1期間(例えば、1時間)が経過したか否かを判定する(S110)。経過している場合には、並列接続回路14を介して入力される電力が基準値を下回るまで極大値の探索を継続する。一方、第1期間が経過していなければ、極大値探索制御部116は、並列接続回路14を介して入力される電力が基準値に達してから予め定められた第2期間(例えば、10分)が経過したか否かを判定する(S120)。判定の結果、10分経過してなければ、第2期間が経過するまで極大値の探索を継続する。
【0029】
その後、第2期間が経過後、極大値探索制御部116は、並列接続回路14の出力電圧、より具体的には、最後に探索された極大値に対応する並列接続回路14の出力電圧Vpをインバータ制御部112を介して第2電圧値だけ増加させる(S130)。極大値探索制御部116は、第2期間のタイマをリセットした後(S140)、インバータ制御部112を介して並列接続回路14の出力電圧を第1電圧値ずつ変化させることにより、極大値探索部114に極大値を探索させる(S150)。次いで、極大値探索制御部116は、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させた後に探索された極大値が、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させる直前に探索された極大値より小さいか否かを判定する(S160)。小さい場合には、極大値探索制御部116は、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させる直前に探索された極大値に対応する出力電圧Vpに並列接続回路の出力電圧を設定する(S170)。その後、極大値探索制御部116は、極大値探索部114に極大値の探索を継続させる。一方、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させた後に探索された極大値が、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させる直前に探索された極大値以上であれば、その出力電圧Vpにおいて極大値探索制御部116は、極大値探索部114に極大値の探索を継続させる。なお、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させた後に探索された極大値が、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させる直前に探索された極大値より小さい場合、極大値探索部114は、通常の山登り法により、再度極大値を探索できる。したがって、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させた後に探索された極大値が、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させる直前に探索された極大値より小さい場合、極大値探索制御部116は、第2電圧値だけ出力電圧Vpを増加させる直前に探索された極大値に対応する出力電圧Vpに並列接続回路の出力電圧を設定しなくてもよい。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、予め定められた周期で、予め定められた回数だけ、極大値探索制御部116が、並列接続回路14の出力電圧、具体的には、最後に探索された極大値に対応する並列接続回路14の出力電圧Vpを第1電圧値より大きい第2電圧値だけ増加させる。よって、局地的に合成出力電力が降下する出力電圧Vp付近で昇圧ユニット20を動作させずに、極大値の追従ができるので、出力電圧Vpを第1の太陽電池10の最大出力電力が得られる電圧レベルまで増加させていくことができる。なお、第1の太陽電池10の最大出力電力が得られる出力電圧Vpに達していれば、極大値探索制御部116は、予め定められた周期で出力電圧Vpを第1電圧値より大きい第2電圧値だけ増加させる必要がない。そこで、極大値探索制御部116は、極大値探索部114により探索された極大値に対応する出力電圧Vpが、第1の太陽電池10の最大出力電力が得られる出力電圧に基づいて予め定められた基準電圧値より高い場合には、出力電圧Vpを第2電圧値だけ増加させる増加処理の回数が予め定められた回数に達していなくても、増加処理を停止してもよい。ここで、基準電圧値は、第1の太陽電池10の出力特性に基づいて定められる。例えば、第1の太陽電池10を設置する場合に、極大値探索制御部116が参照可能なメモリに、第1の太陽電池10の出力特性に基づき予め定められた基準電圧値を登録してもよい。また、極大値探索制御部116は、極大値を示す出力電圧Vpの平均値、極大値を示す出力電圧Vpの最大値などを測定し、測定された値に基づいて基準電圧値を設定してもよい。また、極大値探索制御部116は、予め登録された基準電圧値を、測定された値に基づいて修正してもよい。
【0031】
図4は、昇圧回路21が昇圧していく過程における合成出力電力の変化の様子を示す図である。符号220、符号222、および符号224のそれぞれの線は、合成出力電力の変化の様子を示す。そして、符号220、符号222、符号224の順に照度が高くなっている。このように、照度が低いほど、昇圧回路21が第2の太陽電池12の出力電力が極大となるように昇圧比を制御できない電圧範囲ΔVが広い。つまり、図5に示すように、照度が低いほど合成出力電力の「谷」を超えるために必要なシフト量(第2電圧値)は大きい。そこで、第2電圧値は、照度が最も低い場合のシフト量に併せて設定することで、照度のレベルによらず、合成出力電力の「谷」を適切に越えることができる。一方、極大値探索制御部116は、図5に示すような照度レベルに応じた第2電圧値のテーブルを記憶しておき、照度レベルに応じて第2電圧値の大きさを変更してもよい。なお、合成出力電力は、照度が大きいほど大きくなる。つまり、照度と合成出力電力とは相対関係にある。そこで、極大値探索部114は、合成出力電力の大きさに応じた第2電圧値のテーブルを記憶しておき、合成出力電力の大きさに応じて第2電圧値の大きさを変更してもよい。
【0032】
なお、本実施形態に係るインバータ制御部112、極大値探索部114、極大値探索制御部116、および昇圧制御部22は、出力電圧Vpを制御する各種処理を行うプログラムをインストールし、このプログラムをコンピュータに実行させることで、構成してもよい。つまり、コンピュータに出力電圧Vpを制御する各種処理を行うプログラムを実行させることにより、インバータ制御部112、極大値探索部114、極大値探索制御部116、および昇圧制御部22としてコンピュータを機能させることで、電源制御装置を構成してもよい。
【0033】
コンピュータはCPU、ROM、RAM、EEPROM(登録商標)等の各種メモリ、通信バス及びインタフェースを有し、予めファームウェアとしてROMに格納された処理プログラムをCPUが読み出して順次実行することで、電源制御装置として機能する。
