説明

電磁アクチュエータ、光学絞り装置およびプロジェクタ

【課題】安定的な駆動を実現できる電磁アクチュエータ、光学絞り装置、および、プロジェクタを提供すること。
【解決手段】本発明の電磁アクチュエータ7は、電流が通流されるコイル73と、磁束を発生させる環状磁石74とを備え、環状磁石74は、環形状を有し、重心位置において周方向に回転可能に軸支され、磁束およびコイル73に通流される電流の相互作用による電磁力によって、前記重心位置を中心として回転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁アクチュエータ、光学絞り装置およびプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を変調して光学像を形成し、当該光学像を拡大投射するプロジェクタ等において、光束の光軸上に形成された開口の面積を、光軸に直交する面内にて移動自在な複数の遮光羽根により変化させる光学絞り装置が採用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光学絞り装置には、遮光羽根を駆動させるための駆動機構として、磁石の性質を用いた電磁アクチュエータが用いられている。
【0003】
特許文献1に記載の電磁アクチュエータは、環状のマグネットと、コイルと、コイルにより励磁される2つの磁性体とが備えており、励磁された磁性体およびマグネット間に働く引力・反発力により、マグネットが回転される。マグネットは、磁性体により形成された環状のレール溝に側面部を摺動させながら回転される。
【0004】
【特許文献1】特開2004−48874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電磁アクチュエータでは、マグネットは、側面部をレール溝に摺動させながら回転されるため、側面部およびレール溝の間でガタつきが生じる恐れがある。このようなガタつきが生じると、マグネットは、回転中心がずれながら回転することになり、マグネットが滑らかに回転されない恐れがある。さらに、電磁アクチュエータの設置向きを変更すると、マグネットおよびレール溝の接触面積が変化するため、設置向きによって電磁アクチュエータの駆動状態が異なるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、安定的な駆動を実現できる電磁アクチュエータ、光学絞り装置およびプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達するために、本発明の電磁アクチュエータは、電流が通流されるコイルと、磁束を発生させる永久磁石とを備え、前記永久磁石は、環形状を有し、重心位置において周方向に回転可能に軸支され、前記磁束および前記コイルに通流される電流の相互作用による電磁力によって前記重心位置を中心として回転されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、永久磁石が重心において回転可能に軸支されているため、永久磁石は、回転中心がずれることなく滑らかに回転されることができる。
さらに、永久磁石の荷重は軸支された重心位置にかかり、永久磁石は、この重心位置を回転中心として周方向に回転される。これより、永久磁石の回転運動に対する重力の影響は、その回転向きによらない。すなわち、本発明の電磁アクチュエータでは、永久磁石をいずれの回転向きに回転させても、所定の電力量で所定の駆動量を得ることができる。言い換えれば、電磁アクチュエータは、いずれの向きに設置されても、所定の電力量で所定の駆動量を得ることができる。
【0009】
本発明では、前記永久磁石における一方の端面側には、周方向に沿って隣接する磁極が互いに異なるように着磁され、前記コイルは、前記永久磁石に着磁された前記各磁極の異極間を平面的に囲うように前記永久磁石における一方の端面側に対向配置されていることが好ましい。
【0010】
コイルが、永久磁石に対し異極間を平面的に囲うように配置されたとき、電磁力は、永久磁石を周方向へ回転させるための回転力となる。本発明によれば、永久磁石の一方の端面には周方向に沿って異なる磁極が着磁されているため、磁極の異極間は、永久磁石の回転に応じて順次コイルに対向されることとなり、回転力は、永久磁石の回転に応じて順次発生することとなる。従って、コイルを通流する電流の大きさを調節すれば、永久磁石に対し連続して回転力を与えることができるので、永久磁石を回転させ続けることができる。
また、本発明によれば、コイルは、永久磁石の一方の端面に対し対向配置されている。すなわち、コイルおよび永久磁石が互いに積層配置されていることから、電磁アクチュエータをサイズダウンさせることができる。
【0011】
本発明では、前記コイルは、前記永久磁石に着磁された前記磁極の数に応じて複数設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも2つのコイルが永久磁石に対し磁極の異極間を平面的に囲うように対向されたとき、永久磁石は、電磁力による回転力を複数箇所同時に受ける。従って、永久磁石に対し同時に働く回転力を増大させることができ、永久磁石をさらに滑らかに回転させることができる。なお、永久磁石の互いに異なる異極間に同時に対向されるコイルの数が多いほど、永久磁石に対し同時に働く回転力は増大される。すなわち、全てのコイルが永久磁石に対し各異極間に同時に対向する構成である場合、回転力を最大限に増大させることができる。
【0012】
