説明

電源制御装置、電源制御システム、電源制御方法及び電源制御プログラム

【課題】 電源制御装置において、突入電流の回避処理と負荷の電源制御とを合理化し、さらに、過負荷による不具合を効果的に防ぐことを可能とする。
【解決手段】 上位装置3と連携して動作する周辺機器12,13に対し電力供給を行う電源制御装置1であって、上位装置3の電源状態に応じ周辺機器12に対する電力供給を制御する第一制御手段と、周辺機器12に供給される電力の電流値に応じて、周辺機器13に対する電力供給を制御する第二制御手段と、を備えた制御回路4を有する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位装置に連動する複数の周辺機器等の負荷装置に対する電力供給の制御を行うための電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源制御装置の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1の電源制御装置は、本体機器のUSBの電源状態に基づいて当該本体機器の電源のオン/オフを検知するとともに、前記本体機器に接続されている各周辺機器に対する電力供給のタイミングを所定時間ずつシフトする仕組みになっている。
このような電源制御装置によれば、本体装置の電源立ち上げに連動して各周辺機器に電源が供給されるとともに、複数の周辺機器に対する電力供給時に同時発生する突入電流による影響を最小に抑えることが可能となっている。
これによって、突入電流を許容する材料を用いて部品(リレーやブレーカ等)や装置を製造する必要が無くなり、低コストによって電源制御装置を実現することが可能となっていた。
【0003】
しかしながら、このような従来の電源制御装置では、上述のように、各周辺機器に対する電源供給のタイミングを、遅延時間の設定によってシフトするように制御している。
このため、ユーザ等は、予め周辺機器毎に最適な遅延時間を設定しなければならないという問題があった。
これは、周辺機器の違いによって突入電流の特性(発生や収束のタイミング等)が異なり、遅延時間を画一的に設定すると、突入電流を回避できない場合や電力供給のタイミングが無駄に遅れる場合があるためである。
従って、人間が、周辺機器毎の最適な遅延時間を予め調査した上で、その周辺機器毎に時間データを設定しなければならず、運用・管理面においても、極めて煩わしいものとなっていた。
【0004】
ここで、このような問題を解決する電源制御方式・装置が特許文献2及び特許文献3に記載されている。
特許文献2の電源制御方式は、情報処理システムを構成する複数のデバイスに供給される電流値を測定し、この測定電流値の大小に関連させて各デバイスに対する電源の投入間隔を自動的に決定するようになっている。
特許文献3の電源制御装置は、第一の電源をオンした時に発生する突入電流が所定の許容値をオーバーしない時は即時に、また許容値をオーバーした時はこの突入電流がピーク値を超え前記許容値まで降下する時を待って、第二の電源をオンしていく仕組みとなっている。
このように、特許文献2、3の提案において、各負荷に対する電源投入のタイミングに関しては、ある負荷についての電源供給開始時の電流値に着目し、いわゆる突入電流の値が一定値以下に下がったことが確認された場合に、自動的に次の負荷に電力供給を開始するように制御している。
これによって、事前にユーザ等が遅延時間の設定を行う必要が無くなり、電源投入時に発生する突入電流の影響を最小限に抑えることが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−163163号公報(第1−5頁、第1図)
【特許文献2】特開昭59−038824号公報(第1−4頁、第2図)
【特許文献3】特開平11−243640号公報(第1−4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来の電源制御装置等では、突入電流の回避処理と上位装置との連携処理とを同時に制御することができなかった。
すなわち、従来の提案では、いずれも、突入電流の回避と負荷の電源制御との合理化を図ることは不可能であった。
また、このような電源制御装置が供給し得る電源の容量については全く考慮されておらず、仮に電源容量を超過する相当数の負荷が接続された場合には、供給電力の電圧低下、電源、ケーブルその他部品の損傷といった不具合が発生するおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題である突入電流や過負荷による影響を解決しつつ、上位装置との連携を含め合理的かつ安定的に電力供給を行う電源制御装置、電源制御方法及び電源制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の電源制御装置は、所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置であって、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段と、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段と、を備える構成としてある。
【0009】
