電磁シールド
【課題】高温に曝されてもハロゲンガスが発生せず、所要の接着力を有し、かつUL難燃性等級V0を達成できる電磁シールドを実現する。
【解決手段】電磁シールドは、少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つの導電層と、その導電層とその弾性コア部材の間にあってその導電層をその弾性コア部材に接着する、インチ幅当り少なくとも10オンス(1cm幅当り111.6g)の接着強度を有する少なくとも1つの接着剤と、を含む。その導電層は、少なくとも1つの布材料を含む。その弾性コア部材は、任意選択的に、少なくとも1つのウレタン発泡体材料を含む。その接着剤は、実質的にハロゲン非含有であり、且つ少なくとも1種のハロゲン非含有難燃性剤を乾燥重量で35%以上且つ63%以下含む。そのシールドは、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)スタンダードNo.94によるV0の燃焼性等級を有する。
【解決手段】電磁シールドは、少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つの導電層と、その導電層とその弾性コア部材の間にあってその導電層をその弾性コア部材に接着する、インチ幅当り少なくとも10オンス(1cm幅当り111.6g)の接着強度を有する少なくとも1つの接着剤と、を含む。その導電層は、少なくとも1つの布材料を含む。その弾性コア部材は、任意選択的に、少なくとも1つのウレタン発泡体材料を含む。その接着剤は、実質的にハロゲン非含有であり、且つ少なくとも1種のハロゲン非含有難燃性剤を乾燥重量で35%以上且つ63%以下含む。そのシールドは、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)スタンダードNo.94によるV0の燃焼性等級を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には電磁(electromagnetic(EM))シールド(遮蔽体)に関し、特に、環境に優しい材料、例えばハロゲン非含有(ハロゲンを含まない)難燃性剤(残炎防止剤)で形成された難燃性布(織物、布地)被覆発泡体EMIシールド(flame retardant fabric-over-foam EMI shield)(但し、これに限定されない)に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置(デバイス)が動作すると、その装置(equipment)の電子回路内で電磁放射線が発生する。このような放射線により電磁干渉(EMI)が生じ、これが或る範囲内の近傍にある他の電子装置の動作に干渉する可能性がある。EMIの影響を改善するための一般的解決法は、EMIエネルギを吸収および/または反射することができるシールド(遮蔽体)を開発する(用いる)ことであった。典型的には、これらのシールドを用いて、EMIがその発生源内に局在化(localize:限定)され、およびEMI発生源の近くにある他の装置が隔離(insulate:絶縁、分離)されることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Underwriter’s Laboratories Standard)No.94、“Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances”5th Edition, October 29, 1996
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/44406号
【特許文献2】特開2002−198679号公報
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明の1つの特徴(側面)によれば、電磁シールド(遮蔽体)は、一般的に、弾性コア部材と導電層とを含んでいる。接着剤がその導電層をその弾性コア部材に接着(接合)している。その接着剤はハロゲン非含有(ハロゲンを含まない)難燃性剤(残炎防止剤)(halogen-free flame retardant)を含んでいる。種々の実施形態では、その導電層に、ハロゲン非含有難燃剤(性)および/または腐食防止剤(性)を用いる(provide:加える、与える)ことができる。
【0006】
その他の特徴によれば、本発明は電磁シールドを生成する方法を実現する。典型例の一実施形態では、この方法は、ハロゲン非含有難燃性剤および/または腐食防止剤を導電層に用いる(適用する、加える)ステップと、ハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤を用いて導電層を弾性コア部材に接着(接合)するステップとを含んでいる。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下の詳細な説明で明らかになる。詳細な説明および特定の例は本発明の種々の実施形態および方法を示しているが、これらは、単に例示のためのものであって、これをもって本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0008】
以下の詳細な説明および添付の図面により、本発明をより充分に理解することができる。
【0009】
典型例の実施形態に関する次の説明は、その性質上単なる典型例であって、如何なる意味においても本発明、その適用または用途を限定することを意図するものではない。
【0010】
種々の特徴(側面)によれば、本発明は、例えばEMIガスケット(gasket)のような電磁干渉(EMI)シールドを提供する。一実施形態では、EMIシールドは、一般的に弾性(resilient)コア部材と導電層とを含んでいる。その導電層には、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)(halogen-free flame retardant)が(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)用いられ(provided:加えられ)ている。接着剤によって導電層がコア部材に接着(接合、ボンディング)されている。その接着剤には有効量のハロゲン非含有難燃性剤が充填され(loaded:用いられ、加えられ)ており、導電層に用いられたハロゲン非含有難燃性剤との組み合わせによって、そのシールドは所定の難燃性等級(率)(flame retardant rating)(例えば、V0のUL94垂直燃焼性等級(率)(UL94 vertical flame rating of V0)等)を達成することができる。しかし、その接着剤中の有効量のハロゲン非含有難燃性剤は、所定のパーセンテージ(割合)より少なく、(それが)その所定のパーセンテージより低い場合に、その充填された(与えられた)接着剤は少なくとも所定の接着強度(接合強度)(例えば、毎分12インチ(約30.5cm)で180度の剥ぎ取り試験(peel test)等で決定された、例えばインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)、等)を与える。従って、EMIシールドのこの特定の実施形態は、ハロゲンを含まず、環境に優しい(無害である)。
ある)。
【0011】
他の実施形態において、EMIシールドは一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。導電層は接着剤によってコア部材に接着(接合)されている。この特定の実施形態において、導電層に難燃性剤を用いる(難燃性を与える)ことなく、そのシールドが所定の難燃性等級(率)(例えば、V0のUL94垂直燃焼性等級(率)、等)を達成することができるように、その接着剤に有効量のハロゲン非含有難燃性剤が用いられている。しかし、その接着剤中の有効量のハロゲン非含有難燃性剤は所定のパーセンテージより少なく、(それが)その所定のパーセンテージより低い場合に、その充填された接着剤は少なくともその所定の接着強度(接合強度)(例えば、毎分12インチ(毎分約30.5cm)で180度の剥ぎ取り試験(peel test)等で決定された、例えばインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)、等)を与える。従って、EMIシールドのこの特定の実施形態は、ハロゲンを含まず、環境に優しい。
【0012】
さらに他の実施形態において、EMIシールドは一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。ハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤によって、導電層がコア部材に接着(接合)されている。この特定の実施形態において、その導電層に、ハロゲン非含有の腐食防止剤(corrosion inhibitor)(例えば、アゾール族(azole family)および/またはピロール族(pyrole family)等から選ばれたベンゾトリアゾール(benzotriazole)またはその他の適した腐食防止剤、等)が(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)用いられている。その腐食防止剤は難燃性剤としての機能(作用)も持つことができ、その接着剤の難燃性の特性(性質)との組み合わせによってそのシールドは所定の難燃性等級(率)(例えば、V0のUL94垂直燃焼性等級(率)、等)を達成することができる。しかし、その接着剤中の有効量のハロゲン非含有難燃性剤は所定のパーセンテージ(割合)より少なく、(それが)その所定のパーセンテージより低い場合に、その充填された接着剤は少なくとも所定の接着強度(接合強度)(例えば、毎分12インチ(毎分約30.5cm)で180度の剥ぎ取り試験等で決定された、例えばインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)、等)を与える。従って、そのEMIシールドのこの特定の実施形態は、ハロゲンを含まず、環境に優しい。
【0013】
本発明のその他の特徴は、EMIシールドを製造しおよび使用する方法に関する。本発明の別の特徴は、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を充填した(用いた、加えた)接着剤を含んでいる。本発明のさらに別の形態には、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)および/または腐食防止剤が用いられた(加えられた)(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)導電性材料(例えば、ナイロン・リップストップ布(nylon ripstop(NRS)fabric)、メッシュ状布(mesh fabric)、タフタ布(taffeta fabric)、織布(woven fabric)、不織布(non-woven fabric)、編み布(knitted fabric)、等)が含まれる。別の特徴では、導電層に難燃性剤(残炎防止剤)または腐食防止剤が用いられていない(加えられていない)形態のEMIシールドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明による典型例の一実施形態によるEMIシールドの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有不燃剤を含む接着剤の接着(接合)強度を示す負荷対時間の典型例の線グラフである。
【図3】図3は、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有不燃剤を含む接着剤の接着(接合)強度を示す負荷対時間の典型例の線グラフである。
【図4】図4は、本発明の種々の典型例の実施形態によるハロゲン非含有難燃性剤を用いることができる典型例の布を示す表である。
【図5】図5は、ウレタンでコーティングされたナイロン・リップストップ、および本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布をくしゃくしゃに押しつぶし、且つ折り畳む試験期間中に集められたデータを概略的に示す表である。
【図6】図6は、図5に示された表のデータを用いて作製された典型例の線グラフであり、くしゃくしゃに押しつぶし且つ折り畳む試験期間中の表面抵抗率対サイクル数の関係を示す線グラフである。
【図7】図7は、ウレタンでコーティングされたNRS布と、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の、膨らまされたダイアフラム(膜)の磨耗試験期間中の表面抵抗率対サイクル数の関係を示す典型例の線グラフである。
【図8】図8は、ウレタンでコーティングされたNRS布と、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す線グラフの一例を示す図である。
【図9】図9は、60℃、90%の相対湿度で1週間曝した後の図8に示すNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す典型例の線グラフである。
【図10】図10は、60℃、90%の相対湿度で2週間曝した後の図8および図9に示すNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す別の典型例の線グラフである。
【図11】図11は、60℃、90%の相対湿度で8週間曝した後の図8乃至図10に示すハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す別の典型例の線グラフである。
【図12】図12は、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤の接着(接合)強度を示す負荷対時間の関係を示す典型例の線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の原理による典型例のEMIシールド20を示している。図示のように、シールド20は弾性コア部材22と、その弾性コア部材22を概ねまたはほぼ取囲む導電層26と、その導電層26をその弾性コア部材22に接着(接合)する接着剤24とを含んでいる。その導電層26には、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)および/またはハロゲン非含有腐食防止剤(これは難燃性剤(残炎防止剤)としての機能も有することができ、従って難燃性剤(残炎防止剤)とも称する)が用いられる(加えられる)(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)。図示の実施形態では、導電層26にハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)およびウレタンを含むコーティング28が施されている。難燃性剤(残炎防止剤)に加えてまたは難燃性剤(残炎防止剤)に代えて、コーティング28は、例えば、アゾール族(azole family)および/またはピロール族(pyrole family)から選ばれたベンゾトリアゾール(benzotriazole)またはその他の適した腐食防止剤のような腐食防止剤を含むこともできる。種々の実施形態において、腐食防止剤は難燃性(不燃性)を有していてもよく、この場合、そのコーティングはその腐食防止剤の他に何ら他の難燃性剤(残炎防止剤)を必要としない。
【0016】
弾性コア部材22として(に)広範囲の材料を使用することができる。一実施形態では、弾性コア部材22は、ポリエステルフィルムのスクリム(scrim:綿または亜麻等の目の粗い織物)が取り付けられた(貼りつけられた)ウレタン発泡体(ウレタンフォーム:urethane foam)で作られている。代替構成として、例えば開口内で圧縮するのに適したその他の弾性的に圧縮可能な材料のようなその他の材料を、その弾性コア部材として(に)使用することもできる。その他の材料およびタイプのものを、布(fabric)を含むそのスクリム用として使用することもできる。さらにその他の実施形態では、その弾性コア部材に取り付けられた(貼りつけられた)スクリムがない。
【0017】
導電層部分26として広範囲の材料を使用することができる。典型例の材料には、層内の導電性充填剤(フィラー)、金属層、および/または導電性非金属層が含まれる。幾つかの実施形態では、導電層部分26は金属化またはメッキされた布(plated fabric)からなり、その金属は銅、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、(パラジウムアルミニウム)、スズ、合金、および/またはこれらの組み合わせである。例えば、特定の一実施形態では、ニッケル銅ナイロン・リップストップ(nickel copper nylon ripstop)(NRS)布を含んでいる。その他の実施形態では、導電層部分26は金属材料が充填された(impregnated:含浸された、満たされた)材料の層からなり、それによってその材料の層をEMIシールドとしての適用に対して充分な導電性にしている。導電層部分26に(として)使用される1つまたは複数の特定の材料は、例えば、所望の電気的特性(例えば、表面抵抗率(surface resistivity:表面比抵抗)、導電率、等)に応じて(次第で)、さらに例えばそのEMIシールドが使用される特定の適用例に応じて変更される。
【0018】
