説明

電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法および検査装置

【課題】ミリ波信号を使用して物体を検査する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2つのミリ波信号源を提供し、ミリ波信号源から、少なくとも2つの異なる周波数を有する少なくとも2つのミリ波信号を送信して物体を照射し、反射された帰還信号が閾値信号レベルを超えているか否かを判定する。超えている場合は、その帰還信号を処理して物体の形状を特定する。超えていない場合は、別の帰還信号を処理する。検出される場合は、その帰還相互信号を処理して物体の性質を特定する。検出されない場合は、別の帰還信号を処理するステップとを行う。すべての帰還信号がチェックされたか否かを判定する。結果が満足なものか否かを判定し、結果が満足なものでない場合は、ミリ波信号のうちの少なくとも1つの周波数を変更する。結果が満足なものである場合は、本方法を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波照射を使用した物体の検査を対象とし、特に、電磁ミリ波照射を使用した物体の検査を対象とすることができる。
【背景技術】
【0002】
これまで、物体の存在を特定する手段として、電磁信号を利用して物体を照射してきた。このような電磁照射信号は、空港や裁判所などの安全が保証される場所で、衣服の下や手荷物の中に隠された物体を検出するために用いられてきた。物体の存在を判定するためには、物体から反射される信号の強度を検出することが用いられてきた。
【0003】
特定の状況においては、単に物体の存在を検出するだけでは、物体に関する情報として十分ではない場合がある。空港などで多数の人や手荷物を効率よく処理するために、衣服の下または手荷物の中に物体の存在を示す兆候が検出された人を引き留めて、一人ひとりに電磁的に「金属探知棒検査(wanding)」によって、または身体を「叩く(pat down)」ことによって調査することを省きたい場合がある。「金属探知棒検査(wanding)」という用語は、物体のすぐ近くで電磁反応検出機を動かすことによって、物体上または物体内の鉄物質の存在を検出することを表す。「叩く(pat down)」という用語は、調査員の手で調査の対象に身体的に接触し、物体が隠されていることを示し得る隆起や硬点などの存在をチェックすることを表す。
【0004】
現在、人や荷物に隠匿された武器やその他の危険物を検出するためのミリ波技術を使用した応用例が存在する。ミリ波によって、布地や他の物質を透かして見ることが可能になると共に、危険な物品や物体を検出するのに十分な解像度がもたらされるということが知られている。現存する周知のシステムの多くは受動的であり、現存する周知のシステムのすべては、オペレータが危険な物品や物体を識別するために観察する画像を生成することに焦点を当てている。本開示の目的では、「識別する」という用語は、「検出および特定する」ことを意味するものと解釈することができる。オペレータが、往々にして粒子が粗くまたは解像度が低い画像で判断すると、誤報率が高くなる場合がある。通常、広範囲の画像を形成するには、生成に数十秒から数十分を要するため、スループットが低下する結果となる。多くの場合、X線画像では種々の密度の物質が検出されるので、目的の物品が隠匿されることがあり得る。痕跡検出法、レーザ分光法、および化学反応法などの爆発物検出方法が、対象物または物体の外面に適用されるが、隠匿された物品の検出には有益でない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物体の形状や性質を判定することができる物体の検査方法および検査装置が必要とされている。本開示の目的では、物体の「性質」という用語は、例えば、これらに限定されないが、物体内に存在する化学物質、元素、または無機物などの物体を構成する物質を表すものと解釈され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法は、(a)少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を提供するステップと、(b)この少なくとも2つのミリ波信号源から少なくとも2つの電磁ミリ波信号を送信して、物体を照射するステップであって、この少なくとも2つの電磁ミリ波信号は、少なくとも2つの異なる周波数を有するステップと、(c)(1)反射された帰還信号が所定の閾値信号レベルを超えているか否かを判定するステップであって、[a]閾値信号レベルを超えている場合は、その反射された帰還信号を処理して物体の形状を特定し、[b]閾値信号レベルを超えていない場合は、別の帰還信号を処理するステップ、および(2)帰還相互変調積信号または高調波信号が検出されるか否かを判定するステップであって、[a]検出される場合は、その帰還相互変調積信号または高調波信号を処理して物体の性質を特定し、[b]検出されない場合は、別の帰還信号を処理するステップを順不同で行うステップと、(d)すべての帰還信号がチェックされたか否かを判定するステップであって、(1)チェックされていない場合は、別の帰還信号を処理し、(2)チェックされている場合は、ステップ(e)に進むステップと、(e)この方法によって満足な結果が得られたか否かを判定するステップであって、(1)満足な結果が得られなかった場合は、少なくとも2つのミリ波信号のうちの少なくとも1つ信号の周波数を変更し、(2)満足な結果が得られた場合は、この方法を終了させるステップとを含む。
