説明

電熱装置

【課題】コンパクトな構造を容易にし、高い熱効率をもち、さらに簡単なやり方で構成可能な、より高い加熱力を備えた電熱装置を提供する。
【解決手段】媒体が流れる循環チャンバー32を包囲するハウジング2、4と、上記循環チャンバー32の中へ複数の加熱リブ44が互いに平行に延設し、上記複数の加熱リブ44が、上記ハウジング2、4の対向した位置にある内側面46から交互に内側へ突き出し、それにより、上記ハウジング2、4の中に形成された蛇行型の流路40としての流路56が、上記複数の加熱リブ44の自由端と上記ハウジング2、4のその近くの内壁の間に形成され、前記流路56は、隔壁30と反対側に位置する面に付けられる被覆部材6によって閉じられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体がそこを通り流れることができる循環チャンバーを包囲するハウジングを有する電熱装置であり、上記循環チャンバーの中へ複数の加熱リブが基本的に互いに平行に延設し、加熱リブのそれぞれは、同一の接続チャンバーへ開いているU字形の空洞を有し、接続チャンバーは、U字形の空洞の各々の開放端の領域に備えられた隔壁によって循環チャンバーから隔離され、上記加熱リブは、U字形の空洞の対向した位置にある内側面に境を接して熱伝導接触する少なくともと一つのPTC発熱体を収容する、電熱装置に関係する。
【背景技術】
【0002】
この種の電熱装置は、本出願者により案出されたヨーロッパ特許出願EP 1 872 986から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、一般的な電熱装置をさらに発展させることである。本発明の意図は、特に、コンパクトに構造された電熱装置を提供することである。加熱装置の効率を向上させなくてはならない。また、加熱装置の加熱力を増加させるための実現性は、簡単なやり方でもたらされるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この点で、本発明は、請求項1の特徴をもつ電熱装置を提案する。この装置が一般的な電熱装置と異なるのは、上記複数の加熱リブが、ハウジングの対向した位置にある内側面から交互に内側へ突き出し、それにより、上記ハウジングの中に形成された蛇行型の流路としての流路が、上記複数の加熱リブの自由端と上記ハウジングの近くの内壁との間に形成され、前記流路は、隔壁と反対側に位置する面に付けられる被覆部材によって閉じられることである。
【0005】
本発明による電熱装置は、ハウジングの中に蛇行型の流路を形成する。フローの方向転換が、いずれの場合にも、複数の加熱リブの自由端とその近くの側壁との間で発生する。ここで、よい熱伝導のために、流路中のフローは、フロー方向に沿った上記複数の加熱リブのハウジングへの接続部に当りつつ流れる。これは、ハウジングに接合した加熱リブの根元でもよい熱伝導を生じさせる。また、加熱リブの自由端がフローにさらされる。言い換えれば、加熱されるべき媒体への非常によい熱伝導が、PTC発熱体の対向した位置にある縦の側面上だけでなく、その両端に位置する面でも発生される。PTC発熱体は、ここでは、金属化コーティングで両面が被覆された一つまたは複数のPTCセラミック・ブロックから通常なり、その対向した位置にある側面に異なる極性の電流を供給されるシート・メタル・バンドが付いている。この種の一つまたは複数のPTC発熱体は、いずれの場合にも、U字形の空洞内に収容される。このU字形の空洞は、一方の側へだけ、すなわち、接続チャンバー側へだけ開いている。また、流路を縁どるU字形の空洞の先端側は閉じられている、つまり、U字形の空洞を縁どる材料によって形成される終端壁によって閉じられる。したがって、少なくとも一つのU字形の空洞は、接続チャンバーへだけ開いているポケットの形をしたものとして形づくられる。U字形の空洞はまた、裏面は閉じられている。U字形の空洞のこの閉鎖物は、ハウジングが形成される材料以外の材料からなり得る。上記ハウジングと上記複数の加熱リブは、通常、一つのブロックから形成される。これに関して、鋳造ブロックが通常含まれる。好ましくは、上記複数の加熱リブと上記ハウジングは、アルミニウム・ダイカストを用いて同型に製造される。U字形の空洞は、上記複数の加熱リブの比較的硬い壁によって縁どられる。これらの壁は、加熱されるべき媒体への効果的な熱伝達と放散を容易にするようにできるだけ薄い壁にされる。しかし、上記加熱リブの対向した位置にある側壁は、U字形の空洞の内側面へPTC発熱体が良好に接することを確実にするのに十分な厚さとそれに伴う剛性をもつ。
【0006】
この目的のために、上記PTC発熱体は、熱伝導性のよい鋳造合成物または同等の生産物を用いて上記空洞中に固定され得る。好ましくは、かつ本電熱装置の簡単な製造を考慮して、PTC発熱体は、ヨーロッパ特許出願EP 1 872 986 A1の開示に従って、または特に好ましくは、ヨーロッパ特許出願1 921 896 A1に従って形成される。これらの両方の公表文献は、参照することによって本出願文書の開示内容に含まれる。これは、PTC発熱体はまた、好ましくは、PTCブロックに対して滑らに動くために備えられるくさび状の部材とPTC発熱体とU字形の空洞の内側面との間の良好な予応力と熱接触がそれによって得られる、PTC発熱体に接するシート・メタル・バンドを具備することを意味する。このくさび状の部材及びPTCブロックとの相互に力を及ぼし合った接合のさらなる詳細については、上記の二つのヨーロッパ特許出願の開示を参照されたい。
【0007】
ハウジング中の蛇行型の導流路は、ヨーロッパ特許出願EP 1 872 986 A1から知られている電熱装置よりも向上した熱効率をもたらす。この実施形態では、複数のU字形の空洞が、ハウジング内の主フロー方向に連なり延びている。蛇行型の導流路によってフローの向きが永続的に偏向するため、層流が大きく回避される。特に、上記複数の加熱リブの熱を放射する表面は、リブの表面に基本的に平行に広がるフローにはさらされない。その代わり、リブの表面に対して直角なフローの速度成分により、加熱されるべき媒体への良好な熱伝導と熱放散が得られる。PTC発熱体はまた、対向した両端に位置する面へも放熱するので、PTC発熱体によって発生された熱の良好な放散があり、それに伴うより高い熱効率がある。