種々の実施形態では、接着剤層24は、導電層部分26と弾性コア部材22の間に良好な接着強度(接合強度)を与えるのに適した環境的に安全な接着剤である。接着剤層24は広範囲の適当な接着剤を含むことができる。一実施形態では、接着剤層24は、EMIシールドが所定の燃焼性等級(率)(flame rating)を実現することができ、同時に良好な接着強度を有しかつそのEMIシールドの適用例(用途)に適した諸特性(例えば、シールド効果(有効性)、バルク抵抗率、等)を保持することができるような、有効量の難燃性剤(残炎防止剤)が充填された溶剤ベースの(溶剤を基剤とする)ポリエステル接着剤を含んでいる。
【0019】
燃焼性等級(率)(flame rating)は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダード(Underwriter’s Laboratories Standard)No.94、“Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances(装置および適用例における部品用のプラスチック材料の燃焼性試験)”(5th Edition, October 29, 1996)を使用して、またはASTM(American Society for Testing and Materials)燃焼性(引火性)試験を使用して決定される。一実施形態では、接着剤層24は、EMIシールド20がV0のUL94垂直燃焼性等級(率)(UL94 vertical flame rating)を有するような有効量の難燃性剤(残炎防止剤)を含んでいる。その他の実施形態では、接着剤層は、例えばV1、V2、HBまたはHF−1のようなより低いUL94燃焼性等級(率)のみをEMIシールドが達成できるようなより少ない(少量の)難燃性剤(残炎防止剤)(またはより少ない(少量の)有効難燃性剤(残炎防止剤))を含んでいてもよい。所望のUL94燃焼性等級(率)は、例えばEMIシールドの特定の適用例または設置条件に依存することができる。
【0020】
接着剤は、所定の燃焼性等級(率)(flame rating)を達成するために少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を含むことができるが、接着剤はその有効量より多くの量を含むことができる。種々の実施形態では、接着剤は、ハロゲン非含有難燃性剤を乾燥重量で所定のパーセンテージ(割合)より多くを含むことはなく、(それが)そのパーセンテージより低い場合に、接着剤は少なくとも所定の接着強度を提供することができる。本願の発明者が認識しているように、本発明の幾つかの実施形態についてハロゲン非含有難燃性剤と接着剤とに関して維持すべき微妙なバランスが存在する。接着剤が過剰に多いハロゲン非含有難燃性剤を含む場合には、その接着強度について譲歩(妥協)することがある。しかし、接着剤が充分なハロゲン非含有難燃性剤を含まないと、EMIシールドは所要のUL94燃焼性等級(率)(例えば、V0、V1、V2、HBまたはHF−1、等)を満たすことができないことがある。従って、種々の実施形態では、その接着剤は、そのシールドに所定のUL燃焼性等級(率)を与えるための少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を含むが、その接着剤が少なくとも所定の接着強度を有するような所定のパーセンテージより少ないハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。
【0021】
種々の実施形態において、ハロゲン非含有難燃性剤は、リン(三価のリン)をベースとする難燃性剤(phosphorous-based flame retardant)である。一実施形態では、接着剤は、乾燥重量で少なくとも約30%(±5%)であるが約70%以下の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で少なくとも約50%であるが約63%以下の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。さらに別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で約63%の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。さらに別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で約55%の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。さらに別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で約50%の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。種々の実施形態において、接着剤は、EMIシールドの製造において積層され(laminated)得る1つの層の形に形成される。
【0022】
接着剤は、広範囲の難燃性剤の中の任意のものを含んでいてもよく、その広範囲の難燃性剤には、ハロゲン(例えば、臭素、塩素、等)を実質的にまたは全く含まない環境に優しい難燃性剤が含まれる。市販のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤の特定の例が、マサチューセッツ州ミドルトン(Middleton)にあるBostic,Inc.(ボスティック インコーポレイテッド)およびサウスカロナイナ州スパルタンバーグ(Spartunburg)にあるApex Chemical Company(エイペックス ケミカル カンパニー)から発売されている。使用できるその他の典型例の難燃性剤には、鉱物酸化物(mineral oxide)(例えば、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、等)、金属水和物(metal hydrate)(例えば、アルミニウム三水和物(アルミナ三水和物:aluminum trihydrate)、等)、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸(boric acid)、ホウ砂(borax)、等)、メラミン(melamine)、およびシリコ−ン(silicone)が含まれる。
【0023】
次の非限定的な例、燃焼性(引火性)試験結果、表(図4および5)、線グラフ(図2、3、および6〜12)は、本発明の原理に従って製造されたEMIシールドの種々の特徴を例示するのを助ける。これらの例は、例示のために挙げただけであって、本発明を限定するためのものではない。
【0024】
特定の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さが3.0mm(ミリメートル)、幅12.5mm(ミリメートル)のウレタン発泡体を含むものであった。そのウレタン発泡体は、3.0mmの厚さの1層の形に形成され、ULサンプル用として適しているものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に積層された導電性の金属化布材料(metallized fabric material:金属被覆または蒸着布材料)を含むものであった。その接着剤層は、約55乾燥重量%の“ハロゲン非含有のリン(三価のリン)をベース(基材)とする難燃性剤”を有するポリエステル接着剤を含むものであった。具体的には、その接着剤は、ボスティック インコーポレイテッド製の厚さ約0.0025インチ(約0.035mm)の10−336接着剤を含むものであった。しかし、本発明の特徴は、この特定のタイプおよび種類の接着剤に限定されるものではない。
【0025】
この一連の試験用試料では、難燃性剤を含まないウレタン(非難燃性(Non-FR)ウレタン)がその布に用いられ(加えられ)ている。非難燃性(非FR)ウレタンのコーティング(被覆)は、その非難燃性ウレタン・コーティング(被覆)からの重量ピックアップ(pick-up:収集分)が平方ヤード当り約0.15オンス(opsy)(1m2当り約5.1g)であるような約18%のウレタンの固形分を含むものであった。さらに、その布は、華氏260度(127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置(flat bed laminator)を用いて(但し、その他の適当な手段を用いることもできる)積層されたものである。また、その布と接着剤層は、任意の適当な寸法または形状になるように裁断され(trim:切り取られ)てもよい。
【0026】
所要の形状のシールドを形成するために、1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が布(fabric)と接着剤層に共に結合された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態によるシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)(UL94 flame rating)について試験が行われた。典型例の燃焼性等級(率)試験の結果を例示のためにのみ次の表1に示す。
【0027】
表1
サンプル T1 T2 T3 結果
1 6 0 0 V0
2 5 0 0 V0
3 7 0 0 V0
4 8 0 0 V0
5 5 1 0 V0
合計残炎(Total Afterflame)32
【0028】
上の表1に示すように、EMIシールドのこの特定の実施形態は、接着剤中に少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤が含むものであり、そのシールドにV0のUL燃焼性等級(率)を与えることができた。
【0029】
図12は、金属化された布と厚さ0.001インチ(約0.025mm)のポリエステルフィルムのスクリム(scrim)の間におけるこの特定の接着剤(約55乾燥重量%の ハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を有する接着剤)の接着強度を示している。金属化布とスクリムの間のこの特定の接着剤の平均接着強度は、インチ幅当り約35オンス(1cm幅当り約391g)であった。しかし、所要の接着強度は、例えばEMIシールドが用いられる特定の適用例に応じて変えることができる。
【0030】
別の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さ3.0mm、幅12.5mmのウレタン発泡体を含むものであった。このウレタン発泡体は、厚さ3.0mmの1層の形に形成されており、ULのサンプル用として適したものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に積層された導電性の金属化布材料を含むものであった。接着剤層は、約63乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含むポリエステル接着剤(例えば、ボスティック インコーポレイテッド製の10−335接着剤、等)を含むものであった。
【0031】
この一連の試験では、その布に難燃性剤は用いられなかった。さらに、その布は、華氏260度(127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置を用いて(但し、その他の適当な手段を用いることもできる)積層されたものである。また、その布と接着剤層は、任意の適当な寸法または形状になるように裁断され(trim:切り取られ)てもよい。
【0032】
所要の形状のシールドを形成するために、1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が布(fabric)と接着剤層に共に結合された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態によるシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)について試験が行われた。典型例の燃焼性等級(率)試験の結果を例示のためにのみ次の表2に示す。
【0033】
表2
サンプル T1 T2 T3 結果
1 9 0 0 V0
2 4 2 3 V0
3 14 0 3 V1
4 6 1 3 V0
5 9 1 3 V0
合計残炎(Total Afterflame)46
【0034】
上の表2に示すように、EMIシールドのこの特定に実施形態は、接着剤中に少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤が含むものであり、そのシールドにV1のUL燃焼性等級(率)を与えることができた。これらの燃焼性の結果は、例えば、EMIシールドが用いられる特定の適用例に応じてその所要の燃焼性等級(率)を変えることができるような或る幾つかの適用例に適しているかもしれない。
【0035】
図2は、その発泡体(線200で示されている)とこの発泡体に付着されたポリエステルフィルムスクリム(polyester film scrim)(線210で示されている)とに対するこの特定の接着剤(約63乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を有する接着剤)の接着強度を示している。図2に示されているように、この特定の接着剤と発泡体の間の平均接着強度は、インチ幅当り約4.6オンス(1cm幅当り約51.3g)であり、この特定の接着剤とスクリムの間の平均接着強度は、インチ幅当り約4.2オンス(1cm幅当り約46.9g)であった。しかし、所要の接着強度は、例えばEMIシールドが用いられる特定の適用例に応じて変化し得る。
【0036】
別の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さ3.0mm、幅12.5mmのウレタン発泡体を含むものであった。このウレタン発泡体は、厚さ3.0mmの1層の形に形成されており、ULのサンプル用として適したものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に再度積層された導電性の金属化布材料を含むものであった。接着剤層は、約63乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含むものであった。
【0037】
しかし、上述の試験用試料とは違って、その布には、材料の(ハロゲン非含有難燃性剤およびウレタンを含む材料からの)重量ピックアップが平方ヤード当り約0.27オンス(opsy)(1m2当り約9.2g)であるようなハロゲン非含有難燃性剤およびウレタンを含む材料が用いられた(例えば、コーティングされた)。そのハロゲン非含有難燃性剤は、約15重量%の環状スルホン酸エステル(cyclic phosphonate ester)と、脱イオン水(de-ionized water)である残り分(remaining balance)とを含む、水をベースとするウレタン分散液(urethane dispersion)(約13重量%の固形分を有するウレタン分散液)であった。このリンをベースとする難燃性剤液(phosphorous-based flame retardant liquid)は、その布を難燃性剤中に浸すことによってその布に適用(塗布)される。過剰な難燃性剤は(例えば、1対のゴム製圧搾ローラで平方インチ当り約20ポンド(1cm2当り約1406.5g、等)でその布を搾ることによって)その布から除去され、次いでオーブン中の温度が華氏約320度(約160℃)になったとき、このオーブン中に時間25分間置いてその布をオーブン中で乾燥させた。乾燥後、難燃性剤ウレタン・コーティングは約54%のリンをベースとする難燃性剤と約46%のウレタンとを含んでいた。
【0038】
この特定の実施形態では、その布は、華氏約260度(約127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置を用いて積層されたものである(但し、所要の接着性を実現するためにその他の適当な手段を使用して積層することもできる)。1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が導電層と接着剤層と共に結合されて、所要の形状のシールドが生成された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態のシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)について試験が行われた。この実施形態のシールドは、その布に、約63乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤が充填された接着剤との組み合わせの形でハロゲン非含有難燃性剤が用いられたものであり、次の表3に示すV0のUL94燃焼性等級(率)に適合した。
【0039】
表3
サンプル T1 T2 T3 結果
1 6 0 1 V0
2 5 0 1 V0
3 6 1 1 V0
4 5 0 0 V0
5 5 0 1 V0
合計残炎(Total Afterflame)28
【0040】
別の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さ3.0mm、幅12.5mmのウレタン発泡体を含むものであった。このウレタン発泡体は、厚さ3.0mmの1層の形に形成されており、ULのサンプル用として適したものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に積層された導電性の金属化布材料を含むものであった。接着剤層は、約50乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含むポリエステル接着剤(例えば、ボスティック インコーポレイテッド製の10−336接着剤、等)を含むものであった。
