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電着塗料用樹脂組成物、水性電着塗料、塗装方法および塗装物
説明

電着塗料用樹脂組成物、水性電着塗料、塗装方法および塗装物

【課題】 入り組んだ複雑な形状にも熱伝導性、放熱性および絶縁性を付与する電着塗料用樹脂組成物、水性電着塗料、塗装方法およびその塗装物を提供する。
【解決手段】 熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子と、酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂とからなる樹脂組成物であって、樹脂組成物の全体の重量に対して前記熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が5〜50重量%、前記酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂が50〜95重量%配合されている電着塗料用樹脂組成物;塩基性の中和剤または酸性の中和剤を含む水に該樹脂組成物を分散させてなる、電気伝導性を有する固体に塗装が可能な水性電着塗料;該塗料を用いて電着塗装をする方法および塗装物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子と酸性基または塩基性基を含有する親水性樹脂とからなる電着塗料用樹脂組成物、水性電着塗料、塗装方法とその塗装物に関する。さらに詳しくは被塗装物に放熱性および絶縁性を付与する電着塗料用樹脂組成物、水性電着塗料、塗装方法およびその塗装物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被塗装物に放熱性を付与する手法としては、アルミ軽合金にアルマイト処理を施し、表面積の大きいフィン形状を構成する方法(たとえば、特許文献1)、ビヒクル中にSnO−Sb系半導体粒子を分散させた塗料を塗布する方法(たとえば、特許文献2)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−43612号公報
【特許文献2】特開2001−230580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の方法は、材料選択の幅や、部品が占有するスペースに制約がある。後者の方法は、特定の半導体粒子を用いるので高価であり、さらに吹き付け塗装に用いるので入り組んだ形状には適用ができない。また半導体粒子を配合しているので電気絶縁性がなく電気電子部品には適用しづらい。
【0005】
電着塗料は、フィラーとして様々な物質を樹脂と同時に共析させてその用途に応じて多種にわたる特性の向上を実現することが可能であり、入り組んだ複雑な形状にも適用できるが、放熱性および絶縁性を付与する電着塗料は上市されていない。
【0006】
本発明の目的は、入り組んだ複雑な形状の塗装面であっても熱伝導性、放熱性および絶縁性を付与することができる電着塗料用樹脂組成物、水性電着塗料、塗装方法とその塗装物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子と、酸性基を含有する親水性樹脂とからなる樹脂組成物であって、樹脂組成物の全体の重量に対して前記熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が5〜50重量%、前記酸性基を含有する親水性樹脂が50〜95重量%配合されてなる電着塗料用樹脂組成物である。
【0008】
また本発明は、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子と、塩基性基を含有する親水性樹脂とからなる樹脂組成物であって、樹脂組成物の全体の重量に対して前記熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が5〜50重量%、前記塩基性基を含有する親水性樹脂が50〜95重量%配合されてなる電着塗料用樹脂組成物である。
【0009】
また本発明は、酸性基を含有する親水性樹脂を含む上記の電着塗料用樹脂組成物を、塩基性の中和剤を含む水に分散させてなることを特徴とする、電気伝導性を有する固体に塗装が可能な水性電着塗料である。
【0010】
また本発明は、塩基性基を含有する親水性樹脂を含む上記の電着塗料用樹脂組成物を、酸性の中和剤を含む水に分散させてなることを特徴とする、電気伝導性を有する固体に塗装が可能な水性電着塗料である。
【0011】
また本発明は、上記の水性電着塗料を用いて、電気伝導性を有する固体に電着塗装をする方法である。
【0012】
また本発明は、上記の電着塗装をする方法によって、電気伝導性を有する固体が電着塗装された塗装物である。
【0013】
さらに本発明は、上記の電着塗装をする方法が適用される電気伝導性を有する固体が回路基板または光学部品の反射板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、親水性樹脂は酸性基または塩基性基を含有するので、塩基性の中和剤または酸性の中和剤を含む水に分散させることが可能である。すなわち、本発明において親水性樹脂とは酸性基または塩基性基を塩基性の中和剤または酸性の中和剤により中和したとき水に分散または溶解が可能な樹脂をいう。また、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子は酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂に分散が可能であり、相互に含浸、濡れることによって、これらが均一に分散された水性電着塗料とすることができる。塗装後熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が熱伝導性、放熱性および絶縁性を被塗装物に付与し、さらに酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂も加熱乾燥後、被塗装物に絶縁性を付与することができる。本来熱伝導性のない金属、半導体および電気伝導性セラミックスなど電気伝導性を有するすべての固体に放熱性を付与し、かつ電気絶縁性を付与することが可能である。
