説明

電磁エネルギー出力装置用の視覚フィードバック器

【課題】レーザーハンドピースおよび筒状組立体の形態の電磁エネルギー出力装置が開示される。
【解決手段】電磁エネルギー出力装置はディジタルカメラおよび電磁エネルギー導波路を備えており、電磁エネルギー導波路は、照射光エネルギーまたは励起光エネルギーを放射して使用者が標的面をより良好に視認することができるようにするとともに、信号解析を容易に行えるようにし、尚且つ、帰還励起光のような電磁エネルギーを受信するように図っている。画像捕捉用付属装置は、電磁エネルギー出力装置の遠位端またはその付近で獲得された画像を一定の順路に従って送信する。画像捕捉用付属装置は、着脱できる装置を1個またはクリップ式装着具を1個、もしくは、1組の複数のこれら装置または装着具を備えている。また別な実施形態では、画像捕捉用付属装置は全体または一部が、電磁エネルギー出力装置の内側に固着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁エネルギー出力装置に関するものであり、より詳細には、電磁エネルギーを出力する医療処置用ハンドピースと併用するための視覚フィードバック器、および、そのような各種器具を利用する装置ならびに方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
広範な電磁エネルギー出力装置および視覚化装置が先行技術には既に存在しており、具体例を挙げると、各種医療処置を実施するための、または、各種医療処置の実施を容易にするためのレーザーハンドピースがあり、更にまた、腹腔鏡処置のような医療手術の実施に従事している使用者に視覚フィードバックを供与するための医療用途のカメラなどがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明による電磁エネルギー出力装置はレーザーハンドピースおよび筒状組立体を備えている。電磁エネルギー出力装置としては、ディジタルカメラや、標的面を使用者がより良好に視認できるようにするとともに信号解析を容易にするように照射光エネルギーまたは励起光エネルギーを放射し、かつ、帰還励起光のような電磁エネルギーを受信する電磁エネルギー導波路などが挙げられる。画像捕捉用付属装置は、電磁エネルギー出力装置の遠位端またはその付近で獲得された画像を一定順路に従って発信する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の或る実施形態によると、電磁エネルギー出力装置はハンドピース(例えば、歯科用ハンドピースのようなレーザーハンドピース)の形態で提供されたり、例えば、ディジタルカメラのような画像捕捉装置と、標的面を使用者がより良好に視認できるようにする目的で、または、信号解析を容易にする目的で照射光または励起光のような電磁エネルギーを放射し、かつ、帰還励起光のような電磁エネルギーを受信する1本以上の電磁エネルギー導波路とを備えているような筒状組立体の形態で提供される。各種器具の組立体は、電磁エネルギー出力装置の遠位端またはその付近で獲得された画像(例えば、作業面画像)を一定順路に従って発信するといったような1種類以上の多様な機能を実施する画像捕捉用付属装置を更に備えている。画像捕捉用付属装置は全体または一部がオートクレーブで滅菌処理することができ、また例えば、着脱できる装置を1個またはクリップ式装着具を1個、もしくは、1組の複数のこれら装置または装着具を備えていてもよい。また別な実施形態では、画像捕捉用付属装置は全体または一部が電磁エネルギー出力装置の内部に固着される。
【0005】
本件に記載されているどの特性も、または、複数の特性のどの組合せも、このような組合せのいずれであれそこに含まれている各特性が文脈から、本明細書から、更に、当業者の知識から明白であると思われる程度に相互に矛盾するものでない限り、本発明に含まれる。更に、いずれの特性も、または、各種特性のどのような組合せであれ、本発明のどの実施形態からも特別に除外される場合もある。本発明の要旨を説明する目的で、本発明の或る局面、利点、および、新規な特性が説明されている。勿論、そのような局面、利点、または、特性の必ずしも全部が本発明のいずれか特定の実施形態で具体化されるものではないものと理解されるべきである。本発明のまた別な利点および局面は、後段の詳細な説明および添付の特許請求の範囲で明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態に言及してゆくが、かかる実施形態の具体例は添付の図面に例示されている。同じ構成部品または類似の構成部品に言及するのに使える場合はいつでも、図面と詳細な説明で同じ参照番号または類似参照番号が使われている。提示されている図面のいずれも簡略化された形式であり、厳密な等尺になっていないことに留意するべきである。本件の開示内容に言及するにあたり、便宜上と明瞭にする目的のためだけに、「頂部」、「底部」、「左右」、「上下」、「上を覆って」、「より上位」、「より下位」、「下方」、「背部」、「前部」などの方向を示す語が添付の図面に関連して使用されている。このような方向を示す語は、いかなる態様であれ、本発明の範囲を制限するものという意味に解釈されるべきではない。
【0007】
本件の開示内容は或る例示の実施形態に言及してはいるが、このような実施形態は具体例として提示されているのであって、制限するためではないものと理解するべきである。後段の詳細な説明の趣旨は、具体的な実施形態を説明することではあるが、実施形態の修正例、代替例、および、均等物を網羅し、しかも、添付の特許請求の範囲によって限定されているような本発明の真髄および範囲に入るものと解釈されるべきである。本件で引例に挙げることにより説明または援用されているプロセスの工程と各種構造は、本件で説明されている実施例の完全なプロセスの流れを網羅している訳ではないことを理解および認識するべきである。本発明は、当該技術で従来使用されている多様な方法および装置に関連付けて実施することができるが、本件には、本発明を理解するのに必要である程度の、広く実施されている方法工程と構造が包含されているにすぎない。
【0008】
本件に記載されているどの特性も、または、各種特性のどの組合せも、そのような組合せのいずれであれそこに包まれている特性が文脈、本明細書、当業者の知識から明白であると思われる程度に相互に矛盾するものでない限り、本発明に含まれる。
【0009】
本発明は医療処置用のハンドピースと連結されて作動されるようにした視覚フィードバック器に関するものであるとともに、これら器具を使う装置および方法に関するものである。本発明は、例えば、2006年5月25日出願の「口腔組織を治療するためのテクスチャー加工を施した活性面を有する装置(Device Having Activated Textured Surfaces for Treating Oral Tissue)」という名称の米国特許出願第11/441,788号(弁護士事件登録番号BI9878P)、および、2006年4月26日出願の「眼の疾患を治療するための方法(Methods for Treating Eye Conditions)」という名称の米国特許出願第11/413,590号(弁護士事件登録番号BI9852P)などに記載されているような視覚フィードバック器(例えば、カメラなど)の構造と用途を思量しているが、これら両出願の内容全体は引例に挙げることにより本件の一部を成すものとする。本件および本件で引例に挙がっている文献に記載または暗示されている応用例に加えて、本件に記載されている視覚フィードバック治療装置の幾つかの医療応用例(例えば、歯科応用例)は、歯周ポケット応用例(例えば、診断および治療)、歯内治療学的応用例(例えば、歯根管の視認化)、マイクロ歯学応用例、トンネル形成準備応用例、齲食検出応用例および齲食治療応用例、微生物視認化応用例および微生物治療応用例、一般歯科応用例、風媒検出応用例および気体検出応用例など、先に引例に挙げた米国特許仮出願第60/739,314号に記載されているような応用例を含んでいる。
