説明

電源装置

【課題】交流発電機からその正規の出力以上の出力を引出して、負荷に供給し得る電力の増大を図ることができるようにした電源装置を提供する。
【解決手段】交流発電機1の回転速度を検出する回転速度検出手段3Aと、交流発電機1の三相の交流出力端子から得られる三相交流電圧を全波整流する第1の制御整流回路と交流発電機1の三相の交流出力端子の中から選択された二相の交流出力端子のそれぞれと中性点端子との間に得られる交流電圧と選択された二相の交流出力端子間に得られる交流電圧とを全波整流する第2の制御整流回路とを構成し得る制御整流回路2と、交流発電機1の回転速度が設定速度以下のときには第1の制御整流回路の出力を負荷に供給し、回転速度が設定速度を超えているときには第2の制御整流回路の出力を負荷に供給するように第1の制御整流回路と第2の制御整流回路とを制御する制御部3Bとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンにより駆動される交流発電機を電源として負荷に電力を供給する電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンを駆動源とする車両や船外機等に搭載される電源装置として、エンジンにより駆動される交流発電機を電源として負荷に電力を供給する電源装置が用いられている。車両等にバッテリが搭載される場合には、該電源装置の出力端子間にバッテリが接続されて、バッテリの両端の電圧を設定された設定値以下に保つように電源装置の出力が制御される。交流発電機としては、三相交流電圧を出力するものが多く用いられている。三相交流電圧を出力する交流発電機の出力でバッテリを充電する電源装置は、例えば特許文献1に示されているように、交流発電機の三相の非中性点側の交流出力端子から取り出した対称三相交流出力を整流してバッテリに印加する制御整流回路と、制御整流回路のサイリスタを制御する制御回路とを備えていて、出力電圧に応じて制御整流回路のサイリスタを制御することにより、出力電圧を設定値以下に保つ制御を行なうように構成されている。
【0003】
また特許文献2には、直列接続された2つのダイオードの直列回路を4つ並列に接続した構成を有するダイオードブリッジ整流回路を、星形結線された三相の発電コイルを有する交流発電機と負荷との間に設けて、交流発電機の三相の交流出力端子のうちの一相の交流出力端子を整流回路の1つの入力端子に直接接続し、交流発電機の他の二相の交流出力端子をそれぞれ整流回路の他の2つの入力端子にそれぞれスイッチ素子を通して接続するとともに、交流発電機の中性点端子を整流回路の残りの一つの入力端子にスイッチ素子を通して接続した構成を有する交流発電機の出力制御装置が開示されている。
【0004】
この出力制御装置では、エンジンの低速回転時に、中性点に接続されたスイッチ素子をオフ状態にすると共に、中性点に接続されたスイッチ素子以外の2つスイッチ素子をオン状態にすることにより、交流発電機の三相出力を整流回路を通して負荷に供給する。また、エンジンの中速回転時には、中性点に接続されたスイッチ素子をオフ状態にしたままで、低速時にオン状態にしていた2つのスイッチ素子のうちの一方をオフ状態にすることにより、交流発電機の二相の出力を整流回路を通して負荷に供給し、エンジンの高速回転時には、交流発電機の中性点に接続されたスイッチ素子をオン状態にし、他の2つのスイッチ素子をオフ状態にすることにより、交流発電機の1相の出力のみを整流回路を通して負荷に供給する。
【0005】
特許文献2に開示された出力制御装置では、上記のようにエンジンの回転速度に応じて3つのスイッチ素子を制御することにより、エンジンの低速回転時から高速回転時まで、交流発電機から負荷に供給される電力をほぼ一定に保つようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−60857号公報
【特許文献2】特開平7−87799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、車両等に搭載される電装品が増加する傾向にあるため、電源装置には、エンジンの低速回転時にも、高速回転時にも、できるだけ多くの電力を出力する能力を持つことが要求されるようになっている。
【0008】
特許文献1に示された電源装置では、交流発電機の三相の非中性点側の交流出力端子から取り出した対称三相交流出力を整流回路により整流して負荷に供給する構成をとっている。このような構成をとった場合、エンジンの低速回転時及び高速回転時にそれぞれ交流発電機から負荷に供給し得る最大電力は、交流発電機を対称交流発電機として動作させた際の出力特性により決まる。そのため、エンジンの各回転速度においてバッテリ側に供給し得る最大電力は、交流発電機の三相の非中性点側の交流出力端子から取り出し得る電力により決まってしまい、交流発電機の特性によっては、低速回転時または高速回転時にバッテリ側に供給し得る電力が不足する事態が生じることがある。
【0009】
例えば、エンジンに搭載される交流発電機として、磁石式交流発電機のように界磁を調整することができない交流発電機を用いる場合には、低速回転時に大きな出力を得るように巻線仕様を設定すると、高速回転時に得ることができる出力が制限され、高速回転時に大きな出力を得ることができるように巻線仕様を設定すると、低速回転時に得ることができる電力が制限される。そのため、磁石式交流発電機のような交流発電機を用いる場合に特許文献1に示された構成をとった場合、エンジンの低速回転領域と高速回転領域との双方で負荷に大きな電力を供給し得る電源装置を構成することは困難である。
【0010】
特許文献2に示された発明によれば、エンジンの低速回転時から高速回転時まで負荷に供給される電力をほぼ一定に保つことができるが、この発明によった場合には、エンジンの高速回転時に交流発電機の出力が抑制されるため、エンジンの高速回転時に負荷に供給する電力を増大させるという要求に応えることができない。
【0011】
本発明の目的は、負荷への電力供給能力を従来よりも向上させることができるようにした電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、星形結線された三相の発電コイルのそれぞれの非中性点側の端子から三相の交流出力端子が導出されるとともに中性点から中性点端子が導出されて、エンジンにより駆動される交流発電機を電源として負荷に電力を供給する電源装置に係わるものである。
【0013】
本発明においては、必要に応じて交流発電機を非対称な状態で運転することによりその中性点の電位を上昇させて、中性点側からも負荷に電力を供給することにより、負荷に供給する電力を増大させる。
【0014】
そのため、本発明に係わる電源装置は、交流発電機の出力から該交流発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、交流発電機の三相の交流出力端子から得られる三相交流電圧を全波整流する第1の制御整流回路と、交流発電機の三相の交流出力端子の中から選択された二相の交流出力端子のそれぞれと中性点端子との間に得られる交流電圧と選択された二相の交流出力端子間に得られる交流電圧とを全波整流する第2の制御整流回路と、回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度以下のときには第1の制御整流回路の出力を負荷に供給し、検出された回転速度が設定速度を超えているときには第2の制御整流回路の出力を負荷に供給するように第1の制御整流回路と第2の制御整流回路とを制御する制御部とを備えている。
【0015】
上記のように構成すると、交流発電機の回転速度が設定速度以下である低速領域では、交流発電機の三相の発電コイルから第1の制御整流回路を通して負荷に電力が供給されるため、低速回転領域で十分な出力を発生するように三相の発電コイルの巻線仕様を設定しておくことにより、低速領域で負荷に十分な電力を供給することができる。
【0016】
また、交流発電機の回転速度が設定速度を超える領域では、交流発電機の三相の交流出力端子の中から選択された二相の交流出力端子のそれぞれと中性点端子との間に得られる交流電圧と選択された二相の交流出力端子間に得られる交流電圧とを全波整流する第2の制御整流回路から負荷に電力が供給される。この状態では、選択されていない一相の交流出力端子が負荷から切り離された状態にされる。このように、回転速度が設定速度を超える領域で、一相の発電コイルを負荷から切り離し、二相の発電コイルのみから負荷に電流を供給するようにすると、負荷電流が流れる発電コイルのトータルのターン数を減少させて電機子反作用を低減することができるため、高速回転領域で交流発電機の出力が電機子反作用により低下するのを抑制することができる。
【0017】
また、交流発電機の回転速度が設定速度を超える領域では、交流発電機の負荷が非対称になるため、中性点の電位を上昇させて、中性点からも負荷に電流を流して、負荷に供給し得る電力を増大させることができる。即ち、選択された二相の発電コイルの内の一方の発電コイルの負の半波(中性点側が正極性になる半波)の誘起電圧の絶対値が他方の発電コイルの正の半波の誘起電圧の絶対値を超えるタイミングから、選択された二相の発電コイルの内の一方の発電コイルの正の半波の誘起電圧の絶対値が他方の発電コイルの負の半波の誘起電圧の絶対値を超えるタイミングまでの期間(選択されずに負荷から切り離されている相の発電コイルの誘起電圧の正の半波に相当する期間)の間、交流発電機の中性点の電位が上昇し、この期間交流発電機の中性点端子からも第2の制御整流回路を通して負荷に電流が供給される。
【0018】
このように、本発明においては、交流発電機の回転速度が設定速度を超える領域で一相の発電コイルを負荷から切り離して無負荷状態にすることにより交流発電機の電機子反作用を低減させて、電機子反作用による発電出力の低下を抑制するとともに、中性点の電位を上昇させて、中性点からも制御整流回路を通して負荷に電流を供給するため、高速回転領域で負荷に供給し得る電力を増大させることができる。
【0019】
