電界効果トランジスタ及びその製造方法
【目的】 ゲート電極の2段リセス形状を一定に制御可能とする。
【構成】 半導体基板1の上面にn型GaAs等の活性層2を成長させ、活性層2の厚さが1000〜2500オングストロームとなった時点でAlGaAs等のストッパー層3を成長させ、引き続いてn型GaAs等の活性層4を成長させる。活性層4の上面に形成したソース及びドレイン電極5,6上のレジストパターンをマスクとして活性層4を選択的にエッチングして、外側の幅の広いリセス8を形成する。リセス8の深さd2は活性層4の膜厚に等しい。更にストッパー層3及び活性層2をエッチングして内側の幅の狭いリセス10を形成し、当該リセス10の底面にゲート電極11を蒸着リフトオフ法により形成する。
【構成】 半導体基板1の上面にn型GaAs等の活性層2を成長させ、活性層2の厚さが1000〜2500オングストロームとなった時点でAlGaAs等のストッパー層3を成長させ、引き続いてn型GaAs等の活性層4を成長させる。活性層4の上面に形成したソース及びドレイン電極5,6上のレジストパターンをマスクとして活性層4を選択的にエッチングして、外側の幅の広いリセス8を形成する。リセス8の深さd2は活性層4の膜厚に等しい。更にストッパー層3及び活性層2をエッチングして内側の幅の狭いリセス10を形成し、当該リセス10の底面にゲート電極11を蒸着リフトオフ法により形成する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電界効果トランジスタ(以下、FETと略す)とその製造方法に関し、特にそのゲートリセス構造及びその製造方法に関するものである。例えば、本発明は、高出力GaAsFETにおける2段リセス構造の技術に適用される。
【0002】
【従来の技術】一般に、電界効果トランジスタの高出力化のためには、高耐圧化が求められている。そこで、係る要望に応えるべく、通常、ゲートリセスの両側が階段型の2段リセスが適用されている。
【0003】図20は、その様な2段リセス構造を有する従来のFETの断面図である。同図において、1Pは半導体基板、2Pは活性層、5Pはソース電極、6Pはドレイン電極、11Pはゲート電極、8Pは2段リセスのうち外側の幅の広いリセス、10Pは2段リセスのうち内側の幅の狭いリセスである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図20に示した2段リセス構造では、外側のリセス8Pと内側のリセス10Pとを形成するために2回のエッチング工程が必要となる。その際、従来の半導体装置では、エッチングレートに基づく時間的制御によって外側のリセス8Pの深さdP2及び内側のリセス10Pの深さdP1を一定値にする様にしているが、実際には深さdP1,dP2を一定値に正確に制御することが困難であり、そのためにリセス形状が安定しないという製造上、構造上の問題点が発生している。係るリセス形状の不安定さは、ゲート電圧についての耐圧特性やピンチオフ電圧やドレイン電流といったトランジスタ特性を不安定にするという問題点を発生させている。
【0005】この発明は、上述した問題点を克服すべくなされたものであり、その目的は、2段リセスの一方のリセスないしは両方のリセスの深さを一定に制御可能とする、電界効果トランジスタの構造とその製造方法を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、半導体基板と、前記半導体基板の上面に形成された活性層と、前記活性層の上面よりその内部に向けて形成された第1リセスと、前記第1リセスの底面に形成されたゲート電極と、前記第1リセスを除く前記活性層の上面に形成された半導体膜と、前記半導体膜の上面に形成され、前記第1リセスの上方において前記第1リセスよりも幅の広い第2リセスを形成する新たな活性層とを備えた電界効果トランジスタであり、前記半導体膜は前記活性層及び新たな活性層とは異なる種類の材質からなる。
【0007】請求項2に係る発明では、請求項1記載の電界効果トランジスタに於ける前記第1リセスの底面が前記活性層の下面よりも上方に位置している。
【0008】請求項3に係る発明では、請求項1記載の電界効果トランジスタにおける前記活性層が、前記半導体基板の上面に形成された第1活性層と、前記第1活性層の上面に形成された新たな半導体膜と、前記新たな半導体膜の上面に形成され、前記新たな半導体膜の上面の一部を底面とする前記第1リセスを形成する第2活性層とを有しており、前記新たな半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の材質からなる。
【0009】請求項4に係る発明では、請求項3記載の電界効果トランジスタにおいて、前記新たな半導体膜に代えて、前記第1及び第2活性層とは異なる種類の別の半導体膜を前記第1活性層と前記第2活性層との間にのみ形成している。
【0010】請求項5に係る発明は、活性層内に形成されるゲートリセスが外側の幅の広いリセスと内側の幅の狭いリセスとから成る2段リセス構造を有する電界効果トランジスタにおいて、前記活性層とは異なる種類の半導体膜を前記外側の幅の広いリセスの底面に形成している。
【0011】請求項6に係る発明では、請求項5記載の電界効果トランジスタにおける前記内側の幅の狭いリセスの底面に前記活性層とは異なる種類の別の半導体膜を形成している。
【0012】請求項7に係る発明は、電界効果トランジスタの製造方法において、半導体基板上に第1活性層、半導体膜及び第2活性層を順次に成長させる工程と、前記第2活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第2活性層の上面より前記第2活性層を選択的にエッチングし、これにより前記半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記半導体膜の上面の一部分より前記半導体膜及び前記第1活性層をエッチングして、前記第1活性層内部にその底面を有し且つ前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの前記底面上にゲート電極を形成する工程とを備えており、前記半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の膜である。請求項8に係る発明では、請求項7記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2リセスを形成する工程を有している。
【0013】請求項9に係る発明では、請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記エッチング液によって前記半導体膜を選択的にエッチングして、得られたリセスを前記第2リセスとする工程を有している。
【0014】請求項10に係る発明では、請求項9記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に、前記露出した第2活性層の上面の一部を底面とする開口を有するレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記第2活性層の選択的エッチングを行い、前記レジストパターンを除去する工程を有しており、前記第1リセスの形成工程が、前記第2リセス内に開口を有する新たなレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極の各上面と前記第2リセスの底面上に形成し、前記新たなレジストパターンをマスクとして前記半導体膜及び前記第1活性層のエッチングを行って前記第1リセスを形成し、前記新たなレジストパターンを除去する工程を有している。
【0015】請求項11に係る発明では、請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記半導体膜を前記エッチング液によって選択的にエッチングし、露出した前記第2活性層の側面を前記エッチング液によって更にサイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有している。
【0016】請求項12に係る発明では、請求項11記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記第2リセスの幅よりも狭い開口を有するレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記エッチング液を用いた選択的エッチングを行い、前記半導体膜の上面の一部をその底面とする開口を前記第2活性層に形成し、更に前記開口の側面を成す前記第2活性層の側面を前記サイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有している。
【0017】請求項13に係る発明では、請求項12記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第1リセスの形成工程が、前記レジストパターンをマスクとして前記半導体膜を異方性エッチングし、前記異方性エッチングにより露出した前記第1活性層の上面より前記エッチング液を用いて前記第1活性層をエッチングして前記第1リセスを形成し、前記レジストパターンを除去する工程を有している。
【0018】請求項14に係る発明は、電界効果トランジスタの製造方法において、半導体基板上に第1活性層、第1半導体膜、第2活性層、第2半導体膜及び第3活性層を順次に成長させる工程と、前記第3活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第3活性層の上面より当該第3活性層を選択的にエッチングし、これにより前記第2半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記第2半導体膜の上面の一部分より前記第2半導体膜をエッチングして当該第2半導体膜を貫通する工程と、前記貫通により露出した前記第2活性層の上面より前記第1半導体膜の上面が露出するまで前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2活性層内に前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの底面上にゲート電極を形成する工程とを備えており、前記第1及び第2半導体膜は共に前記第1乃至第3活性層の各層とは異なる種類の膜である。
【0019】請求項15に係る発明では、請求項14記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2及び第3活性層の選択的エッチングを、それぞれ前記第1及び第2半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって行っている。
【0020】請求項16に係る発明では、請求項15記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第1リセスの形成工程が、前記第2活性層を選択的にエッチングして、前記露出した第1半導体膜の上面をその底面とする前記第1リセスを形成する工程を有している。