【0015】
本発明の電着塗料用樹脂組成物は水に分散が可能であるので、有機溶剤の使用量が少なくなることで、安全面および環境面についても優れた特性を有している。
本発明においては、アルマイトと同様の放熱特性を有する有機−無機ハイブリッド塗装膜を本来熱伝導性の低い金属の上に容易に塗装可能であり、極めて均一コーティング性に優れるために、部品形状の自由度向上に大きく貢献するものである。しかも、有機塗膜をベースとしているため、絶縁特性も兼ね備えている。
【0016】
本発明によれば、酸性基を含有する親水性樹脂が塩基性の中和剤を含む水に分散するので、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を含む樹脂組成物を水に分散して水性電着塗料となる。この水性電着塗料は電気伝導性を有する固体に電着塗装が可能であり、塗装された物に熱伝導性、放熱性および電気絶縁性を付与することができる。また水性電着塗料を用いるので安全面および環境面においても優れた特性を有している。
【0017】
本発明によれば、塩基性基を含有する親水性樹脂が酸性の中和剤を含む水に分散するので、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を含む樹脂組成物を水に分散して水性電着塗料となる。この水性電着塗料は電気伝導性を有する固体に電着塗装が可能であり、塗装された物は熱伝導性、放熱性および電気絶縁性を有する。また水性電着塗料を用いるので安全面および環境面においても優れた特性を有している。
【0018】
本発明によれば、電気伝導性を有する固体に電着塗装をする方法は、樹脂組成物の全体の重量に対して前記熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が5〜50重量%、前記酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂が50〜95重量%が含まれる電着塗料用樹脂組成物を水に分散した水性電着塗料を用いているので、塗装された物に熱伝導性、放熱性および電気絶縁性を付与することができる。
【0019】
本発明によれば、水性電着塗料が熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を含有しているので、電着塗装された塗装物は熱伝導性、放熱性および電気絶縁性を有する。
【0020】
本発明によれば、電気伝導性を有する固体が回路基板または光学部品の反射板であるので本発明の電着塗料の効果が好適に発揮できる。回路基板における放熱絶縁電着塗装は、
基板材料の化学変化を起こさず、また必要な部分だけに選択的に均一かつ薄膜にて放熱絶縁コーティングが可能である。光学部品の反射板は適当な放熱性を有する微粉末の粒子径を選択する事により光沢を失わないでかつ放熱性、熱伝導性および絶縁性を付与させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明における一実施形態の電着塗装方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(塗料用樹脂組成物)
本発明において、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子は、硬質性、不燃性および非腐食性を有すると共に熱伝導性および絶縁性を有する微粒子状の固体材料をいう。これらを電着塗料に配合することにより、塗膜に熱伝導性、放熱性および絶縁性を付与することができる。
【0023】
セラミックス微粒子の熱伝導率は通常1〜2,000W/m・Kであり、好ましくは5〜1,000W/m・Kであり、特に好ましくは10〜500W/m・Kである。1〜2,000W/m・Kであると熱伝導性および放熱性が発揮でき、5〜1,000W/m・Kであると熱伝導性および放熱性がさらに良好であり、10〜500W/m・Kであると熱伝導性および放熱性が特に良好である。セラミックス微粒子つぃては、具体的には酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、およびこれらの混合物が挙げられる。しかしながらこれら以外の材料であっても、熱伝導性および絶縁性を兼ね備えたものであれば特に限定されるものではない。ここで特に現実的な適用可能性を考慮すると、比較的安価に入手可能であり、熱伝導性が高く、かつ化学的に安定で無害といった観点から、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムおよび窒化ホウ素が好ましい。
【0024】
セラミックス微粒子の形状は、球状、繊維状、薄片状、繊維状、針状など各種形態のものを用いることができ、物質が持つ結晶形態そのものを用いても、粉砕・分級して市販されるグレードを用いてもよい。これらの内で好ましいのは分散性の面から球状である。
【0025】
