電磁トランスポンダにおける電力管理
【課題】本発明は、トランスポンダが端末によって発せられる磁場から取り出す電力に応じて処理を実行するために、トランスポンダの能力を評価できる方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る磁場を生成する端末の該磁場内の電磁トランスポンダにより、該トランスポンダが前記磁場から取り出し得る電力を評価する方法は、前記トランスポンダと前記端末との結合係数を評価するステップと、前記評価された結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置で利用可能な電力を推定するステップとを備えている。
【解決手段】本発明に係る磁場を生成する端末の該磁場内の電磁トランスポンダにより、該トランスポンダが前記磁場から取り出し得る電力を評価する方法は、前記トランスポンダと前記端末との結合係数を評価するステップと、前記評価された結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置で利用可能な電力を推定するステップとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、電子システムに関し、より具体的には、電磁トランスポンダ、すなわち、読出し及び/又は書込み端末によって非接触且つ無線で応答され得るトランシーバを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの通信システムは、端末によって生成される電磁場の変調に基づいている。前記通信システムは、盗難防止装置として使用される最も簡素な電子タグから、トランスポンダが端末の電磁場内に存在するときに端末と通信するためのトランスポンダが、計算機能(例えば、電子財布)又はデータ処理機能を備えているより複雑なシステムまで多岐にわたっている。
【0003】
電磁トランスポンダを備えたシステムは、アンテナを形成する巻線を備えた発振回路のトランスポンダ側及び端末側での使用に基づいている。このような発振回路は、トランスポンダが端末の電磁場内に入ったとき、近傍の磁場によって結合される。端末の発振回路及びトランスポンダの発振回路は、一般的には、端末の発振回路の励起周波数に相当する同一の周波数に同調される。
【0004】
トランスポンダは、ほとんどの場合、自己電源を有しておらず、端末のアンテナによって発せられる高周波磁場から自身の回路に必要な電源を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0857981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より具体的には、例えば、トランスポンダをその磁場内に有する端末の要求に対して、計算を実行することが可能な処理部を備えたトランスポンダに適用される。このタイプのトランスポンダは、特に、送信を認証又は暗号化するために暗号計算が即座に実施されなければならない場合に用いられる。トランスポンダは、端末に対する所与の位置では、トランスポンダの回路が消費し得る最大電流を評価することができない。
【0007】
トランスポンダが計算を実行する必要があるとき、トランスポンダが端末から発せられる磁場から回収する電圧に基づき、トランスポンダが計算を実行可能であるか否かに関して予め分かっていることが望ましい。特に、トランスポンダが暗号計算を完了できない場合、トランスポンダは、暗号計算を開始しないことが望ましい。これは、利用可能な電力に応じて処理の優先順位を管理するためにも利用することができる。
【0008】
端末とトランスポンダとの電力伝送は、端末とトランスポンダとの結合によって決まる。端末とトランスポンダとの距離に(非線形に)反比例するこの結合は、トランスポンダによって回収される電圧の振幅を調整する。
【0009】
トランスポンダが、あるタイプの端末の専用であるとき、結合を最適化するために、トランスポンダの回路の寸法を調整することが考えられ得る。また、所与の計算に関して、トランスポンダに必要な電力量、ひいてはこの電力を得るためにトランスポンダが回収しなければならない電圧を判断することが考えられ得る。しかし、トランスポンダを備えたシステムでは、一般的には、所与のトランスポンダが、様々な特徴を有する多数の端末と協働して使用可能である必要がある。
【0010】
トランスポンダが、端末によって発せられる磁場から取り出す電力に応じて処理を実行するために、トランスポンダの能力を評価できることが好ましい。
【0011】
また、通信中に利用可能な電力の変動を評価できることが好ましい。
【0012】
また、端末がトランスポンダに送信可能な実行されるべき要求の種類を端末に知らせることが好ましい。
【0013】
また、端末とトランスポンダとの間でデータ交換を行う必要なく、利用可能な電力を評価できることが好ましい。
【0014】
更に、その磁場内にトランスポンダを有する端末のタイプとは無関係に解決法を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的及び他の目的の全て又は一部を達成するために、本発明は、磁場を生成する端末の該磁場内の電磁トランスポンダにより、該トランスポンダが前記磁場から取り出し得る電力を評価する方法であって、前記トランスポンダと前記端末との結合係数を評価するステップと、前記評価された結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置で利用可能な電力を推定するステップとを備えていることを特徴とする方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、前記トランスポンダは、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられている発振回路を備えており、前記直流電圧を、前記トランスポンダの発振回路と並列に設けられた抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の夫々に関して測定し、前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の内の一方に関する最適結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置を推定する。
【0017】
本発明によれば、前記利用可能な電力は、最小電圧下で、前記トランスポンダの回路からサンプリングされ得る最大電流である。
【0018】
本発明によれば、前記第1の値及び第2の値間の抵抗性負荷の変動を、前記トランスポンダに備えられている切替可能な抵抗性逆変調要素を切り替えることによって得る。
【0019】
本発明は、更に、端末の磁場内の電磁トランスポンダの電力を管理する方法であって、
前記方法により、利用可能な電力を推定し、前記推定された電力を、前記トランスポンダによる機能の実行に必要な電力と比較し、比較結果に基づき、電力を管理することを特徴とする方法を提供する。
【0020】
本発明によれば、異なる機能に必要な電力を、前記トランスポンダに記憶してある。
【0021】
本発明によれば、前記機能の実行を、利用可能な電力が十分であるときのみ、前記トランスポンダによって開始する。
【0022】
本発明によれば、前記トランスポンダによって実行される機能を、利用可能な電力に応じて選択する。
【0023】
本発明によれば、生成される磁場の電力を前記端末に調整させるために、所要の電力に関するデータを、前記端末に送信する。
【0024】
本発明は、更に、電磁トランスポンダが、端末の磁場内にあるとき、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられた発振回路と、前記方法を実施することが可能な少なくとも1つのプロセッサとを備えていることを特徴とする電磁トランスポンダを提供する。
【0025】
本発明によれば、前記発振回路と機能的に並列に接続され得る少なくとも1つの切替可能な抵抗性要素を更に備えている。
【0026】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明が一例として適用されるタイプの電磁トランスポンダ通信システムを非常に簡略化して示す図である。
【図2】電磁トランスポンダ通信システムの端末及びトランスポンダを示すブロック略図である。
【図3】結合係数に応じたトランスポンダの発振回路の電圧の変動の一例を示す図である。
【図4】結合係数に応じたトランスポンダの発振回路の電圧の変動の例を示す図である。
【図5】評価及び電力管理方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】図5に示された方法の変形例を示すフローチャートである。
【図7】図5に示された方法の別の変形例を示すフローチャートである。
【図8】利用可能な電力を評価することが可能なトランスポンダの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
同一の構成要素は、異なる図面において同一の参照番号で示されている。明瞭化のために、本発明の理解に有用なステップ及び構成要素のみが示され、説明されている。具体的には、トランスポンダと端末との通信については詳述されておらず、本発明は、あらゆる通常の通信に適合する。更に、トランスポンダによる利用可能な電力の判断以外のトランスポンダによって実行され得るタスクも詳述されておらず、本発明は、ここでもまた、端末又はトランスポンダのあらゆる通常の機能に適合する。
【0029】
図1は、電磁トランスポンダ通信システムのブロック図である。端末1は、(例えば、近距離無線通信(NFC:near field communication)プロトコルに応じて、離れた構成要素、すなわち、トランスポンダと近距離で通信することが可能である。
【0030】
端末1は、様々な形態、例えば、輸送チケット確認端末、電子パスポートリーダ、ラップトップ型コンピュータ、移動通信機器(GSM電話、PDA等)、自動車を始動させる電子制御ユニット等の形態から構成され得る。
【0031】
同様に、トランスポンダ2は、様々な形態、例えば、チップカード、電子輸送チケット、電子パスポート、通信端末(GSM電話、PDA等)、電子タグ等の形態から構成され得る。
【0032】
図2は、端末1及びトランスポンダ2の実施例を非常に概略的に示す。
【0033】
