説明

電源管理システム、無停電電源装置、電源管理方法、電源トレンド予測方法及び電源トレンド予測プログラム

【課題】無停電電源装置が有するバッテリの寿命を高精度に予測し、情報処理装置を適切に保護する電源管理システムを提供する。
【解決手段】無停電電源システム1は、電流・電圧源2と、電源供給可能な無停電電源装置3と、無停電電源装置3から電源供給を受ける基本処理装置4とを備える。無停電電源装置3は、供給する電力値と負荷値とを計測する電力負荷計測部と、計測された電力値を記録する電力値記録部と、記録された電力値と電力負荷計測された負荷値から、バッテリ7の使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測部25とを備える。基本処理装置4は、基本処理装置制御部10と、記憶部11と、第1拡張記憶部12と、第2拡張記憶部13と、第1磁気記憶部14と、第2磁気記憶部15と、第3磁気記憶部16と、不揮発性記憶部17と、基本処理装置監視部18と、基本処理装置制御部一次電池19と、電源部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源管理システム、無停電電源装置、電源管理方法、電源トレンド予測方法及び電源トレンド予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置に関する技術の進歩が進んでいる。また、多くの企業では、これらの情報処理装置を用いることにより、企業内のネットワークを構築している。
【0003】
そこで、このような情報処理装置を使用する際に、停電や電圧の変化による障害を防止する電源管理装置を設け、情報処理装置を安定的かつ継続的に使用する無停電電源装置(以下、これをUPS(Uninterruptible Power Supply)とも言う。)が普及している。
【0004】
このような無停電電源装置として、例えば、ノードに対して直流電流を供給する電源供給装置と、電流計測装置と、システムを制御するシステム制御装置とを備えたコンピュータシステムに関するものが、特許文献1に記載されている。
【0005】
また、複数の出力手段を有する無停電電源装置と通信を行い、その無停電電源装置の状態を監視するとともに複数の出力手段を個別に制御する情報処理装置に関するものが、特許文献2に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−233894号公報
【特許文献2】特開2005−070973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記文献記載に関するものは、以下の点で改善の余地を有していた。
【0008】
特許文献1又は2に記載されたものは、停電発生時に、情報処理装置に対してシャットダウン命令を出した後、一定時間を経過すると情報処理装置への電源供給を停止していた。
【0009】
ここで、停電発生時に用いられる一定時間の値とは、情報処理装置を導入した際に設定したシャットダウン処理完了までの待ち時間である。
【0010】
本来であれば、情報処理装置のデータ量が増加する点と、無停電電源装置が有するバッテリの経年変化によって、次の4つの値が変動する為、シャットダウン処理完了までの待ち時間の値について、定期的な見直しが必要である。
(1)情報処理装置内の記憶領域の拡張によるデータ取扱量の増加
(2)磁気記憶装置の拡張によるデータ取扱量の増加
(3)シャットダウン処理時に、情報処理装置の記憶領域から磁気記憶装置に書き出すデータ量の増加
(4)経年変化による無停電電源装置のバッテリ容量・シャットダウン処理完了まで電圧補償可能な最大時間値の減少
【0011】
しかしながら、シャットダウン処理完了までの待ち時間の値は、一般的には情報処理装置の導入時に設定された値がそのまま使用され、導入後は見直しが行われることがほとんど無かった。
【0012】
従って、停電が発生した際に、情報処理装置がシャットダウン処理を行っている最中に、無停電電源装置が電源を切ってしまうケース(これを、ダーティシャットダウンという。)が発生する、という問題があった。
【0013】
このため、無停電電源装置として役目を果たさず、本末転倒になってしまうことがあった。特に、落雷等による停電があまり発生しない地域にあっては、停電によるシャットダウン処理がほとんど行われない為、ダーティシャットダウンの発生する可能性が高くなっていた。
【0014】
また、特許文献1や2に記載されたものでは、停電が発生した場合、ノード側である情報処理装置側で停電したことを検知して、シャットダウン処理が完了するように機能させているため、シャットダウン処理による負荷情報を取得することができない、という問題があった。
【0015】
そして、ノード側である情報処理装置は、電源供給装置に比べて回路規模が大きい為、故障しやすく、落雷等による過電圧が発生した場合には、電源供給装置の過電圧補償回路では防ぎきれず、情報処理装置がストールするケースもあり、その際、過電圧から情報処理装置が二度と起動しなくなる、という問題があった。
【0016】
さらに、電流計測装置によって測定されたデータを、ノード側の情報処理装置において記録していると、測定されたデータが消滅する可能性がある、という問題があった。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無停電電源装置が有するバッテリの寿命を高精度に予測し、情報処理装置を適切に保護することができる電源管理システム、無停電電源装置、電源管理方法、電源トレンド予測方法及び電源トレンド予測プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置と、前記無停電電源装置から前記バッテリによる電源供給を受ける情報処理装置とを備えた電源管理システムであって、
前記情報処理装置は、
稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるシャットダウン手段を備え、
前記無停電電源装置は、
前記情報処理装置の前記シャットダウン手段によって、当該情報処理装置の稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測手段と、
前記電力負荷計測手段によって計測された前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録手段と、