【0008】
好適なさらに別の展開によれば、上記複数の加熱リブは、ハウジングのそれぞれの結合相手の内壁にリッジによって結合されることで、これはさらに改良され得る。このリッジは、結合された加熱リブよりも厚さが小さい。したがって、加熱リブは、その根元の端部のその表面でも流体によって接触される。加熱リブの根元の表面の大部分がフローに露出されるように、リッジは比較的薄くできる。
【0009】
リッジの表面と特に断面形状は、加熱リブの根元端部への可能な最良の熱伝導をなすように成形可能である。十分な剛性とともに特に良好な熱伝導が、中空状の空洞が内壁と加熱リブの間に形成されるように、流路へ露出したリッジの側面は凹面に成形される実施形態によって得られる。この実施形態では、材料の脆弱さにつながる切り欠きは避けられる。凹面の部位では、特に、対向した位置にある凹面の間に直線に基本的に延び、流路の外側境界を主に形成するハウジングの内面を形成する内壁へと凹面がショルダーを全くもたずに移ってゆく場合には、加熱されるべき媒体への熱伝導に有利に働くフロー状態が発生することが立証されている。
【0010】
好適なさらに別の展開によれば、上記被覆部材は、流路と連通する流路開口部を有する。これにより、循環チャンバーからフローを被覆部材を通過して外部へ向かわせる可能性が生み出される。流路開口部は、通常、ハウジングの端面の領域に備えられる。他方の端面の領域には、ハウジングは、好ましくは、接続部を有する。この接続部は、端面から突き出すことができる。接続部は、ハウジングの外へ、例えば、自動車のその他のシステム構成要素へ被加熱流体を運ぶためのホースを接続するために基本的に使用される。上記のように構成された二つのハウジングを単一の被覆部材を間に挟んで組み合わせると、加熱力が増加した電熱装置が簡単なやり方で製造される。
【0011】
好適な実施形態によれば、上記複数の加熱リブの裏面にはそれぞれ先細状の支持用リッジが形成され、これらの支持用リッジの先端面は、被覆部材のための支持水平面に配置されて、被覆部材に接して位置付けられる。これらの支持用リッジは、先細になっている、すなわち、加熱リブの厚さよりも小さい厚さをもつ。この意味での厚さは、PTC発熱体のU字形の空洞への挿入方向に対して直角に、そしてPTC発熱体の縦の延伸に対して直角に伸びる延伸を意味すると、通常は解釈される。上記複数の加熱リブは、通常、長手方向のハウジングの長手方向の延伸に対して横方向に延伸する。これらの支持用リッジにより、被覆部材は、ハウジングに接触して支持水平面に位置付けられる。例えば、同一に構成されたハウジングを第1のハウジングにねじ止めするとすれば、被覆部材は、二つのハウジングの双方の支持用リッジの間に密閉されるようにしっかりと固定される。基本的に互いに平行に延伸する、蛇行型の流路の単一フロー区間の良好な密閉が与えられる。これにより、加熱されるべき媒体は流路を完全に流れる。U字形の空洞の底端部を通り抜ける短絡フローは防止される。U字形の空洞の底の領域においても媒体への熱伝導が発生可能なように、上記先細状のリッジは加熱リブよりも薄くなっていて、このことが熱効率をさらに向上させる。
【0012】
加熱装置のコンパクトな実施形態は、隔壁に対して基本的に平行に延設し、接続チャンバー内に収容される接続導線ボードが備えられることでさらに改良される。この接続導線ボードは、隔壁の上に突き出している複数のPTC発熱体の接触突起に接触し、前記接続導線ボードによって形成される導電経路に電気的に接続される電気接続部材を有する。この接続導線ボードは、通常、電子構成要素を搭載しない。むしろ、この接続導線ボードは、上記PTC発熱体を電気的に、すなわち、それらの接続突起を介して接続するためにだけ使用される。ここで、接続導線ボードの導電経路は、複数のPTC発熱体が一つのグループにまとめて接続されるように形成可能である。電熱装置の個々のPTC発熱体は、ここでは、好ましくは複数の加熱段階にグループ分けされる。個々のPTC発熱体の加熱段階へのグループ分けは、通常、もっぱら接続導線ボードの導電経路を使用して発生する。これは、さらに、端面の領域に通常は備えられ、循環チャンバー中へ突き出る温度プローブへ電気的に接続され得る。プローブの温度信号は、通常、導電経路を介して接続導線ボードへ、すなわち、好ましくは、温度プローブと反対側に位置するハウジングの端面へ送られる。本発明の好適なさらに別の展開によれば、PTC発熱体を切り替えるために開ループ及び閉ループ制御信号が発生される、構成要素を搭載した導線ボードがここで配置される。この組み立て済み導線ボードは、ハウジングの端面の前に、組み立て済み導線ボードに装備された電子構成要素がハウジングから間隔をとられるように、ハウジングの端面からある距離を置いて配置される。
【0013】
接続導線ボードは、対向した位置にある端面上に、接続導線ボードに電気的接触をする導電経路を通常は有する。この目的のために、ハウジングは、好適なさらに別の展開によれば、その端面に、接続チャンバーへ開いているハウジング接続開口を有する。このハウジング接続開口にプラグ・ハウジングが挿入され、このプラグ・ハウジングの電気プラグ部材は、接続導線ボード上にまたは組み立て済み導線ボード上に備えられるプラグ対向部材に接続される。したがって、基本的に互いに対して直角に延設するこれらの二つの導線ボードは、相手から間隔をとって備えられる。接続導線ボードは、その延伸が接続チャンバーまでに制限される。組み立て済み導線ボードは、ハウジングの前の端面にもっぱら配置される。
【0014】