端末1は、コンデンサ(容量性素子)C1及び抵抗器R1と直列のインダクタンス(誘導性素子)L1から構成された一般的には直列の発振回路L1−C1を備えている。図2に示された実施例では、この直列発振回路は、増幅器すなわちアンテナカプラ14の出力端子12と、基準電圧を有する端子13(一般的には、アース)との間に接続されている。発振回路内の電流を測定する測定素子15が、例えば、容量性素子C1とアース13との間に設けられている。測定素子15は、後述する位相調整ループに属している。増幅器14は変調器(MOD)16から与えられる高周波伝送信号を受取り、変調器16は、例えば、水晶発振器(図示せず)から基準周波数信号(OSC)を受取る。変調器16は、必要に応じて、伝送を制御して利用するための回路11から与えられる信号Txを受取る。回路11は、一般的には、制御及びデータ処理マイクロプロセッサを備えており、図示しない様々な入力/出力回路(キーボード、ディスプレイ、サーバと通信する要素等)及び/又は処理回路と通信する。端末1の構成要素は、ほとんどの場合、その動作に必要な電力を電源回路(図示せず)から取り出しており、電源回路は、例えば、電源供給ライン配電システム(コンセント)又はバッテリ(例えば、自動車、携帯電話又はコンピュータのバッテリ)に接続されている。変調器16は、(例えば、13.56MHzの)高周波搬送波(信号)Txを、直列発振回路L1−C1に供給し、該発振回路は磁場を生成する。
【0034】
容量性素子C1は、例えば、信号CTRLにより制御可能な可変容量性素子である。この容量性素子C1は、基準信号に関するアンテナ(インダクタンス)L1の電流I1の位相調整に関与する。この調整は、高周波信号の調整、すなわち、送信されるべきデータTxがないとき増幅器14に与えられる信号に相当する搬送波の信号の調整である。該調整は、基準信号と一定の位相関係でアンテナL1の電流I1を維持するように、端末1の発振回路のキャパシタンスを変化させることによって行われる。この基準信号は、例えば、変調器16に供給される基準周波数信号OSCに相当する。信号CTRLは、比較器17から与えられる。比較器17は、前記基準信号に関する位相間隔を検出する機能と、検出に応じて、容量性素子C1のキャパシタンスを変更する機能とを有する。この比較器17は、測定素子15(例えば、強度変圧器又は抵抗器)によって検出される発振回路の電流I1に関するデータMESを受取る。
【0035】
端末1と協働可能なトランスポンダ2は、発振回路を備えており、該発振回路は、例えば、2つの端子21及び端子22間のコンデンサ(容量性素子)C2と並列なインダクタンス(誘導性素子)L2から並列に構成されている。(受信共振回路と呼ばれる)並列発振回路L2−C2は、端末1の発振回路L1−C1によって生成される磁場を取り込むように設けられている。発振回路L2−C2及び発振回路L1−C1は、同一の共振周波数(例えば、13.56MHz)に同調される。端子21及び端子22は、(ほとんどの場合、全波の)整流ブリッジ23の2つの交流入力端子に接続されている。整流ブリッジ23の整流出力端子が、正端子24及び基準端子25を夫々画定する。コンデンサCaが、整流電圧を平滑化するために、端子24及び端子25間に接続されている。
【0036】
トランスポンダ2が端末1の磁場内にあるとき、高周波電圧が、共振回路L2−C2に生成される。整流ブリッジ23によって整流されてコンデンサCaによって平滑化されるこの電圧は、電圧調整器(REG)26を介してトランスポンダ2の電子回路に供給電圧として与えられる。このような電子回路は、一般的には、記憶装置(図示せず)と関連付けられた処理部(例えば、マイクロコントローラμC、プロセッサ)27と、端末1から受信される信号を復調する復調器(DEM)28と、データを端末1に送信するための変調器(MOD)29とを含んでいる。トランスポンダ2は、一般的には、整流前に端子21及び端子22の一方から回収される高周波信号から回路20によって取り出されるクロック(CLK)を用いて同期される。ほとんどの場合、トランスポンダ2の全ての電子回路は、同一のチップにまとめられている。
【0037】
端末1からトランスポンダ2にデータを送信するために、変調器16は、信号Txに応じて搬送波の信号(OSC)を変調(一般に、振幅変調)する。トランスポンダ2側では、これらのデータは、電圧VCaに基づいて復調器28によって復調される。復調器28は、復調されるべき信号を整流ブリッジ23の上流側でサンプリングする。
【0038】
トランスポンダ2から端末1へデータを送信するために、変調器29は、端末1により生成される磁場内でトランスポンダの回路によって形成される負荷の変調(逆変調)段30を制御する。この変調(逆変調)段30は、一般的には、端子24及び端子25間で直列な電子スイッチK30(例えば、トランジスタ)及び抵抗器R30(又は、コンデンサ)から構成されている。スイッチK30は、端末1の発振回路の励起信号の周波数より十分低い(一般的には、少なくとも10分の1の)いわゆる副搬送波周波数(例えば、847.5kHz)で制御される。スイッチK30がオンのとき、トランスポンダ2が高周波磁場から大量の電力をサンプリングするように、トランスポンダ2の発振回路は、回路20、調整器26、処理部27、復調器28及び変調器29によって形成される負荷に対して追加的な減衰を受ける。端末1側では、増幅器14は高周波励起信号の振幅を一定に維持する。その結果、トランスポンダ2の電力変動が、アンテナL1の電流I1の振幅及び位相変動として変換される。この変動は、端末1の振幅又は位相復調器によって検出される。図2に示された実施形態では、比較器17は、トランスポンダ2から与えられる信号を復調するためにも用いられる位相復調器と一体化されている。従って、比較器17は、回路11に返す信号Rxに、トランスポンダ1から受信したデータの起こり得る逆変調をもたらす。他の復調回路、例えば、コンデンサC1の電圧の測定を利用する回路を設けてもよい。
【0039】
トランスポンダと端末との通信を符号化/復号して変調/復調するための多くの変形例が存在する。
【0040】
位相調整ループの応答時間が、トランスポンダからの起こり得る逆変調の妨害を避けるために十分長く、且つトランスポンダが端末の磁場内を通過する速度と比較して十分短い。これは、変調周波数(例えば、遠隔電力供給搬送波の13.56MHzの周波数、及びトランスポンダから端末へデータを送信するために用いられる847.5kHzの逆変調周波数)に対する静的調整ということもできる。
【0041】
位相調整端末の一例が、欧州特許出願公開第0857981号明細書に記載されている。
【0042】
端末側で位相が調整されることにより、トランスポンダが端末の磁場内にあるとき、トランスポンダの発振回路における電流及び電圧を測定して、測定結果から、トランスポンダの結合に関する情報を導き出すことが可能になる。端末の発振回路とトランスポンダの発振回路との結合係数は、実質的には、トランスポンダと端末との距離によって決まる。kで示される結合係数は、常に0と1との間にある。結合係数は、次の式で定義され得る。
【0043】
【数1】
【0044】
最適結合が、トランスポンダの発振回路の電圧VC2が最大である位置にあるとして定義される。kopt で示されるこの最適結合係数は、以下に示すように表現されてもよい。
【0045】
【数2】
【0046】
換言すれば、抵抗R2は、コンデンサC2及びインダクタンスL2と(整流ブリッジ23の前又は後ろで)並列に配置されたトランスポンダ2の全ての回路の抵抗と等価な抵抗を表わす。トランスポンダ2の回路によるコンダクタンス、ひいてはトランスポンダ2の回路の消費が、「抵抗性負荷」と呼ばれる。この負荷のレベルが、発振回路に並列な抵抗R2によって表される。式2では、インダクタンスL1(端末のアンテナ)の直列抵抗の値は無視されている。また、この直列抵抗の値が、簡素化のために、抵抗器R1の値に含まれているとみなされ得る。
【0047】
図3は、最適結合係数に関して標準化された結合係数k/kopt に応じてトランスポンダ側で回収される電圧VC2の変動の一例を示す。この曲線は、ゼロ結合に相当する座標軸の原点(ゼロ電圧)から開始する。これは、トランスポンダによって信号が検出されないようなトランスポンダから端末までの距離に相当する。電圧VC2は、最適結合係数kopt のとき(k/kopt =1であるとき)最大値VC2opt に達し、その後、結合係数kが1に等しいとき中間値VC2(1) に減少する。
【0048】
【数3】
【0049】
トランスポンダ2側で回収される電圧VC2は、トランスポンダ2の処理回路で利用可能な電力を調節する。従って、この情報が利用される。
【0050】
トランスポンダ2側で、(例えば、テスト段階で得られる)電圧VC2と処理との相関テーブルを記憶することが考えられえる。前記処理は、処理により生じる消費に応じて実行されてもよい。しかし、このようなテーブルは、端末側の抵抗器R1及びインダクタンスL1の一組の値についてのみ有効であり、従って、ある端末群の専用となる。テスト段階で、あらゆる端末に関するテーブルを記憶することは、実際には、メモリ領域の理由から実現不可能である。
【0051】
トランスポンダ2側で、トランスポンダと端末との結合を評価するために、トランスポンダの発振回路の容量性素子C2の電圧VC2の情報が用いられる。この電圧VC2は、以下の関係式により与えられる。
【0052】
【数4】
【0053】
電流I2は、以下の関係式により与えられる。
【0054】
【数5】
【0055】
トランスポンダのインピーダンスZ2は、以下の関係式により与えられる。
【0056】
【数6】
【0057】
更に、端末の発振回路の電流I1は、以下の関係式により与えられる。
【0058】
【数7】
【0059】
端末の発振回路の位相を調整することにより、トランスポンダに形成される負荷の虚数部を変調周波数に関して静的に変更する傾向がある全ての変動が、この位相調整ループによって補償され得る。従って、静的動作では、見掛けインピーダンスZ1app の虚数部は確実にゼロである。従って、見掛けインピーダンスZ1app は、見掛け抵抗R1app (インピーダンスの実数部)に等しくなり、以下に示すように表現されてもよい。
【0060】
【数8】
【0061】
発振回路は同調されるので、インピーダンスZ2の虚数部X2は、第一近似としてゼロに近いとみなされ得る。その結果、インピーダンスZ2の値は、以下の関係式により与えられる。
【0062】
【数9】
【0063】