【0041】
その布には、(材料からの)重量ピックアップが平方ヤード当り約0.27オンス(opsy)(1m2当り約9.2g)のハロゲン非含有難燃性剤およびウレタンを含む材料が用いられた(例えば、コーティングされた)。この特定の実施形態では、ハロゲン非含有難燃性剤は、約15重量%の環状スルホン酸エステル(cyclic phosphonate ester)と、脱イオン水である残り分とを含む水をベースとするウレタン分散液(約13重量%の固形分を有する)であった。このリンをベースとする難燃性剤液体(phosphorous-based flame retardant liquid)は、金属化された布層を難燃性剤中に浸すことによってその金属化された布に適用(塗布)される。過剰な難燃性剤は(例えば、1対のゴム製圧搾ローラで平方インチ当り約20ポンド(1cm2当り約1406.2g、等)で布を搾ることによって)その布から除去され、次いでオーブン中の温度が華氏約320度(約160℃)になったとき、このオーブン中に時間25分間置いてその金属化された布をオーブン中で乾燥させた。乾燥後、難燃性ウレタン・コーティングは約54%のリンをベースとする難燃性剤約46%のウレタンとを含んでいた。
【0042】
この特定の実施形態では、その布は、華氏約260度(約127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置を用いて積層されたものである(但し、所要の接着性を実現するためにその他の適当な手段を使用して積層することもできる)。1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が導電層と接着剤層と共に結合されて、所要の形状のシールドが生成された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態のシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)について試験が行われた。この実施形態のシールドは、その布に、約50乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤が充填された接着剤との組み合わせの形でハロゲン非含有難燃性剤が用いられたものであり、次の表4に示すV0のUL94燃焼性等級(率)に適合した。
【0043】
表4
サンプル T1 T2 T3 結果
1 6 2 1 V0
2 5 0 1 V0
3 4 0 1 V0
4 5 1 1 V0
5 5 0 1 V0
合計残炎(Total Afterflame)27
【0044】
図3は、その発泡体(線300で示されている)とこの発泡体に付着されたポリエステルフィルムスクリム(線310で示されている)とに対するこの特定の接着剤(約50乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤を有する接着剤)の接着強度を示している。図3に示されているように、この特定の接着剤と発泡体の間の接着強度は、発泡体を引き裂くのに充分に強く、また、この特定の接着剤とスクリムの間の平均接着強度はインチ幅当り約55.3オンス(1cm幅当り約617.2g)であった。しかし、所要の接着強度は、例えばEMIシールドが用いられる特定の適用例に応じて変化し得る。
【0045】
上述の最後の2つの試験において、その布には、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが平方ヤード当り約0.27オンス(opsy)(1m2当り約9.2g)のハロゲン非含有難燃性ウレタンが用いられた。しかし、その他の実施形態では、導電性布(例えば、ナイロン・リップストップ(nylon ripstop(NRS))布、メッシュ状布、タフタ布(taffeta fabric)、織布(woven fabric)、不織布(non-woven fabric)、編み布(knitted fabric)、等)に、異なる量のハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を用いる(加える)ことができる(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等)。種々の実施形態には、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.16opsy(1m2当り約2.48g)乃至約0.33opsy(1m2当り約11.2g)(例えば、約0.16opsy(1m2当り約2.48g)、約0.20opsy(1m2当り約6.8g)、約0.26opsy(1m2当り約8.8g)、約0.27opsy(1m2当り約9.2g)、約0.33opsy(1m2当り約11.2g)、等)となるような、ハロゲン非含有難燃性ウレタンが用いられた(例えば、コーティング、等)導電性布が含まれる。
【0046】
種々の実施形態において、導電布は、約1ミクロン(μ)またはそれ以下の厚さを有するハロゲン非含有難燃性ウレタン・コーティングを含んでいる。このような実施形態において、ハロゲン非含有難燃性ウレタン・コーティングの厚さは、その布の表面(全体)において(にわたって)変化させることができる。代替構成として、ハロゲン非含有難燃性ウレタン・コーティングの厚さは、その布の表面(全体)において(にわたって)実質的に均一にすることができる。種々の実施形態において、導電率を維持するのを助けるために、その布を難燃性ウレタンを完全には浸透させ(permeate)ず、またはその布を難燃性ウレタンで完全にはカプセル状に包み込(encapsulate)まない。
【0047】
或る幾つかの実施形態では、導電性布に、ハロゲン非含有腐食防止剤(例えば、アゾール族および/またはピロール族等から選ばれたベンゾトリアゾールまたはその他の適当な腐食防止剤、等)を用いる(加える)ことができる。用いられる特定の腐食防止剤に応じて(次第では)、腐食防止剤はハロゲン非含有難燃性剤として機能するものであってもよい。従って、このような実施形態では、腐食防止剤はここではハロゲン非含有難燃性剤と称されることもある。さらに他の実施形態では、導電性布に、腐食防止剤と難燃性剤の両方が用いられる(例えば、コーティングされる、等)。
【0048】
さらに他の実施形態では、導電性布に、いかなるハロゲン非含有難燃性剤をも含まない材料が用いられる(例えば、コーティングされる)。例えば、上で最初に述べた試験では、導電層に、非難燃性ウレタン・コーティングからの重量ピックアップ(pick-up)が約0.15opsy(1m2当り約5.1g)であるような、約18%のウレタンの固形分を有する非難燃性ウレタンが用いられた。さらに他の実施形態では、導電性布に、その布における重量ピックアップが約0.05opsy(1m2当り約1.7g)乃至約0.35opsy(1m2当り約11.8g)(例えば、約0.05opsy(1m2当り約1.7g)、約0.15opsy(1m2当り約5.1g)、約0.35opsy(1m2当り約11.8g)、等)であるような、約10%乃至約18%のウレタンの固形分を有する非難燃性ウレタンが用いられる。
【0049】
例として、図4は、本発明の種々の実施形態で使用される3種の典型例の材料(NRS、メッシュおよびタフタ(taffeta))をリストアップしている。図4にリストアップした布の中の任意の1つの布を、ハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤によって弾性コア部材(例えば、ウレタン発泡体、等)に接着することができ、それによって本発明の種々の実施形態によるEMIシールドが形成される。図4は、ハロゲン非含有難燃性ウレタンがコーティングされていないときと、コーティングされているときの、それらの典型例の表面抵抗率を示している。図4に示されているように、コーティングされた布およびコーティングされていない布は、すべて、0.10Ω(オーム)/平方(sq)より小さい表面抵抗率を持っている。さらに、図4は、コーティングされたNRSのような、コーティングされた布の中の幾つかがHBのUL等級(率)を達成することを示している。
【0050】
図4における布に用いられたハロゲン非含有難燃性剤は、表面抵抗率を大幅に(著しく)増大させるには充分でなかったが、より高い接着強度を確保しおよび全てのEMIシールド製品に対してV0のUL94燃焼性等級(率)を達成するために、より少ないハロゲン非含有難燃性剤をその接着剤に充填することを可能にするのには、充分な量であった。代替構成として、その他の難燃性剤、その他の量の難燃性剤、図4に示す布以外のその他の材料を、本発明のEMIシールドに使用することができる。
【0051】
或る幾つかの実施形態では、導電性部分に用いられる(例えば、貼り付けられる(塗布される)、コーティングされる、含浸される、これらの組み合わせ、等による)ハロゲン非含有難燃性ウレタンは、例えば、次の典型例の比と順序(ratio and order)、即ち約50重量%の脱イオン水を含む約35重量%のソルオール(Soluol)1024の水をベースとするウレタン分散液(dispersion)(約37%の固形分を有する)と、約15重量%のリンをベースとする難燃性とを、実質的に連続的に且つ強力に混合させながら、互いに混ぜ合わせる(combine)ことによって形成される。生成された難燃性ウレタンは約29%の固形分を含み、且つ毎秒約20センチポアズ(centipoise)(cps)の粘度を有している。従って、この特定の実施形態では、乾燥後、導電性部分に用いられるハロゲン非含有難燃性剤は、約46乾燥重量%のウレタンと、約54乾燥重量%の難燃性剤とを含んでいる。しかし、別の実施形態では、導電層部分に、約52乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤と、約48乾燥重量%のウレタンとを含むハロゲン非含有難燃性ウレタンが用いられる(例えば、貼り付けられる(塗布される)、コーティングされる、含浸される、これらの組み合わせ、等)。使用できる典型例のリンをベースとする難燃性剤には、イリノイ州シカゴにあるソヴリン スペシャルティ ケミカルズ インコーポレーテッド(Sovereign Specialty Chemicals)および/またはニューヨーク州ドブス・フェリー(Dobbs Ferry)にあるASKOノベル フォスフォラス ケミカルズ(ASKO nobel phosphorous Chemicals)から市販されている環状ホスホン酸エステル・ブレンド(cyclic phosphonate ester blend)が含まれる。代替構成として、とりわけ、鉱物酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、等)、金属水化物(metal hydrate)(例えば、アルミニウム三水和物(aluminum trihydrate)、等)、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸、ホウ砂、等)、メラミン、シリコーン(silicone)を含むその他の適当な難燃性剤を用いる(加える)こともできる。
【0052】
種々の実施形態において、弾性コア部材(例えば、ウレタン発泡体、等)に難燃性剤が用いられる。例えば、種々の実施形態では、弾性コア部材がHF1のUL等級(率)を実現することができるような弾性コア部材にアンチモン難燃性剤が用いられる(例えば、含浸、等)。従って、本発明の種々のEMIシールドは、コア部材と、導電性部分と、その導電性部分をそのコア部材に接着(接合)する接着剤とを含み、それによって、そのコア部材と、その導電性部分と、その接着剤とに、難燃性剤が用いられる(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等による)。これらの実施形態では、その導電性部分に用いられるその難燃性剤は、例えば、アゾール族および/またはピロール族等から選ばれたベンゾトリアゾールまたはその他の適当な腐食防止剤のような、腐食防止剤であることもできる。
【0053】
図5は、難燃性剤を含まないウレタン(非難燃性(non-FR)ウレタン)でコーティング(被覆)されたナイロン・リップストップ(nylon ripstop(NRS))布、およびハロゲン非含有難燃性ウレタン(難燃性(FR)ウレタン)でコーティングされたNRS布について、くしゃくしゃに押しつぶし折り畳む(crush and fold)試験の期間中に収集されたデータを示す表である。この特定の例において、第1のNRS布には、(非難燃性ウレタンからの)重量ピックアップ(weight pick-up)が約0.23opsy(1m2当り約7.8g)であるような量の非難燃性ウレタンが用いられ、その他のNRS布には、(難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.27opsy(1m2当り約9.2g)であるような量の難燃性ウレタンが用いられた。一般に、くしゃくしゃに押しつぶし折り畳む試験によって、布を折り畳みもみくちゃにすることによって或るメッキ(plated:塗布、被着、被覆)金属布の乱用抵抗(abuse resistance:酷使抵抗、悪条件使用抵抗)が測定される。この特定の例では、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布と、ハロゲン非含有難燃性剤でコーティングされたNRS布の双方について、それぞれ5乃至千MHz(メガヘルツ)の間におけるシールド効果と、表面抵抗率とが測定された。次いで、それらの布を4分の1に折り畳み、円筒状(シリンダ状)に巻回し、5ポンド(約2.27kg)の重量を用いて10mmのシリンジ(syringe:注射器)中で押しつぶした。その試験は、その周波数範囲にわたって平均シールド効果が60dB(デシベル)より低く低下するまで繰り返された。
【0054】
図6は、図5に示す表面抵抗率のデータから作成された典型例の線グラフである。図6において、線600は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示し、線610はハロゲン非含有難燃性剤でコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示している。
【0055】
図7は、(非難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.23opsyであるような量の非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布と、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.27opsy(1m2当り約9.2g)であるような量のハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布との膨らませたダイアフラム(膜)(inflated diaphragm)の磨耗(abrasion)試験の期間中における表面抵抗率対サイクル数の関係を示す典型例の線グラフである。図7において、線700は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示し、線710はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示している。
【0056】
図8は、(非難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.23opsy(1m2当り約7.8g)であるような量の非難燃性ウレタンでコーティングされたニッケル銅NRS布と、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.27opsy(1m2当り約9.2g)であるようなハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたニッケル銅NRS布と、についてのシールド効果(デシベル)対電磁干渉周波数(MHz)の関係を示す典型例の線グラフである。図8において、線800は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示し、線810はハロゲン非含有難燃性剤でコーティングされたNRS布のシールド効果を示している。図8に示すように、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約82dBの平均シールド効果を示した(持っていた)。ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約75dBの平均シールド効果を示した。
【0057】
図9は、図8に示すニッケル銅NRS布であるが、温度60℃および相対湿度90%の温度湿度のチャンバ(chamber)内の環境で1週間曝した後のそのニッケル銅NRS布についてのシールド効果(dB)対電磁干渉周波数(MHz)の関係を示す典型例の線グラフである。図9において、線900は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示し、線910はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールドの効果を示している。図9に示すように、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約81dBの平均シールド効果を示した。ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約78dBの平均シールド効果を示した。