接触は、好ましくは、金属製のハウジングへ挿入され、プラスチックから通常は形成されるプラグ・ハウジングの電気プラグ部材を介して発生する。電気プラグ部材は、プラグ接触によって、一つまたは両方の側面でプラグ対向部材に電気的に接続可能である。通常、少なくとも組み立て済み導線ボードは、電気プラグ部材がそこに挿入され、組み立て済み導線ボード上の導電経路へ電気的に接続可能になる穴をもつ。この目的のために、ハウジングは、電気導線ボードがそこに接して付けられる、電気導線ボードのための支持表面を形成できる。導線ボードは、しかし、制御部ハウジング内に搭載されることも可能である。この実施形態では、電気プラグ部材への組み立て済み導線ボードのプラグ接触は、通常、制御部ハウジングをハウジングへ取り付けるときに発生する。
【0015】
組み立て済み導線ボードは、それ自体が既知の方法で、電力損を生じさせる個々の電子構成要素を搭載可能であり、それらと電気的に接触できる。この電力損の放散に関して、本発明の好適なさらに別の展開によれば、端面を電力損を生じさせる構成要素へ熱的に結合する冷却部材が、ハウジングの端面と導線ボードの間に備えられる。冷却部材は、通常、電力損を生じさせる構成要素の下に配置される。電子構成要素は、ハウジングの端面に、冷却部材によって直接、または電気絶縁層を間に挟んで支持され得る。冷却部材は、好ましくは、ハウジングの一部分として、特に、ハウジングの端面よりも出ている張り出し部によって実現される。
【0016】
好適なさらに別の展開によれば、電熱装置は、ハウジングに結合されるハウジング・カバーを有する。この結合は、被覆部材がハウジングとハウジング・カバーの間に密閉されて閉じ込められるように、ハウジングとハウジング・カバーを貫通し、それらにねじ止めされるねじ棒によって通常なされる。簡単なやり方で加熱力の増加を容易にする電熱装置のモジュラー構成が、上記ハウジング・カバーが本発明によるハウジングとして形成されることで提供される。こうしたやり方でハウジング・カバーを取り付ければ、したがって、加熱力が2倍に増加する。ハウジングとハウジング・カバーの間には被覆部材だけが備えられ、この被覆部材の流路開口部が、ハウジングの蛇行型の流路をハウジング・カバーの蛇行型の流路へ接続する。流路開口部と反対側に位置する端部に、好ましくは、ハウジングまたはハウジング・カバーの端面に、いずれの場合にも、接続部が備えられる。組み立て済み導線ボードは、反対側に位置する端面に、好ましくはハウジングとハウジング・カバーの全範囲に渡り間隔をとり延設する。このようにすれば、互いに反対の位置にある接続導線ボードが、共通の組み立て済み導線ボードに接続可能になり、この共通のボードによって制御可能になる。
【0017】
代替的な実施形態では、被覆部材を間に挟んでハウジングを密閉し、ポンプを搭載するハウジング・カバーであり、ハウジングに結合されたハウジング・カバーが提供される。このハウジング・カバーは、ポンプ・ハウジングによって形成される、ポンプの流入口開口に開かれているポンプ流路を形成する。このハウジング・カバーは、したがって、ホースなしでポンプのハウジングへの接続を容易にする。加熱装置とポンプの間に巧妙なやり方で取り付けられなければならない、故障しやすいホース部分を有さずに、被加熱媒体が循環チャンバーからポンプへ直接入ることができる。
【0018】
このように形成されたハウジング・カバーは、好ましくは、ポンプ・ハウジングのいずれにせよ一部を一つのブロックとして形成する。このハウジング・カバーは、同様に、ここでは、アルミニウム・ダイカスト部品として成形可能である。さらに、ポンプ・ハウジングとハウジングはそれぞれ接続部をもち、ポンプ・ハウジングの接続部はポンプのポンプ室と直接連通し、これにより被加熱流体をポンプ流路へ送り出し、ポンプ流路から吸い込む。
【0019】
接続導線ボードに電気的に接続され、基本的にそれに直角に延設する組み立て済み導線ボードを電熱装置が具備する限りにおいて、本発明の好適なさらに別の展開によれば、この組み立て済み導線ボードは、ポンプ用の制御装置の構成要素をさらに搭載することが提案される。したがって、ポンプ用の制御装置と電熱装置用の制御装置が、基本的に、一つの導線ボード上に完全に実現される―これは、電熱装置のコンパクトな実施形態に利する。組み立て済み導線ボードは、ここでは、ポンプ用の制御装置を形成できるだけではなく、ハウジングとして構成されたハウジング・カバーによって利用される加熱用回路のための適切な制御回路も形成できる。言い換えれば、ハウジングがポンプ流路を形成するハウジング・カバーによって閉じられる場合には、組み立て済み導線ボードはポンプを制御可能であり、または一方では、ハウジング・カバーがPTC発熱体を装備し、ハウジングの形式として構成される場合には、ハウジング・カバーのその他の加熱用回路を制御できるように、組み立て済み導線ボードは最初から構成可能である。
【0020】
本発明の好適なさらに別の展開によれば、ハウジング・カバーは、上記複数の支持用リッジに対応する複数の支持用対向リッジを形成するものとする。ここで、被覆部材は、複数の支持用リッジと複数の支持用対向リッジの間に密閉されるようにしっかりと固定される。上記リッジまたは対向リッジの領域に、この実施形態は比較的高い表面圧力を与え、それにより被加熱流体が35バールを超える比較的高い圧力にさらされることが可能なように被覆板の密閉が生じる。ここで、平らな被覆部材の両面に加圧された流体が存在するように、上記複数の加熱リブのおおよその全幅に渡り、すなわち、上記複数の対向リッジに対向する上記複数の支持用リッジの長手方向の全範囲に渡りポンプ流路が形成されると望ましい。このようにすれば、ハウジング内の被密閉領域上の圧力差が最小にされる。
【0021】