この単純化した式8を式4及び式7に挿入し、式4を式3に挿入することにより、トランスポンダの発振回路で回収される電圧VC2について、以下の式が得られる。
【0064】
【数10】
【0065】
【数11】
【0066】
従って、最適結合係数kopt に関する位置では、最大電圧VC2opt は、(式2及び式9を組み合わせた)以下の式により与えられる。
【0067】
【数12】
【0068】
式9は、所与の端末(抵抗器R1及びインダクタンスL1の一定値)及びインダクタンスL2の一定値(従って、コンデンサC2の一定値)では、電圧VC2は、結合係数kと、トランスポンダの回路によって形成されて発振回路と並列に設けられる抵抗性負荷とによってのみ決まることを示している。
【0069】
図4は、抵抗R2の複数の値に関する結合係数kに応じた電圧VC2の変動の例を示す。抵抗R2の抵抗値R22、抵抗値R20及び抵抗値R21を増加させると仮定する。所与の同一の結合係数kでは、抵抗R2の抵抗値R22、抵抗値R20及び抵抗値R21と大きくなればなるほど、電圧VC2の値VC2]R22、値VC2]R20及び値VC2]R21も大きくなる。更に、抵抗R2の抵抗値が大きくなればなるほど、最適結合係数kopt]R22 、最適結合係数kopt]R20 、最適結合係数kopt]R21 を得るために必要な結合係数kの値は小さくなる。
【0070】
電圧VC2の最小値VC2min 以下では、電力供給が不十分である。この電圧VC2の最小値VC2min は、所与の結合位置に関して想定され得る最大消費レベル(抵抗性負荷値)としてみなされ得る。抵抗R2の抵抗値を増加して最小値VC2min を間接的に得ることにより、トランスポンダの回路が消費し得る最大電流が、端末に対するトランスポンダの所与の位置(結合係数k)に関して得られる。
【0071】
トランスポンダの回路(特に、マイクロコントローラ)に供給される調節された供給電圧VCCに注目すると、この電圧VCCは、以下に示すように表現され得る。
VCC=R2min・Icmax=R20・Ic]R20 (式11)
尚、Icmax 及びIc]R20は、等価な抵抗R2の最小値R2min及び値R20に関して調整器26によって夫々与えられる電流Icの値を示す。
【0072】
調整器26の上流側の電圧降下ΔVに注目すると、電圧VC2の最小値VC2min は、以下に示すように表現され得る。
VC2min=VCC+ΔV (式12)
【0073】
電圧VC2の単一の値は、結合を評価するには不十分である。実際には、図3は、電圧VC2の同一の値が、2つの結合係数に相当することを示している。従って、最適結合に対する電流結合が評価される。
【0074】
式9及び式10を組み合わせて、最適結合係数に関して標準化された結合係数(k/kopt )を表現することにより、電圧VC2に関して、以下の式が得られる。
【0075】
【数13】
【0076】
所与の結合係数kでは、端末の発振回路のインピーダンスが変動せず、発振回路は同調されたままであるとすると、結合係数kと、抵抗R2の値R20及び値R22に関する夫々の最適結合係数kopt]R20 及び最適結合係数kopt]R22 との比率が、式2に従って、以下の式により与えられる。
【0077】
【数14】
【0078】
また同一の条件では、抵抗R2の値R22及び値R20に関する電圧VC2の夫々の値VC2]R22及び値VC2]R20の比率が、以下の式により与えられる。
【0079】
【数15】
【0080】
式15は、抵抗値R22が抵抗値R20より小さい場合、以下に示すように表現され得る。
【0081】
【数16】
【0082】
抵抗値R21が抵抗値R20より大きい場合、式16は、以下に示すように表現され得る。
【0083】
【数17】
【0084】
更に、抵抗値R20及び抵抗値R2minが与えられる場合、式15は、次の式17のように表現され得る。
【0085】
【数18】
【0086】
式11、式12及び式17を組み合わせることにより、最大電流Icmax は次の式18により表現され得る。
【0087】
【数19】
【0088】
(抵抗R2の抵抗値R20に関する)所与の結合では、式18に基づき与えられる最大消費(電流Icmax )が評価される。
【0089】
式16′は、抵抗R2の値を、第1の値R20から、より大きな第2の値R21に増加させることにより(これは、トランスポンダの回路によりサンプリングされる発振回路L2−C2からの電流を減少させることを意味する)、比率k/kopt]R20 が判断され得ること(この比率の二乗の判断が、式18の適用に十分であること)を示している。
【0090】
実際には、発振回路の電圧ではなく、整流ブリッジ23の出力におけるコンデンサCaの平滑化された電圧VCaが測定される。電圧VCaは、電圧VC2に比例する。電圧比が評価されるので、電圧VC2と電圧VCaとの比例定数を知る必要がない。特定の実施形態では、測定はマイクロプロセッサによって行われる。測定された電圧値が、アナログ手段により、又は、選択的な数ビット以上のディジタル処理により記憶され、該ビット数は、所望の分析精度により決まる。
【0091】
図5は、トランスポンダが、端末と所与の結合関係にあるときの利用可能な電力量を判断する実施形態を示す。図5に示された実施形態では、この判断は、端末によって送信される要求に応答することを前提としている。図5に関する以下の説明を簡略化するために、実際には、電圧VCaの値を測定する方が容易であり、このことは、結果に対して何も変更がないことが分かっているので、電圧VC2の値について説明する。
【0092】
抵抗R2の値R20に関する電流Ic]R20の値及び電圧VC2]R20の値を測定して記憶することにより開始する(ステップ41)。この測定は、例えば、現在の状態に関する測定に相当しており、すなわち、抵抗値R20は、トランスポンダが端末から要求を受信したときのトランスポンダの負荷に相当する。しかし、後で結合を評価するために用いられるので、抵抗値R20は、知っておく必要がある。抵抗値R20は、調整器26によって与えられる電圧VCCの値(一定値又は又は既知の値)と測定された電流Ic]R20との比率を計算することにより判断される。変形例として、抵抗値R20は、図8に関連して後述されるように、トランスポンダが切り替えられる所定の抵抗性負荷の値に相当する。
【0093】
次に、抵抗R2の抵抗値が、例えば、より大きな値に変更される(ステップ42)。
【0094】
次いで、抵抗値R21に関する電圧VC2が測定されて記憶される(ステップ43)。
【0095】
その後、比率k/kopt]R20 が計算される(ステップ44)。実際、最大可能電流を推定するために、比率の二乗(k/kopt]R20 )2 を計算するだけで十分である(従って、平方根の計算が回避される)。この計算は、式16に値VC2]R20、値VC2]R21、値R20及び値R21を代入することにより行われる。
【0096】
この比率k/kopt]R20 を用いて、トランスポンダが、電流結合において消費し得る電流の最大値Icmax が計算される(ステップ45)。この計算は、得られた値を式18に代入することにより行われる。セキュリティマージンを構成する任意の量ΔVは、例えば、(調整器が設定されている)公称値VCCの5%乃至30%である。実際には、この計算に用いられる値VCCは、マイクロコントローラ27に記憶されている値に相当するので、この記憶された値は、セキュリティマージンΔVを含むことが可能である。セキュリティマージンΔVは、例えば、調整器が電圧VCCを与える際の許容誤差に基づいて推定される。行われるべき様々な動作(要求)に関してトランスポンダの消費が推定される際の許容誤差が考慮されてもよい。
【0097】
図5に示された実施形態では、(供給電圧の降下の前の)可能な最大消費が判断されると、端末からの要求を実行可能か否かが確認される。このために、最大電流Icmax が、要求の実行に必要な電流IREQ と比較される(ステップ46)。
【0098】
従って、様々な要求、動作又は計算の実行に必要な電流を、マイクロコントローラは知っておく必要がある。例えば、マイクロコントローラ(又はトランスポンダの別のメモリ)の記憶領域に、動作と該動作の消費との相関テーブルが記憶されている。記憶される値は、適用例に応じて、トランスポンダが受信する要求、複数の機能の実行(例えば、暗号化アルゴリズムの実行)、又はより基本的なレベルの動作(例えば、EEPROMへの書込み)に相当してもよい。しかし、より基本的なレベルであればあるほど、マイクロコントローラは、より多くの計算を実行して(異なる消費を追加して)与えられた要求に必要な電流を判断しなければならない。
【0099】
異なるタスク又は機能に関する消費は、トランスポンダの設計の際に推定されてもよく、又は、任意の端末とのテスト段階で得られてもよい。
【0100】
結合状態が、要求を実行可能な状態であるとき(ステップ46の出力Y)、マイクロコントローラは、要求を実行する(ステップ47)。実行結果が、逆変調で端末に送信されてもよい。
【0101】
結合状態が、要求を実行可能ではない状態であるとき(ステップ46の出力N)、この要求の処理は、開始されない(ステップ48)。
【0102】
利用可能な電流が十分でない場合、他の動作が行われてもよい。
【0103】
図6は、トランスポンダが、所与の位置におけるより良い動作条件を求める場合の変形例を部分的に示す。
【0104】
このために、マイクロコントローラは、要求が実行される前に、抵抗R2の値を増加させる。これは、負荷を減少させて、従って、等価な抵抗R2の値を増加させることを意味する(ステップ51)。その後、マイクロコントローラは、図5に示された最大電流Icmax と要求の実行に必要な電流IREQ との比較処理(ステップ46)を再度実行することにより、最大電流Icmax が、新たな結合状態で十分であることを確認する。このような処理は、一回又は数回実行されてもよい。
【0105】
抵抗R2の抵抗値の増加は、抵抗を切り替えることにより行われてもよいが、トランスポンダの消費を低下させることが好ましい。例えば、複数の補助的機能が待機状態に設定されてもよく、又は、至急ではない動作の実行が後回しにされてもよく、又は、クロック周波数が遅らせられてもよい。
【0106】
図7は、発せられる磁場の電力を端末が調整するように、トランスポンダが前記端末と通信する場合の別の変形例を部分的に示す。
【0107】
結合状態が、要求を実行可能ではない状態であるとき(ステップ46の出力N)、トランスポンダは、電力が、トランスポンダが要求を実行するのに不十分であることを端末に通知する(ステップ53)。