【0058】
図10は、図8および図9に示すニッケル銅NRS布であるが、温度60℃および相対湿度90%の温度湿度のチャンバ内の環境で2週間曝した後のそのニッケル銅NRS布についてのシールド効果(dB)対電磁干渉周波数(MHz)の関係を示す典型例の線グラフである。図10において、線1000は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示し、線1010はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示している。図10に示すように、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約81dBの平均シールドの効果を示した。ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約78dBの平均シールド効果を示した。
【0059】
図11は、図8乃至図10に示す難燃性ウレタンでコーティングされたニッケル銅NRS布であるが、温度60℃および相対湿度90%の温度湿度のチャンバ内の環境で8週間曝した後のそのニッケル銅NRS布についてのシールド効果対電磁干渉周波数の関係を示す典型例の線グラフである。図11において、線1110はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を表わす。図11に示すように、ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約77dBの平均シールド効果を示した。
【0060】
種々の実施形態において、EMIシールドは、一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。これらの特定の実施形態では、導電層は厚さ約0.0025インチ(約0.064mm)の接着剤によってコア部材に接着(接合)されている。その接着剤層は、Bostic Inc.(ボスティック インコーポレイテッド)から発売されている10−336接着剤で形成されている。本願発明者は、この特定の接着剤を使用すると、導電層に何らかの難燃性(難燃性剤)をも与えることなく、EMIシールドがV0のUL燃焼性等級(率)を達成できることを確認した。例えば、一実施形態において、導電層は、非難燃性ウレタン・コーティングからの重量ピックアップが約0.15opsy(1m2当り約5.1g)であるような約18%のウレタン固形分を有するその非難燃性ウレタン・コーティングを含んでいる。さらにその他の実施形態において、その布における重量ピックアップが約0.05opsy(1m2当り約1.7g)乃至約0.35opsy(1m2当り約11.9g)(例えば、約0.05opsy(1m2当り約1.7g)、約0.15opsy(1m2当り約5.1g)、約0.35opsy(1m2当り約11.9g)、等)であるような約10%乃至約18%のウレタン固形分を有する非難燃性ウレタンが、導電層に用いられる(例えば、コーティング、等)。
【0061】
さらに別の実施形態では、EMIシールドは、一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を含む接着剤は、導電層をコア部材に接着(接合)する。これらの特定の実施形態では、その導電層に、ハロゲン非含有腐食防止剤(例えば、アゾール族および/またはピロール族等から選ばれたベンゾトリアゾールまたはその他の適当な腐食防止剤、等)が用いられる(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等)。使用される特定の腐食防止剤に応じて(次第で)、腐食防止剤は、難燃性剤としても機能(作用)してもよく、この場合、ここでは腐食防止剤はハロゲン非含有難燃性剤と称することができる。この腐食防止剤を導電層に塗布(適用)されるウレタン・コーティングに加えることができる。本願発明者は、ハロゲン非含有EMIシールドを高温および多湿(例えば、60℃以上の温度、90%以上の相対湿度)に数日間曝すと、EMIシールドが或る金属と接触したとき、少量の腐食が形成され得ることを確認した。EMIシールドに腐食防止剤を加えると、高温および多湿の環境でのハロゲン非含有EMIシールドの腐食抵抗(抗腐食性)を大きく改善することができる。種々の実施形態において、EMIシールドの導電層に、腐食防止用添加物を含むウレタンが用いられ(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等)、それによって高温および多湿の適用例におけるEMIシールドを腐食から保護するのを助ける。ハロゲン非含有EMIシールドの一実施形態では、導電層に、液体重量で少なくとも約2%の量のベンゾトリアゾール腐食防止剤を含む液状ウレタンが用いられまたはコーティング(被覆)される。ハロゲン非含有EMIシールドの他の実施形態では、その導電層に、液体重量で少なくとも約1重量%の量のベンゾトリアゾール腐食防止剤を有する液状ウレタンが用いられまたはコーティングされる。ハロゲン非含有EMIシールドのさらに別の実施形態では、その導電層に、乾燥重量で少なくとも約4重量%の量のベンゾトリアゾール腐食防止剤を有する乾燥ウレタンが用いられまたはコーティングされる。代替構成として、EMIシールドが使用される特定の適用例に応じて(依存して)、その他の適当な腐食防止剤をおよび/またはその他の量を使用することもできる。
【0062】
従って、本発明の種々の実施形態に含まれる布被覆発泡体(fabric-over-foam)EMIシールドは、環境に優しい難燃性剤(例えば、ハロゲン非含有難燃性剤、等)から形成され、しかもV0のUL燃焼性等級(率)を達成することができ、一方、発泡体およびその発泡体に付着されたスクリム(scrim)に対して1インチ幅当り少なくとも10オンス(1cm幅当り約111.7g)の接着強度(例えば、毎分12インチ(約30.5cm)で180度の剥ぎ取り等のような標準試験(standard testing)によって決定される)を有し、EMIシールドの適用例に適した特性(例えば、シールド効果(有効性)、バルク抵抗率、等)を保持する。
【0063】
本願発明の技術は広範囲の適用例で使用することができる。従って、特に電磁干渉のシールドに関して具体的に説明したが、本願発明の範囲を電磁干渉シールドの適用分野に制限することを意味するものではない。
【0064】
本発明の詳細な説明は、その性質上単なる典型例に過ぎず、従って本発明の要旨を逸脱しない変形は本発明の範囲内にあるよう意図されている。そのような変形は、本発明の精神および範囲を逸脱するものとは見なされない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には電磁(electromagnetic(EM))シールド(遮蔽体)に関し、特に、環境に優しい材料、例えばハロゲン非含有(ハロゲンを含まない)難燃性剤(残炎防止剤)で形成された難燃性布(織物、布地)被覆発泡体EMIシールド(flame retardant fabric-over-foam EMI shield)(但し、これに限定されない)に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置(デバイス)が動作すると、その装置(equipment)の電子回路内で電磁放射線が発生する。このような放射線により電磁干渉(EMI)が生じ、これが或る範囲内の近傍にある他の電子装置の動作に干渉する可能性がある。EMIの影響を改善するための一般的解決法は、EMIエネルギを吸収および/または反射することができるシールド(遮蔽体)を開発する(用いる)ことであった。典型的には、これらのシールドを用いて、EMIがその発生源内に局在化(localize:限定)され、およびEMI発生源の近くにある他の装置が隔離(insulate:絶縁、分離)されることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Underwriter’s Laboratories Standard)No.94、“Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances”5th Edition, October 29, 1996
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/44406号
【特許文献2】特開2002−198679号公報
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明の1つの特徴(側面)によれば、電磁シールド(遮蔽体)は、一般的に、弾性コア部材と導電層とを含んでいる。接着剤がその導電層をその弾性コア部材に接着(接合)している。その接着剤はハロゲン非含有(ハロゲンを含まない)難燃性剤(残炎防止剤)(halogen-free flame retardant)を含んでいる。種々の実施形態では、その導電層に、ハロゲン非含有難燃剤(性)および/または腐食防止剤(性)を用いる(provide:加える、与える)ことができる。
【0006】
その他の特徴によれば、本発明は電磁シールドを生成する方法を実現する。典型例の一実施形態では、この方法は、ハロゲン非含有難燃性剤および/または腐食防止剤を導電層に用いる(適用する、加える)ステップと、ハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤を用いて導電層を弾性コア部材に接着(接合)するステップとを含んでいる。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下の詳細な説明で明らかになる。詳細な説明および特定の例は本発明の種々の実施形態および方法を示しているが、これらは、単に例示のためのものであって、これをもって本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0008】
以下の詳細な説明および添付の図面により、本発明をより充分に理解することができる。
【0009】
典型例の実施形態に関する次の説明は、その性質上単なる典型例であって、如何なる意味においても本発明、その適用または用途を限定することを意図するものではない。
【0010】
種々の特徴(側面)によれば、本発明は、例えばEMIガスケット(gasket)のような電磁干渉(EMI)シールドを提供する。一実施形態では、EMIシールドは、一般的に弾性(resilient)コア部材と導電層とを含んでいる。その導電層には、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)(halogen-free flame retardant)が(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)用いられ(provided:加えられ)ている。接着剤によって導電層がコア部材に接着(接合、ボンディング)されている。その接着剤には有効量のハロゲン非含有難燃性剤が充填され(loaded:用いられ、加えられ)ており、導電層に用いられたハロゲン非含有難燃性剤との組み合わせによって、そのシールドは所定の難燃性等級(率)(flame retardant rating)(例えば、V0のUL94垂直燃焼性等級(率)(UL94 vertical flame rating of V0)等)を達成することができる。しかし、その接着剤中の有効量のハロゲン非含有難燃性剤は、所定のパーセンテージ(割合)より少なく、(それが)その所定のパーセンテージより低い場合に、その充填された(与えられた)接着剤は少なくとも所定の接着強度(接合強度)(例えば、毎分12インチ(約30.5cm)で180度の剥ぎ取り試験(peel test)等で決定された、例えばインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)、等)を与える。従って、EMIシールドのこの特定の実施形態は、ハロゲンを含まず、環境に優しい(無害である)。
ある)。
【0011】
他の実施形態において、EMIシールドは一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。導電層は接着剤によってコア部材に接着(接合)されている。この特定の実施形態において、導電層に難燃性剤を用いる(難燃性を与える)ことなく、そのシールドが所定の難燃性等級(率)(例えば、V0のUL94垂直燃焼性等級(率)、等)を達成することができるように、その接着剤に有効量のハロゲン非含有難燃性剤が用いられている。しかし、その接着剤中の有効量のハロゲン非含有難燃性剤は所定のパーセンテージより少なく、(それが)その所定のパーセンテージより低い場合に、その充填された接着剤は少なくともその所定の接着強度(接合強度)(例えば、毎分12インチ(毎分約30.5cm)で180度の剥ぎ取り試験(peel test)等で決定された、例えばインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)、等)を与える。従って、EMIシールドのこの特定の実施形態は、ハロゲンを含まず、環境に優しい。
【0012】
さらに他の実施形態において、EMIシールドは一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。ハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤によって、導電層がコア部材に接着(接合)されている。この特定の実施形態において、その導電層に、ハロゲン非含有の腐食防止剤(corrosion inhibitor)(例えば、アゾール族(azole family)および/またはピロール族(pyrole family)等から選ばれたベンゾトリアゾール(benzotriazole)またはその他の適した腐食防止剤、等)が(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)用いられている。その腐食防止剤は難燃性剤としての機能(作用)も持つことができ、その接着剤の難燃性の特性(性質)との組み合わせによってそのシールドは所定の難燃性等級(率)(例えば、V0のUL94垂直燃焼性等級(率)、等)を達成することができる。しかし、その接着剤中の有効量のハロゲン非含有難燃性剤は所定のパーセンテージ(割合)より少なく、(それが)その所定のパーセンテージより低い場合に、その充填された接着剤は少なくとも所定の接着強度(接合強度)(例えば、毎分12インチ(毎分約30.5cm)で180度の剥ぎ取り試験等で決定された、例えばインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)、等)を与える。従って、そのEMIシールドのこの特定の実施形態は、ハロゲンを含まず、環境に優しい。
【0013】
本発明のその他の特徴は、EMIシールドを製造しおよび使用する方法に関する。本発明の別の特徴は、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を充填した(用いた、加えた)接着剤を含んでいる。本発明のさらに別の形態には、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)および/または腐食防止剤が用いられた(加えられた)(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)導電性材料(例えば、ナイロン・リップストップ布(nylon ripstop(NRS)fabric)、メッシュ状布(mesh fabric)、タフタ布(taffeta fabric)、織布(woven fabric)、不織布(non-woven fabric)、編み布(knitted fabric)、等)が含まれる。別の特徴では、導電層に難燃性剤(残炎防止剤)または腐食防止剤が用いられていない(加えられていない)形態のEMIシールドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明による典型例の一実施形態によるEMIシールドの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有不燃剤を含む接着剤の接着(接合)強度を示す負荷対時間の典型例の線グラフである。
【図3】図3は、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有不燃剤を含む接着剤の接着(接合)強度を示す負荷対時間の典型例の線グラフである。
【図4】図4は、本発明の種々の典型例の実施形態によるハロゲン非含有難燃性剤を用いることができる典型例の布を示す表である。
【図5】図5は、ウレタンでコーティングされたナイロン・リップストップ、および本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布をくしゃくしゃに押しつぶし、且つ折り畳む試験期間中に集められたデータを概略的に示す表である。
【図6】図6は、図5に示された表のデータを用いて作製された典型例の線グラフであり、くしゃくしゃに押しつぶし且つ折り畳む試験期間中の表面抵抗率対サイクル数の関係を示す線グラフである。
【図7】図7は、ウレタンでコーティングされたNRS布と、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の、膨らまされたダイアフラム(膜)の磨耗試験期間中の表面抵抗率対サイクル数の関係を示す典型例の線グラフである。
【図8】図8は、ウレタンでコーティングされたNRS布と、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す線グラフの一例を示す図である。