前記電力値記録手段によって記録された前記電力値と、前記電力負荷計測手段によって計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測手段と、
を備えたことを特徴とする電源管理システムが提供される。
【0019】
本発明によれば、停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置であって、
当該無停電電源装置に接続された情報処理装置に対し、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測手段と、
前記電力負荷計測手段によって計測された前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録手段と、
前記電力値記録手段によって記録された前記電力値と、前記電力負荷計測手段によって計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測手段と、
を備えたことを特徴とする無停電電源装置が提供される。
【0020】
本発明によれば、停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置と、前記無停電電源装置から前記バッテリによる電源供給を受ける情報処理装置とを備えた電源管理システムにおける電源管理方法であって、
前記情報処理装置が、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるシャットダウンステップと、
前記無停電電源装置が、前記シャットダウンステップにおいて、前記情報処理装置の稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測ステップと、
前記無停電電源装置が、前記電力負荷計測ステップにおいて計測した前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録ステップと、
前記無停電電源装置が、前記電力値記録ステップにおいて記録された前記電力値と、前記電力負荷計測ステップにおいて計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測ステップと、
を含むことを特徴とする電源管理方法が提供される。
【0021】
本発明によれば、停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置における電源トレンド予測方法であって、
当該無停電電源装置に接続された情報処理装置に対し、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測ステップと、
前記電力負荷計測ステップにおいて計測した前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録ステップと、
前記電力値記録ステップにおいて記録された前記電力値と、前記電力負荷計測ステップにおいて計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測ステップと、
を含むことを特徴とする電源トレンド予測方法が提供される。
【0022】
本発明によれば、停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置における電源トレンド予測プログラムであって、
当該無停電電源装置に接続された情報処理装置に対し、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測手順と、
前記電力負荷計測手順によって計測した前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録手順と、
前記電力値記録手順によって記録された前記電力値と、前記電力負荷計測手順によって計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする電源トレンド予測プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無停電電源装置が有するバッテリの寿命を高精度に予測し、情報処理装置を適切に保護することができる電源管理システム、無停電電源装置、電源管理方法、電源トレンド予測方法及び電源トレンド予測プログラムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る無停電電源システム(電源管理システム)1を示したものである。
【0026】
図1に示す無停電電源システム1は、電流・電圧源2と、停電時にバッテリ7による電源供給可能な無停電電源装置3と、無停電電源装置3からバッテリ7による電源供給を受ける情報処理装置(基本処理装置)4とを備えている。
【0027】
図1に示す無停電電源装置3は、全体を統括制御する無停電電源装置制御部8を始め、AC−DCコンバータ5と、DC−ACインバータ6と、バッテリ7と、仮想負荷部9と、負荷計測機構部21と、不揮発性記憶部24と、トレンド予測部25と、タイマー部26とを備えている。
【0028】
無停電電源装置制御部8は、無停電電源装置3の全体を統括制御するCPU(Central Processing Unit)であり、適宜、各種プログラムによって各機能を制御している。
【0029】
AC−DCコンバータ5は、電流・電圧源2から取得する交流電流を、直流電流に変換する変換器である。
【0030】
DC−ACインバータ6は、バッテリ7に充電された直流電流から、交流電流を作る電源回路である。
【0031】
バッテリ7は、充電することにより、繰り返し利用することができる二次電池である。
【0032】
仮想負荷部9は、後述するトレンド予測部25によってトレンド予測を実行する際の仮想負荷であり、基本処理装置4に見立てた仮想の負荷を有している。なお、仮想負荷部9は、固定値に限定されるものではなく、連続使用時間や継続使用年数によって変動するように設定しても良い。なお、仮想負荷部9は、後述する仮想負荷寿命予測部33にも相当する。
【0033】
負荷計測機構部21は、電力計測を行う電力量計測回路を形成しており、停電が発生した際のシャットダウン処理において消費した電力・電力量の計測や、仮想負荷部9を用いたトレンド予測の実施の際に計測を行う計測回路である。また、基本処理装置4の負荷値も電源部20から計測している。なお、負荷計測機構部21は、後述する電力負荷計測部31にも相当する。
【0034】