上記のように、回転速度が設定速度を超える領域で一相の発電コイルを無負荷状態にして不平衡な運転状態にすると、他の二相の発電コイルに流れる電流が不均等になる。そのため、回転速度が設定速度を超える領域で選択する相を固定すると、特定の相の発電コイルに大きな電流が流れて、その温度が過度に上昇するおそれがある。このような問題が生じるのを防ぐため、本発明の好ましい態様では、検出された回転速度が設定速度を超えているときに選択する二相の交流出力端子を一定時間毎に切り換えるように制御部を構成する。
【0020】
このように構成しておくと、回転速度が設定速度を超える領域で特定の相の発電コイルの温度が過度に上昇するのを防ぐことができる。
【0021】
上記第1の制御整流回路及び第2の制御整流回路はそれぞれ独立した回路であってもよいが、構成を簡単にするためには、一つの制御整流回路を第1の制御整流回路及び第2の制御回路として使い分けるようにするのが好ましい。そのため本発明の好ましい態様では、制御整流回路が、交流発電機の三相の交流出力端子にそれぞれ接続される三相の交流入力端子と、前記交流発電機の中性点端子に接続される中性点接続端子と、負荷の一端及び他端にそれぞれ接続される正極側直流出力端子及び負極側直流出力端子と、前記三相の交流入力端子を通して入力される交流発電機の三相交流出力を全波整流して前記両直流出力端子から出力するフルブリッジ型三相全波制御整流回路のブリッジ回路の上段及び下段をそれぞれ構成する三相の上段サイリスタ及び下段サイリスタと、前記中性点接続端子と前記正極側直流出力端子との間に設けられて前記中性点接続端子の電位が正極側直流出力端子の電位よりも高いときに導通する中性点上段通電素子と、前記中性点接続端子にカソードが接続され前記負極側直流出力端子にアノードが接続された中性点サイリスタとを備えた構成を有する。
【0022】
この場合、交流発電機の出力から交流発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、回転速度検出手段により検出される回転速度が設定速度以下のときに、中性点サイリスタのトリガを停止した状態で、制御整流回路から負荷に電力を供給するべく三相の上段サイリスタ及び下段サイリスタにトリガ信号を供給し、回転速度検出手段により検出される回転速度が設定速度を超えているときには、中性点サイリスタを常時トリガし、三相の内の一相の上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止した状態で、制御整流回路から負荷に電力を供給するべく他の二相の上段サイリスタ及び下段サイリスタにトリガ信号を供給する制御部とを設ける。
【0023】
上記のように構成すると、交流発電機の回転速度が設定速度以下のときに、制御回路が前記第1の制御整流回路として機能し、交流発電機の回転速度が設定速度を超えているときに、制御整流回路が前記第2の制御整流回路として機能するため、回路構成が複雑になるのを防ぐことができる。
【0024】
上記のように、制御整流回路を構成する場合、特定の相の発電コイルに大きな電流が流れて、その温度が過度に上昇するのを防ぐために、回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度を超えているときに、上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止する相を一定時間毎に切り替えるように制御部を構成することが好ましい。
【0025】
本発明の好ましい態様では、アノードが正極側直流出力端子側に向けられた逆流阻止用ダイオードを通して出力電圧が印加された入力側キャパシタと、入力側キャパシタの両端の電圧を一定の制御用電源電圧に変換して出力側キャパシタの両端に印加するレギュレータとを備えた制御用電源回路と、交流発電機の三相の交流出力を矩形波信号に波形整形する波形整形回路と、逆流阻止用ダイオードのカソード側で検出した制御用電源回路の入力側キャパシタの両端の電圧を分圧して得た電圧から制御整流回路の出力電圧を検出する出力電圧検出回路と、制御用電源回路の出力側キャパシタの両端に得られる制御用電源電圧を電源電圧として動作するように設けられて、回転速度検出手段と制御部とを構成するようにプログラムされたマイクロプロセッサとが設けられる。この場合、回転速度検出手段は、波形整形回路が電気角で120度の角度間隔で順次発生する矩形波信号の発生間隔から交流発電機の回転速度を演算するように構成される。また制御部は、出力電圧検出回路により検出される出力電圧を設定値以下に保つべく、制御整流回路の上段サイリスタと下段サイリスタとを制御するように構成される。
【0026】
エンジンにより駆動される車両や船外機等の乗り物に搭載される従来の電源装置は、その内部に交流発電機の回転速度の情報を検出する手段を持たなかった。そのため、負荷に供給する電力を交流発電機の回転速度に応じて制御する場合には、交流発電機(エンジン)の回転速度情報を、エンジンの点火時期や燃料噴射量をエンジンの回転速度に応じて制御するECU(電子式エンジン制御ユニット)から取得する必要があり、面倒であった。本発明においては、電源装置内に回転速度検出手段を設けて、電源装置内で回転速度を検出することができるようにしたため、他のユニットから回転速度情報を取得することなく、負荷に供給する電力を交流発電機の回転速度に応じて制御することができる。
【0027】
また上記のように電源装置内にマイクロプロセッサを設けておくと、このマイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより、制御部に各種の制御機能を持たせて、電源装置のインテリジェント化を図ることができ、ECUの助けを借りずにエンジンの加速や減速等の運転状態を考慮したバッテリ充電を可能にするなど、電源装置に多様な機能を持たせることができる。
【0028】
回転速度が高い領域で電機子反作用により出力電圧が抑制される現象は、磁石式交流発電機のように、界磁が一定な交流発電機の場合に顕著に生じる。従って、本発明は、特にエンジンにより駆動する交流発電機として磁石式交流発電機を用いる場合に有用である。
【発明の効果】
【0029】
本発明においては、交流発電機の回転速度が設定速度以下である低速領域で、交流発電機の三相の発電コイルから得られる三相交流出力を第1の制御整流回路により全波整流して負荷に供給するため、低速回転領域で十分な出力を発生するように発電コイルの巻線仕様を設定しておくことにより、低速領域で負荷に十分な電力を供給することができる。
【0030】
また交流発電機の回転速度が設定速度を超える領域では、その三相の交流出力端子の中から選択された二相の交流出力端子のそれぞれと中性点端子との間に得られる交流電圧と選択された二相の交流出力端子間に得られる交流電圧とを全波整流する第2の制御整流回路から負荷に電力を供給するので、負荷電流が流れる発電コイルのトータルのターン数を減少させて電機子反作用を低減することができる。そのため、高速回転領域で交流発電機の出力が電機子反作用により低下するのを抑制することができるだけでなく、交流発電機の負荷が非対称になることにより、中性点の電位を上昇させて、中性点からも制御整流回路を通して負荷に電流を供給することができ、高速回転領域で負荷に供給し得る電力を増大させることができる。
【0031】
本発明において、検出された回転速度が設定速度を超えているときに選択する二相の交流出力端子を一定時間毎に切り換えるように制御部を構成した場合には、回転速度が設定速度を超える領域で特定の相の発電コイルの温度が上昇するという問題を生じさせることなく、交流発電機の低速回転時及び高速回転時に負荷に供給する電力を増大させることができる。
【0032】
本発明において、電源装置内にマイクロプロセッサを設けて、このマイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより回転速度検出手段や制御部を構成するようにした場合には、電源装置のインテリジェント化を図って、制御に必要な情報を外部のユニットから取得することなく、エンジンの運転状態を考慮したバッテリ充電を可能にするなど、電源装置に多様な機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の基本的な構成を示した回路図である。
【図2】本発明の一実施形態においてマイクロプロセッサにより構成される機能実現手段を含む電源装置の全体的な構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の他の実施形態の構成を示した回路図である。
【図4】図1の実施形態の低速回転時の主要部の等価回路を示した回路図である。
【図5】図1の実施形態の高速回転時のあるタイミングにおける主要部の等価回路を示した回路図である。
【図6】図1の実施形態の高速回転時の他のタイミングにおける主要部の等価回路を示した回路図である。
【図7】図1の実施形態の高速回転時の更に他のタイミングにおける主要部の等価回路を示した回路図である。
【図8】本発明の実施形態において、三相整流モードでバッテリを含む負荷に電力を供給した際及び単相中性点整流モードで該負荷に電力を供給した際の交流発電機の回転速度と出力電流との関係を示したグラフである。
【図9】本発明の実施形態において、三相整流モードでバッテリを含む負荷に電力を供給した際の各部の電圧または電流波形を示した波形図である。
【図10】本発明の実施形態において、交流発電機の回転速度を2500rpmとして単相中性点整流モードでバッテリを含む負荷に電力を供給した際の各部の電圧または電流波形を示した波形図である。
【図11】本発明の実施形態において、交流発電機の回転速度を5000rpmとして単相中性点整流モードでバッテリを含む負荷に電力を供給した際の各部の電圧または電流波形を示した波形図である。
【図12】本発明の実施形態において、通電を休止する相を切り替えながら単相中性点整流モードでバッテリを含む負荷に電力を供給した際の、通電休止相切り替え時間と負荷電流(バッテリ充電電流)との関係を示したグラフである。
【図13】本発明の実施形態において、通電を休止する相を切り替えながら単相中性点整流モードでバッテリを含む負荷に電力を供給した際の、通電休止相切り替え時間と発電コイルの温度との関係を示したグラフである。
