説明

電球形蛍光ランプおよび照明器具

【課題】小形化された発光管を備えた電球形蛍光ランプおよび照明器具を提供する。
【解決手段】電球形蛍光ランプ10は、頂部が湾曲形成された屈曲部31aおよびこの屈曲部31aに連続する一対の直線部31bからなる2本の第1のU字状屈曲形バルブ31および頂部の屈曲曲率および高さ寸法が第1のU字状屈曲形バルブ31よりも小さい2本の第2のU字状屈曲形バルブ31’を有し、第1および第2のU字状屈曲形バルブ31、31’はそれぞれがなす平面が互いに平行な状態で重なるとともに2本の第1のU字状屈曲形バルブ31は間に配置されて両側に位置された第1のU字状屈曲形バルブ31に挟まれていて、隣接する第1のU字状屈曲形バルブ31および第2のU字状屈曲形バルブ31’の一部が重なり合うように並設されて内部に1本の放電路が形成されるように構成された発光管18を具備しており、発光管18を小形化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電球形蛍光ランプおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、一般照明用電球のソケットに装着可能な口金を有するカバーを備え、このカバーの内側に点灯回路を収納するとともに、発光管を屈曲などしてグローブに収納した電球形蛍光ランプが知られている。
【0003】
近年、点灯回路の電子回路化や、加工技術、材質改良などによって発光管である蛍光ランプの小形化、高効率化が進み、こうした電球形蛍光ランプが開発、実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この電球形蛍光ランプは、白熱電球60W相当サイズでありながら、光出力が同等であり、かつ高効率、長寿命という特徴を有するものである。
【0005】
現在市販されている電球形蛍光ランプは、60W形を中心とした白熱電球の代替用としたものであり、口金を含む高さが125mm程度、外径が60mm程度である。
【0006】
また、口金も60Wを中心とした白熱電球に使用されているJIS(C 7709)で規格化されたE26形が採用されている。
【特許文献1】特開2000−21351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術の電球形蛍光ランプの出現により、既存の一般照明器具に取付けられていた白熱電球の略全てを高効率な電球形蛍光ランプへの置き換えることが可能となり、省エネルギー社会へ大きく貢献している。
【0008】
しかし、上記従来技術の電球形蛍光ランプは、小形白熱電球の寸法よりも大きく、また口金の寸法も異なるため、小形白熱電球専用の照明器具に置き換え可能な小形化された発光管を有する電球形蛍光ランプは実現されていない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小形化された発光管を備えた電球形蛍光ランプおよび照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の電球形蛍光ランプは、頂部が湾曲形成された屈曲部およびこの屈曲部に連続する一対の直線部からなる2本の第1のU字状屈曲形バルブおよび頂部の屈曲曲率および高さ寸法が第1のU字状屈曲形バルブよりも小さい2本の第2のU字状屈曲形バルブを有し、第1および第2のU字状屈曲形バルブはそれぞれがなす平面が互いに平行な状態で重なるとともに2本の第1のU字状屈曲形バルブは中間に配置されて両側に位置された第1のU字状屈曲形バルブに挟まれていて、第1および第2のU字状屈曲形バルブの各頂部を結ぶ線が直線状をなし、第2のU字状屈曲形バルブの頂部は第1のU字状屈曲形バルブの頂部よりも直線部側に位置するとともに、隣接する第1のU字状屈曲形バルブおよび第2のU字状屈曲形バルブの一部が重なり合うように並設されて内部に1本の放電路が形成されるように構成された発光管と;発光管が取り付けられるとともに口金を有し、発光管が取付けられるカバーと;カバー内に収容される点灯回路と;を具備していることを特徴とする。
【0011】
本請求項および以下の請求項において、用語の定義は以下の説明のとおりである。
【0012】
発光管は、第1および第2のU字状屈曲形バルブを連通するように並設することで内部に少なくとも一本の放電路が形成されたものであり、発光管の端部にはこの放電路に放電を生起させる電極が封着されているものである。
【0013】