【0108】
端末がこのような情報を受信したとき、端末は、発振回路を離調させることなく、磁場の電力を調整する。このために、端末は、直列抵抗器R1の抵抗値を変化させる。端末は、直列抵抗器R1の抵抗値を、公称値R10から、より低い値R11に変更する(ステップ54)。従って、トランスポンダが必要とする消費に達するために必要な負荷の補足分が、端末によって補償される。実際には、抵抗器R1の抵抗値の減少は、抵抗R2の抵抗値を、同一比で減少させることを意味する。
【0109】
図7に示された実施形態によれば、端末に情報を送信する前に、トランスポンダが要求を実行するために必要な電流をトランスポンダが評価する。抵抗R2の所要の値R2REQ を推定するために、値R2REQ 及び電流IREQ に関する電圧VC2]R2REQが、電圧VC2]R20と同一である必要がある(現在の電圧が、電圧VCCを得るために十分である)。このため、値R2REQ と値R20との比率が、以下に示すように表現され得る。
【0110】
【数20】
【0111】
従って、トランスポンダは、比率IREQ /Ic]R20(又は、値IREQ 及び値Ic]R20)を端末に送信してもよく、このため、端末が、比率又は値に応じて抵抗器R1の値を変化させることが可能になる。
【0112】
変形例として、電圧VC2の最小値VC2min が入力される。このため、端末によって供給される電力を必要最低限に最適化することが可能になる。式19は、以下に示すように表現され得る。
【0113】
【数21】
【0114】
要求又は動作の一部のみが、確認されてもよい(例えば、操作された秘密鍵等を保護するために、暗号化動作が妨害されることは好ましくない)。
【0115】
変形例として、要求に関連して説明されている構成が、端末から受信した要求によって生じる一又は複数の機能の実行に相当してもよく、これは、端末から受信した外部要求を、トランスポンダ内における複数の内部要求に分割することに相当する。この場合、あらゆる「重大な」内部要求、すなわち、トランスポンダが完全に実行可能であることを確認することが望ましい要求に関して、マイクロコントローラは、要求を実行する前に、利用可能な最大電流を確認する。
【0116】
図8は、上述された方法に応じて電力を管理すべく設けられたトランスポンダ2の実施形態を示すブロック図である。図8の表示は、図2の表示と比べて簡略化されている。具体的には、復調及び逆変調の構成要素、並びにクロック周波数を得るための構成要素が図示されていない。
【0117】
前述したように、トランスポンダ2は、その端子21及び22が、整流ブリッジ23の入力端子に接続されている並列発振回路L2−C2に基づいている。処理部27のために電流Icを測定するセンサ49が調整器26の出力側に設けられている。更に、整流ブリッジ23の端子24及び端子25間に、切替可能な抵抗性回路40が設けられている。例えば、2つの抵抗器R43及び抵抗器R45が並列に接続されており、夫々の抵抗器43、45は、夫々のスイッチK43、K45と直列に接続されている。スイッチK43及びスイッチK45(例えば、MOSトランジスタ)は、結合位置を判断する方法を実施するために切り替えられる。処理部(PU、プロセッサ)27は、入力MESで電圧VCaに関する情報を受取り、上述した方法を実施する。処理部27は更に、電流Icに関する情報を(例えば、センサ49から)を受け取る。図8に示された実施形態では、両方の抵抗器R43及び抵抗器R45が機能的に接続されているとき、抵抗R2(トランスポンダの回路の負荷)は抵抗値R20を示す。抵抗器R43及び抵抗器R45の内の一方(例えば、抵抗器R43)の接続が切られると、抵抗R2の抵抗値が抵抗値R21に増加する。前記方法の変形例に応じて他の接続及び切替が設定されてもよい。例えば、図5に関連して説明されているように、抵抗R2の2つの抵抗値の内の一方が、他のトランスポンダの回路の抵抗性負荷に相当するとみなすと、単一の切替可能な抵抗器が用いられてもよい。
【0118】
好適な実施形態によれば、切替可能な抵抗器は、抵抗性逆変調に用いられる抵抗器に相当する。例えば、逆変調抵抗器が回路で機能するように、逆変調抵抗器を切り替えること(図2に示された実施例におけるスイッチK30がオンの状態)により、電圧値VC2]R20が測定される。次に、スイッチK30がオフされて、電圧値VC2]R21が測定される。
【0119】
変形例として、等価な抵抗R2の抵抗値の増加又は減少が、トランスポンダの回路、一般的には処理部27の消費の変動によって引き起こされる。例えば、抵抗R2の抵抗値を減少させるために(消費を増加させるために)、処理部27による計算又は処理の実行が開始される。等価な抵抗R2の抵抗値の増加は、ある計算の割込みによる処理部27の消費の減少によって引き起こされてもよい。変形例として、クロックにより調整される実行速度が回路20を用いて低減されてもよい。処理部27によって実行されるべき様々なタスクに関する消費が分かる時点から、抵抗R2における変動も分かる。
【0120】
利用可能な電力を評価するために必要な計算は、計算の実行時間が、端末の前方でのトランスポンダの変位速度(ひいては結合係数の変動速度)に対して無視し得る程十分に簡単である。特に、マイクロコントローラを備えたトランスポンダが暗号機能を実行する場合であり、この場合、このような計算を駆使する機能自体は、結合が変化しないとみなされ得る期間中に実行される。他の場合では、トランスポンダが端末の受信面に載置されている場合、トランスポンダと端末との結合が更に長い期間変動しない。
【0121】
利用可能な電力の評価は、端末との通信を確立する必要なしに行われることに留意すべきである。
【0122】
更に、上述したような最適結合に対する電流結合の評価により、所与の端末の特性に依存しないことが可能になり、端末とは無関係に評価が行われる。従って、本発明に係る結合評価手段を備えたトランスポンダは、既存のあらゆる端末とも作動することが可能である。
【0123】
異なる変形例を有する様々な実施形態について説明している。当業者は、あらゆる進歩性を示すことなく、様々な実施形態及び変形例の様々な構成要素を組み合わせることができることに留意すべきである。具体的には、上述された実施形態では、利用可能な最大電流の評価について説明されているが、利用可能な電力に関する情報が、トランスポンダの回路に必要な電圧VC2の最小値VC2min を様々な関係で含むことによって、直接用いられ得る。
【0124】
このような変更、調整及び改良は、本開示の一部であると意図されており、本発明の趣旨及び範囲内であると意図される。従って、上述した説明は単なる一例であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、以下の請求項及びその均等物に定義されているようにのみ制限されている。
【符号の説明】
【0125】
1 端末
2 トランスポンダ
23 整流器、整流ブリッジ
27 プロセッサ、処理部
30 抵抗性逆変調要素、変調(逆変調)段
40 抵抗性要素、抵抗性回路
C2 発振回路、コンデンサ、容量性素子
L2 発振回路、インダクタンス、誘導性素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、電子システムに関し、より具体的には、電磁トランスポンダ、すなわち、読出し及び/又は書込み端末によって非接触且つ無線で応答され得るトランシーバを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの通信システムは、端末によって生成される電磁場の変調に基づいている。前記通信システムは、盗難防止装置として使用される最も簡素な電子タグから、トランスポンダが端末の電磁場内に存在するときに端末と通信するためのトランスポンダが、計算機能(例えば、電子財布)又はデータ処理機能を備えているより複雑なシステムまで多岐にわたっている。
【0003】
電磁トランスポンダを備えたシステムは、アンテナを形成する巻線を備えた発振回路のトランスポンダ側及び端末側での使用に基づいている。このような発振回路は、トランスポンダが端末の電磁場内に入ったとき、近傍の磁場によって結合される。端末の発振回路及びトランスポンダの発振回路は、一般的には、端末の発振回路の励起周波数に相当する同一の周波数に同調される。
【0004】
トランスポンダは、ほとんどの場合、自己電源を有しておらず、端末のアンテナによって発せられる高周波磁場から自身の回路に必要な電源を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0857981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より具体的には、例えば、トランスポンダをその磁場内に有する端末の要求に対して、計算を実行することが可能な処理部を備えたトランスポンダに適用される。このタイプのトランスポンダは、特に、送信を認証又は暗号化するために暗号計算が即座に実施されなければならない場合に用いられる。トランスポンダは、端末に対する所与の位置では、トランスポンダの回路が消費し得る最大電流を評価することができない。
【0007】
トランスポンダが計算を実行する必要があるとき、トランスポンダが端末から発せられる磁場から回収する電圧に基づき、トランスポンダが計算を実行可能であるか否かに関して予め分かっていることが望ましい。特に、トランスポンダが暗号計算を完了できない場合、トランスポンダは、暗号計算を開始しないことが望ましい。これは、利用可能な電力に応じて処理の優先順位を管理するためにも利用することができる。
【0008】
端末とトランスポンダとの電力伝送は、端末とトランスポンダとの結合によって決まる。端末とトランスポンダとの距離に(非線形に)反比例するこの結合は、トランスポンダによって回収される電圧の振幅を調整する。
【0009】
トランスポンダが、あるタイプの端末の専用であるとき、結合を最適化するために、トランスポンダの回路の寸法を調整することが考えられ得る。また、所与の計算に関して、トランスポンダに必要な電力量、ひいてはこの電力を得るためにトランスポンダが回収しなければならない電圧を判断することが考えられ得る。しかし、トランスポンダを備えたシステムでは、一般的には、所与のトランスポンダが、様々な特徴を有する多数の端末と協働して使用可能である必要がある。
【0010】