【図14】本発明の一実施形態においてマイクロプロセッサに実行させるプログラムのメインルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態において一定時間毎に実行される過電圧判定処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態において交流発電機のU相の出力電圧の正の半波が立ち上がった際にマイクロプロセッサに実行させるプログラムの割込みルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態において一定時間毎に実行される運転状態判定処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図18】本発明の一実施形態において一定時間毎に実行される出力制御処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図19】本発明の一実施形態において単相中性点整流モード時に実行される単相中性点整流モード時相切替え処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図20】(A)ないし(D)は、単相中性点整流モード時の制御整流回路のサイリスタのオンオフ動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の基本的な構成を示したものである。同図において1はエンジン(図示せず。)により駆動される交流発電機、2は交流発電機1の出力を整流する制御整流回路、3は制御整流回路2を制御する制御ユニット、4は制御整流回路2の出力端子間にヒューズ5を介して接続されて、交流発電機1の出力で制御整流回路2を通して充電されるバッテリ、6はバッテリ4の両端の電圧がスイッチ7を介して印加された負荷である。この例では、制御整流回路2と、制御ユニット3とにより電源装置8が構成され、バッテリ4及び負荷6が電源装置8の負荷を構成している。
【0035】
本実施形態で用いる交流発電機1は、永久磁石により界磁が構成されてエンジンのクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、この磁石回転子の磁極に対向する磁極部を有する電機子鉄心のスロットに巻装されたコイルを三相星形結線してなる固定子とを備えた周知の磁石式交流発電機からなっている。図1においてLu,Lv及びLwはそれぞれ星形結線されたU,V及びW相の発電コイルで、三相の発電コイルLu,Lv及びLwのそれぞれの非中性点側の端子から三相の交流出力端子1u,1v及び1wが導出され、中性点nから中性点端子1nが導出されている。
【0036】
制御整流回路2は、交流発電機の三相の交流出力端子1uないし1wにそれぞれ接続される三相の交流入力端子2u,2v及び2wと、交流発電機1の中性点端子1nに接続される中性点接続端子2nと、正極側直流出力端子2a及び負極側直流出力端子2bと、カソードが正極側直流出力端子に接続されるとともに、アノードが三相の交流入力端子2u,2v及び2wにそれぞれ接続されてブリッジ回路の上段を構成する三相の上段サイリスタSu,Sv及びSwと、アノードが負極側直流出力端子に共通接続されるとともに、カソードが三相の交流入力端子2u,2v及び2wにそれぞれ接続されてブリッジ回路の下段を構成する三相の下段サイリスタSx,Sy及びSzと、中性点接続端子2nにアノードが接続され、正極側直流出力端子2aにカソードが接続された中性点ダイオードDnと、中性点接続端子2nにカソードが接続され、負極側直流出力端子2bにアノードが接続された中性点サイリスタSnとにより構成されている。正極側直流出力端子2a及び負極側直流出力端子2bにバッテリ4の正極端子4a及び負極端子4bがそれぞれ接続されている。図示の例では、負極側直流出力端子2bが接地端子(GND)となっていて、該負極側直流出力端子が接地されている。
【0037】
制御ユニット3は、該制御ユニットの各部に供給する電源電圧を発生する制御用電源回路301と、バッテリ4の両端の電圧を出力電圧として検出する出力電圧検出回路302と、交流発電機1の三相の出力電圧波形をそれぞれ三相の矩形波信号に変換する波形整形回路303と、制御用電源回路301から電源電圧が供給されて動作するマイクロプロセッサ304と、三相上段サイリスタSu〜Swにそれぞれトリガ信号gu〜gwを供給する三相上段サイリスタトリガ回路305と、三相下段サイリスタSx〜Szにそれぞれトリガ信号gx〜gzを供給する三相下段サイリスタトリガ回路306と、中性点サイリスタSnにトリガ信号gnを供給する中性点サイリスタトリガ回路307とを備えている。
【0038】
制御用電源回路301は、アノードがバッテリの正極側に向けられた逆流阻止用ダイオードD1を通してバッテリ電圧Vbが印加された入力側キャパシタC1と、入力側キャパシタC1の両端の電圧Vbを一定の制御用電源電圧Vcに変換して出力側キャパシタC2の両端に印加するレギュレータREGとを備えていて、入力側キャパシタC1の両端の電圧(出力電圧)Vb及び出力側キャパシタC2の両端の電圧Vcをそれぞれ出力端子301a及び301bから出力する。図示の例では、制御ユニット3に出力電圧入力端子3aが設けられていて、バッテリ4の両端の電圧がスイッチ7と入力端子3aとを通して制御用電源回路301に入力されている。
【0039】
本実施形態では、制御用電源回路301の入力部に逆流阻止用ダイオードD1を設けることにより、バッテリ4が誤って逆方向に接続された場合に制御ユニット3の各部が破損するのを防ぐようにしている。
【0040】
出力電圧検出回路302は、制御用電源回路301の逆流阻止用ダイオードD1のカソード側で、出力電圧Vbに等しい制御用電源回路の入力側キャパシタC1の両端の電圧を分圧して得た電圧から出力電圧Vbを検出するように構成されている。
【0041】
波形整形回路303は、交流発電機1の三相の交流出力電圧波形をそれぞれ波形整形して、三相の交流電圧のそれぞれの一方の極性の半波の期間高レベルを示し、他方の半波の期間零レベルを示す矩形波信号に変換する回路で、三相の交流電圧をそれぞれ波形整形して得た三相の矩形波信号を電気角で120度の角度間隔で発生する。この波形整形回路は例えば、三相の交流電圧の負の半波の期間オン状態になり、正の半波の期間オフ状態になるスイッチ回路を備えて、該スイッチ回路の両端に矩形波状の電圧を得る回路により構成することができる。
【0042】
マイクロプロセッサ(MPU)304は、図示しないROMまたはEEPROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、各種の演算処理や信号の入出力処理を行なう演算処理装置で、制御用電源回路301から電源電圧Vcが与えられて動作する。マイクロプロセッサ304には、出力電圧検出回路302が出力する出力電圧検出信号と、波形整形回路303が出力する三相の矩形波信号とが入力されている。本実施形態では、マイクロプロセッサ304に所定のプログラムを実行させることにより、各種の機能実現手段を構成する。マイクロプロセッサ304が構成する機能実現手段を含む本実施形態の電源装置の構成を図2に示した。
【0043】
本実施形態では、マイクロプロセッサ304が、回転速度検出手段3Aと、制御部3Bと、過電圧判定手段3Cと、過電圧保護手段3Dと、運転状態判定手段3Eと、出力電圧設定値切替手段3Fとを構成するようにプログラムされている。
【0044】
回転速度検出手段3Aは、波形整形回路303が電気角で120度の角度間隔で順次発生する三相の矩形波信号のそれぞれの発生間隔から交流発電機1の回転速度を演算するように構成される。回転速度検出手段3Aは、例えば各相の矩形波信号の立ち上がり又は立ち下がりを認識し、各相の矩形波信号が前回入力されてから今回入力されるまでの時間を回転速度演算用計時データとして計測して、この計時データから交流発電機の回転速度を演算する。
【0045】
制御部3Bは、三相の上段サイリスタSu〜Sw、三相の下段サイリスタSx〜Sz及び中性点サイリスタSnをそれぞれトリガするタイミングで三相の上段サイリスタトリガ指令gu′〜gw′、三相の下段サイリスタトリガ指令gx′〜gz′及び中性点サイリスタトリガ指令gn′を発生する手段である。
【0046】
本実施形態の制御部3Bは、回転速度検出手段3Aにより検出される回転速度が設定速度以下のときに、中性点サイリスタSnのトリガを停止した状態で、出力電圧検出回路302により検出される出力電圧を設定値以下に保つか、または調整範囲に保つべく、三相の上段サイリスタSu〜Sw及び下段サイリスタSx〜Szのオンオフを制御して、三相の発電コイルLu〜Lwから制御整流回路2を通してバッテリ4に流す充電電流を制御する。中性点サイリスタSnをオフにした状態では、三相の上段サイリスタSu〜Sw及び下段サイリスタSx〜Szにより、三相の交流入力端子2uないし2wを通して入力される交流発電機1の三相交流出力を全波整流して正極側及び負極側の直流出力端子2a及び2bから出力するフルブリッジ型の三相全波制御整流回路が構成されている。本明細書ではこのように交流発電機の三相交流出力を全波整流する制御整流回路を第1の制御整流回路と呼ぶ。
【0047】
本明細書では、このように、三相の発電コイルLu〜Lwの出力を制御整流回路2により三相全波整流して負荷に供給する整流モードを「三相整流モード」と呼ぶ。
【0048】
なお負荷を駆動するに当っては、負荷の両端の電圧を設定値以下に保つように制御するが、負荷の両端の電圧を設定値以下に保つ制御を行わせた場合、交流発電機の出力が設定値を超えている状態では、負荷の両端に印加される電圧が設定値に保たれる。また負荷の両端の電圧に対して設定値(上限値)の他に下限設定値を設けることもできる。負荷の両端の電圧に対して下限設定値とを設けた場合には、負荷の両端の電圧が設定値と下限設定値との間に保たれる。負荷に定格電圧が12[V]のバッテリ4が含まれる場合、出力電圧の設定値は例えば14[V]に設定される。
【0049】
三相整流モードでは、次のようにして負荷への電力の供給(本実施形態ではバッテリの充電)を行なう。