第1および第2のU字状屈曲形バルブは、鉛ガラス、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラスなどのガラス製が製造上好ましいが、透光性であればセラミックスなど他の材料であってもよい。特に、環境への影響を考慮すると無鉛ガラスによって形成するのが最適である。
【0014】
無鉛ガラスとは、実質的に鉛を含まないガラスであり、不純物程度の鉛は含有しても良い。例えば、Na2Oが0〜10質量%、K2Oが1〜10質量%、LiOが0〜3質量%(ただし、Na2O、K2OおよびLi2Oの合計量として5〜20質量%の範囲)を含む組成を有し、軟化温度が685℃以下であるガラス等が挙げられる。K2OおよびLi2OをNa2Oと共に融剤として用いたガラスは、実質的に鉛を含まない組成で、従来のソーダ石灰ガラスに比べて軟化温度を685℃以下と低下させることができる。このような低軟化点のガラスをガラスバルブに適用することによって、バルブ加工時の加熱温度を低下させることができ、この加熱温度の低下に基づいて蛍光体層の熱劣化、ひいては全光束の低下を抑制することが可能となる。さらに、Na2O量を10質量%以下とすることで、ガラス中のNa成分に起因する着色、ひいては光束維持率の低下を抑制することが可能となる。
【0015】
第1および第2のU字状屈曲形バルブは、中間部に放電路を略U字状に屈曲させるための屈曲部を備えた形状を有している。屈曲部は、ガラスバルブを軟化させて屈曲形成するほか、モールド成形や連結管などによるつなぎ成形されたものであってもよい。また、屈曲部の形状は、半円弧状に曲成されたものの他、モールド成形などでフラットな頂部の両隅に直角部を備えた略コの字状に形成されたものであってもよい。
【0016】
U字状屈曲形バルブの内面には直接または間接的に蛍光体層が被着されており、内部にアルゴン、ネオン、クリプトンなどの不活性ガスおよび水銀等の放電媒体が封入されている。蛍光体としては、3波長発光形の希土類金属酸化物蛍光体やハロ燐酸カルシウム蛍光体等を用いることができる。
【0017】
カバーは、蛍光ランプを直接的または間接的に支持するものである。間接的に支持する手段としては、カバーの口金が取付けられた方向と逆の部位に発光管の両端部が挿入可能な形状を有するホルダを取付けるのが好ましい。
【0018】
口金は、E形と称されるねじ込みタイプが通常使用される。また、口金は、カバーに直接装着される必要はなく、間接的にケースに装着されるものやカバーの一部が口金を構成するものであってもよい。
【0019】
点灯回路はカバー内に収容されるものであり、インバータタイプが好ましいが、本発明の性質上これに限定されない。点灯回路は、カバーに対して直接的または間接的に取付けられて収納されている。
【0020】
請求項2の照明器具は、器具本体と;この器具本体に装着される請求項1記載の電球形蛍光ランプと;を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の電球形蛍光ランプによれば、互いに隣接する第1のU字状屈曲形バルブおよび第2のU字状屈曲形バルブの一部が重なり合うように並設されて発光管が構成されているので、発光管を小形化することが可能となり、小形白熱電球が取付けられる照明器具に取付け可能な電球形蛍光ランプを提供することができる。
【0022】
請求項2の照明器具によれば、小形白熱電球から電球形蛍光ランプに置き換えられた照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
電球形蛍光ランプに使用される発光管は、頂部が湾曲形成された屈曲部およびこの屈曲部に連続する一対の直線部からなる2本の第1のU字状屈曲形バルブおよび頂部の屈曲曲率および高さ寸法が第1のU字状屈曲形バルブよりも小さい2本の第2のU字状屈曲形バルブを有している。
【0024】
発光管は、2本の第1のU字状屈曲形バルブおよび2本の第2のU字状屈曲形バルブを連通するように並設することで内部に少なくとも一本の放電路が形成されたものであり、発光管の端部にはこの放電路に放電を生起させる電極が封着されている。
【0025】
電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放射物質が坦持されたセラミック電極、ニッケルなどから形成された冷陰極などが挙げられる。なお、管状バルブは、水銀を封入しない希ガス放電を利用したものや電極を外部に有するものであってもよい。
【0026】