本発明では、前記永久磁石の一方の端面側には、前記コイルを挟んでコイル側磁性体が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、永久磁石に対し、コイルを挟んでコイル側磁性体を配置させたことから、コイルに向かう磁束の磁束密度を増加させることができる。これにより、永久磁石の磁界およびコイルに通流される電流の相互作用によって発生される電磁力を増大させることができる。すなわち、永久磁石を駆動させるための駆動力を増大させることができる。
【0013】
本発明では、前記永久磁石の他方の端面側には、反コイル側磁性体が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、永久磁石のコイル側とは反対側に反コイル側磁性体を配置させたことから、コイルに向かう磁束の磁束密度を増加させることができる。これにより、永久磁石の磁界およびコイルに通流される電流の相互作用によって発生される電磁力を増大させることができる。従って、永久磁石を駆動させるための駆動力を増大させることができる。
【0014】
本発明の光学絞り装置は、入射した光束の光量を調整する光学絞り装置であって、前述したいずれかの電磁アクチュエータを備え、前記電磁アクチュエータの前記永久磁石の回転に応じて移動可能に構成され、移動することで前記光束を通過可能とする開口面積を変更して前記光束の光量を調整する遮光羽根が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、永久磁石の回転に応じて遮光羽根が移動され、光束を通過させる開口部の開口面積が変更される。すなわち、本発明の光学絞り装置は、光束を通過させる開口部の開口面積を変更する遮光羽根を、移動向きによらず安定して駆動させることができる。さらにまた、本発明の光学絞り装置は、前述した電磁アクチュエータと同様の作用効果を奏することができる。
【0015】
本発明では、前記光束を通過可能とする開口面積を拡大する向きへ前記遮光羽根を付勢する付勢部材を備えていることが好ましい。
本発明によれば、遮光羽根により開口部の開口面積が縮小された際に、故障等で光学絞り装置の駆動が停止された場合でも、遮光羽根は、付勢部材によって、開口部の開口面積が拡大される向きへ移動される。これにより、光学絞り装置へ入射された光束は、開口部において遮光されることなく通過される。従って、遮光羽根への長時間の照射により、遮光羽根表面が熱せられ、遮光羽根および光学絞り装置が劣化されることを防ぐことができる。
【0016】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、前述したいずれかの光学絞り装置を備え、前記光学絞り装置は、前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に配設され、前記光源装置から前記光変調装置に照射される光束の光量を調整することを特徴とする。
本発明によれば、前述した電磁アクチュエータおよび光学絞り装置と同様の作用効果を奏することができる。具体的には、本発明のプロジェクタは、いずれの向きに設置させても安定的に駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
〔プロジェクタ1の構成〕
図1は、プロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン(図示略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筺体2と、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4等を備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装筺体2内において、投射レンズ3および光学ユニット4以外の空間には、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、およびプロジェクタ1全体を制御する制御装置等が配置されるものとする。
【0018】
外装筺体2は、合成樹脂等から構成され、図1に示すように、投射レンズ3および光学ユニット4を内部に収納配置する全体略直方体状に形成されている。この外装筺体2は、図示は省略するが、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケースと、プロジェクタ1の底面、前面、および背面をそれぞれ構成するロアーケースとで構成され、前記アッパーケースおよび前記ロアーケースは互いにねじ等で固定されている。
なお、外装筺体2は、合成樹脂等に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
【0019】
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から射出された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像(カラー画像)を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、外装筺体2の背面に沿って延出するとともに、外装筺体2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。なお、この光学ユニット4の詳細な構成については、後述する。
投射レンズ3は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する。この投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
