説明

電源装置、帯電装置、及び画像形成装置

【課題】装置内における発熱量を削減し、消費電力を低減させる。
【解決手段】所定の出力電圧と周波数との設定信号に基づいて高圧電源を出力する電源装置において、前記電源装置内部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部により得られる温度に応じて前記周波数を変化させた三角波を生成する三角波生成部と、前記周波数の設定信号により出力周波数を設定し、前記出力電圧の設定信号により出力電圧の振幅を設定して、所定の正弦波形状の信号を生成する正弦波生成部と、前記三角波生成部により生成された三角波形状の信号と、前記正弦波生成部により生成された正弦波形状の信号とを比較する比較部と、前記比較部から得られる出力信号に基づいて信号増幅を行うスイッチング駆動部と、前記スイッチング駆動部からの出力信号に基づいて高圧に変圧駆動する高変圧駆動部とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、帯電装置、及び画像形成装置に係り、特に消費電力を低減させるための電源装置、帯電装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置等に設けられる電源装置において、例えば帯電プロセスの一手法であるAC(Alternating Current)帯電のように高圧AC電源が必要な場合に、トランス駆動部をIC(Integrated Circuit)化することによって、部品点数の削減と製品の安定性の向上及びコスト削減を実現することが既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、特許文献1に示されている技術では、100Hz程度までの低周波数の信号をフィルタすることができるスイッチトキャパシタを用いたフィルタを搭載した高圧AC回路を集積化することが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のトランス駆動用ICでは発熱量が大きいという問題があった。また、従来のAC電源装置では、IC内部に温度検出部を有しておらず、温度に対する調整を行っていなかったため、上述したトランス駆動用ICの熱による劣化が生じたり、動作が不安定になっていた。更に、従来では、上述した発熱量に対応する電力が無駄に消費されるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、装置内における発熱量を削減し、消費電力を低減させるための電源装置、帯電装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0007】
本発明は、所定の出力電圧と周波数との設定信号に基づいて高圧電源を出力する電源装置において、前記電源装置内部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部により得られる温度に応じて前記周波数を変化させた三角波を生成する三角波生成部と、前記周波数の設定信号により出力周波数を設定し、前記出力電圧の設定信号により出力電圧の振幅を設定して、所定の正弦波形状の信号を生成する正弦波生成部と、前記三角波生成部により生成された三角波形状の信号と、前記正弦波生成部により生成された正弦波形状の信号とを比較する比較部と、前記比較部から得られる出力信号に基づいて信号増幅を行うスイッチング駆動部と、前記スイッチング駆動部からの出力信号に基づいて高圧に変圧駆動する高変圧駆動部とを有することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述した電源装置を備えた帯電装置である。また本発明は、上述した電源装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置内における発熱量を削減し、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態における電源装置のブロック構成の一例を示す図である。
【図2】三角波周波数とIC温度との関係を説明するための図である。
【図3】本実施形態における温度検出部について説明するための図である。
【図4】温度検出部の回路構成例の一例を示す図である。
【図5】本実施形態における電源装置を備えた画像形成装置用帯電装置の一例を示す図である。
【図6】本実施形態における画像形成装置の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明における電源装置、帯電装置、及び画像形成装置を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に示す実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置等は特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0012】
<電源装置:機能構成例>