【図9】図9は、60℃、90%の相対湿度で1週間曝した後の図8に示すNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す典型例の線グラフである。
【図10】図10は、60℃、90%の相対湿度で2週間曝した後の図8および図9に示すNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す別の典型例の線グラフである。
【図11】図11は、60℃、90%の相対湿度で8週間曝した後の図8乃至図10に示すハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布についてのシールド効果対周波数の関係を示す別の典型例の線グラフである。
【図12】図12は、本発明の典型例の一実施形態によるハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤の接着(接合)強度を示す負荷対時間の関係を示す典型例の線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の原理による典型例のEMIシールド20を示している。図示のように、シールド20は弾性コア部材22と、その弾性コア部材22を概ねまたはほぼ取囲む導電層26と、その導電層26をその弾性コア部材22に接着(接合)する接着剤24とを含んでいる。その導電層26には、ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)および/またはハロゲン非含有腐食防止剤(これは難燃性剤(残炎防止剤)としての機能も有することができ、従って難燃性剤(残炎防止剤)とも称する)が用いられる(加えられる)(例えば、コーティング、含浸、それらの組合せ、等の形で)。図示の実施形態では、導電層26にハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)およびウレタンを含むコーティング28が施されている。難燃性剤(残炎防止剤)に加えてまたは難燃性剤(残炎防止剤)に代えて、コーティング28は、例えば、アゾール族(azole family)および/またはピロール族(pyrole family)から選ばれたベンゾトリアゾール(benzotriazole)またはその他の適した腐食防止剤のような腐食防止剤を含むこともできる。種々の実施形態において、腐食防止剤は難燃性(不燃性)を有していてもよく、この場合、そのコーティングはその腐食防止剤の他に何ら他の難燃性剤(残炎防止剤)を必要としない。
【0016】
弾性コア部材22として(に)広範囲の材料を使用することができる。一実施形態では、弾性コア部材22は、ポリエステルフィルムのスクリム(scrim:綿または亜麻等の目の粗い織物)が取り付けられた(貼りつけられた)ウレタン発泡体(ウレタンフォーム:urethane foam)で作られている。代替構成として、例えば開口内で圧縮するのに適したその他の弾性的に圧縮可能な材料のようなその他の材料を、その弾性コア部材として(に)使用することもできる。その他の材料およびタイプのものを、布(fabric)を含むそのスクリム用として使用することもできる。さらにその他の実施形態では、その弾性コア部材に取り付けられた(貼りつけられた)スクリムがない。
【0017】
導電層部分26として広範囲の材料を使用することができる。典型例の材料には、層内の導電性充填剤(フィラー)、金属層、および/または導電性非金属層が含まれる。幾つかの実施形態では、導電層部分26は金属化またはメッキされた布(plated fabric)からなり、その金属は銅、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、(パラジウムアルミニウム)、スズ、合金、および/またはこれらの組み合わせである。例えば、特定の一実施形態では、ニッケル銅ナイロン・リップストップ(nickel copper nylon ripstop)(NRS)布を含んでいる。その他の実施形態では、導電層部分26は金属材料が充填された(impregnated:含浸された、満たされた)材料の層からなり、それによってその材料の層をEMIシールドとしての適用に対して充分な導電性にしている。導電層部分26に(として)使用される1つまたは複数の特定の材料は、例えば、所望の電気的特性(例えば、表面抵抗率(surface resistivity:表面比抵抗)、導電率、等)に応じて(次第で)、さらに例えばそのEMIシールドが使用される特定の適用例に応じて変更される。
【0018】
種々の実施形態では、接着剤層24は、導電層部分26と弾性コア部材22の間に良好な接着強度(接合強度)を与えるのに適した環境的に安全な接着剤である。接着剤層24は広範囲の適当な接着剤を含むことができる。一実施形態では、接着剤層24は、EMIシールドが所定の燃焼性等級(率)(flame rating)を実現することができ、同時に良好な接着強度を有しかつそのEMIシールドの適用例(用途)に適した諸特性(例えば、シールド効果(有効性)、バルク抵抗率、等)を保持することができるような、有効量の難燃性剤(残炎防止剤)が充填された溶剤ベースの(溶剤を基剤とする)ポリエステル接着剤を含んでいる。
【0019】
燃焼性等級(率)(flame rating)は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダード(Underwriter’s Laboratories Standard)No.94、“Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances(装置および適用例における部品用のプラスチック材料の燃焼性試験)”(5th Edition, October 29, 1996)を使用して、またはASTM(American Society for Testing and Materials)燃焼性(引火性)試験を使用して決定される。一実施形態では、接着剤層24は、EMIシールド20がV0のUL94垂直燃焼性等級(率)(UL94 vertical flame rating)を有するような有効量の難燃性剤(残炎防止剤)を含んでいる。その他の実施形態では、接着剤層は、例えばV1、V2、HBまたはHF−1のようなより低いUL94燃焼性等級(率)のみをEMIシールドが達成できるようなより少ない(少量の)難燃性剤(残炎防止剤)(またはより少ない(少量の)有効難燃性剤(残炎防止剤))を含んでいてもよい。所望のUL94燃焼性等級(率)は、例えばEMIシールドの特定の適用例または設置条件に依存することができる。
【0020】
接着剤は、所定の燃焼性等級(率)(flame rating)を達成するために少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を含むことができるが、接着剤はその有効量より多くの量を含むことができる。種々の実施形態では、接着剤は、ハロゲン非含有難燃性剤を乾燥重量で所定のパーセンテージ(割合)より多くを含むことはなく、(それが)そのパーセンテージより低い場合に、接着剤は少なくとも所定の接着強度を提供することができる。本願の発明者が認識しているように、本発明の幾つかの実施形態についてハロゲン非含有難燃性剤と接着剤とに関して維持すべき微妙なバランスが存在する。接着剤が過剰に多いハロゲン非含有難燃性剤を含む場合には、その接着強度について譲歩(妥協)することがある。しかし、接着剤が充分なハロゲン非含有難燃性剤を含まないと、EMIシールドは所要のUL94燃焼性等級(率)(例えば、V0、V1、V2、HBまたはHF−1、等)を満たすことができないことがある。従って、種々の実施形態では、その接着剤は、そのシールドに所定のUL燃焼性等級(率)を与えるための少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を含むが、その接着剤が少なくとも所定の接着強度を有するような所定のパーセンテージより少ないハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。
【0021】
種々の実施形態において、ハロゲン非含有難燃性剤は、リン(三価のリン)をベースとする難燃性剤(phosphorous-based flame retardant)である。一実施形態では、接着剤は、乾燥重量で少なくとも約30%(±5%)であるが約70%以下の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で少なくとも約50%であるが約63%以下の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。さらに別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で約63%の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。さらに別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で約55%の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。さらに別の実施形態では、接着剤は、乾燥重量で約50%の量のハロゲン非含有難燃性剤を含んでいる。種々の実施形態において、接着剤は、EMIシールドの製造において積層され(laminated)得る1つの層の形に形成される。
【0022】
接着剤は、広範囲の難燃性剤の中の任意のものを含んでいてもよく、その広範囲の難燃性剤には、ハロゲン(例えば、臭素、塩素、等)を実質的にまたは全く含まない環境に優しい難燃性剤が含まれる。市販のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤の特定の例が、マサチューセッツ州ミドルトン(Middleton)にあるBostic,Inc.(ボスティック インコーポレイテッド)およびサウスカロナイナ州スパルタンバーグ(Spartunburg)にあるApex Chemical Company(エイペックス ケミカル カンパニー)から発売されている。使用できるその他の典型例の難燃性剤には、鉱物酸化物(mineral oxide)(例えば、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、等)、金属水和物(metal hydrate)(例えば、アルミニウム三水和物(アルミナ三水和物:aluminum trihydrate)、等)、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸(boric acid)、ホウ砂(borax)、等)、メラミン(melamine)、およびシリコ−ン(silicone)が含まれる。
【0023】
次の非限定的な例、燃焼性(引火性)試験結果、表(図4および5)、線グラフ(図2、3、および6〜12)は、本発明の原理に従って製造されたEMIシールドの種々の特徴を例示するのを助ける。これらの例は、例示のために挙げただけであって、本発明を限定するためのものではない。
【0024】
特定の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さが3.0mm(ミリメートル)、幅12.5mm(ミリメートル)のウレタン発泡体を含むものであった。そのウレタン発泡体は、3.0mmの厚さの1層の形に形成され、ULサンプル用として適しているものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に積層された導電性の金属化布材料(metallized fabric material:金属被覆または蒸着布材料)を含むものであった。その接着剤層は、約55乾燥重量%の“ハロゲン非含有のリン(三価のリン)をベース(基材)とする難燃性剤”を有するポリエステル接着剤を含むものであった。具体的には、その接着剤は、ボスティック インコーポレイテッド製の厚さ約0.0025インチ(約0.035mm)の10−336接着剤を含むものであった。しかし、本発明の特徴は、この特定のタイプおよび種類の接着剤に限定されるものではない。
【0025】
この一連の試験用試料では、難燃性剤を含まないウレタン(非難燃性(Non-FR)ウレタン)がその布に用いられ(加えられ)ている。非難燃性(非FR)ウレタンのコーティング(被覆)は、その非難燃性ウレタン・コーティング(被覆)からの重量ピックアップ(pick-up:収集分)が平方ヤード当り約0.15オンス(opsy)(1m2当り約5.1g)であるような約18%のウレタンの固形分を含むものであった。さらに、その布は、華氏260度(127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置(flat bed laminator)を用いて(但し、その他の適当な手段を用いることもできる)積層されたものである。また、その布と接着剤層は、任意の適当な寸法または形状になるように裁断され(trim:切り取られ)てもよい。
【0026】
所要の形状のシールドを形成するために、1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が布(fabric)と接着剤層に共に結合された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態によるシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)(UL94 flame rating)について試験が行われた。典型例の燃焼性等級(率)試験の結果を例示のためにのみ次の表1に示す。
【0027】
表1
サンプル T1 T2 T3 結果
1 6 0 0 V0
2 5 0 0 V0
3 7 0 0 V0
4 8 0 0 V0
5 5 1 0 V0
合計残炎(Total Afterflame)32
【0028】
上の表1に示すように、EMIシールドのこの特定の実施形態は、接着剤中に少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤が含むものであり、そのシールドにV0のUL燃焼性等級(率)を与えることができた。
【0029】
図12は、金属化された布と厚さ0.001インチ(約0.025mm)のポリエステルフィルムのスクリム(scrim)の間におけるこの特定の接着剤(約55乾燥重量%の ハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を有する接着剤)の接着強度を示している。金属化布とスクリムの間のこの特定の接着剤の平均接着強度は、インチ幅当り約35オンス(1cm幅当り約391g)であった。しかし、所要の接着強度は、例えばEMIシールドが用いられる特定の適用例に応じて変えることができる。
【0030】
別の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さ3.0mm、幅12.5mmのウレタン発泡体を含むものであった。このウレタン発泡体は、厚さ3.0mmの1層の形に形成されており、ULのサンプル用として適したものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に積層された導電性の金属化布材料を含むものであった。接着剤層は、約63乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含むポリエステル接着剤(例えば、ボスティック インコーポレイテッド製の10−335接着剤、等)を含むものであった。
【0031】
この一連の試験では、その布に難燃性剤は用いられなかった。さらに、その布は、華氏260度(127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置を用いて(但し、その他の適当な手段を用いることもできる)積層されたものである。また、その布と接着剤層は、任意の適当な寸法または形状になるように裁断され(trim:切り取られ)てもよい。
【0032】
所要の形状のシールドを形成するために、1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が布(fabric)と接着剤層に共に結合された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態によるシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)について試験が行われた。典型例の燃焼性等級(率)試験の結果を例示のためにのみ次の表2に示す。
【0033】
表2
サンプル T1 T2 T3 結果
1 9 0 0 V0
2 4 2 3 V0
3 14 0 3 V1
4 6 1 3 V0
5 9 1 3 V0
合計残炎(Total Afterflame)46
【0034】
上の表2に示すように、EMIシールドのこの特定に実施形態は、接着剤中に少なくとも有効量のハロゲン非含有難燃性剤が含むものであり、そのシールドにV1のUL燃焼性等級(率)を与えることができた。これらの燃焼性の結果は、例えば、EMIシールドが用いられる特定の適用例に応じてその所要の燃焼性等級(率)を変えることができるような或る幾つかの適用例に適しているかもしれない。
【0035】