また、本発明の電源制御システムは、所定の装置と、当該装置と連携して動作する複数の負荷と、当該複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置とを備えた電源制御システムであって、前記電源制御装置が、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段と、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段と、を備える構成としてある。
【0010】
また、本発明の電源制御方法は、所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御方法であって、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御するステップと、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御するステップと、を有する方法としてある。
【0011】
また、本発明の電源制御プログラムは、所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置を制御する電源制御プログラムであって、前記電源制御装置を構成するコンピュータを、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段、として機能させるためのプログラムとしてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、突入電流のみならず過負荷による悪影響を解決し、他の装置との連携を含めて、合理的かつ安定的に電力供給を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電源制御装置を有する電源システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る電源制御装置により行われる周辺機器の電源立ち上げ制御に関する動作手順を示したフローチャートである。
【図3】本発明の第二実施形態に係る電源制御装置により行われる周辺機器の電源立ち下げ制御に関する動作手順を示したフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る電源制御の課程において検出される突入電流の発生と収束を説明するための電流特性図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る電源制御装置を有する電源システムの全体構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る電源制御装置における立ち下げ時の動作手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
ここで、以下に示す本発明の一実施形態に係る電源制御装置は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実
現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示すような所定の処理・機能を行わせる。すなわち、本実施形態の電源制御装置における各処理・手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0015】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る電源制御装置を有する電源システムの全体構成を示すブロック図である。
同図に示すとおり、本実施形態に係る電源システムは、100V交流電源2からの電力を、電源制御装置1を介して上位装置3の周辺機器12,13,14に供給することを基本形態とするものである。
また、本実施形態に係る電源制御装置1は、この電源システムの主制御を行う装置であり、主に、制御回路4,突入電流検出回路5、リレー6,7,8及び出力コンセント9,10,11によって構成されている。
なお、本実施形態では、出力コンセントを3つ有する場合について記述するが、これに限らず、出力コンセントが1つから多数のものまで適用が可能である。
【0016】
制御回路4は、外部のパーソナルコンピュータ(パソコン)3のUSBポート3aと接続され、パソコン3のUSB3aにおいて出力される直流電流の有無を検知することによってパソコン3の電源がオンかオフかを検知する手段(装置電源検知手段)を備えている。
ここで、図1に示すように、パソコン3には、電源制御装置1を介して複数の周辺機器12〜14が接続されている。すなわち、パソコン3は本発明に係る上位装置を構成し、周辺機器12〜14が上位装置と連携して動作する複数の負荷を構成している。
【0017】
また、制御回路4は、内部的には複数のリレーと接続され、各リレーの開閉制御
を行う手段も備えている。
特に、本実施形態においては、パソコン3と連動したリレー6のスイッチング制御を行う(第一制御手段)とともに、後述する突入電流検出回路5との連携のもと所定のタイミングによってリレー7,8のスイッチング制御を行う(第二制御手段)ことを特徴としている。
【0018】
突入電流検出回路(突入電流検出手段)5は、周辺機器12、13、14への電源投入時に発生するいわゆる突入電流を検出するものである。