図1は、本実施形態における電源装置のブロック構成の一例を示す図である。図1に示す電源装置10は、スイッチング電源IC11と、LPF(Low Pass Filter)12と、高圧トランスドライバ(高変圧駆動部)13とを有するよう構成されている。また、スイッチング電源IC11は、温度検出部21と、キャリブレーション部(調整部)22と、三角波生成部23と、正弦波生成部24と、比較部としての比較器25と、スイッチング駆動部26とを有するよう構成されている。
【0013】
図1に示す電源装置10において、スイッチング電源IC11は、出力電圧設定信号と周波数設定信号とを入力し、入力された2つの信号から生成される正弦波と、後述する手法により生成される三角波とを比較器25により比較し、その結果として得られるPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号をスイッチング駆動部により増幅してLPF12に出力する。
【0014】
LPF12は、スイッチング電源IC11から入力されたPWM信号に対して所定のローパスフィルタによりフィルタリングを行い正弦波に変換する。また、LPF12は、変換された正弦波を高圧トランスドライバ13に出力する。
【0015】
高圧トランスドライバ13は、入力された正弦波を高圧に変圧駆動し、高圧AC電源を出力する。具体的には、高圧トランスドライバ13は、正弦波信号が増幅し、上述のスイッチング電源IC11に入力された周波数設定信号に対応した周波数を持つ高電圧交流出力を行う。
【0016】
なお、高圧トランスドライバ13では、例えば巻き線比等によって電圧が増幅されるため、高圧トランスドライバ13での増幅率を高めると巻き線の巻き数が増加し、結果的に部品が大きくなり、ボードの面積も大きくなってしまう。そこで、スイッチング電源IC11内部で、できるだけ高い電圧に増幅してスイッチング電源IC11から出力することにより、高圧トランスドライバ13の大きさを抑え、ボードの面積を抑えることができる。
【0017】
また、スイッチング電源IC11内部では高い電源電圧で動作するブロックが多くなると、それだけ消費電力が高くなる。そのため、スイッチング駆動部26以外は低い電源電圧で動作させることで低消費電力化を実現することができる。
【0018】
ここで、上述したスイッチング電源IC11に設けられた各構成について具体的に説明する。温度検出部21は、スイッチング電源IC11の内部温度を検出する。なお、温度検出部21は、例えばスイッチング駆動部26からの発熱を検出してもよく、またスイッチング電源IC11全体の発熱を検出してもよい。更に、温度検出手段21は、電源装置10に含まれる高圧トランスドライバ13や電源電圧10全体の発熱を検出してもよい。
【0019】
また、温度検出部21は、スイッチング電源IC11内部に設けられていなくてもよく、スイッチング電源IC11外部(例えば、スイッチング電源IC11の上部又は側部等)に少なくとも1つ設けられていてもよい。更に、温度検出部21をスイッチング電源IC11の内部と外部の両方に1又は複数設けて、それぞれの検出温度から温度データを検出してもよい。これにより、温度検出部21の設置位置に関係なくスイッチング電源IC11全体の温度を高精度に検出することができる。
【0020】
なお、温度検出部21における具体的な構成等については後述する。温度検出部21は、検出した温度データをキャリブレーション部22に出力する。なお、温度検出21からキャリブレーション部22に出力される温度データの出力タイミングは、例えば予め設定された周期により定期的に行われる。
【0021】
キャリブレーション部22は、温度検出部21から得られる温度データに基づいて調整用の三角波周波数の設定信号を生成する。なお、キャリブレーション部22における調整内容の具体例については後述する。キャリブレーション部22は、生成した三角波周波数設定信号を三角波生成部23に出力する。
【0022】
三角波生成部23は、キャリブレーション部22から得られる三角波周波数の設定信号に基づいて、所定の周波数からなる三角波を生成する。この三角波が後段のパルス変調の素となるキャリアに相当する。また、三角波生成部23は、生成された三角波を比較器25に出力する。
【0023】
正弦波生成部24は、入力される出力電圧設定信号と、周波数設定信号とに基づいて正弦波を生成する。つまり、正弦波生成部24は、出力電圧設定信号により出力電圧を設定し、更に周波数設定信号により周波数を設定して、電圧(振幅)及び周波数が制御された正弦波を生成する。また、正弦波生成部24は、生成した正弦波を比較器25に出力する。
【0024】
比較器25は、三角波生成部23により得られる三角波と、正弦波生成部24により得られる正弦波との振幅を比較してPWM信号を出力する。なお、比較器25は、例えば一般的な差動コンパレータ等で構成される。また、比較器25は、生成したPWM信号をスイッチング駆動部26に出力する。
【0025】
スイッチング駆動部26は、予め設定された増幅値に基づいて、入力されたPWM信号を増幅する。また、スイッチング駆動部26は、増幅されたPWM信号をLPF12に出力する。
【0026】