【0020】
〔光学ユニットの詳細な構成〕
光学ユニット4は、図1に示すように、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、光学装置44と、光学絞り装置5と、これら装置41〜44,5を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備える。
照明光学装置41は、光学装置44を構成する後述する液晶パネルの画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系である。この照明光学装置41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備える。
【0021】
光源装置411は、図1に示すように、放射状の光線を射出する光源ランプ416と、この光源ランプ416から射出された放射光を反射し所定位置に収束させるリフレクタ417と、リフレクタ417にて収束される光束を光軸Aに対して平行化する平行化凹レンズ418とを備える。光源ランプ416としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、高圧水銀ランプが多用される。また、リフレクタ417としては、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ418を省略した構成とする。
【0022】
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を光学装置44の後述する液晶パネルの画像形成領域に結像させる機能を有している。
【0023】
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置され、第2レンズアレイ413からの光を略1種類の偏光光に変換するものである。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の後述する液晶パネルの画像形成領域にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。
【0024】
色分離光学装置42は、図1に示すように、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422により照明光学装置41から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学装置42で分離された色光を赤色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
【0025】
この際、色分離光学装置42のダイクロイックミラー421では、照明光学装置41から射出された光束の赤色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、青色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ419を通って青色光用の液晶パネルに達する。このフィールドレンズ419は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の緑色光および赤色光用の液晶パネルの光入射側に設けられたフィールドレンズ419も同様である。
【0026】
ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ419を通って緑色光用の液晶パネルに達する。一方、赤色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学装置43を通り、さらにフィールドレンズ419を通って赤色光用の液晶パネルに達する。なお、赤色光にリレー光学装置43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ419に伝えるためである。なお、リレー光学装置43には、3つの色光のうち赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0027】
光学装置44は、光変調装置としての3つの液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、3つの入射側偏光板442と、3つの射出側偏光板443と、クロスダイクロイックプリズム444とを備える。
3つの入射側偏光板442は、図1に示すように、各フィールドレンズ419の光路後段にそれぞれ配置される。これら入射側偏光板442は、偏光変換素子414で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射され、入射された光束のうち、偏光変換素子414で揃えられた光束の偏光方位と略同一方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。これら入射側偏光板442は、図示は省略するが、サファイアあるいは水晶等の透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。
【0028】
3つの液晶パネル441は、図1に示すように、各入射側偏光板442の光路後段にそれぞれ配置される。これら液晶パネル441は、図示は省略するが、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、前記制御装置から出力される駆動信号に応じて、所定の画素位置の前記液晶の配向状態が制御され、各入射側偏光板442から射出された偏光光束の偏光方位をそれぞれ変調する。