トランスポンダが、端末によって発せられる磁場から取り出す電力に応じて処理を実行するために、トランスポンダの能力を評価できることが好ましい。
【0011】
また、通信中に利用可能な電力の変動を評価できることが好ましい。
【0012】
また、端末がトランスポンダに送信可能な実行されるべき要求の種類を端末に知らせることが好ましい。
【0013】
また、端末とトランスポンダとの間でデータ交換を行う必要なく、利用可能な電力を評価できることが好ましい。
【0014】
更に、その磁場内にトランスポンダを有する端末のタイプとは無関係に解決法を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的及び他の目的の全て又は一部を達成するために、本発明は、磁場を生成する端末の該磁場内の電磁トランスポンダにより、該トランスポンダが前記磁場から取り出し得る電力を評価する方法であって、前記トランスポンダと前記端末との結合係数を評価するステップと、前記評価された結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置で利用可能な電力を推定するステップとを備えていることを特徴とする方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、前記トランスポンダは、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられている発振回路を備えており、前記直流電圧を、前記トランスポンダの発振回路と並列に設けられた抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の夫々に関して測定し、前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の内の一方に関する最適結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置を推定する。
【0017】
本発明によれば、前記利用可能な電力は、最小電圧下で、前記トランスポンダの回路からサンプリングされ得る最大電流である。
【0018】
本発明によれば、前記第1の値及び第2の値間の抵抗性負荷の変動を、前記トランスポンダに備えられている切替可能な抵抗性逆変調要素を切り替えることによって得る。
【0019】
本発明は、更に、端末の磁場内の電磁トランスポンダの電力を管理する方法であって、
前記方法により、利用可能な電力を推定し、前記推定された電力を、前記トランスポンダによる機能の実行に必要な電力と比較し、比較結果に基づき、電力を管理することを特徴とする方法を提供する。
【0020】
本発明によれば、異なる機能に必要な電力を、前記トランスポンダに記憶してある。
【0021】
本発明によれば、前記機能の実行を、利用可能な電力が十分であるときのみ、前記トランスポンダによって開始する。
【0022】
本発明によれば、前記トランスポンダによって実行される機能を、利用可能な電力に応じて選択する。
【0023】
本発明によれば、生成される磁場の電力を前記端末に調整させるために、所要の電力に関するデータを、前記端末に送信する。
【0024】
本発明は、更に、電磁トランスポンダが、端末の磁場内にあるとき、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられた発振回路と、前記方法を実施することが可能な少なくとも1つのプロセッサとを備えていることを特徴とする電磁トランスポンダを提供する。
【0025】
本発明によれば、前記発振回路と機能的に並列に接続され得る少なくとも1つの切替可能な抵抗性要素を更に備えている。
【0026】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明が一例として適用されるタイプの電磁トランスポンダ通信システムを非常に簡略化して示す図である。
【図2】電磁トランスポンダ通信システムの端末及びトランスポンダを示すブロック略図である。
【図3】結合係数に応じたトランスポンダの発振回路の電圧の変動の一例を示す図である。
【図4】結合係数に応じたトランスポンダの発振回路の電圧の変動の例を示す図である。
【図5】評価及び電力管理方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】図5に示された方法の変形例を示すフローチャートである。
【図7】図5に示された方法の別の変形例を示すフローチャートである。
【図8】利用可能な電力を評価することが可能なトランスポンダの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
同一の構成要素は、異なる図面において同一の参照番号で示されている。明瞭化のために、本発明の理解に有用なステップ及び構成要素のみが示され、説明されている。具体的には、トランスポンダと端末との通信については詳述されておらず、本発明は、あらゆる通常の通信に適合する。更に、トランスポンダによる利用可能な電力の判断以外のトランスポンダによって実行され得るタスクも詳述されておらず、本発明は、ここでもまた、端末又はトランスポンダのあらゆる通常の機能に適合する。
【0029】
図1は、電磁トランスポンダ通信システムのブロック図である。端末1は、(例えば、近距離無線通信(NFC:near field communication)プロトコルに応じて、離れた構成要素、すなわち、トランスポンダと近距離で通信することが可能である。
【0030】
端末1は、様々な形態、例えば、輸送チケット確認端末、電子パスポートリーダ、ラップトップ型コンピュータ、移動通信機器(GSM電話、PDA等)、自動車を始動させる電子制御ユニット等の形態から構成され得る。
【0031】
同様に、トランスポンダ2は、様々な形態、例えば、チップカード、電子輸送チケット、電子パスポート、通信端末(GSM電話、PDA等)、電子タグ等の形態から構成され得る。
【0032】
図2は、端末1及びトランスポンダ2の実施例を非常に概略的に示す。
【0033】
端末1は、コンデンサ(容量性素子)C1及び抵抗器R1と直列のインダクタンス(誘導性素子)L1から構成された一般的には直列の発振回路L1−C1を備えている。図2に示された実施例では、この直列発振回路は、増幅器すなわちアンテナカプラ14の出力端子12と、基準電圧を有する端子13(一般的には、アース)との間に接続されている。発振回路内の電流を測定する測定素子15が、例えば、容量性素子C1とアース13との間に設けられている。測定素子15は、後述する位相調整ループに属している。増幅器14は変調器(MOD)16から与えられる高周波伝送信号を受取り、変調器16は、例えば、水晶発振器(図示せず)から基準周波数信号(OSC)を受取る。変調器16は、必要に応じて、伝送を制御して利用するための回路11から与えられる信号Txを受取る。回路11は、一般的には、制御及びデータ処理マイクロプロセッサを備えており、図示しない様々な入力/出力回路(キーボード、ディスプレイ、サーバと通信する要素等)及び/又は処理回路と通信する。端末1の構成要素は、ほとんどの場合、その動作に必要な電力を電源回路(図示せず)から取り出しており、電源回路は、例えば、電源供給ライン配電システム(コンセント)又はバッテリ(例えば、自動車、携帯電話又はコンピュータのバッテリ)に接続されている。変調器16は、(例えば、13.56MHzの)高周波搬送波(信号)Txを、直列発振回路L1−C1に供給し、該発振回路は磁場を生成する。
【0034】
容量性素子C1は、例えば、信号CTRLにより制御可能な可変容量性素子である。この容量性素子C1は、基準信号に関するアンテナ(インダクタンス)L1の電流I1の位相調整に関与する。この調整は、高周波信号の調整、すなわち、送信されるべきデータTxがないとき増幅器14に与えられる信号に相当する搬送波の信号の調整である。該調整は、基準信号と一定の位相関係でアンテナL1の電流I1を維持するように、端末1の発振回路のキャパシタンスを変化させることによって行われる。この基準信号は、例えば、変調器16に供給される基準周波数信号OSCに相当する。信号CTRLは、比較器17から与えられる。比較器17は、前記基準信号に関する位相間隔を検出する機能と、検出に応じて、容量性素子C1のキャパシタンスを変更する機能とを有する。この比較器17は、測定素子15(例えば、強度変圧器又は抵抗器)によって検出される発振回路の電流I1に関するデータMESを受取る。
【0035】
端末1と協働可能なトランスポンダ2は、発振回路を備えており、該発振回路は、例えば、2つの端子21及び端子22間のコンデンサ(容量性素子)C2と並列なインダクタンス(誘導性素子)L2から並列に構成されている。(受信共振回路と呼ばれる)並列発振回路L2−C2は、端末1の発振回路L1−C1によって生成される磁場を取り込むように設けられている。発振回路L2−C2及び発振回路L1−C1は、同一の共振周波数(例えば、13.56MHz)に同調される。端子21及び端子22は、(ほとんどの場合、全波の)整流ブリッジ23の2つの交流入力端子に接続されている。整流ブリッジ23の整流出力端子が、正端子24及び基準端子25を夫々画定する。コンデンサCaが、整流電圧を平滑化するために、端子24及び端子25間に接続されている。
【0036】
トランスポンダ2が端末1の磁場内にあるとき、高周波電圧が、共振回路L2−C2に生成される。整流ブリッジ23によって整流されてコンデンサCaによって平滑化されるこの電圧は、電圧調整器(REG)26を介してトランスポンダ2の電子回路に供給電圧として与えられる。このような電子回路は、一般的には、記憶装置(図示せず)と関連付けられた処理部(例えば、マイクロコントローラμC、プロセッサ)27と、端末1から受信される信号を復調する復調器(DEM)28と、データを端末1に送信するための変調器(MOD)29とを含んでいる。トランスポンダ2は、一般的には、整流前に端子21及び端子22の一方から回収される高周波信号から回路20によって取り出されるクロック(CLK)を用いて同期される。ほとんどの場合、トランスポンダ2の全ての電子回路は、同一のチップにまとめられている。
【0037】
端末1からトランスポンダ2にデータを送信するために、変調器16は、信号Txに応じて搬送波の信号(OSC)を変調(一般に、振幅変調)する。トランスポンダ2側では、これらのデータは、電圧VCaに基づいて復調器28によって復調される。復調器28は、復調されるべき信号を整流ブリッジ23の上流側でサンプリングする。
【0038】