不揮発性記憶部24は、電源を切っても記憶内容を保持することができる半導体メモリによって形成されている。なお、不揮発性記憶部24は、後述する電力値記録部32にも相当する。
【0035】
トレンド予測部25は、負荷計測機構部21によって計測された電力値や負荷値から、バッテリ7の寿命を予測する機能を有しており、後述するトレンド予測として機能する。
【0036】
タイマー部26は、無停電電源装置3が基本処理装置4に電源供給を断つまでの時間を測定する回路であり、シャットダウン設定時間として電源供給を断つ時間が設定された場合に、電源供給を断つまでのシャットダウン設定時間を計測する。
【0037】
また、図1に示す基本処理装置4は、全体を統括制御する基本処理装置制御部10を始め、記憶部11と、第1拡張記憶部12と、第2拡張記憶部13と、第1磁気記憶部14と、第2磁気記憶部15と、第3磁気記憶部16と、不揮発性記憶部17と、基本処理装置監視部18と、基本処理装置制御部一次電池19と、電源部20と、刻時部22と、表示部23と、を備えている。
【0038】
基本処理装置制御部10は、基本処理装置4の全体を統括制御するCPUであり、適宜、各種プログラムによって各機能を制御している。
【0039】
記憶部11は、半導体素子を利用した記憶部であり、RAM(Random Access Memory)などによって形成されている。
【0040】
第1拡張記憶部12と第2拡張記憶部13は、拡張メモリであり、ユーザによって増設されたものである。
【0041】
第1磁気記憶部14は、ハードディスクなどの磁気記憶装置によって形成されている。
【0042】
第2磁気記憶部15と第3磁気記憶部16は、ハードディスクなどの磁気記憶装置によって形成されている。
【0043】
不揮発性記憶部17は、電源を切っても記憶内容を保持することができる半導体メモリによって形成されている。
【0044】
基本処理装置監視部18は、基本処理装置4の処理動作を監視する監視部である。
【0045】
基本処理装置制御部一次電池19は、基本処理装置制御部10に直流電力を放電する一次電池である。
【0046】
電源部20は、必要とされる出力電力を入力電力から生成する電力回路であり、基本処理装置4に供給する電力を生成する電力変換器として形成されている。
【0047】
刻時部22は、基本処理装置4がスケジュールシャットダウンを実行する際に、時間情報を基本処理装置制御部10に提供する機能を有している。
【0048】
表示部23は、ユーザに知覚可能に表示する液晶ディスプレイやモニタである。
【0049】
なお、基本処理装置4に内蔵された第1拡張記憶部12及び第2拡張記憶部13と、第2磁気記憶部15及び第3磁気記憶部16は、システム導入時には接続されておらず、基本処理装置4が取り扱うデータ量の増加に伴って、ユーザによって順次増設されたものを想定している。
【0050】
また、無停電電源装置3は、無停電電源装置制御部8がハードウェアと各種プログラムによって動作するようになっており、そのときの機能の構成について、図2に示す。
【0051】
図2は、無停電電源装置3の機能ブロック図を示したものである。
【0052】
図2に示す無停電電源装置3は、基本処理装置4の基本処理装置制御部10によって、基本処理装置4の稼働中の処理を停止させ、基本処理装置4の使用を終了させるまで、基本処理装置4に供給する電力値と基本処理装置4の負荷値とを計測する電力負荷計測部31と、電力負荷計測部31によって計測された基本処理装置4の電力値を記録する電力値記録部32と、電力値記録部32によって記録された電力値と、電力負荷計測部31によって計測された負荷値から、バッテリ7の使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測部25と、仮想負荷部9に相当する仮想負荷寿命予測部33と、を備えている。
【0053】
また、図1に示す基本処理装置4は、基本処理装置制御部(シャットダウン手段)10が、稼働中の処理を停止させ、基本処理装置4の使用を終了させるシャットダウン機能を有している。
【0054】
次に、本実施の形態に係る無停電電源システム1の全体動作について、詳細に説明する。
【0055】
図3は、無停電電源システム1の全体動作を示すシーケンス図である。
【0056】
図3に示すシーケンス図において、電流・電圧源2から電源供給を受けた無停電電源装置3は、AC−DCコンバータ5を介して、バッテリ7に充電動作を開始し(ステップS01)、無停電電源装置制御部8に電源供給を開始する(ステップS03)。
【0057】
無停電電源装置制御部8は、設定時間若しくは停電復旧を検出すると、DC−ACインバータ6及び負荷計測機構部21を介して、電源部20に電源供給を開始する(ステップS05)。
【0058】
電源部20に電源供給を受けた基本処理装置制御部10は、基本処理装置制御部10と基本処理装置監視部18の各種レジスタ及び記憶部11の初期化動作を行う(ステップS07)。このとき、第1拡張記憶部12又は第2拡張記憶部13が存在していた場合には、第1拡張記憶部12又は第2拡張記憶部13の初期化動作についても実施する。なお、初期化動作とは、本実施の形態では、基本処理装置制御部10のレジスタ値の設定や電源確認、又は基本処理装置4を機能させるための前処理のことを指すこととする。
【0059】
そして、無停電電源装置制御部8は、停電を検出すると(ステップS09)、DC−ACインバータ6及び負荷計測機構部21を介して、バッテリ7から電源部20に対してバッテリ運転を開始する(ステップS11)。
【0060】
また、無停電電源装置制御部8は、基本処理装置制御部10にシリアル通信により停電を通知(以下、これを停電通知という。)をした後(ステップS13)、基本処理装置4がシャットダウン処理を開始してから完了するまで、負荷計測機構部21による電力負荷計測動作を行う(ステップS17)。
【0061】
なお、電力負荷計測動作とは、本実施の形態では、電力値若しくは電力量値の少なくとも何れか一方の計測と、基本処理装置4の負荷値とを計測することを言う。また、負荷計測機構部21は、基本処理装置4がシャットダウンするまでの時間を計測する。
【0062】
そして、無停電電源装置制御部8は、負荷計測機構部21によって計測された電力値若しくは電力量値を、不揮発性記憶部24に記録する(ステップS19)。
【0063】
なお、不揮発性記憶部24の記録情報は、バッテリ7によってバックアップされている為、停電解消後においても記録情報が失われることはない。
【0064】
一方、基本処理装置制御部10は、ステップS13によって停電通知を受けると、基本処理装置4をシャットダウンするシャットダウン処理を実行する(ステップS15)。