【0034】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0035】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0036】
10 第1の太陽電池
12 第2の太陽電池
14 並列接続回路
20 昇圧ユニット
21 昇圧回路
22 昇圧制御部
23 入力電流センサ
24 入力電圧センサ
25 出力電圧センサ
30 商用電力系統
100 パワーコンディショナ
110 インバータ回路
112 インバータ制御部
114 極大値探索部
116 極大値探索制御部
120 入力電流センサ
122 入力電圧センサ
124 出力電流センサ
300 太陽光発電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源と、出力電力が極大となる出力電圧が前記第1の電源より低い第2の電源と、前記第2の電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力端と前記第1の電源とを並列に接続する並列接続回路と、前記並列接続回路の出力電圧に基づいて前記昇圧回路の昇圧比を制御する昇圧制御部と、を備える電源ユニットの動作を制御する電源制御装置であって、
前記並列接続回路の出力電圧を制御する出力電圧制御部と、
前記第1の電源の出力電力および前記昇圧回路の出力電力を含む合成出力電力の極大値を探索する極大値探索部と、
前記出力電圧制御部によって第1電圧値ずつ前記並列接続回路の出力電圧を変化させながら、前記極大値探索部に前記極大値を探索させ、予め定められた期間経過後に前記第1電圧値よりも大きい第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させた後、前記出力電圧制御部によって前記第1電圧値ずつ前記並列接続回路の出力電圧を変化させながら、前記極大値探索部に前記極大値を探索させる極大値探索制御部と
を備える電源制御装置。
【請求項2】
前記極大値探索制御部は、前記第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させた後、前記出力電圧制御部によって前記第1電圧値ずつ前記並列接続回路の出力電圧を変化させながら、前記極大値探索部に前記極大値を探索させる動作を、予め定められた周期で繰り返す請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記極大値探索部は、前記合成出力電力が基準値に達した場合に、前記合成出力電力の極大値の探索を開始し、
前記極大値探索制御部は、前記第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させ、前記出力電圧制御部によって前記第1電圧値ずつ前記並列接続回路の出力電圧を変化させながら、前記極大値探索部に前記極大値を探索させる動作を、前記極大値探索部が極大値の探索を開始した後、前記予め定められた周期で、予め定められた回数繰り返す請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記極大値探索制御部は、前記第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させた後に探索された極大値が、前記第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させる直前に探索された極大値よりも小さい場合に、前記第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させる直前に探索された極大値に対応する出力電圧に前記並列接続回路の出力電圧を戻す請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記極大値探索部は、前記出力電圧制御部によって前記並列接続回路の出力電圧を増加させ、変化前の前記合成出力電力と変化後の前記合成出力電力とを比較して、変化前の前記合成出力電力が変化後の前記合成出力電力よりも大きい場合には、前記出力電圧制御部によって前記並列接続回路の出力電圧を減少させ、変化前の前記合成出力電力が変化後の前記合成出力電力よりも小さい場合には、前記出力電圧制御部によって前記並列接続回路の出力電圧を増加させて、変化前の前記合成出力電力と変化後の前記合成出力電力とを比較して前記並列接続回路の出力電圧を変化させる処理を繰り返すことにより、前記合成出力電力の極大値を特定する請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記極大値探索制御部は、前記極大値探索部によって探索された極大値に対応する出力電圧が基準電圧値以上の場合には、前記第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させる処理を停止する請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の電源制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の電源制御装置として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の電源制御装置と、
前記並列接続回路の出力電圧を直流から交流に変換するインバータ回路と、
を備えるパワーコンディショナ。
【請求項9】
請求項8に記載のパワーコンディショナと、
前記第1の電源と、
前記第2の電源と、
前記昇圧回路と
前記並列接続回路と、
前記昇圧制御部と、
を備える電源システム。
【請求項10】
前記第1の電源および前記第2の電源は、太陽電池である請求項9に記載の電源システム。
【請求項11】
第1の電源と、出力電力が極大となる出力電圧が前記第1の電源よりも低い第2の電源と、前記第2の電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力端と前記第1の電源とを並列に接続する並列接続回路と、前記並列接続回路の出力電圧に基づいて前記昇圧回路の昇圧比を制御する昇圧制御部と、を備える電源ユニットの動作を制御する電源制御方法であって、
第1電圧値ずつ前記並列接続回路の出力電圧を変化させながら、前記第1の電源の出力電力および前記昇圧回路の出力電力を含む合成出力電力の極大値を探索する工程と、
前記第1電圧値よりも大きい第2電圧値だけ前記並列接続回路の出力電圧を増加させた後、前記第1電圧値ずつ前記並列接続回路の出力電圧を変化させながら前記合成出力電力の極大値を探索する工程と、
を備える電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77065(P2013−77065A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215317(P2011−215317)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】