【0021】
【作用】請求項1に係る発明では、第1リセスと第2リセスとが電界効果トランジスタの高耐圧化のための2段リセスを構成している。しかも、第2リセスは2段リセス構造の内の外側の幅の広いリセスを構成しており、第2リセスの深さは新たな活性層の膜厚により決定される。
【0022】請求項2に係る発明では、第1リセスの深さは、その下面と活性層の上面との距離に相当しており、第1リセスの下面と半導体基板の上面とに挟まれた領域が電界効果トランジスタの活性層乃至動作層として機能する。
【0023】請求項3に係る発明では、第1リセスの深さも、第2活性層の膜厚により決定される。そして、第1活性層が電界効果トランジスタの活性層として機能し、その領域は第1活性層の膜厚により決定される。
【0024】請求項4に係る発明では、第1リセスの底面は第1活性層の上面であり、その深さは、第2活性層の膜厚と別の半導体膜の膜厚とにより決定される。そして、第1活性層が電界効果トランジスタの活性層として機能し、その領域は第1活性層の膜厚により決定される。
【0025】請求項5に係る発明では、半導体膜は外側の幅の広いリセスの深さを決定する。
【0026】請求項6に係る発明では、別の半導体膜は内側の幅の狭いリセスの深さを決定する。
【0027】請求項7に係る発明では、第2リセス形成工程により第2活性層のみが選択的にエッチングされ、半導体膜の上面を底面とする第2リセスが形成される。従って、半導体膜の上面の位置を以て第2リセスの深さが決定され、その深さは第2活性層の厚みに相当する。引続き行われる第1リセス形成工程では、第2リセスの底面の一部から半導体膜及び第1活性層のエッチングが開始され、第2リセスよりも幅の狭い第1リセスが形成される。第1及び第2リセスは、2段のゲートリセスを構成している。
【0028】請求項8に係る発明では、半導体膜は第2活性層のエッチング時のストッパー膜として機能し、第2活性層のみがエッチング液によってエッチングされる。
【0029】請求項9に係る発明では、露出している第2活性層の上面よりエッチングが開始され、半導体膜の上面が露出した段階で当該選択的エッチングは終了される。従って、当該選択的エッチングに最終的に形成された第2リセスの幅は露出していた第2活性層の上面の幅に対応する。
【0030】請求項10に係る発明では、レジストパターンをマスクとした選択的エッチングにより、第2リセスが形成される。従って、第2リセスの幅は上記レジストパターンの開口径に対応する。更に、上記レジストパターンの開口径よりも小さな開口径を有する新たなレジストパターンが、第2リセス内に形成され、この新たなレジストパターンをマスクとしたエッチングにより、第1リセスが形成される。従って、第1リセスの幅は、新たなレジストパターンの開口径に対応する。
【0031】請求項11に係る発明では、第2リセスの形成は2段階の選択的エッチングにより行われる。即ち、最初の選択的エッチングにより露出した第2活性層の上面に対してほぼ垂直にエッチングされてリセスが形成され、半導体膜の上面が露出する。更に選択的エッチングが続行され、これにより上記リセスの側面をなす第2活性層がエッチングされて、上記リセスの幅が広がり、その結果、第1リセスよりも幅の広い第2リセスが形成される。
【0032】請求項12に係る発明では、レジストパターンで被覆されていない第2活性層の側面のエッチングが進行する。
【0033】請求項13に係る発明では、第2リセス形成時に用いたレジストパターンをそのまま用いて第1リセスが形成される。従って、第1リセスの幅は上記レジストパターンの開口径に相当する。
【0034】請求項14に係る発明では、第2リセス形成工程に於いて第3活性層の選択的エッチングが行われ、これにより第2半導体膜の上面の一部を底面とする第2リセスが形成される。更に第1リセス形成工程に於いて、第2リセスの底面の内で貫通された部分から第2活性層が選択的エッチングされ、第1半導体膜の上面の一部を底面とする第1リセスが形成される。第1活性層はエッチングされることはなく、電界効果トランジスタの活性層として機能する。
【0035】請求項15に係る発明では、第1半導体膜及び第2半導体膜はエッチング時のストッパー膜として機能する。
【0036】請求項16に係る発明では、第2活性層の選択的エッチングにより第1半導体膜の上面の一部が露出し、第1リセスの底面を成す。
【0037】
【実施例】
(実施例1) 以下、本発明の実施例1を説明する。図1R>1は、実施例1における第1のFETの構造を示す断面図である。同図において、1は例えばGaAsからなる半導体基板であり、2及び4は例えばn型GaAs等の活性層(4は新たな活性層に該当)であり、3は活性層2,4とは異なった種類の半導体膜(例えば、AlGaAs)であって、エッチングのストッパー層としての役割をもつ。以後、半導体膜3をストッパー層3と称する。又、5はソース電極を、6はドレイン電極を、11はゲート電極を、それぞれ示している。更に、8および10はゲート電極11の2段リセスを構成しており、その内の外側の幅の広いリセス(第2リセス)が8であり、ゲート電極11と接している内側の幅の狭いリセス(第1リセス)が10である。
【0038】上記構造において、活性層2(第1活性層)の厚み(第1膜厚)は1000〜2500オングストロームであり、ストッパー層3の厚みは50〜200オングストロームであり、活性層4(第2活性層)の厚み(第2膜厚)は1950〜2300オングストロームである。つまり、各層2〜4のトータルの厚みは3000〜5000オングストロームである。従って、半導体基板1の上面から1000〜2500オングストロームの位置に、ストッパー層3が形成されている。
【0039】図1に示す構造の電界効果トランジスタは、2段リセスの外側の幅の広いリセス8の底面に活性層2,4とは異なる種類の半導体膜3をエッチング時のストッパー層として有しており、この点に特徴がある。
【0040】即ち、このような構造のFETでは、外側の幅の広いリセス8を形成する際にその深さd2を一定にすることができ、その結果として、一定の深さd2の外側の幅の広いリセス8を備えることで、ゲート電圧に対するFETの耐圧特性を安定させることが可能となる。つまり、ドレイン電流やピンチオフ電圧等の特性は、内側の幅の狭いリセス10の底面と半導体基板1の上面とで挟まれた活性層2の厚みに依存するが、これらの特性が同一のもの同士では、外側の幅の広いリセス8の深さd2が共に一定であるので、その結果、両方のFETの2段リセスの深さないし形状は同一となる。これにより、両FETの耐圧特性も同一となる。従って、この意味で、リセス形状及び耐圧特性の安定化を図ることができるのである。
【0041】以下では、実施例1におけるFETの製造方法について、図に基づき説明する。
【0042】図2〜図6は、実施例1としての、第1のFETの製造工程を示す断面図である。これらの図において、1は半導体基板を、2及び4は活性層(各々、第1活性層,第2活性層)を、3は活性層2,4とは異なる種類の半導体膜であって、エッチングのストッパー膜としての役割をもつストッパー層を、5はソース電極を、6はドレイン電極を、7及び9はレジストパターンを、8は2段リセスを形成する外側の幅の広いリセスを、10は2段リセスを形成する内側の幅の狭いリセスを、11はゲート電極を、それぞれ示している。
【0043】先ず、図2に示す通り、半導体基板1上に、n型GaAsなどの活性層(2,4)を後述のストッパー層3をも含めてトータルとして3000〜5000オングストロームの厚さで成長させる。つまり、活性層2の成長途中に、例えば、活性層2が1000〜2500オングストロームの厚さとなった時点で、当該活性層2上に、例えばAlGaAsなどの、活性層2,4とは異なる種類の半導体膜を、ストッパー層3として、50〜200オングストロームの厚さでエピタキシャル成長させ、更にその上にn型GaAs等の活性層4をひき続いて成長させる。これにより、図2に示す形状の各層2〜4が、順次に半導体基板1の上面上に得られる。
【0044】次に、図3の工程では、ソース電極5及びドレイン電極6をフォトリソグラフィー及びリフトオフによって活性層4の上面上に形成する。そして、2段リセスの外側の幅の広いリセス8の幅を決定する開口を備えたレジストパターン7を、写真製版法によりソース電極5,ドレイン電極6及び露出した活性層4の一部の上面上に形成した上で、このレジストパターン7をマスクとして活性層4のウェットエッチング(選択リセスエッチング)を行い、これにより外側の幅の広いリセス8を活性層4に形成する。このとき、ストッパー層3に対する溶解度の低いエッチング液(例えば、クエン酸と過酸化水溶液)を使用し、活性層4の部分のみを選択的にエッチングする。
【0045】その後、灰化処理によりレジストパターン7を除去した後、更に写真製版法により、外側の幅の広いリセス8内に開口を有するゲート電極形成用のレジストパターン9(新たなレジストパターン)を形成する。これにより、半導体装置の断面構造は、図4に示すものとなる。
【0046】図5の工程では、前記レジストパターン9をマスクとしてストッパー層3及び活性層2を同時に非選択的にエッチングし、エッチングの深さを例えば1000オングストローム程度にする。これにより、内側の幅の狭いリセス10が形成される。
【0047】最後に、図6に示す通り、ゲート電極11を蒸着リフトオフ法により形成し、レジストパターン9を除去する。これにより、実施例1のFETが得られる。
【0048】以上述べた半導体装置の製造方法によれば、図2のストッパー層3の位置(半導体基板1の上面から1000〜2500オングストローム上方の位置)で、外側の幅の広いリセス8の深さd2(図6)を決定することができ、しかも活性層4の選択エッチングを行っているので、リセス形状のプロセスによるばらつきを低減することが可能である。
【0049】(実施例2) ここでは、上述した製造方法とは別の製造方法を用いて図1のFETを得る場合を、実施例2として説明する。図7〜図12は、その様な別の製造工程を示す断面図である。これらの図において、図1と同一符号のものは同一のものを示す。
【0050】図7は、図2と同一の工程である。従って、その説明を割愛する。
【0051】次の図8の工程では、図3と同様にしてソース電極5及びドレイン電極6を形成し、更に、外側の幅の広いリセス8よりも狭い開口を有する、ゲート電極形成用のレジストパターン7aを形成する。
【0052】その後、レジストパターン7aをマスクとして、活性層4(第2活性層)のウェットエッチング(選択リセスエッチング)を行なう。このとき、ストッパー層3に対する溶解度の低いエッチング液(実施例1と同様のもの)を使用して、活性層4の部分を選択的にエッチングする。これにより、図9の形状を得る。
【0053】更に、上記エッチング液を用いたオーバーエッチングを行なうことで、活性層4のサイドエッチングを行う。この場合、活性層4のサイドエッチング量Wを、例えば0.5μm程度にする。これにより、図10に示す形状を得る。
【0054】図11の工程では、前記ゲート電極形成用のレジストパターン7aをマスクとして異方性エッチングを行ない、これによりストッパー層3を部分的に除去して、活性層2(第1活性層)の上面の一部を露出させる。その後、前記エッチング液を使用して、露出した活性層2のウェットエッチングを行なう。このときの活性層2におけるエッチングの深さを、例えば1000オングストローム程度に制御する。これにより、活性層2に内側の幅の狭いリセス10(第1リセス)が形成される。