熱伝導および絶縁性を有するセラミックス微粒子は、塗膜と雰囲気ガスとの間での熱伝達効率を高める観点からは粒子状物を用いることが好ましい。セラミックス微粒子を配合した場合、表面形状の平滑性がある程度乱され表面積が拡大する。すなわち、熱交換面積が拡大し、このときさらに塗膜表面において乱流が発生するため熱交換効率の向上が図れる。粒子径は、小さすぎると分散性が高いため塗膜表面が平滑となり、熱交換効率の向上が充分に図れない恐れがある。このため、セラミックス微粒子の粒子径は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上が特に好ましい。一方、大きすぎると平滑性が乱れ光沢が低下し、塗膜形成後に粒子が脱離する恐れがある。このため、セラミックス微粒子の粒子径は20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が特に好ましい。なお、本発明において粒子径とは用いられるセラミックス微粒子の平均直径をいい、超遠心式自動粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製CAPA−700)により測定することができる。
【0026】
酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂は、酸性基または塩基性基を含有する樹脂であり塩基性の中和剤または酸性の中和剤で中和して電着塗料を形成することができれば限定はない。酸性基を含有する親水性樹脂の酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などが挙げられるが、電着塗料用としてはカルボキシル基が好ましい。塩基性基を含有する親水性樹脂の塩基性基としてはアミノ基、アミド基、ピリジン基、ピロリドン基、イミダゾール基、イミン基などが挙げられるが電着塗料用としてはアミノ基が好ましい。
【0027】
酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースエステル系樹脂などに酸性基または塩基性基を導入した樹脂が挙げられるが、アクリル樹脂、エポキシ樹脂に酸性基または塩基性基を含有した樹脂が好ましい電着塗料として使用しやすい。
【0028】
このようなものとしては、酸性基または塩基性基を有するアクリル共重合体、エポキシアミンアダクト樹脂が好ましい。
【0029】
アクリル共重合体は酸性基または塩基性基を有する単量体を他の重合性単量体と共重合して得られる。
【0030】
酸性基を有するアクリル共重合体は、たとえば、カルボキシル基含有単量体(a)、ヒドロキシル基含有有単量体(b)、その他の単官能性単量体(c)を共重合して得られる。
【0031】
カルボキシル基含有単量体(a)としては公知のものが使用でき、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの、分子内にカルボキシル基および重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。カルボキシル基含有単量体は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0032】
ヒドロキシ基含有単量体(b)としては公知のものが使用でき、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ基アルキル、たとえば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル;カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステルなどが挙げられる。カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステルは、カプロラクトンに(メタ)アクリル酸が付加されたものであり、市販品が使用できる。カプロラクトンに(メタ)アクリル酸が付加された市販品としては、たとえば、プラクセルFM1、プラクセルFM2、プラクセルFM3、プラクセルFA1、プラクセルFA2、プラクセルFA3(登録商標、ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。ヒドロキシ基含有単量体は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。これらの内で、(メタ)アクリル酸エステル2−ヒドロキシエチルが好ましい。ヒドロキシ基含有単量体は非イオン性であるが共重合体に親水性を付与することができる。ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの両方を言うものとする。
【0033】
その他の単官能性単量体(c)としては特に限定はないが、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジルなどのアラルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボニル、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレートなどの環状アルキル(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸2−(パーフロロオクチル)エチル、メタクリル酸トリフロロメチルなどのフッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル;N−フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。これらの1種または2種以上を併用できる。
【0034】