図2は、その発泡体(線200で示されている)とこの発泡体に付着されたポリエステルフィルムスクリム(polyester film scrim)(線210で示されている)とに対するこの特定の接着剤(約63乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を有する接着剤)の接着強度を示している。図2に示されているように、この特定の接着剤と発泡体の間の平均接着強度は、インチ幅当り約4.6オンス(1cm幅当り約51.3g)であり、この特定の接着剤とスクリムの間の平均接着強度は、インチ幅当り約4.2オンス(1cm幅当り約46.9g)であった。しかし、所要の接着強度は、例えばEMIシールドが用いられる特定の適用例に応じて変化し得る。
【0036】
別の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さ3.0mm、幅12.5mmのウレタン発泡体を含むものであった。このウレタン発泡体は、厚さ3.0mmの1層の形に形成されており、ULのサンプル用として適したものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に再度積層された導電性の金属化布材料を含むものであった。接着剤層は、約63乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含むものであった。
【0037】
しかし、上述の試験用試料とは違って、その布には、材料の(ハロゲン非含有難燃性剤およびウレタンを含む材料からの)重量ピックアップが平方ヤード当り約0.27オンス(opsy)(1m2当り約9.2g)であるようなハロゲン非含有難燃性剤およびウレタンを含む材料が用いられた(例えば、コーティングされた)。そのハロゲン非含有難燃性剤は、約15重量%の環状スルホン酸エステル(cyclic phosphonate ester)と、脱イオン水(de-ionized water)である残り分(remaining balance)とを含む、水をベースとするウレタン分散液(urethane dispersion)(約13重量%の固形分を有するウレタン分散液)であった。このリンをベースとする難燃性剤液(phosphorous-based flame retardant liquid)は、その布を難燃性剤中に浸すことによってその布に適用(塗布)される。過剰な難燃性剤は(例えば、1対のゴム製圧搾ローラで平方インチ当り約20ポンド(1cm2当り約1406.5g、等)でその布を搾ることによって)その布から除去され、次いでオーブン中の温度が華氏約320度(約160℃)になったとき、このオーブン中に時間25分間置いてその布をオーブン中で乾燥させた。乾燥後、難燃性剤ウレタン・コーティングは約54%のリンをベースとする難燃性剤と約46%のウレタンとを含んでいた。
【0038】
この特定の実施形態では、その布は、華氏約260度(約127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置を用いて積層されたものである(但し、所要の接着性を実現するためにその他の適当な手段を使用して積層することもできる)。1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が導電層と接着剤層と共に結合されて、所要の形状のシールドが生成された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態のシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)について試験が行われた。この実施形態のシールドは、その布に、約63乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤が充填された接着剤との組み合わせの形でハロゲン非含有難燃性剤が用いられたものであり、次の表3に示すV0のUL94燃焼性等級(率)に適合した。
【0039】
表3
サンプル T1 T2 T3 結果
1 6 0 1 V0
2 5 0 1 V0
3 6 1 1 V0
4 5 0 0 V0
5 5 0 1 V0
合計残炎(Total Afterflame)28
【0040】
別の一連の試験について、試験用試料は、市販のウッドブリッジ(Woodbridge)の立方フィート当り4ポンド(1cm3当り約0.064g)の密度で、厚さ3.0mm、幅12.5mmのウレタン発泡体を含むものであった。このウレタン発泡体は、厚さ3.0mmの1層の形に形成されており、ULのサンプル用として適したものであった。試験用試料は、さらに接着剤層に積層された導電性の金属化布材料を含むものであった。接着剤層は、約50乾燥重量%のハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含むポリエステル接着剤(例えば、ボスティック インコーポレイテッド製の10−336接着剤、等)を含むものであった。
【0041】
その布には、(材料からの)重量ピックアップが平方ヤード当り約0.27オンス(opsy)(1m2当り約9.2g)のハロゲン非含有難燃性剤およびウレタンを含む材料が用いられた(例えば、コーティングされた)。この特定の実施形態では、ハロゲン非含有難燃性剤は、約15重量%の環状スルホン酸エステル(cyclic phosphonate ester)と、脱イオン水である残り分とを含む水をベースとするウレタン分散液(約13重量%の固形分を有する)であった。このリンをベースとする難燃性剤液体(phosphorous-based flame retardant liquid)は、金属化された布層を難燃性剤中に浸すことによってその金属化された布に適用(塗布)される。過剰な難燃性剤は(例えば、1対のゴム製圧搾ローラで平方インチ当り約20ポンド(1cm2当り約1406.2g、等)で布を搾ることによって)その布から除去され、次いでオーブン中の温度が華氏約320度(約160℃)になったとき、このオーブン中に時間25分間置いてその金属化された布をオーブン中で乾燥させた。乾燥後、難燃性ウレタン・コーティングは約54%のリンをベースとする難燃性剤約46%のウレタンとを含んでいた。
【0042】
この特定の実施形態では、その布は、華氏約260度(約127℃)、毎分約15フィート(約4.6m)にセットされた平台型積層装置を用いて積層されたものである(但し、所要の接着性を実現するためにその他の適当な手段を使用して積層することもできる)。1組(一連)の加熱されたダイ(金型)を用いて、その発泡体が導電層と接着剤層と共に結合されて、所要の形状のシールドが生成された。厚さ約3.0mm×幅12.5mm×長さ125mmの寸法を有するこの実施形態のシールドのサンプルは、V0のUL94燃焼性等級(率)について試験が行われた。この実施形態のシールドは、その布に、約50乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤が充填された接着剤との組み合わせの形でハロゲン非含有難燃性剤が用いられたものであり、次の表4に示すV0のUL94燃焼性等級(率)に適合した。
【0043】
表4
サンプル T1 T2 T3 結果
1 6 2 1 V0
2 5 0 1 V0
3 4 0 1 V0
4 5 1 1 V0
5 5 0 1 V0
合計残炎(Total Afterflame)27
【0044】
図3は、その発泡体(線300で示されている)とこの発泡体に付着されたポリエステルフィルムスクリム(線310で示されている)とに対するこの特定の接着剤(約50乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤を有する接着剤)の接着強度を示している。図3に示されているように、この特定の接着剤と発泡体の間の接着強度は、発泡体を引き裂くのに充分に強く、また、この特定の接着剤とスクリムの間の平均接着強度はインチ幅当り約55.3オンス(1cm幅当り約617.2g)であった。しかし、所要の接着強度は、例えばEMIシールドが用いられる特定の適用例に応じて変化し得る。
【0045】
上述の最後の2つの試験において、その布には、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが平方ヤード当り約0.27オンス(opsy)(1m2当り約9.2g)のハロゲン非含有難燃性ウレタンが用いられた。しかし、その他の実施形態では、導電性布(例えば、ナイロン・リップストップ(nylon ripstop(NRS))布、メッシュ状布、タフタ布(taffeta fabric)、織布(woven fabric)、不織布(non-woven fabric)、編み布(knitted fabric)、等)に、異なる量のハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を用いる(加える)ことができる(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等)。種々の実施形態には、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.16opsy(1m2当り約2.48g)乃至約0.33opsy(1m2当り約11.2g)(例えば、約0.16opsy(1m2当り約2.48g)、約0.20opsy(1m2当り約6.8g)、約0.26opsy(1m2当り約8.8g)、約0.27opsy(1m2当り約9.2g)、約0.33opsy(1m2当り約11.2g)、等)となるような、ハロゲン非含有難燃性ウレタンが用いられた(例えば、コーティング、等)導電性布が含まれる。
【0046】
種々の実施形態において、導電布は、約1ミクロン(μ)またはそれ以下の厚さを有するハロゲン非含有難燃性ウレタン・コーティングを含んでいる。このような実施形態において、ハロゲン非含有難燃性ウレタン・コーティングの厚さは、その布の表面(全体)において(にわたって)変化させることができる。代替構成として、ハロゲン非含有難燃性ウレタン・コーティングの厚さは、その布の表面(全体)において(にわたって)実質的に均一にすることができる。種々の実施形態において、導電率を維持するのを助けるために、その布を難燃性ウレタンを完全には浸透させ(permeate)ず、またはその布を難燃性ウレタンで完全にはカプセル状に包み込(encapsulate)まない。
【0047】
或る幾つかの実施形態では、導電性布に、ハロゲン非含有腐食防止剤(例えば、アゾール族および/またはピロール族等から選ばれたベンゾトリアゾールまたはその他の適当な腐食防止剤、等)を用いる(加える)ことができる。用いられる特定の腐食防止剤に応じて(次第では)、腐食防止剤はハロゲン非含有難燃性剤として機能するものであってもよい。従って、このような実施形態では、腐食防止剤はここではハロゲン非含有難燃性剤と称されることもある。さらに他の実施形態では、導電性布に、腐食防止剤と難燃性剤の両方が用いられる(例えば、コーティングされる、等)。
【0048】
さらに他の実施形態では、導電性布に、いかなるハロゲン非含有難燃性剤をも含まない材料が用いられる(例えば、コーティングされる)。例えば、上で最初に述べた試験では、導電層に、非難燃性ウレタン・コーティングからの重量ピックアップ(pick-up)が約0.15opsy(1m2当り約5.1g)であるような、約18%のウレタンの固形分を有する非難燃性ウレタンが用いられた。さらに他の実施形態では、導電性布に、その布における重量ピックアップが約0.05opsy(1m2当り約1.7g)乃至約0.35opsy(1m2当り約11.8g)(例えば、約0.05opsy(1m2当り約1.7g)、約0.15opsy(1m2当り約5.1g)、約0.35opsy(1m2当り約11.8g)、等)であるような、約10%乃至約18%のウレタンの固形分を有する非難燃性ウレタンが用いられる。
【0049】
例として、図4は、本発明の種々の実施形態で使用される3種の典型例の材料(NRS、メッシュおよびタフタ(taffeta))をリストアップしている。図4にリストアップした布の中の任意の1つの布を、ハロゲン非含有難燃性剤を含む接着剤によって弾性コア部材(例えば、ウレタン発泡体、等)に接着することができ、それによって本発明の種々の実施形態によるEMIシールドが形成される。図4は、ハロゲン非含有難燃性ウレタンがコーティングされていないときと、コーティングされているときの、それらの典型例の表面抵抗率を示している。図4に示されているように、コーティングされた布およびコーティングされていない布は、すべて、0.10Ω(オーム)/平方(sq)より小さい表面抵抗率を持っている。さらに、図4は、コーティングされたNRSのような、コーティングされた布の中の幾つかがHBのUL等級(率)を達成することを示している。
【0050】
図4における布に用いられたハロゲン非含有難燃性剤は、表面抵抗率を大幅に(著しく)増大させるには充分でなかったが、より高い接着強度を確保しおよび全てのEMIシールド製品に対してV0のUL94燃焼性等級(率)を達成するために、より少ないハロゲン非含有難燃性剤をその接着剤に充填することを可能にするのには、充分な量であった。代替構成として、その他の難燃性剤、その他の量の難燃性剤、図4に示す布以外のその他の材料を、本発明のEMIシールドに使用することができる。
【0051】
或る幾つかの実施形態では、導電性部分に用いられる(例えば、貼り付けられる(塗布される)、コーティングされる、含浸される、これらの組み合わせ、等による)ハロゲン非含有難燃性ウレタンは、例えば、次の典型例の比と順序(ratio and order)、即ち約50重量%の脱イオン水を含む約35重量%のソルオール(Soluol)1024の水をベースとするウレタン分散液(dispersion)(約37%の固形分を有する)と、約15重量%のリンをベースとする難燃性とを、実質的に連続的に且つ強力に混合させながら、互いに混ぜ合わせる(combine)ことによって形成される。生成された難燃性ウレタンは約29%の固形分を含み、且つ毎秒約20センチポアズ(centipoise)(cps)の粘度を有している。従って、この特定の実施形態では、乾燥後、導電性部分に用いられるハロゲン非含有難燃性剤は、約46乾燥重量%のウレタンと、約54乾燥重量%の難燃性剤とを含んでいる。しかし、別の実施形態では、導電層部分に、約52乾燥重量%のハロゲン非含有難燃性剤と、約48乾燥重量%のウレタンとを含むハロゲン非含有難燃性ウレタンが用いられる(例えば、貼り付けられる(塗布される)、コーティングされる、含浸される、これらの組み合わせ、等)。使用できる典型例のリンをベースとする難燃性剤には、イリノイ州シカゴにあるソヴリン スペシャルティ ケミカルズ インコーポレーテッド(Sovereign Specialty Chemicals)および/またはニューヨーク州ドブス・フェリー(Dobbs Ferry)にあるASKOノベル フォスフォラス ケミカルズ(ASKO nobel phosphorous Chemicals)から市販されている環状ホスホン酸エステル・ブレンド(cyclic phosphonate ester blend)が含まれる。代替構成として、とりわけ、鉱物酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、等)、金属水化物(metal hydrate)(例えば、アルミニウム三水和物(aluminum trihydrate)、等)、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸、ホウ砂、等)、メラミン、シリコーン(silicone)を含むその他の適当な難燃性剤を用いる(加える)こともできる。
【0052】
種々の実施形態において、弾性コア部材(例えば、ウレタン発泡体、等)に難燃性剤が用いられる。例えば、種々の実施形態では、弾性コア部材がHF1のUL等級(率)を実現することができるような弾性コア部材にアンチモン難燃性剤が用いられる(例えば、含浸、等)。従って、本発明の種々のEMIシールドは、コア部材と、導電性部分と、その導電性部分をそのコア部材に接着(接合)する接着剤とを含み、それによって、そのコア部材と、その導電性部分と、その接着剤とに、難燃性剤が用いられる(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等による)。これらの実施形態では、その導電性部分に用いられるその難燃性剤は、例えば、アゾール族および/またはピロール族等から選ばれたベンゾトリアゾールまたはその他の適当な腐食防止剤のような、腐食防止剤であることもできる。
【0053】
図5は、難燃性剤を含まないウレタン(非難燃性(non-FR)ウレタン)でコーティング(被覆)されたナイロン・リップストップ(nylon ripstop(NRS))布、およびハロゲン非含有難燃性ウレタン(難燃性(FR)ウレタン)でコーティングされたNRS布について、くしゃくしゃに押しつぶし折り畳む(crush and fold)試験の期間中に収集されたデータを示す表である。この特定の例において、第1のNRS布には、(非難燃性ウレタンからの)重量ピックアップ(weight pick-up)が約0.23opsy(1m2当り約7.8g)であるような量の非難燃性ウレタンが用いられ、その他のNRS布には、(難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.27opsy(1m2当り約9.2g)であるような量の難燃性ウレタンが用いられた。一般に、くしゃくしゃに押しつぶし折り畳む試験によって、布を折り畳みもみくちゃにすることによって或るメッキ(plated:塗布、被着、被覆)金属布の乱用抵抗(abuse resistance:酷使抵抗、悪条件使用抵抗)が測定される。この特定の例では、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布と、ハロゲン非含有難燃性剤でコーティングされたNRS布の双方について、それぞれ5乃至千MHz(メガヘルツ)の間におけるシールド効果と、表面抵抗率とが測定された。次いで、それらの布を4分の1に折り畳み、円筒状(シリンダ状)に巻回し、5ポンド(約2.27kg)の重量を用いて10mmのシリンジ(syringe:注射器)中で押しつぶした。その試験は、その周波数範囲にわたって平均シールド効果が60dB(デシベル)より低く低下するまで繰り返された。
