説明

電球形蛍光ランプおよび照明器具

【課題】一般白熱電球の外観寸法と略同一となるような小形の電球形蛍光ランプおよび照明器具を提供する。
【解決手段】発光管21の内面に形成された蛍光体層、発光管21内に封入された放電媒体および発光管内に屈曲した1本の放電路を生起可能に設けられた電極手段24を有する蛍光ランプ20と;複数に分割された分割体10aを組合せて構成され、一端側の開口部11が縮径され、中間部が一端側よりも膨出して他端側に略球状部が形成されており内部空間に前記蛍光ランプ20が収容されたグローブ10と;外面側に口金30が設けられ、内面側に前記グローブ10の一端側と係合する係合部13aが形成された筒体からなり、一部が前記分割体10a同士を接合させるように前記グローブ10と当接し、前記蛍光ランプ20を支持するとともに内面側に前記蛍光ランプ20を点灯させる点灯装置40の少なくとも一部を収容しているカバー体13と;を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプを覆うグローブを具備した電球形蛍光ランプおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般照明用電球のソケットに装着可能な口金を有するカバー体を備え、このカバー体の内側に点灯装置を収納するとともに、発光管を屈曲などしてグローブに収納した電球形蛍光ランプが普及している。
【0003】
近年、点灯装置の電子回路化や、加工技術の改良などによって発光管である蛍光ランプの小形化、高効率化が進み、白熱電球60W相当サイズでありながら、高光出力で高効率、長寿命という特徴を有する電球形蛍光ランプが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、白熱電球の特徴的なバルブ形状である先端側が略球形状であって口金近傍が縮径されたいわゆるPS(pear shape)形状のグローブを備えた電球形蛍光ランプが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2の電球形蛍光ランプは、白熱電球バルブと略同一の寸法および形状を有するPS形状のグローブを備えており、外観が白熱電球のシルエットを有するので、商品性が高く、また白熱電球が装着されている照明器具にほとんど取付けることが可能であることから、電球形蛍光ランプの普及に大きく貢献するものである。
【0006】
また、グローブおよびカバー体を透光性のプラスチックで一体的に形成した電球形蛍光ランプが知られている(例えば特許文献3参照)。
【0007】
特許文献3によれば、グローブおよびカバー体が一体的に形成された分割体を組合わせて外囲器を形成するので組立を簡略化することができる。
【特許文献1】特開2000−21351号公報
【特許文献2】特開2005−108699号公報
【特許文献3】特開2003−217305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2の電球形蛍光ランプは、放電路長を大きくするためにPS形状のグローブの内面に沿った輪郭を形成する螺旋形状の発光管を有しており、この発光管の一端側の幅寸法は螺旋径が最大となる中間部の幅寸法よりも小さくなるように形成されている。また、発光管を覆うPS形状のグローブは、発光管を円筒状バルブに収容させた状態で円筒状バルブの一端側を加熱し、収縮させて形成している。すなわち、予め他端側が略球状に閉塞され、一端側が中間部と同一径で開口している円筒状バルブを発光管の他端側から被冠し、発光管が円筒状バルブに収容させた状態で円筒状バルブの一端側を加熱し、収縮させることでPS形状のグローブが形成されるものである。
【0009】
しかし、円筒状バルブ内部に発光管が収容された状態で一端側を加熱・収縮すると、発光管の一端側に設けられた電極部材の封着部や発光管の支持部材等が加熱されて熱劣化するおそれがある。
【0010】
また、円筒状バルブの一端側を収縮して形成されるグローブの開口部はカバー体または口金側に取付けられる部分であるため、取付け作業を容易にするために所定の寸法となるように精度よく加工する必要がある。しかし、円筒状バルブ内部に発光管が収容された状態では開口部を精度よく加工することが困難であった。
【0011】