3つの射出側偏光板443は、図1に示すように、各液晶パネル441の光路後段にそれぞれ配置される。これら射出側偏光板443は、入射側偏光板442と略同様の構成を有し、図示は省略するが、透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。なお、射出側偏光板443を構成する前記偏光膜は、光束を透過する透過軸が、入射側偏光板442にて光束を透過する透過軸に略直交するように配置される。
【0029】
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443の光路後段に配置され、各射出側偏光板443から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム444は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、液晶パネル441R,441Bから射出され各射出側偏光板443を介した各色光を反射し、液晶パネル441Gから射出され射出側偏光板443を介した色光を透過する。このようにして、各液晶パネル441にて変調された各色光が合成されてカラー画像が形成される。
【0030】
光学絞り装置5は、図1に示すように、第1レンズアレイ412と第2レンズアレイ413との間に配設され、前記制御装置による制御の下、後述する複数の遮光羽根が移動することで光束を透過可能とする開口面積を変更して光源装置411から射出され第1レンズアレイ412を介した光束の光量を調整するものである。
なお、光学絞り装置5の具体的な構成については、後述する。
【0031】
〔光学絞り装置5の構成〕
図2は、光学絞り装置5の概略構成を示す図である。具体的に、図2は、光学絞り装置5を光束入射側(第1レンズアレイ412側)から見た分解斜視図である。図2では、説明の便宜上、光学絞り装置5を通過する光束の光軸をZ軸、該Z軸と直交する2つの軸をX軸(水平軸)およびY軸(垂直軸)とする。
光学絞り装置5は、図2に示すように、+Z軸方向側から順に、ベース体51と、電磁アクチュエータ7と、2枚の遮光体53と、カバー体54とを備えている。
【0032】
ベース体51は、第2レンズアレイ413(図1)の光束入射側に配置され、後述する電磁アクチュエータ7および遮光体53を支持する。ベース体51の周縁は−Z軸方向へ僅かに立設されている。
ベース板51は、略中央に形成された開口511と、+Y軸方向端部において+Z軸方向側へ膨出された膨出部512と、X軸方向両縁部においてY軸方向に沿って2本づつ形成され、それぞれ−Z軸方向へ突出する計4本のスライドピン513とを備えている。
開口511には光束が通過される。また、膨出部512の−Z軸方向側に形成された凹部内には、−Z軸方向側へ突設された支持軸5121が形成されている。
【0033】
電磁アクチュエータ7は、光学絞り装置5が組み立てられた際に、ベース体51の前記凹部内に収容される。電磁アクチュエータ7は、前記制御装置による制御の下、電気的なエネルギを機械的なエネルギに変換して、コイルに対し永久磁石を回転させることで、回動部材76を、支持軸5121を回転中心として回転させるものである。
回動部材76は、詳しくは後述するが、互いに対向位置に形成された2本のシャフト762と、シャフト762の先端部において−Z軸方向へ突出するシャフト軸763とを備えている。電磁アクチュエータ7の詳細な構成については後述する。
【0034】
2枚の遮光体53は、それぞれ電磁アクチュエータ7の−Z軸方向側に配置される。各遮光体53は、電磁アクチュエータ7に駆動されて、光束を通過可能とする開口部Cの開口面積を変更し、遮光体53間を通過する光束の光量を調節する。遮光体53は、開口部Cの開口面積を縮小した際に、−Z軸方向端面に照射された光束を遮光する。
遮光体53は、Y軸方向に沿う長尺板状のスライドアーム531と、スライドアーム531からX軸方向に沿って延設された平板状の遮光羽根532とを備えている。このうち、−X軸方向側に配置された遮光体53Aでは、遮光羽根532は、スライドアーム531の−Y軸方向端部に設けられ、+X軸方向側に配置された遮光体53Bでは、遮光羽根532は、スライドアーム531のY軸方向略中央部に設けられている。
【0035】
スライドアーム531は、長手方向(Y軸方向)に沿って陥設されたスライド溝5311と、+Y軸方向端部に矩形状に陥設された接続孔5312とを備えている。スライド溝5311には、光学絞り装置5が構成された際に、ベース体51のスライドピン513がY軸方向に摺動可能に係合される。接続孔5312には、光学絞り装置5が構成された際に、回動部材76のシャフト軸763がX軸方向に摺動可能に係合される。
【0036】
遮光羽根532は、開口部C側縁部に形成されたV字状縁部5321を備えている。
このうち、V字状縁部5321は、遮光羽根532の開口部C側縁部においてX軸方向中央部が略V字状に切り欠かれて形成されている。なお、遮光羽根53は、軽量・耐熱性および耐久性を有する合成樹脂材または金属で形成されていることが望ましい。
【0037】
回動部材76の回転に応じて、シャフト軸763が接続孔5312を摺動しながら、遮光体53を移動させる。すると、各遮光体53は、スライドピン513をスライド溝5311に摺動させながら、Y軸方向に沿って互いに異なる向きへ移動する。
具体的に、遮光体53A,53BがY軸方向に沿って互い接近する向きへ移動されると、開口部Cの開口面積が縮小され、開口部Cを通過する光量は減少される。一方、遮光体53A,53BがY軸方向に沿って互い離間する向きへ移動されると、開口部Cの開口面積が拡大され、開口部Cを通過する光量は増加される。このように、開口部Cの開口面積は、遮光羽根532によって拡大・縮小され、それに従って遮光体53間を通過する光束の光量が調節される。