【0065】
このシャットダウン処理は、第1拡張記憶部12又は第2拡張記憶部13が存在していた場合には、それぞれ接続されている第2磁気記憶部15又は第3磁気記憶部16にデータを書き出すデータ書き出し処理が行われ、また、書き出せていないデータがまだ残っている場合にも、データ書き出し処理を行う。
【0066】
そして、基本処理装置制御部10は、基本処理装置4のシャットダウン処理が完了すると、無停電電源装置3に対してシャットダウン処理が完了した旨の通知(以下、これをシャットダウン処理完了通知という。)を行う(ステップS21)。
【0067】
これにより、無停電電源装置制御部8は、ステップS21によってシャットダウン処理完了通知を受信すると、バッテリ7による電源供給を断つ(ステップS23)。
【0068】
また、基本処理装置4は、スケジュールシャットダウンという処理を有しており、刻時部22の時間情報によって一定の時間又は一定の期間が経過したときに、シャットダウン処理を開始することができる。
【0069】
この場合の動作について、シーケンス図を用いて説明する。
【0070】
図4は、基本処理装置4がスケジュールシャットダウンの通知(以下、これをスケジュールシャットダウン通知という。)により、無停電電源装置3にシャットダウン処理を行う旨の通知を示したシーケンス図である。
【0071】
なお、図4において、図3と同一の処理を行うステップには同一のステップ番号を付し、説明を省略するものとする。
【0072】
図4におけるシーケンス図と図3におけるシーケンス図との違いは、図4に示すシーケンス図では、ステップS31及びステップS33を有している点である。
【0073】
基本処理装置4は、スケジュールシャットダウン判定ステップ(ステップS31)を有しており、基本処理装置制御部10が随時、刻時部22から時間情報を取得し、スケジュールシャットダウン時間を超過していないか判定動作を行い、スケジュールシャットダウン時間になると、基本処理装置制御部10は、無停電電源装置制御部8にシリアル通信でスケジュールシャットダウン通知を行う(ステップS33)。
【0074】
また、基本処理装置制御部10は、スケジュールシャットダウン時間になると、ステップS15のシャットダウン処理を行い、上述のデータ書き出し処理を行う。
【0075】
この場合も上述と同様に、ステップS19において、シャットダウン処理が完了するまで、負荷計測機構部21による電力負荷計測動作を行い、不揮発性記憶部24に記録する。なお、スケジュールシャットダウン通知には、シャットダウン設定時間を含ませることができ、ステップS33においてシャットダウン設定時間を通知した場合には、その時間経過後に、ステップS23の電源供給を断つように設定することができる。
【0076】
以上、本実施の形態における無停電電源システム1の全体動作について説明したが、無停電電源装置3における単独動作について、以下に説明する。
【0077】
図5は、本実施の形態に係る無停電電源システム1の無停電電源装置3の単独動作を示したフローチャートである。
【0078】
図5に示した無停電電源装置3のフローチャートは、ステップS09の表示方法が異なるものの、図3と同一の処理を表しており、停電を検出すると、バッテリ7によるバッテリ運転を開始するようになっている。
【0079】
次に、基本処理装置4における単独動作について、以下に説明する。
【0080】
図6は、本実施の形態に係る無停電電源システム1の基本処理装置4の単独動作を示したフローチャートである。
【0081】
図6に示した基本処理装置4のフローチャートは、図3と同一の処理を表しており、ステップS13において停電通知を受信すると、基本処理装置4は、シャットダウン処理を開始することを示している(ステップS15)。
【0082】
また、本実施の形態に係る無停電電源システム1は、上述の実施の形態に加え、無停電電源装置3のバッテリ7の寿命予測を行うトレンド予測部25を備えている。
【0083】
次に、トレンド予測部25が行うバッテリ7の寿命予測について、この寿命予測をトレンド予測として、以下に動作を説明する。
【0084】
図7は、トレンド予測部25がトレンド予測を行うときの処理を示したシーケンス図である。
【0085】
まず、無停電電源装置制御部8は、バッテリ7の定期診断をまだ実施していない場合や前回のシャットダウン処理の実施から一定日数超過した場合に、バッテリ定期診断の必要性を判断する(ステップS41)。
【0086】
そして、本実施の形態では、基本処理装置4がシャットダウン処理を一定期間実施していない場合に、仮想負荷を用いたバッテリ定期診断の対象としている。
【0087】
なお、一定期間とは、2ヶ月や3ヶ月の期間や、或いは1年や2年であっても良く、この期間に限定されるものではない。
【0088】
そして、無停電電源装置制御部8は、バッテリの定期診断を行う必要がある場合には、以下のようなバッテリ定期診断(ステップS43)を行う。
【0089】
まず、無停電電源装置制御部8は、仮想負荷部9に通電し、電流値・電圧降下値を計測し、バッテリ寿命予測データを生成する。そして、前回のシャットダウン処理の動作時に取得した、負荷計測機構部21による電力負荷計測によって得た負荷値と、生成されたバッテリ寿命予測データとから、停電時の猶予時間予測データを算出する。
【0090】
そして、無停電電源装置制御部8は、バッテリ寿命予測データと停電時の猶予時間予測データとを不揮発性記憶部24に記録する(ステップS45)。
【0091】
また、トレンド予測部25は、一定期間おきに、不揮発性記憶部24に記録されたバッテリ寿命予測データと停電時の猶予時間予測データとから、トレンド予測を実施する(ステップS47)。
【0092】
なお、このトレンド予測部25によるバッテリ7のトレンド予測については、グラフを用いて詳細を後述する。
【0093】
そして、トレンド予測によって得られたトレンド予測値を不揮発性記憶部24に更新しながら記録する(ステップS49)。なお、ここで記録するデータは、トレンド予測値に限定されず、後述するトレンド予測値を含むトレンド予測データを記録することとする。また、トレンド予測値を補正した場合には、補正後のトレンド予測値も記録することとする。
【0094】
そして、無停電電源装置制御部8は、基本処理装置制御部10からトレンド予測値の問い合わせ等の通信があった場合には、その通信に対してトレンド予測値の回答を行うようになっている。
【0095】