特に、本実施形態では、周辺機器への電力供給開始時の突入電流の発生を検出し、その後の突入電流の収束に応じて他の周辺機器への電力供給を開始させる制御を行うようにしている。
具体的には、まず、パソコン3の電源オンに対応してリレー6を閉じさせ周辺機器12に対して電力供給が開始されることとなるが、その電力供給開始時の電流値を本発明の電流測定手段によって測定することとしている。
【0019】
そして、この測定電流値が許容電流値を超過したあとピーク点を有する場合に(図4参照)、これを突入電流として検出し、その後、突入電流の電流値が一定値(許容電流値)以下に下がった(収束した)タイミングでリレー7を閉じさせ、周辺機器13に電力供給を開始させるようにしている。
次いで、突入電流検出回路5は、周辺機器13に対する突入電流を検出し、その後、突入電流が収束したタイミングでリレー8を閉じさせ、周辺機器14に電力供給を開始させるようにしている。
【0020】
このように本実施形態では、複数の周辺機器に対して同時に電力の供給を開始するのではなく、パソコン3の立ち上げに応じて、まず所定の周辺機器に対して電力供給を開始させ、その時に発生する突入電流の収束を確認しつつ順次他の周辺機器への電力供給を開始するように制御している。
なお、図1では、周辺機器に対応する出力コンセントは3つとしているがこれに限らず、これ以上の出力コンセントを備える場合には、上述と同様の処理を繰り返し行うことで本発明を実現することが可能である。
【0021】
リレー6,7,8は、制御回路4からの制御信号に基づき開閉動作を行うものである。
本実施形態において、リレー6,7,8には出力コンセント9,10,11がそれぞれ接続されており、制御信号15,16,17の受信に応じてリレー6,7,8が閉じられ、その結果、周辺機器12,13,14に対し電力が供給されるようになっている。
【0022】
上位装置(パソコン)3は、パーソナルコンピュータであり、外部装置との接続ポートとなるUSB3aを備えている。
USB3aは、パソコン3の電源がオンの時に直流電流(電圧5V±5%、消費電流500mA)を出力する一方、パソコン3の電源がオフの時には直流電流の出力は行わない仕組みとなっている。
このため、この仕組みを用いて周辺機器の電源オン/オフを自動制御することとしている(本発明の第一制御手段)。
具体的には、USB3aにおいて所定の直流電流を検出した場合には、リレー6を閉状態として周辺機器12に対する電力の供給を開始させるようにしている。
また、USB3aにおいて直流電流を検出しなくなった場合には、すべてのリレーを開放して各周辺機器に対する電力供給を停止させるようにしている。
【0023】
100V交流電源2は、パソコン3に動作電力を供給するとともに、電源制御装置1の出力コンセント9,10,11を介して周辺機器12,13,14に、動作電力を供給するものである。
周辺機器12,13,14は、100V交流電力のもとで動作する各種機器であり、本実施形態においては、ディスプレイ、プリンタ、スキャナ等、パソコン3と連携して動作する機器が好適である。
【0024】
次に、以上のような構成からなる第一実施形態の電源制御装置の動作手順について、図2及び図3を参照しつつ説明する。
図2は、本実施形態に係る電源制御装置により行われる周辺機器の電源立ち上げ制御に関する動作手順を示したフローチャートである。
【0025】
まず、電源制御装置1の制御回路4は、パソコン3の電源状態を常に監視しており、ここではパソコン3の電源オンの検出を試みる(S1)。
具体的には、制御回路4とパソコン3のUSB3aがUSBケーブル等によって接続されており、制御回路4が、USB3aから所定の直流電流を検出した場合にはパソコン3の電源はオンになったと判断する。
ステップS1においてパソコン3の電源オンが確認されると(S1:YES)、制御回路4は、出力コンセントに何らかの機器が接続されているか否かを確認する(S2)。
なお、ステップS1では、パソコン3の電源オンが確認されるまでは引き続きその確認処理が行われる(S1:NO)。
【0026】
ステップS2において、出力コンセントに機器が接続されていることが確認されると(S2:YES)、次に制御回路4は、出力コンセント9を介して周辺機器12に電力の供給を開始させる(S3)。
具体的には、制御回路4は制御信号15をリレー6に送出し、これを受けたリレー6は接点を閉じることによって100V交流電源2からの電力が出力コンセント9から周辺機器12に供給されるようになる。
なお、ステップS2では、いずれかの出力コンセントにおいて機器接続が確認されるまで引き続きその確認処理は行われる(S2:NO)。
【0027】
次に、突入電流検出回路5は、周辺機器12への電力供給開始に応じ、突入電流の検出を試みる(S4)。
具体的には、図4に示すように、リレー6がスイッチングされた後の電流値が予め定めた許容電流を超過し、かつ、ピーク点があるようであればこれを突入電流と判定する。
ステップS4において突入電流が検出された場合(S4:YES)、引き続き突入電流検出回路5は、その突入電流が収束したか否かを判定する(S5)。
具体的には、図4に示すように、突入電流に係る電流値が許容電流値を下回ったことによって突入電流の収束を確認することができる。
なお、ステップS5では、突入電流の収束が確認されるまで引き続き判定処理が行われる(S5:NO)。