さらに別の好適な実施形態によれば、上記電熱装置は、組み立て済み導線ボードを包囲し、上記ハウジング接続開口に対応して設けられた制御部ハウジング接続開口を形成する制御部ハウジングを有する。上記ハウジング接続開口と上記制御部ハウジング接続開口は、ここでは好ましくは、制御部ハウジングから接続チャンバーへの段差のない通路が可能なように、それらの縁部は互いに面一であるように形成される。この好適なさらに別の展開では、制御部ハウジングは追加の制御部ハウジング接続開口を有する。これは、上記被覆部材に合う位置に対応して制御部ハウジング側の同位置に形成される。この実施形態は、ハウジング・カバーがハウジングとして構成されたときに、制御部ハウジングを使用できる可能性を提供する。この場合には、制御部ハウジング接続開口またはハウジング接続開口の中にプラグ・ハウジングの電気プラグ部材がそれぞれ延伸する。一つのハウジングだけがプラグ・ハウジングに接続される場合には、ポンプの電気的接触が、もう一つの制御部ハウジング接続開口を介して発生することになる。
【0022】
本発明のさらなる詳細と利点は、図面と併せて説明される以下の実施形態の説明において示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態の分解図。
【図2】図1に示した実施形態の中心縦断面図。
【図3】図2の図示における線III−IIIに沿った断面図。
【図4】前述の実施形態の二つのハウジング―それらの間に被覆部材が備えられる―の斜視図。
【図5】第2の実施形態の分解図である。
【図6】第2の実施形態の一部を除外した斜視側面図。
【図7】第2の実施形態の縦断面図。
【図8】第2の実施形態の制御部ハウジングの拡大縦断面図。
【図9】第2の実施形態の制御部ハウジングの一部を除外した斜視側面図。
【図10】第2の実施形態の制御部ハウジングの縦断面図。
【図11】第2の実施形態の制御部ハウジングの平面図。
【図12】第3の実施形態の分解図。
【図13】第3の実施形態の縦断面図。
【図14】第4の実施形態の斜視側面図。
【図15】図14に示した第4の実施形態の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、電熱装置の第1の実施形態の斜視分解図を示す。本装置は、第1のハウジング2と、基本的に第1のハウジング2に対して鏡映したように形成された第2のハウジング4とを具備し、これらのハウジングは、被覆部材6を間に挟み組み合わされ、各々はハウジング・カバー8によって外面を覆われる。
【0025】
二つのハウジング2、4の共通の端面には、組み立て済み導線ボード14を収容し、制御部ハウジング・カバー16によって閉じられる制御部ハウジング・フレーム12を有する制御装置11の、参照番号10で識別される制御部ハウジングがある。
【0026】
制御部ハウジング10に対向するこれらのハウジングの端面に、両方のハウジング2、4は、ハウジング・カバー8の近くに設けられるハウジング接続開口18を有する。この制御部ハウジング接続開口18に、いずれの場合にも、例えば、プラスチックなどの絶縁材料から製造され、二つのハウジング2、4内に設けられた導電経路と組み立て済み導線ボード14の導電経路との間の電気接触を与える複数のプラグ部材22をもつ、プラグ・ハウジング20が挿入可能になっている。
【0027】
さらに、図1には、わずかにくさび形に成形され、ヨーロッパ特許出願EP 1 921 896 A1に開示されるPTC発熱体に対応するヒーター・プレート部材24が示される。このヨーロッパ特許出願の開示は、参照することによって本特出願の開示内容に含まれる。ヒーター・プレート部材/PTC発熱体24の列の前には、温度プローブ26が示されている。
【0028】
これらの部材のハウジング2、4への取り付けは、図2から特に分かり得る。これによれば、ハウジング2、4は、どちらも、二つの異なるチャンバー、すなわち、接続チャンバー28と、隔壁30によって接続チャンバーから隔離された循環チャンバー32を形成する。循環チャンバー32の中の隔壁30からU字形の空洞34が広がり、この空洞34は循環チャンバー32内の奥深くまで達し、隔壁30と同じ高さで接続チャンバー28に終端する。すでに言及したヨーロッパ特許出願EP 1 821 896 A1によって包括的に説明されているとおり、これらの空洞34は、空洞34に周りを囲まれたくさびをもつヒーター・プレート部材24が、U字形の空洞34の反対側に位置する壁に対する熱伝導のために使用可能なように設計される。
【0029】
各単一のハウジング2、4の循環チャンバー32は、流体ホースの接続用の接続部36と流路開口部38との間に広がる。循環チャンバー32のこれらの二つの出口または終端点の間のチャンバー内に、蛇行型の流路40がハウジング2、4内に形成され、その経路は図3から特に分かり得る。流路40は複数の流路区間42を有し、これらの流路区間は、ハウジング2または4の長手方向の延伸に対して直角に延伸し、U字形の空洞34を形成する複数の加熱リブ44の外側の壁によってそれぞれは境界が与えられる。これらの加熱リブ44は、ハウジング2、4の対向した位置にある内側面46に交互に配置される。ハウジング2と複数の加熱リブ44は、ここでは、アルミニウム・ダイカスト部品により同型に実現される。これらの加熱リブ44は、ハウジング2または4の対向した位置にある内側面46にリッジ48を介して取り付けられる。このリッジ48は、加熱リブ44よりも厚さが小さい。この意味での厚さは、流路区間42に対して直角の方向、すなわち、ハウジング2の長手方向のリッジの寸法であると解釈される。流路40へ露出した各リッジ48の露出した表面は凹面に成形され、これにより空洞50は流路40の一部として作られる。流路40の中では、加熱されるべき流動流体が、しかるべく、一方では各加熱リブ44の自由端の周囲を流れることができるが、他方では根元端54の要部の周囲をいずれにせよ流れることもできるため、各加熱リブ44はそれらの対向した位置にある縦の側面とそれらの両端に位置する面52、54のどちらからも加熱されるべき流体に熱を放散できる。ここで、関連した流路区間42をまとめてつなぐ流路56は、上記自由端52とハウジングの内側面46との間に形成される。
【0030】