第1および第2のU字状屈曲形バルブはそれぞれがなす平面が互いに平行な状態で重なる方向にそれぞれ配置される。そして、2本の第1のU字状屈曲形バルブは中間に配置され、その両側には第1のU字状屈曲形バルブがそれぞれ位置されて、2本の第1のU字状屈曲形バルブが第1のU字状屈曲形バルブに挟まれるように配置される。また、第1および第2のU字状屈曲形バルブの各頂部を結ぶ線は直線状をなすように配置される。さらに、第2のU字状屈曲形バルブの頂部は第1のU字状屈曲形バルブの頂部よりも直線部側に位置するとともに、隣接する第1のU字状屈曲形バルブおよび第2のU字状屈曲形バルブの一部が重なり合うように並設される。
【0027】
管内径が8mm以下のような細管のU字状屈曲形バルブを用いる場合には、フィラメント電極をバルブ軸に直交する方向に配設するのが困難であるため、熱電子放射を行う粒状セラミックスを用いた小形の電極を使用してもよい。この電極は、リード線に直接または電気伝導性の容器によって平均粒径が0.1〜10μmの粒状セラミックスを担持させたものであり、フィラメント電極に比べて寸法が小さく、製造時における電子放射物質の分解工程を不要としたものである。粒状セラミックスを用いた小形電極を使用することで、細管のU字状屈曲形バルブであっても冷陰極のようにランプ電流が制約されることの無い高照度ランプ形の電極を備えた発光管とすることができる。なお、粒状セラミックスを担持させる容器は、この導電性を備えていれば特に材質は限定されないが、好適にはTaのような遷移金属単体またはアルカリ土類元素および遷移金属元素を主成分とする導電性セラミックスからなるものがよい。
【0028】
ここで、小形電極に使用される粒状セラミックスについて詳述する。熱電子放射物質としての粒状セラミックスは、アルカリ土類元素および遷移金属元素を主成分とする酸化物の複合セラミックスからなる。好ましくは、アルカリ土類元素の酸化物としてBaO、CaOおよびSrOからなるグループから一種または複数種を選択して用いる。また、遷移金属元素としてZrO2およびTiO2のいずれか一種または複数種と、V25、Nb25、Ta25、Sc23、Y23、La23、Dy23、Ho23、HfO3、CrO3、MoO5、WO3とを用いる。粒状セラミックスは、顆粒状、スポンジ状または塊状に形成されていてもよい。また、粒状セラミックスは、スパッタリングを防止するためその表面が炭化物およびまたは窒化物で被覆されていてもよい。
【0029】
発光管には、水銀が封入されているが、アマルガムとして封入するのが好ましい。アマルガムは、高温でも効率的な点灯を行うために封入される純水銀よりも蒸気圧が高い特性を有するものの他、水銀をバルブ内に定量的に封入するためのものどちらでも構わない。特にランプ点灯時には発光管が高温となることから、この点灯温度に見合った蒸気圧特性を有するアマルガムを選定すべきである。蒸気圧特性を考慮したアマルガムの例としては、ビスマス(Bi)−インジウム(In)−水銀(Hg)、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−鉛(Pb)−水銀(Hg)、ビスマス(Bi)−インジウム(In)−鉛(Pb)−水銀(Hg)などが挙げられるがこれに限らない。定量封入用のアマルガムとしては、亜鉛(Zn)−水銀(Hg)などが挙げられるがこれに限らない。また、アマルガムではないが、水銀をセラミックスなどの物質に坦持させたペレット状のものを細管内に保持させても構わない。
【0030】
発光管は、第1および第2のU字状屈曲形バルブを並設して放電路長が120〜200mm、最大幅が45mm以下とすることが好ましい。放電路長は、小形白熱電球と略同等の光出力とするためには120mm以上必要であることが実験により確認された。すなわち、放電路長が120mm未満であると、所望の光出力が得られず、また、発光に寄与しない電極損失部分の放電路長に占める割合が大きくなるため、所望のランプ効率が得られない。したがって、放電路長は120mm以上必要である。しかし、放電路長が200mmを超えると、ランプ始動電圧が過度に高くなり、小形白熱電球と略同等の外形寸法内に収容される小形インバータ回路では十分な始動電圧を発生させるのが困難なことから、放電路長は120〜200mmとした。小形白熱電球と略同等の外形寸法内に発光管を収めるためには、発光管は、最大幅を45mm以下にしなければならず、高さも55mm以下に制約される。この条件下で放電路長が120〜200mmとなるバルブを得るために管径の異なる種々のバルブで点灯試験を行ったところ、管内径5〜9mmおよび高さ35〜55mmの範囲内のU字状屈曲形バルブを組み合わせて発光管を構成すれば、十分な光出力とランプ効率が得られることが実験により確認された。発光管は、放電路長を120mm以上にするために管内径を9mm以下に制限しているが、管内径を9mm以下にすることでランプ電流を極力抑えてランプ電圧を高くし、点灯回路効率を高くすることが可能となった。