これに対し、基本処理装置4は、後述する無停電電源装置制御ソフト(UPS制御ソフトともいう。)が起動されると、基本処理装置制御部10が、無停電電源装置制御部8にトレンド予測データ要求を送信する(ステップS53)。
【0096】
無停電電源装置制御部8は、基本処理装置制御部10からトレンド予測データ要求を取得すると、不揮発性記憶部24に記録されているトレンド予測値を含む各種データをトレンド予測値データとして送信し(ステップS55)、基本処理装置制御部10は、この各種データを取得する。
【0097】
これにより、基本処理装置制御部10は、取得したトレンド予測値にNGデータがある場合には、表示部23に警告ポップアップ及び対処方法を表示することができ、ユーザに警告等の表示を行うことができる(ステップS57)。
【0098】
なお、この無停電電源装置制御ソフト(即ち、UPS制御ソフト)に関しては、以下にフローチャートを用いて説明する。
【0099】
図8は、UPS制御ソフトを起動した場合のフローチャートである。
【0100】
まず、基本処理装置制御部10は、UPS制御ソフトを起動する(ステップS71)。
【0101】
そして、基本処理装置制御部10は、無停電電源装置3の無停電電源装置制御部8からトレンド予測値を含む各種データを取得する(ステップS73)。
【0102】
そして、基本処理装置制御部10は、トレンド予測値にNGデータがあるか否か判定を行い(ステップS75)、NGデータがある場合には(ステップS75のYES)、警告ポップアップ・対処方法などによりNGデータを表示する(ステップS77)。
【0103】
一方、トレンド予測値にNGデータがない場合には(ステップS75のNO)、ステップS79に進む。
【0104】
次に、基本処理装置制御部10は、トレンド予測値を表示する表示要求があるか否かを判定しており(ステップS79)、トレンド予測値の表示要求がある場合には(ステップS79のYES)、トレンド予測値を表示する(ステップS81)。
【0105】
一方、トレンド予測値を表示する表示要求がない場合には(ステップS79のNO)、ステップS83へ進む。
【0106】
また、基本処理装置制御部10は、無停電電源装置3の状態表示要求又は操作要求がある場合には(ステップS83のYES)、トレンド予測値を含む各種データをUPS状態表示として表示したり、オペレーションの操作を受け付けて、シリアル通信を介して無停電電源装置制御部8にトレンド予測値を補正する操作を受け付ける(ステップS85)。
【0107】
一方、無停電電源装置3の状態表示要求又は操作要求がない場合には(ステップS83のNO)、ステップS87へ進む。
【0108】
ステップS87では、基本処理装置制御部10はユーザによる終了操作を待ち受けており、操作ボタンやマウスの操作などにより終了する場合には(ステップS87のYES)、終了となる。
【0109】
一方、まだ終了しない場合には(ステップS87のNO)、ユーザが基本処理装置制御部10に操作する意志があると判定し、ステップS73に戻る。
【0110】
なお、ステップS85において、ユーザがトレンド予測データに基づいて手動で補正を行った場合には、図7に示したステップS49における予測情報の更新として記録される。
【0111】
次に、図7に示したステップS47におけるトレンド予測について、グラフを用いて詳述する。
【0112】
図9は、トレンド予測部25がトレンド予測を行った結果、そのトレンド予測が各種条件を満たした場合のグラフである。ここで、トレンド予測値から各種条件を満たすバッテリ寿命予測値を設定する処理について説明する。
【0113】
まず、トレンド予測部25は、負荷計測機構部21によって計測した電力値からバッテリ7の寿命を寿命予測として算出する。そして算出されたバッテリ7の寿命予測と、負荷計測機構部21によって計測された負荷値から、停電時のバッテリ猶予時間予測データを算出する。
【0114】
また、トレンド予測部25は、負荷計測機構部21が、基本処理装置4をシャットダウンするまでに要した時間から、時間実測データを生成する。
【0115】
そして、バッテリ猶予時間予測データの経年挙動である下降予測ラインと、シャットダウンに要した時間実測データの経年挙動の上昇予測ラインとの交点から、バッテリ7の略寿命時間をTGOOD1として予測する。なお、稼働時間がTGOOD1の時のシャットダウン時間をtgood1とする。
【0116】
この場合、バッテリ寿命予測値が、TGOOD1以下の稼働時間であって、シャットダウン時間に要した時間実測データと、バッテリ猶予時間予測データとの間を満たすように設定されていれば、このトレンド予測では問題なしと判定される。
【0117】
例えば、現在のバッテリ寿命予測値である点Bは、TGOOD1より短い稼働時間であって、点Fと点Dの間に収まっていることにより、バッテリ猶予時間予測データと時間実測データとを満たしており、問題なしと判断される。
【0118】
また、本実施の形態では、バッテリ寿命予測値を、適宜、補正することができ、バッテリ猶予時間予測データの経年挙動の下降予測ラインと、シャットダウンに要した時間実測データの経年挙動の上昇予測ラインからバッテリ7の略寿命時間を定期的に算出し、バッテリ寿命予測値を補正し設定することができる。
【0119】
なお、この場合、バッテリ寿命予測値を補正する処理は、自動であっても手動であってもよく、バッテリ寿命予測値が、時間実測データの経年挙動と、バッテリ猶予時間予測データの経年挙動とから予測される算出される上記条件を満たすように設定すれば良い。
【0120】
また、この問題なしと判定される状態は、図9のグラフから、線分ABと線分CDは交わらず、線分ABと線分EFも交わらない点Bが設定された状態である、と言い換えることもできる。
【0121】
そして、このトレンド予測によって問題なしと判定された場合には、基本処理装置制御部10を介して第1磁気記憶部14に、次の各種時間を保存する。
【0122】
(1)tgood2:バッテリ寿命時におけるシャットダウン処理に要する予測時間(すなわち点Dのシャットダウン時間である。)
(2)TGOOD:停電時のバッテリ猶予時間予測データが、現在のシャットダウン時間設定値となる点における稼働時間(すなわち点Fの稼働時間である。)
(3)TGOOD1及びtgood1:シャットダウンに要した時間実測データの上昇ラインと停電時のバッテリ猶予時間予測データ下降予測ラインが交差する交点における稼働時間及びシャットダウン処理に要する時間(上述の略寿命時間である。)
【0123】