<キャリブレーション部22における調整内容について>
ここで、上述したキャリブレーション部22における調整内容について具体的に説明する。図2は、三角波周波数とIC温度との関係を説明するための図である。なお、図2では、上述した三角波生成部23により生成される三角波の周波数と、スイッチング電源IC11の内部温度との関係を示している。
【0027】
一般的に、電源装置10における主な発熱源としては、例えばスイッチング駆動部26、高圧トランスドライバ13等が考えられる。また、これらの構成は、例えば内部の出力負荷のLC(インダクタ及びキャパシタ等)の値によって、その発熱量が変化する。
【0028】
ここで、図2に示すように、三角波の周波数を減少させた場合には、高圧トランスドライバ13の消費電力に伴うICの発熱量は減少するが、スイッチング駆動部26の消費電力に伴うICの発熱量は増加する。つまり、三角波の周波数を減少させるほど、スイッチング駆動部26の発熱量が増大になる。
【0029】
また、三角波の周波数を増加させた場合には、スイッチング駆動部26の消費電力に伴うICの発熱量は減少するが、高圧トランスドライバ13の消費電力に伴うICの発熱量は増加する。つまり、三角波の周波数を増加させるほど、高圧トランスドライバ13の発熱量が増大になる。
【0030】
したがって、本実施形態におけるキャリブレーション部22は、図2に示すように、温度検出部21から得られる高圧トランスドライバ13の発熱量と、スイッチング駆動部26の発熱量とを合計し、その合計した発熱量が最小になる三角波周波数をキャリブレーションにより抽出し、その抽出結果を用いて発熱最小となるように三角波周波数設定信号を調整する。
【0031】
なお、本実施形態では、ICを構成するLC負荷毎に発熱量が最小になる三角波周波数は異なることになる。また、本実施形態では、温度検出部21において、温度の絶対値を測定する必要はない。そのため、温度検出部21を簡易な構成により実現することができ、これにより、安価な構成で本実施形態における処理を実現することができる。
【0032】
<温度検出部21について>
ここで、本実施形態における温度検出部21の具体例について図を用いて説明する。図3は、本実施形態における温度検出部について説明するための図である。ここで、図3(A)は、温度T−ベース・エミッタ間電圧VBE特性の一例を示し、図3(B)は、電流Iを変化させたときの温度T−ベース・エミッタ間電圧VBE特性の一例を示し、図3(C)は、温度T−ベース・エミッタ間電圧(VBE+α△VBE)特性の一例を示している。
【0033】
まず、温度Tをデジタル信号に変換する場合には、温度に依存する温度依存信号と温度に依存しない温度非依存信号とが必要となる。これらの信号は、共にバイポーラトランジスタTrのVBE(ベース・エミッタ間電圧)を利用して生成することができる。この原理について説明する。
【0034】
バイポーラTrのVBEは、コレクタ電流Icに対して以下の式(1)で表される。
【0035】
VBE(T)=Vg0*(1−T/Tr)+(T/Tr)*VBE(Tr)−ηkT/q*ln(T/Tr)+kT/q*ln(Ic(T)/Ic(Tr)) ・・・(1)
ここで、Vg0はバンドギャップ電圧を示し、ηはプロセス依存の係数を示し、kはボルツマン係数を示し、qは単位電荷を示し、Trは基準温度を示している。
【0036】
ここで、温度Tとベース・エミッタ間電圧VBEとの関係(温度T−ベース・エミッタ間電圧VBE特性)は、図3(A)に示すようになる。つまり、温度Tが高くなるとベース・エミッタ間電圧VBEは小さくなる。また、この関係は、ほぼ直線状であり、傾きは約−2mV/K程度である。なお、図3(A)に示す両サイドの非線形性は上述した式(1)の後ろの2項(「−ηkT/q*ln(T/Tr)」、「kT/q*ln(Ic(T)/Ic(Tr))」)によるものである。
【0037】
これに対し、電流Ic1,Ic2をそれぞれ流したトランジスタのベース・エミッタ間電圧VBEの差△VBEは、上述した式(1)から以下の式(2)のようになり、図3(B)のような結果となる。
【0038】
△VBE(T)=VBE2(T)−VBE1(T)=kT/q*ln(Ic2/Ic1) ・・・(2)
つまり、上述した式(2)において電流Ic1,Ic2の比を一定とすると、△VBEは温度に対して線形な値(PTAT:Proportional To Absolute Temperature)となる。また、△VBEは、ベース・エミッタ間電圧VBEと比べて、プロセスばらつきやコレクタ電流値に依存しない。
【0039】
ここで、△VBEは、ベース・エミッタ間電圧VBEに比べて小さい値であるため、予め設定された倍率αにより、VBEの温度傾きを打ち消す値(約2mV/K)に設定する(図3(C))。これにより、(VBE+α△VBE)は、温度に依存しない値(約1.2V:silicon bandgap)となる。
【0040】
したがって、本実施形態では、この電圧(VBE+α△VBE)をVrefとし、α△VBEをVptatとして利用する(図3(C))。
【0041】
<本実施形態における温度検出部21の具体的な構成例>