【0054】
図6は、図5に示す表面抵抗率のデータから作成された典型例の線グラフである。図6において、線600は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示し、線610はハロゲン非含有難燃性剤でコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示している。
【0055】
図7は、(非難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.23opsyであるような量の非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布と、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.27opsy(1m2当り約9.2g)であるような量のハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布との膨らませたダイアフラム(膜)(inflated diaphragm)の磨耗(abrasion)試験の期間中における表面抵抗率対サイクル数の関係を示す典型例の線グラフである。図7において、線700は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示し、線710はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布の表面抵抗率を示している。
【0056】
図8は、(非難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.23opsy(1m2当り約7.8g)であるような量の非難燃性ウレタンでコーティングされたニッケル銅NRS布と、(ハロゲン非含有難燃性ウレタンからの)重量ピックアップが約0.27opsy(1m2当り約9.2g)であるようなハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたニッケル銅NRS布と、についてのシールド効果(デシベル)対電磁干渉周波数(MHz)の関係を示す典型例の線グラフである。図8において、線800は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示し、線810はハロゲン非含有難燃性剤でコーティングされたNRS布のシールド効果を示している。図8に示すように、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約82dBの平均シールド効果を示した(持っていた)。ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約75dBの平均シールド効果を示した。
【0057】
図9は、図8に示すニッケル銅NRS布であるが、温度60℃および相対湿度90%の温度湿度のチャンバ(chamber)内の環境で1週間曝した後のそのニッケル銅NRS布についてのシールド効果(dB)対電磁干渉周波数(MHz)の関係を示す典型例の線グラフである。図9において、線900は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示し、線910はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールドの効果を示している。図9に示すように、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約81dBの平均シールド効果を示した。ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約78dBの平均シールド効果を示した。
【0058】
図10は、図8および図9に示すニッケル銅NRS布であるが、温度60℃および相対湿度90%の温度湿度のチャンバ内の環境で2週間曝した後のそのニッケル銅NRS布についてのシールド効果(dB)対電磁干渉周波数(MHz)の関係を示す典型例の線グラフである。図10において、線1000は非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示し、線1010はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を示している。図10に示すように、非難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約81dBの平均シールドの効果を示した。ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約78dBの平均シールド効果を示した。
【0059】
図11は、図8乃至図10に示す難燃性ウレタンでコーティングされたニッケル銅NRS布であるが、温度60℃および相対湿度90%の温度湿度のチャンバ内の環境で8週間曝した後のそのニッケル銅NRS布についてのシールド効果対電磁干渉周波数の関係を示す典型例の線グラフである。図11において、線1110はハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布のシールド効果を表わす。図11に示すように、ハロゲン非含有難燃性ウレタンでコーティングされたNRS布は、5乃至千MHzの周波数範囲にわたって約77dBの平均シールド効果を示した。
【0060】
種々の実施形態において、EMIシールドは、一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。これらの特定の実施形態では、導電層は厚さ約0.0025インチ(約0.064mm)の接着剤によってコア部材に接着(接合)されている。その接着剤層は、Bostic Inc.(ボスティック インコーポレイテッド)から発売されている10−336接着剤で形成されている。本願発明者は、この特定の接着剤を使用すると、導電層に何らかの難燃性(難燃性剤)をも与えることなく、EMIシールドがV0のUL燃焼性等級(率)を達成できることを確認した。例えば、一実施形態において、導電層は、非難燃性ウレタン・コーティングからの重量ピックアップが約0.15opsy(1m2当り約5.1g)であるような約18%のウレタン固形分を有するその非難燃性ウレタン・コーティングを含んでいる。さらにその他の実施形態において、その布における重量ピックアップが約0.05opsy(1m2当り約1.7g)乃至約0.35opsy(1m2当り約11.9g)(例えば、約0.05opsy(1m2当り約1.7g)、約0.15opsy(1m2当り約5.1g)、約0.35opsy(1m2当り約11.9g)、等)であるような約10%乃至約18%のウレタン固形分を有する非難燃性ウレタンが、導電層に用いられる(例えば、コーティング、等)。
【0061】
さらに別の実施形態では、EMIシールドは、一般的に弾性コア部材と導電層とを含んでいる。ハロゲン非含有難燃性剤(残炎防止剤)を含む接着剤は、導電層をコア部材に接着(接合)する。これらの特定の実施形態では、その導電層に、ハロゲン非含有腐食防止剤(例えば、アゾール族および/またはピロール族等から選ばれたベンゾトリアゾールまたはその他の適当な腐食防止剤、等)が用いられる(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等)。使用される特定の腐食防止剤に応じて(次第で)、腐食防止剤は、難燃性剤としても機能(作用)してもよく、この場合、ここでは腐食防止剤はハロゲン非含有難燃性剤と称することができる。この腐食防止剤を導電層に塗布(適用)されるウレタン・コーティングに加えることができる。本願発明者は、ハロゲン非含有EMIシールドを高温および多湿(例えば、60℃以上の温度、90%以上の相対湿度)に数日間曝すと、EMIシールドが或る金属と接触したとき、少量の腐食が形成され得ることを確認した。EMIシールドに腐食防止剤を加えると、高温および多湿の環境でのハロゲン非含有EMIシールドの腐食抵抗(抗腐食性)を大きく改善することができる。種々の実施形態において、EMIシールドの導電層に、腐食防止用添加物を含むウレタンが用いられ(例えば、コーティング、含浸、これらの組み合わせ、等)、それによって高温および多湿の適用例におけるEMIシールドを腐食から保護するのを助ける。ハロゲン非含有EMIシールドの一実施形態では、導電層に、液体重量で少なくとも約2%の量のベンゾトリアゾール腐食防止剤を含む液状ウレタンが用いられまたはコーティング(被覆)される。ハロゲン非含有EMIシールドの他の実施形態では、その導電層に、液体重量で少なくとも約1重量%の量のベンゾトリアゾール腐食防止剤を有する液状ウレタンが用いられまたはコーティングされる。ハロゲン非含有EMIシールドのさらに別の実施形態では、その導電層に、乾燥重量で少なくとも約4重量%の量のベンゾトリアゾール腐食防止剤を有する乾燥ウレタンが用いられまたはコーティングされる。代替構成として、EMIシールドが使用される特定の適用例に応じて(依存して)、その他の適当な腐食防止剤をおよび/またはその他の量を使用することもできる。
【0062】
従って、本発明の種々の実施形態に含まれる布被覆発泡体(fabric-over-foam)EMIシールドは、環境に優しい難燃性剤(例えば、ハロゲン非含有難燃性剤、等)から形成され、しかもV0のUL燃焼性等級(率)を達成することができ、一方、発泡体およびその発泡体に付着されたスクリム(scrim)に対して1インチ幅当り少なくとも10オンス(1cm幅当り約111.7g)の接着強度(例えば、毎分12インチ(約30.5cm)で180度の剥ぎ取り等のような標準試験(standard testing)によって決定される)を有し、EMIシールドの適用例に適した特性(例えば、シールド効果(有効性)、バルク抵抗率、等)を保持する。
【0063】
本願発明の技術は広範囲の適用例で使用することができる。従って、特に電磁干渉のシールドに関して具体的に説明したが、本願発明の範囲を電磁干渉シールドの適用分野に制限することを意味するものではない。
【0064】
本発明の詳細な説明は、その性質上単なる典型例に過ぎず、従って本発明の要旨を逸脱しない変形は本発明の範囲内にあるよう意図されている。そのような変形は、本発明の精神および範囲を逸脱するものとは見なされない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つの導電層と、前記導電層と前記弾性コア部材の間に形成されていて前記導電層を前記弾性コア部材に接着する、インチ幅当り少なくとも10オンス(1cm幅当り111.6g)の接着強度を有する少なくとも1つの接着剤と、を含む電磁シールドであって、
前記導電層は、少なくとも1つの布材料を含み、
前記弾性コア部材は、任意選択的に、少なくとも1つのウレタン発泡体材料(但し、難燃剤を含む場合を除く)または少なくとも1つのウレタン発泡体材料を含み、
前記接着剤は、実質的にハロゲン非含有であり、且つ少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤を乾燥重量で35%以上且つ63%以下含み、溶剤を基剤とするポリエステル接着剤を含み、
前記シールドは、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)スタンダードNo.94によるV0の燃焼性等級を有するものである、
電磁シールド。
【請求項2】
前記シールドは全くハロゲン非含有である、請求項1に記載のシールド。
【請求項3】
前記シールドは、少なくとも1つの弾性コア部材を含む第1の層、ハロゲン非含有難燃剤を有する少なくとも1つの接着剤を含む第2の層、および少なくとも1つの導電層を含む第3の層からなる3つの層のみを有し、
前記第2の層は前記第1の層と第3の層の間に形成されたものである、
請求項1または2に記載のシールド。
【請求項4】
前記第1の層はウレタン発泡体を含み、
前記第2の層は、ハロゲン非含有のリンをベースとする難燃剤を含むポリエステル接着剤層を含み、
前記第3の層は、前記ポリエステル接着剤層に積層された金属化布を含むものである、
請求項3に記載のシールド。
【請求項5】
少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤が用いられた少なくとも1つの導電層と、前記導電層を前記弾性コア部材に接着する少なくとも1つの接着剤とを含む電磁干渉(EMI)シールドであって、
前記接着剤は、前記接着剤が少なくとも所定の接着強度を呈する有効量であって所定の乾燥重量パーセンテージより少ない有効量の少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を含み、
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤および前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は、前記シールドに所定の燃焼性等級を与えるのに有効なものである、
シールド。
【請求項6】
前記所定の接着強度はインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)であり、前記所定の燃焼性等級は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories(UL))スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級である、請求項5に記載のシールド。
【請求項7】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤と、前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は、前記シールドにアンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でV0の燃焼性等級を与えるのに有効である、請求項5に記載のシールド。
【請求項8】
前記接着剤はインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)の接着強度を与えるものである、請求項7記載のシールド。
【請求項9】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約50乾燥重量%である、請求項7に記載のシールド。
【請求項10】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約63乾燥重量%である、請求項7に記載のシールド。
【請求項11】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約55乾燥重量%である、請求項7に記載のシールド。
【請求項12】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約50乃至63乾燥重量%の範囲内にある、請求項7に記載のシールド。
【請求項13】
前記導電層は少なくとも1つの布材料を含み、前記弾性コア部材は少なくとも1つの発泡体材料を含み、前記接着剤は少なくとも1つのハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含み、前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンを含むものである、請求項12に記載のシールド。
【請求項14】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンを含み、前記ウレタンを含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.16オンス(1m2当り約5.4g)乃至平方ヤード当り約0.33オンス(1m2当り約11.3g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項15】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は約54乾燥重量%のリンをベースとする難燃性剤と、約46乾燥重量%のウレタンとを含むものである、請求項12に記載のシールド。
【請求項16】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンを含み、前記ウレタンを含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.27オンス(1m2当り約9.2g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項17】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンおよび腐食防止剤を含み、前記ウレタンおよび前記腐食防止剤を含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.05オンス(1m2当り約1.7g)乃至平方ヤード当り約0.33オンス(1m2当り約11.3g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項18】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンおよび腐食防止剤を含み、前記ウレタンおよび前記腐食防止剤を含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.15オンス(1m2当り約5.1g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項19】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は約4乾燥重量%の腐食防止剤と約96乾燥重量%のウレタンを含むものであり、請求項12に記載のシールド。