図1〜図3に示したハウジング2は、二つの蛇行型の流路40を通じた流路が二つの接続部36の間に作られるように同一に形成される。前述の温度プローブ26も、二重に、すなわち、各接続部36の開口の領域に直接に備えられる。この目的のために、いずれの場合にもプローブ26を収容するために、温度プローブ穴60が関連したハウジング2,4に形成される(図4を参照)。
【0031】
さらに、図4から見てとれるように、先細状のリッジ70が加熱リブ44の裏面に形成される。先細状のリッジ70はすべて同一の高さで終端し、被覆部材6のための支持水平面を形成する。したがって、対向配置されるハウジング2、4の先細状のリッジ70と支持用の逆向きのリッジ71との間に被覆部材6は、密閉されるようにしっかりと固定される。
【0032】
被覆部材6は、一方では周縁のシーリング・エッジ72を形成し、他方では、互いに対向配置された先細状のリッジ70間に挟まる、図1、図4に示される、先細状のリッジ70の蛇行型の構造に対応するシーリング・ストリップを形成するように、柔軟なプラスチックがその周囲に射出成形された金属板から、例えば、成形され得る。シーリング・エッジ72は、ハウジング2、4の互いに対向配置された縁表面の間にしっかりと固定される。
【0033】
制御部ハウジング10に対向する端面に、ハウジング2、4は、フライス加工によって形成された張り出し部を有し、これを通じて、いずれの場合にも、上記端面に平行に広がり、その反対側の表面は流路開口部38の近傍で循環チャンバー中に露出される冷却部材接触基部78を構成する冷却部材76が形成される(図4を参照)。
【0034】
図1〜図4に示した実施形態では、ハウジング・カバー8は、通常は、パンチ穴が開けられた金属から形成される。また、ハウジング・カバー8は、ハウジング・カバー8の周囲に、射出成形によって成形された弾性プラスチックのシールをもつことができる。これは、ハウジング・カバー16にも同じくあてはまる。通常、ハウジング・カバー8は、被覆部材6を間に挟んで二つのハウジング2、4を合わせて固定し、密閉するねじによって、いずれにせよ、ハウジング2、4に接する。ハウジング2、4は同一に形成される。図1と図3に見ることができる足部80は、別途に製造され、下側のハウジング2の外壁に従来のやり方で固定され得る。本電熱装置の加熱力は、二つのハウジング2、4の追加のパッケージを図1〜図4に示したものに隣接して配置することで増大させることができる。個々のヒーター・プレート部材24の制御は、同一の制御部ハウジング10の付いた同一の制御器によって実現可能である。
【0035】
図5〜図11は、本発明の電熱装置のさらに別の実施形態を示す。前述の実施形態と比較して同一の構成要素は、同一の参照番号により識別される。循環チャンバー32と接続チャンバー28のハウジング2、4の構造は、前述の実施形態と基本的に同一である。しかし、制御装置11の制御部ハウジング10は、電流用の電気ケーブル84と制御信号用の電気ケーブル85とハウジング82の内部に密閉された形でリード線を保持する接続ハウジング82を取り付けるために、横方向に二つのハウジング2、4の上まで延びる。接続部36の領域には、いずれの場合にも、ハウジング2、4に電気的に接触する接触部材86が備えられ、この接触部材86は、通電経路からハウジング2または4の電気的遮蔽の何らかの障害を検出するために、二つのハウジング2、4の極性のチェックを容易にする。図5は、いずれにせよ、この追加の接触部材86の接続端を示す。
【0036】
図6には実施形態の一部を省略した図が示され、これは、ハウジング2、4内の流路並びにハウジング内に形成された加熱リブ44とU字形の空洞34の実施形態を明瞭に示す。
【0037】
図6からまた見てとれるように、ヒーター・プレート部材24がある深さをもつU字形の空洞34内へ突き出るように、ヒーター・プレート部材24は、隔壁30の上面に載る広がったカラー88を有する。このカラー88は、その上に突き出ているヒーター・プレート部材24の接触突起90をもつ。これらの接触突起90は、PTCブロック92の両側面に接触し、PTCブロック92に異なる極性の電流を供給できる導電シート・メタル・プレート―図7に図示され、参照番号93で識別される―の自由切断端である。4個のPTCブロック92が上下に連なり、各ヒーター・プレート部材24によって包み込まれる。図7からまた分かり得るように、接触突起90は、接続チャンバー28内の同一水平面に露出されている。この水平面で、温度プローブ26の接続端が露出される。
【0038】
接続チャンバー28には、図7では図示が省略されるが、図2では参照番号94で識別される接続導線ボードがある。この接続導線ボード94は、隔壁30と基本的に平行に延伸し、カラー88の上に載る。接続導線ボード94は、個々の接触突起90を収容し、温度プローブ26の接続端のための接触レセプタクルを収容するための電気接続部材を形成する。温度プローブ26に対して反対側に位置する端面に、接続導線ボード94は、接続チャンバー28に露出したプラグ部材22に接触するための電気接続用空洞をもつ。接続導線ボード94がカラー88の上に置かれると、接続導線ボード94へのすべての電気的接続が実現されるように、接続導線ボード94とその電気接続部材はここでは具現される。このようにして、接続チャンバー28中の電気プラグ接触部は、プラグ部材22に電気的に接続される。
【0039】
以下では、図7〜図11を特に参照して、制御装置11の構造を説明する。組み立て済み導線ボード14は、ハウジング2、4側とは逆側のその表面に、様々な電気または電子構成要素96を搭載する。ハウジング2、4側を向く、組み立て済み導線ボード14の反対側に位置する裏面には、電力損を生じさせる構成要素及び制御素子98、特に電力トランジスタが装備される。これらの電力トランジスタと冷却部材接触基部78の間には、電気絶縁層100がある。この電気絶縁層100は、ハウジング2または4側を向く制御部ハウジング・フレーム12の表面とハウジング2、4の端面との間にしっかり固定される、柔軟な材料、特に、柔軟なプラスチックの制御部ハウジング基部102の空洞内に配置される。この制御部ハウジング基部102は、プラグ・ハウジング20がそこに挿入されるレセプタクルを有する。プラグ・ハウジング20は、制御部ハウジング基部102を上側でつかむフランジをもつ(図7、9を参照)。制御部ハウジング基部102は、制御部ハウジング接続開口18の中へスリーブのように突き出し、これによってプラグ・ハウジング20の確実な取り付けと密閉が実現される(図7を参照)。制御部ハウジング10の内部は、これにより接続チャンバー28に対して密閉される。