【0010】
図面を参照すると、図1は医療処置(例えば、歯科処置)を実施するような構成にすることができる電磁エネルギー出力装置を例示している。電磁エネルギー出力装置は、歯周先端部のような出力ファイバー先端部が設けられたレーザーハンドピースの形態を取り、レーザーエネルギーを標的面に向けて発射することができるように図っている。例示の実施形態では、電磁エネルギー出力装置は画像化構造に接続されており、この画像化構造は電磁エネルギー出力装置の遠位端付近の「インターフェイス光学系」と称される部位の1点またはそのような部位を含む1点もしくはその両方の点で終端しているか、或いは、画像化ファイバーで終端している。画像化ファイバーを含んでいる実施形態では、画像化ファイバーは、例えば、出力ファイバー先端部の付近またはその端部まで延びている。或る実施形態によれば、画像化ファイバーは出力ファイバー先端部の付近に保持されていてもよいし、または、出力ファイバー先端部に固着されていてもよい。出力ファイバー先端部に固着されている画像化ファイバーを含んでいる実施形態であって、例えば、出力ファイバー先端部の出力端で終端している出力端が設けられている(出力端が出力ファイバー先端部のものと重なり合う)画像化ファイバーなどを含んでいる実施形態では、画像化ファイバー(1本または複数本)は、例えば、バンドを用いて、または、粘着剤のような接着材を用いて出力ファイバー先端部に取り付けられる(例えば、単体の集成体を形成する)。
【0011】
或る実施形態では、1本以上の光ファイバー(例えば、コヒーレントファイバー束などを形成している)が、例えば、ロッドレンズ組立体のような導波路を介して電磁エネルギー出力装置の遠位端から近位端まで光を伝達することで、視覚フィードバック器によって遠位端またはその付近で獲得された画像(例えば、作業面画像)を一定の順路に従って発信する構成で提供される。これに加えて、または、これに代わる例として、1本以上の光ファイバーは、例えば、同じ導波路または異なる導波路(例えば、ロッドレンズ組立体)を介して、電磁エネルギー出力装置の近位端から遠位端に光を伝達する構成になっていてもよい。或る実施形態によれば、視覚フィードバック器は、遠位端からの光学情報(例えば、画像)を獲得するまたは処理するための画像捕捉装置(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)を含んでいる。例示の実施形態では、視覚フィードバック器は、カメラインターフェイス(例えば、合焦素子またはズームレンズもしくはその両方を備えているもの)を有しているカメラチップを含んでいる。
【0012】
本実施形態または本件に記載または言及されている他の実施形態によれば、1本以上の光ファイバーまたはそれ以外の導管(例えば、空気線や水線)は、例えば、電磁エネルギー出力装置(例えば、レーザーハンドピース)封入体の外側で、図1および図4に例示されているような付属器具の形態(例えば、着脱自在な付属装置)で配置されていてもよいし、または、一部または全体のいずれかが電磁エネルギー出力装置封入体の内側に配置されていてもよい(例えば、内部に搭載される)。
【0013】
本件および先に引例に挙げられた出願に開示されている視覚フィードバック器は電磁エネルギー出力装置(例えば、レーザーや、ハンドピースのような歯科用レーザー)の上に配置されるか(例えば、出力装置の出力端などに着脱自在に取付けられるか)、または、その付近に配置され(例えば、出力装置の出力端には取付けられない)、それにより、本発明による視覚フィードバック治療装置を形成している。従って、視覚フィードバック器はハンドピースに組み込まれてもよいし、または、ハンドピースに着脱自在に取付けられてもよく、また更に、ハンドピースの近位端と遠位端の間の、または、ハンドピースの近位端よりも近位の多様な位置のどこに配置されてもよいし、または、そのような多様な位置のどこと接続状態に置かれてもよい。特別な事例では、視覚フィードバック器は、例えば、(a)ハンドピース、または、電磁エネルギー出力装置の出力端と一体の形態、(b)ハンドピース、または、電磁エネルギー出力装置に取付けられた形態、または、(c)ハンドピースまたは電磁エネルギー出力装置と関連した状態(例えば、必ずしも取付けられてはいない状態)のいずれかで使用することができ、この場合、上述のようなハンドピースと電磁エネルギー出力装置のいずれも、例えば、情報収集、診断、切除、融除、治療などを容易にすることができる。
【0014】
図1のロッドレンズ組立体の一実施形態の概略表示が図2に例示されている。図2の具体的な実施形態では、ロッドレンズ組立体は着脱自在な取付け具として形成されており、このような取付け具はハンドピースの外面に固着することができるとともに、例えば、75 mmロッドおよび35 mmロッドを備えており、これらロッドの遠位端がビーム屈折素子(例えば、プリズム)で終端して、出力ファイバー先端部に向かう光学経路を形成するように図っている。
【0015】
図3aを参照すると、図1および図2から見て取れるロッドレンズ組立体の構造が概略形式で例示されており、ここでは、外部に(例えば、ハンドピースの外部に)搭載されたロッドレンズ組立体の直径は約1.5 mmであり、ロッドレンズ組立体の近位端は4分の1インチカメラのような視覚フィードバック器に接続されている。次に、視覚フィードバック器(例えば、カメラ)がカメラより近位に延びている導波路に接続されており、ロッドレンズ組立体の遠位端は、(1)ロッドレンズ組立体からの光を放射するインターフェイス光学系で終端し、または、そのようなインターフェイス光学系を付加せずに終端し、或いは、(2)インターフェイス光学系を付加して、または、付加せずに、光学経路の方向を変えるためのビーム屈折素子を有して、または、有さずに、画像化ファイバー(例えば、着脱自在な画像化ファイバー)を備えている、または、そのようは画像化ファイバーに接続されている。
【0016】
図3aの実施形態についての具体的な動作指定が以下の表1および表2に提示されている。
カメラとロッドレンズ組立体の組合せについての光学パラメータ


画像化ファイバーのみについての光学パラメータ

【0017】
図3bでは、内部搭載構造がロッドレンズ組立体を付加して、または、付加せずに形成されている。例示の実施形態によると、内部搭載構造はロッドレンズ組立体を欠いて形成されている。図3bの構造は、ここに具体化されているように、視覚フィードバック器と一緒に形成されており、この視覚フィードバック器は、例えば、カメラの形態を取ることがあり、更に、或る実施形態によると、単独で、または、1個以上の別な構成部材と組合わせて、小型化することで、例えば、ハンドピースの内側に容易に内部搭載することができるように図っている。視覚フィードバック器(例えば、小型カメラ)は、例えば、1mmのカメラであって、その近位端がカメラより近位に延びている導波路に接続されているとともに、その遠位端がビーム屈折素子を備えているか、または、ビーム屈折素子に接続されているものを含んでいる。図3aの実施形態については、カメラの遠位端は、(1)カメラからの光を放射するための、または、標的からの光を受光するための、もしくは、その両方を目的としたインターフェイス光学系で終端し、または、そのようなインターフェイス光学系を付加せずに終端し、或いは、(2)インターフェイス光学系を付加して、または、付加せずに、光学経路の方向を変えるためのビーム屈折素子を有して、または、有さずに、画像化ファイバー(例えば、着脱自在な画像化ファイバー)を備えている、または、そのようは画像化ファイバーに接続されている。