【請求項20】
前記導電層が約0.1Ω/平方より小さい表面抵抗率を維持するような量の前記ハロゲン非含有難燃性剤が、前記導電層に用いられる、請求項12に記載のシールド。
【請求項21】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は腐食防止剤である、請求項5に記載のシールド。
【請求項22】
少なくとも1つの弾性コア部材と少なくとも1つの導電層とを有する電磁干渉(EMI)シールドを作る方法であって、
前記導電層に少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を加えるステップと、
前記接着剤が少なくとも所定の接着強度を呈する有効量であって所定の乾燥重量パーセンテージより少ない有効量の少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を含む少なくとも1つの接着剤で、前記導電層を前記弾性コア部材に接着するステップと、
を含み、
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤および前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は、前記シールドに所定の燃焼性等級を与えるのに有効なものである、
方法。
【請求項23】
前記所定の燃焼性等級は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの接着剤で前記導電層を前記弾性コア部材に接着するステップは、インチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)の接着強度を与えるものである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記導電層に少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を加えるステップは、前記導電層に少なくとも1つの腐食防止剤を加えることを含むものである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記所定の接着強度がインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)であり前記所定の燃焼性等級がアンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級であるような前記接着剤を選択するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つの導電層と、前記導電層を前記弾性コア部材に接着する接着剤とを含む電磁干渉(EMI)シールドであって、
前記接着剤は、前記シールドがアンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級を有するような、約50乾燥重量%乃至約63乾燥重量%の範囲内の或る量のハロゲン非含有難燃性剤を含むものである、
シールド。
【請求項28】
前記接着剤は約50乾燥重量%の難燃性剤を含むものである、請求項27に記載のシールド。
【請求項29】
前記接着剤は、前記接着剤が少なくとも所定の接着強度を呈する量であって所定の乾燥重量パーセンテージより少ない量のハロゲン非含有難燃性剤を含むものである、請求項27に記載のシールド。
【請求項30】
前記所定の接着強度は、インチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)である、請求項27に記載のシールド。
【請求項31】
さらに、前記導電層にハロゲン非含有難燃性剤を含む、請求項27に記載のシールド。
【請求項32】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は腐食防止剤である、請求項31に記載のシールド。
【請求項1】
少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つの導電層と、前記導電層と前記弾性コア部材の間に形成されていて前記導電層を前記弾性コア部材に接着する、インチ幅当り少なくとも10オンス(1cm幅当り111.6g)の接着強度を有する少なくとも1つの接着剤と、を含む電磁シールドであって、
前記導電層は、少なくとも1つの布材料を含み、
前記弾性コア部材は、任意選択的に、少なくとも1つのウレタン発泡体材料(但し、難燃剤を含む場合を除く)または少なくとも1つのウレタン発泡体材料を含み、
前記接着剤は、実質的にハロゲン非含有であり、且つ少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤を乾燥重量で35%以上且つ63%以下含み、溶剤を基剤とするポリエステル接着剤を含み、
前記シールドは、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)スタンダードNo.94によるV0の燃焼性等級を有するものである、
電磁シールド。
【請求項2】
前記シールドは全くハロゲン非含有である、請求項1に記載のシールド。
【請求項3】
前記シールドは、少なくとも1つの弾性コア部材を含む第1の層、ハロゲン非含有難燃剤を有する少なくとも1つの接着剤を含む第2の層、および少なくとも1つの導電層を含む第3の層からなる3つの層のみを有し、
前記第2の層は前記第1の層と第3の層の間に形成されたものである、
請求項1または2に記載のシールド。
【請求項4】
前記第1の層はウレタン発泡体を含み、
前記第2の層は、ハロゲン非含有のリンをベースとする難燃剤を含むポリエステル接着剤層を含み、
前記第3の層は、前記ポリエステル接着剤層に積層された金属化布を含むものである、
請求項3に記載のシールド。
【請求項5】
少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤が用いられた少なくとも1つの導電層と、前記導電層を前記弾性コア部材に接着する少なくとも1つの接着剤とを含む電磁干渉(EMI)シールドであって、
前記接着剤は、前記接着剤が少なくとも所定の接着強度を呈する有効量であって所定の乾燥重量パーセンテージより少ない有効量の少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を含み、
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤および前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は、前記シールドに所定の燃焼性等級を与えるのに有効なものである、
シールド。
【請求項6】
前記所定の接着強度はインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)であり、前記所定の燃焼性等級は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories(UL))スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級である、請求項5に記載のシールド。
【請求項7】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤と、前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は、前記シールドにアンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でV0の燃焼性等級を与えるのに有効である、請求項5に記載のシールド。
【請求項8】
前記接着剤はインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)の接着強度を与えるものである、請求項7記載のシールド。
【請求項9】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約50乾燥重量%である、請求項7に記載のシールド。
【請求項10】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約63乾燥重量%である、請求項7に記載のシールド。
【請求項11】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約55乾燥重量%である、請求項7に記載のシールド。
【請求項12】
前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は約50乃至63乾燥重量%の範囲内にある、請求項7に記載のシールド。
【請求項13】
前記導電層は少なくとも1つの布材料を含み、前記弾性コア部材は少なくとも1つの発泡体材料を含み、前記接着剤は少なくとも1つのハロゲン非含有のリンをベースとする難燃性剤を含み、前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンを含むものである、請求項12に記載のシールド。
【請求項14】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンを含み、前記ウレタンを含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.16オンス(1m2当り約5.4g)乃至平方ヤード当り約0.33オンス(1m2当り約11.3g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項15】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は約54乾燥重量%のリンをベースとする難燃性剤と、約46乾燥重量%のウレタンとを含むものである、請求項12に記載のシールド。
【請求項16】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンを含み、前記ウレタンを含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.27オンス(1m2当り約9.2g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項17】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンおよび腐食防止剤を含み、前記ウレタンおよび前記腐食防止剤を含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.05オンス(1m2当り約1.7g)乃至平方ヤード当り約0.33オンス(1m2当り約11.3g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項18】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤はウレタンおよび腐食防止剤を含み、前記ウレタンおよび前記腐食防止剤を含む前記ハロゲン非含有難燃性剤の重量ピックアップは平方ヤード当り約0.15オンス(1m2当り約5.1g)である、請求項12に記載のシールド。
【請求項19】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は約4乾燥重量%の腐食防止剤と約96乾燥重量%のウレタンを含むものであり、請求項12に記載のシールド。
【請求項20】
前記導電層が約0.1Ω/平方より小さい表面抵抗率を維持するような量の前記ハロゲン非含有難燃性剤が、前記導電層に用いられる、請求項12に記載のシールド。
【請求項21】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は腐食防止剤である、請求項5に記載のシールド。
【請求項22】
少なくとも1つの弾性コア部材と少なくとも1つの導電層とを有する電磁干渉(EMI)シールドを作る方法であって、
前記導電層に少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を加えるステップと、
前記接着剤が少なくとも所定の接着強度を呈する有効量であって所定の乾燥重量パーセンテージより少ない有効量の少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を含む少なくとも1つの接着剤で、前記導電層を前記弾性コア部材に接着するステップと、
を含み、
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤および前記接着剤中のハロゲン非含有難燃性剤の前記有効量は、前記シールドに所定の燃焼性等級を与えるのに有効なものである、
方法。
【請求項23】
前記所定の燃焼性等級は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの接着剤で前記導電層を前記弾性コア部材に接着するステップは、インチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)の接着強度を与えるものである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記導電層に少なくとも1つのハロゲン非含有難燃性剤を加えるステップは、前記導電層に少なくとも1つの腐食防止剤を加えることを含むものである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記所定の接着強度がインチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)であり前記所定の燃焼性等級がアンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級であるような前記接着剤を選択するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの弾性コア部材と、少なくとも1つの導電層と、前記導電層を前記弾性コア部材に接着する接着剤とを含む電磁干渉(EMI)シールドであって、
前記接着剤は、前記シールドがアンダーライターズ・ラボラトリーズ・スタンダードNo.94の下でのV0の燃焼性等級を有するような、約50乾燥重量%乃至約63乾燥重量%の範囲内の或る量のハロゲン非含有難燃性剤を含むものである、
シールド。
【請求項28】
前記接着剤は約50乾燥重量%の難燃性剤を含むものである、請求項27に記載のシールド。
【請求項29】
前記接着剤は、前記接着剤が少なくとも所定の接着強度を呈する量であって所定の乾燥重量パーセンテージより少ない量のハロゲン非含有難燃性剤を含むものである、請求項27に記載のシールド。
【請求項30】
前記所定の接着強度は、インチ幅当り少なくとも約10オンス(1cm幅当り約111.6g)である、請求項27に記載のシールド。
【請求項31】
さらに、前記導電層にハロゲン非含有難燃性剤を含む、請求項27に記載のシールド。
【請求項32】
前記導電層に用いられた前記ハロゲン非含有難燃性剤は腐食防止剤である、請求項31に記載のシールド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−42161(P2013−42161A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226744(P2012−226744)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2007−515709(P2007−515709)の分割
【原出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(506322433)レアード テクノロジーズ インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】LAIRD TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】3481 Rider Trail South St. Louis,Missouri 63045 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2007−515709(P2007−515709)の分割
【原出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(506322433)レアード テクノロジーズ インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】LAIRD TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】3481 Rider Trail South St. Louis,Missouri 63045 United States of America
【Fターム(参考)】
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