【0055】最後に、図12に示す通り、蒸着リフトオフ法によりゲート電極11を形成し、レジストパターン7aを灰化処理により除去することで、図1に示したFETが得られる。
【0056】このようなFETの製造方法によれば、図7R>7のストッパー層3の位置(半導体基板1の上面から1000〜2500オングストローム上方の位置)で、図1212に示す外側の幅の広いリセス8の深さd2を決定することができ、しかも、活性層4の選択エッチングを行なうことで、リセス形状のプロセスによるばらつきを低減することが可能である。又、実施例2では、ソース電極5及びドレイン電極6の形成後は1回の写真製版工程を行うのみで2段リセスを形成することが可能である。
【0057】(実施例3) 次に、本発明の実施例3として、図1とは異なる構造を備えた第2のFETとその製造方法とを説明する。
【0058】図13は、第2のFETの断面構造を示す図である。同図において、1は半導体基板であり、2,4,13は活性層であり、3及び12は、共に活性層2,4,13とは異なる種類の半導体膜(例えば、AlGaAs膜)であり、エッチング時のストッパー層としての役割をもつ(以後、ストッパー層3,12とも称する)。5はソース電極を、6はドレイン電極を、8及び10は、それぞれ、2段リセスの外側の幅の広いリセス(第2リセス)及びゲート電極11と接している内側の幅の狭いリセス(第1リセス)を、11はゲート電極を、各々示している。
【0059】上記構造において、活性層13(第1活性層)の厚み(第1膜厚)は500〜1500オングストロームであり、従って、ストッパー層12(第1半導体膜ないし、新たな半導体膜に該当)は半導体基板1の上面から上記第1膜厚分だけ上方に位置する。又、ストッパー層3(第2半導体膜に該当)は、半導体基板1の上面から1000〜2500オングストロームだけ上方に位置している。両ストッパー層12,3の膜厚は50〜200オングストロームである。ここでは、活性層2(第2活性層)及び活性層4(第3活性層)の膜厚を、それぞれ第2膜厚及び第3膜厚と呼ぶことにする。そして、第1〜第3の各膜厚と両ストッパー層12,3の膜厚の総和は、3000〜5000オングストロームである。尚、活性層13,ストッパー層12及び活性層2は、全体として活性層を形成しているとみることもできる。
【0060】図13に示す構造の電界効果トランジスタでは、実施例1の構造と比較して、更に内側の幅の狭いリセス10の底面にもストッパー層12を有している。
【0061】このような構造の半導体装置では、2段リセスの各リセス10,8の深さd1及びd2を共に一定になる様に形成することができる。即ち、深さd1は活性層2の第2膜厚に等しく、深さd2は活性層4の第3膜厚に等しい。その結果、2段リセス形状の安定化を図ることができ、その結果として、耐圧特性や、ピンチオフ電圧やドレイン電流等のトランジスタ特性を安定させることが可能となる。
【0062】そこで、以下では、第2のFETの製造方法について、図14〜図18の各断面図に基づき説明する。
【0063】先ず、GaAs等の半導体基板1上に、n型GaAsなどの活性層を3000〜5000オングストロームの厚さで成長させる。しかも、その活性層成長途中において、即ち、半導体基板1の上面より上方に500〜1500オングストローム及び1000〜2500オングストロームの位置において、例えば、AlGaAsなどの、活性層とは異なった種類の2層の半導体膜12,3を、それぞれ50〜200オングストロームの厚さで成長させる。これにより、半導体基板1上に、活性層13(500〜1500オングストローム),ストッパー層12(50〜200オングストローム),活性層2(450〜800オングストローム),ストッパー層3(50〜200オングストローム)及び活性層4(1950〜2300オングストローム)の順序で、各層13,12,2〜4がエピタキシャル成長し、図14の形状が得られる。
【0064】図15の工程では、先ず、ソース電極5及びドレイン電極6を、活性層4の上面にフォトリソグラフィー及びリフトオフにより形成する。その後、外側の幅の広いリセス8の幅を決定する開口径を備えたレジストパターン7bを形成した後、このレジストパターン7bをマスクとして、活性層4のウェットエッチング(選択リセスエッチング)を行なう。このとき、ストッパー層3に対する溶解度の低いエッチング液(例えば、実施例1のときと同じもの)を使用し、活性層4の部分のみを選択的にエッチングする。
【0065】その後はレジストパターン7bを除去した上で、外側の幅の広いリセス8内に開口を有するゲート電極形成用のレジストパターン9aを形成する(図16R>6)。
【0066】図17の工程では、レジストパターン9aをマスクとしてストッパー層3を異方性エッチングして活性層2の上面の一部を露出させ、更に、ストッパー層12に対する溶解度の低い前記エッチング液を使用して、活性層2の部分のみを選択的にリセスエッチングする。
【0067】その後は、レジストパターン9aをマスクとしてゲート金属を蒸着リフトオフ法により形成し、レジストパターン9aを除去することで、内側の幅の狭いリセス10内のストッパー層12の上面にゲート電極11が形成され(図18)、これによって、第2のFETが得られる。
【0068】以上述べた第2のFETの製造方法によれば、図14のストッパー層12及び3の位置のそれぞれで、図18の内側の幅の狭いリセス10及び外側の幅の広いリセス8のそれぞれの深さd1及びd2を決定することができ、更に、活性層13の厚みによりドレイン電流、ピンチオフ電圧等のトランジスタ特性が決まり、しかも2回の選択エッチングを適用して両リセス8,10を形成しているため、プロセスによるバラツキを抑制することが可能である。
【0069】(実施例3の変形例1) 上記実施例3では、図13に示した通り、ゲート電極11がストッパー層12の上面上に存在していたが、これに代えて、ストッパー層12を部分的に除去した後に、露出した活性層13の上面にゲート電極を形成してもよい。その様な第一の変形例の断面図を示すのが、図19である。
【0070】この変形例1では、実施例3における図17R>7の工程後に、選択性のないエッチングによってストッパー層12の露出した部分を除去する。その後、レジストパターン9aをマスクとして、露出した活性層13の上面にゲート電極11を蒸着リフトオフ法により形成する。この変形例1においても、実施例3と同様の効果が得られる。
【0071】(実施例3の変形例2) 図13に示したFETを、実施例2で説明したオーバーエッチングガスの方法を用いて製造することも可能である。即ち、図15R>5及び図16のレジストパターン7b,9aに代えて、図11に示したレジストパターン7aをマスクとして選択的エッチングとサイドエッチングとにより外側の幅の広いリセス8を形成し、上記レジストパターン7aをマスクとして半導体膜3を異方性エッチングして貫通し、さらにレジストパターン7aをマスクとして活性層2の選択的エッチングにより内側の幅の狭いリセス10を形成し、その後、ゲート電極11を露出した第1半導体膜12の上面に形成した上で、レジストパターン7aを除去する。これにより、レジストパターン形成を一回だけとして共通使用できる利点がある。
【0072】以上のように、この発明の各実施例1〜3及び変形例1,2によれば、ストッパー層を利用した選択リセスエッチングによりゲート電極の2段リセスを形成するため、2段リセスの形状を一定にすることができる。このため、デバイス特性を安定化させる効果がある。
【0073】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、第2リセスの深さを一定にすることができ、その結果、ゲート電極に印加される逆方向電圧に対する耐圧特性を安定化させることが可能となる。
【0074】請求項2に係る発明によれば、第2リセスの深さを一定にすることができるので、ドレイン電流やピンチオフ電圧等の活性層の厚みにより決定される特性が同一のもの同士では、2段リセスのトータルの深さを同一化することができる結果、ゲート電圧に対する耐圧特性をも同一化することができる。
【0075】請求項3に係る発明によれば、第1及び第2リセスの両方の深さを一定にすることができ、しかも電界効果トランジスタの活性層として機能する第1活性層の厚みをも一定にすることができる。従って、耐圧特性の安定化に加えて、ドレイン電流やピンチオフ電圧等の活性層の厚みにより決定される特性をも安定化させることができる。
【0076】請求項4に係る発明によれば、第1及び第2リセスの両方の深さと電界効果トランジスタの活性層の厚みとを一定化することができ、トランジスタ特性のバラツキが低減される。
【0077】請求項5に係る発明によれば、2段リセス構造の内の外側の幅の広いリセスの深さ一定にすることができ、ゲートリセスの耐圧特性を安定化して向上させることができる。
【0078】請求項6に係る発明によれば、2段リセス構造に於ける、外側の幅の広いリセス及び内側の幅の狭いリセスの深さを共に一定にすることができ、トランジスタ特性の安定化と向上を図ることができる。
【0079】請求項7に係る発明によれば、半導体膜の位置に於いて第2リセスの深さを決定付け且つ選択エッチングを行っているので、プロセスによる第2リセスの形状のばらつきを低減することができる。このことは、第1リセス及び第2リセスから成る2段リセス形状の安定化に寄与し得るので、電界効果トランジスタの耐圧特性の安定化を図ることが可能となる。
【0080】請求項8に係る発明によれば、半導体膜をエッチングのストッパー膜として利用することができ、第2リセスの形状のばらつきをプロセス的に低減させることができる。
【0081】請求項9に係る発明によれば、ドレイン電極とソース電極間に相当する幅を有し、且つ第2活性層の厚みに相当する深さを有する第2リセスを常に安定して形成することができ、2段リセス形状及び耐圧特性の安定化に貢献し得る。
【0082】請求項10に係る発明によれば、最初のレジストパターン形成工程を介して第2リセスを安定して形成することができ、次のレジストパターン形成工程を介して第1リセスを形成することができるので、2段リセス形状のばらつきをブロセス的に抑えることができる。
【0083】請求項11に係る発明によれば、半導体膜をエッチングのストッパー膜としたサイドエッチングを利用しているので、半導体膜の位置に於いて第2リセスの深さを決定付けることができると共に、プロセスによる第2リセスの形状のばらつきを低減することができる。
【0084】請求項12に係る発明によれば、レジストパターンをマスクとした選択的・サイドエッチングを行うので、幅の広い外側のリセスである第2リセスの形状を安定して形成することができ、耐圧特性のばらつきが少ない電界効果トランジスタを製造できる。
【0085】請求項13に係る発明によれば、第2リセスの形成に用いたレジストパターンを第1リセスの形成にも用いることができ、レジストパターン形成工程が一回で済む結果、2段リセスの形状を安定化させつつ、そのプロセスを削減することができる。