また塩基性基を有するアクリル共重合体は、たとえば、(メタ)アクリル酸のアミノ誘導体(d)、ヒドロキシル基含有単量体(b)、およびその他の単官能性単量体(c)を共重合して得られる。
【0035】
(メタ)アクリル酸のアミノ誘導体(d)としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミノ誘導体を用いることができる。
【0036】
ヒドロキシル基含有単量体(b)、およびその他の単官能性単量体(c)は上記のものが使用できる。
【0037】
アクリル共重合体における単量体の配合量については、上記の単量体(a),(b),(c)または(d),(b),(c)の組み合わせを任意の比率で行うことができる。単量体の配合量としては、たとえば、カルボキシル基含有単量体(a)または(メタ)アクリル酸のアミノ誘導体(d)を5〜30重量%、ヒドロキシ基含有単量体(b)を5〜30重量%、およびその他の単官能性単量体(c)を40〜90重量%含むものが好ましい。重合条件としては通常のアクリル重合の条件が好ましく適用できる。この場合には、公知の水溶性有機溶剤中で行ってもよく、たとえば、全体の40〜80重量%の水溶性有機溶剤が用いられる。
【0038】
重合して得られる酸性基または塩基性基を含有するアクリル共重合体の重量平均分子量は好ましくは1,000〜40,000、特に好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が1,000以上では、水中への分散性が良好であり、電着塗料自体の沈降が生じにくい。40,000以下であると、ゆず肌等の塗装の不良現象が発生せず均一な外観が得られる。なお、該アクリル共重合体の重量平均分子量Mwはゲルパーミエーション(GPC)法で測定でき、たとえば、次のようにして測定できる。
【0039】
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー社製)において、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液100mlを注入して測定する。試料溶液としては、アクリル共重合体(乾燥品)の0.25%テトラヒドロフラン溶液を一晩放置して溶解したものを用いる。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成する。
【0040】
また、エポキシアミンアダクト樹脂としては、エポキシ樹脂のエポキシ基を1級および2級アミンで30〜100%変性した誘導体が好ましく使用できる。反応には全体の40〜80重量%の水性有機溶剤に溶解させたものを用いることができる。
【0041】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名:エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009(以上、ジャパンエポキシレジン社製)]、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂[商品名:エピコート152、エピコート154(以上、ジャパンエポキシレジン社製)]、グリシジルアミン型エポキシ樹脂[商品名:エピコート604(ジャパンエポキシレジン製)]、およびダイマー酸型エポキシ樹脂(商品名:エピコート872(ジャパンエポキシレジン製)]などを用いることができるが、これらに限定されない。
【0042】
1級アミンとしては、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパ
ノールアミンなどの炭素数1〜4のモノアルカノールアミン;ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどの炭素数1〜4のモノアルキルアミンを用いることができ、2級アミンとしては、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどの炭素数1〜4のジアルカノールアミン;メチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミンなどの炭素数1〜4のモノアルカノールアミン;ジエチルアミン、ジn−ブチルアミンなどの炭素数1〜4のジアルキルアミンを用いることができるが、これらに限定されない。上記のアルカノールアミンは付加物の親水性を向上するので好適に用いられる。
【0043】
1級および2級アミンはエポキシ基に反応して付加することができる。配合比率はエポキシ基1等量に1級または2級アミンのHが0.5〜1.2等量を用いるのが好ましい。反応は室温〜50℃で行うのが好ましい。このようにしてアミノ基が付加したエポキシアミンアダクト樹脂が得られる。
【0044】
本発明の塗料用樹脂組成物は、樹脂組成物の全体の重量に対して熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が5〜50重量%と、前記酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂が50〜95重量%が配合されたものである。
【0045】
セラミックス微粒子の組成割合が、電着塗料用樹脂組成物に対して5重量%未満であると、被塗装物に十分な熱伝導性、放熱性および絶縁性が得られず、50重量%を超えると、樹脂組成物が水中に分散あるいは溶解しにくい。好ましくは5〜40重量%であり、特に好ましくは10〜30重量%である。前記酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂は、電着塗料用樹脂組成物に対して50重量%未満であるとセラミックス微粒子を配合した樹脂が水中に分散あるいは溶解しにくい。95重量%を超えると熱伝導性を有するセラミックス微粒子の共析率が低下し、十分な放熱性が得られず、また熱伝導性および絶縁性も不良となる。好ましくは60〜95重量%であり、特に好ましくは70〜90重量%である。