【0007】
電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査装置は、(a)少なくとも2つの電磁ミリ波信号源であって、これらの信号源からの少なくとも2つの電磁ミリ波信号によって物体が照射されるように物体に対して配向され、この少なくとも2つの電磁ミリ波信号は、少なくとも2つの異なる周波数を有する信号源と、(b)少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうち、選択された電磁ミリ波信号の反射信号を受信できるように物体に対して配向された少なくとも1つの受信器ユニットと、(c)この少なくとも1つの受信器ユニットに結合された分析ユニットであって、反射信号および反射信号間の相互変調積信号または高調波信号の信号レベルを確定する分析ユニットとを含み、この反射信号が所定の閾値信号レベルを超えている場合は、物体の形状が示され、物体の性質は、相互変調積信号または高調波信号によって示される。
【0008】
したがって、本開示の特徴は、物体の形状および性質を判定することができる物体の検査方法および装置を提供することである。
【0009】
本開示のさらなる目的および特徴は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を、添付の図面と照らし合わせて考察することから、明らかになるであろう。この添付の図面では、それぞれ異なる図において、同じ要素には同じ参照番号が使用されて符番され、本開示の好適な実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の装置の第1の実施形態の概略図である。
【図2】本開示の装置の第2の実施形態の概略図である。
【図3】本開示の方法を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、「結合された」および「接続された」という用語が、それらの派生語と共に使用される場合がある。これらの用語は、互いに同義語であるよう意図されたものではないということに留意されたい。むしろ、特定の実施形態では、「接続された」は、2つ以上の要素が互いに直接的に物理的または電気的な接触をすることを表すために使用され得る。「結合された」は、2つ以上の要素が互いに直接的または間接的に(それらの間に他の要素が介在した状態で)物理的または電気的な接触をすること、または、2つ以上の要素が協働または(例えば、因果関係にあって)互いに影響し合うことを表すために使用され得る。
【0012】
本明細書において、「部分」という用語は、場、場所、方向性、場面、地点、位置、サイト、スポット、体積、連結部、接続部、または一次元または二次元におけるその他の同様な位置に関する領域を表すよう意図される。物理装置における部分としては、例えば、これらに限定されないが、角、交点、湾曲部、直線部、面積、平面部、体積、またはこれらのいずれかの特徴の一部を挙げることができる。電気装置における部分としては、例えば、これらに限定されないが、端子、導線、回路、回路線、回路基板、配線板、ピン、コネクタ、コンポーネント、コンポーネントの集合、サブコンポーネント、または一次元または二次元におけるその他の同様な位置に関する領域を挙げることができる。流れ図における部分としては、例えば、これらに限定されないが、連結部、ステップ、サイト、機能、クエリ、応答またはその他の態様、連結部間、ステップ間、サイト間、機能間、クエリ間、応答間、または流れ図によって示されたフローまたは方法のその他の態様間のステップ、増分、または間隙を挙げることができる。
【0013】
本開示では、送信されたミリ波信号によって照射されたコンポーネントから拡散されるエネルギーを放射測定することによって、金属の検出、バルク爆薬の検出、および隠匿された非金属製の武器の検出を行うことができる方法および装置が記載される。隠匿されているかもしれない異なる密度の物品を識別するために、閾値レベルの検出を実行することができる。差周波数を照合することにより照射された物体から生成される非線形応答または相互変調積信号を使用して、電子部品や、他の異種金属接合の検出を行うことができる。送信されたミリ波信号によって照射された物体から拡散されるエネルギーの画像をスキャンおよび生成することによって、金属の検出、バルク爆薬の検出、および隠匿された非金属製の武器の検出を行うことができる。目標領域の画像がオペレータに向けて呈示され、結果を判断することができる。閾値信号を検出する動作モードと、差分信号を検出する動作モードからの情報を使用して、自動検出を行うことができる。物体を集中的に照射し、低出力レベルで動作させることによって、動作中の干渉を軽減することができる。連続波モードで動作させることによって、1秒につき数百回の測定が可能になり、物体の存在を迅速に検出および確認できる。約30GHz(ギガヘルツ)から約300GHzの範囲の周波数を使用して実施することができる。W帯域(75〜110GHz)内の周波数を用いることが、最も効果的である。