【0086】請求項14に係る発明によれば、第2半導体膜の位置に於いて第2リセスの深さを決定付けることができると共に、更に第1半導体膜の位置に於いても第1リセスの深さを決定付けることができる。そして、選択的エッチングを適用しているため、プロセスによる上記深さのばらつきを抑制することが可能であり、第1活性層の厚みによって特性が定まるドレイン電流やピンチオフ電圧等の特性や、ゲート電圧に対する耐圧特性を安定化することができる。
【0087】請求項15に係る発明によれば、第1及び第2リセスの両方の深さのバラツキを確実に抑制することができ、2段リセス形状を常に安定して形成することが可能となる。その結果、トランジスタ特性の安定化・向上を図ることができる。
【0088】請求項16に係る発明によれば、2段リセス形状の安定化・トランジスタ特性の安定化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における第1のFETの構造を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図8】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図9】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図10】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図11】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図12】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図13】 本発明における第2のFETの構造を示す断面図である。
【図14】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図15】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図16】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図17】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図18】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図19】 第2のFETの変形例の構造を示す断面図である。
【図20】 従来のFETの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板、2,4,13 活性層、3,12 ストッパー層、5 ソース電極、6 ドレイン電極、8 外側の幅の広いリセス、10 内側の幅の狭いリセス、11 ゲート電極、d1,d2 深さ。
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電界効果トランジスタ(以下、FETと略す)とその製造方法に関し、特にそのゲートリセス構造及びその製造方法に関するものである。例えば、本発明は、高出力GaAsFETにおける2段リセス構造の技術に適用される。
【0002】
【従来の技術】一般に、電界効果トランジスタの高出力化のためには、高耐圧化が求められている。そこで、係る要望に応えるべく、通常、ゲートリセスの両側が階段型の2段リセスが適用されている。
【0003】図20は、その様な2段リセス構造を有する従来のFETの断面図である。同図において、1Pは半導体基板、2Pは活性層、5Pはソース電極、6Pはドレイン電極、11Pはゲート電極、8Pは2段リセスのうち外側の幅の広いリセス、10Pは2段リセスのうち内側の幅の狭いリセスである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図20に示した2段リセス構造では、外側のリセス8Pと内側のリセス10Pとを形成するために2回のエッチング工程が必要となる。その際、従来の半導体装置では、エッチングレートに基づく時間的制御によって外側のリセス8Pの深さdP2及び内側のリセス10Pの深さdP1を一定値にする様にしているが、実際には深さdP1,dP2を一定値に正確に制御することが困難であり、そのためにリセス形状が安定しないという製造上、構造上の問題点が発生している。係るリセス形状の不安定さは、ゲート電圧についての耐圧特性やピンチオフ電圧やドレイン電流といったトランジスタ特性を不安定にするという問題点を発生させている。
【0005】この発明は、上述した問題点を克服すべくなされたものであり、その目的は、2段リセスの一方のリセスないしは両方のリセスの深さを一定に制御可能とする、電界効果トランジスタの構造とその製造方法を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、半導体基板と、前記半導体基板の上面に形成された活性層と、前記活性層の上面よりその内部に向けて形成された第1リセスと、前記第1リセスの底面に形成されたゲート電極と、前記第1リセスを除く前記活性層の上面に形成された半導体膜と、前記半導体膜の上面に形成され、前記第1リセスの上方において前記第1リセスよりも幅の広い第2リセスを形成する新たな活性層とを備えた電界効果トランジスタであり、前記半導体膜は前記活性層及び新たな活性層とは異なる種類の材質からなる。
【0007】請求項2に係る発明では、請求項1記載の電界効果トランジスタに於ける前記第1リセスの底面が前記活性層の下面よりも上方に位置している。
【0008】請求項3に係る発明では、請求項1記載の電界効果トランジスタにおける前記活性層が、前記半導体基板の上面に形成された第1活性層と、前記第1活性層の上面に形成された新たな半導体膜と、前記新たな半導体膜の上面に形成され、前記新たな半導体膜の上面の一部を底面とする前記第1リセスを形成する第2活性層とを有しており、前記新たな半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の材質からなる。
【0009】請求項4に係る発明では、請求項3記載の電界効果トランジスタにおいて、前記新たな半導体膜に代えて、前記第1及び第2活性層とは異なる種類の別の半導体膜を前記第1活性層と前記第2活性層との間にのみ形成している。
【0010】請求項5に係る発明は、活性層内に形成されるゲートリセスが外側の幅の広いリセスと内側の幅の狭いリセスとから成る2段リセス構造を有する電界効果トランジスタにおいて、前記活性層とは異なる種類の半導体膜を前記外側の幅の広いリセスの底面に形成している。
【0011】請求項6に係る発明では、請求項5記載の電界効果トランジスタにおける前記内側の幅の狭いリセスの底面に前記活性層とは異なる種類の別の半導体膜を形成している。
【0012】請求項7に係る発明は、電界効果トランジスタの製造方法において、半導体基板上に第1活性層、半導体膜及び第2活性層を順次に成長させる工程と、前記第2活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第2活性層の上面より前記第2活性層を選択的にエッチングし、これにより前記半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記半導体膜の上面の一部分より前記半導体膜及び前記第1活性層をエッチングして、前記第1活性層内部にその底面を有し且つ前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの前記底面上にゲート電極を形成する工程とを備えており、前記半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の膜である。請求項8に係る発明では、請求項7記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2リセスを形成する工程を有している。
【0013】請求項9に係る発明では、請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記エッチング液によって前記半導体膜を選択的にエッチングして、得られたリセスを前記第2リセスとする工程を有している。
【0014】請求項10に係る発明では、請求項9記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に、前記露出した第2活性層の上面の一部を底面とする開口を有するレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記第2活性層の選択的エッチングを行い、前記レジストパターンを除去する工程を有しており、前記第1リセスの形成工程が、前記第2リセス内に開口を有する新たなレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極の各上面と前記第2リセスの底面上に形成し、前記新たなレジストパターンをマスクとして前記半導体膜及び前記第1活性層のエッチングを行って前記第1リセスを形成し、前記新たなレジストパターンを除去する工程を有している。
【0015】請求項11に係る発明では、請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記半導体膜を前記エッチング液によって選択的にエッチングし、露出した前記第2活性層の側面を前記エッチング液によって更にサイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有している。
【0016】請求項12に係る発明では、請求項11記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2リセスの形成工程が、前記第2リセスの幅よりも狭い開口を有するレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記エッチング液を用いた選択的エッチングを行い、前記半導体膜の上面の一部をその底面とする開口を前記第2活性層に形成し、更に前記開口の側面を成す前記第2活性層の側面を前記サイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有している。
【0017】請求項13に係る発明では、請求項12記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第1リセスの形成工程が、前記レジストパターンをマスクとして前記半導体膜を異方性エッチングし、前記異方性エッチングにより露出した前記第1活性層の上面より前記エッチング液を用いて前記第1活性層をエッチングして前記第1リセスを形成し、前記レジストパターンを除去する工程を有している。