【0040】
図9と図11から特に見てとれるように、支持フレーム構造体104―これは、支持フレーム構造体104を形成する複数の薄いリッジ105から形成された、別個の構成要素として製造される―が、制御部ハウジング・フレーム12内に配置される。リッジ105の端部は、制御部ハウジング・フレーム12に近接した部分はハンマー・ヘッド106に拡張される。ハンマー・ヘッド106は、制御部ハウジング・フレーム12の内側の壁に形成された溝108に合わさり、制御ハウジング・フレーム12によって保持される。
【0041】
また、隅の領域には、縦の長さの寸法が制御部ハウジング・フレーム12の高さに一致する、取り付け用アイ110の形状の取り付け用突起物が、制御部ハウジング・フレーム12に形成される。これらのアイ110は、円周方向に閉じられてなく、制御部ハウジング・フレーム12の内部に向いて開いたスリットをもつ。上記取り付け用アイ110は、制御部ハウジング・カバー16を含めて制御部ハウジング・フレーム12をハウジング2、4に合体させるねじ棒を保持するために使用される。上記取り付け用アイ110は、また一方では、接続用ハウジング82を制御部ハウジング・フレーム12に留め付けるねじ棒を収容するためにも使用される。
【0042】
支持フレーム構造体104と組み立て済み導線ボード14との間には、参照番号112で識別される圧縮部材が、柔軟なプラスチックの部材として設けられる。支持フレーム構造体104側を向くその表面に、この圧縮部材112は、圧縮部材112が支持フレーム構造体104にしっかりと係止されて保持されるように、支持フレーム構造体104のリッジ105がはまるためのU字形の空洞を形成する。圧縮部材112は格子状に類似して形成され、圧縮部材112の格子リッジ114は、上で延設する圧縮部材112の柱支持体116を有し、前記支持体116は、組み立て済み回路ボード14のこの目的のために形成された対応する空洞部にはまり、電力損を生じさせる制御構成要素98に直接接触する。柱支持体116は、電力損を生じさせる制御構成要素98が組み立て済み導線ボード14の柱支持体116とは反対側に位置する面上に配置される箇所に備えられる。組み立て済み導線ボード14に対して作用する、一つまたは複数の保持クランプ117が、圧縮部材112及び/または格子リッジ114から突き出ている。
【0043】
図11から見てとれるように、組み立て済み導線ボード14は、組み立て済み導線ボード14の対向した位置にある辺縁領域120に形成される接触部材レセプタクル118を有する。接触部材レセプタクル118は、細長い穴として形成される。また、接触部材86用のさらに別の接触突起レセプタクル122が細長い穴として形成される。すべての細長い穴は、互いに平行している縦軸をもつ。プラグ対向部材119が、接触部材レセプタクル118中に配置される。組み立て済み導線ボード14は、制御部ハウジング・フレーム12内に少しの遊びをもつように固定される。組み立て済み導線ボード14の隅領域には、切り抜き124が設けられ、これにより、取り付け用アイ110は、組み立て済み導線ボード14の平面を真っすぐに通り抜ける。
【0044】
組み立てについては、通常、制御装置11が最初に予め組み立てられる、すなわち、組み立て済み導線ボード14が制御部ハウジング・フレーム12内に配置される。プラグ・ハウジング20が、切り抜きを通して制御部ハウジング基部102の中に挿入され、そのようにして接続される。 次に、予め組み立てられた制御装置10が、絶縁層100を間に挟んでハウジング2、4に押し付けられる。ここで、プラグ・ハウジング20が、ハウジング接続開口18の中へ導入され、密閉される。接触部レセプタクル118が細長い穴として具現されているので、この点で、プラグ部材22は、これらのプラグ部材22と組み立て済み導線ボード14のプラグ対向部材119との間の電気的接触が失われることがないように、ある程度補償的な動きをすることができる。次に、制御部ハウジング・カバー16を付けた制御部ハウジング・フレーム12が、ハウジング2、4にねじ止めされる。ここで、最初に、電力損を生じさせる制御構成要素98の表面が、冷却部材接触基部78の上に載る。ハウジング2、4に制御部ハウジング10を組み付けた後、電力損を生じさせる制御構成要素98は、予応力の下で、ハウジング端部にある冷却部材76に当接し、熱伝導がなされるようにそのようにして確実につながれる。この組み立ての範囲内で、圧縮部材112の柱支持体116が特に弾性的に圧縮されることによって、弾性予応力が圧縮部材112に蓄えられる。
【0045】
図12と図13は、本発明による電熱装置のさらに別の実施形態を示す。前述の実施形態と比較して同一の構成要素は、同一の参照番号により識別される。
【0046】
図12と図13による実施形態は、被覆部材6と隔壁30の間に循環チャンバー32を形成するように、被覆部材6を備える一つのハウジング2だけを有する。この実施形態はまた、ポンプ132をもち、いずれにせよ、ポンプ・ハウジング134を部分的に形成するハウジング・カバー130を有する。ここで、ハウジング・カバー130は、ポンプ132とホース接続部140とをフランジ接続するための連結部材138を形成する流入口ハウジング部136を形成する。被覆部材6は、先細状のリッジ70の構成に適合したシーリング・ストリップ74だけをハウジング2に対向するその裏面に有する。反対側に位置する上面には、ハウジング・カバー130によって形成されたポンプ流路142に適合するように被覆部材6の上に張られるシーリング・ストリップ74が備えられる。このポンプ流路142は、流路開口部38を流入口ハウジング部136につないでいる。