一方、上記特許文献3の電球形蛍光ランプは、分割された外囲器が分離しないように所定の接合手段が設けられている。しかし、電球形蛍光ランプの装脱着時には外囲器の周面が使用者に把持されて取り扱われることを考えれば、外囲器の接合手段だけではその接合強度は十分とはいえない。一方、外囲器に口金を取付けることによってグローブの接合が保持されることになるが、口金は金属で形成されているため、口金には弾性力があまりなく、弾性力を利用して外囲器と口金とを強固に係合させることが困難である。また、口金は細径のポンチなどによって口金の一部を凹ませてカバー体に食い込ませることによってカバー体に固定されるものであるため、この口金が外囲器に固定されることで外囲器の分離も抑制される。しかし、口金をポンチによって外囲器に固定しただけでは口金を分割体同士の分離を確実に防止できる程度に強固に接合させることができない。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、分割されたグローブを確実に接合させるとともに樹脂からなるカバー体とグローブとの接続強度を高め一般白熱電球の外観寸法と略同一となるように形成された小形の電球形蛍光ランプおよび照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、封止部を備えた一端側の幅寸法が他端側から中間部にかけて最大となる幅寸法よりも小さくなるように形成された発光管、この発光管の内面に形成された蛍光体層、発光管内に封入された放電媒体および発光管内に屈曲した1本の放電路を生起可能に設けられた電極手段を有する蛍光ランプと;一端から他端に沿った平面を境に複数に分割された分割体を組合せて構成され、一端側の開口部が縮径され、中間部が一端側よりも膨出して他端側に略球状部が形成されており内部空間に前記蛍光ランプが収容されたグローブと;少なくとも一端側の外面側に口金が設けられ、他端側の内周面側に前記分割体同士が接合した状態の前記グローブの一端側と係合する係合部が周状に形成されており、前記蛍光ランプおよび前記蛍光ランプを点灯させる点灯装置の少なくとも一部を収容しているカバー体と;を具備していることを特徴とする。
【0014】
蛍光ランプの発光管は、一端側に封止部が形成されており、一端側の幅寸法が他端側から中間部にかけて最大となる幅寸法よりも小さくなるような外観形状を有していればよく、具体的な構造は限定されない。このような発光管の構造としては、例えば直管状ガラスバルブのほぼ中央部を加熱してU字状に屈曲したU字管バルブの中間部をさらに湾曲状または円弧状に形成されたものを複数組合せた構造や、螺旋状に形成された構造などが挙げられる。なお、発光管の幅寸法とは、発光管をグローブ内に収容し、口金を被覆した状態における口金とグローブの頂部とを結ぶ軸に略直交する方向の幅寸法を意味する。
【0015】
電極手段としては、発光管内に形成された放電路の両端位置に電極が封装されているものが一般的であるが、一対の電極を有さないいわゆる無電極形であっても構わない。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放射物質が坦持されたセラミック電極、ニッケルやモリブデンなどから形成された冷陰極などが挙げられる。
【0016】
蛍光ランプを覆うグローブは、一般白熱電球のシルエットと略同形状をなしているのが好ましいが、一端側の開口部が縮径されていて中間部が一端側よりも膨出した形状であればよい。
【0017】
カバー体はグローブの一端側と係合するように構成された係合部を有している。係合部はカバー体の他端側の内壁面に周状に形成されている。ここでいう「周状」とは、係合部が内壁面に連続的に設けられているものの他、所定の間隔をおいて間欠的に設けられていることを含む意味である。さらに、カバー体の全体をグローブまたは口金の内面側に配設して外方からカバー体を視認することができない構造にして、口金およびグローブのみが外観上視認できる構造にしてもよい。こうすることで、外観上は一般白熱電球と同一の電球形蛍光ランプにすることができる。
【0018】
蛍光ランプを点灯させる点灯装置は、グローブ内に収容されていてもよく、口金内に収容されて固定されていても構わない。蛍光ランプと点灯装置の接続は点灯装置を構成する回路基板上に実装した接続ピンに電極手段から導出されたリード線を接続する構造が一般的であるが、点灯装置から導出されたリード線と電極手段から導出されたリード線とを捩ることで接続してもよく、その接続方法は特に限定されない。
【0019】
請求項2記載の電球形蛍光ランプは、前記グローブの一端側と前記カバー体との間隙に回転防止手段が設けられていることを特徴とする。
【0020】