【0018】請求項14に係る発明は、電界効果トランジスタの製造方法において、半導体基板上に第1活性層、第1半導体膜、第2活性層、第2半導体膜及び第3活性層を順次に成長させる工程と、前記第3活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第3活性層の上面より当該第3活性層を選択的にエッチングし、これにより前記第2半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記第2半導体膜の上面の一部分より前記第2半導体膜をエッチングして当該第2半導体膜を貫通する工程と、前記貫通により露出した前記第2活性層の上面より前記第1半導体膜の上面が露出するまで前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2活性層内に前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの底面上にゲート電極を形成する工程とを備えており、前記第1及び第2半導体膜は共に前記第1乃至第3活性層の各層とは異なる種類の膜である。
【0019】請求項15に係る発明では、請求項14記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第2及び第3活性層の選択的エッチングを、それぞれ前記第1及び第2半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって行っている。
【0020】請求項16に係る発明では、請求項15記載の電界効果トランジスタの製造方法における前記第1リセスの形成工程が、前記第2活性層を選択的にエッチングして、前記露出した第1半導体膜の上面をその底面とする前記第1リセスを形成する工程を有している。
【0021】
【作用】請求項1に係る発明では、第1リセスと第2リセスとが電界効果トランジスタの高耐圧化のための2段リセスを構成している。しかも、第2リセスは2段リセス構造の内の外側の幅の広いリセスを構成しており、第2リセスの深さは新たな活性層の膜厚により決定される。
【0022】請求項2に係る発明では、第1リセスの深さは、その下面と活性層の上面との距離に相当しており、第1リセスの下面と半導体基板の上面とに挟まれた領域が電界効果トランジスタの活性層乃至動作層として機能する。
【0023】請求項3に係る発明では、第1リセスの深さも、第2活性層の膜厚により決定される。そして、第1活性層が電界効果トランジスタの活性層として機能し、その領域は第1活性層の膜厚により決定される。
【0024】請求項4に係る発明では、第1リセスの底面は第1活性層の上面であり、その深さは、第2活性層の膜厚と別の半導体膜の膜厚とにより決定される。そして、第1活性層が電界効果トランジスタの活性層として機能し、その領域は第1活性層の膜厚により決定される。
【0025】請求項5に係る発明では、半導体膜は外側の幅の広いリセスの深さを決定する。
【0026】請求項6に係る発明では、別の半導体膜は内側の幅の狭いリセスの深さを決定する。
【0027】請求項7に係る発明では、第2リセス形成工程により第2活性層のみが選択的にエッチングされ、半導体膜の上面を底面とする第2リセスが形成される。従って、半導体膜の上面の位置を以て第2リセスの深さが決定され、その深さは第2活性層の厚みに相当する。引続き行われる第1リセス形成工程では、第2リセスの底面の一部から半導体膜及び第1活性層のエッチングが開始され、第2リセスよりも幅の狭い第1リセスが形成される。第1及び第2リセスは、2段のゲートリセスを構成している。
【0028】請求項8に係る発明では、半導体膜は第2活性層のエッチング時のストッパー膜として機能し、第2活性層のみがエッチング液によってエッチングされる。
【0029】請求項9に係る発明では、露出している第2活性層の上面よりエッチングが開始され、半導体膜の上面が露出した段階で当該選択的エッチングは終了される。従って、当該選択的エッチングに最終的に形成された第2リセスの幅は露出していた第2活性層の上面の幅に対応する。
【0030】請求項10に係る発明では、レジストパターンをマスクとした選択的エッチングにより、第2リセスが形成される。従って、第2リセスの幅は上記レジストパターンの開口径に対応する。更に、上記レジストパターンの開口径よりも小さな開口径を有する新たなレジストパターンが、第2リセス内に形成され、この新たなレジストパターンをマスクとしたエッチングにより、第1リセスが形成される。従って、第1リセスの幅は、新たなレジストパターンの開口径に対応する。
【0031】請求項11に係る発明では、第2リセスの形成は2段階の選択的エッチングにより行われる。即ち、最初の選択的エッチングにより露出した第2活性層の上面に対してほぼ垂直にエッチングされてリセスが形成され、半導体膜の上面が露出する。更に選択的エッチングが続行され、これにより上記リセスの側面をなす第2活性層がエッチングされて、上記リセスの幅が広がり、その結果、第1リセスよりも幅の広い第2リセスが形成される。
【0032】請求項12に係る発明では、レジストパターンで被覆されていない第2活性層の側面のエッチングが進行する。
【0033】請求項13に係る発明では、第2リセス形成時に用いたレジストパターンをそのまま用いて第1リセスが形成される。従って、第1リセスの幅は上記レジストパターンの開口径に相当する。
【0034】請求項14に係る発明では、第2リセス形成工程に於いて第3活性層の選択的エッチングが行われ、これにより第2半導体膜の上面の一部を底面とする第2リセスが形成される。更に第1リセス形成工程に於いて、第2リセスの底面の内で貫通された部分から第2活性層が選択的エッチングされ、第1半導体膜の上面の一部を底面とする第1リセスが形成される。第1活性層はエッチングされることはなく、電界効果トランジスタの活性層として機能する。
【0035】請求項15に係る発明では、第1半導体膜及び第2半導体膜はエッチング時のストッパー膜として機能する。
【0036】請求項16に係る発明では、第2活性層の選択的エッチングにより第1半導体膜の上面の一部が露出し、第1リセスの底面を成す。
【0037】
【実施例】
(実施例1) 以下、本発明の実施例1を説明する。図1R>1は、実施例1における第1のFETの構造を示す断面図である。同図において、1は例えばGaAsからなる半導体基板であり、2及び4は例えばn型GaAs等の活性層(4は新たな活性層に該当)であり、3は活性層2,4とは異なった種類の半導体膜(例えば、AlGaAs)であって、エッチングのストッパー層としての役割をもつ。以後、半導体膜3をストッパー層3と称する。又、5はソース電極を、6はドレイン電極を、11はゲート電極を、それぞれ示している。更に、8および10はゲート電極11の2段リセスを構成しており、その内の外側の幅の広いリセス(第2リセス)が8であり、ゲート電極11と接している内側の幅の狭いリセス(第1リセス)が10である。
【0038】上記構造において、活性層2(第1活性層)の厚み(第1膜厚)は1000〜2500オングストロームであり、ストッパー層3の厚みは50〜200オングストロームであり、活性層4(第2活性層)の厚み(第2膜厚)は1950〜2300オングストロームである。つまり、各層2〜4のトータルの厚みは3000〜5000オングストロームである。従って、半導体基板1の上面から1000〜2500オングストロームの位置に、ストッパー層3が形成されている。
【0039】図1に示す構造の電界効果トランジスタは、2段リセスの外側の幅の広いリセス8の底面に活性層2,4とは異なる種類の半導体膜3をエッチング時のストッパー層として有しており、この点に特徴がある。
【0040】即ち、このような構造のFETでは、外側の幅の広いリセス8を形成する際にその深さd2を一定にすることができ、その結果として、一定の深さd2の外側の幅の広いリセス8を備えることで、ゲート電圧に対するFETの耐圧特性を安定させることが可能となる。つまり、ドレイン電流やピンチオフ電圧等の特性は、内側の幅の狭いリセス10の底面と半導体基板1の上面とで挟まれた活性層2の厚みに依存するが、これらの特性が同一のもの同士では、外側の幅の広いリセス8の深さd2が共に一定であるので、その結果、両方のFETの2段リセスの深さないし形状は同一となる。これにより、両FETの耐圧特性も同一となる。従って、この意味で、リセス形状及び耐圧特性の安定化を図ることができるのである。
【0041】以下では、実施例1におけるFETの製造方法について、図に基づき説明する。
【0042】図2〜図6は、実施例1としての、第1のFETの製造工程を示す断面図である。これらの図において、1は半導体基板を、2及び4は活性層(各々、第1活性層,第2活性層)を、3は活性層2,4とは異なる種類の半導体膜であって、エッチングのストッパー膜としての役割をもつストッパー層を、5はソース電極を、6はドレイン電極を、7及び9はレジストパターンを、8は2段リセスを形成する外側の幅の広いリセスを、10は2段リセスを形成する内側の幅の狭いリセスを、11はゲート電極を、それぞれ示している。
【0043】先ず、図2に示す通り、半導体基板1上に、n型GaAsなどの活性層(2,4)を後述のストッパー層3をも含めてトータルとして3000〜5000オングストロームの厚さで成長させる。つまり、活性層2の成長途中に、例えば、活性層2が1000〜2500オングストロームの厚さとなった時点で、当該活性層2上に、例えばAlGaAsなどの、活性層2,4とは異なる種類の半導体膜を、ストッパー層3として、50〜200オングストロームの厚さでエピタキシャル成長させ、更にその上にn型GaAs等の活性層4をひき続いて成長させる。これにより、図2に示す形状の各層2〜4が、順次に半導体基板1の上面上に得られる。
【0044】次に、図3の工程では、ソース電極5及びドレイン電極6をフォトリソグラフィー及びリフトオフによって活性層4の上面上に形成する。そして、2段リセスの外側の幅の広いリセス8の幅を決定する開口を備えたレジストパターン7を、写真製版法によりソース電極5,ドレイン電極6及び露出した活性層4の一部の上面上に形成した上で、このレジストパターン7をマスクとして活性層4のウェットエッチング(選択リセスエッチング)を行い、これにより外側の幅の広いリセス8を活性層4に形成する。このとき、ストッパー層3に対する溶解度の低いエッチング液(例えば、クエン酸と過酸化水溶液)を使用し、活性層4の部分のみを選択的にエッチングする。
【0045】その後、灰化処理によりレジストパターン7を除去した後、更に写真製版法により、外側の幅の広いリセス8内に開口を有するゲート電極形成用のレジストパターン9(新たなレジストパターン)を形成する。これにより、半導体装置の断面構造は、図4に示すものとなる。
【0046】図5の工程では、前記レジストパターン9をマスクとしてストッパー層3及び活性層2を同時に非選択的にエッチングし、エッチングの深さを例えば1000オングストローム程度にする。これにより、内側の幅の狭いリセス10が形成される。
【0047】最後に、図6に示す通り、ゲート電極11を蒸着リフトオフ法により形成し、レジストパターン9を除去する。これにより、実施例1のFETが得られる。
【0048】以上述べた半導体装置の製造方法によれば、図2のストッパー層3の位置(半導体基板1の上面から1000〜2500オングストローム上方の位置)で、外側の幅の広いリセス8の深さd2(図6)を決定することができ、しかも活性層4の選択エッチングを行っているので、リセス形状のプロセスによるばらつきを低減することが可能である。