トランスポンダ2から端末1へデータを送信するために、変調器29は、端末1により生成される磁場内でトランスポンダの回路によって形成される負荷の変調(逆変調)段30を制御する。この変調(逆変調)段30は、一般的には、端子24及び端子25間で直列な電子スイッチK30(例えば、トランジスタ)及び抵抗器R30(又は、コンデンサ)から構成されている。スイッチK30は、端末1の発振回路の励起信号の周波数より十分低い(一般的には、少なくとも10分の1の)いわゆる副搬送波周波数(例えば、847.5kHz)で制御される。スイッチK30がオンのとき、トランスポンダ2が高周波磁場から大量の電力をサンプリングするように、トランスポンダ2の発振回路は、回路20、調整器26、処理部27、復調器28及び変調器29によって形成される負荷に対して追加的な減衰を受ける。端末1側では、増幅器14は高周波励起信号の振幅を一定に維持する。その結果、トランスポンダ2の電力変動が、アンテナL1の電流I1の振幅及び位相変動として変換される。この変動は、端末1の振幅又は位相復調器によって検出される。図2に示された実施形態では、比較器17は、トランスポンダ2から与えられる信号を復調するためにも用いられる位相復調器と一体化されている。従って、比較器17は、回路11に返す信号Rxに、トランスポンダ1から受信したデータの起こり得る逆変調をもたらす。他の復調回路、例えば、コンデンサC1の電圧の測定を利用する回路を設けてもよい。
【0039】
トランスポンダと端末との通信を符号化/復号して変調/復調するための多くの変形例が存在する。
【0040】
位相調整ループの応答時間が、トランスポンダからの起こり得る逆変調の妨害を避けるために十分長く、且つトランスポンダが端末の磁場内を通過する速度と比較して十分短い。これは、変調周波数(例えば、遠隔電力供給搬送波の13.56MHzの周波数、及びトランスポンダから端末へデータを送信するために用いられる847.5kHzの逆変調周波数)に対する静的調整ということもできる。
【0041】
位相調整端末の一例が、欧州特許出願公開第0857981号明細書に記載されている。
【0042】
端末側で位相が調整されることにより、トランスポンダが端末の磁場内にあるとき、トランスポンダの発振回路における電流及び電圧を測定して、測定結果から、トランスポンダの結合に関する情報を導き出すことが可能になる。端末の発振回路とトランスポンダの発振回路との結合係数は、実質的には、トランスポンダと端末との距離によって決まる。kで示される結合係数は、常に0と1との間にある。結合係数は、次の式で定義され得る。
【0043】
【数1】
【0044】
最適結合が、トランスポンダの発振回路の電圧VC2が最大である位置にあるとして定義される。kopt で示されるこの最適結合係数は、以下に示すように表現されてもよい。
【0045】
【数2】
【0046】
換言すれば、抵抗R2は、コンデンサC2及びインダクタンスL2と(整流ブリッジ23の前又は後ろで)並列に配置されたトランスポンダ2の全ての回路の抵抗と等価な抵抗を表わす。トランスポンダ2の回路によるコンダクタンス、ひいてはトランスポンダ2の回路の消費が、「抵抗性負荷」と呼ばれる。この負荷のレベルが、発振回路に並列な抵抗R2によって表される。式2では、インダクタンスL1(端末のアンテナ)の直列抵抗の値は無視されている。また、この直列抵抗の値が、簡素化のために、抵抗器R1の値に含まれているとみなされ得る。
【0047】
図3は、最適結合係数に関して標準化された結合係数k/kopt に応じてトランスポンダ側で回収される電圧VC2の変動の一例を示す。この曲線は、ゼロ結合に相当する座標軸の原点(ゼロ電圧)から開始する。これは、トランスポンダによって信号が検出されないようなトランスポンダから端末までの距離に相当する。電圧VC2は、最適結合係数kopt のとき(k/kopt =1であるとき)最大値VC2opt に達し、その後、結合係数kが1に等しいとき中間値VC2(1) に減少する。
【0048】
【数3】
【0049】
トランスポンダ2側で回収される電圧VC2は、トランスポンダ2の処理回路で利用可能な電力を調節する。従って、この情報が利用される。
【0050】
トランスポンダ2側で、(例えば、テスト段階で得られる)電圧VC2と処理との相関テーブルを記憶することが考えられえる。前記処理は、処理により生じる消費に応じて実行されてもよい。しかし、このようなテーブルは、端末側の抵抗器R1及びインダクタンスL1の一組の値についてのみ有効であり、従って、ある端末群の専用となる。テスト段階で、あらゆる端末に関するテーブルを記憶することは、実際には、メモリ領域の理由から実現不可能である。
【0051】
トランスポンダ2側で、トランスポンダと端末との結合を評価するために、トランスポンダの発振回路の容量性素子C2の電圧VC2の情報が用いられる。この電圧VC2は、以下の関係式により与えられる。
【0052】
【数4】
【0053】
電流I2は、以下の関係式により与えられる。
【0054】
【数5】
【0055】
トランスポンダのインピーダンスZ2は、以下の関係式により与えられる。
【0056】
【数6】
【0057】
更に、端末の発振回路の電流I1は、以下の関係式により与えられる。
【0058】
【数7】
【0059】
端末の発振回路の位相を調整することにより、トランスポンダに形成される負荷の虚数部を変調周波数に関して静的に変更する傾向がある全ての変動が、この位相調整ループによって補償され得る。従って、静的動作では、見掛けインピーダンスZ1app の虚数部は確実にゼロである。従って、見掛けインピーダンスZ1app は、見掛け抵抗R1app (インピーダンスの実数部)に等しくなり、以下に示すように表現されてもよい。
【0060】
【数8】
【0061】
発振回路は同調されるので、インピーダンスZ2の虚数部X2は、第一近似としてゼロに近いとみなされ得る。その結果、インピーダンスZ2の値は、以下の関係式により与えられる。
【0062】
【数9】
【0063】
この単純化した式8を式4及び式7に挿入し、式4を式3に挿入することにより、トランスポンダの発振回路で回収される電圧VC2について、以下の式が得られる。
【0064】
【数10】
【0065】
【数11】
【0066】
従って、最適結合係数kopt に関する位置では、最大電圧VC2opt は、(式2及び式9を組み合わせた)以下の式により与えられる。
【0067】
【数12】
【0068】
式9は、所与の端末(抵抗器R1及びインダクタンスL1の一定値)及びインダクタンスL2の一定値(従って、コンデンサC2の一定値)では、電圧VC2は、結合係数kと、トランスポンダの回路によって形成されて発振回路と並列に設けられる抵抗性負荷とによってのみ決まることを示している。
【0069】
図4は、抵抗R2の複数の値に関する結合係数kに応じた電圧VC2の変動の例を示す。抵抗R2の抵抗値R22、抵抗値R20及び抵抗値R21を増加させると仮定する。所与の同一の結合係数kでは、抵抗R2の抵抗値R22、抵抗値R20及び抵抗値R21と大きくなればなるほど、電圧VC2の値VC2]R22、値VC2]R20及び値VC2]R21も大きくなる。更に、抵抗R2の抵抗値が大きくなればなるほど、最適結合係数kopt]R22 、最適結合係数kopt]R20 、最適結合係数kopt]R21 を得るために必要な結合係数kの値は小さくなる。
【0070】
電圧VC2の最小値VC2min 以下では、電力供給が不十分である。この電圧VC2の最小値VC2min は、所与の結合位置に関して想定され得る最大消費レベル(抵抗性負荷値)としてみなされ得る。抵抗R2の抵抗値を増加して最小値VC2min を間接的に得ることにより、トランスポンダの回路が消費し得る最大電流が、端末に対するトランスポンダの所与の位置(結合係数k)に関して得られる。
【0071】
トランスポンダの回路(特に、マイクロコントローラ)に供給される調節された供給電圧VCCに注目すると、この電圧VCCは、以下に示すように表現され得る。
VCC=R2min・Icmax=R20・Ic]R20 (式11)
尚、Icmax 及びIc]R20は、等価な抵抗R2の最小値R2min及び値R20に関して調整器26によって夫々与えられる電流Icの値を示す。
【0072】
調整器26の上流側の電圧降下ΔVに注目すると、電圧VC2の最小値VC2min は、以下に示すように表現され得る。
VC2min=VCC+ΔV (式12)
【0073】
電圧VC2の単一の値は、結合を評価するには不十分である。実際には、図3は、電圧VC2の同一の値が、2つの結合係数に相当することを示している。従って、最適結合に対する電流結合が評価される。
【0074】
式9及び式10を組み合わせて、最適結合係数に関して標準化された結合係数(k/kopt )を表現することにより、電圧VC2に関して、以下の式が得られる。
【0075】
【数13】
【0076】
所与の結合係数kでは、端末の発振回路のインピーダンスが変動せず、発振回路は同調されたままであるとすると、結合係数kと、抵抗R2の値R20及び値R22に関する夫々の最適結合係数kopt]R20 及び最適結合係数kopt]R22 との比率が、式2に従って、以下の式により与えられる。
【0077】
【数14】
【0078】
また同一の条件では、抵抗R2の値R22及び値R20に関する電圧VC2の夫々の値VC2]R22及び値VC2]R20の比率が、以下の式により与えられる。
【0079】
【数15】
【0080】
式15は、抵抗値R22が抵抗値R20より小さい場合、以下に示すように表現され得る。
【0081】
【数16】
【0082】
抵抗値R21が抵抗値R20より大きい場合、式16は、以下に示すように表現され得る。
【0083】
【数17】
【0084】
更に、抵抗値R20及び抵抗値R2minが与えられる場合、式15は、次の式17のように表現され得る。
【0085】
【数18】
【0086】
式11、式12及び式17を組み合わせることにより、最大電流Icmax は次の式18により表現され得る。
【0087】
【数19】
【0088】
(抵抗R2の抵抗値R20に関する)所与の結合では、式18に基づき与えられる最大消費(電流Icmax )が評価される。
【0089】
式16′は、抵抗R2の値を、第1の値R20から、より大きな第2の値R21に増加させることにより(これは、トランスポンダの回路によりサンプリングされる発振回路L2−C2からの電流を減少させることを意味する)、比率k/kopt]R20 が判断され得ること(この比率の二乗の判断が、式18の適用に十分であること)を示している。