次に、トレンド予測を行った結果、バッテリ7の劣化が進行した場合の状態について説明する。
【0124】
図10は、トレンド予測部25がトレンド予測を行った結果、バッテリ7の劣化が進行していることを示すグラフである。ここで、バッテリ7の劣化を判定する条件式を次式に示す。
【0125】
TNG10 < バッテリ寿命予測値 ・・・(1)
【0126】
図10は、停電時のバッテリ猶予時間予測データの右下下がりが強くなり、バッテリ7のシャットダウン時間が早くなっていることを示している。
【0127】
そこで、この場合の暫定対応としては、シャットダウン時間の値を、現在の設定値からtng11に変更する補正を行うことにより、稼働時間がTNG11になるまでは回避することが可能となる。
【0128】
従って、TNG11になるまでに、バッテリ7の交換や無停電電源装置3を点検することにより、バッテリ7の劣化に対応することが推奨される。
【0129】
また、バッテリ7の劣化が進行していると判定される状態は、図10のグラフから、線分GHと線分KLが交わる点の稼働時間(TNG10)が、バッテリ寿命予測値よりも短い稼働時間である、と言い換えることもできる。
【0130】
そして、トレンド予測によってバッテリ7の劣化が進行していると判定された場合には、基本処理装置制御部10を介して第1磁気記憶部14に、次の各種時間を保存する。
【0131】
(1)TNG10:停電時のバッテリ猶予時間予測データが現在のシャットダウン時間設定値となる点における稼働時間
(2)tng12:バッテリ寿命時におけるシャットダウン処理に要する予測時間(すなわち、点Jのシャットダウン時間である。)
(3)TNG11及びtng11:シャットダウンに要する時間実測データの上昇予測ラインと停電時のバッテリ猶予時間予測データ下降予測ラインが交差する点における稼働時間及びシャットダウン処理に要する時間(上述の略寿命時間である。)
【0132】
次に、トレンド予測を行った結果、シャットダウン時間が急増した場合について説明する。
【0133】
図11は、トレンド予測部25がトレンド予測を行った結果、シャットダウン時間が急増していることを示すグラフである。ここで、シャットダウン時間の急増を判定する条件式を次式に示す。
【0134】
tng22 > 現在の設定値 ・・・(2)
【0135】
これは、シャットダウンに要した時間実測データの右上上がりが強くなり、基本処理装置4のシャットダウン時間が通常より長くなっていることを示している。
【0136】
そこで、この場合の暫定対応しては、シャットダウン時間を現在の設定値からtng21に変更する補正を行うことにより、稼働時間がTNG21になるまでは回避することが可能となる。
【0137】
従って、TNG21になるまでに、不要なサービスの停止・他の処理情報装置への負荷分散を行う等の対応することが推奨される。
【0138】
また、シャットダウン時間が急増していると判定される状態は、図11のグラフから、線分MNと線分PQが交わる点の稼働時間(TNG21)が、バッテリ寿命予測値よりも短い稼働時間である、と言い換えることができる。
【0139】
そして、トレンド予測によってシャットダウン時間が急増していると判定された場合には、基本処理装置制御部10を介して第1磁気記憶部14に、次の各種時間を保存する。
【0140】
(1)TNG20:シャットダウンに要した時間実測データが現在のシャットダウン時間設定値となる点における稼働時間
(2)tng22:バッテリ寿命時におけるシャットダウン処理に要する予測時間(すなわち、点Qのシャットダウン時間である。)
(3)TNG21及びtng21:シャットダウンに要する時間実測データの上昇予測ラインと停電時のバッテリ猶予時間予測データ下降予測ラインが交差する点における稼働時間及びシャットダウン処理に要する時間(上述の略寿命時間である。)
【0141】
なお、図9、図10及び図11では、線形予測を用いたトレンド予測を行うモデルを対象として記述しているが、本実施の形態はこれに限らず、急激なデータ量の変化や温度上昇に伴いバッテリ劣化が加速度的に進行した場合のことを考慮して、非線形のトレンド予測を適用しても良い。
【0142】
その場合、各実測値が一様に上昇若しくは下降する場合(すなわちトレンド予測が単調関数である場合)においても、本発明の趣旨が損なわれないことは明白である。
【0143】
以上説明したように本実施の形態によれば、無停電電源システム1は、負荷計測機構部21によって負荷計測を行うことにより、無停電電源装置3が有するバッテリ7の寿命を高精度に予測し、基本処理装置4を適切に保護することができる。
【0144】
また、本実施の形態によれば、基本処理装置4のシャットダウン処理時に負荷計測を行うだけでなく、一定期間経過後に仮想負荷を用いてバッテリ7の寿命予測を行うことができるので、経年挙動による予測精度が向上する。
【0145】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0146】
例えば、無停電電源システム1は、無停電電源装置3にタイマー部26を含んで構成されているので、タイマー部26によってシャットダウン時間を設定し、自動的にシャットダウン時間を増減させるようにしても良い。
【0147】
この場合、図3のステップS13において、設定したシャットダウン時間を通知することにより実現することができ、無停電電源装置制御部8が、設定したシャットダウン設定時間が経過すると、基本処理装置4への電源供給を断つようにすれば良い。
【0148】
これにより、無停電電源装置3は、基本処理装置4の処理負荷に依存しないで、シャットダウン設定時間を設定することができる。
【0149】
また、無停電電源装置制御部8が基本処理装置4への電源供給を断つ際に、電力値がある一定の値(基本処理装置の待機電力値)を超えているか否か判定し記録する機能を設けるようにしても良い。
【0150】
そして、シャットダウン処理中であったか否かを判定する処理を追加することにより、OS(Operating System)のプログラム破壊によってサーバ起動不可となった場合にあっても、後から無停電電源装置のログを参照することにより、原因究明することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本実施の形態に係る無停電電源システムの構成を示したブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る無停電電源装置の機能ブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る無停電電源システムの全体動作を示したシーケンス図である。