【0049】(実施例2) ここでは、上述した製造方法とは別の製造方法を用いて図1のFETを得る場合を、実施例2として説明する。図7〜図12は、その様な別の製造工程を示す断面図である。これらの図において、図1と同一符号のものは同一のものを示す。
【0050】図7は、図2と同一の工程である。従って、その説明を割愛する。
【0051】次の図8の工程では、図3と同様にしてソース電極5及びドレイン電極6を形成し、更に、外側の幅の広いリセス8よりも狭い開口を有する、ゲート電極形成用のレジストパターン7aを形成する。
【0052】その後、レジストパターン7aをマスクとして、活性層4(第2活性層)のウェットエッチング(選択リセスエッチング)を行なう。このとき、ストッパー層3に対する溶解度の低いエッチング液(実施例1と同様のもの)を使用して、活性層4の部分を選択的にエッチングする。これにより、図9の形状を得る。
【0053】更に、上記エッチング液を用いたオーバーエッチングを行なうことで、活性層4のサイドエッチングを行う。この場合、活性層4のサイドエッチング量Wを、例えば0.5μm程度にする。これにより、図10に示す形状を得る。
【0054】図11の工程では、前記ゲート電極形成用のレジストパターン7aをマスクとして異方性エッチングを行ない、これによりストッパー層3を部分的に除去して、活性層2(第1活性層)の上面の一部を露出させる。その後、前記エッチング液を使用して、露出した活性層2のウェットエッチングを行なう。このときの活性層2におけるエッチングの深さを、例えば1000オングストローム程度に制御する。これにより、活性層2に内側の幅の狭いリセス10(第1リセス)が形成される。
【0055】最後に、図12に示す通り、蒸着リフトオフ法によりゲート電極11を形成し、レジストパターン7aを灰化処理により除去することで、図1に示したFETが得られる。
【0056】このようなFETの製造方法によれば、図7R>7のストッパー層3の位置(半導体基板1の上面から1000〜2500オングストローム上方の位置)で、図1212に示す外側の幅の広いリセス8の深さd2を決定することができ、しかも、活性層4の選択エッチングを行なうことで、リセス形状のプロセスによるばらつきを低減することが可能である。又、実施例2では、ソース電極5及びドレイン電極6の形成後は1回の写真製版工程を行うのみで2段リセスを形成することが可能である。
【0057】(実施例3) 次に、本発明の実施例3として、図1とは異なる構造を備えた第2のFETとその製造方法とを説明する。
【0058】図13は、第2のFETの断面構造を示す図である。同図において、1は半導体基板であり、2,4,13は活性層であり、3及び12は、共に活性層2,4,13とは異なる種類の半導体膜(例えば、AlGaAs膜)であり、エッチング時のストッパー層としての役割をもつ(以後、ストッパー層3,12とも称する)。5はソース電極を、6はドレイン電極を、8及び10は、それぞれ、2段リセスの外側の幅の広いリセス(第2リセス)及びゲート電極11と接している内側の幅の狭いリセス(第1リセス)を、11はゲート電極を、各々示している。
【0059】上記構造において、活性層13(第1活性層)の厚み(第1膜厚)は500〜1500オングストロームであり、従って、ストッパー層12(第1半導体膜ないし、新たな半導体膜に該当)は半導体基板1の上面から上記第1膜厚分だけ上方に位置する。又、ストッパー層3(第2半導体膜に該当)は、半導体基板1の上面から1000〜2500オングストロームだけ上方に位置している。両ストッパー層12,3の膜厚は50〜200オングストロームである。ここでは、活性層2(第2活性層)及び活性層4(第3活性層)の膜厚を、それぞれ第2膜厚及び第3膜厚と呼ぶことにする。そして、第1〜第3の各膜厚と両ストッパー層12,3の膜厚の総和は、3000〜5000オングストロームである。尚、活性層13,ストッパー層12及び活性層2は、全体として活性層を形成しているとみることもできる。
【0060】図13に示す構造の電界効果トランジスタでは、実施例1の構造と比較して、更に内側の幅の狭いリセス10の底面にもストッパー層12を有している。
【0061】このような構造の半導体装置では、2段リセスの各リセス10,8の深さd1及びd2を共に一定になる様に形成することができる。即ち、深さd1は活性層2の第2膜厚に等しく、深さd2は活性層4の第3膜厚に等しい。その結果、2段リセス形状の安定化を図ることができ、その結果として、耐圧特性や、ピンチオフ電圧やドレイン電流等のトランジスタ特性を安定させることが可能となる。
【0062】そこで、以下では、第2のFETの製造方法について、図14〜図18の各断面図に基づき説明する。
【0063】先ず、GaAs等の半導体基板1上に、n型GaAsなどの活性層を3000〜5000オングストロームの厚さで成長させる。しかも、その活性層成長途中において、即ち、半導体基板1の上面より上方に500〜1500オングストローム及び1000〜2500オングストロームの位置において、例えば、AlGaAsなどの、活性層とは異なった種類の2層の半導体膜12,3を、それぞれ50〜200オングストロームの厚さで成長させる。これにより、半導体基板1上に、活性層13(500〜1500オングストローム),ストッパー層12(50〜200オングストローム),活性層2(450〜800オングストローム),ストッパー層3(50〜200オングストローム)及び活性層4(1950〜2300オングストローム)の順序で、各層13,12,2〜4がエピタキシャル成長し、図14の形状が得られる。
【0064】図15の工程では、先ず、ソース電極5及びドレイン電極6を、活性層4の上面にフォトリソグラフィー及びリフトオフにより形成する。その後、外側の幅の広いリセス8の幅を決定する開口径を備えたレジストパターン7bを形成した後、このレジストパターン7bをマスクとして、活性層4のウェットエッチング(選択リセスエッチング)を行なう。このとき、ストッパー層3に対する溶解度の低いエッチング液(例えば、実施例1のときと同じもの)を使用し、活性層4の部分のみを選択的にエッチングする。
【0065】その後はレジストパターン7bを除去した上で、外側の幅の広いリセス8内に開口を有するゲート電極形成用のレジストパターン9aを形成する(図16R>6)。
【0066】図17の工程では、レジストパターン9aをマスクとしてストッパー層3を異方性エッチングして活性層2の上面の一部を露出させ、更に、ストッパー層12に対する溶解度の低い前記エッチング液を使用して、活性層2の部分のみを選択的にリセスエッチングする。
【0067】その後は、レジストパターン9aをマスクとしてゲート金属を蒸着リフトオフ法により形成し、レジストパターン9aを除去することで、内側の幅の狭いリセス10内のストッパー層12の上面にゲート電極11が形成され(図18)、これによって、第2のFETが得られる。
【0068】以上述べた第2のFETの製造方法によれば、図14のストッパー層12及び3の位置のそれぞれで、図18の内側の幅の狭いリセス10及び外側の幅の広いリセス8のそれぞれの深さd1及びd2を決定することができ、更に、活性層13の厚みによりドレイン電流、ピンチオフ電圧等のトランジスタ特性が決まり、しかも2回の選択エッチングを適用して両リセス8,10を形成しているため、プロセスによるバラツキを抑制することが可能である。
【0069】(実施例3の変形例1) 上記実施例3では、図13に示した通り、ゲート電極11がストッパー層12の上面上に存在していたが、これに代えて、ストッパー層12を部分的に除去した後に、露出した活性層13の上面にゲート電極を形成してもよい。その様な第一の変形例の断面図を示すのが、図19である。
【0070】この変形例1では、実施例3における図17R>7の工程後に、選択性のないエッチングによってストッパー層12の露出した部分を除去する。その後、レジストパターン9aをマスクとして、露出した活性層13の上面にゲート電極11を蒸着リフトオフ法により形成する。この変形例1においても、実施例3と同様の効果が得られる。
【0071】(実施例3の変形例2) 図13に示したFETを、実施例2で説明したオーバーエッチングガスの方法を用いて製造することも可能である。即ち、図15R>5及び図16のレジストパターン7b,9aに代えて、図11に示したレジストパターン7aをマスクとして選択的エッチングとサイドエッチングとにより外側の幅の広いリセス8を形成し、上記レジストパターン7aをマスクとして半導体膜3を異方性エッチングして貫通し、さらにレジストパターン7aをマスクとして活性層2の選択的エッチングにより内側の幅の狭いリセス10を形成し、その後、ゲート電極11を露出した第1半導体膜12の上面に形成した上で、レジストパターン7aを除去する。これにより、レジストパターン形成を一回だけとして共通使用できる利点がある。
【0072】以上のように、この発明の各実施例1〜3及び変形例1,2によれば、ストッパー層を利用した選択リセスエッチングによりゲート電極の2段リセスを形成するため、2段リセスの形状を一定にすることができる。このため、デバイス特性を安定化させる効果がある。
【0073】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、第2リセスの深さを一定にすることができ、その結果、ゲート電極に印加される逆方向電圧に対する耐圧特性を安定化させることが可能となる。
【0074】請求項2に係る発明によれば、第2リセスの深さを一定にすることができるので、ドレイン電流やピンチオフ電圧等の活性層の厚みにより決定される特性が同一のもの同士では、2段リセスのトータルの深さを同一化することができる結果、ゲート電圧に対する耐圧特性をも同一化することができる。
【0075】請求項3に係る発明によれば、第1及び第2リセスの両方の深さを一定にすることができ、しかも電界効果トランジスタの活性層として機能する第1活性層の厚みをも一定にすることができる。従って、耐圧特性の安定化に加えて、ドレイン電流やピンチオフ電圧等の活性層の厚みにより決定される特性をも安定化させることができる。
【0076】請求項4に係る発明によれば、第1及び第2リセスの両方の深さと電界効果トランジスタの活性層の厚みとを一定化することができ、トランジスタ特性のバラツキが低減される。
【0077】請求項5に係る発明によれば、2段リセス構造の内の外側の幅の広いリセスの深さ一定にすることができ、ゲートリセスの耐圧特性を安定化して向上させることができる。
【0078】請求項6に係る発明によれば、2段リセス構造に於ける、外側の幅の広いリセス及び内側の幅の狭いリセスの深さを共に一定にすることができ、トランジスタ特性の安定化と向上を図ることができる。
【0079】請求項7に係る発明によれば、半導体膜の位置に於いて第2リセスの深さを決定付け且つ選択エッチングを行っているので、プロセスによる第2リセスの形状のばらつきを低減することができる。このことは、第1リセス及び第2リセスから成る2段リセス形状の安定化に寄与し得るので、電界効果トランジスタの耐圧特性の安定化を図ることが可能となる。
【0080】請求項8に係る発明によれば、半導体膜をエッチングのストッパー膜として利用することができ、第2リセスの形状のばらつきをプロセス的に低減させることができる。