【0018】
図3b(1)から図3b(4)は、視覚フィードバック器(例えば、カメラチップ)の光学軸線から画像化ファイバー(例えば、着脱自在な画像化ファイバー)の光学軸線へと光学経路の方向を変動させるために、例えば、プリズムの形態のビーム屈折素子が使用された実施形態の多様な構成を例示している。
【0019】
ロッドレンズ組立体またはカメラの遠位端を画像化ファイバーを欠いた状態で終端させることで、例えば、標的面の大まかな検分を容易にすることができる。例えば、そのような終端部は、例えば、比較的広角のカメラの機能性を供与するように作動するインターフェイス光学系を備えて設けることができるが、そのようなインターフェイス光学系は、具体的には、ハンドピースの操作者が歯の表面または歯肉の表面を観察することができるようにする機能性を供与するよう作動する。他の実施形態では、ゼロ拡大率光学系またはゼロ拡大率技術、もしくは、ズーム拡大光学系またはズーム拡大技術がより狭角の視界、または、ズームイン性能およびズームアウト性能、もしくは、これらの両方を供与するように実現されている。
【0020】
他方で、ロッドレンズ組立体またはカメラの遠位端を画像化ファイバーで終端させることで(インターフェイス光学系を有している状態で、または、有していない状態で)、例えば、標的面の詳細な1相またはそれ以上の複数相のより分化した(例えば、クローズアップした)検分を容易にすることができる。例えば、画像化ファイバーは、出力ファイバー先端部の出力面で終端するが、標的に近接して設置されたカメラの機能性を供与するように作動し、従って、ハンドピースの操作者が歯周ポケットのような多様な部位(例えば、組織表面部位)の内面などを観察することができるようにする機能性を供与するように作動する。
【0021】
図4を参照すると、複数器具の組立体は電磁エネルギー出力装置を含んでいるように例示されているが、出力装置は(1)ハンドピース(例えば、歯科用ハンドピースのようなレーザーハンドピース)と筒状組立体の形態を呈しているとともに、(2)例えば、ディジタルカメラのような画像捕捉装置か、電磁エネルギー(例えば、標的面を使用者がより良好に視認することができるようにするための、または、より良好な信号解析を行えるようにするための照射光エネルギーまたは励起光エネルギーなど)を放射するための、または、電磁エネルギー(例えば、帰還励起光など)を受信するための、もしくは、その両方を目的とした1本以上の電磁エネルギー導波路のいずれか一方、或いは、その両方を備えている。
【0022】
図4に例示されている複数器具の組立体は画像捕捉用付属装置を更に備えており、この付属装置の目的は、(3)電磁エネルギー出力装置の遠位端またはその付近で獲得された画像(例えば、作業面画像)を一定の順路に従って送信するといったような多様な機能のうちの1種類以上を実施することである。画像捕捉用付属装置は全体または一部をオートクレーブで滅菌することができ、更に、例えば、取外し自在装置を1個またはクリップ式装着具を1個、もしくは、1組の複数のこれら装置または装着具を備えていてもよい。別な実施形態では、画像捕捉用付属装置は全体または一部を電磁エネルギー出力装置の内側に固着することができる。例示の実施形態によれば、画像捕捉用付属装置は全体または一部が、図3aおよび図3bに例示されている1個以上の器具または相互接続部のいずれの形態または機能性を有していてもよい。
【0023】
図3aの具体的な組立体の構成部材として含まれている限りにおいて、ロッドレンズ組立体、ビーム屈折素子、および、画像化ファイバー、または、これらの変形例のうちのいずれか2個以上の素子は単体構造、例えば、単体の画像捕捉用付属装置)の一部として製造または集成することができ、この場合、更に、上述の素子のうちのいずれか2個以上の組合せまたは順列のいずれであれ、単体構造の光学経路に沿って互いに接触するよう構成されてもよいし(例えば、一緒に形成される、または、一緒に接着される)、或いは、物理的に互いから隔絶状態で形成されてもよい。同様に、図3bの具体的な組立体の構成部材として含まれている限りにおいて、導波路、画像捕捉装置、ビーム屈折素子、および、画像化ファイバー、または、これらの変形例のうちのいずれか2個以上の素子も単体構造(例えば、単体の画像捕捉用付属装置)の一部として製造または集成することができ、この場合、上述の素子のうちのいずれか2個以上の組合せまたは順列のいずれであれ、単体構造の光学経路に沿って互いに接触するよう構成されてもよいし(例えば、一緒に形成される、または、一緒に接着される)、或いは、物理的に互いから隔絶状態になるように形成されてもよい。
【0024】
この点で、画像捕捉装置が筒状組立体の長尺部沿いのいずれかの位置(例えば、筒状組立体の遠位端付近の位置A)の範囲内またはそのような位置の付近に配置されている実施形態は、例えば、図3aの内容に一致していてもよい。更に、図4に例示されている多数器具の組立体の別な実施形態では、画像捕捉装置は画像捕捉用付属装置の長尺部沿いのいずれかの位置(例えば、画像捕捉用付属装置の近位端付近の位置A、または、多数の具体例のうちの別な一例として、画像捕捉用付属装置の遠位端付近の位置B)の範囲内またはそのような位置の付近に配置され、それにより、例えば、その全体または一部が図3bの内容に一致している。
【0025】
更に、上述のような図3aおよび図3bの実施形態に適用された修正であって、例えば、画像化ファイバーを省くといったようなどんな修正であれ、図4に関連づけて説明された多数器具の組立体の多様な実施形態に組入れることができる。
【0026】
更にまた、上述のように図3aおよび図3bの実施形態に適用することのできる修正のいずれかを組入れることに加えて、利用できる限度まで、画像化ファイバーの変形例を図6aから図6dに例示されているような構成にすることで、図4に関連づけて説明された多数器具の組立体の多様な実施形態を組入れるよう図っている。図6aから図6dに例示されている画像化ファイバーの構成のいずれも、その全体または一部をオートクレーブで滅菌することができる。
【0027】
図6aは90度の空地視認装置を例示しており、図6bは、図1に描かれているもののような歯周探針(図1の実施形態の歯周探針は先細りになっていない構造にすることができる画像化ファイバーを備えているという違いがある)の出力ファイバー先端部の位置が参照のために仮想線で示されているのを例示している。図6cは歯内治療探針を例示しており、この探針は、直径が例えば1 mmの図6bの歯周探針とは見分けられるように、直径が例えば約0.2 mmであり、より細長い構造またはより先細りの構造を有しているか、もしくは、より細長くてより先細りの構造を有しているが、図6dは0度の空地視認装置を例示している。
【0028】