すなわち、ランプ電流が多いほど点灯回路における熱損失が多くなり、この傾向は消費電力が小さいほど顕著に表れるため、ランプ電力が12W以下の発光管では放電路長を120〜200mmとし、管内径を9mm以下にすることが望ましい。また、管内径を5mm未満とすると、始動電圧が上昇するとともにランプ効率が低下し、また発光管の製造上も煩雑となってしまう。したがって、U字状屈曲形バルブは、管内径5〜9mm、最大高さが35〜55mmの範囲内である。製造工程や発光管効率を考慮すると、U字状屈曲形バルブの最大高さは40〜55mmとすることが好ましい場合もあるが、製造工程や発光管効率に影響しなければ、高さを35〜55mmの範囲内とすることが望ましい。こうして、発光管は放電路長、管内径、蛍光体層、ガス種およびガス圧等を適宜考慮して、ランプ電力(発光管の電極間に入力される電力)が7〜12Wで点灯したときに、全光束が450lm以上、ランプ効率が45lm/W以上、より好ましくは50lm/W以上となるように構成される。このように構成された発光管を備えた電球形蛍光ランプとすることによって、小形白熱電球と同等の光出力で、略同サイズの光源とすることが可能となる。
【0031】
カバーは、発光管が取り付けらるとともに口金を有し、電球形蛍光ランプ全体の高さが口金を含んで75〜105mmとなるように構成されている。なお、カバーには、蛍光ランプを覆うグローブが取付けられていてもよい。このグローブは光透過性を有していれば、光拡散性、透明性のいずれであってもよく、模様または着色が施してあるものでもよい。グローブの材質はガラス、プラスチックのいずれでもよい。グローブの形状は任意であるが、一般に普及している白熱電球相似形状のいわゆるA形と称される形状、球類似のいわゆるG形と称される形状、先端球形で円筒状のいわゆるT形と称される形状等を採用することができる。グローブが取付けられている場合の電球形蛍光ランプ全体の高さは、グローブを含んだ高さで定義される。
【0032】
点灯回路は、小形インバータ回路で構成されるが、小形白熱電球と略同等の外形寸法内に収容するためには、インバータ回路に実装されている電子部品を一層小形化されたものを使用する必要がある。特に、限流インピーダンス素子として使用されるインダクタンス素子はフェライトコア、ボビンなどの比較的体積の大きい部品であり、このインダクタンス素子を小形化することがインバータ回路の小形化のポイントである。
【0033】
インダクタンス素子は、ランプ電流、点灯周波数、限流インダクタタンス、コイルの磁束密度、巻線の電流密度などからフェライトコアの実効断面積(Ae)、ボビン窓面積(Aw)が求められ、使用可能なインダクタンス素子の種類が決定される。フェライトコアの実効断面積(Ae)およびボビン窓面積(Aw)が大きければその分インダクタンス素子もサイズが大きくなる。フェライトコアの実効断面積(Ae)およびボビン窓面積(Aw)から求められる値は、ランプ電流などが一定の条件下ではインダクタンス(L)値に比例し、一般的に点灯周波数が高くなればインダクタンス(L)値も小さくなることから、点灯周波数が高いほど使用可能なインダクタンス素子のサイズを小さくすることができる。
【0034】
従来の電球形蛍光ランプは、数10kHzの高周波で点灯するように点灯回路が設計されており、限流インピーダンス素子として使用されるインダクタンス素子はEE13タイプが使用されていた。このインダクタンス素子を小形化するために、EE13タイプよりも一回り小さいEI12.5タイプのインダクタンス素子が使用可能な点灯周波数を実験により調べたところ、点灯周波数を100kHz以上とすればよいことが確認された。なお、点灯周波数を100kHz以上にすることによって、EI12.5タイプと同等か、それよりも小さい形状のインダクタンス素子を使用可能であることはいうまでもない。
【0035】
また、電子機器が発生する電源ノイズ(雑音端子電圧)は526.5kHz〜30MHz内の範囲で規格が設けられているが、インバータ回路の点灯周波数が175kHzを超えると、第3次高調波成分が上記規格の範囲内に発生する。したがって、特別な雑音防止フィルタが必要となり、小形化には適していないので、点灯周波数は175kHz以下にする必要がある。
【0036】
なお、インバータ回路の点灯周波数は、100〜175kHzとする必要があるが、インダクタンス素子やランプ電流値などのばらつきを考慮すると、点灯周波数を120〜150kHzの範囲内とするのが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の電球形蛍光ランプおよび照明器具の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0038】