【0081】請求項9に係る発明によれば、ドレイン電極とソース電極間に相当する幅を有し、且つ第2活性層の厚みに相当する深さを有する第2リセスを常に安定して形成することができ、2段リセス形状及び耐圧特性の安定化に貢献し得る。
【0082】請求項10に係る発明によれば、最初のレジストパターン形成工程を介して第2リセスを安定して形成することができ、次のレジストパターン形成工程を介して第1リセスを形成することができるので、2段リセス形状のばらつきをブロセス的に抑えることができる。
【0083】請求項11に係る発明によれば、半導体膜をエッチングのストッパー膜としたサイドエッチングを利用しているので、半導体膜の位置に於いて第2リセスの深さを決定付けることができると共に、プロセスによる第2リセスの形状のばらつきを低減することができる。
【0084】請求項12に係る発明によれば、レジストパターンをマスクとした選択的・サイドエッチングを行うので、幅の広い外側のリセスである第2リセスの形状を安定して形成することができ、耐圧特性のばらつきが少ない電界効果トランジスタを製造できる。
【0085】請求項13に係る発明によれば、第2リセスの形成に用いたレジストパターンを第1リセスの形成にも用いることができ、レジストパターン形成工程が一回で済む結果、2段リセスの形状を安定化させつつ、そのプロセスを削減することができる。
【0086】請求項14に係る発明によれば、第2半導体膜の位置に於いて第2リセスの深さを決定付けることができると共に、更に第1半導体膜の位置に於いても第1リセスの深さを決定付けることができる。そして、選択的エッチングを適用しているため、プロセスによる上記深さのばらつきを抑制することが可能であり、第1活性層の厚みによって特性が定まるドレイン電流やピンチオフ電圧等の特性や、ゲート電圧に対する耐圧特性を安定化することができる。
【0087】請求項15に係る発明によれば、第1及び第2リセスの両方の深さのバラツキを確実に抑制することができ、2段リセス形状を常に安定して形成することが可能となる。その結果、トランジスタ特性の安定化・向上を図ることができる。
【0088】請求項16に係る発明によれば、2段リセス形状の安定化・トランジスタ特性の安定化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における第1のFETの構造を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施例1における第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図8】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図9】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図10】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図11】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図12】 本発明の実施例2としての第1のFETの製造工程を示す断面図である。
【図13】 本発明における第2のFETの構造を示す断面図である。
【図14】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図15】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図16】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図17】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図18】 本発明の実施例3における第2のFETの製造工程を示す断面図である。
【図19】 第2のFETの変形例の構造を示す断面図である。
【図20】 従来のFETの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板、2,4,13 活性層、3,12 ストッパー層、5 ソース電極、6 ドレイン電極、8 外側の幅の広いリセス、10 内側の幅の狭いリセス、11 ゲート電極、d1,d2 深さ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板と、前記半導体基板の上面に形成された活性層と、前記活性層の上面よりその内部に向けて形成された第1リセスと、前記第1リセスの底面に形成されたゲート電極と、前記第1リセスを除く前記活性層の上面に形成された半導体膜と、前記半導体膜の上面に形成され、前記第1リセスの上方において前記第1リセスよりも幅の広い第2リセスを形成する新たな活性層とを備え、前記半導体膜は前記活性層及び新たな活性層とは異なる種類の材質からなる、電界効果トランジスタ。
【請求項2】 請求項1記載の電界効果トランジスタにおいて、前記第1リセスの底面は前記活性層の下面よりも上方に位置することを特徴とする、電界効果トランジスタ。
【請求項3】 請求項1記載の電界効果トランジスタにおいて、前記活性層は、前記半導体基板の上面に形成された第1活性層と、前記第1活性層の上面に形成された新たな半導体膜と、前記新たな半導体膜の上面に形成され、前記新たな半導体膜の上面の一部を底面とする前記第1リセスを形成する第2活性層とを有し、前記新たな半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の材質からなることを特徴とする、電界効果トランジスタ。
【請求項4】 請求項3記載の電界効果トランジスタにおいて、前記新たな半導体膜に代えて、前記第1及び第2活性層とは異なる種類の別の半導体膜が前記第1活性層と前記第2活性層との間にのみ形成されており、前記第1活性層の上面の一部が前記第1リセスの底面を形成していることを特徴とする、電界効果トランジスタ。
【請求項5】 活性層内に形成されるゲートリセスが外側の幅の広いリセスと内側の幅の狭いリセスとから成る2段リセス構造を有する電界効果トランジスタにおいて、前記活性層とは異なる種類の半導体膜が前記外側の幅の広いリセスの底面を形成していることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項6】 請求項5記載の電界効果トランジスタにおいて、前記活性層とは異なる種類の別の半導体膜が前記内側の幅の狭いリセスの底面を形成していることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項7】 半導体基板上に第1活性層、半導体膜及び第2活性層を順次に成長させる工程と、前記第2活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第2活性層の上面より前記第2活性層を選択的にエッチングし、これにより前記半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記半導体膜の上面の一部分より前記半導体膜及び前記第1活性層をエッチングして、前記第1活性層内部にその底面を有し且つ前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの前記底面上にゲート電極を形成する工程とを備え、前記半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の膜である、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項8】 請求項7記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項9】 請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記エッチング液によって前記半導体膜を選択的にエッチングして、得られたリセスを前記第2リセスとする工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項10】 請求項9記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に、前記露出した第2活性層の上面の一部を底面とする開口を有するレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記第2活性層の選択的エッチングを行い、前記レジストパターンを除去する工程を有し、前記第1リセスの形成工程は、前記第2リセス内に開口を有する新たなレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極の各上面と前記第2リセスの底面上に形成し、前記新たなレジストパターンをマスクとして前記半導体膜及び前記第1活性層のエッチングを行って前記第1リセスを形成し、前記新たなレジストパターンを除去する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項11】 請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記半導体膜を前記エッチング液によって選択的にエッチングし、露出した前記第2活性層の側面を前記エッチング液によって更にサイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項12】 請求項11記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記第2リセスの幅よりも狭い開口を有するレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記エッチング液を用いた選択的エッチングを行い、前記半導体膜の上面の一部をその底面とする開口を前記第2活性層に形成し、更に前記開口の側面を成す前記第2活性層の側面を前記サイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項13】 請求項12記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1リセスの形成工程は、前記レジストパターンをマスクとして前記半導体膜を異方性エッチングし、前記異方性エッチングにより露出した前記第1活性層の上面より前記エッチング液を用いて前記第1活性層をエッチングして前記第1リセスを形成し、前記レジストパターンを除去する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項14】 