ここで、温度検出部21における具体的な構成例について図を用いて説明する。図4は、温度検出部の回路構成例の一例を示す図である。なお、図4においては、一般的な温度計回路と本実施形態における温度検出部21との差を明確にするため、図4(A)には一般的な温度検出における回路構成図を示し、図4(B)には本実施形態における温度検出部(温度計回路)21の回路構成図を示している。
【0042】
ここで、本実施形態では、温度の検出に際して絶対値まで検出する必要がなく、温度によって変化するパラメータがあればよい。そのため、図4(A)及び図4(B)に示す回路構成図は、何れもADC(Analog to Digital Converter)31が設けられているが、本実施形態では、ベース・エミッタ間電圧VBEを直接ADC31の入力に用いることができる。
【0043】
つまり、本実施形態では、図4(B)に示すように、温度検出部21が1つのバイポーラトランジスタ32を有し、電流Ibiasの入力に対してベース・エミッタ間電圧のみをADC31に入力し、ADC31から出力される結果(温度データ)から温度を検出する。これにより、図4(A)に示す一般的な温度計回路に比べて簡易な構成とすることができる。なお、図4(B)では、バイポーラトランジスタ32の例として、PNPトランジスタを示しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えばNPNトランジスタ等を用いることもできる。
【0044】
上述した温度計回路を、電源装置10の内部に設け、スイッチング駆動部26や高圧トランスドライバ13等の温度を検出することで、キャリブレーション部22において所定の三角波周波数設定を行うことができる。
【0045】
<本実施形態における電源装置を備えた帯電装置例>
ここで、上述した本実施形態における電源装置10は、例えば画像形成装置用の帯電装置等に用いることができる。ここで、上述した本実施形態における電源装置10を備えた画像形成装置用の帯電装置の例について図を用いて説明する。
【0046】
図5は、本実施形態における電源装置を備えた画像形成装置用帯電装置の一例を示す図である。図5に示す画像形成装置用帯電装置40は、画像形成装置用高圧AC電源装置(以下、「高圧AC電源装置」という。)41と、帯電ローラ42と、感光体ドラム43とを有するよう構成されている。なお、高圧AC電源装置41は、上述した電源装置10に対応している。
【0047】
高圧AC電源装置41は、感光体ドラム43に帯電させる電圧を生成するため、例えば印刷速度、印刷用紙等の記録媒体の種類、印刷解像度、トナー濃度、トナー成分等のうち、少なくとも1つの印刷条件等に応じて設定された周波数設定信号や出力電圧設定信号に基づいて、上述したように所定周波数の正弦波を生成し、また上述した三角波生成部23により生成した三角波と共に比較器25に入力し、更にスイッチング駆動部26やLPF12、高圧トランスドライバ13を介して高圧AC電圧の正弦波を生成する。また、高圧AC電源装置41は、高圧AC電圧帯電ローラ42に出力する。これにより、帯電ローラ42を経由して感光体ドラム43を帯電させることができる。
【0048】
上述したように、本実施形態における電源装置10を、例えば画像形成装置用等の帯電装置に用いることで、帯電装置の省電力化を実現することができる。
【0049】
<画像形成装置の構成例>
次に、上述した画像形成装置用帯電装置40を備えた画像形成装置の構成例について、図を用いて説明する。図6は、本実施形態における画像形成装置の一構成例を示す図である。図6に示す画像形成装置50は、感光体ドラム43と、画像形成装置用帯電装置としてのAC帯電装置51と、DC帯電装置52と、光走査装置53と、現像装置54と、転写装置55と、クリーニング装置56とを有するよう構成されている。また、クリーニング装置56は、クリーニングブレード61と、ブラシローラ62とを有するよう構成されている。
【0050】
ここで、図6に示すように、感光体ドラム43の周囲には、感光体を高圧に帯電するAC帯電装置51、DC帯電装置52、画像データを露光する光走査装置53、光走査装置53により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する現像装置54、感光体ドラム43に付着したトナーを印刷用紙等の記録媒体に転写する転写装置55、及び感光体ドラム43に残ったトナーを掻き取り備蓄するクリーニング装置56が配置されている。このような画像形成装置50の構成において、上述したAC帯電装置51等に本実施形態における電源装置10を備えた画像形成装置用帯電装置40を用いることにより、画像形成装置50の消費電力を低減し、省電力化を実現することができる。
【0051】
なお、画像形成装置50は、トナーの色を複数設けることができる。また、その場合には、各トナー色(例えば、C,M,Y,K等)に応じて画像形成装置用帯電装置40が設けられ、各画像形成装置用帯電装置40に対応する感光体ドラム43の帯電時における電圧を、各電源装置により制御する。これにより、画像形成装置50は、モノクロ印刷だけでなく、カラー印刷等の各種印刷に適用することができる。