図1および図2に第1の実施の形態を示し、図1は電球形蛍光ランプの側面図であり、図2は電球形蛍光ランプの発光管部分の部分的に示す概略上面図である。なお、図2は説明を簡略化する関係でグローブを透視した状態で表している。
【0039】
図1および図2において、10は電球形蛍光ランプで、この電球形蛍光ランプ10は、口金12を有するカバー14と、このカバー14に収納された点灯回路16と、透光性を有するグローブ17と、このグローブ17に収納された発光管18とを備えている。そして、グローブ17とカバー14とから構成される外囲器は、75W形相当の一般照明用小形白熱電球(ミニクリプトン電球、定格消費電力71W)の規格寸法に近似する外形に形成されている。
【0040】
そして、カバー14は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂などにて形成され、下方に拡開する略円筒状をなし、上端部に、E17形の口金12が被せられ、接着剤またはかしめなどにより固定されている。
【0041】
また、グローブ17は、透明あるいは光拡散性を有する乳白色などで、ガラスあるいは合成樹脂により、75W形の小形白熱電球のガラス球とほぼ同一形状の滑らかな曲面状または球面状に形成されている。なお、このグローブ17は、拡散膜などの別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上することもできる。
【0042】
そして、カバー14に収納される点灯回路16は、水平状、すなわち発光管18の長手方向と垂直に重ね合わせて配置される円板状の回路基板24を備えている。
【0043】
また、グローブ17に収納される発光管18は、第1のU字状屈曲形バルブ31を2本、第2のU字状屈曲形バルブ31’を2本、合計4本を所定の位置に配置し、連通管32で順次接続して、1本の放電路が形成されている。第1のU字状屈曲形バルブ31と第2のU字状屈曲形バルブ31’とは、頂部の屈曲曲率および高さ寸法が互いに異なっている。
【0044】
そして、各U字状屈曲形バルブ31,31’は、内面に蛍光体膜が形成されるとともに、内部にアルゴンなどの希ガスおよび水銀が封入されている。そして、各U字状屈曲形バルブ31,31’ は、管外径が7〜11mm、具体的には管外径6.8mm、管内径が5〜9mm、具体的には6.0mm、肉厚が0.7〜1.0mmのガラス製の円筒状のバルブであり、90〜120mm程度のバルブを中間部で滑らかに湾曲させ頂部Pを備えた略U字状に形成されている。すなわち、各U字状屈曲形バルブ31,31’は、滑らかに反転する屈曲部31a と、この屈曲部31a に連続する互いに平行な一対の直線部31b とを備えている。そして、発光管18は、バルブの高さが40〜55mm、放電路長が120〜200mm、具体的には約160mm、バルブ並設方向の最大幅が30〜35mmに形成されている。
【0045】
各U字状屈曲形バルブ31,31’は、マウントを用いたラインシール、あるいはマウントを用いないピンチシールなどにより、一端部が封着されているとともに、他端部には排気管とも呼ばれる細管(図示しない)が溶着され、排気を行ない、あるいは必要に応じてアマルガムを備えるようになっている。また、発光管18の両端部に位置する第2のU字状屈曲形バルブ31’の端部には、マウントを用いたラインシールなどにより、フィラメントコイルが一対のウエルズ(導入線、図示しない)に支持されて配置されている。そして、各ウエルズは、U字状屈曲形バルブ31の端部のガラスに封着されたジュメット線を介して第2のU字状屈曲形バルブ31’の外部に導出され、回路基板24の出力端子に接続されている。なお、ウエルズには、必要に応じて補助アマルガムが設けられていてもよい。
【0046】
第1および第2のU字状屈曲形バルブ31,31’は、それぞれがなす平面が互いに平行な状態で重なるように配置されている。2本の第1のU字状屈曲形バルブ31は、中間に配置され、第1のU字状屈曲形バルブ31’ がその両側に配置されることで2本の第1のU字状屈曲形バルブ31が第1のU字状屈曲形バルブ31’に挟まれるように並設されている。第1および第2のU字状屈曲形バルブ31,31’の各頂部を結ぶ線は直線状をなすように配置されている。第2のU字状屈曲形バルブ31’の頂部は、第1のU字状屈曲形バルブ31の頂部よりも直線部31b側に位置するとともに、隣接する第1のU字状屈曲形バルブ31および第2のU字状屈曲形バルブ31’の一部が重なり合うように並設されている。
【0047】