出力電圧検出回路302により検出される出力電圧Vbが設定値以下であるときには、中性点サイリスタSnのトリガを停止した状態で、U相〜W相の上段サイリスタSu〜Sw及びU相ないしW相の下段サイリスタSx〜Szにそれぞれトリガ信号gu〜gw及びgx〜gzを与えて、これらのサイリスタの内、アノードカソード間に順方向電圧が印加されているサイリスタをオン状態にすることにより、U相ないしW相の発電コイルLu〜Lwに誘起する交流電圧を全波整流してバッテリ4に充電電流を供給する。三相整流モードにおいて、出力電圧Vbが設定値以下の状態にあるときには、制御整流回路2を図4に示した等価回路で表わすことができる。図4に示した等価回路においては、トリガ信号が与えられていて、アノードカソード間に順方向電圧が印加されたときにオン状態になる各サイリスタを、ダイオードを示す回路記号で表わし、トリガ信号が与えられることがなく、オフ状態に保持されるサイリスタをオフ状態にあるスイッチを示す回路記号で表わしている。後記する図5ないし図7の等価回路においても同様である。
【0050】
三相整流モードにおいて、出力電圧Vbが設定値を超えたときには、U相〜W相の上段サイリスタSu〜Sw及びU相ないしW相の下段サイリスタSx〜Szへのトリガ信号の供給を停止してこれらのサイリスタを順次オフ状態にすることにより、バッテリ4の充電を停止させる。これらの動作を繰り返すことにより、バッテリ4の両端の電圧を設定値以下に保つ。
【0051】
図9を参照すると、三相整流モードでバッテリの充電を行なった際に観測された各部の電圧波形と電流波形とが示されている。図9(A),(B)及び(C)はそれぞれ交流発電機のU相ないしW相の交流出力端子1uないし1wと制御整流回路2の負極側直流出力端子2bとの間に現れる交流電圧Vu,Vv及びVw(図1参照)を示し、図9(D)は交流発電機の中性点端子1nと負極側直流出力端子2bとの間に現れる中性点電圧Voを示している。また図9(E),(F)及び(G)はそれぞれU相,V相及びW相の発電コイルを通して流れる負荷電流Iu,Iv及びIwを示し、図9(H)はバッテリ4に流れる充電電流Icを示している。
【0052】
三相充電時に交流発電機のU相ないしW相の交流出力端子1uないし1wと制御整流回路2の負極側直流出力端子2bとの間にそれぞれ現れる電圧Vu,Vv及びVwは、上段サイリスタ及び下段サイリスタがオン状態になると同時に出力電圧Vbまで上昇する。そのため、電圧Vu,Vv及びVwは、図9(A),(B)及び(C)に示すように、波高値を出力電圧Vbとした矩形波状の波形を呈する。交流発電機を三相運転しているときには、中性点電圧Voは原理的には零になる筈であるが、三相の発電コイルのターン数の微差や三相の発電コイルに鎖交する磁束の磁路の磁気抵抗の差などにより、実際には図9(D)に示すように零にはならず、電圧Vu,Vv及びVwの立ち上がり及び立ち下がりを生じさせるサイリスタのスイッチングが行なわれる毎に微小なレベル変化を示す。
【0053】
本発明では、交流発電機の回転速度が設定速度以下の領域でのみ三相整流モードでの充電を行なうが、交流発電機の低速回転時から高速回転時までの全回転速度領域で三相整流モードでの充電を行なったとした場合の、回転速度に対するバッテリ充電特性は、図8の曲線aに示すようになる。図8の横軸は交流発電機の回転速度を示し、縦軸はバッテリに流れる充電電流(出力電流)を示している。図8から明らかなように、三相整流モードで負荷を駆動しているときには、交流発電機の回転速度が低い領域で制御整流回路から大きな出力を取り出すことができるが、回転速度が高い領域では、電機子反作用による発電出力の低下により、制御整流回路から取り出すことができる出力が抑制される。
【0054】
上記のように、交流発電機の回転速度が設定速度以下である低速領域では、交流発電機の三相の発電コイルLu,Lv及びLwから制御整流回路2を通して負荷に電流が供給されるため、低速回転領域で十分な出力を発生するように三相の発電コイルの巻線仕様を設定しておくことにより、バッテリ4を十分に充電すると共に、バッテリに接続された負荷6に十分な電力を供給することができる。
【0055】
制御部3Bはまた、回転速度検出手段により検出される交流発電機の回転速度が設定速度を超えているときに、中性点サイリスタSnを常時トリガし、三相の中から選択された何れか一相の上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止して該一相の発電コイルを無負荷にした状態で、選択された他の二相の上段サイリスタ及び下段サイリスタをオンオフ制御するように構成される。
【0056】
例えば、図7に示された等価回路のように、中性点サイリスタSnを常時トリガしてオン状態に保持し、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzのトリガを停止してこれらのサイリスタSw及びSzをオフ状態に保持した状態で、出力電圧Vbを設定値以下に保つように、U相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxと、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyのオンオフを制御する。
【0057】
このように、中性点サイリスタSnを常時トリガし、選択された一相の上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止した状態では、交流発電機の三相の交流出力端子の中から選択された他の二相の交流出力端子のそれぞれと中性点端子との間に得られる単相交流電圧と選択された二相の交流出力端子間に得られる単相交流電圧とが全波整流されて負荷に供給される。
【0058】
例えば、U相とV相とを選択された二相として、中性点サイリスタSnを常時トリガしてオン状態に保持し、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzのトリガを停止してこれらのサイリスタSw及びSzをオフ状態に保持した状態で、U相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxと、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyのオンオフを制御するようにした場合には、U相の交流出力端子1uと中性点端子1nとの間に得られる単相交流電圧と、交流出力端子1vと中性点端子1nとの間に得られる単相交流電圧と、交流出力端子1u,1v間に得られる単相交流電圧とが、ダイオードDn,サイリスタSu及びSvと、サイリスタSn,Sx及びSyとにより構成される制御整流回路により全波整流されて負荷に供給される。
【0059】
本明細書では、上記のように、三相の中から選択された二相の上段サイリスタ及び下段サイリスタと中性点ダイオードと中性点サイリスタとにより構成されて、選択された二相の交流出力端子のそれぞれと中性点端子との間に得られる単相交流電圧と、選択された二相の交流出力端子間に得られる単相交流電圧とを全波整流する制御整流回路を「第2の制御整流回路」と呼ぶ。交流発電機の出力をこの第2の制御整流回路を通して整流して負荷に供給する整流モードを、本明細書では、「単相中性点整流モード」と呼ぶ。
【0060】
単相中性点整流モードにおいて、中性点サイリスタSnを常時トリガしてオン状態に保持し、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzをオフ状態に保持した状態で、出力電圧Vbを設定値以下に保つように、U相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxと、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyのオンオフを制御した場合に観測された各部の電圧及び電流波形を図10及び図11に示した。図10は交流発電機の回転速度を2500rpmとした場合を示し、図11は交流発電機の回転速度を5000rpmとした場合を示している。図10及び図11において、(A),(B)及び(C)はそれぞれ交流発電機のU相ないしW相の交流出力端子1uないし1wと制御整流回路2の負極側直流出力端子2bとの間にそれぞれ現れる電圧Vu,Vv及びVw(図1参照)を示し、(D)は交流発電機の中性点端子1nと負極側直流出力端子2bとの間に現れる中性点電圧Voを示している。また(E),(F)及び(G)はそれぞれU相,V相及びW相の発電コイルを通して流れる負荷電流Iu,Iv及びIwを示し、(H)はバッテリ4に流れる充電電流Icを示している。
【0061】
単相中性点整流モードでは、例えば次のようにしてバッテリの充電を行なう。
出力電圧検出回路302により、出力電圧Vbが設定値以下であることが検出されているときには、例えばW相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzのトリガを停止した状態で(サイリスタSw及びSzをオフ状態に保持した状態で)、U相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxにそれぞれトリガ信号gu及びgxを与えると共に、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyにそれぞれトリガ信号gv及びgyを与えて、サイリスタSu,Sx及びSv,Syの内、アノードカソード間に順方向電圧が印加されているサイリスタをオン状態にすることにより、U相及びV相の発電コイルLu及びLvに誘起する交流電圧を整流してバッテリ4に充電電流を供給する。単相中性点整流モードにおいて、出力電圧が設定値以下であるときの制御整流回路の状態は、図7に示す等価回路で表すことができる。
【0062】
出力電圧Vbが設定値以下であるときには、U相の発電コイルLu−サイリスタSu−バッテリ4及び負荷6−中性点サイリスタSn−発電コイルLuの通電経路と、V相の発電コイルLv−サイリスタSv−バッテリ4及び負荷6−中性点サイリスタSn−発電コイルLvの通電経路と、発電コイルLu−サイリスタSu−バッテリ4及び負荷6−サイリスタSy−発電コイルLv−発電コイルLuの通電経路と、発電コイルLv−サイリスタSv−バッテリ4及び負荷6−サイリスタSx−発電コイルLu−発電コイルLvの通電経路とが形成されて、発電コイルLu及びLvから制御整流回路2を通してバッテリ4及び負荷6に電流が供給される。