本発明の視覚フィードバック器および電磁エネルギー(例えば、レーザー)システムの特定の応用例に関して、視覚フィードバック治療装置は、例えば、治療前、治療中、および、治療後に接近されて治療を受ける(例えば、診断される、切除される、または、融除される)組織に関する実時間の診断治療情報などを提供するために使用される。具体例を挙げると、診断または治療処置の最中に1工程または1つの二次工程が実施されている最中またはその後に、実時間で、または、視覚フィードバック治療装置(例えば、視覚フィードバック器がレーザーハンドピースの遠位端付近に既に取付けられている実施形態では、レーザー)を除去しなくても、もしくは、実時間でかつ視覚フィードバック治療装置を除去しなくても、手術部位を視認することができる。
【0029】
本発明の視覚フィードバック治療装置は、例えば、診断(例えば、組織患部または腫張した組織の診断)または歯周ポケットのような標的の治療、もしくは、その両方を含んでいる処置の前、その最中、および、その後に使用される。処置の工程または二次工程のいずれか1つの前、その最中、または、その後のどこかの時点で、手術部位の実時間視覚フィードバックが瞬時に入手されて、自動化処理(例えば、ハードウエアまたはソフトウエアによる)に備え、または、使用者による観察や再考査や分析に備え、もしくは、その両方に備えるが、同じ処置の複数工程または複数の二次工程も視覚フィードバックに基づいて実施され、または、加減される。
【0030】
例えば、光の下で標識付けされて視覚化される種類のバクテリアか、または、カメラにより視覚化される蛍光発光を生じる種類のバクテリアのいずれも、本発明には適用することができる。バクテリアの視覚化は、多様な波長により容易に認識することのできる多様なマーカーを添加することにより向上させることができる。カメラはまた、歯周ポケットの縮小のような組織修復や多様な治療局面を追跡することができるデータ入出力分析システムが装備される。
【0031】
図5aは、視覚フィードバック器(例えば、カメラ)よりも遠位の光学経路沿いの1点の断面または端面、例えば、カメラと図3aの構成のロッドレンズ組立体との間の界面の1点、または、図4の位置Aの付近の1点のような位置の断面または端面を例示している。図5aの断面図では、画像捕捉装置(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)は中央管腔内に配置されており、照射光源−励起光源の導波路および帰還光の導波路は中央管腔の外部(例えば、中央管腔の両側)に配置されている。例示の実施形態は、照射光源−励起光源導波路が白色光を発射し、帰還光導波路が波長が405ミクロンの光と635ミクロンの光を帰還させているのを例示している。
【0032】
図5bの断面図は、画像捕捉装置(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)がここでも中央管腔に配置され、照射光源−励起光源の導波路が中央管腔の周囲に同心配置されているとともに、第1帰還光導波路および第2帰還光導波路が光源導波路の外部(例えば、光源導波路の両側)に配置されているのを例示している。この例示の実施形態は、照射光源−励起光源の導波路が白色光を発射し、第1帰還光導波路および第2帰還光導波路が波長が405ミクロンの光と635ミクロンの光を帰還させているのを例示している。
【0033】
齲食検出のために使用することができる特定の構成では、光源は波長(例えば、紫色光波長)が約360 nm から約580 nmの範囲であるか、または、或る具体的な実施形態では360 nm から約420 nmであり、もしくは、或る修正後の実施形態では、例えば、波長が約406 nm(例えば、可視紫波長)である単色光が使用される。
【0034】
更に、齲食検出を目的として具体例を実施し続けた場合、帰還光は、例えば、可視赤色光の波長(すなわち、齲食が存在しているのに対応する)、具体的には約636 nmの波長の放射線を通過させる第1フィルターを通して送信される。従って、第1フィルターに通された放射線の下端は、短い波長の干渉背景放射線を比較的欠いている、主として蛍光色の放射線を含むように制約される。更に、帰還光は、例えば、可視緑色光の波長(すなわち、健康な硬組織が存在しているのに対応する)、具体的には約550 nmの波長の放射線を通過させる第2フィルターを通して送信される。
【0035】
第1フィルターから外へ出た帰還光(例えば、齲食の存在に対応する可視赤色光を含んでいる)は、本発明の一局面によれば、帰還光の他の用途の代わりに、または、他の用途に加えて、画像捕捉装置(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)に送信され、使用者による観察、分析、検分のいずれか1つ、または、各種組合せに用立てられる。具体例を挙げると、この帰還光の支援により、使用者は齲食のような標的面の特性や、齲食の兆候のような特定バクテリアの特徴または活動を示す特性を視覚化することができるようになるが、前述の兆候の例として、バクテリアを原因とする歯構造の脱カルシウム化が挙げられる。同様に、本発明のまた別な局面によれば、第2フィルターから外に出た帰還光(例えば、健康な硬組織の存在に対応している可視赤色光を含んでいる)は、他の用途の代わりとして、または、他の用途に加えて、画像捕捉装置(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)に送信されて、使用者による観察、分析、検分(例えば、参照用または比較目的で)のいずれか1つ、または、各種組合せに用立てられる。
【0036】
関連文献は、本願の出願人により執筆されたものであるが、2005年8月12日出願の「励起パルスと帰還パルスの間の時間差を利用した齲食検出(Caries Detection Using Timing Differentials between Excitation and Return Pulses)」という名称の米国特許出願第11/203,399号(弁護士事件登録番号BI9805PR)であり、かかる文献の内容全体は引例に挙げることにより本件の一部を成すものとする。本発明の1つ以上の局面と関連して全体または一部を実現することができる一実施形態によれば、約360 nmから約580 nmまで、または、420 nmまでの特殊な範囲の光(例えば、紫色光)は励起光のパルスとして標的面に向けて出力される。修正された実施形態では、励起光のパルスは白色光を含んでいる。励起光のパルスを受信すると、歯の所与の齲食場所は蛍光放射線のパルス(例えば、可視赤色波長)を発する。
【0037】
蛍光色帰還光パルスは1個ごとに、例えば、1本または複数本の帰還光導波路(例えば、第1帰還光導波路および第2帰還光導波路)が受取る。このような蛍光色帰還光パルスは、互いに異なる(例えば、互いに違う色合いの赤色の)蛍光波長の放射線を帰還させる互いに異なる種類−菌種の齲食の原因となるバクテリアの識別を行えるようにする。蛍光放射線は1種類以上の強度、遅延、および、スペクトル分布が健康な歯から帰還した放射線とは異なっているが(または、所与の齲食場所とは別の、1種類以上の特性を有する他の齲食場所が発する放射線とは異なっているが)、このような放射線は、例えば、可視緑色波長を含んでいる。従って、歯の齲食場所は、例えば、暗い背景に対比させて表示されるとはっきりと目立つ明るい点として現れる。
【0038】