【0028】
ステップS5において突入電流の収束が確認された場合(S5:YES)又はステップS4において突入電流が検出されなかった場合(S4:NO)、制御回路4は、次の出力コンセント10を介して周辺機器13に電力の供給を開始させる(S6)。
具体的には、制御回路4は制御信号16をリレー7に送出し、これを受けたリレー7は接点を閉じることによって100V交流電源2からの電力が出力コンセント10から周辺機器13に供給されるようになる。
ここで、制御回路4は、その他(出力コンセント9,10以外)の出力コンセントが存在するか否かを確認する(S7)。
本実施形態においては、他の出力コンセントとして出力コンセント11が存在しているため(S7:YES)、ステップS8に進む。
なお、他の出力コンセントの存在が確認されない場合(S7:NO)には本装置による電源制御処理は終了する。
【0029】
ステップS8では、他の出力コンセントに何らかの機器が接続されているか否かを確認する。
本実施形態においては、出力コンセント11に周辺機器14が接続されているため(S8:YES)、ステップS9にすすむ。
なお、ステップS8では、他の出力コンセントにおいて機器接続が確認されるまで引き続きその確認処理は行われる(S8:NO)。
ステップS9では、突入電流検出回路5が、周辺機器13への電力供給開始時の突入電流の検出を試みる。
ステップS9において所定の突入電流が検出された場合(S9:YES)、引き続き突入電流検出回路5はその突入電流が収束したか否かを判定する(S10)。
【0030】
ステップS10において突入電流の収束が確認された場合(S10:YES)、制御回路4は、次の出力コンセント11を介して周辺機器14に対し電力供給を開始させる(S6)。
具体的には、制御回路4は制御信号17をリレー8に送出し、これを受けたリレー8において接点を閉じることによって100V交流電源2からの電力が出力コンセント11を介して周辺機器14に供給されるようになる。
なお、ステップS10では、突入電流の収束が確認されるまで引き続き判定処理が行われる(S10:NO)。
そして、再度ステップS7において他の出力コンセントが存在しないことを確認すると(S7:NO)、本装置による電源制御処理は終了する。
【0031】
次に、本実施形態に係る電源制御装置により行われる周辺機器の電源立ち下げ制御に関する動作手順について図面を参照しながら説明を行う。
図3は、本実施形態に係る電源制御装置により行われる周辺機器の電源立ち下げ制御に関する動作手順を示したフローチャートである。
【0032】
まず、電源制御装置1の制御回路4は、パソコン3の電源状態を常に監視しており、ここではパソコン3の電源オフの検出を試みる(S11)。
具体的には、制御回路4が、USB3aからの直流電流の無検出を確認するとパソコン3の電源がオフされたものと判断する。
ステップS11においてパソコン3の電源オフが確認されると(S11:YES)、制御回路4は、全ての出力コンセントからの電力供給を停止させる(S12)。
具体的には、制御回路4は、所定のリセット信号をリレー6,7,8に送出することで各リレーは接点を開放する動作を行い、これによって出力コンセントからの電力供給は強制的に停止されることとなる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の電源制御装置1によれば、制御回路4を備えており、上位装置3の電源状態検知や所定のリレー制御を行うようにしている。
また、本実施形態の電源制御装置1は、突入電流検出回路5を備えており、各周辺機器への電源投入時の突入電流を計測し、制御回路4との連携のもと、リレー制御を行うようにしている。
具体的には、上位装置3の電源がオンされた場合には、まずリレー6の接点を閉じ周辺機器12に対して電力の供給を開始させる。
【0034】
ここで、制御回路4は、周辺機器12への電力供給開始時の突入電流が収束したのを見計らってリレー7の接点を閉じ周辺機器13への電力供給を開始させるようにしている。
そして、制御回路4は、周辺機器13への電力供給開始時の突入電流が収束したのを見計らってリレー8の接点を閉じ周辺機器14への電力供給を開始させるようにしている。
一方、上位装置3の電源がオフされた場合には、全リレー6,7,8の接点を開放し、すべての周辺機器12,13,14に対する電力供給を停止させるようにしている。
【0035】
このため、上位装置3と連動した各周辺機器の電源制御ができるとともに、各周辺機器への電源投入時に発生する突入電流による影響を最小限に抑えることが可能となる。
具体的には、各周辺機器についての電源のオン/オフを自動化することができ、電源の入れ忘れや消し忘れを無い便利な電源システムを構築することができる。
また、合理的な方法に基づき突入電流の同時発生を回避させることによって、電圧低下や部品の損傷等を防ぐことができる。
したがって、本実施形態の電源制御装置1によれば、信頼性、利便性、安全性に優れた電源システムを合理的に実現し提供することが可能である。
【0036】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る電源制御装置について図5及び図6を参照しながら説明する。
図5は、本発明の第二実施形態に係る電源制御装置を有する電源システムの全体構成を示すブロック図である。