【0090】
実際には、発振回路の電圧ではなく、整流ブリッジ23の出力におけるコンデンサCaの平滑化された電圧VCaが測定される。電圧VCaは、電圧VC2に比例する。電圧比が評価されるので、電圧VC2と電圧VCaとの比例定数を知る必要がない。特定の実施形態では、測定はマイクロプロセッサによって行われる。測定された電圧値が、アナログ手段により、又は、選択的な数ビット以上のディジタル処理により記憶され、該ビット数は、所望の分析精度により決まる。
【0091】
図5は、トランスポンダが、端末と所与の結合関係にあるときの利用可能な電力量を判断する実施形態を示す。図5に示された実施形態では、この判断は、端末によって送信される要求に応答することを前提としている。図5に関する以下の説明を簡略化するために、実際には、電圧VCaの値を測定する方が容易であり、このことは、結果に対して何も変更がないことが分かっているので、電圧VC2の値について説明する。
【0092】
抵抗R2の値R20に関する電流Ic]R20の値及び電圧VC2]R20の値を測定して記憶することにより開始する(ステップ41)。この測定は、例えば、現在の状態に関する測定に相当しており、すなわち、抵抗値R20は、トランスポンダが端末から要求を受信したときのトランスポンダの負荷に相当する。しかし、後で結合を評価するために用いられるので、抵抗値R20は、知っておく必要がある。抵抗値R20は、調整器26によって与えられる電圧VCCの値(一定値又は又は既知の値)と測定された電流Ic]R20との比率を計算することにより判断される。変形例として、抵抗値R20は、図8に関連して後述されるように、トランスポンダが切り替えられる所定の抵抗性負荷の値に相当する。
【0093】
次に、抵抗R2の抵抗値が、例えば、より大きな値に変更される(ステップ42)。
【0094】
次いで、抵抗値R21に関する電圧VC2が測定されて記憶される(ステップ43)。
【0095】
その後、比率k/kopt]R20 が計算される(ステップ44)。実際、最大可能電流を推定するために、比率の二乗(k/kopt]R20 )2 を計算するだけで十分である(従って、平方根の計算が回避される)。この計算は、式16に値VC2]R20、値VC2]R21、値R20及び値R21を代入することにより行われる。
【0096】
この比率k/kopt]R20 を用いて、トランスポンダが、電流結合において消費し得る電流の最大値Icmax が計算される(ステップ45)。この計算は、得られた値を式18に代入することにより行われる。セキュリティマージンを構成する任意の量ΔVは、例えば、(調整器が設定されている)公称値VCCの5%乃至30%である。実際には、この計算に用いられる値VCCは、マイクロコントローラ27に記憶されている値に相当するので、この記憶された値は、セキュリティマージンΔVを含むことが可能である。セキュリティマージンΔVは、例えば、調整器が電圧VCCを与える際の許容誤差に基づいて推定される。行われるべき様々な動作(要求)に関してトランスポンダの消費が推定される際の許容誤差が考慮されてもよい。
【0097】
図5に示された実施形態では、(供給電圧の降下の前の)可能な最大消費が判断されると、端末からの要求を実行可能か否かが確認される。このために、最大電流Icmax が、要求の実行に必要な電流IREQ と比較される(ステップ46)。
【0098】
従って、様々な要求、動作又は計算の実行に必要な電流を、マイクロコントローラは知っておく必要がある。例えば、マイクロコントローラ(又はトランスポンダの別のメモリ)の記憶領域に、動作と該動作の消費との相関テーブルが記憶されている。記憶される値は、適用例に応じて、トランスポンダが受信する要求、複数の機能の実行(例えば、暗号化アルゴリズムの実行)、又はより基本的なレベルの動作(例えば、EEPROMへの書込み)に相当してもよい。しかし、より基本的なレベルであればあるほど、マイクロコントローラは、より多くの計算を実行して(異なる消費を追加して)与えられた要求に必要な電流を判断しなければならない。
【0099】
異なるタスク又は機能に関する消費は、トランスポンダの設計の際に推定されてもよく、又は、任意の端末とのテスト段階で得られてもよい。
【0100】
結合状態が、要求を実行可能な状態であるとき(ステップ46の出力Y)、マイクロコントローラは、要求を実行する(ステップ47)。実行結果が、逆変調で端末に送信されてもよい。
【0101】
結合状態が、要求を実行可能ではない状態であるとき(ステップ46の出力N)、この要求の処理は、開始されない(ステップ48)。
【0102】
利用可能な電流が十分でない場合、他の動作が行われてもよい。
【0103】
図6は、トランスポンダが、所与の位置におけるより良い動作条件を求める場合の変形例を部分的に示す。
【0104】
このために、マイクロコントローラは、要求が実行される前に、抵抗R2の値を増加させる。これは、負荷を減少させて、従って、等価な抵抗R2の値を増加させることを意味する(ステップ51)。その後、マイクロコントローラは、図5に示された最大電流Icmax と要求の実行に必要な電流IREQ との比較処理(ステップ46)を再度実行することにより、最大電流Icmax が、新たな結合状態で十分であることを確認する。このような処理は、一回又は数回実行されてもよい。
【0105】
抵抗R2の抵抗値の増加は、抵抗を切り替えることにより行われてもよいが、トランスポンダの消費を低下させることが好ましい。例えば、複数の補助的機能が待機状態に設定されてもよく、又は、至急ではない動作の実行が後回しにされてもよく、又は、クロック周波数が遅らせられてもよい。
【0106】
図7は、発せられる磁場の電力を端末が調整するように、トランスポンダが前記端末と通信する場合の別の変形例を部分的に示す。
【0107】
結合状態が、要求を実行可能ではない状態であるとき(ステップ46の出力N)、トランスポンダは、電力が、トランスポンダが要求を実行するのに不十分であることを端末に通知する(ステップ53)。
【0108】
端末がこのような情報を受信したとき、端末は、発振回路を離調させることなく、磁場の電力を調整する。このために、端末は、直列抵抗器R1の抵抗値を変化させる。端末は、直列抵抗器R1の抵抗値を、公称値R10から、より低い値R11に変更する(ステップ54)。従って、トランスポンダが必要とする消費に達するために必要な負荷の補足分が、端末によって補償される。実際には、抵抗器R1の抵抗値の減少は、抵抗R2の抵抗値を、同一比で減少させることを意味する。
【0109】
図7に示された実施形態によれば、端末に情報を送信する前に、トランスポンダが要求を実行するために必要な電流をトランスポンダが評価する。抵抗R2の所要の値R2REQ を推定するために、値R2REQ 及び電流IREQ に関する電圧VC2]R2REQが、電圧VC2]R20と同一である必要がある(現在の電圧が、電圧VCCを得るために十分である)。このため、値R2REQ と値R20との比率が、以下に示すように表現され得る。
【0110】
【数20】
【0111】
従って、トランスポンダは、比率IREQ /Ic]R20(又は、値IREQ 及び値Ic]R20)を端末に送信してもよく、このため、端末が、比率又は値に応じて抵抗器R1の値を変化させることが可能になる。
【0112】
変形例として、電圧VC2の最小値VC2min が入力される。このため、端末によって供給される電力を必要最低限に最適化することが可能になる。式19は、以下に示すように表現され得る。
【0113】
【数21】
【0114】
要求又は動作の一部のみが、確認されてもよい(例えば、操作された秘密鍵等を保護するために、暗号化動作が妨害されることは好ましくない)。
【0115】
変形例として、要求に関連して説明されている構成が、端末から受信した要求によって生じる一又は複数の機能の実行に相当してもよく、これは、端末から受信した外部要求を、トランスポンダ内における複数の内部要求に分割することに相当する。この場合、あらゆる「重大な」内部要求、すなわち、トランスポンダが完全に実行可能であることを確認することが望ましい要求に関して、マイクロコントローラは、要求を実行する前に、利用可能な最大電流を確認する。
【0116】
図8は、上述された方法に応じて電力を管理すべく設けられたトランスポンダ2の実施形態を示すブロック図である。図8の表示は、図2の表示と比べて簡略化されている。具体的には、復調及び逆変調の構成要素、並びにクロック周波数を得るための構成要素が図示されていない。
【0117】
前述したように、トランスポンダ2は、その端子21及び22が、整流ブリッジ23の入力端子に接続されている並列発振回路L2−C2に基づいている。処理部27のために電流Icを測定するセンサ49が調整器26の出力側に設けられている。更に、整流ブリッジ23の端子24及び端子25間に、切替可能な抵抗性回路40が設けられている。例えば、2つの抵抗器R43及び抵抗器R45が並列に接続されており、夫々の抵抗器43、45は、夫々のスイッチK43、K45と直列に接続されている。スイッチK43及びスイッチK45(例えば、MOSトランジスタ)は、結合位置を判断する方法を実施するために切り替えられる。処理部(PU、プロセッサ)27は、入力MESで電圧VCaに関する情報を受取り、上述した方法を実施する。処理部27は更に、電流Icに関する情報を(例えば、センサ49から)を受け取る。図8に示された実施形態では、両方の抵抗器R43及び抵抗器R45が機能的に接続されているとき、抵抗R2(トランスポンダの回路の負荷)は抵抗値R20を示す。抵抗器R43及び抵抗器R45の内の一方(例えば、抵抗器R43)の接続が切られると、抵抗R2の抵抗値が抵抗値R21に増加する。前記方法の変形例に応じて他の接続及び切替が設定されてもよい。例えば、図5に関連して説明されているように、抵抗R2の2つの抵抗値の内の一方が、他のトランスポンダの回路の抵抗性負荷に相当するとみなすと、単一の切替可能な抵抗器が用いられてもよい。
【0118】
好適な実施形態によれば、切替可能な抵抗器は、抵抗性逆変調に用いられる抵抗器に相当する。例えば、逆変調抵抗器が回路で機能するように、逆変調抵抗器を切り替えること(図2に示された実施例におけるスイッチK30がオンの状態)により、電圧値VC2]R20が測定される。次に、スイッチK30がオフされて、電圧値VC2]R21が測定される。
【0119】