【0046】
また、上記の電着塗料用樹脂組成物の絶縁特性および塗膜の一般的な性質を発現するために、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのメラミン樹脂;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを三量体化し、メチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタム、フェノール、ジケトンなどでブロックしたブロック化イソシアネート;ポリイミド樹脂などを上記樹脂と混合してもよい。これらの樹脂は酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂の水酸基、カルボキシル基などの官能基と反応・架橋して、樹脂の性能を強化することができる。
【0047】
上記のポリイミド樹脂としては、下記(e),(f)を適当な有機溶剤中で等モル反応させたのち、脱水閉環反応させイミド化を完結させた溶剤可溶性イミド樹脂が使用できる。
【0048】
(e)芳香族テトラカルボン酸二無水物
3,4,3’,4’−ベンゾサルホンテトラカルボン酸ジ無水物、3,4,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸ジ無水物、ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルジ無水物、2,2−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジ無水物など、
【0049】
(f)芳香族ジアミン
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)−ベンゼン、2,2’−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなど。
【0050】
また、N,N’−m−キシレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−m−キシレンビスナジイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスアリルナジイミドなどの熱架橋性イミド化合物も使用できる。
【0051】
これらの架橋樹脂はアクリル共重合体、エポキシアミンアダクト樹脂のいずれにも適用できるが、アクリル共重合体はメラミン樹脂と、エポキシアミンアダクト樹脂はポリイミド樹脂と用いられると樹脂の特性が発揮できるので特に好ましい。これらのメラミン樹脂やポリイミド樹脂の配合量は樹脂合計量に対して好ましくは15〜60重量%であり、より好ましくは20〜50重量%である。
【0052】
(水性電着塗料)
本発明の水性電着塗料は、本発明の電着塗料用樹脂組成物、酸性または塩基性の中和剤(以下単に中和剤ということがある)および水を含む。本発明の水性電着塗料は、本発明の電着塗料用樹脂組成物に中和剤を加えて混合した後、水に投入して分散して製造してもよいし、中和剤を水に溶解した後、本発明の電着塗料用樹脂組成物を投入して分散して製造してもよい。好ましくは前者である。水性電着塗料における電着塗料用樹脂組成物の含有量は、固形分(塗膜形成成分)として、水性電着塗料全量の5〜20重量%が好ましく、より好ましくは8〜15重量%である。5重量%以上20重量%以下であると、塗料中での各成分の分散状態が安定になり、凝集・沈殿が発生せず、均一な塗膜外観が得られる。
【0053】
酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂は、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を水中に分散させ、電着塗装により被塗物に熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を析出させる。
【0054】
塩基性基を含有する親水性樹脂を水中に分散させるための酸性の中和剤としては、乳酸、酢酸、蟻酸、コハク酸、酪酸、メタンスルホン酸などの有機酸や塩酸、硝酸などの無機酸を用いることができる。好ましいのは有機酸である。
【0055】
酸性基を含有する親水性樹脂を水中に分散させるための塩基性の中和剤としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、ピリジンなどのアミン中和剤;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機中和剤を用いることが出来る。好ましいのはアミン系中和剤である。
【0056】
これらの酸性の中和剤および塩基性の中和剤の使用量は、親水性樹脂の酸性基または塩基性基の含有量、樹脂の水への溶解性などに応じて任意に変えることができるが、仕上り電着塗料1リットルに対して好ましくは0.2〜8gであり、より好ましくは0.5g〜7gであり、1〜6gが特に好ましい。0.2重量%以上であると、各親水性樹脂の水溶性化が十分であり、各親水性樹脂が水中で均一に分散する。5重量%以下であると、中和剤が不純物として残存しにくく、電着塗装ひいては電着塗装後の加熱による硬化塗膜に悪影響を及ぼすおそれがない。
【0057】