回転防止手段は、カバー体とグローブとの相対的な回転を防止するために設けられた手段である。例えば、回転防止手段はグローブの一端側の外周面に設けられた凸部およびこの凸部とカバー体との間隙に充填されたシリコーン樹脂からなる。この構成であれば、凸部とシリコーン樹脂とが係止するために、カバー体とグローブとの相対的な回転を防止することができる。なお、凸部はカバー体側に設けられていてもよいし、凸部の代わりに凹部を設けてシリコーン樹脂と係止させる構成でもよい。
【0021】
請求項3記載の電球形蛍光ランプは、前記グローブは、前記蛍光ランプが前記カバー体に支持された状態において、前記グローブを他端側に移動させて内壁面と前記蛍光ランプとが当接したときに前記グローブの一端側縁部が前記カバー体よりも他端側に位置するような所定の寸法関係を有していることを特徴とする。
【0022】
請求項4記載の照明器具は、上記電球形蛍光ランプと;この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の電球形蛍光ランプによれば、グローブが複数に分割された分割体から形成されているので、加熱などのグローブの特別な加工を必要とせずに一般白熱電球の外観形状に近づけた外囲器内に中間部が最大幅寸法となる所定形状の蛍光ランプを収容することが可能となる。また、カバー体の他端側の内周面側にグローブの一端側と係合する係合部が周状に設けられているので、グローブの分割体同士が分離することがないように強固に接合させながらグローブをカバー体に取り付けることができる。
【0024】
請求項2記載の電球形蛍光ランプによれば、グローブの一端側とカバー体との間隙に回転防止手段が設けられているので、グローブとカバー体との相対的な回転を防止することができる。
【0025】
請求項3記載の電球形蛍光ランプによれば、グローブの内壁面と蛍光ランプが当接するような他端側の位置からグローブとカバー体とが係合する位置まで一端側へ移動させたときの移動距離が係合部よりも大きい所定の寸法を有しているので、カバー体に蛍光ランプを支持させた後にグローブの分割体同士を接合させ、カバー体に取り付けることができ、電球形蛍光ランプの組立作業が容易になる。
【0026】
請求項4記載の照明器具によれば、請求項1ないし3いずれか一に記載の電球形蛍光ランプの作用を有する照明装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の電球形蛍光ランプの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態である電球形蛍光ランプの側面断面図である。電球形蛍光ランプ50のグローブ10は、透光性の樹脂材料からなる2分割された分割体10a、10aを組合わせて形成されている。そして、グローブ10は一端側に開口部11を有し、他端側頂部が略球状となるようなPS形をなして中間部が最大外径となるように膨出されている。また、グローブ10は開口部11の略中央および他端側の頂点10bを通る直線を中心軸とする回転体形状に形成されている。分割体10a、10aは、この中心軸を含む平面を境にグローブ10を対称になるように分割されたものである。また、グローブ10の一端側にはグローブ10の外周面側に円状に連続して突出する突出部10cが設けられている。
【0029】
13はPBT樹脂製のカバー体であり、他端側にグローブ10の開口部11の外径よりもやや大きい開口縁部が形成されており、他端側に向けて拡開する略円筒状に形成されている。カバー体13の他端側は、後述する蛍光ランプ20の一端部側をホルダ26によって支持しており、この蛍光ランプ20を覆うグローブ10の開口部11が開口縁部に取付けられている。カバー体13の開口縁部の内周面には壁面の一部が円環状に連続して突出し係合部13aが形成されている。この係合部13aは、グローブの突出部10cと係合することによってカバー体13とグローブ10とが接続される。カバー体13の一端側には外周面にねじ山が形成された筒状突部14が形成されており、この筒状突部14に口金30が螺合して被冠されている。口金30を構成する口金シェル部は、例えば黄銅や銅などの導電性金属を筒状に成形してなる。
【0030】
以下、口金30側を一端側(図1上では上側)、グローブ10の頂部側を他端側(図1上では下側)として説明する。
【0031】
蛍光ランプ20は、二重螺線構造の発光管21を有している。発光管21は、直管バルブの長手方向中心部を頂部23として、螺線状に屈曲形成されており、一端側に位置する一対の直線部22はその長手方向が蛍光ランプ20の中心軸と略平行になるよう並設されている。発光管21の一対の直線部22の最大幅は、発光管21の中間部に位置する最大径よりも小さく、この中間部から他端側に位置する頂部23に向かうに従い小径となるように螺旋状に形成されている。このような形状の発光管21は、PS形状のグローブ10の内面に沿って湾曲した放電路を形成し、放電路長を極力大きくした発光管21となるので、最大幅がグローブ10の開口部11の内径とほぼ同じである従来の発光管よりもランプ効率を高くすることができる。