帰還光のこのようなパルスは、本発明の或る局面によれば、帰還光の他の用途の代用として、または、他の用途に加えて、自動化処理を目的として、または、使用者による(画像捕捉装置に光信号を送ることによる)観察、検分、分析のうちのどれか1つまたは各種組合せを目的として、或いは、その両方を目的として利用される。従って、齲食疾患の症状は、比較的早い段階で、比較的高レベルの精度および信頼性で検出および目視することができる。例えば、励起光を精製して帰還した放射線を処理することで背景ノイズを除去するような処置に関する詳細、または、齲食の質と量の検出を容易にする処理に関する詳細、もしくは、その両方の処理を行うことに関する詳細は、本発明の各局面に従った自動化処理、および、使用者による観察・検分・分析のうちのいずれか1つまたは各種組合せのために活用することができ、「歯の齲食を検出する装置(Device for Detecting Dental Caries)」という名称の米国特許第5,306,144号に記載されているが、この特許の内容全体はここに引例に挙げることにより本件の一部をなすものであり、その編入の程度は、本件の開示内容と適合性を持つ場合は適合する程度に、または、相互に排除し合わない場合は当業者によって修正することができる程度に援用される。
【0039】
具体的な一実施形態では、上述の第1フィルターおよび第2フィルターから得られる、帰還した放射線は第1電気信号および第2電気信号に変換され(例えば、1個以上の光検出装置によって)、また、第1の電気信号を第2の電気信号によって除算することで商を得ることで(例えば、自動的に)、例えば、齲食が存在していることを示すことができる。換言すると、具体的な実施形態によれば、緑色波長のピークの大きさは赤色波長のピークの大きさと比較されることで、齲食の存在を判定し、または、齲食の程度を判定し、或いは、その両方を判定することができる。本発明の或る局面によれば、画像の一部または画像全体のような画像情報に基づいて同じようなプロトコルが実現される。例えば、標的面からの画像(例えば、1本以上の帰還光導波路からの画像)は、第1フィルターを通されて(例えば、1ピクセルごとに、または、1群のピクセルごとに)第1画像を生じ、また、第2フィルターを通されて(例えば、1ピクセルごとに、または、1群のピクセルごとに)第2画像を得ることができる。このような画像のいずれか一方または両方が、処理中のどの1段階でも、または、どの複数段階でも、使用者が視認するのに利用できるようになっている。また、第1画像を第2画像で除算すること(例えば、1ピクセルごとに、または、1群のピクセルごとに)によって1個以上の商を得ることで、齲食の存在を示す1種類以上の画像を提供することができる。
【0040】
所与の励起パルスとこれに対応する帰還パルスとの間で相関的な時間遅延が検出される。相対的な時間遅延を判定する方法の実施形態によれば、励起パルスとこれに対応する帰還パルスとの間の遅延の移動平均が平均値様式または偏差様式で維持され、または、画像方式(例えば、1種類以上の所与の画像について1ピクセルごとに、または、1群のピクセルごとに)で維持され、或いは、その両方の方式で維持される。励起パルスに付随する時間遅延が受信され、所与の励起パルスとこれに対応する帰還パルスの間の時間遅延(例えば、標的面上の多様な位置についての時間遅延、例えば、多様なピクセル位置についての時間遅延、または、多様なグループ分けされたピクセルについての時間遅延、或いは、標的面上の複数グループの位置についての平均時間遅延、または、複数グループのピクセルについての平均時間遅延)は、例えば、遅延の移動平均またはそれ以外の基準値の移動平均と比較される。
【0041】
別な実施形態では、多数ピクセルプロトコルまたは画像プロトコルのような上述の技術、もしくは、これらの変形例や修正例のいずれかを利用することで、励起パルス(または、励起パルスに関連する値やデータ)がこのパルスに対応する帰還パルス(または、帰還パルスに関連する値やデータ)と比較されて、強度、遅延、および、スペクトル分布のうちの少なくとも1つの差を得る。励起パルスとこれに対応する帰還パルス(例えば、帰還蛍光パルス)の間の所与の時間遅延(または、また別な1つの時間差または複数の時間差、もしくは、所与の時間遅延とこれとは別な1つまたは複数の時間差の両方)は、多数ピクセルプロトコルまたは画像プロトコルのような上述の技術もしくはそれらの変形例や修正例のいずれかを利用して、標的面の或る特性を表す示度を供与することができる。具体例を挙げると、齲食の深さの示度が供与され、この場合、より深い(例えば、内層面の)齲食は遅延が大きく、または、表層面の齲食に関与する散乱または健康な組織に関与する散乱よりも散乱の程度が大きく、もしくは、その両方の散乱よりも大きい。一般に、互いに異なる長さの複数の励起パルスにより、標的(例えば、歯の表面)に関する互いに異なる複数種類の情報(例えば、多様な点の情報や多様なピクセルの情報)を容易に確認することができるようになる。歯の表面に齲食がより広域に転移した結果、例えば、齲食の分布の広がりが少ないものと比較した場合、帰還パルスの蛍光時間(例えば、或る点の蛍光時間や或るピクセルの蛍光時間)は長くなる。また、例えば、異なる複数種類のバクテリアが1種類以上の帰還パルス特性に異なるふうに作用する限り、または、異なる複数種類の症状が1種類以上の帰還パルス特性を異なるふうに発信する限り、異なる複数種類のバクテリアまたは症状の存在を検出することができる。具体例を挙げると、異なる複数種類のバクテリアは、歯の表層に沿った、または、そのような表層の画像に沿った異なる複数の点または複数のピクセルごとに、遅延時間または蛍光時間が互いに異なっている。
【0042】
本発明の文脈の応用例の別な具体例として、上述の米国特許仮出願第60/739,314号に記載されているようなハンドルと併用される視覚フィードバック器が、本件に言及されている開示内容に照らせば当業者には明らかな類似の態様で(例えば、適用性について幾つかの修正を含んでいる)構成され、かつ、電磁エネルギー出力装置と併用される(ハンドルと併用される代わりに、または、ハンドルとの併用に加えて)。他の具体例として、上記の代用として、または、上記に加えて、上述の米国仮出願第60/709,737号に記載されているような眼の治療装置(例えば、レーザーを含む)と併用される視覚フィードバック器が、本件で提示および言及されている開示内容に照らせば当業者には明らかになるのと同じ態様または類似の態様で(例えば、適用性について幾つかの修正を含んでいる)構成され、かつ、電磁エネルギー出力装置と併用される。
【0043】
上述の電磁エネルギー出力装置、各種構成、および、各種用途は、その全体または一部が、本件に記載または言及されているいずれの構成(1種類または複数種類)または用途(1種類または複数種類)の、どのような付随する方法、修正、組合せ、順列、および、変更を含んでいてもよく、或いは、上述の電磁エネルギー出力装置、各種構成、および、各種用途は、その全体または一部が、本件に記載または言及されているという観点から、相互に排除し合うのでない限り、当業者なら以下に列挙する米国特許出願に記載されているように包含されると見なし、または、包含することができるものと認識するだろう。すなわち、2005年1月10日出願の「電磁誘導による分断切除を目的とした電磁エネルギー分布(Electromagnetic Energy Distributions for Electromagnetically Induced Disruptive Cutting)」という名称の米国特許出願第11/033,032号(弁護士事件登録番号BI9842P)、2005年1月10日出願の「組織除去装置およびその方法(Tissue Remover and Method)」という名称の米国特許出願第11/033,043号(弁護士事件登録番号BI9830P)、2005年8月12日出願の「事前調節による2重パルス幅医療レーザー(Dual Pulse-Width Medical Laser with Presets)」という名称の米国特許出願第11/203,400号(弁護士事件登録番号BI9808P)、2005年8月12日出願の「レーザーハンドピース構造およびその方法(Laser Handpiece Architecture and Methods)」という名称の米国特許出願第11/203,677号(弁護士事件登録番号BI9806P)、および、2001年5月2日出願の「皮膚科学的切断融除装置(Dermatological Cutting and Ablating Device)」という名称の米国特許出願第09/848,010号(弁護士事件登録番号BI9485P)であり、これら出願はすべてその内容全体が引例に挙げることにより本件の一部を成しているものとする。治療は、上述の米国特許仮出願第60/709,737号および2005年6月3日出願の「組織治療装置およびその方法(Tissue Treatment Device and Method)」という名称の米国特許仮出願第60/687,256号(弁護士事件登録番号BI9846PR)に記載されているような低レベルの各種光治療を含んでいるが、この出願の内容全体は引例に挙げることにより本件の一部を成すものとする。
