説明

電磁力で揺動する張り子の玩具

【課題】揺動運動を行わせることができる玩具を提供する。
【解決手段】従来の張り子の揺動部分1には、重さのバランスをとり、ゆっくり揺動するように小石などの錘が取り付けてある。この石の代わりに、または石に加えて、永久磁石4aを取り付け、従来と同様に軽く揺動できる構造にすると同時に、この磁石の近傍にコイル5,6を置き、これに間欠的に電流を流すことによって、磁石を通して電磁的な結合により揺動部を揺動させることができる。これにより、外部から隔絶された環境に置かれた張り子でも、揺動部を効果的に揺動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
胴体から吊り下げられた構造を持つ張り子の揺動部(頭部など)を電磁的方法で外部
から効果的に揺動させるようにした置物を提供する。
【背景技術】
【0002】
日本古来の民具、張り子はその素朴さ故に、日本人の愛着が深く、現在でも各地で製法が引き継がれ、人々の生活に潤いを与えている。現在まで受け継がれている張り子は、馬、牛、虎など動物を形どったものが多く、その頭部などの可動部はわずかな外部の振動や微風でゆらりゆらりと揺れるように、固定された胴体部分より糸3などで吊り下げられた構造になっている。
【0003】
揺動部分1は、図2に示すように、外部の見える部分に比べて、内部に隠れる部分は小さく、それらの重さのバランスをとるために、内部の一部に石4bなどが錘として接着されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の張り子は、そののんびりとした頭部の揺動運動が大きなチャーミングポイントになっているが、外部からの信号のない状態、即ち、ショーケースの中のように微風も、振動もない状況に置かれた場合、可動部は揺動できず静止したままの状態になってしまい、せっかくの揺動機構が用をなさなくなってしまう。このことは、特に、鉄筋コンクリート造りのような堅牢な建物の中では、切実な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述したように、張り子の揺動部分1には、重さのバランスをとり、ゆっくり揺動するように小石などの錘4bが取り付けてある。この石の代わりに、または石に加えて、永久磁石4aを取り付け、従来と同様に軽く揺動できるようにすることができる。さらに、この磁石の近傍にコイル5及び6を置き、これに間欠的に電流を流すことによって、揺動部分に取り付けた磁石4aに電磁的に力を発生させることができ、可動部1を揺動できるようになる。
【発明の効果】
【0006】
外部からの振動や微風などが期待されない室内の飾り棚やショーケースの内部などでも、ある独特な周期で頭部を揺動させることができ、POP(購買時点)での注意喚起や広告、密閉された室内での癒しの置物として効果的に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
頭部などの揺動部1の一部に永久磁石4aを取り付け、台座の下側または内部などに置かれた複数のコイル5または6に間歇的にまた、種々のパターンで電流を流す。コイルの磁力線が永久磁石4aに作用するようにすることにより、揺動部1を適当に揺動させることができる。
コイル5または6に流す電流の持続時間や周期などをハードウエア的またはソフトウエア的に制御することにより、頭部などを上下方向または左右方向などへ揺動させ、いやし効果を高め、注目を引く動きをさせることができる。
【実施例1】
【0008】
本発明の一実施例を図1に示す。張り子の揺動部(頭部など)の一部に永久磁石4aを取り付け、これに電磁力を作用させるためのコイル5または6を台座の見えないところに備えたものを示す。中央に置かれた大きな径のコイル5は、電磁石を上下に動かすために使われ、左右の小さい径のコイル6は電磁石を左右に動かすために使われる。
【0009】
この例の場合は3個のコイルを使用して、頭部の複雑な動きを実現できるようにしているので、制御回路としてはワンチップコンピュータなどのプログラム可能な素子を用いる方が好ましい。光センサーなどと連動させると、周囲が明るいときのみ動作するようにでき、夜間などは自動的に節電モードへ移行し、乾電池などの消耗を抑えることができる。
【0010】
また、図3に示すように、マイクとの連動により、声をかけると、張り子が頭などを揺らして、呼応反応を示すようにすることなどができる。コイルに流す電流は、連続的のものである必要はなく、揺動が止まりそうになった時とか、音声を拾って呼応反応をする時のみに、極く短時間通じればそれ以後暫くの間揺動運動は自由振動の形で持続するので、そのような工夫により電力消費を極力小さくすることも可能である。
【0011】
従って、小型のソーラーセルなどでも容易に動作させることができる。
【0012】
図4にコイルの電流を制御する回路の例を示す。前述のワンチップコンピュータでコイル駆動電流を発生し、信号電圧Vとしてこの回路に印加すれば、その電圧が高い時トランジスタTrはON状態になり、コイルLに電流が流れ、磁力線が磁石4aに作用して、頭部1を揺動させる。
【0013】
ここでは、NPN形トランジスタを用いた例を示したが、これ以外にも種々の半導体スイッチやメカニカルスイッチでも容易に実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
日本人に昔から好まれ親しまれてきた張り子の外観は変更することなく、電気的に揺動運動を促進することによって、微風や振動などの外界からの刺激のない状態でも、揺動させることができ、見る人に心の安らぎを与えることができるし、POP(購買時点)での販売促進などの大きな効果を与えることが期待される。
【0015】
石造りやコンクリート造りの建物内部などのように、建物内部での振動発生が少ない場合とか、病室や測定室など高度の気密が保たれた場所で使う場合などにおいて、安らぎの雰囲気をかもし出せる効果は計り知れない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】置き台の下部に、上下揺動用と左右揺動用の各コイルを布設した電磁駆動の張り子(虎)
【図2】従来の張り子(虎)の構造
【図3】癒し効果を高める張り子頭部の揺動のための駆動電流波形の例
【図4】コイルの電流を制御するための回路例
【符号の説明】
【0017】
1:張り子(虎)の頭部(揺動部)
2:張り子(虎)の胴体(固定部)
3:揺動部釣り糸
4a:永久磁石
4b:錘(小石)
5:上下揺動用駆動コイル
6:左右揺動用駆動コイル
UD:上下揺動コイル電流
RL:左右揺動コイル電流
UD:上下揺動電流周期
SP:音に呼応した特別動作
RL:左右揺動電流周期
DD:電源電圧
L:駆動コイル
D:ダイオード
Tr:トランジスタ
:信号電圧(制御回路よりの)
GND:接地電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された胴体部分から吊り下げられた頭部などの可動部に永久磁石を取り付け、電磁的な方法で、外部から強制的に可動部を動かすようにした張り子の置物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−220611(P2008−220611A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62744(P2007−62744)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(398025199)
【Fターム(参考)】