【0038】
カバー体54は、遮光体53の−Z軸方向側に配置され、ベース体51とともに、電磁アクチュエータ7および遮光体53を収容する。カバー体54は、ベース板51とほぼ同寸法の矩形状板であり、略中央に形成された開口541と、+Y軸方向端部のX軸方向両縁にそれぞれ形成された2本のレール溝542とを備える。
開口541には、光源装置411から射出された光束が通過される。レール溝542は、カバー体54の+X軸方向中央部を中心とする円弧状に陥設されている。レール溝542には、光学絞り装置5が組み立てられた際に、接続孔5312を介したシャフト軸763の先端が挿通される。
【0039】
〔電磁アクチュエータ7の構成〕
電磁アクチュエータ7は、図2に示すように、磁性体としての第1ヨーク71と、センサ基板72と、位置センサ721と、2つのコイル73と、永久磁石としての環状磁石74と、磁性体としての第2ヨーク75と、回動部材76と、付勢部材としてのばね77とを備えている。
【0040】
第1ヨーク71は、鉄製の環状鉄板であり、センサ基板72の+Z軸方向端面に固定される。
センサ基板72は、光学絞り装置5が組み立てられた際に、略中央に形成された孔723にベース体51の支持軸5121が挿通されて、前記凹部の−Z軸方向端面に第1ヨーク71を介して固定される。センサ基板72は、位置センサ721と、コネクタ722と、前述した第1ヨーク71と、後述する2つのコイル73とを支持している。
このうち、2つのコイル73は、略扇型の外周に沿って導線が巻かれたものである。2つのコイル73は、略扇形の短円弧側を互いに相対させて、それぞれ、センサ基板72の孔723の+Y軸方向側および−Y軸方向側に固定されている。コイル73には、前記制御装置による制御の下、電源装置によって正通電あるいは逆通電が実施される。なお、2つのコイル73には、互いに逆方向の電流が通流される。
【0041】
環状磁石74は、第1ヨーク71と略同外径および略同内径を有する環状の永久磁石であり、両端面において直径を境として片側にN極、もう片側にS極が着磁されている。環状磁石74は、センサ基板72の−Z軸方向側に配置され、後述する第2ヨーク75を−Z軸方向端面に固定している。
【0042】
位置センサ721は、環状磁石74が形成する磁場の強さを検出し、コイル73に対する環状磁石74の回転状態、すなわち、環状磁石74におけるN極およびS極の位置を検出して、電気信号を前記制御装置に出力する。
このように、位置センサ721は、コイル73に対する環状磁石74の二極の位置を検出することで、後述する各遮光羽根53Aの位置を検出する。さらに、位置センサ721は、検出した各遮光羽根53A,53Bの位置に応じた信号を、コネクタ722を介して前記制御装置に出力する。すると、前記制御装置は、位置センサ721にて検出された各遮光羽根53の位置を認識し、コイル73に正通電あるいは逆通電を実施して、所定位置に各遮光羽根53を移動させる。
【0043】
第2ヨーク75は、第1ヨーク71と同一構成の環状鉄板であり、前述したように、+Z軸方向端面が環状磁石74に固定される。なお、第1ヨーク71および第2ヨーク75は、鉄に限らず、高い透磁率を有する強磁性体であればよい。
【0044】
回動部材76は、Z軸方向と略平行な円柱軸を有する略円柱形状を有し、前記円柱軸に沿って形成された筒状の軸受孔761と、回動部材76の円柱側面において径方向外側へ向かって延設された2本のシャフト762と、+Z軸方向端面がくり抜かれて形成された凹部(図示省略)とを備えている。
前記凹部内には、第2ヨーク75の−Z軸方向端面が固定され、この第2ヨーク75および第2ヨーク75に固定された環状磁石74が収容される。すなわち、回動部材76、第2ヨーク75および環状磁石74は、互いに一体的に固定されている。
軸受孔761には、ベース体51の支持軸5121が挿通される。これにより、回動部材76は支持軸5121を回転軸としてZ軸回りに回転可能に支持され、第2ヨーク75および環状磁石74も、回動部材76とともに、支持軸5121を回転中心としてZ軸回りに回転される。
【0045】
2本のシャフト762は、前述したように、互いに対向位置に形成され、それぞれ先端部において−Z軸方向へ突出するシャフト軸763を備えている。シャフト軸763は、前述したように、各遮光体53の接続孔5312に係止される。
【0046】
ばね77は、回動部材76の−Z軸方向端面から突出した軸受孔761の円柱側面に嵌合された環状の本体環771と、軸受孔761に挿通固定される固定ピン772と、本体環771からX−Y平面に沿って伸びる係止ピン773とを備えている。
本体環771は、固定ピン772が軸受孔761に挿通固定されていることから、軸受孔761の円柱側面に沿ったZ軸回りの回転を規制されている。
係止ピン773は、回動部材76の−Z軸方向端面に突設された係止突起764の+Y軸方向側(−Z軸方向側から見て反時計回り側)に係止されている。
【0047】
〔電磁アクチュエータ7および遮光体53の作用〕
図3〜図5に基づいて、電磁アクチュエータ7の作用について説明する。図3〜図5には、それぞれ、電磁アクチュエータ7のコイル73および環状磁石74を光束射出側から見た模式図、および、コイル73および環状磁石74を光軸A(図2)と直交する方向から見た模式図が示されている。
なお、図3〜図5においても、図2と同様に、光学絞り装置5(図2)を通過する光束の光軸AをZ軸、該Z軸と直交する2つの軸をX軸(水平軸)およびY軸(垂直軸)とする。