【0044】
一例として、視覚フィードバック治療装置の一実施形態は、とりわけ、レーザーハンドピースのような電磁エネルギー発射装置の使用特性または使用条件(たとえば、切断効果)を最適化し、監視し、または、最大限にし、或いは、電磁エネルギー発射装置の使用に関連する特性または条件を最適化し、監視し、または、最大限にするのに好適であり、もしくは、歯などの標的面の疾患(例えば、齲食)を監視または検出するのに好適である。本件に記載または言及されている実施形態のいずれであれ、電磁エネルギー出力(例えば、レーザー出力)は、例えば、標的面より上方の視覚フィードバック治療装置(例えば、ハンドピースの形態を呈している)から発射された流体(例えば、装置の出力端付近の水源接続部または噴霧接続部もしくはその両方から送られた空気または水噴霧もしくはその両方、或いは、霧状の流体分子の分散)の中に当てられる。これと一致した、標的面の上方の霧化した流体分子が分散する中に電磁エネルギーを当てる構造を含んでいる装置が、例えば、米国特許第5,574,247号に開示されており、その内容全体は引例に挙げることにより本件の一部を成すものとする。具体的には、大量の電磁エネルギー(例えば、レーザーエネルギー)が水などのような流体(例えば、霧化した流体分子)中に伝達され、それにより、流体(例えば、流体分子)を膨張させてから、標的面に分断性の(例えば、機械的な)切除力を付与することができる。口腔処置(例えば、歯周ポケットの治療)などの処置の最中であって、接近および視認性が限られている間は、視覚フィードバック治療装置の視覚フィードバック器によって(a)電磁エネルギーと流体との間(例えば、標的面の上方)における相互作用、(b)標的面を切断し、融除し、治療し、または、それらとは別な様式で標的面に分断面を伝達する処理、(c)標的面またはその付近の疾患の情報または疾患に関連する情報の、(a)から(c)のうちいずれか1つまたは各種組合せを注意深く精細に監視をすることで、処置の質を向上させることができる。
【0045】
従って、本発明の一局面によれば、視覚フィードバック治療装置または歯周探針、もしくは、その両方は、比較的抑制された厳密な態様で治療部位(例えば、歯周ポケット患部)に電磁エネルギー(例えば、レーザーエネルギー)を導入することで、人間または機械が読取れる、もしくは、両方が読取れる、即時的な視覚フィードバックを供与することが実現される。
【0046】
一実施形態によれば、400ミクロンの可撓性光ファイバー(例えば、14 mmの400ミクロン歯周先端部)が電磁エネルギー装置(例えば、レーザーエネルギー装置)に接続されるが、このような電磁エネルギー装置の具体例として、カリフォルニア州サンクレメントのバイオレーズ・テクノロジー・インコーポレーティッド(BioLase Technology, Inc.)が販売しているウオーターレーズ(登録商標:WaterLase)装置やレーザースマイル(登録商標:LaserSmile)装置がある。
【0047】
或る具体例では(例えば、歯周病の場合)、例えば、ダイオードレーザーの場合、特性染料に対する親和性が活用され、或る種の標的(例えば、着色された微生物)を選択する(例えば、選択的に殺傷する)ことができるようにし、または、ヘモグロビンに対する親和性が活用され、血管構造体にとって好ましい止血と選択感度を得ることができるようにし、もしくは、それら両方が達成されるようにする。具体例を挙げると、病巣周辺の肉芽組織の血管の性質のおかげで、肉芽組織を融除するのにその下層組織に及ぼす影響を少なくしながら実施することができる。
【0048】
具体的な実施形態は、レーザー歯周ポケット治療(LPT)のような多様な処置と、それらの各種組合せの処置を含んでおり、例えば、或る具体例では、その工程単独で、または、他の工程と組み合わせて、本件に記載されているような視覚フィードバック治療装置または歯周探針を使って、もしくは、その両方を使って、齲食情報を判定することを含んでいる(または、例えば、レーザー歯周ポケット治療の場合では、歯周ポケットの深さを判定することを含んでいる)。
【0049】
例えば、歯周ポケットの罹患した内壁を選択的に除去する間、手術部位を繰返しレーザー照射して視認検査する処置を採用して、迅速に処置を完了することができるようにするとともに、組織患部の除去をより完全かつ高精度に行えるようにする一方で、例えば、隣接している罹患していない組織をより多く保存する(例えば、除去せずにおく、または、罹患していない組織への損傷を最小限に抑える)ことができるようにする。処置前の段階で、視覚フィードバック治療装置を使って、患者の診断(例えば、1本の歯につき6箇所の完全な口腔探針精査と、放射線撮像と、徹底した歯根平削りと歯石削りとを含む)を容易に実施することができるようにした後で、例えば、5 mmまたはそれよりも広い領域にレーザー歯周ポケット治療を実施することができる。続いて、治療を受けた領域を評価して、例えば、或る期間の後で歯周ポケットが5 mmよりも広いままである場合には、その領域を視覚フィードバック治療装置を使って治療し直す。例えば、歯周ポケットが5 mmよりも小さくなるまで、または、これ以上は継続して改善しなくなるまで、同様の評価と再治療を、例えば、3ヶ月ごとに繰り返すとよい。
【0050】
両脇からのエネルギーを搾取することができるファイバーを利用する場合、或る実施形態では治療は掃引運動を利用して実施することができるが、そのようなファイバーの具体例として、ダイオードレーザースマイル(登録商標:LaserSmile)装置と関連づけて先に説明されたものや、例えば、2005年1月10日出願の「加減式の出力ファイバー光学先端部(Modified Output Fiber Optic Tips)」という名称の米国特許出願第11/033,441号に記載されているようなものがあり、この米国出願の内容全体は引例に挙げることにより本件の一部をなすものとする。具体的な応用例によれば、ファイバーは歯周ポケットの或る深さまで挿入されてから、ポケット全体を横断して掃引されるが、この時、精度とスピードを高めるために、視覚フィードバック治療装置の視覚フィードバック器を利用する。例えば、ダイオードにより、局所麻酔を施すことができる。
【0051】