【0047】
制御部ハウジング・フレーム12は、図1〜図4を参照して説明した実施形態と同様に形成される。しかし、制御部ハウジング・フレーム12は、制御部ハウジング・カバー130の上面にねじ止めされる曲がったフランジ146を形成する制御部ハウジング基部カバー144によって部分的に閉じられる。
【0048】
ポンプ132の電源及び制御接続は、好ましくは、組み立て済み導線ボード14を介して同様に発生する。図12と図13に示した実施形態では、これは、制御装置11をポンプ132へ接続するケーブルを介して発生する。図12と図13に示した実施形態では、ケーブル(図示せず)が、制御部ハウジング・フレーム12の側面からポンプ32へ延びる。なお、一方では、プラグ・ハウジング20をポンプ132の位置に備えることも可能であり、それを通じてポンプ132の電気的接続が発生する。
【0049】
図14と図15は、第4の実施形態を示す。前述の実施形態と比較して同一の構成要素は、同一の参照番号により識別される。
【0050】
前述の各実施形態のように、第4の実施形態は、ハウジング・カバー148に組み付けられるハウジング2を具備し、電熱装置を取り付けるための取り付けフランジ150が装置の長手方向側面に付いている。ハウジング2とハウジング・カバー148の端面に、そこに収容される、図14と図15では詳細に示されない制御器を有する制御部ハウジング10がある。この制御部ハウジング10は、この実例では、ハウジング・カバー148よりも上へ少し突き出ている突出部152を有するL字形に成形され、突出部は、その端面に、ケーブルをねじれや歪みに抗して確実に取り付けて密閉するための2個のケーブル・クランプ154、156を有する。ケーブル・クランプ154は接続ケーブルを接続するために使用され、大きい方のケーブル・クランプ156は、電流用のケーブルを接続するために使用される。ハウジング2は、前述のハウジング2と同様に形成される。これに関しては、上述の説明を参照する。
【0051】
ハウジング・カバー148は、ハウジング2の上に接して位置付けられる底板158をもち、前記底板158は、被覆部材6を含めたハウジング2と先細状のリッジ10の境界面と相互作用して接合し、それによって、循環チャンバー32は先細状のリッジ70の領域において密閉される。流路開口部38より後ろの流れ方向に、ハウジング・カバー148は、接続部136と平行に延び、基本的に同一水平面で接続部に終端する、ハウジング・カバー148の一部として形成された管162と連通する流路160を形成する。
【0052】
図14と図15に示した実施形態は、比較的小さく、3kW以下の熱出力、通常は、1.5〜2.8kWの範囲に入る熱出力をもつ。この実施形態は、例えば、電気自動車でバッテリーを予熱する用途に適する。
【符号の説明】
【0053】
2 第1のハウジング
4 第2のハウジング
6 被覆部材
8 ハウジング・カバー
10 制御部ハウジング
11 制御装置
12 制御部ハウジング・フレーム
14 組み立て済み導線ボード
16 制御部ハウジング・カバー
18 ハウジング接続開口
20 プラグ・ハウジング
22 プラグ部材
24 ヒーター・プレート部材/PTC発熱体
26 温度プローブ
28 接続チャンバー
30 隔壁
32 循環チャンバー
34 U字形の空洞
36 接続部
38 流路開口部
40 流路
42 流路区間
44 加熱リブ
46 内側面
48 リッジ
50 空洞
52 加熱リブの自由端
54 加熱リブの根元
56 流路
60 温度プローブ穴
70 先細状のリッジ
72 シーリング・エッジ
74 シーリング・ストリップ
76 冷却部材
78 冷却部材接触基部
80 足部
82 接続ハウジング
84 電流用の電気ケーブル
85 制御信号用の電気ケーブル
86 接触部材
88 カラー
90 接触突起
92 PTCブロック
93 シート・メタル・プレート
94 接続導線ボード
96 電気構成要素
98 電力損を生じさせる制御構成要素
100 絶縁層
102 制御部ハウジング基部
104 支持フレーム構造体
105 支持フレーム構造体のリッジ
106 ハンマー・ヘッド
108 受け溝
110 取り付け用アイ
112 圧縮部材
114 格子リッジ
116 柱支持体
117 保持クランプ
118 接触部材レセプタクル
119 プラグ対向部材
120 辺縁領域
122 接触部レセプタクル
124 切り抜き
130 ハウジング・カバー
132 ポンプ
134 ポンプ・ハウジング
136 流入口ハウジング部
138 連結部材
140 ホース接続部
142 ポンプ流路
144 制御部ハウジング基部カバー
146 フランジ
148 ハウジング・カバー
150 取り付けフランジ
152 突出部
154 ケーブル・クランプ
156 ケーブル・クランプ
158 ハウジング底部
160 流路
162 管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体がそこを通り流れることができる循環チャンバー(32)を包囲するハウジング(2、4)を有する電熱装置であり、前記循環チャンバー(32)の中へ複数の加熱リブ(44)が基本的に互いに平行に延設し、前記加熱リブ(44)のそれぞれは、同一の接続チャンバー(28)へ開いているU字形の空洞(34)を有し、前記接続チャンバー(32)は、前記U字形の空洞(34)の各々の開放端の領域に備えられた隔壁(30)によって前記循環チャンバー(32)から隔離され、前記加熱リブ(44)は、前記U字形の空洞(34)の対向した位置にある内側面(46)に境を接して熱伝導接触する少なくともと一つのPTC発熱体(24)を収容し、