【0063】
また、図7に示されているように、サイリスタSw及びSzがオフ状態にされて、発電コイルLwがバッテリ4及び負荷6から切り離されているときには、U相の発電コイルLuの負の半波(中性点側が正極性になる半波)の誘起電圧の絶対値がV相の発電コイルLvの正の半波の誘起電圧の絶対値を超えるタイミングから、U相の発電コイルLuの正の半波の誘起電圧の絶対値がV相の発電コイルLvの負の半波の誘起電圧の絶対値を超えるタイミングまでの期間(バッテリから切り離したW相の発電コイルLwの誘起電圧の正の半波に相当する期間)、中性点ダイオードDnが順方向にバイアスされて、図10及び図11の(D)に示したように、交流発電機の中性点電圧Voが出力電圧Vbまで上昇する。中性点電圧Voが上昇している期間、交流発電機の中性点端子1nから中性点ダイオードDnと、バッテリ4及び負荷6と、U相の下段サイリスタSxまたはV相の下段サイリスタSyとを通して電流が流れる。
【0064】
上記のように、交流発電機の回転速度が設定速度を超える領域で一相の発電コイルLwをバッテリ4から切り離して無負荷状態にすると、発電コイルのトータルのターン数を減少させて電機子反作用を低減することができるため、高速回転領域で交流発電機の出力が電機子反作用により低下するのを抑制することができる。
【0065】
また、バッテリから切り離した相の発電コイルの誘起電圧の正の半波に相当する期間、中性点電圧Voを出力電圧Vbまで上昇させて、中性点端子1nから制御整流回路2を通してバッテリ4と負荷6とに電流を供給することができるため、電機子反作用による発電出力の低下を抑制できることと相俟って、高速回転領域でバッテリ4及び負荷6に供給し得る電力を増大させることができる。
【0066】
エンジンの回転速度の全領域に亘って単相中性点整流モードで負荷に電力を供給したとすると、回転速度に対する電源装置の出力特性は図8の曲線bのようになり、回転速度が低い領域では、三相整流モードで負荷に電力を供給した場合よりも出力が小さくなるが、回転速度が高い領域では、三相整流モードで負荷に電力を供給した場合よりも出力が大きくなる。従って、図8の曲線aと曲線bとの交点における回転速度Nsを設定速度として、交流発電機の回転速度が設定速度Ns以下のときに三相整流モードで負荷に電力を供給し、交流発電機の回転速度が設定速度Nsを超える領域で単相中性点整流モードで負荷に電力を供給するようにすれば、交流発電機の回転速度領域の全域で負荷に供給し得る電力を増大させることができる。
【0067】
上記のように、回転速度が設定速度を超える領域で一相の発電コイルを無負荷状態にすると、負荷電流を流す他の二相の発電コイルの一方の温度が過度に上昇することがある。これは、無負荷状態にした一相の発電コイルから生じる磁束が無くなることにより、電機子鉄心を流れる磁束にアンバランスが生じて、負荷電流を流す二相の発電コイルに鎖交する磁束が不均等になり、特定の相の発電コイルに大きな電流が流れることによると思われる。
【0068】
このような問題が生じるのを防ぐため、本実施形態では、検出された回転速度が設定速度を超えているときに選択する二相の交流出力端子を一定時間毎に切り換えるように制御部3Bを構成する。即ち、回転速度検出手段3Aにより検出された交流発電機の回転速度が設定速度を超えている状態で出力電圧を設定値以下に保つ制御を行なう際に、上段サイリスタSu〜Sw及び下段サイリスタSx〜Szのトリガを停止する相を一定時間(休止相切替時間)毎に切り替えるように、制御整流回路を制御する制御部3Bを構成する。
【0069】
例えば、回転速度検出手段により検出された交流発電機の回転速度が設定速度を超えていることが検出されている状態で出力電圧が設定値以下であるときに、先ず図5に示すように、U相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxのトリガを停止して、出力電圧を設定値以下に保つように、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyと、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzのオンオフを制御する。即ち、出力電圧が設定値以下になったことが検出されたときに、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyにそれぞれトリガ信号gv及びgyを与えると共に、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzにそれぞれトリガ信号gw及びgzを与えて、サイリスタSv,Sy,Sw及びSzの内、アノードカソード間に順方向電圧が印加されているサイリスタをオン状態にすることにより、V相及びW相の発電コイルLv及びLwから制御整流回路2を通してバッテリ4に充電電流を供給する。また検出されている出力電圧が設定値を超えたときには、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyへのトリガ信号gv及びgyの供給と、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzへのトリガ信号gw及びgzの供給とを停止することにより、サイリスタSv,Sy,Sw及びSzをオフ状態にして、バッテリ4への充電電流の供給を停止する。
【0070】
図5に示したようにU相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxのトリガを停止している時間(休止相切替時間)が設定時間に達したときに、図6に示すように、トリガを停止する相をV相に切り替えて、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyのトリガを停止した状態にし、この状態で、上記と同様にして、U相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxと、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzとをオンオフ制御して、出力電圧を設定値以下に保つ制御を行なわせる。
【0071】
またV相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyのトリガを停止している時間が設定時間に達したときに、図7に示すように、トリガを停止する相をW相に切り替えて、W相の上段サイリスタSw及び下段サイリスタSzのトリガを停止した状態で、U相の上段サイリスタSu及び下段サイリスタSxと、V相の上段サイリスタSv及び下段サイリスタSyとをオンオフ制御することにより、出力電圧を設定値以下に保つ制御を行なわせる。
【0072】
上記のようにして、上段サイリスタ及び下段サイリスタをオフ状態にする相を一定の休止相切替時間毎に切り替えながら他の二相の上段サイリスタ及び下段サイリスタをオンオフ制御して、出力電圧を設定値以下に保つ制御を行なわせる。このような制御を行う場合には、第2の制御整流回路を構成する上段サイリスタ及び下段サイリスタが一定時間毎に切り替わることになる。
【0073】
上記のように、回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度を超えているときに、上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止する相を一定の休止相切替時間毎に切り替える(トリガ信号を供給する選択された二相を一定時間毎に切り替える)ように制御部を構成しておけば、回転速度が設定速度を超える領域で特定の相の発電コイルの温度が上昇するという問題を生じさせることなく、交流発電機の低速回転時及び高速回転時に負荷に供給し得る電力を増大させることができる。
【0074】
上記休止相切替時間が短すぎると、バッテリ4及び負荷6に供給し得る電流が不足するおそれが生じるが、休止相切替時間をある程度以上長く設定しておけば、バッテリ4及び負荷6に供給し得る電流が不足する事態が生じるのを防ぐことができる。図12は、休止相切替時間とバッテリ充電電流との関係を示したものである。同図より、休止相切替時間を0.10[sec]以上とすれば、上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止する相を切り替えながら単相中性点整流モードでバッテリの充電を行なわせても、充電電流が不足する事態が生じるおそれがないことが分かる。
【0075】
休止相切替時間を長くすれば、バッテリ及び負荷に供給し得る出力が低下するおそれをなくすことができるが、休止期間切替時間を長くし過ぎると、特定の相の発電コイルの温度(巻線温度)が過度に上昇するおそれが生じる。図13は、休止相切替時間を種々変化させて巻線温度を測定する実験を繰り返し行なった結果を示したもので、曲線a及びbはそれぞれ交流発電機の回転速度を3000rpmとして、休止相切替時間を種々変化させながら特定の相の巻線温度を計測する実験を繰り返し行なった際に計測された巻線温度の最小値及び最大値であり、曲線cおよびdはそれぞれ、交流発電機の回転速度を5000rpmとして、休止相切替時間を種々変化させながら特定の相の巻線温度を計測する実験を繰り返し行なった際に計測された巻線温度の最小値及び最大値である。図13から、休止相切替時間を約2.0[sec]以下とすれば、特定の相の発電コイルの温度が過度に上昇するおそれがないことが分かる。図12及び図13から、休止相切替時間を0.1〜2.0[sec]の範囲に設定しておけば、特定の相の巻線温度を上昇させることなく、交流発電機の回転速度が設定速度を超える領域での充電出力を増大させることができることが分かる。
【0076】