【0032】
発光管21は、例えば管外径が6〜13mm、本実施の形態では7mm程度であり、管内径は、5.5〜11.5mmで本実施の形態では6mm程度であり、放電路が400mm程度に形成されている。なお、発光管21はガラス製であることが好ましいが、セラミックスなどの透光性材料で形成されていてもよい。
【0033】
発光管21の内面には直接または間接的に蛍光体層が被着されている。蛍光体層は、希土類金属酸化物蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体などが挙げられるが、これに限らない。しかし、発光効率を向上させるためには赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形の蛍光体を使用するのが好ましい。
【0034】
発光管21内には、放電媒体が封入されている。放電媒体は、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスおよび水銀からなる。
【0035】
発光管21内に形成される放電路の両端に位置する一対の直線部22には、後述する点灯装置40に接続された一対の電極24がそれぞれ封装するための封止部25が形成されている。封止部25からはリード線が導出されている。また、発光管21は直線部22がホルダ26によって支持されている。このホルダ26は、回路基盤41およびカバー体13に取り付けられている。ホルダ26の取り付け方法は、シリコーン樹脂、係合などの方法によって接続することができる。ここで、カバー体13は発光管21を保持するホルダ26および回路基盤41を支持している。つまり、グローブ10には発光管21や回路基盤41などの負荷が掛かることがなく、分割体10a同士を分離させる方向に力が加わることがない。このため、グローブが複数の分割体からなるランプの場合、本発明の構成はグローブによって回路基盤や発光管などを支持する構成のランプに比べて、グローブの分割体同士の接続強度が高くなる。また、カバー体13を口金とグローブとの間に配接することによって、グローブを取り付けるときにグローブの弾性だけでは、挿入に必要な間隙を確保することができない場合であってもカバー体の弾性を利用して係合させることができる。つまり、より確実にグローブを取付けることができる。この構成によって、グローブ以外の部品を組立てた後にグローブを取り付けることができため製造が容易になる。
【0036】
蛍光ランプ20を点灯させる点灯装置40は、発光管21の長手方向と直交するよう円板状の回路基板41およびこの回路基板41の両面に実装された電子部品42からなり、これら電子部品42によって蛍光ランプ20を高周波点灯させるインバータ回路が構成されている。回路基板41は、グローブ10の開口部11の内径とほぼ同径であり、カバー体13内周縁に図示しない固定手段によって固定されている。ただし、分割体10a同士の接合強度に影響しない構成であれば開口部11近傍に固定してもよい。これら部品で構成された高周波点灯回路の入力端が口金30側に電気的に接続される。なお、本実施の形態においては、点灯装置40に一対の電極24に接続されたリード線が直接実装されているが、点灯装置40側および蛍光ランプ20からそれぞれ導出されたリード線を捩ることで電気的接続がされていてよい。また、回路基板41にラッピングピンを立設することが可能であれば蛍光ランプ20から導出されたリード線を巻きつけて接続する方法などを用いても構わない。
【0037】
図2は、図1の電球形蛍光ランプの要部拡大断面図である。なお、図2において回路基板41、ランプ20の記載は説明の便宜上省略している。
【0038】
図2に示すように、グローブ10とカバー体13とは突出部10cおよび係合部13aが係合することによって接続されている。突出部10cはグローブ10の開口部11の周囲に連続的に設けられており、係合部13aはカバー体13aの開口縁部の内壁面に連続的に設けられている。分割体10a、10aを接合した状態のグローブ10の一端部側をカバー体13の他端側に挿入すると、突出部10cおよび係合部13aが当接し、両者が弾性変形することで突出部10cが係合部13aを乗り越えて係合される。このとき、カバー体13の内壁面と突出部10cとが当接しているので、グローブ10の分割体10a、10aが互いに分離する方向には変位できず分割体10a、10aが強固に接合される。さらに、カバー体13の内壁面が突出部10cを狭持するように所定の弾性力によって保持する構成でもよい。