前記複数の加熱リブ(44)は、前記ハウジング(2、4)の対向した位置にある内側面(46)から交互に内側へ突き出し、それにより、前記ハウジング(2、4)の中に形成された蛇行型の流路(40)としての流路(56)が、前記複数の加熱リブ(44)の自由端と前記ハウジング(2、4)の近くの内壁との間に形成され、前記流路(56)は、隔壁(30)と反対側に位置する面に付けられる被覆部材(6)によって閉じられることを特徴とする電熱装置。
【請求項2】
前記U字形の空洞(34)は、前記接続チャンバー(28)側へ一端だけが開放するポケット状のものとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電熱装置。
【請求項3】
前記複数の加熱リブ(44)は、前記ハウジング(2、4)のそれぞれが配置された内壁に、前記加熱リブ(44)よりも厚さが小さいリッジ(48)を介して結合されることを特徴とする、請求項1に記載の電熱装置。
【請求項4】
中空状の空洞(50)が前記内壁と前記加熱リブ(44)との間に形成されるように、前記流路(40)へ露出した前記リッジ(48)の露出した側面は凹面に成形されることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項5】
前記被覆部材(6)は、前記ハウジング(2、4)の端面の領域に、前記流路(40)と連通する流路開口部(38)を有することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項6】
前記複数の加熱リブ(44)の裏面にはそれぞれ先細状の支持用リッジ(70)が形成され、前記各支持用リッジ(70)の先端面は、前記被覆部材(6)のための支持水平面に配置されて、前記被覆部材(6)に当接することを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項7】
前記隔壁(30)に対して基本的に平行に延設し、前記接続チャンバー(28)内に収容される接続導線ボード(94)であり、導電経路を有し、前記隔壁(30)の上に突き出している前記PTC発熱体(24)の接触突起(90)と前記ハウジング(2、4)の端面の前に前記接続導線ボード(94)に対して基本的に直角に延設して備えられる組み立て済み導線ボード(14)に接触する電気接続部材を有する前記接続導線ボード(94)によって特徴付けられる、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項8】
前記ハウジング(2、4)は、その端面に、前記接続チャンバー(28)へ開いていて、プラグ・ハウジング(20)がそこに挿入されるハウジング接続開口(18)を有し、前記プラグ・ハウジング(20)の電気プラグ部材(22)は、前記接続導線ボード(94)上にまたは前記組み立て済み導線ボード(14)上に備えられるプラグ対向部材(119)に接続されることを特徴とする、請求項7に記載の電熱装置。
【請求項9】
前記組み立て済み導線ボード(14)は、前記端面から間隔をとり備えられ、電力損を生じさせる少なくとも一つの構成要素(98)を搭載することと、前記ハウジング(2、4)の前記端面と前記組み立て済み導線ボード(14)の間には、電力損を生じさせる前記構成要素(98)を前記端面に熱的に結合する媒介部材が備えられることを特徴とする、請求項8に記載の電熱装置。
【請求項10】
それ自体と前記ハウジング(2)との間の密閉のために、前記ハウジング(2)に組み付けられ、前記被覆部材(6)を閉じ込めるハウジング・カバー(8)であり、前記ハウジング・カバー(8)と前記ハウジング(2)は、請求項1から請求項9の何れか1項に記載されたとおりに形成される、ハウジング・カバー(8)によって特徴付けられる、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項11】
それ自体と前記ハウジング(2、4)との間の密閉のために、前記ハウジング(2、4)に組み付けられ、前記被覆部材(6)を閉じ込めるハウジング・カバー(130)であり、前記ハウジング・カバー(130)は、ポンプ(132)を搭載し、ポンプ・ハウジング(134)によって形成される、前記ポンプ(132)の流入口開口に開かれているポンプ流路(142)を形成する、ハウジング・カバー(130)によって特徴付けられる、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項12】
前記ハウジング・カバー(130)と前記ポンプ・ハウジング(134)の一部は、一つのブロックから形成される、請求項11に記載の電熱装置。
【請求項13】
前記ポンプ・ハウジング(134)と前記ハウジング(2、4)は、それぞれ接続部(36)をもつ、請求項11または請求項12に記載の電熱装置。
【請求項14】
前記組み立て済み導線ボード(14)は、前記ポンプ(132)用の制御装置(11)の構成要素をさらに搭載する、請求項11から請求項13の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項15】
前記ハウジング・カバー(148)は、前記複数の支持用リッジ(70)に対応する複数の支持用対向リッジ(71)を形成することと、前記被覆部材(6)は、前記複数の支持用リッジ(70)と前記複数の支持用対向リッジ(71)の間に固定されることを特徴とする、請求項10から請求項14の何れか1項に記載の電熱装置。
【請求項16】
制御部ハウジングが、前記組み立て済み導線ボード(14)を包囲し、前記ハウジング接続開口(18)に対応して備えられた制御部ハウジング接続開口と、前記被覆部材(6)に合う位置に対応して前記制御部ハウジング側の同位置に形成される追加のハウジング接続開口とを形成することを特徴とする、請求項11から請求項14の何れか1項に記載の電熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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