マイクロプロセッサ304は、基本的には、上記のように回転速度検出手段3Aと制御部3Bとを構成するようにプログラムされるが、本実施形態では、マイクロプロセッサ304が更に、過電圧判定手段3Cと、過電圧保護手段3Dと、運転状態判定手段3Eと、出力電圧設定値切替手段3Fとを構成するようにプログラムされている。
【0077】
バッテリ4が劣化していて、その内部インピーダンスが高くなっていると、バッテリ4に充電電流を供給したときにバッテリ4の両端の電圧が過度に上昇して制御ユニットを破損するおそれがある。本実施形態では、バッテリ4の両端の電圧が過度に上昇するのを防ぐため、過電圧判定手段3Cと、過電圧保護手段3Dとを設けている。
【0078】
過電圧判定手段3Cは、出力電圧Vbが許容上限値以下であるか該許容上限値を超えているかを判定する手段で、出力電圧検出回路302により検出された出力電圧を、設定された許容上限値と比較することにより、出力電圧Vbが許容上限値以下であるか該許容上限値を超えているかを判定する。出力電圧の許容上限値は例えば18[V]に設定する。
【0079】
過電圧保護手段3Dは、過電圧判定手段3Cにより出力電圧Vbが許容上限値以下であると判定されているときに三相の下段サイリスタSx〜Szのトリガを許容してバッテリ4の充電を許容し、過電圧判定手段3Cにより出力電圧Vbが許容上限値を超えていると判定されたときに三相の下段サイリスタSx〜Szのトリガを停止してバッテリ4の充電を禁止するように構成されている。
【0080】
また運転状態判定手段3Eは、回転速度検出手段3Aにより検出される交流発電機1の回転速度(エンジンの回転速度)の変化からエンジンの運転状態を判定する手段であり、出力電圧設定値切替手段3Fは、運転状態判定手段3Eにより判定されたエンジンの運転状態に応じて出力電圧の設定値(又は出力電圧の調整範囲の上限値)を切り替える手段である。
【0081】
なお出力電圧Vbを、上限値と下限値とにより規定される調整範囲内に保つように制御する場合には、出力電圧設定値切替手段3Fを、運転状態判定手段3Eにより判定されたエンジンの運転状態に応じて出力電圧Vbの調整範囲の上限値を切り替えるように構成される。
【0082】
運転状態判定手段3Eは、例えば、回転速度検出手段3Aにより検出される交流発電機の回転速度が設定された変化率以上の割合で低下していくときにエンジンの運転状態が減速状態にあると判定するように構成される。運転状態判定手段3Eがこのように構成される場合、出力電圧設定値切替手段3Fは、運転状態判定手段3Eによりエンジンの運転状態が減速状態にあると判定されたときに、出力電圧の設定値(又は出力電圧の調整範囲の上限値)を、エンジンの運転状態が減速状態以外の状態にあるときの値よりも大きい値に切り替えるように構成される。このように出力電圧の設定値を切り換えると、エンジンが減速されているときに交流発電機からバッテリに充電電流が供給される期間を長くしてエンジンの負荷を重くすることができるため、エンジンの減速を助けることができる。
【0083】
運転状態判定手段3Eはまた、回転速度検出手段3Aにより検出される交流発電機の回転速度が設定された変化率以上の割合で上昇していくときに、エンジンの運転状態が加速状態にあると判定するように構成することもできる。この場合、出力電圧設定値切替手段3Fは、運転状態判定手段によりエンジンの運転状態が加速状態にあると判定されたときに、出力電圧の設定値(又は出力電圧の調整範囲の上限値)を、運転状態が加速状態以外の状態にあるときの値よりも小さい値に切り替えるように構成される。このように出力電圧の設定値を切り換えると、エンジンが加速されているときに交流発電機からバッテリに充電電流が供給される期間を短くしてエンジンの負荷を軽くすることができるため、エンジンの加速を助けることができる。
【0084】
エンジンの運転状態が減速状態であると判定されたとき及び加速状態であると判定されたときの出力電圧の設定値は適宜に設定することができるが、本実施形態においては、エンジンの運転状態が減速状態でも加速状態でもない通常状態にあるときに出力電圧(定格値12[V])の設定値を14[V]とし、エンジンの運転状態が減速状態であると判定されたときに出力電圧の設定値を14[V]から18[V]に切り換える。またエンジンの運転状態が加速状態であると判定されたときに、出力電圧の設定値を14[V]から10[V]に切り換える。
【0085】
またエンジンの運転状態が減速状態にある状態と、加速状態にある状態との双方を判定するように、運転状態判定手段3Eを構成して、運転状態判定手段3Eによりエンジンの運転状態が減速状態にあると判定されたときに、出力電圧の設定値(又は出力電圧の調整範囲の上限値)を、エンジンの運転状態が減速状態以外の状態にあるときの値よりも大きい値に切り替え、運転状態判定手段3Eによりエンジンの運転状態が加速状態にあると判定されたときに、出力電圧の設定値(又は出力電圧の調整範囲の上限値)を、運転状態が加速状態以外の状態にあるときの値よりも小さい値に切り替えるように、出力電圧設定値切替手段を構成してもよい。
【0086】
上記制御部3Bは、三相の上段サイリスタSu,Sv,Swをそれぞれトリガするタイミングで三相の上段サイリスタトリガ指令gu′,gv′及びgw′を発生し、三相の下段サイリスタSx,Sy,Szをそれぞれトリガするタイミングで三相の下段サイリスタトリガ指令gx′,gy′及びgz′を発生し、中性点サイリスタSnをトリガするタイミングで中性点サイリスタトリガ指令gn′を発生するように構成される。
【0087】
この場合、三相上段サイリスタトリガ回路305は、制御部3Bが三相の上段サイリスタトリガ指令gu′,gv′及びgw′を発生したときに三相の上段サイリスタSu,Sv及びSwにそれぞれトリガ信号gu,gv及びgwを供給するように構成され、三相下段サイリスタトリガ回路306は、制御部3Bが三相の下段サイリスタトリガ指令gx′,gy′及びgz′を発生したときに三相の下段サイリスタSx、Sy及びSzにそれぞれトリガ信号gx,gy及びgzを供給するように構成される。また中性点サイリスタトリガ回路307は、制御部3Bが中性点サイリスタトリガ指令gn′を発生したときに中性点サイリスタSnにトリガ信号gnを供給するように構成される。
【0088】
本実施形態で用いる三相上段サイリスタトリガ回路305は、制御部3Bが三相の上段サイリスタトリガ指令gu′,gv′及びgw′を発生したときに交流発電機の三相の交流出力端子1u〜1w側から三相の上段サイリスタSu〜Swにそれぞれトリガ信号gu〜gwを供給するように構成される。
【0089】
また三相下段サイリスタトリガ回路306は、制御部3Bが三相の下段サイリスタトリガ指令gx′,gy′及びgz′を発生したときにバッテリ4を電源として三相の下段サイリスタSx〜Szにそれぞれトリガ信号を供給するように構成され、中性点サイリスタトリガ回路307は、制御部3Bが中性点サイリスタトリガ指令を発生したときにバッテリ4を電源として中性点サイリスタSnにトリガ信号を供給するように構成される。
【0090】
図2に示した回転速度検出手段3A、制御部3B、過電圧判定手段3C、過電圧保護手段3D、運転状態判定手段3E及び出力電圧設定値切替手段3Fを構成するためにマイクロプロセッサ304に実行させるプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図14ないし図18に示した。
【0091】
図14はマイクロプロセッサ304が実行するプログラムのメインルーチンを示したものである。マイクロプロセッサ304の電源が投入されたときに先ず図14のステップS101で各部の初期化を行なう。次いでステップS102でインターバルタイマをセットして割込みを許可した後、ステップS103に進んでインターバルタイマによる割込みタイミングが到来するのを待つ。ステップS103でインターバルタイマによる割込みタイミングであると判定されたときにステップS104に進んで、出力電圧検出回路302が検出している出力電圧を読み込み、ステップS105で図15に示す過電圧判定処理を行なう。過電圧判定処理を行なった後、ステップS106で図16に示した回転速度演算用データ計測処理を行なって、計測されたデータから交流発電機の回転速度を演算する。回転速度を演算した後、ステップS107で図17に示した運転状態判定処理を行なって、エンジンの運転状態が通常状態であるか、減速状態であるか、加速状態であるかを判定する。次いでステップS108で図18に示す出力制御処理を行なった後、ステップS103に戻る。
【0092】
図15に示した過電圧判定処理では、先ずステップS201で出力電圧を許容上限値と比較し、出力電圧が許容上限値以下であるときにステップS202で出力電圧が通常状態にあると判定する。また出力電圧が許容上限値を超えているときに、ステップS203で、出力電圧が過電圧状態であると判定する。図15の過電圧判定処理により過電圧判定手段3Cが構成される。
【0093】
図16の回転速度演算用データ計測処理は、波形整形回路303が出力するU相の矩形波信号ないしW相の矩形波信号のそれぞれの立ち上がりが認識される毎に実行される。図16の回転速度演算用データ計測処理では、ステップS301で、波形整形回路303が出力するU相の矩形波信号が前回入力されてから今回入力されるまでの時間を算定する。交流発電機の各相の誘起電圧の正の半波の期間高レベルを示し、負の半波の期間零レベルを示す矩形波信号を発生するように波形整形回路303が構成されている場合、この時間の算定は例えば、各矩形波信号の立ち上がりを認識したときにフリーランニングタイマの計測値を読み取って記憶しておくようにしておいて、今回U相の矩形波信号の立ち上がりを認識した時に読み取ったタイマの計測値から、前回U相の矩形波信号の立ち上がりを認識した時に読み取ったタイマの計測値を減算することにより行なう。次いでステップS302で算定した時間をエンジンのクランク軸の1回転に相当する時間(クランク軸が1回転するのに要した時間)に変換して、この1回転に相当する時間を、U相の回転速度演算用データとしてメモリに記憶させる。
【0094】