【0039】
また、グローブ10の一端側の端部はカバー体13aと当接して、グローブ10をカバー体13に所定距離以上挿入することが規制されるので、グローブ10とカバー体13との組立時の位置決めを容易にすることができる。また、グローブ10の分割体10a、10aはそれぞれが当接する当接面同士で係合するように係合手段が設けられていることが好ましい。さらに、分割体10a、10aが互いに当接する当接面をシリコーン樹脂によって接着してもよい。
【0040】
グローブ10とカバー体13の間隙にシリコーン接着剤27を充填することによって、グローブ10の移動を規制しさらに確実に固定することができる。また、シリコーン接着剤27を配設することによって、グローブ10とカバー体13とが確実に接合される。
【0041】
次に本発明の第1の実施形態の電球形蛍光ランプの組立工程について図3を参照して説明する。
【0042】
まず、図3(a)に示すように、内面に光拡散層が予め形成された樹脂製の分割体10a、10aを発光管21を覆うように組合わせてグローブ10を形成する。このとき、発光管21にホルダ26および点灯装置40を接続しておく。なお、点灯装置40は分割体10a、10aを組合わせたときにグローブ10の内側で支持されるような構造を有していてもよい。
【0043】
次に、図3(b)に示すように、グローブ10の開口部11にカバー体13を接続する。さらに、蛍光ランプ20の一端側をカバー体13の他端側に収容する。カバー体13には内部にホルダ26および点灯装置40を収容する。そして、図3(c)に示すように、開口部11よりも径大な螺旋バルブを有する蛍光ランプ20が収容されることになる。そして、点灯装置40と口金30を電気的に接続するとともに筒状突部14に口金30を取付けることで電球形蛍光ランプ50が完成する。
【0044】
本実施形態の電球形蛍光ランプは、グローブ10とカバー体13とが係合によって固定される。このため、発光管21とカバー体13とが固定された状態で、グローブ10をカバー体13に係合させるためには、グローブ10に発光管21が収容された状態で、グローブ10をある程度移動させる必要がある。しかし、カバー体13が取付けられる前に発光管21を覆うように分割体10aを組合わせてグローブ10を形成する場合には、グローブ10の内部に発光管21を収容できる空間があれば、例え両者の間隙寸法があまりない場合であってもランプを組み立てることができる。このため、図3に示す製造方法であればグローブ10および発光管21の形状を比較的自由に形成することができる。
【0045】
次に、第2の実施形態である電球形蛍光ランプについて説明する。
【0046】
図4に示すように、発光管21’は直管状ガラスバルブのほぼ中央部を加熱してU字状に屈曲したU字管バルブの中間部をさらに湾曲状または円弧状に形成されたものを複数連結して構成されたものである。以下、この発光管21’について説明する。
【0047】
この発光管21’は、U字管バルブの中間部が湾曲状または円弧状に形成されることにより、幅寸法が最大となる中間部が外周方向に膨出するような形状をなしており、PS形状のグローブ10内面に沿って湾曲した放電路が形成される。したがって、第1の実施形態と同様に放電路長を極力大きくした発光管21’となるので、最大幅がグローブ10の開口部11の内径とほぼ同じであった従来の発光管よりもランプ効率を高くすることができる。また、相互に隣接するU字管バルブの中間部同士の間には、湾曲状または円弧状に形成したことによってわずかな隙間が形成されているが、この隙間によって発光管21’の中心軸を挟んで対向するU字管バルブの光が透過しやすくなることから、発光管21’の全光束値が向上するという利点を有する。なお、図4には発光管21’の封止部が図示されていないが、発光管21’の封止部は第1の実施形態と同様に発光管21’の一端側の電極封装端部にステムシールまたはピンチシールなどの手段によって設けられており、この封止部からは電極に接続されたリード線が導出されている。図4(a)に示すように、発光管21’の一端側は、耐熱性部材からなるホルダ26によって保持され、発光管21’と点灯装置40とが接続される。このホルダ26および発光管21’を覆うように分割体10a、10aを組合わせてグローブ10を形成する。その後、図3(b)、(c)と同様の工程を経て電球形蛍光ランプ50’が完成する。
【0048】