水に対する親和性を有している、ウオーターレーズ(登録商標:WaterLase)YSGGレーザーのようなウオーターレーズを使う場合、主として水を体成分として含む微生物は、電磁エネルギー(レーザーエネルギー)が導入されると、融除区域を越えた先でも即座に殺傷される。脇からではなく先端部の端からエネルギーを搾取するファイバー先端部を使う場合、例えば歯周ポケットに電磁エネルギー(レーザーエネルギー)を導入するための技術は、場合によっては探針精査に類似していてもよい。そのような例では、レーザーがオン状態の場合、ファイバーは歯肉の最上部から歯周ポケットの最下部まで上下に振り動かされる。この技術が実施されると、先端部は標的領域(例えば、歯周ポケット)の長尺部に沿って移動させられる際に、同じ行程を行き来することになり、段階探針精査のように動かすことができる。
【0052】
直ぐ上段に記載されている具体例によれば、また、それ以外に本件で説明、言及、または、暗示された実施形態では、次のような開示内容が適用される。
【0053】
例えば、歯に隣接して形成された歯周ポケット患部の内側に施される治療のような処置における画像データ収集に関連した電磁エネルギー(例えば、レーザーエネルギー)の使用は、組織除去、組織修復、または、それ以外の治療を目的として、もしくは、これらの各種組合せの治療を同時または連続的に施すことを目的として、組織を視認化するために取り入れられている。例えば、炎症組織、感染組織、または、壊死組織、もしくは、これら病変が組み合わさった各種組織を適切に除去する目的で視認化することは、臨床的に有利である。
【0054】
組織に関するデータを観測し、処理し(例えば、修復し)、または、それ以外の様式で収集する処置は、例えば、本件で説明または言及した光学フィードバックのいずれによって監視されてもよい。例えば、組織再生を種別で観測する一方法は、光学コヒーレンス断層撮像によるものである。例えば、歯周病学では、再付着用の歯周靭帯線維芽細胞の修復と疾患の進行中に喪失した骨組織の修復を観測することは非常に重要になることがある。カメラは光学ドップラー断層撮影法を利用して血流や血液循環の変動を検出することができる。それと同じ装置を利用して、多様な処置(例えば、バクテリアの影響を受けた歯根管の内側を視認する処置、または、治療目的または外科手術を遂行する目的で利用することができる光ファイバーに接近することができる管腔の内側を視認する処置)に関連する多様な標的部位に外科手術を遂行し、または、そのような標的部位を治療して視認化し、或いは、その両方を行うことができる。歯根管の内側では、歯根管壁または側方管の症状ばかりでなく壊死組織またはバクテリアに冒された(感染した)組織が存在していることを視認することが重要となることがある。カメラは、例えば、湾曲した管を通して外科手術ビームや治療ビームをどのように案内するかについて、内部における進行させ方の指示を与えることができる。
【0055】
多様な医療処置(例えば、歯の硬組織)に関連して、本発明の視覚フィードバック治療装置は全体または一部が次に挙げる各処置のいずれかを容易にすることを目的として実現される。すなわち、等級I、等級II、等級III、等級IV、等級Vの歯髄腔準備、齲食除去、硬組織面の粗面化または食刻、エナメル質形成術、シーラントを設置するための小窩および裂溝の掘削、骨質歯冠の伸張、口腔骨質組織(骨)の切断、研削、輪郭形成、および、切除、骨形成と骨質輪郭再形成(骨質欠損を補正するとともに生理学的骨質輪郭を形成することを目的とした骨の除去)、骨切除(骨構造を修復するための骨切除、移植片設置に備えた骨切除など)、歯根(単数または複数)の尖点部に接近する窓を準備するための骨切除、根尖切除−歯根尖の切り離し、アマルガムまたは複合物を逆充填するための歯根尖準備、歯根管に接近するための歯の準備、拡大を含む歯根管の準備、および、歯根管の鮮創と洗浄のうちのいずれかを容易にする。
【0056】
それ以外の多様な医療部位(例えば、歯の柔組織など)に関連して、本発明の視覚フィードバック治療装置は全体または一部が以下の各処置のいずれかを容易にすることを目的として実現される。すなわち、口腔の柔組織を切開し、切除し、蒸気療法を施し、融除し、凝固させる処置、切除生検および切開生検、未萌出の歯を露出させる処置、線維腫除去、歯肉組織弁の準備−柔組織を切開して歯肉組織弁を切り残して骨を露出させる処置、小帯切除および舌小帯切除、歯冠の陰型を得るために歯肉に溝を設ける処置、歯肉切除、止血、移植片修復、切開して膿瘍を排出する処置、口蓋切開術、歯髄切除、歯髄摘除、歯根管治療に付随する処置としての歯髄切断、歯根管の鮮創および洗浄、歯突起尖周辺から病的組織を除去する処置、柔組織冠の伸張、溝鮮創、口腔潰瘍の治療、口腔粘膜の疱疹潰瘍およびアフタ潰瘍の治療、口腔前庭形成、歯肉組織弁の準備−柔組織を切開して歯肉組織弁を切り残して未萌出の歯(硬組織および柔組織の埋伏物)を露出させる処置、骨欠損部から肉芽組織を除去する処置、レーザーによる柔組織掻爬、その他の特殊処置で骨質歯冠の伸張や歯周治療(例えば、レーザー掻爬、溝鮮創、病的組織の除去などを含む)や口腔外科手術や移植片適用処置(例えば、妨害移植片組織を撤収する処置、または、移植片のための誘導孔を設ける処置)など、歯内処置(例えば、歯髄治療、歯根管接近、歯根管成形、および、歯根管鮮創)などを容易にする。
【0057】
上述の説明は本発明の特定の実施形態に言及しているが、本発明の真髄から逸脱せずに多数の修正を行うことができるものと理解するべきである。本発明の各局面は上述の実施形態を組合せて含んでいるが、このような組合せは明示的に説明されている訳ではない場合もある。特許請求の範囲の請求項の様式での本件添付の付加的な開示内容はいずれも、このような実施形態を網羅し、本発明の範囲および真髄に入るものと解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】画像化構造を有しているとともに、組織の標的領域を治療するように構成されている装置の一実施形態を例示した側面立面図である。
【図2】図1の装置と併用するためのロッドレンズ組立体の一実施形態を例示した概略図である。
【図3a】図1および図2と併用することができるようにしたもののようなロッドレンズ組立体の構成を例示した概略図である。
【図3b】図3aの構造に一致する内部搭載型構造がロッドレンズ組立体を有して、または、ロッドレンズ組立体を有さずに形成されているのを例示した図である。
【図3b(1)】ビーム屈折素子を使って、光学経路の方向を視覚フィードバック器の光学軸線から画像化ファイバーの光学軸線に変動させるようにした実施形態の一構成を例示した図である。
【図3b(2)】ビーム屈折素子を使って、光学経路の方向を視覚フィードバック器の光学軸線から画像化ファイバーの光学軸線に変動させるようにした実施形態の別な一構成を例示した図である。
【図3b(3)】ビーム屈折素子を使って、光学経路の方向を視覚フィードバック器の光学軸線から画像化ファイバーの光学軸線に変動させるようにした実施形態のまた別な一構成を例示した図である。
【図3b(4)】ビーム屈折素子を使って、光学経路の方向を視覚フィードバック器の光学軸線から画像化ファイバーの光学軸線に変動させるようにした実施形態の更に別な一構成を例示した図である。
【図4】レーザーハンドピースと筒状組立体であって、後者が画像捕捉装置と、照射光エネルギーまたは励起光エネルギーを放射して使用者が標的面をより良く視認することができるようにした、または、信号解析を容易に行えるようにした1本以上の電磁エネルギー導波路とを備えているのを例示した図である。
【図5a】視覚フィードバック器より遠位の光学経路に沿った1点の断面または端面において、画像捕捉装置が中央管腔内に配置されているとともに、照射光源−励起光源の導波路と帰還光の導波路が中央管腔の外部に配置されているのを例示した断面図または端面図である。