同様にして、波形整形回路303が出力するV相の矩形波信号の立ち上がりが認識される毎に、V相の矩形波信号が前回入力されてから今回入力されるまでの時間をエンジンのクランク軸の1回転に相当する時間に変換して、この1回転に相当する時間を、V相の回転速度演算用データとしてメモリに記憶させる回転速度演算用データ計測処理を実行し、W相の矩形波信号の立ち上がりが認識される毎に、W相の矩形波信号が前回入力されてから今回入力されるまでの時間をエンジンのクランク軸の1回転に相当する時間に変換して、この1回転に相当する時間を、W相の回転速度演算用データとしてメモリに記憶させる回転速度演算用データ計測処理を実行する。
【0095】
図14に示したメインルーチンのステップS106では、図16の回転速度演算用データ計測処理で求められたU相ないしW相の回転速度演算用データのそれぞれから交流発電機(エンジン)の回転速度の瞬時値を演算する。図16の回転速度演算用データ計測処理と、図14に示したメインルーチンのステップS106で行なわれる回転速度の演算過程とにより、回転速度検出手段3Aが構成される。
【0096】
図17に示された処理は、エンジンの運転状態を判定して、その判定結果に基づいて出力電圧の設定値を切替える運転状態判定処理で、図14のステップS106の回転速度検出処理が終了する毎に実行される。この処理では、U,V,W三相のうちの何れか一相の回転速度演算用データに基づいて演算された交流発電機の回転速度、または、三相の回転速度演算用データに基づいて演算された交流発電機の平均回転速度を判定用速度データとして用いて、交流発電機の回転速度が設定された変化率以上の割合で低下していくときにエンジンの運転状態が減速状態であると判定し、エンジンの運転状態が減速状態にあると判定されたときに、出力電圧の設定値を、通常時の値よりも大きい値に切り替える。また交流発電機の回転速度が設定された変化率以上の割合で上昇していくときにエンジンの運転状態が加速状態であると判定し、エンジンの運転状態が加速状態にあると判定されたときに、出力電圧の設定値を、通常時の値よりも小さい値に切り替える。
【0097】
図17の処理では、先ずステップS401で、前回算出された回転速度と今回算出された回転速度との差を回転速度変化率(図17の処理の前回の実行タイミングから今回の実行タイミングまでの時間当たりの回転速度の変化量)ΔRPMとして演算し、ステップS402で回転速度変化率ΔRPMが設定された変化率以上であるか否かの判定(加速判定)を行なう。その結果、変化率ΔRPMが設定された変化率以上でないと判定されたときには、ステップS403に進んで変化率ΔRPMが設定された変化率以下であるか否かの判定(減速判定)を行なう。ステップS403で変化率ΔRPMが設定された変化率以下でないと判定されたときには、ステップS404に進んでエンジンの運転状態が通常運転状態であると判定し、出力電圧の設定値を通常時設定値としてこの処理を終了する。
【0098】
ステップS403で変化率ΔRPMが設定された変化率以下であると判定されたときには、ステップS405に進んでエンジンの運転状態を減速状態とし、出力電圧の設定値を通常時設定値よりも大きい減速時設定値としてこの処理を終了する。
【0099】
ステップS402で変化率ΔRPMが設定された変化率以上であると判定されたときには、ステップS406に進んでエンジンの運転状態を加速状態とし、出力電圧の設定値を通常時設定値よりも小さい加速時設定値としてこの処理を終了する。
【0100】
図17のステップS401ないしS403により、運転状態判定手段3Eが構成され、ステップS404ないしS406により、出力電圧設定値切替手段3Fが構成される。
【0101】
図18の出力制御処理は、図14のメインルーチンの運転状態判定処理が行なわれた後に行なわれる。図18の出力制御処理では、先ずステップS501で現在設定されている整流モードが三相整流モードであるか否かを判定する。その結果、三相整流モードでないと判定された場合には、ステップS502に進んで交流発電機の回転速度を設定速度と比較して、回転速度が設定速度以下のときに整流モードを三相整流モードとする整流モード判定過程を行なう。その結果、回転速度が設定速度以下であると判定されたときにステップ503で整流モードを三相整流モードに設定する。ステップS502で回転速度が設定速度を超えていると判定されたときには、後記するステップS506に移行する。
【0102】
ステップS501でセットされている整流モードが三相整流モードであると判定されたときには、ステップS504に進んで、回転速度を設定速度と比較して、回転速度が設定速度を超えているときに整流モードを単相中性点整流モードとする整流モード判定過程を行なう。この判定の結果、回転速度が設定速度を超えていると判定されたときにステップS505で整流モードを単相中性点整流モードに設定してステップS506に移行する。
【0103】
ステップS506では、図15の判定処理で、出力電圧が過電圧状態(本実施形態では18[V]を超える状態)であると判定されたか否かを判定し、出力電圧が過電圧状態であるとの判定がなされていないときにステップS507に進んで出力電圧が設定値を超えているか否かを判定する。その結果、出力電圧が設定値以下であると判定されたときには、ステップS508に進んで、整流モードが三相整流モードに設定されているか否かを判定する。
【0104】
ステップS508で整流モードが三相整流モードに設定されていると判定されたときには、ステップS509に進んで、中性点サイリスタSnのトリガを停止する処理と、UVW三相の上段サイリスタ及び下段サイリスタに同時にトリガ信号を与える処理とを行なって、三相整流モードでの充電を行なわせる。
【0105】
ステップS508で整流モードが三相整流モードには設定されていないと判定されたときには、ステップS510に進む。ステップS510では、中性点サイリスタSnにトリガ信号を与えて該サイリスタSnをオン状態にする処理と、三相の上下段サイリスタの内の一相の上下段サイリスタをオフ状態にして該一相の発電コイルを通しての通電を休止する処理と、他の二相の上下段サイリスタに同時にトリガ信号を与えてこれらのサイリスタをオン状態にする処理とを行なって、二相の発電コイルから制御整流回路を通してバッテリに充電電流を供給するとともに、交流発電機の中性点から制御整流回路を通してバッテリに充電電流を供給する、単相中性点整流モードでの充電を行なう。この場合、図19に示した単相中性点整流モード時相切替え処理により、通電を休止する相を一定時間毎に切り替える。
【0106】
ステップS506で出力電圧が過電圧状態にあると判定されたとき、及びステップS507で出力電圧が設定値を超えていると判定されたときには、ステップS511に進んで、中性点サイリスタのトリガを停止して中性点サイリスタをオフ状態にする処理と、UVW三相の上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止して全相の上下段サイリスタをオフ状態にすることにより全相の出力を停止する処理とを行なって、交流発電機からバッテリへの充電電流の供給を停止する。
【0107】
図18の出力制御処理のステップS506とステップS511とにより過電圧保護手段3Dが構成され、図18の処理のステップS506を除く部分により制御部3Bが構成される。
【0108】
図19に示した単相中性点整流モード時相切替え処理では、ステップS601で相切替え用タイマをインクリメントし、ステップS602で相切替え用タイマが計測している時間が設定時間以上であるか否かを判定する。その結果、相切替え用タイマが計測している時間が設定時間以上でないと判定された場合には、以後何もしないでこの処理を終了する。ステップS602で相切替え用タイマが計測している時間が設定時間以上であると判定されたときには、ステップS603で相切替え用タイマをクリアした後、ステップS604に進んで通電を休止する相を切り替える処理を行う。ステップS604の処理では、通電を休止している相(図ではOFF相と表現している。)がU相である場合に通電を休止する相をV相に切り替え、通電を休止している相がV相である場合には、通電を休止する相をW相に切り替える。また通電を休止している相がW相である場合には、通電を休止する相をU相に切り替える。単相中性点整流モード時の、U相の上下段サイリスタ、V相の上下段サイリスタ、W相の上下段サイリスタ及び中性点サイリスタのオンオフ動作を示すタイムチャートを図20(A)ないし(D)に示した。
【0109】
上記の実施形態では、一つの制御整流回路を、交流発電機の三相の交流出力端子から得られる三相交流電圧を全波整流する第1の制御整流回路と、交流発電機の三相の交流出力端子の中から選択された二相の交流出力端子のそれぞれと中性点端子との間に得られる交流電圧と選択された二相の交流出力端子間に得られる交流電圧とを全波整流する第2の制御整流回路として使い分けるようにしたが、図3に示したように、第1の制御整流回路及び第2の制御整流回路をそれぞれ独立した回路とすることも可能である。
【0110】
図3に示した例では、U相ないしW相の上段ダイオードDu′ないしDw′と、U相ないしW相の下段サイリスタSx′ないしSz′とにより第1の制御整流回路2Aが構成され、中性点ダイオードDnと、U相ないしW相の上段サイリスタSuないしSwと、中性点サイリスタSnと、U相ないしW相の下段サイリスタSxないしSwとにより第2の制御整流回路2Bが構成されている。また回転速度検出手段3Aにより検出された交流発電機の回転速度が設定速度以下のときに第1の制御整流回路2Aの出力を選択して負荷6′に与え、検出された回転速度が設定速度を超えているときに第2の制御整流回路2Bの出力を選択して負荷6′に与える出力選択スイッチSWが設けられている。出力選択スイッチSWは、オンオフ制御が可能な半導体スイッチ素子を用いて構成する。前記の実施形態と同様に交流発電機1の三相の交流出力電圧が波形整形回路303により矩形波信号に変換され、回転速度検出手段3Aが波形整形回路303から得られる矩形波信号から交流発電機の回転速度を検出する。負荷6′には、バッテリと該バッテリの両端に接続される負荷とが含まれる。
【0111】