図5は、本発明の第3の実施形態である電球形蛍光ランプの要部拡大断面図である。
【0049】
図5に示すように、カバー体とグローブとの間隙にはグローブ10の端部に設けられた複数の凸部10dおよびこの凸部10dとカバー体13との間隙に充填されたシリコーン接着剤27からなる回転防止手段が設けられている。凸部10dとカバー体13との間隙に充填したシリコーン接着剤27と凸部10dとが係止することによって、グローブ10とカバー体13との相対的な回転が防止される。
【0050】
本構成では、凸部10dとカバー体13との間隙に配接したシリコーン接着剤27はグローブ10の回転を防止するためのものである。しかし、本構成のように、シリコーン樹脂を凸部の周囲全体に配接しておけば、凸部10dとシリコーン樹脂27とを開口部11の略中央および他端側の頂点10bを通る中心軸方向にも係止することができる。このため、この方向への移動を規制することも可能である。
【0051】
なお、開口部11よりも径大な螺旋バルブを有する蛍光ランプ20について説明したが、発光管の形状は開口部11よりも径大な部位を有するものであればこれに限らない。また、第3の実施形態は第1および第2の実施形態と同様の組立工程で製造することができる。
【0052】
次に、本発明の第4の実施形態である電球形蛍光ランプについて説明する。
【0053】
第4の実施形態は、グローブの内壁面と蛍光ランプとの間に所定の離間寸法を有している。本構成の作用効果を図6および図7の電球形蛍光ランプの組立工程を示す工程図を参照しながら説明する。なお、図6(a)、(b)、(c)は、螺旋状の発光管についての工程図であり図7(a)、(b)、(c)は、U字管バルブの中間部が湾曲状または円弧状に形成されて連結された発光管についての工程図である。図6および図7は組み立て順序がそれぞれ図3および図4と異なっているのみであり、その他の構成については同様であるので同一構成には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0054】
図6(a)に示すように、発光管21の一端側をカバー体13の他端側に収容した蛍光ランプ20を用意する。このとき、蛍光ランプ20および口金30をカバー体13の内部に収容した点灯装置40に電気的に接続し、筒状突部14に口金30を取付けておく。そして、この蛍光ランプ20の両側から分割体10a、10aを組合わせてグローブ10を形成する。グローブ10は、蛍光ランプ20をカバー体13に支持された状態において、グローブ10を他端側に移動させてグローブ10の内壁面と蛍光ランプ20とが当接したときにグローブ10の一端側縁部がカバー体13よりも他端側に位置するような所定の寸法関係を有している。このため、グローブ10を他端側に移動させた状態において、グローブ10が側方向にそれぞれ分離可能なように突出部10cと係合部13aとを離間させておくことができる。
【0055】
このとき、回路基盤41および発光管21などの各部品はカバー体13によって支持されており、これらの各部品がグローブ10を分離させるような力を加えることがない。このように、グローブ10が他の部品によって分離するような負荷を受けない構成にすることによって、接続強度を確保することができる。
【0056】
次に、図6(b)に示すように、グローブ10をカバー体13に移動させ、突出部10cを係合部13aに係合させることによって、グローブ10の開口部11をカバー体13に接続する。
【0057】
そして、図3(c)に示すように、グローブ10の内部には、開口部11よりも径大な螺旋バルブを有する蛍光ランプ20が収容されることになり、電球形蛍光ランプ50が完成する。図7(a)、(b)、(c)も図6(a)、(b)、(c)と同様の工程を経て電球形蛍光ランプ50’が完成する。
【0058】
グローブ10を蛍光ランプ20に取り付けた後に、蛍光ランプ20をカバー体13に取り付ける場合、グローブ10が作業の妨げとなって作業効率が低下する。しかし、本実施形態によれば、蛍光ランプ20とカバー体13および点灯装置40との接続を行った後にグローブ10を取り付けることができるので、組み立ての作業効率が上がる。
【0059】
上記各実施形態の電球形蛍光ランプによれば、グローブ10は、分割体10a、10aを組合わせることによって構成され、一端側の開口部11が縮径され、他端側に略球状部12が形成されているので、電球形蛍光ランプを一般白熱電球の外観形状に近づけることが可能となる。
【0060】
また、突出部10cおよび係合部13aによってグローブ10とカバー13とを確実に接続することができる。
【0061】