発光管18は、U字状屈曲形バルブ31の直線部31bが周方向に位置するように並設されている。
【0048】
電球形蛍光ランプ10の発光管18は、カバー14に取り付けられた状態で、グローブ17内に収容されている。このグローブ17は、透明あるいは光拡散性を有する乳白色などで、ガラスあるいは合成樹脂により、ミニクリプトンタイプの電球のガラス球の形状に近似した略球形に形成されている。
【0049】
図3は、点灯回路16の回路図である。点灯回路16は、図3に示すように、商用交流電源eにヒューズFを介して、両端間電圧が330Vで短絡するインピーダンス素子Z1および容量0.12μFのコンデンサC1で構成されたフィルタ回路51が接続され、このフィルタ回路51には全波整流手段としてのたとえばダイオードブリッジなどの整流回路52の交流入力端子が接続され、この整流回路52の直流出力端子側に誘導量150μHのインダクタL1を介して容量9μFの平滑用のコンデンサC2が接続されて直流電源33を構成し、この直流電源53には交流−直流変換手段となる自励式のハーフブリッジ型のインバータ手段としてのインバータ回路54が接続されている。
【0050】
また、このインバータ回路54は、スイッチング素子としての電流値3.8AのNチャネルの第1の電界効果トランジスタQ1のドレイン、ソースおよび電流値−2.5AのPチャネルの第2の電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソースが直列に接続され、相補形に構成されている。なお、第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2のゲート容量を共振容量としている。また、第2の電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソース間には、容量3300pFのスナバコンデンサとしてのコンデンサC3および抵抗値22kΩの抵抗R1の並列回路が接続されている。
【0051】
さらに、第2の電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソース間には負荷回路55が接続され、この負荷回路55は、容量0.1μFの直流カット用のコンデンサC4および誘導量0.245mHのインダクタであるEI12.5タイプのチョークコイルL2を介して発光管18のフィラメント4a,4bの一端が接続され、フィラメント4aの他端およびフィラメント4aの一端間には容量3900pFの始動用のコンデンサC5が接続されている。そして、直流カット用のコンデンサC4、チョークコイルL2およびコンデンサC5で共振回路56が形成されている。なお、発光管18は電圧40Vで電流0.22Aとなるので、点灯時の両端間の抵抗値は180Ωである。
【0052】
またさらに、第1の電界効果トランジスタQ1のゲートおよび第2の電界効果トランジスタQ2のゲートには駆動手段としてのゲート駆動回路57が接続されている。このゲート駆動回路37は、第1の電界効果トランジスタQ1のゲート、ソース間に、極性を反対に直列接続したそれぞれツェナ電圧24VのツェナダイオードZD1およびツェナダイオードZD2の第1の電界効果トランジスタQ1のゲートおよび第2の電界効果トランジスタQ2を保護する保護回路を有しており、これらツェナダイオードZD1、ツェナダイオードZD2およびコンデンサC3の直列回路に対して並列に、誘導量0.47mHの共振用インダクタL3および容量0.047μFの共振用コンデンサC6の直列回路の帰還回路58が接続され、共振用コンデンサC6に対して並列に抵抗値82kΩの放電回路としてのダンピング機能を有する抵抗R2が接続され、コンデンサC2および第1の電界効果トランジスタQ1のドレインの接続点と第1の電界効果トランジスタQ1のゲートおよび第2の電界効果トランジスタQ2のゲート間に抵抗値470kΩのインピーダンス素子としての抵抗R3が接続されている。さらに、これら共振用インダクタL3、共振用コンデンサC6および第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2の等価的なゲート容量でLC直列共振回路59を構成している。なお、共振用コンデンサC6は直流成分除去用のものである。また、ツェナダイオードZD1およびツェナダイオードZD2の直列回路に対して並列に、起動用の抵抗R6が接続されている。
【0053】
なお、コンデンサC3、コンデンサC4および共振用コンデンサC6には、チップコンデンサを用い、チップコンデンサは温度変化に伴って特性が変化しやすいため、発光管18が位置する側と反対側の回路基板24に取り付け、発光管18の熱影響によるコンデンサC6の容量の低下などを防止し、動作を確実にする。