上記のように混合された水性電着塗料は、親水性樹脂と熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子間の含浸、濡れ性をもって水中への分散を可能とし、電着塗装することができる。また組成の特性により、有機溶剤の使用量が少なくなることで、安全面および環境面についても優れた特性を有している。
【0058】
(電着塗装)
本発明の水性電着塗料を用いる電着塗装は、従来の電着塗装と同様にして実施できる。たとえば、被塗装物となる対象基材に必要に応じて脱脂処理および酸洗処理などを施した後、本発明の水性電着塗料に対象基材を浸漬し、通電を行うことによって、対象基材の表面に未硬化の電着塗膜が形成される。この未硬化の電着塗膜が形成された被塗装物を加熱処理することによって、被塗装物表面に硬化した電着塗膜が形成される。
本発明における一実施形態の電着塗装方法のフローチャートを図1に示す。
【0059】
まず、ステップS1において、弱アルカリ脱脂を行う。たとえば、対象基材の表面にアルカリ水溶液を供給することにより行われる。アルカリ水溶液の供給は、たとえば、対象基材にアルカリ水溶液を噴霧するかまたは対象基材をアルカリ水溶液に浸漬させることにより行われる。アルカリとしては金属の脱脂に常用されるものを使用でき、たとえば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのアルカリ金属のリン酸塩などが挙げられる。アルカリ水溶液中のアルカリ濃度は、たとえば、処理する金属の種類、汚れの度合いなどに応じて適宜決定される。さらにアルカリ水溶液には、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤の適量が含まれていてもよい。脱脂は、20〜50℃程度の温度下(アルカリ水溶液の液温)に行われ、1〜5分程度で終了する。その他、酸性浴に浸漬する脱脂、気泡性浸漬脱脂、電解脱脂などを適宜組み合わせて実施することもできる。
ステップS2で対象基材は水洗される。
【0060】
ステップS3では、濃度1%の硝酸で中和(酸洗処理)を行う。酸洗処理は、たとえば、対象基材の表面に酸水溶液を供給することにより行われる。酸水溶液の供給は、脱脂処理におけるアルカリ水溶液の供給と同様に、対象基材への酸水溶液の噴霧、酸水溶液への浸漬などにより行われる。酸としては金属の酸洗に常用されるものを使用でき、たとえば、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。酸水溶液中の酸濃度は、たとえば、被処理金属の種類などに応じて適宜決定される。酸洗処理は、20〜30℃程度の温度下(酸水溶液の液温)に行われ、15〜60秒程度で終了する。脱脂処理および酸洗処理のほかに、スケール除去処理、下地処理、防錆処理などを施してもよい。
【0061】
ステップS4で対象基材は水洗される。
ステップS5で、さらにイオン交換水洗を行う。
【0062】
ステップS6で、電着塗装を行う。電着塗装は、公知の方法に従い、たとえば、本発明の水性電着塗料を満たした通電槽中に対象基材を完全にまたは部分的に浸漬して陽極とし、通電することにより実施される。電着塗装条件も特に制限されず、対象基材である電気伝導性を有する固体の種類、電着塗料の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られる被塗装物の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(電着塗料温度)10〜50℃程度、印加電圧10〜450V程度、電圧印加時間1〜10分程度、水性電着塗料の液温10〜45℃とすればよい。
【0063】
ステップS7で水洗し、ステップS8で乾燥する。電着塗装が施された被塗装物は、通電槽から取り出され、水洗後、乾燥される。
【0064】
ステップS9で焼き付けを行う。
焼き付けは、予備乾燥と硬化加熱とを含む。予備乾燥後に硬化加熱が行われる。予備乾燥は、60〜140℃程度の加熱下に行われ、3〜30分程度で終了する。硬化加熱は、150〜220℃程度の加熱下に行われ、10〜60分程度で終了する。このようにして、本発明の水性電着塗料による電着塗膜が得られる。
【0065】
本発明における対象基材は、金属はもちろんのことであるが、シリコン、チタン酸インジウムなど半導体、電気伝導性セラミックスなど、すべての電気伝導性を有する固体に適用できる。すなわち、対象基材は、電着塗装ができれば限定はないが、ステンレススチール(SUS304)、アルミニウムもしくはアルマイトを施したアルミニウム素材、めっき素材またはめっきを施した物品、ダイカストなどにも適用できる。
【0066】
めっき素材としては、この分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、純鉄、炭素鋼、高抗張力鋼(低合金鋼、マルエージング鋼)、磁性鋼、非磁性鋼、高マンガン鋼、ステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、オーステナイト・フェライト系ステンレス、析出硬化型ステンレスなど)、超合金鋼などの鉄系金属、銅および銅合金(無酸素銅、りん青銅、タフピッチ銅、アルミ青銅、ベリリウム銅、高力黄銅、丹銅、洋白、黄銅、快削黄銅、ネバール黄銅など)、鉄・ニッケル合金、ニッケル・クロム合金、ニッケル、クロム、アルミニウムおよびアルミニウム合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびこれらの合金、モリブデン、タングステンおよびこれらの合金、ニオブ、タンタルおよびこれらの合金、セラミックス類(アルミナ、ジルコアなど)などが挙げられる。めっき素材表面に施されるめっきの種類は特に制限されず、この分野で常用されるめっきをいずれも採用できる。たとえば、銅・ニッケル・クロムめっき、ニッケル・ボロン・タングステンめっき、ニッケル・ボロンめっき、黄銅めっき、ブロンズめっきなどの各種合金めっき、金めっき、銀めっき、銅めっき、錫めっき、ロジウムめっき、パラジウムめっき、白金めっき、カドミウムめっき、ニッケルめっき、クロムめっき、黒色クロムめっき、亜鉛めっき、黒色ニッケルめっき、黒色ロジウムめっき、亜鉛めっき、工業用(硬質)クロムめっきなどが挙げられる。また、ダイカストとしては、亜鉛ダイカスト、アルミニウムダイカスト、マグネシウムダイカストおよび焼結合金ダイカストなどが挙げられる。