【0052】
<他の実施形態>
なお、本実施形態における温度検出手段21は、上述した図4(B)に示す構成に限定されるものではなく、例えば熱電対や白金測温抵抗体、サーミスタ、放射温度計(対象物体が放射している赤外線エネルギーを赤外線センサで受けて温度を計測する)等の各種温度センサ等を用いて検出することができる。
【0053】
また、本実施形態において、キャリブレーション部22は、温度検出部21から得られる温度データに基づいて調整用の三角波周波数の設定信号を生成するが、例えば、入力される温度データに対応する三角波周波数の設定情報テーブル等を予め蓄積しておき、温度データが入力されると即座にその対応する設定情報から三角波周波数の設定信号を生成してもよい。なお、設定情報テーブルには、上述したように電源装置10における発熱量を削減し、消費電力を低減させるための設定情報が含まれる。
【0054】
上述したように、本実施形態によれば、電源装置における発熱量を削減し、消費電力を低減させることができる。具体的には、本発明によれば、例えばACトランス(変圧)をBTL(Balanced Transformer Less)出力のスイッチングアンプで駆動する場合等において、電源装置のIC内部に温度検出部を有する。また、本発明は、温度検出部によりICの発熱量が最小になるようにキャリブレーション(調整)を行うことで、負荷やAC周波数が変わった場合でも、トランス駆動用ICの発熱量が最小となる動作条件で動作させることができ、これにより消費電力を低減させることができる。
【0055】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 電源装置
11 スイッチング電源IC
12 LPF(Low Pass Filter)
13 高圧トランスドライバ(高変圧駆動部)
21 温度検出部
22 キャリブレーション部(調整部)
23 三角波生成部
24 正弦波生成部
25 比較器
26 スイッチング駆動部
31 ADC(Analog to Digital Converter)
32 バイポーラトランジスタ
40 画像形成装置用帯電装置
41 画像形成装置用高圧AC電源装置
42 帯電ローラ
43 感光体ドラム
50 画像形成装置
51 AC帯電装置
52 DC帯電装置
53 光走査装置
54 現像装置
55 転写装置
56 クリーニング装置
61 クリーニングブレード
62 ブラシローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2010−124677号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の出力電圧と周波数との設定信号に基づいて高圧電源を出力する電源装置において、
前記電源装置内部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により得られる温度に応じて前記周波数を変化させた三角波を生成する三角波生成部と、
前記周波数の設定信号により出力周波数を設定し、前記出力電圧の設定信号により出力電圧の振幅を設定して、所定の正弦波形状の信号を生成する正弦波生成部と、
前記三角波生成部により生成された三角波形状の信号と、前記正弦波生成部により生成された正弦波形状の信号とを比較する比較部と、
前記比較部から得られる出力信号に基づいて信号増幅を行うスイッチング駆動部と、
前記スイッチング駆動部からの出力信号に基づいて高圧に変圧駆動する高変圧駆動部とを有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記温度検出部により得られる温度に応じて前記電源装置内の発熱量が最小となるように、前記三角波生成部における前記三角波の周波数を調整する調整部を有することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記調整部は、
前記高変圧駆動部の発熱量と、前記スイッチング駆動部の発熱量とを合計した発熱量が最小となる三角波周波数を抽出することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記温度検出部は、
バイポーラトランジスタのベース・エミッタ間電圧を利用して温度を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載された電源装置を備えた帯電装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載された電源装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−196083(P2012−196083A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59373(P2011−59373)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】