【図4】本実施の形態に係る無停電電源システムのスケジュールシャットダウンの動作を示したシーケンス図である。
【図5】本実施の形態に係る無停電電源装置の単独動作を示したフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る基本処理装置の単独動作を示したフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係るトレンド予測部が行うトレンド予測の動作を示したシーケンス図である。
【図8】本実施の形態に係るUPS制御ソフトを起動したときのフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係るトレンド予測部が行うトレンド予測をおこなった場合のグラフを示した図である。
【図10】本実施の形態に係るトレンド予測部がトレンド予測を行い、バッテリの劣化が進行した動作のグラフを示した図である。
【図11】本実施の形態に係るトレンド予測部がトレンド予測を行い、シャットダウン時間が急増している場合のグラフを示した図である。
【符号の説明】
【0152】
1 無停電電源システム
2 電流・電圧源
3 無停電電源装置
4 基本処理装置
5 AC−DCコンバータ
6 DC−ACインバータ
7 バッテリ
8 無停電電源装置制御部
9 仮想負荷部
10 基本処理装置制御部
11 記憶部
12 第1拡張記憶部
13 第2拡張記憶部
14 第1磁気記憶部
15 第2磁気記憶部
16 第3磁気記憶部
17 不揮発性記憶部
18 基本処理装置監視部
19 基本処理装置制御部一次電池
20 電源部
21 負荷計測機構部
22 刻時部
23 表示部
24 不揮発性記憶部
25 トレンド予測部
26 タイマー部
31 電力負荷計測部
32 電力値記録部
33 仮想負荷寿命予測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置と、前記無停電電源装置から前記バッテリによる電源供給を受ける情報処理装置とを備えた電源管理システムであって、
前記情報処理装置は、
稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるシャットダウン手段を備え、
前記無停電電源装置は、
前記情報処理装置の前記シャットダウン手段によって、当該情報処理装置の稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測手段と、
前記電力負荷計測手段によって計測された前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録手段と、
前記電力値記録手段によって記録された前記電力値と、前記電力負荷計測手段によって計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測手段と、
を備えたことを特徴とする電源管理システム。
【請求項2】
前記トレンド予測手段は、
前記電力値記録手段によって記録された前記電力値から、前記バッテリの寿命を寿命予測として算出し、当該バッテリの寿命予測と前記電力負荷計測手段によって計測された前記負荷値とから、バッテリ猶予時間予測データを算出し、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源管理システム。
【請求項3】
前記トレンド予測手段は、
前記情報処理装置の使用を終了させるまでの時間を前記電力負荷計測手段によって計測し、計測によって得られた当該時間から、時間実測データを生成し、
前記バッテリ猶予時間予測データから予測される経年挙動と、生成された前記時間実測データの経年挙動とによって、当該バッテリの略寿命時間を予測する
ことを特徴とする請求項2に記載の電源管理システム。
【請求項4】
前記トレンド予測手段は、
前記バッテリ猶予時間予測データから予測される経年挙動と、生成された前記時間実測データから予測される経年挙動とによって導かれる、稼働時間が交差する交点を、当該バッテリの略寿命時間として予測する
ことを特徴とする請求項3に記載の電源管理システム。
【請求項5】
前記トレンド予測手段は、
予測された前記バッテリの略寿命時間から、当該バッテリの寿命予測値を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の電源管理システム。
【請求項6】
前記トレンド予測手段は、
前記バッテリの寿命予測値を、
経年挙動により予測される前記時間実測データのシャットダウン時間を超える時間であり、また経年挙動により予測される前記バッテリ猶予時間予測データの猶予時間以下であって、かつ、予測された前記略寿命時間よりも短い稼働時間から、補正可能に決定する
ことを特徴とする請求項5に記載の電源管理システム。
【請求項7】
前記シャットダウン手段は、
前記無停電電源装置からの停電通知時又は前記情報処理装置によるスケジュールシャットダウン時に、稼働中の処理を停止させ当該情報処理装置の使用を終了させる
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電源管理システム。
【請求項8】
前記無停電電源装置は、
所定期間、前記電力負荷計測手段によって前記電力値と前記負荷値とが計測されていないときに、仮想負荷によって前記バッテリの推定寿命を診断する仮想負荷寿命診断手段を更に備え、
前記トレンド予測手段は、
前記電力値記録手段によって記録された前記電力値と、前記電力負荷計測手段によって計測された前記負荷値と、前記仮想負荷寿命診断手段によって診断された前記バッテリの推定寿命とから、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測する
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の電源管理システム。
【請求項9】
停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置であって、
当該無停電電源装置に接続された情報処理装置に対し、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測手段と、
前記電力負荷計測手段によって計測された前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録手段と、