【図5b】視覚フィードバック器より遠位の光学経路に沿った1点の断面または端面において、画像捕捉装置がここでも中央管腔内に配置されているとともに、照射光源−励起光源の欧は炉が中央管腔の周囲に同心配置されており、尚且つ、第1帰還光導波路および第2帰還光導波路が光源導波路より外部に配置されているのを例示した断面図または端面図である。
【図6a】図4の組立体に関連して構成され、かつ、使用することができるような画像化ファイバーの一変形例を例示した図である。
【図6b】図4の組立体に関連して構成され、かつ、使用することができるような画像化ファイバーの別な一変形例を例示した図である。
【図6c】図4の組立体に関連して構成され、かつ、使用することができるような画像化ファイバーのまた別な一変形例を例示した図である。
【図6d】図4の組立体に関連して構成され、かつ、使用することができるような画像化ファイバーの更に別な一変形例を例示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁エネルギー出力装置であって、
電磁エネルギーを出力するよう構成された筒状組立体と、
筒状組立体からの電磁エネルギーを受信するように接続された出力ファイバー先端部と、
画像捕捉装置とを備えている、電磁エネルギー出力装置。
【請求項2】
前記電磁エネルギー出力装置はハンドピースである、請求項1に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項3】
前記電磁エネルギー出力装置はレーザー歯科用ハンドピースである、請求項2に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項4】
画像捕捉装置はカメラである、請求項2に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項5】
前記画像捕捉装置はディジタルカメラである、請求項4に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項6】
前記カメラは前記筒状組立体の一部である、請求項4に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項7】
照射光を放射して使用者が標的面をより良好に視認することができるようにした1本以上の電磁エネルギー導波路を更に備えている、請求項4に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項8】
励起光を放射するとともに帰還励起光を受光して処理する、1本以上の電磁エネルギー導波路を更に備えている、請求項4に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項9】
前記カメラは前記筒状組立体の一部である、請求項8に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項10】
使用者が標的面をより良好に視認することができるようにする目的で、尚且つ、帰還励起光を受光してディジタル処理する目的で、照射光および励起光を放射する1本以上の電磁エネルギー導波路を更に備えている、請求項4に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項11】
前記カメラは前記筒状組立体の一部である、請求項10に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項12】
信号分析のために励起光を放射するとともに帰還励起光を処理する、1本以上の電磁エネルギー導波路を更に備えている、請求項1に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項13】
信号分析のために励起光を放射するとともに帰還励起光を受光してディジタル処理する、1本以上の電磁エネルギー導波路を更に備えている、請求項1に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項14】
前記ディジタルカメラは前記筒状組立体の一部である、請求項13に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項15】
前記電磁エネルギー出力装置の遠位端またはその付近で獲得された画像を一定の順路に従って発信する画像捕捉用付属装置を更に備えている、請求項9に記載の電気エネルギー出力装置。
【請求項16】
前記画像捕捉用付属装置はオートクレーブで滅菌することができる、請求項15に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項17】
前記画像捕捉用付属装置は着脱できる部材を備えている、請求項15に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項18】
前記画像捕捉用付属装置はクリップ式装着部材を備えている、請求項15に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項19】
前記画像捕捉用付属装置は前記電磁エネルギー出力装置の内側に固着することができる、請求項15に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項20】
前記電磁エネルギー出力装置の遠位端またはその付近で獲得された画像を一定の順路に従って発信する画像捕捉用付属装置を更に備えている、請求項15に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項21】
前記画像捕捉用付属装置はオートクレーブで滅菌することができる、請求項20に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項22】
前記画像捕捉用付属装置は着脱できる部材を備えている、請求項20に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項23】
前記画像捕捉用付属装置はクリップ式装着部材を備えている、請求項20に記載の電磁エネルギー出力装置。
【請求項24】
前記画像捕捉用付属装置は前記電磁エネルギー出力装置の内側に固着することができる、請求項20に記載の電磁エネルギー出力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3B(1)】
image rotate

【図3B(2)】
image rotate

【図3B(3)】
image rotate

【図3B(4)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate


【公表番号】特表2009−512463(P2009−512463A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518519(P2008−518519)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/025191
【国際公開番号】WO2007/002758
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507283078)バイオレーズ テクノロジー インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】