【0054】
次に、図3に示す点灯回路16の動作について説明する。まず、商用交流電源eの交流電圧を整流回路52で全波整流し、コンデンサC2で平滑して直流にする。そして、コンデンサC2が充電されると、第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2の両端子間にコンデンサC2の電圧が印加される。この状態で、抵抗R3を介して電圧が第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2のゲートに印加されると、第1の電界効果トランジスタQ1のみがオンしてコンデンサC2の電圧は、第1の電界効果トランジスタQ1と抵抗R1およびコンデンサC3の並列回路に印加され、第1の電界効果トランジスタQ1のドレイン、ソースと、コンデンサC3および抵抗R1の並列回路を介して電流が流れ、第1の電界効果トランジスタQ1がオンする。
【0055】
そして、この状態では、コンデンサC2から、第1の電界効果トランジスタQ1、直流カット用のコンデンサC4、チョークコイルL2、フィラメント4a、コンデンサC5、フィラメント4bおよびコンデンサC2の閉路で電流が流れ、コンデンサC4の第1の電界効果トランジスタQ1側が正極となるように充電される。
【0056】
その後、負荷回路55の共振作用によって電流が反転し、コンデンサC4の極性が反転して、第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2のゲートに印加される電圧は逆方向になり、第1の電界効果トランジスタQ1がオフするとともに、第2の電界効果トランジスタQ2がオンし、インバータ回路54は起動する。さらに、第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2のゲートに印加される電圧が反転すると、第1の電界効果トランジスタQ1がオンするとともに、第2の電界効果トランジスタQ2がオフする。
【0057】
その後、第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2のソースに対するコンデンサC4の電圧は負となり、このコンデンサC4から取り出された駆動電源の位相が適当に調整されて、このコンデンサC4の電圧の反転によりこのコンデンサC4の交流分を取り出し、共振用コンデンサC6の電圧も負となり第1の電界効果トランジスタQ1がオフし、この第1の電界効果トランジスタQ1がオフした後に、第2の電界効果トランジスタQ2がオンし、共振用インダクタL3、第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2のLC直列共振回路39により動作周波数を確定して第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2を交互に、オン、オフさせ、高周波電圧を発光管18に印加するとともに、コンデンサC5に流れる共振電流が所定値以上に上昇すると、発光管18が始動し、約150kHzの高周波で点灯する。
【0058】
なお、起動時に第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2の閾値電圧を超えてしまうことがある場合には、抵抗R2の抵抗値を変えることにより第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2が閾値電圧を超えてしまうことを防止できる。
【0059】
また、放電灯点灯装置6を動作させた後、たとえば電源スイッチを切って電源を遮断すると、直流カット用のコンデンサC4に充電されている電荷は、直流カット用のコンデンサC4、第1の電界効果トランジスタQ1の寄生ダイオード、抵抗R3、共振用インダクタL3、抵抗R2および直流カット用のコンデンサC4の閉路でコンデンサC4が放電するとともに、共振用コンデンサC6および抵抗R2の閉路で共振用コンデンサC6が放電される。この放電により、たとえばツェナダイオードZD1およびツェナダイオードZD2に対して並列な起動用の抵抗を設けていなくても、電源遮断後、再度すぐに電源を投入しても、抵抗R3およびコンデンサC4を介して起動電流を確実に流すことができるので、再始動を確実にできる。
【0060】