【0014】
図1は、本開示による装置の第1の実施形態の概略図である。図1において、装置10は、共通基準信号発生器ユニット16に結合された第1の電磁ミリ波信号源12および第2の電磁ミリ波信号源14を含み得る。基準信号発生器ユニット16は、同期受信器ユニット18に結合され得る。同期受信器ユニット18には、分析ユニット19が結合され得る。
【0015】
第1の電磁ミリ波信号源12は、(基準信号発生器ユニット16によって提供された基準信号fから)周波数fを有する第1の電磁ミリ波信号20を合成することができる。第1の電磁ミリ波信号源12は、第1の電磁ミリ波信号20を送信して、物体22を照射することができる。
【0016】
第2の電磁ミリ波信号源14は、(基準信号発生器ユニット16によって提供された基準信号fから)周波数fを有する第2の電磁ミリ波信号24を合成することができる。第2の電磁ミリ波信号源14は、第2の電磁ミリ波信号24を送信して、物体22を照射することができる。
【0017】
電磁ミリ波信号20、24のいずれもが、物体22から反射して、同期受信器ユニット18によって受信され得る。この現象は、電磁波伝達システムの当業者によって理解されるものであり、図1が乱雑になるのを避けるために、図1には図示されない。さらに、周波数Δfを有する差分信号26が、物体22から反射して、同期受信器ユニット18によって受信され得る。周波数Δfは、周波数f、fと、次の関係式によって関係し得る。
Δf=f−f [1]
【0018】
物体22の近傍23で、電磁ミリ波信号20、24が交差すると、図1を含む平面と実質的に垂直なフリンジ面25が形成され得る。
【0019】
分析ユニット19は、反射された電磁ミリ波信号20、24の信号レベルを確定し、反射された電磁ミリ波信号20、24のいずれかが所定の閾値信号レベルを超えているか否かを判定することができる。分析ユニット19は、反射された電磁ミリ波信号20、24の受信信号レベルから収集した情報を使用して、物体22の形状を判定することができる。先行技術の電磁照射信号システムで使用される長い波長信号と比べて、反射された電磁ミリ波信号20、24の波長は相対的に短いため、そのような先行技術システムによって達成できた解析よりも、より精度良く物体22の形状を解析することができる。
【0020】
分析ユニット19は、反射された差分信号26を確定し、物体22の存在を確定することができる。分析ユニット19は、反射された電磁ミリ波信号20、24と、反射された差分信号26の双方からの情報を用いて、物体22の存在を確定することができる。
【0021】
図2は、本開示による装置の第2の実施形態の概略図である。図2において、装置30は、第1の送信アンテナ34に結合された第1のミリ波送信器32を含み得る。この第1の送信アンテナ34は、第1のミリ波送信器32と協働して、第1の電磁ミリ波信号36を送信し、物体38を照射することができる。また、装置30は、第2の送信アンテナ42に結合された第2のミリ波送信機40を含み得る。この第2の送信アンテナ42は、第2のミリ波送信器40と協働して、第2の電磁ミリ波信号46を送信し、物体38を照射することができる。
【0022】
装置30の様々な要素の配向は、物体38からアンテナ34、42までの距離と、アンテナ34、42の間の間隔を用いて定めることができる。アンテナ34と42の間の間隔は、電磁ミリ波信号36と46の間の収束角Θとして表すことができる。収束角Θはゼロになる場合もあり、周波数f、fの信号は、1つのアンテナから送信される場合もある。
【0023】
拡散された帰還信号48が、物体38から反射され得る。第1のアンテナユニット50は、拡散された帰還信号48を第1の周波数帯域で受信することができる。第1のアンテナユニット50は、第1の受信器ユニット(RCVR1)54に結合された第1の前置増幅器ユニット(PREAMP #1)52を含み得る。第2のアンテナユニット60は、拡散された帰還信号48を第2の周波数帯域で受信することができる。第2のアンテナユニット60は、第2の受信器ユニット(RCVR2)64に結合された第2の前置増幅器ユニット(PREAMP #2)62を含み得る。例えば、これらに限定されないが、第1の周波数帯域はW帯域とすることができ、第2の周波数帯域は、UHF帯域からX帯域の範囲内とすることができる。
【0024】
アンテナユニット50、60は、分析ユニット70に結合され得る。拡散された帰還信号48は、相互変調積信号または高調波信号に統合され得る。分析ユニット70は、拡散された帰還信号48を確定して、物体22の性質を確定することができる。実験データまたはその他のデータは、分析ユニット70、または、分析ユニット70が、拡散された帰還信号48から集めた情報と、物体38の性質または物体38の一部を判定するために収集されて格納されたデータとを比較することができるような他の場所に格納されたデータであってもよい。区別され得る物体38の性質または物体38の一部としては、例えば、これらに限定されないが、非線形型電気接続部、特定の電子要素、異種電気接続部、誘電体、液体、非金属製材料、セラミック材料の存在、およびその他の特性または要素を挙げることができる。