【0048】
ここで、図3に示すように、環状磁石74においてN極741およびS極742を分割する直径が、Y軸方向と略平行姿勢にある状態を基準状態とする。図3の基準状態では、+Z軸方向側から見て前記直径の+X軸方向側にN極741、前記直径の−X軸方向側にS極742が位置している。N極741の+Z軸方向側には、N極741から+Z軸方向側へ向かう磁束Bが形成されており、S極742の+Z軸方向側には、−Z軸方向へ向かう磁束Bが形成されている。
【0049】
まず、図4を用いて、基準状態から、+Y軸方向側のコイル73に+Z軸方向側から見て反時計回りの電流が通流され、−Y軸方向側のコイル73に時計回りの電流が通流された場合について説明する。なお、ここでは、代表して+Y軸方向側のコイル73周囲における電磁力の作用について説明する。
+Y軸方向側のコイル73に反時計回りの電流が通流されると、N極741の+Z軸方向側において径方向に伸びる導線731には、径方向内側から径方向外側へ向かって電流が通流される。さらに、前述したように、N極741の+Z軸方向側には、+Z軸方向側へ向かう磁束Bが形成されているため、これら導線731を通流する電流および磁束Bの相互作用により電磁力が発生する。すると、N極741は、この電磁力を受けて反時計回りに回転しようとする。
【0050】
一方、S極742の+Z軸方向側において径方向に伸びる導線732には、電流が径方向外側から径方向内側へ向かって通流される。さらに、前述したように、S極742の+Z軸方向側には、−Z軸方向側へ向かう磁束Bが形成されているため、これら導線732を通流する電流および磁束Bの相互作用により電磁力が発生する。すると、S極742は、この電磁力を受けて反時計回りに回転しようとする。
すなわち、コイル73が、磁極741,742の異極間を平面的に囲うように配置されていることから、導線731,732を互いに逆方向に通流する電流によって、環状磁石74は反時計回りに回転される力を受ける。
なお、−Y軸方向側のコイル73においても同様の現象が生じ、コイル73を通流する電流および環状磁石74により形成される磁束Bの相互作用により、環状磁石74は反時計回りに回転される。
【0051】
この環状磁石74の回転に応じて、環状磁石74に固定された回動部材76(図2)も同方向に回転し、これにより、シャフト762に接続された遮光体53A(図2)が−Y軸方向へ、遮光体53B(図2)が+Y軸方向へ移動する。
【0052】
この各遮光羽根532の互いに離間する移動によって、開口部C(図2)の開口面積が拡大され、開口部Cを通過する光束の光量が増加する。すなわち、光学絞り装置5(図2)を通過する光束の光量が増加する。
【0053】
次に、図5を用いて、基準状態から、+Y軸方向側のコイル73に+Z軸方向側から見て時計回りの電流が通流され、−Y軸方向側のコイル73に反時計回りの電流が通流された場合について説明する。なお、ここでは、代表して+Y軸方向側のコイル73周囲における電磁力の作用について説明する。
+Y軸方向側のコイル73に時計回りの電流が通流されると、N極741の+Z軸方向側において径方向に伸びる導線731には、径方向外側から径方向内側へ向かって電流が通流される。さらに、前述したように、N極741の+Z軸方向側には、+Z軸方向側へ向かう磁束Bが形成されているため、これら導線731を通流する電流および磁束Bの相互作用により電磁力が発生する。すると、N極741は、この電磁力を受けて時計回りに回転しようとする。
【0054】
一方、S極742の+Z軸方向側において径方向に伸びる導線732には、電流が径方向内側から径方向外側へ向かって通流される。さらに、前述したように、S極742の+Z軸方向側には、−Z軸方向側へ向かう磁束Bが形成されているため、これら導線732を通流する電流および磁束Bの相互作用により電磁力が発生する。すると、S極742は、この電磁力を受けて時計回りに回転しようとする。
すなわち、ここでも図4と同様に、コイル73が、磁極741,742の異極間を平面的に囲うように配置されていることから、導線731,732を互いに逆方向に通流する電流によって、環状磁石74は時計回りに回転される力を受ける。
なお、−Y軸方向側のコイル73においても同様の現象が生じ、コイル73を通流する電流および環状磁石74により形成される磁束Bの相互作用により、環状磁石74は時計回りに回転される。
【0055】
この各遮光羽根532の互いに接近する移動によって、開口部C(図2)の開口面積が縮小され、開口部Cを通過する光束の光量が減少する。すなわち、光学絞り装置5(図2)を通過する光束の光量が減少する。
【0056】
本実施形態によれば、環状磁石74が重心において回転可能に軸支されているため、環状磁石74は、回転中心がずれることなく滑らかに回転されることができる。
さらに、環状磁石74の荷重は軸支された重心位置にかかり、環状磁石74は、この重心位置を回転中心として周方向に回転される。これより、環状磁石74の回転運動に対する重力の影響は、その回転向きによらない。すなわち、本発明の電磁アクチュエータ7では、環状磁石74をいずれの回転向きに回転させても、所定の電力量で所定の駆動量を得ることができる。言い換えれば、電磁アクチュエータ7は、いずれの向きに設置されても所定の電力量で所定の駆動量を得ることができる。
【0057】
コイル73は、環状磁石74の+Z軸方向端面に対し対向配置されている。すなわち、コイル73および環状磁石74が互いに積層配置されていることから、電磁アクチュエータ7をサイズダウンさせることができる。
【0058】