変形例として、等価な抵抗R2の抵抗値の増加又は減少が、トランスポンダの回路、一般的には処理部27の消費の変動によって引き起こされる。例えば、抵抗R2の抵抗値を減少させるために(消費を増加させるために)、処理部27による計算又は処理の実行が開始される。等価な抵抗R2の抵抗値の増加は、ある計算の割込みによる処理部27の消費の減少によって引き起こされてもよい。変形例として、クロックにより調整される実行速度が回路20を用いて低減されてもよい。処理部27によって実行されるべき様々なタスクに関する消費が分かる時点から、抵抗R2における変動も分かる。
【0120】
利用可能な電力を評価するために必要な計算は、計算の実行時間が、端末の前方でのトランスポンダの変位速度(ひいては結合係数の変動速度)に対して無視し得る程十分に簡単である。特に、マイクロコントローラを備えたトランスポンダが暗号機能を実行する場合であり、この場合、このような計算を駆使する機能自体は、結合が変化しないとみなされ得る期間中に実行される。他の場合では、トランスポンダが端末の受信面に載置されている場合、トランスポンダと端末との結合が更に長い期間変動しない。
【0121】
利用可能な電力の評価は、端末との通信を確立する必要なしに行われることに留意すべきである。
【0122】
更に、上述したような最適結合に対する電流結合の評価により、所与の端末の特性に依存しないことが可能になり、端末とは無関係に評価が行われる。従って、本発明に係る結合評価手段を備えたトランスポンダは、既存のあらゆる端末とも作動することが可能である。
【0123】
異なる変形例を有する様々な実施形態について説明している。当業者は、あらゆる進歩性を示すことなく、様々な実施形態及び変形例の様々な構成要素を組み合わせることができることに留意すべきである。具体的には、上述された実施形態では、利用可能な最大電流の評価について説明されているが、利用可能な電力に関する情報が、トランスポンダの回路に必要な電圧VC2の最小値VC2min を様々な関係で含むことによって、直接用いられ得る。
【0124】
このような変更、調整及び改良は、本開示の一部であると意図されており、本発明の趣旨及び範囲内であると意図される。従って、上述した説明は単なる一例であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、以下の請求項及びその均等物に定義されているようにのみ制限されている。
【符号の説明】
【0125】
1 端末
2 トランスポンダ
23 整流器、整流ブリッジ
27 プロセッサ、処理部
30 抵抗性逆変調要素、変調(逆変調)段
40 抵抗性要素、抵抗性回路
C2 発振回路、コンデンサ、容量性素子
L2 発振回路、インダクタンス、誘導性素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場を生成する端末の該磁場内の電磁トランスポンダにより、該トランスポンダが前記磁場から取り出し得る電力を評価する方法であって、
前記トランスポンダと前記端末との結合係数を評価するステップと、
前記評価された結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置で利用可能な電力を推定するステップと
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記トランスポンダは、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられている発振回路を備えており、
前記直流電圧を、前記トランスポンダの発振回路と並列に設けられた抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の夫々に関して測定し、
前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の内の一方に関する最適結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置を推定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記利用可能な電力は、最小電圧下で、前記トランスポンダの回路からサンプリングされ得る最大電流であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の値及び第2の値間の抵抗性負荷の変動を、前記トランスポンダに備えられている切替可能な抵抗性逆変調要素を切り替えることによって得ることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
端末の磁場内の電磁トランスポンダの電力を管理する方法であって、
請求項1に記載の方法により、利用可能な電力を推定し、
前記推定された電力を、前記トランスポンダによる機能の実行に必要な電力と比較し、
比較結果に基づき、電力を管理することを特徴とする方法。
【請求項6】
異なる機能に必要な電力を、前記トランスポンダに記憶してあることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記機能の実行を、利用可能な電力が十分であるときのみ、前記トランスポンダによって開始することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記トランスポンダによって実行される機能を、利用可能な電力に応じて選択することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
生成される磁場の電力を前記端末に調整させるために、所要の電力に関するデータを、前記端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
電磁トランスポンダが、端末の磁場内にあるとき、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられた発振回路と、
請求項1に記載の方法を実施することが可能な少なくとも1つのプロセッサと
を備えていることを特徴とする電磁トランスポンダ。
【請求項11】
前記発振回路と機能的に並列に接続され得る少なくとも1つの切替可能な抵抗性要素を更に備えていることを特徴とする請求項10に記載のトランスポンダ。
【請求項1】
磁場を生成する端末の該磁場内の電磁トランスポンダにより、該トランスポンダが前記磁場から取り出し得る電力を評価する方法であって、
前記トランスポンダと前記端末との結合係数を評価するステップと、
前記評価された結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置で利用可能な電力を推定するステップと
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記トランスポンダは、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられている発振回路を備えており、
前記直流電圧を、前記トランスポンダの発振回路と並列に設けられた抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の夫々に関して測定し、
前記抵抗性負荷の第1の値及び第2の値の内の一方に関する最適結合係数に基づき、前記結合係数を評価した位置を推定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記利用可能な電力は、最小電圧下で、前記トランスポンダの回路からサンプリングされ得る最大電流であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の値及び第2の値間の抵抗性負荷の変動を、前記トランスポンダに備えられている切替可能な抵抗性逆変調要素を切り替えることによって得ることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
端末の磁場内の電磁トランスポンダの電力を管理する方法であって、
請求項1に記載の方法により、利用可能な電力を推定し、
前記推定された電力を、前記トランスポンダによる機能の実行に必要な電力と比較し、
比較結果に基づき、電力を管理することを特徴とする方法。
【請求項6】
異なる機能に必要な電力を、前記トランスポンダに記憶してあることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記機能の実行を、利用可能な電力が十分であるときのみ、前記トランスポンダによって開始することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記トランスポンダによって実行される機能を、利用可能な電力に応じて選択することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
生成される磁場の電力を前記端末に調整させるために、所要の電力に関するデータを、前記端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
電磁トランスポンダが、端末の磁場内にあるとき、直流電圧を与えることが可能な整流器の上流側に設けられた発振回路と、
請求項1に記載の方法を実施することが可能な少なくとも1つのプロセッサと
を備えていることを特徴とする電磁トランスポンダ。
【請求項11】
前記発振回路と機能的に並列に接続され得る少なくとも1つの切替可能な抵抗性要素を更に備えていることを特徴とする請求項10に記載のトランスポンダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−4402(P2011−4402A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139734(P2010−139734)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(509096153)エス テ マイクロエレクトロニクス(ローセット)エス アー エス (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(509096153)エス テ マイクロエレクトロニクス(ローセット)エス アー エス (15)
【Fターム(参考)】
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