【0067】
(塗装物)
上記の水性電着塗料が電着塗装された塗装物は、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を含む塗膜を被覆することにより、電気伝導性を有する固体に絶縁性と共に、放熱性および熱伝導性の向上が実現できる。
【0068】
したがって、本発明の水性電着塗料は特に以下の用途に好適に用いられる。
(1)回路基板における放熱絶縁塗装
LED基板や各種デバイス基板において、基板一体成型タイプのものや複雑な構造のもの、冷却管が付加されているものが開発されている。従来行われているアルマイト処理では均一な放熱皮膜形成が困難であり、このような基板に対する放熱処理としては適用しにくい。このような部品に対して本発明の水性電着塗料は、基板材料の化学変化を起こさず、また必要な部分だけに選択的に均一かつ10数μmの薄膜で放熱絶縁塗装が可能である。本発明の塗装方法は、基板の開発設計に大きな自由度を与えると共に、塗装効率の良い電着塗料の特性を活かし、コストの面でも貢献できる。
【0069】
(2)光学部品の反射板
従来のアルマイト処理では対象基材の光沢が失われるため、LEDやプラズマ発光体の反射板には使用できなかった。本発明の水性電着塗料では適当な放熱性を有するセラミックス微粉末の粒子径を選択することにより光沢を失わないで、放熱性、熱伝導性を付与させることが可能である。
【実施例】
【0070】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子として、酸化アルミニウム(A−1)、窒化ホウ素(A−2)の2種類、親水性樹脂として、下記B−1、B−2の2種類をそれぞれ用いた。比較のために酸化錫(A−3)を用いた。
【0071】
[親水性樹脂(B−1)の合成]
ジムロート還流管を備えた4ツ口フラスコにジエチレングリコールモノイソプロピルエ
ーテル43gを入れ、加熱還流を行った。次いで、アクリル酸5g、メタクリル酸メチル20g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル30g、アクリル酸n−ブチル20g、スチレン25gおよび重合開始剤であるベンゾインパーオキサイドを1g添加して均一に混合した後、滴下ロートに移した。前記の4ツ口フラスコに滴下ロートを取り付け、モーターで撹拌して、上記モノマーの混合物を8分割し、10分間隔で滴下する。反応温度70〜80℃で5〜6時間反応させた。その後、ベンゾインパーオキサイドを0.1g添加し、さらに約1時間モノマー臭がなくなるまで還流させ、固形分濃度:70%、粘度:20,000mPa・s(25℃)、酸価:35の淡黄色透明な樹脂溶液を得た。
【0072】
また、上記樹脂溶液を100重量部、ベンゾグアナミンを30重量部混合させたものを親水性樹脂B−1とした。
【0073】
[親水性樹脂(B−2)の合成]
ジムロート還流管を備えた4ツ口フラスコにエピコート1001(エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量:474)500gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル300gを入れて混合して溶解した。液温を90℃に昇温して保ち、ジエタノールアミン180gを滴下ロートに移した。前記の4ツ口フラスコに滴下ロートを取り付け、モーターで撹拌し、上記アミンを60分で滴下した。滴下終了後120℃にて90分間加熱し、固形分濃度:70%、粘度:13,000mPa・s(25℃)、MEQ:180の黄色透明なエポキシアミンアダクト樹脂溶液を得た。
【0074】
上記とは別にジムロート還流管を備えた4ツ口フラスコに3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物0.5モルとビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン0.5モルとをN−メチルピロリドンで不揮発分20%に希釈し、25℃にて24時間撹拌した。得られたポリアミド酸にトルエンを30g添加し140℃で4時間還流させて脱水閉環反応を行い、トルエンとの脱水反応にて生成した水を反応系外に除去し、固形分濃度:20%、対数粘度:0.6の褐色透明なポリイミド樹脂溶液を得た。
【0075】
次いで、上記エポキシアミンアダクト樹脂を70重量部、上記ポリイミド樹脂溶液を100重量部、トリレンジイソシアネート三量体のフェノールブロック体を20重量部の3者を混合させたものを親水性樹脂B−2とした。
【0076】
(実施例1〜4および比較例1)
(1)塗料作成
実施例1〜4については、上記に得られた親水性樹脂と熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子をそれぞれ適量混合し、中和剤で水中に分散させた。実施例ごとの樹脂量、中和剤量、攪拌条件を表1に示した。また、作成した水性電着塗料のpH、塗料の電導度についても表1に示した。
【0077】