【0025】
図2の矢印80で表したように装置30を効果的に移動させるスキャン動作によって、物体38に対する装置30の配向を変えることができる。このようなスキャン動作は、装置30を物理的または機械的に移動させること、または電子ビームスキャンの当業者に既知のビームまたは信号ステアリング動作を用いることによって行うことができる。追加的または代替的には、物体38を図2の矢印82で表したように回転させて、物体38の異なる面を装置30に対して呈示することができる。また、装置30によるスキャンと物体38の動きの連係を用いて、物体38の異なる面の装置30に対する呈示を行うこともできる。
【0026】
図3は、本開示による方法を説明する流れ図である。図3では、電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法100は、「開始」部分102から開始することができる。続いて、方法100では、ブロック103で表したように、少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を提供することができる。
【0027】
続いて、方法100では、ブロック104で表したように、少なくとも2つの電磁ミリ波信号源から少なくとも2つの電磁ミリ波信号を送信して、物体を照射することができる。この少なくとも2つの電磁ミリ波信号は、少なくとも2つの異なる周波数を有することができる。
【0028】
続いて、方法100では、次のステップが順不同で行われる。
【0029】
(1)クエリブロック106に表した、物体から反射された帰還信号が所定の閾値信号レベルを超えているか否かを判定するステップ。反射された帰還信号が所定の閾値信号レベルを超えている場合は、方法100は、クエリブロック106から「はい」応答ライン112を通って進むことができ、ブロック124に表したように、その反射された帰還信号を処理して、物体の形状を特定することができる。また、方法100は、ブロック126に表したように、反射された信号を検出することで、物体の存在の特定をもたらすことができる。反射された帰還信号が所定の閾値信号レベルを超えていない場合は、方法100は、クエリブロック106から「いいえ」応答ライン118を通って進むことができ、クエリブロック130に進んで、すべての帰還信号がチェックされたか否かのクエリを提起することができる。
【0030】
(2)クエリブロック108に表した、物体から反射された帰還差分信号が検出されるか否かを判定するステップ。帰還差分信号が検出される場合は、方法100は、クエリブロック108から「はい」応答ライン114を通って進むことができ、ブロック126に表したように、反射された帰還差分信号を処理して、物体の存在を特定することができる。反射された帰還差分信号が検出されない場合は、方法100は、クエリブロック108から「いいえ」応答ライン120を通って進むことができ、クエリブロック130に進んで、すべての帰還信号がチェックされたか否かのクエリを提起することができる。
【0031】
(3)クエリブロック110に表した、物体からの帰還相互変調積信号または帰還高調波信号が検出されるか否かを判定するステップ。帰還相互変調積または帰還高調波信号が検出される場合は、方法100は、クエリブロック110から「はい」応答ライン116を通って進むことができ、ブロック128に表したように、その帰還相互変調積または帰還高調波信号を処理して、物体の性質を特定することができる。帰還相互変調積または高調波信号が検出されない場合は、方法100は、クエリブロック110から「いいえ」応答ライン122を通って進むことができ、クエリブロック130に進んで、すべての帰還信号がチェックされたか否かのクエリを提起することができる。
【0032】
ブロック124、126、128によって表したステップの完了後、またはクエリブロック106、108、110によって提起されたクエリへの「いいえ」応答後は、方法100は、続いて、クエリブロック130に表したように、すべての帰還信号がチェックされたか否かを判定するステップに進む。すべての帰還信号がチェックされていない場合は、方法100は、クエリブロック130から「いいえ」応答ライン132を通って進み、ブロック134に表したようにチェックされていない帰還信号を選択することができる。方法100は、ブロック134から部分135に進み、その後、ブロック106、108、110、124、126、128、130に関連する前述したステップを遂行して、別の帰還信号の処理を行うことができる。
【0033】