さらに、2つのコイル73が、環状磁石74に対し磁極741,742の異極間を平面的に囲うように対向されたとき、環状磁石74には、電磁力による回転力を2箇所同時に受ける。従って、環状磁石74に対し同時に働く回転力を増大させることができ、環状磁石74をさらに滑らかに回転させることができる。また、環状磁石74に対し複数箇所において同時に回転力を与えることができるため、各箇所に働く電磁力を小さくすることができる。すなわち、各コイル73に通流させる電流を減少させることができるので、電磁アクチュエータ7で消費される電力を削減することができる。すなわち、低消費電力化を用意に実現できる。
【0059】
環状磁石74の回転は、回動部材76から径方向外側へ向かって延設されたシャフト762を介して、遮光体53に伝えられることから、環状磁石74の小さな回転量で遮光体53の大きな移動量を得ることができる。言い換えれば、遮光羽根532による開口部Cの開口面積の拡大・縮小を、環状磁石74の小さな回転量で達成することができる。このように、環状磁石74の回転量が小さくて済むことから、電磁アクチュエータ7で消費される電力を削減することができる。
【0060】
強磁性体である第1ヨーク71を環状磁石74の+Z軸方向側に配置させたことで、環状磁石74および第1ヨーク71間の磁束密度、すなわち、コイル73へ向かう磁束密度が増大される。従って、環状磁石74を駆動させるための駆動力を増大させることができる。
さらに、強磁性体である第2ヨーク75を環状磁石74の−Z軸方向側に配置させたことで、コイル73へ向かう磁束密度が増大される。従って、第1ヨーク71と同様に、環状磁石74を駆動させるための駆動力を増大させることがでる。また、第1ヨーク71および第2ヨーク75は平板状であるため、簡単に形成されることができる。
さらに、第1ヨーク71の環状形状を、環状磁石74と同心、かつ、環状磁石74の中心からコイル73の外径および内径の間の径寸法を有する環状形状とすることにより、さらに大きな磁束密度を得ることができる。よって、コイル73に要する電力量も減少させることが可能となり、低消費電力化が実現できる。
【0061】
回動部材76が−Z軸方向側から見て反時計まわりに回転すると、回動部材76は、ばね77の係止ピン773から−Z軸方向側から見て時計まわりの付勢を受ける。このとき、2枚の遮光体53は、互いに接近する向きへ移動され、光学絞り装置5へ入射された光束を遮光している。
ここで、光学絞り装置5の駆動が停止されると、回動部材76は、係止ピン773の付勢により−Z軸方向側から見て時計まわりに回転される。すると、遮光体53は、互いに離間する向きへ移動される。従って、故障等により光束が入射されたまま光学絞り装置5の駆動が停止された場合でも、遮光体53は互いに離間し、光束を通過させる。これにより、遮光体53への長時間の照射により、遮光体53表面が高温化することを防ぐことができる。
【0062】
〔前記実施形態の変形〕
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、前記実施形態は、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、電磁アクチュエータ7をプロジェクタ1の光学絞り装置5に利用した構成を説明したが、本発明ではこれに限らず、電磁アクチュエータ7は、例えば、玩具等の駆動装置やカメラ等の光学絞り装置に利用してもよい。
図6は、玩具の駆動装置に搭載された電磁アクチュエータ7Aの一部構成を、光束入射側から見た模式図である。当該駆動装置では、電磁アクチュエータ7Aの駆動を利用して、揺動片8を振り子運動させている。
【0063】
揺動片8は、重心において回転軸80に回転可能に軸支され、かつ、環状磁石74と一体的に回転するように環状磁石74に固定されている。なお、揺動片8は、図6に示すように、重心において回転軸80に軸支されるために、一端側に荷重分布を調節するためのバランサ82を備えている。
本変形例においても、環状磁石74および揺動片8は、それぞれ重心において回転可能に軸支されているため、揺動片8の振り子運動は、回転向きに限らず等しい電力量で等しい移動量を得ることができる。
【0064】
前記実施形態では、コイル73は、環状磁石74に対しZ軸方向に対向して設けられたが、本発明では、コイル73が環状磁石74に対し磁極741,742間に跨って対向する位置に設けられていればよく、例えば、環状磁石74のY軸方向、すなわち、環状磁石74の側面に対向して第2ヨーク75と環状磁石74との間に設けてもよい。
本発明では、環状磁石74に設けられる磁極741,742の極数は限定されるものではなく、さらに、環状磁石74に対して設けられるコイル73の数も、限定されるものではない。例えば、コイル73を1個としても同様の効果を得ることができる。
ただし、環状磁石74に設けられた磁極と同数のコイル73を設け、さらに、環状磁石74が回転された際に、全てのコイル73が、環状磁石74に対し磁極間に跨って同時に対向する構成である場合、環状磁石74に働く回転力を最大限に増大させることができる。
また、コイル73を2個以上とした場合には、各コイル73を独立して制御してもよい。例えば、低速動作時には、遮光体52を1個のコイル73で駆動し、高速動作時には、2個以上のコイル73を選択して駆動させるように制御することも可能である。
【0065】
前記実施形態では、遮光羽根532が光軸Aと直交して直線状に往復移動する光学絞り装置5を採用したが、本発明では、光学絞り装置5と異なる型の光学絞り装置を採用してもよい。例えば、遮光羽根が光軸と直交する面内で回転移動する丸型光学絞り装置、また、遮光羽根が回転する扉型光学絞り装置を採用してもよい。
