説明

電磁場による電気推進装置

【課題】 従来の電磁場の作用により電気の力で推進するための推進装置には、地上の軌道上を走るリニアモーターカーや、電磁誘導推進の船舶などがあった。しかしリニアモーターカーは、軌道に磁界を発生させる設備が必要で、進路が限定され設備コストがかさむという問題が有った。また海中などで使われる電磁誘導推進装置は、電力消費が大きく海でしか使えず用途が限定されていた。
【解決手段】 機体の胴体の表面近くにコイルを2つ以上設置し、あるコイルに変化する電流を流し磁界を発生させ、機体の周囲に誘導電流を発生させる。側にあるコイルに位相の異なる電流を流し磁界を発生させ、機体の周囲に誘導電流を発生させる。これにより複数コイルの発生した位相の違う磁界や誘導電流に反発したり引き付け合う作用が発生し、これを利用し推進力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁場の作用により電気の力で推進するための推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電磁場の作用により電気の力で推進するための推進装置には、地上の軌道上を走るリニアモーターカーや、電磁誘導推進の船舶などがあった。しかしリニアモーターカーは、軌道に磁界を発生させる設備が必要で、進路が限定され設備コストがかさむという問題が有った。また海中などで使われる電磁誘導推進装置は、電力消費が大きく海でしか使えず用途が限定されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
機体の胴体の表面近くにコイルを2つ以上設置し、あるコイルに変化する電流を流し磁界を発生させ、機体の周囲に誘導電流を発生させる。側にあるコイルに位相の異なる電流を流し磁界を発生させ、機体の周囲に誘導電流を発生させる。これにより複数コイルの発生した位相の違う磁界や誘導電流に反発したり引き付け合う作用が発生し、これを利用し推進力を発生させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は、円筒形の機体の外観図である。本発明を実施した機体は、円盤型や円柱型や球形など基本的には回転形の外観となる。機体21の胴体の表面部分に、コイル11、コイル12、コイル13を設置する。コイル表面は絶縁されており、胴体を一周する形で電流が流れる。機体は電気を通しにくい物質で作られている。
【0006】
図2は、図1の機体を円筒状の軌道31の内部に入れたイメージ図である。軌道31は電気を通す物質で出来ていて、トンネルの様に長く続いている。軌道31の内部に入れた状態でコイル11に交流電流を流せば、誘導電流が円筒状の軌道31に渦状に発生する。コイル12には位相が90度遅れた電流を流し、コイル13には位相が270度遅れた電流を流す。
【0007】
図3は、電流と磁界の強さを示したグラフである。コイル11に流れる電流が41で、それによって発生する磁界の強さも41の様になる。同様に42、43はコイル12、13の電流と磁界である。図4は、誘導電流の強さを示したグラフである。
【0008】
これらのグラフを元に、電流と磁界と誘導電流の関係を詳しく説明する。コイル11によって発生する誘導電流51が最大になるのは、コイル11に流れる電流41の向きが変わるときであり、電流が0になりコイル11が発生する磁界41も0になる。このときコイル12、13が発生する磁界42、43は最大になっており誘導電流52、53は0になっている。つまり誘導電流51は磁界42と引き合い磁界43と反発する。その結果誘導電流51はコイル12の方向に移動しようとし、機体は反作用としてコイル13の方向に力を受ける。
【0009】
コイル12によって発生する磁界42による誘導電流52は、コイル11が発生する磁界41と反発する関係に有る。その結果誘導電流52はコイル11から遠ざかろうとし、機体は反作用としてコイル13の方向に力を受ける。
【0010】
コイル13によって発生する磁界43のよる誘導電流53は、コイル11が発生する磁界41と引き付け合う関係に有る。その結果誘導電流53はコイル11に近づこうとし、機体は反作用としてコイル13の方向に力を受ける。
【0011】
つまり本実施例において、常にコイル13の方向に力が加わりことになる。このようにして本発明は、電磁場の作用により電気の力で推進力を発生させる事が可能である。
【0012】
本発明はコイルが最小で2個必要で位相が違えば作動すると言えるが、本実施例の様にコイルを複数設置し、位相を90度変えることで効率を高める事が出来る。またコイルに流す電流と周波数を可変とし、これらを変える事で出力や推進方向や効率を調整できる。コイルに流す電流に共振を利用する事で電流が多く流れ、効率をアップさせる事が出来る。コイルが発生する磁界と誘導電流は、高い周波数の方が表面効果でよりコイル近辺に発生するため低い周波数より出力が上がる。使用される周波数は、電波障害の問題も有り数万〜数十万ヘルツ程度が実用的と思われる。また流す電流は交流でなくとも変化する直流を使用し、流すタイミングを調整する事により作動させる事は可能である。
【0013】
本発明は、機体の周囲に電気を流す物質が無いと推進力が発生しないが、海水や宇宙空間などは電気を流す性質が有り、このような環境であれば導体による軌道が無くとも推進力を発生する。
【0014】
大気中においては空気に絶縁性があるため、本発明はそのままでは推進力を発生しない。対策としては、図2の様に導体で出来たトンネル31を事前に準備しても良い。軌道31は密閉されている必要は無く、誘導電流の発生に支障がない程度に穴があいていても良い。他の対策としては、機体の周囲にある空気を高電圧や高周波電磁場等で電離させ、機体周囲の空間を電気の流れやすい状態にし推進力を発生させる事も可能である。
【0015】
この様に本発明は、宇宙・海中・大気中で推進力を発生出来る。今までにない画期的な推進装置である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明の外観を示した図
【図2】 本発明を軌道の中に入れた図
【図3】 コイルに流す電流と発生する磁界の強さを示したグラフ
【図4】 発生する誘導電流の強さを示したグラフ
【符号の説明】
【0017】
11〜13 コイル
21 機体
31 トンネル状の軌道
41〜43 電流および磁界の強さ
51〜53 誘導電流の強さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の胴体の表面近くにコイルを2つ以上設置し、あるコイルに変化する電流を流し磁界を発生させ、機体の周囲に誘導電流を発生させる。側にあるコイルに位相の異なる電流を流し磁界を発生させ、機体の周囲に誘導電流を発生させる。これにより複数コイルの発生した位相の違う磁界や誘導電流に反発したり引き付け合う作用が発生し、これを利用し推進力を発生させる推進装置。
【請求項2】
高電圧や高周波電磁場発生器など、機体周囲の気体や液体を電離させる装置を有する請求項1記載の推進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−219339(P2009−219339A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99767(P2008−99767)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(594147316)
【Fターム(参考)】