図5に示すとおり、本実施形態に係る電源制御装置1は、上述の第一実施形態とほぼ同様の構成となっているが、合計電流算出回路18を有している点で第一実施形態と異なる。
【0037】
合計電流算出回路(合計電流値算出手段)18は、各周辺機器の消費電流の合計値を算出する回路である。
これにより制御回路4は、実際の総消費電流を把握することができ、100V交流電源2が供給しうる容量を超過することなく、適切な電源供給制御が可能となる。
例えば、100V交流電源2の消費電流の容量が10A(アンペア)であり、周辺機器12の消費電流が5A、周辺機器13の消費電流が4Aであるとする。
この場合、周辺機器12と周辺機器13の合計消費電流は9Aとなり、仮に周辺機器14の消費電流が2Aとすると、総消費電流は11Aとなり、容量を超えてしまう。
【0038】
このため、本実施形態に係る電源制御装置1では、総消費電流値の制限値を予め設定し、順次周辺装置に電力供給を行っていく過程において、各周辺機器の合計消費電流がこの制限値を超過した場合にはそれ以降の周辺機器に対しては電力供給を行わないように制御を行うものである(本発明の第三制御手段)。
例えば、前述の例においては、総消費電流の制限値を9A未満の値に予め設定することによって周辺機器14への電力供給は制限されることとなる。
したがって、過剰な負荷接続や電力供給を防ぎ、過電流による電源、ケーブルその他の部品の損傷や電圧の不安定化を回避することが可能となる。
【0039】
次に、本実施形態に係る電源制御装置における立ち上げ時の動作手順について図面を参照しながら説明を行う。
図6は、本実施形態に係る電源制御装置における立ち下げ時の動作手順を示したフローチャートである。
まず、電源制御装置1の制御回路4は、パソコン3の電源状態を常に監視しており、ここではパソコン3の電源オンの検出を試みる(S21)。
具体的には、制御回路4とパソコン3のUSB3aがUSBケーブル等によって接続されており、制御回路4が、USB3aから所定の直流電流を検出した場合にはパソコン3の電源はオンになったと判断する。
【0040】
ステップS21においてパソコン3の電源オンが確認されると(S21:YES)、制御回路4は、出力コンセントに何らかの機器が接続されているか否かを確認する(S22)。
なお、ステップS21では、パソコン3の電源オンが確認されるまでは引き続きその確認処理が行われる(S21:NO)。
ステップS22において、出力コンセントに機器が接続されていることが確認されると(S22:YES)、次に制御回路4は、出力コンセント9を介して周辺機器12に電力の供給を開始させる(S23)。
【0041】
具体的には、制御回路4は制御信号15をリレー6に送出し、これを受けたリレー6は接点を閉じることによって100V交流電源2からの電力が出力コンセント9から周辺機器12に供給されるようになる。
なお、ステップS22では、いずれかの出力コンセントにおいて機器接続が確認されるまで引き続きその確認処理は行われる(S22:NO)。
【0042】
次に、突入電流検出回路5は、周辺機器12への電力供給開始に応じ、突入電流の検出を試みる(S24)。
具体的には、図4に示すように、リレー6がスイッチングされた後の電流値が予め定めた許容電流を超過し、かつ、ピーク点があるようであればこれを突入電流と判定する。
ステップS24において突入電流が検出された場合(S24:YES)、引き続き突入電流検出回路5は、その突入電流が収束したか否かを判定する(S25)。
具体的には、図4に示すように、突入電流に係る電流値が許容電流を下回ったことによって突入電流の収束を確認する。
なお、ステップS25では、突入電流の収束が確認されるまで引き続き判定処理が行われる(S25:NO)。
【0043】
ステップS25において突入電流の収束が確認された場合(S25:YES)又はステップS24において突入電流が検出されなかった場合(S24:NO)、次に合計電流算出回路18は、現在周辺機器に供給しているところの総消費電流を算出し、所定値未満か否かを確認する(S26)。
ステップS26の結果、総消費電流値が所定値以下の場合(S26:YES)、ステップS27に進む。
本実施形態の場合、前記所定値を7Aとし、周辺機器12の消費電流は5Aと計測されたとすると、総消費電流は所定値以下となるためステップS27に進むことになる。
なお、ステップS26において総消費電流値が所定値を超過した場合(S26:NO)、本装置による電源制御処理は終了する。
【0044】
ステップS27では、制御回路4は、次の出力コンセント10を介して周辺機器13に電力の供給を開始させる。
具体的には、制御回路4は制御信号16をリレー7に送出し、これを受けたリレー7は接点を閉じることによって100V交流電源2からの電力が出力コンセント10から周辺機器13に供給されるようになる。
ここで、制御回路4は、他の出力コンセントが存在するか否かを確認する(S28)。
本実施形態においては、他の出力コンセントとして出力コンセント11が存在しているため(S28:YES)、ステップS29に進む。
なお、他の出力コンセントの存在が確認されない場合(S28:NO)には本装置による電源制御処理は終了する。
【0045】
ステップS29では、他の出力コンセントに何らかの機器が接続されているか否かを確認する。
