説明

電熱マット

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、略半円弧状に湾曲したサドルの上面に枝管が一体的に突出し、またサドルの裏面に電熱線が埋設された分岐管継手の成形に用いられる電熱マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平4ー110297号公報には、合成樹脂シートの片面に設けた渦巻溝に沿って電熱線を装着し、該渦巻溝の内周端から引き出した電熱線の端部を合成樹脂シートに設けた絶縁性突起で支持して渦巻溝の外周側に導くようにした電熱マットが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この電熱マットの場合には、絶縁性突起から電熱線が外れ易く、この電熱マットを金型内にセットして溶融樹脂を射出したとき、絶縁性突起から外れた電熱線が渦巻溝からはみ出した電熱線と接触する危険性があった。
【0004】
本発明はかかる課題を解決したものであって、分岐管継手を射出成形するときに電熱線同志が接触する虞れが全くない電熱マットを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の電熱マットは、合成樹脂シートの片面に渦巻溝を設けると共に該渦巻溝に沿って電熱線を装着し、渦巻溝の内周端から引き出した電熱線の端部を該渦巻溝の上面を横切って外周側に導くにあたり、渦巻溝の間に設けた小孔に絶縁部材の脚部を嵌挿して合成樹脂シートの片面に絶縁部材を固定すると共に、該絶縁部材に設けた通孔に電熱線の端部を挿通したことを特徴とする。
【0006】
【作用】
渦巻溝の上面を横切る電熱線は合成樹脂シートの片面に固定した絶縁部材の通孔に挿通されているので、渦巻溝から電熱線がはみ出してもこの電熱線と接触しない。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面にて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示す電熱マットの平面図、図2は電熱マットの要部を示す断面図、図3は本発明の電熱マットを用いて射出成形した分岐管継手の断面図であって、図中1は合成樹脂シート、2はニクロム線等の電熱線、3は分岐管継手、4は合成樹脂シート1と同種または異種の合成樹脂からなる絶縁部材である。
【0008】
合成樹脂シート1はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の合成樹脂からなる肉薄シートであって、該シート1のほぼ中央部に貫通孔11を設けると共に該貫通孔11の周りに渦巻溝12を設け、該渦巻溝12に沿って電熱線2を装着する。このとき、渦巻溝12にヒータを当てがって溶融した樹脂で渦巻溝12を部分的に閉塞しておくと、電熱線2が渦巻溝12からはみ出すのを防止できる。
【0009】
そこで、渦巻溝12の内周端から引き出した電熱線2の端部を渦巻溝12の上面を横切って外周側に導く。このとき、渦巻溝12、12の間に設けた小孔13に絶縁部材4の脚部41を嵌挿して合成樹脂シート1の片面に絶縁部材4を固定すると共に、該絶縁部材4に設けた貫通孔42に電熱線2を挿通する。絶縁部材4の支持高さhは3〜8mmに設定するのが好ましい
【0010】
尚、前記渦巻溝12のピッチPは電熱線2の線径等に応じて適宜設定することができる。例えば、線径が0.3〜1.5mmの電熱線2を使用する場合には、渦巻溝12のピッチPを0.6〜5.0mmの範囲で適宜設定することができる。また、渦巻溝12の幅は電熱線2の線径とほぼ同一に形成し、その深さを電熱線2の線径より若干大き目に形成するとよい。
【0011】
本発明の電熱マットは上記の構成からなるので、この電熱マットを金型内にセットしてからポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の溶融樹脂を射出すると、図3に示したように略半円弧状に湾曲したサドル31の上面に枝管32が一体的に突出し、またサドル31の裏面に電熱線2が埋設された分岐管継手が得られる。
【0012】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の電熱マットは渦巻溝の上面を横切る電熱線を合成樹脂シートの片面に固定した絶縁部材の通孔に挿通して外周側に導いたので、この電熱マットを金型内にセットして分岐管継手を射出成形したとき、渦巻溝の上面を横切る電熱線が渦巻溝からはみ出した電熱線と接触することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を示す電熱マットの平面図である。
【図2】図2は電熱マットの要部を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の電熱マットを用いて射出成形した分岐管継手の断面図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂シート
2 電熱線
3 分岐管継手
4 絶縁部材
11 貫通孔
12 渦巻溝
13 小孔
41 脚部
42 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略半円弧状に湾曲したサドル(31)の上面に枝管(32)が一体的に突出し、また前記サドル(31)の裏面に電熱線(2)が埋設された分岐管継手(3)の成形に用いられる電熱マットであって、合成樹脂シート(1)の片面に渦巻溝(12)を設けると共に該渦巻溝(12)に沿って電熱線(2)を装着し、渦巻溝(12)の内周端から引き出した電熱線(2)の端部を該渦巻溝(12)の上面を横切って外周側に導くにあたり、渦巻溝(12)の間に設け小孔(13)に絶縁部材(4)の脚部(41)を嵌挿して合成樹脂シート(1)の片面に絶縁部材(4)を固定すると共に、該絶縁部材(4)に設けた通孔(42)に電熱線(2)を挿通したことを特徴とする電熱マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3558360号(P3558360)
【登録日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【発行日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−2136
【出願日】平成6年1月13日(1994.1.13)
【公開番号】特開平7−208679
【公開日】平成7年8月11日(1995.8.11)
【審査請求日】平成12年12月27日(2000.12.27)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【参考文献】
【文献】特開平06−185688(JP,A)
【文献】実開平04−110296(JP,U)
【文献】実開平04−110297(JP,U)
【文献】特開平04−312819(JP,A)