半導体基板上に第1活性層、第1半導体膜、第2活性層、第2半導体膜及び第3活性層を順次に成長させる工程と、前記第3活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第3活性層の上面より当該第3活性層を選択的にエッチングし、これにより前記第2半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記第2半導体膜の上面の一部分より前記第2半導体膜をエッチングして当該第2半導体膜を貫通する工程と、前記貫通により露出した前記第2活性層の上面より前記第1半導体膜の上面が露出するまで前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2活性層内に前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの底面上にゲート電極を形成する工程とを備え、前記第1及び第2半導体膜は共に前記第1乃至第3活性層の各層とは異なる種類の膜である、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項15】 請求項14記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2及び第3活性層の選択的エッチングは、それぞれ前記第1及び第2半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって行うことを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項16】 請求項15記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1リセスの形成工程は、前記第2活性層を選択的にエッチングして、前記露出した第1半導体膜の上面をその底面とする前記第1リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項1】 半導体基板と、前記半導体基板の上面に形成された活性層と、前記活性層の上面よりその内部に向けて形成された第1リセスと、前記第1リセスの底面に形成されたゲート電極と、前記第1リセスを除く前記活性層の上面に形成された半導体膜と、前記半導体膜の上面に形成され、前記第1リセスの上方において前記第1リセスよりも幅の広い第2リセスを形成する新たな活性層とを備え、前記半導体膜は前記活性層及び新たな活性層とは異なる種類の材質からなる、電界効果トランジスタ。
【請求項2】 請求項1記載の電界効果トランジスタにおいて、前記第1リセスの底面は前記活性層の下面よりも上方に位置することを特徴とする、電界効果トランジスタ。
【請求項3】 請求項1記載の電界効果トランジスタにおいて、前記活性層は、前記半導体基板の上面に形成された第1活性層と、前記第1活性層の上面に形成された新たな半導体膜と、前記新たな半導体膜の上面に形成され、前記新たな半導体膜の上面の一部を底面とする前記第1リセスを形成する第2活性層とを有し、前記新たな半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の材質からなることを特徴とする、電界効果トランジスタ。
【請求項4】 請求項3記載の電界効果トランジスタにおいて、前記新たな半導体膜に代えて、前記第1及び第2活性層とは異なる種類の別の半導体膜が前記第1活性層と前記第2活性層との間にのみ形成されており、前記第1活性層の上面の一部が前記第1リセスの底面を形成していることを特徴とする、電界効果トランジスタ。
【請求項5】 活性層内に形成されるゲートリセスが外側の幅の広いリセスと内側の幅の狭いリセスとから成る2段リセス構造を有する電界効果トランジスタにおいて、前記活性層とは異なる種類の半導体膜が前記外側の幅の広いリセスの底面を形成していることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項6】 請求項5記載の電界効果トランジスタにおいて、前記活性層とは異なる種類の別の半導体膜が前記内側の幅の狭いリセスの底面を形成していることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項7】 半導体基板上に第1活性層、半導体膜及び第2活性層を順次に成長させる工程と、前記第2活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第2活性層の上面より前記第2活性層を選択的にエッチングし、これにより前記半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記半導体膜の上面の一部分より前記半導体膜及び前記第1活性層をエッチングして、前記第1活性層内部にその底面を有し且つ前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの前記底面上にゲート電極を形成する工程とを備え、前記半導体膜は前記第1及び第2活性層とは異なる種類の膜である、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項8】 請求項7記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項9】 請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記エッチング液によって前記半導体膜を選択的にエッチングして、得られたリセスを前記第2リセスとする工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項10】 請求項9記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に、前記露出した第2活性層の上面の一部を底面とする開口を有するレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記第2活性層の選択的エッチングを行い、前記レジストパターンを除去する工程を有し、前記第1リセスの形成工程は、前記第2リセス内に開口を有する新たなレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極の各上面と前記第2リセスの底面上に形成し、前記新たなレジストパターンをマスクとして前記半導体膜及び前記第1活性層のエッチングを行って前記第1リセスを形成し、前記新たなレジストパターンを除去する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項11】 請求項8記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記露出している第2活性層の上面より前記半導体膜の上面が露出するまで前記半導体膜を前記エッチング液によって選択的にエッチングし、露出した前記第2活性層の側面を前記エッチング液によって更にサイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項12】 請求項11記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2リセスの形成工程は、前記第2リセスの幅よりも狭い開口を有するレジストパターンを、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記露出した第2活性層との各上面に形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記エッチング液を用いた選択的エッチングを行い、前記半導体膜の上面の一部をその底面とする開口を前記第2活性層に形成し、更に前記開口の側面を成す前記第2活性層の側面を前記サイドエッチングして前記第2リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項13】 請求項12記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1リセスの形成工程は、前記レジストパターンをマスクとして前記半導体膜を異方性エッチングし、前記異方性エッチングにより露出した前記第1活性層の上面より前記エッチング液を用いて前記第1活性層をエッチングして前記第1リセスを形成し、前記レジストパターンを除去する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項14】 半導体基板上に第1活性層、第1半導体膜、第2活性層、第2半導体膜及び第3活性層を順次に成長させる工程と、前記第3活性層の上面にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極と前記ドレイン電極間に於いて露出している前記第3活性層の上面より当該第3活性層を選択的にエッチングし、これにより前記第2半導体膜の上面を底面とする第2リセスを形成する工程と、前記第2リセスの底面を形成する前記第2半導体膜の上面の一部分より前記第2半導体膜をエッチングして当該第2半導体膜を貫通する工程と、前記貫通により露出した前記第2活性層の上面より前記第1半導体膜の上面が露出するまで前記第2活性層を選択的にエッチングし、以て前記第2活性層内に前記第2リセスよりも幅の狭い第1リセスを形成する工程と、前記第1リセスの底面上にゲート電極を形成する工程とを備え、前記第1及び第2半導体膜は共に前記第1乃至第3活性層の各層とは異なる種類の膜である、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項15】 請求項14記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2及び第3活性層の選択的エッチングは、それぞれ前記第1及び第2半導体膜に対する溶解度の低いエッチング液によって行うことを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項16】 請求項15記載の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1リセスの形成工程は、前記第2活性層を選択的にエッチングして、前記露出した第1半導体膜の上面をその底面とする前記第1リセスを形成する工程を有することを特徴とする、電界効果トランジスタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図11】
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【図13】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開平8−97237
【公開日】平成8年(1996)4月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−234559
【出願日】平成6年(1994)9月29日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【公開日】平成8年(1996)4月12日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)9月29日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
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