本実施形態においては、出力コンセント11に周辺機器14が接続されているため(S29:YES)、ステップS30にすすむ。
なお、ステップS29では、他の出力コンセントにおいて機器接続が確認されるまで引き続きその確認処理は行われる(S29:NO)。
ステップS30では、突入電流検出回路5が、周辺機器13への電力供給開始時の突入電流の検出を試みる。
ステップS30において所定の突入電流が検出された場合(S30:YES)、引き続き突入電流検出回路5はその突入電流が収束したか否かを判定する(S31)。
【0046】
ステップS31において突入電流の収束が確認された場合(S31:YES)、合計電流算出回路18は、現時点での総消費電流値を求め、所定値以内かどうかを確認する(S26)。
本実施形態の場合、前述の通り、前記所定値を7Aとし、周辺機器12の消費電流は5A、周辺機器13の消費電流が4Aと計測されたとする。
この場合、総消費電流は9Aとなり所定値を超過するため(S26:NO)、処理は終了し、周辺機器14への電力供給は行われないこととなる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の電源制御装置1によれば、第一実施形態と同様の効果が発揮されるだけでなく、合計電流算出回路18をさらに備え、過負荷を自動的に防ぐ構成としてあるので、容量超過による様々な不具合を効果的に回避することができる。
【0048】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る電源制御装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態の上位装置は、パソコン以外の装置であってもよく、また、電源は交流電源ではなく直流電源であってもよい。
また、上位装置の電源検知手段として、IEEE1394やPCカードインタフェース等を利用してもよい。
このように、本発明は、広範に適用が可能であって、拡張性、汎用性にすぐれた周辺装置等の電源制御を実現することができる。
【0049】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0050】
(付記1)所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置であって、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段と、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段と、を備える電源制御装置。
【0051】
(付記2)前記所定の装置における電源のオン/オフを検知する装置電源検知手段と、前記所定の装置における電源がオンであることを検知すると、所定の負荷に対して電力供給を開始させる第一制御手段と、電力供給が開始された負荷における電流値を測定する電流測定手段と、測定電流値に基づいて、所定の突入電流を検出する突入電流検出手段と、前記突入電流が検出された負荷の電流値が一定値より下がった場合に、当該負荷以外の負荷に対して電力供給を開始させる第二制御手段と、を備える付記1に記載の電源制御装置。
【0052】
(付記3)電力供給が開始された全ての負荷における合計電流値を算出する合計電流値算出手段と、前記合計電流値が所定値を超過した場合に、その後の前記第二制御手段による電力供給の開始を制限する第三制御手段と、を備える付記2に記載の電源制御装置。
【0053】
(付記4)前記装置電源検知手段は、前記所定の装置に備えられたUSBポートから所定の電力を検出した場合に当該所定装置における電源がオンであることを検知するとともに、前記USBポートから所定の電力を検出しない場合に、前記所定の装置における電源がオフであることを検知する付記2又は付記3に記載の電源制御装置。
【0054】
(付記5)前記第一制御手段は、前記所定の装置における電源がオフであることを検知すると、所定の出力ポートを介した電力供給を停止させる付記2乃至4のいずれかに記載の電源制御装置。
【0055】
(付記6)前記複数の負荷のうち少なくとも一つが、前記所定の装置に接続される周辺機器からなる付記1乃至5のいずれかに記載の電源制御装置。
【0056】
(付記7)所定の装置と、当該装置と連携して動作する複数の負荷と、当該複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置とを備えた電源制御システムであって、前記電源制御装置が、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段と、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段と、を備える電源制御システム。
【0057】
(付記8)所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御方法であって、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御するステップと、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御するステップと、を有する電源制御方法。
【0058】