また、電磁アクチュエータ7に駆動される遮光羽根の形状を工夫することにより、光学絞り装置およびプロジェクタをいずれの設置向きに設置しても、同様の動作を行えることができる。
【0066】
前記実施形態では、光学絞り装置5は、第1レンズアレイ412と第2レンズアレイ413との間に配設されていたが、これに限らず、光源装置411から射出され各液晶パネル441に至る光束の光路中であれば、いずれの位置に配設しても構わない。
前記実施形態では、光学絞り装置5をプロジェクタ1に搭載した構成を説明したが、光学絞り装置5は、プロジェクタ1に限らず、その他の光学機器、例えば、DLP(Digital Light Processing)、LED(Light Emitting Diode)等を用いた透過型表示装置、リアプロジェクタ、および、カメラ等に搭載した構成を採用しても構わない。また、光学絞り装置5をカメラに搭載した場合には、絞り装置として用いる構成の他、レンズシャッタ等として用いても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、電磁アクチュエータ、光学絞り装置およびプロジェクタに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタの光学ユニットを示す模式図。
【図2】前記実施形態に係る光学絞り装置を示す分解斜視図。
【図3】前記実施形態に係る電磁アクチュエータの作用を説明するための図。
【図4】前記実施形態に係る電磁アクチュエータの作用を説明するための図。
【図5】前記実施形態に係る電磁アクチュエータの作用を説明するための図。
【図6】前記実施形態の変形例に係る電磁アクチュエータの一部構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0069】
1…プロジェクタ、3…投射レンズ(投射光学装置)、411…光源装置、441,441R,441B, 441G…液晶パネル(光変調装置)、5…光学絞り装置、5121…支持軸、532…遮光羽根、7,7A…電磁アクチュエータ、71…第1ヨーク(磁性体)、73…コイル、74…環状磁石(永久磁石)、75…第2ヨーク(磁性体)、77…ばね(付勢部材)、C…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が通流されるコイルと、
磁束を発生させる永久磁石とを備え、
前記永久磁石は、環形状を有し、重心位置において周方向に回転可能に軸支され、前記磁束および前記コイルに通流される電流の相互作用による電磁力によって前記重心位置を中心として回転されることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記永久磁石における一方の端面には、周方向に沿って隣接する磁極が互いに異なるように着磁され、
前記コイルは、前記永久磁石に着磁された前記各磁極の異極間を平面的に囲うように前記永久磁石における一方の端面側に対向配置されていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項3】
請求項2に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記コイルは、前記永久磁石に着磁された前記磁極の数に応じて複数設けられていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記永久磁石の一方の端面側には、前記コイルを挟んでコイル側磁性体が設けられていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかに記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記永久磁石の他方の端面側には、反コイル側磁性体が設けられていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項6】
入射した光束の光量を調整する光学絞り装置であって、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電磁アクチュエータを備え、
前記電磁アクチュエータの前記永久磁石の回転に応じて移動可能に構成され、移動することで前記光束を通過可能とする開口面積を変更して前記光束の光量を調整する遮光羽根が設けられていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学絞り装置であって、
前記光束を通過可能とする開口面積を拡大する向きへ前記遮光羽根を付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項8】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、
請求項6または請求項7に記載の光学絞り装置を備え、
前記光学絞り装置は、前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に配設され、前記光源装置から前記光変調装置に照射される光束の光量を調整することを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−174802(P2007−174802A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368798(P2005−368798)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】