なお、本実施形態の点灯回路16は、自励発振の帰還用素子に直流カット用コンデンサC4を用いているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、カレントトランスを負荷回路に直列に接続し、このトランスの二次巻線に発生した帰還電流により電界効果トランジスタQ1、Q2を駆動させたドライブ回路としてもよい。また、カレントトランスを省略するために、限流インダクタに二次巻線を磁気結合させて帰還電流を得る方式のドライブ回路としてもよい。
【0061】
図3に示す点灯回路16の場合、抵抗R2を接続することにより、たとえば第1の電界効果トランジスタQ1のオン時間より第2の電界効果トランジスタQ2のオン時間が30%程度長くなり、発光管4の発光がちらつくことがある。この場合には、ツェナダイオードZD1よりツェナダイオードZD2をタイミング設定手段として用い、ツェナダイオードZD1よりツェナダイオードZD2のツェナ電圧を大きく設定することにより、第2の電界効果トランジスタQ2のオン時間を短くして、第1の電界効果トランジスタQ1および第2の電界効果トランジスタQ2のオン時間をほぼ等しくでき、発光管4がちらつくことを防止できる。また、発光管4の始動前に、コンデンサC2、抵抗R3、抵抗R6、抵抗R1およびコンデンサC2の直流電流が流れることが可能な閉路が形成できるため、インバータ回路34の起動が確実になる。
【0062】
このようにして、電球形蛍光ランプ1は、入力電力定格10Wで、内10%程度は放電灯点灯回路6による損失分であり、点灯周波数は150kHzで、3波長発光形蛍光体の使用により480lmの全光束が得られる。
【0063】
そして、電球形蛍光ランプ10の消灯状態において、口金12に電力が供給されることにより、点灯回路16によって、発光管18の両端の電極間にランプ点灯電圧を印加して発光管18を点灯させる。
【0064】
図4は、第1の実施形態の電球形蛍光ランプ10が取付けられた照明器具を示す概念図である。この照明器具Lは天井Sに埋め込まれたダウンライトであり、小形白熱電球であるミニクリプトン電球が装着されるソケットTが配設されたものであるが、第1の実施形態の電球形蛍光ランプ10が装着可能であり、高効率で長寿命の電球形蛍光ランプ10に置き換えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電球形蛍光ランプを示す側面図。
【図2】図1の電球形蛍光ランプの発光管部分の部分的に示す概略上面図。
【図3】同上電球形蛍光ランプの点灯回路の回路図。
【図4】第1の実施形態の電球形蛍光ランプが取付けられた照明器具を示す概念図。
【符号の説明】
【0066】
10…電球形蛍光ランプ、12…口金、14…カバー、16…点灯回路、18…発光管、31…
第1のU字状屈曲形バルブ、31’…第2のU字状屈曲形バルブ、31a…屈曲部、31b…直線部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部が湾曲形成された屈曲部およびこの屈曲部に連続する一対の直線部からなる2本の第1のU字状屈曲形バルブおよび頂部の屈曲曲率および高さ寸法が第1のU字状屈曲形バルブよりも小さい2本の第2のU字状屈曲形バルブを有し、第1および第2のU字状屈曲形バルブはそれぞれがなす平面が互いに平行な状態で重なるとともに2本の第1のU字状屈曲形バルブは中間に配置されて両側に位置された第1のU字状屈曲形バルブに挟まれていて、第1および第2のU字状屈曲形バルブの各頂部を結ぶ線が直線状をなし、第2のU字状屈曲形バルブの頂部は第1のU字状屈曲形バルブの頂部よりも直線部側に位置するとともに、隣接する第1のU字状屈曲形バルブおよび第2のU字状屈曲形バルブの一部が重なり合うように並設されて内部に1本の放電路が形成されるように構成された発光管と;
発光管が取り付けられるとともに口金を有し、発光管が取付けられるカバーと;
カバー内に収容される点灯回路と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
器具本体と;
この器具本体に装着される請求項1記載の電球形蛍光ランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−237013(P2006−237013A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104571(P2006−104571)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【分割の表示】特願2001−188841(P2001−188841)の分割
【原出願日】平成13年6月21日(2001.6.21)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】