すべての帰還信号がチェックされている場合は、方法100は、クエリブロック130から「はい」応答ライン136を通って進み、クエリブロック138に表したように、ユーザが方法100の結果に満足したか否かのクエリを提起することができる。結果に満足した場合は、方法100は、クエリブロック138から「はい」応答ライン140を通って進み、「終了」部分142に表したように、方法100は終了する。結果に満足しなかった場合は、方法100は、クエリブロック138から「いいえ」応答ライン144を通って進むことができる。破線クエリブロック146に表したように、物体の別の面が所望されるか否かの任意のクエリを提起することができる。物体の別の面が所望される場合は、方法100は、クエリブロック146から「はい」応答ライン152を通って進み、ブロック154に表したように、物体の面を変更することができる。物体を回転させるなどして物理的に物体を動かすことにより、物体を機械的にスキャンするもしくは電気信号でスキャンすることによって、または、物体のスキャンと回転を連動させることによって、物体の面を変更することができる。物体の別の面が所望されない場合は、方法100はクエリブロック146から「いいえ」応答ライン148を通って進み、ブロック150に表したように、ブロック104に従って送信された少なくとも2つの電磁信号の送信周波数のうちの少なくとも1つを変化させることができる。
【0034】
ブロック150、154のいずれかに表したアクションの完了後は、方法100は、ブロック104、106、108、110、124、126、128、130に関連する前述したステップを遂行して、別の帰還信号の処理を行うことができる。
【0035】
別の一連の実施形態は、電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法に関し、この方法は、
(a)少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を提供するステップと、
(b)前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源から少なくとも2つの電磁ミリ波信号を送信し、前記物体を照射するステップであって、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号は、少なくとも2つの異なる周波数を有するステップと、
(c)実質的に同時に、
(1)前記物体から反射された帰還信号が所定の閾値信号レベルを超えているか否かを判定するステップであって、
[a]前記反射された帰還信号が前記所定の閾値信号レベルを超えている場合は、前記反射された帰還信号を処理して前記物体の形状を特定し、
[b]前記反射された帰還信号が前記所定の閾値信号レベルを超えていない場合は、別の帰還信号を処理するステップ、および
(2)前記物体からの帰還相互変調積信号または高調波信号が検出されるか否かを判定するステップであって、
[a]前記帰還相互変調積信号または高調波信号が検出される場合は、前記帰還相互変調積信号または高調波信号を処理して前記物体の性質を特定し、
[b]前記帰還相互変調積信号または高調波信号が検出されない場合は、別の帰還信号を処理するステップ
を行うステップと、
(d)すべての帰還信号がチェックされたか否かを判定するステップであって、
(1)すべての帰還信号がチェックされていない場合は、別の帰還信号を処理し、
(2)すべての帰還信号がチェックされている場合は、ステップ(e)に進むステップと、
(e)この方法によって満足な結果が得られたか否かを判定するステップであって、
(1)この方法によって満足な結果が得られなかった場合は、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうちの少なくとも1つの信号の周波数を変更して、ステップ(b)から(e)を繰り返し、
(2)この方法によって満足な結果が得られた場合は、この方法を終了させるステップと
を有する。
【0036】
前述した方法に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、この方法は、
この方法によって満足な結果が得られなかった場合は、前記物体の別の面が所望されるか否かのクエリを提起するステップであって、
[a]物体の別の面が所望される場合は、
[1]前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号で前記物体に対して異なるアスペクト角でスキャンすることと、
[2]前記物体を動かして、異なる面を前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源に対して呈示することと、
[3]ステップ(b)から(f)を繰り返すことと
のうちの少なくとも1つを行うことによって、物体に対する向きを変更し、
[b]物体の他の面が所望されない場合は、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうちの少なくとも1つ信号の周波数を変更し、ステップ(b)から(f)を繰り返すステップと
ステップ(f)の(1)を置き換えるステップ
をさらに含むことができる。
【0037】
前述した方法に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、前記物体が、実質的に一部分に位置する複数の物体構成ユニットから成る方法。
【0038】
前述した方法に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、前記物体が、実質的に一部分に位置する複数の物体構成ユニットから成る方法。