図3に示した例では、第1の制御整流回路2Aと、第2の制御整流回路2Bと、選択スイッチSWとを制御するために、制御部3B′が設けられている。制御部3B′は、回転速度検出手段3Aにより検出される回転速度が設定速度以下のときに、第1の制御整流回路2Aの出力を選択して負荷6′に供給するように出力選択スイッチSWを制御すると共に、出力電圧検出回路302により検出される出力電圧を設定値以下に保つように、第1の制御整流回路2Aの三相の下段サイリスタSuないしSwにトリガ信号を供給して、第1の制御整流回路2Aから負荷6′に電力を供給する。
【0112】
制御部3B′はまた、回転速度検出手段3Aにより検出される回転速度が設定速度を超えているときに、第2の制御整流回路2Bの出力を選択して負荷6′に供給するように出力選択スイッチSWを制御すると共に、中性点サイリスタSnを常時トリガし、三相の上段サイリスタSuないしSw及び三相の下段サイリスタSxないしSzの内の一相の上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止した状態で、出力電圧検出回路302により検出される出力電圧を設定値以下に保つように、他の二相の上段サイリスタ及び下段サイリスタにトリガ信号を供給して、第2の制御整流回路2Bから負荷6′に電力を供給する。この場合も、上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止する相を一定時間毎に切り替えるようにするのが好ましい。
【0113】
図3に示した実施形態においても、回転速度検出手段3A及び制御部3B′は、マイクロプロセッサにより構成される。図3には図示してないが、本実施形態においても、図1に示した制御用電源回路301と同様の制御用電源回路が設けられて、この制御用電源回路から回転速度検出手段3A及び制御部3B′を構成するマイクロプロセッサに電源電圧が供給される。図3に示した例では、図示しない制御用電源回路と、出力電圧検出回路302と、波形整形回路303と、回転速度検出手段3A及び制御部3B′を構成するマイクロプロセッサとにより、第1及び第2の制御整流回路2A及び2Bと、出力選択スイッチSWとを制御する制御ユニット3′が構成されている。
【0114】
上記の実施形態のように、回転速度が設定速度以下のときに負荷に電力を供給する第1の制御整流回路と、回転速度が設定速度を超えているときに負荷に電力を供給する第2の制御整流回路とを別々に設けると、制御整流回路を構成する半導体素子にかかる負担を軽減することができるため、半導体素子の温度上昇を抑制することができる。
【0115】
図3に示した例において、出力選択スイッチSWを省略して、第1の制御整流回路2Aの正極側直流出力端子と第2の制御整流回路の正極側直流出力端子とを直結するとともに、第1の制御整流回路のダイオードDu′ないしDw′を三相の上段サイリスタで置き換えた構成とすることもできる。この場合は、交流発電機の回転速度が設定速度以下のときに第1の制御整流回路の三相の上段サイリスタと下段サイリスタとをトリガして負荷に電力を供給し、交流発電機の回転速度が設定速度を超えているときには、第1の制御整流回路の三相の上段サイリスタ及び三相の下段サイリスタをすべてオフ状態に保った状態で、第2の制御整流回路2Bを前述のように制御して第2の制御整流回路2Bから負荷に電力を供給するようにする。
【0116】
第1の制御整流回路と第2の制御整流回路とを別々に設ける場合に、第2の制御整流回路2Bにおいて、発電コイルを負荷から切り離す相を固定する場合には、発電コイルを負荷から切り離す相の上段サイリスタ及び下段サイリスタを省略することができる。例えば図3において、回転速度が設定速度を超える領域で常にW相の発電コイルを負荷の駆動に用いないようにする場合には、サイリスタSw及びSzを省略することができる。この場合、負荷の駆動に用いないW相の発電コイルの非中性点側の端子は第2の制御整流回路2Bに接続されない。
【0117】
上記の各実施形態においては、交流発電機の中性点端子1nを正極側直流出力端子2aに接続する素子としてダイオードDnを用いたが、交流発電機の中性点端子1nを正極側直流出力端子2aに接続する素子は、中性点接続端子1aと正極側直流出力端子2aとの間に設けられて中性点接続端子1aの電位が正極側直流出力端子2aの電位よりも高いときに導通する通電素子であればよい。例えば、上記の各実施形態において、ダイオードDnを、交流発電機1の中性点n側から負荷に電力を供給する際にオン状態にされるサイリスタ等のスイッチ素子で置き換えて、このスイッチ素子を中性点端子と正極側直流出力端子との間に設ける通電素子としてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
星形結線された三相の発電コイルのそれぞれの非中性点側の端子から三相の交流出力端子が導出されるとともに中性点から中性点端子が導出されて、エンジンにより駆動される交流発電機を電源として負荷に電力を供給する電源装置であって、
前記交流発電機の出力から前記交流発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記交流発電機の三相の交流出力端子から得られる三相交流電圧を全波整流する第1の制御整流回路と、
前記交流発電機の三相の交流出力端子の中から選択された二相の交流出力端子のそれぞれと前記中性点端子との間に得られる交流電圧と前記選択された二相の交流出力端子間に得られる交流電圧とを全波整流する第2の制御整流回路と、
前記回転速度検出手段により検出された回転速度が設定速度以下のときには前記第1の制御整流回路の出力を前記負荷に供給し、検出された回転速度が設定速度を超えているときには前記第2の制御整流回路の出力を前記負荷に供給するように前記第1の制御整流回路と第2の制御整流回路とを制御する制御部と、
を備えた電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、検出された回転速度が設定速度を超えているときに選択する二相の交流出力端子を一定時間毎に切り換えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
星形結線された三相の発電コイルのそれぞれの非中性点側の端子から三相の交流出力端子が導出されるとともに中性点から中性点端子が導出されて、エンジンにより駆動される交流発電機を電源として負荷に電力を供給する電源装置であって、
前記交流発電機の三相の交流出力端子にそれぞれ接続される三相の交流入力端子と、前記交流発電機の中性点端子に接続される中性点接続端子と、負荷の一端及び他端にそれぞれ接続される正極側直流出力端子及び負極側直流出力端子と、前記三相の交流入力端子を通して入力される交流発電機の三相交流出力を全波整流して前記両直流出力端子から出力するフルブリッジ型三相全波制御整流回路のブリッジ回路の上段及び下段をそれぞれ構成する三相の上段サイリスタ及び下段サイリスタと、前記中性点接続端子と前記正極側直流出力端子との間に設けられて前記中性点接続端子の電位が正極側直流出力端子の電位よりも高いときに導通する通電素子と、前記中性点接続端子にカソードが接続され前記負極側直流出力端子にアノードが接続された中性点サイリスタとを備えた制御整流回路と、
前記交流発電機の出力から前記交流発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記回転速度検出手段により検出される回転速度が設定速度以下のときに、前記中性点サイリスタのトリガを停止した状態で、前記制御整流回路から負荷に電力を供給するべく前記三相の上段サイリスタ及び下段サイリスタにトリガ信号を供給し、前記回転速度検出手段により検出される回転速度が前記設定速度を超えているときには、前記中性点サイリスタを常時トリガし、前記三相の内の一相の上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止した状態で、前記制御整流回路から負荷に電力を供給するべく他の二相の上段サイリスタ及び下段サイリスタにトリガ信号を供給する制御部と、
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記回転速度検出手段により検出された回転速度が前記設定速度を超えているときに、前記上段サイリスタ及び下段サイリスタのトリガを停止する相を一定時間毎に切り替えるように構成されている請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
アノードが前記正極側直流出力端子側に向けられた逆流阻止用ダイオードを通して前記出力電圧が印加された入力側キャパシタと、前記入力側キャパシタの両端の電圧を一定の制御用電源電圧に変換して出力側キャパシタの両端に印加するレギュレータとを備えた制御用電源回路と、
前記交流発電機の三相の交流出力を矩形波信号に波形整形する波形整形回路と、
前記逆流阻止用ダイオードのカソード側で検出した前記制御用電源回路の入力側キャパシタの両端の電圧を分圧して得た電圧から前記制御整流回路の出力電圧を検出する出力電圧検出回路と、
前記制御用電源回路の出力側キャパシタの両端に得られる制御用電源電圧を電源電圧として動作するように設けられて、前記回転速度検出手段と制御部とを構成するようにプログラムされたマイクロプロセッサと、
を更に備え、
前記回転速度検出手段は、前記波形整形回路が電気角で120度の角度間隔で順次発生する矩形波信号の発生間隔から前記交流発電機の回転速度を演算するように構成され、
前記制御部は、前記出力電圧検出回路により検出される出力電圧を設定値以下に保つべく、前記制御整流回路の上段サイリスタと下段サイリスタとを制御するように構成されていること、
を特徴とする請求項3又は4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記交流発電機は回転子の界磁が永久磁石により構成された磁石式交流発電機からなっている請求項1ないし5の何れかに記載の電源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−51849(P2013−51849A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189290(P2011−189290)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】