また、カバー体13がグローブ10と当接し、グローブ10の外面から対向するように押圧する力が加わるため分割体10a同士が強固に接合する。カバー体13およびグローブ10は、樹脂によって形成されるため精度よく加工成形することができる。このため、カバー体13とグローブ10とを確実に当接させることができるとともに、開口部11の寸法ずれに伴うグローブ10の取付け作業の不具合が発生することがない。
【0062】
また、グローブ10とカバー体13との間隙にシリコーン接着剤27を配接しておけば確実にグローブ10とカバー体13を固定することができる。さらに、グローブ10の一端側に凸部10dを設け、グローブ10と凸部10dとの間隙にシリコーン接着剤27を配接して凸部と係止するような構成であれば分割体10a同士を外面から押圧し確実に接合させるとともに、グローブ10の移動を規制することができる。特に、電球形蛍光ランプ50、50’を器具に装着するときにグローブ10と口金30との相対的な回転を抑制することができる。
【0063】
また、グローブ10と発光管21との間に所定の離間寸法を設けておけば、組み立て工程を容易にし、作業効率が上がる。
【0064】
図8に示すように、例えばダウンライトである照明器具81は、照明器具本体82を有し、この照明器具本体82内にソケット83および反射体84が取り付けられ、ソケット83には電球形蛍光ランプ50が装着される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態である電球形蛍光ランプの側面断面図。
【図2】図1の電球形蛍光ランプの要部拡大断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態である電球形蛍光ランプの要部拡大断面の概略図。
【図4】第1および第2の実施形態の電球形蛍光ランプの組立工程を示す工程図。
【図5】図4の発光管の形状が異なる電球形蛍光ランプの組立工程を示す工程図。
【図6】本発明の第3の実施形態である電球形蛍光ランプの組立工程を示す工程図。
【図7】図6の発光管の形状が異なる電球形蛍光ランプの組立工程を示す工程図。
【図8】本実施形態の電球形蛍光ランプを用いた照明装置の概略図。
【符号の説明】
【0066】
10‥グローブ、11‥開口部、12‥略球状部、13‥カバー体、20‥蛍光ランプ、21,21’‥発光管、24‥電極手段、25‥封止部、30‥口金、40‥点灯装置、50,50’…電球形蛍光ランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止部を備えた一端側の幅寸法が他端側から中間部にかけて最大となる幅寸法よりも小さくなるように形成された発光管、この発光管の内面に形成された蛍光体層、発光管内に封入された放電媒体および発光管内に屈曲した1本の放電路を生起可能に設けられた電極手段を有する蛍光ランプと;
一端から他端に沿った平面を境に複数に分割された分割体を組合せて構成され、一端側の開口部が縮径され、中間部が一端側よりも膨出して他端側に略球状部が形成されており内部空間に前記蛍光ランプが収容されたグローブと;
少なくとも一端側の外面側に口金が設けられ、他端側の内周面側に前記分割体同士が接合した状態の前記グローブの一端側と係合する係合部が周状に形成されており、前記蛍光ランプおよび前記蛍光ランプを点灯させる点灯装置の少なくとも一部を収容しているカバー体と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
前記グローブの一端側と前記カバー体との間隙に回転防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項3】
前記グローブは、前記蛍光ランプが前記カバー体に支持された状態において、前記グローブを他端側に移動させて内壁面と前記蛍光ランプとが当接したときに前記グローブの一端側縁部が前記カバー体よりも他端側に位置するような所定の寸法関係を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一に記載の電球形蛍光ランプと;
この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−294130(P2007−294130A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117817(P2006−117817)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】