【0039】
前述した方法に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、前記スキャンが、実質的に、前記物体に対して前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を機械的に再配置することによって行われる方法。
【0040】
前述した方法に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、前記スキャンが、実質的に、前記物体に対する前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号の再配向を行う電子信号ステアリングによって遂行される方法。
【0041】
前述した方法に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、前記スキャンが、実質的に、前記物体に対して前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を機械的に再配置することによって行われる方法。
【0042】
前述した方法に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、前記スキャンが、実質的に、前記物体に対する前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号の再配向を行う電子信号ステアリングによって遂行される方法。
【0043】
本開示の好適な実施形態を記載するために、詳細な図面および具体的な例が提示されているが、これらは単に説明上のものであり、本開示の装置および方法は、開示された詳細や状態に精確に限定されるものではないこと、また、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神から逸脱することなく、様々な変更が施され得ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法であって、
(a)少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を提供するステップと、
(b)前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源から、少なくとも2つの異なる周波数を有する少なくとも2つの電磁ミリ波信号を送信して前記物体を照射するステップと、
(c)順不同で、
(1)前記物体から反射された帰還信号が所定の閾値信号レベルを超えているか否かを判定するステップであって、
[a]前記反射された帰還信号が前記所定の閾値信号レベルを超えている場合は、前記反射された帰還信号を処理して前記物体の形状を特定し、
[b]前記反射された帰還信号が前記所定の閾値信号レベルを超えていない場合は、別の帰還信号を処理するステップ、および
(2)前記物体からの帰還相互変調積信号または高調波信号が検出されるか否かを判定するステップであって、
[a]前記帰還相互変調積信号または高調波信号が検出される場合は、前記帰還相互変調積信号または高調波信号を処理して前記物体の性質を特定し、
[b]前記帰還相互変調積信号または高調波信号が検出されない場合は、別の帰還信号を処理するステップ
を行うステップと、
(d)すべての帰還信号がチェックされたか否かを判定するステップであって、
(1)すべての帰還信号がチェックされていない場合は、別の帰還信号を処理し、
(2)すべての帰還信号がチェックされている場合は、ステップ(e)に進むステップと、
(e)本方法によって満足な結果が得られたか否かを判定するステップであって、
(1)本方法によって満足な結果が得られなかった場合は、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうちの少なくとも1つの周波数を変更して、ステップ(b)から(e)を繰り返し、
(2)該方法によって満足な結果が得られた場合は、本方法を終了させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
本方法によって満足な結果が得られなかった場合は、前記物体の別の面が所望されるか否かのクエリを提起するステップであって、
[a]前記物体の別の面が所望される場合は、
[1]前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号を、前記物体に対して異なるアスペクト角で用いてスキャンすることと、
[2]前記物体を動かして、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源に対して異なる面を呈示することと、
[3]ステップ(b)から(e)を繰り返すことと
のうちの少なくとも1つを行うことによって、前記物体に対する向きを変更し、
[b]物体の他の面が所望されない場合は、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうちの少なくとも1つの周波数を変更して、ステップ(b)から(f)を繰り返すステップ