(付記9)所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置を制御する電源制御プログラムであって、前記電源制御装置を構成するコンピュータを、前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段、前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段、として機能させるための電源制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、USBポートを備えたパーソナルコンピュータとその周辺機器に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 電源制御装置
2 100V交流電源
3 上位装置(パソコン)
3a USB(Universal Serial
Bus)
4 制御回路
5 突入電流検出回路
6,7,8 リレー
9,10,11 出力コンセント
12,13,14 周辺機器
18 合計電流算出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置であって、
前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段と、
前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段と、
を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記所定の装置における電源のオン/オフを検知する装置電源検知手段と、
前記所定の装置における電源がオンであることを検知すると、所定の負荷に対し
て電力供給を開始させる第一制御手段と、
電力供給が開始された負荷における電流値を測定する電流測定手段と、
測定電流値に基づいて、所定の突入電流を検出する突入電流検出手段と、
前記突入電流が検出された負荷の電流値が一定値より下がった場合に、当該負荷
以外の負荷に対して電力供給を開始させる第二制御手段と、
を備える請求項1記載の電源制御装置。
【請求項3】
電力供給が開始された全ての負荷における合計電流値を算出する合計電流値算出手段と、
前記合計電流値が所定値を超過した場合に、その後の前記第二制御手段による電力供給の開始を制限する第三制御手段と、
を備える請求項2記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記装置電源検知手段は、
前記所定の装置に備えられたUSBポートから所定の電力を検出した場合に当該所定装置における電源がオンであることを検知するとともに、
前記USBポートから所定の電力を検出しない場合に、前記所定の装置における電源がオフであることを検知する請求項2又は3記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記第一制御手段は、
前記所定の装置における電源がオフであることを検知すると、所定の出力ポートを介した電力供給を停止させる請求項2乃至4のいずれか一項記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記複数の負荷のうち少なくとも一つが、
前記所定の装置に接続される周辺機器からなる請求項1乃至5のいずれか一項記載の電源制御装置。
【請求項7】
所定の装置と、当該装置と連携して動作する複数の負荷と、当該複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置とを備えた電源制御システムであって、
前記電源制御装置が、
前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段と、
前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段と、
を備えることを特徴とする電源制御システム。
【請求項8】
所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御方法であって、
前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御するステップと、
前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御するステップと、
を有することを特徴とする電源制御方法。
【請求項9】
所定の装置と連携して動作する複数の負荷に対して電力供給を行う電源制御装置を制御する電源制御プログラムであって、
前記電源制御装置を構成するコンピュータを、
前記所定の装置の電源状態に応じて、前記負荷に対する電力供給を制御する手段、
前記複数の負荷のうち、一の負荷に供給される電力の電流値に応じて、当該一の負荷以外の負荷に対する電力供給を制御する手段、
として機能させるための電源制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−250658(P2011−250658A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124071(P2010−124071)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】