前記電力値記録手段によって記録された前記電力値と、前記電力負荷計測手段によって計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測手段と、
を備えたことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項10】
停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置と、前記無停電電源装置から前記バッテリによる電源供給を受ける情報処理装置とを備えた電源管理システムにおける電源管理方法であって、
前記情報処理装置が、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるシャットダウンステップと、
前記無停電電源装置が、前記シャットダウンステップにおいて、前記情報処理装置の稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測ステップと、
前記無停電電源装置が、前記電力負荷計測ステップにおいて計測した前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録ステップと、
前記無停電電源装置が、前記電力値記録ステップにおいて記録された前記電力値と、前記電力負荷計測ステップにおいて計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測ステップと、
を含むことを特徴とする電源管理方法。
【請求項11】
前記トレンド予測ステップは、
前記電力値記録ステップにおいて記録された前記電力値から、前記バッテリの寿命を寿命予測として算出し、当該バッテリの寿命予測と前記電力負荷計測ステップにおいて計測された前記負荷値とから、バッテリ猶予時間予測データを算出し、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測する
ことを特徴とする請求項10に記載の電源管理方法。
【請求項12】
前記トレンド予測ステップは、
前記情報処理装置の使用を終了させるまでの時間を前記電力負荷計測ステップにおいて計測し、計測によって得られた当該時間から、時間実測データを生成し、
前記バッテリ猶予時間予測データから予測される経年挙動と、生成された前記時間実測データの経年挙動とによって、当該バッテリの略寿命時間を予測する
ことを特徴とする請求項11に記載の電源管理方法。
【請求項13】
前記トレンド予測ステップは、
前記バッテリ猶予時間予測データから予測される経年挙動と、生成された前記時間実測データから予測される経年挙動とによって導かれる、稼働時間が交差する交点を、当該バッテリの略寿命時間として予測する
ことを特徴とする請求項12に記載の電源管理方法。
【請求項14】
前記トレンド予測ステップは、
予測された前記バッテリの略寿命時間から、当該バッテリの寿命予測値を決定する
ことを特徴とする請求項13に記載の電源管理方法。
【請求項15】
前記トレンド予測ステップは、
前記バッテリの寿命予測値を、
経年挙動により予測される前記時間実測データのシャットダウン時間を超える時間であり、また経年挙動により予測される前記バッテリ猶予時間予測データの猶予時間以下であって、かつ、予測された前記略寿命時間よりも短い稼働時間から、補正可能に決定する
ことを特徴とする請求項14に記載の電源管理方法。
【請求項16】
前記シャットダウンステップは、
前記無停電電源装置からの停電通知時又は前記情報処理装置によるスケジュールシャットダウン時に、稼働中の処理を停止させ当該情報処理装置の使用を終了させる
ことを特徴とする請求項10乃至15の何れか1項に記載の電源管理方法。
【請求項17】
前記無停電電源装置は、
所定期間、前記電力負荷計測ステップにおいて前記電力値と前記負荷値とが計測されていないときに、仮想負荷によって前記バッテリの推定寿命を診断する仮想負荷寿命診断ステップを更に備え、
前記トレンド予測ステップは、
前記電力値記録ステップにおいて記録された前記電力値と、前記電力負荷計測ステップにおいて計測された前記負荷値と、前記仮想負荷寿命診断ステップにおいて診断された前記バッテリの推定寿命とから、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測する
ことを特徴とする請求項10乃至16の何れか1項に記載の電源管理方法。
【請求項18】
停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置における電源トレンド予測方法であって、
当該無停電電源装置に接続された情報処理装置に対し、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測ステップと、
前記電力負荷計測ステップにおいて計測した前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録ステップと、
前記電力値記録ステップにおいて記録された前記電力値と、前記電力負荷計測ステップにおいて計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測ステップと、
を含むことを特徴とする電源トレンド予測方法。
【請求項19】
停電時にバッテリによる電源供給可能な無停電電源装置における電源トレンド予測プログラムであって、
当該無停電電源装置に接続された情報処理装置に対し、稼働中の処理を停止させ、当該情報処理装置の使用を終了させるまで、当該情報処理装置に供給する電力値と当該情報処理装置の負荷値とを計測する電力負荷計測手順と、
前記電力負荷計測手順によって計測した前記情報処理装置の前記電力値を記録する電力値記録手順と、
前記電力値記録手順によって記録された前記電力値と、前記電力負荷計測手順によって計測された前記負荷値から、前記バッテリの使用可能な猶予時間を予測するトレンド予測手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする電源トレンド予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−290949(P2009−290949A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138845(P2008−138845)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】