により、ステップ(e)の(1)を置き換えるステップ
をさらに含む、請求項1に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法。
【請求項3】
前記物体が、実質的に一部分に位置する複数の物体構成ユニットから成る、請求項1に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法。
【請求項4】
前記物体が、実質的に一部分に位置する複数の物体構成ユニットから成る、請求項2に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法。
【請求項5】
前記スキャンが、実質的に、前記物体に対して前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を機械的に再配置することによって行われる、請求項2に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法。
【請求項6】
前記スキャンが、実質的に、前記物体に対して前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号を再配向する電子信号ステアリングによって遂行される、請求項2に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法。
【請求項7】
前記スキャンが、実質的に、前記物体に対して前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源を機械的に再配置することによって行われる、請求項3に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法。
【請求項8】
前記スキャンが、実質的に、前記物体に対して前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号を再配向する電子信号ステアリングによって遂行される、請求項3に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査方法。
【請求項9】
電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査装置であって、
(a)少なくとも2つの電磁ミリ波信号源であって、これらの信号源からの、少なくとも2つの異なる周波数を有する少なくとも2つの電磁ミリ波信号によって前記物体が照射されるように、前記物体に対して配置される信号源と、
(b)前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうち、選択された電磁ミリ波信号の反射信号を受信できるように前記物体に対して配向された少なくとも1つの受信器ユニットと、
(c)前記少なくとも1つの受信器ユニットに結合された分析ユニットであって、前記反射信号および前記反射信号間の相互変調積信号または高調波信号の信号レベルを確定する分析ユニットと
を含み、
前記反射信号が所定の閾値信号レベルを超えている場合は前記物体の形状が示され、前記相互変調積信号または高調波信号によって前記物体の性質が示される、装置。
【請求項10】
前記物体および前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源の少なくとも一方が、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源に対して前記物体の異なる面が呈示されるように再配置できるように構成されている、請求項9に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源による前記再配置が、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源のうちの少なくとも1つを物理的に移動させて、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうちの選択された信号によって前記物体のスキャンを行うことにより遂行される、請求項10に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源による前記再配置が、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号源のうちの少なくとも1つを電子信号ステアリングして、前記少なくとも2つの電磁ミリ波信号のうちの選択された信号によって前記物体のスキャンを行うことにより遂行される、請求項10に記載の電磁ミリ波信号照射を使用した物体の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−145576(P2012−145576A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−284858(P2011−284858)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】