比較例1は、親水性樹脂B−2のみで塗料作製したものである。なお、表1中の数値は、水性電着塗料1リットル中に含まれるグラム数である。
【0078】
下記表1からわかるように実施例1〜8の塗料における溶剤濃度は、1.5%と低濃度であり、安全性が高く、環境に対する影響も小さい。
【0079】
(2)電着塗装実験
次に、試験片への電着塗装を行った。
【0080】
実施例1〜4および比較例1,2の水性電着塗料を1リットル槽に入れ、液温を25℃に保持する。陽極にカーボン板を使用し、陰極に試験片であるSUS304板(50×50mm)を使用して電着塗装を行った。図1に従って具体的条件を示す。
【0081】
まず、ステップS1においてSUS304板を50℃で5分間の弱アルカリ脱脂を行い、ステップS2で水洗した。ステップS3では、濃度1%の硝酸を用いて室温で1分間の中和を行い、ステップS4で水洗した。ステップS5では、イオン交換水洗を行い、ステップS6において、電圧100Vで1分間の電着塗装を行った。ステップS7で水洗し、ステップS8で乾燥(100℃で15分間)した後、最後にステップS9で180℃、30分間の焼付を行った。
【0082】
塗装膜の一般評価項目は、膜厚(JIS K5600)、外観(目視)、鉛筆硬度(JIS K5600)、碁盤目剥離試験(JIS K5600)、体積抵抗値、絶縁破壊電圧を測定した。
【0083】
【表1】

【0084】
膜厚については、実施例1〜4および比較例1,2の塗料については9〜14μmであり、いずれの塗装物も平滑な外観を示した。
鉛筆硬度試験は、実施例1〜4および比較例1,2の塗料について4Hであった。
【0085】
碁盤目剥離試験は、実施例1〜4および比較例1,2の塗料について100/100であった。
【0086】
ガラス転移温度については、親水性樹脂の性質を反映して実施例2,4、比較例1,2で高い温度を示した。
【0087】
絶縁破壊電圧においては、実施例1〜4、比較例2では良好な数値を示した。中でも実施例2、4では親水性樹脂の性質を反映してより高い絶縁破壊電圧を示した。
【0088】
また、放熱特性は、膜厚10μmにして以下のものについて測定した。比較対照としてアルマイト処理を施したアルミ板、SUS304板も同時に用いた。その結果を表2に示した。
(i)試料温度100℃、波数4000cm‐1〜400cm‐1での赤外線平均放射率
(ii)試料を加熱し、熱源温度と試料温度の差(サーモグラフ使用)
【0089】
【表2】

【0090】
波数4000cm‐1〜400cm‐1での赤外線平均放射率において、実施例1〜4および比較例1の塗料についてはアルマイト板と同等の放射率を示したのに対して、比較例2では大きく低下している。
【0091】
熱源温度と試料温度の差についても実施例1〜4ではアルマイト板と同等の熱伝導率を示した。
【0092】
放熱特性に関しては実施例1〜4においてはSUS板上に塗装したものであり、SUS板では達成できない絶縁性と熱伝導性の機能が表面に付与できることを示している。
【0093】
以上のように本発明の水性電着塗料は、本来熱伝導性のない金属、半導体および電気伝導性セラミックスに放熱性を付与し、かつ絶縁性を提供することが可能である。また安全面および環境面においても優れた特性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の電着塗料用樹脂組成物および水性電着塗料は電気伝導性を有する固体の電着塗装に好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子と、酸性基を含有する親水性樹脂とからなる樹脂組成物であって、樹脂組成物の全体の重量に対して前記熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が5〜50重量%、前記酸性基を含有する親水性樹脂が50〜95重量%配合されてなる電着塗料用樹脂組成物。
【請求項2】
熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子と、塩基性基を含有する親水性樹脂とからなる樹脂組成物であって、樹脂組成物の全体の重量に対して前記熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子が5〜50重量%、前記塩基性基を含有する親水性樹脂が50〜95重量%配合されてなる電着塗料用樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1記載の電着塗料用樹脂組成物を、塩基性の中和剤を含む水に分散させてなることを特徴とする、電気伝導性を有する固体に塗装が可能な水性電着塗料。
【請求項4】
請求項2記載の電着塗料用樹脂組成物を、酸性の中和剤を含む水に分散させてなることを特徴とする、電気伝導性を有する固体に塗装が可能な水性電着塗料。
【請求項5】
請求項3または4記載の水性電着塗料を用いて、電気伝導性を有する固体に電着塗装をする方法。
【請求項6】
請求項5記載の電着塗装をする方法によって、電気伝導性を有する固体が電着塗装された塗装物。
【請求項7】
電気伝導性を有する固体が回路基板または光学部品の反射板である請求項6記載の塗装物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−36314(P2012−36314A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179061(P2010−179061)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(390035219)株式会社シミズ (14)
【Fターム(参考)】