説明

電磁場検知による位置の安定化

目標立体物を予め計画した位置に保持する位置制御製品を提供する。位置制御製品は、電磁場センサ11からの信号を用いて、位置決めサブシステム31に、少なくとも第1の目標座標121を、少なくとも第1の基準座標111との予め計画した関係に保持させる。この製品は、特に、放射線腫瘍学において有用である。その場合、本体81内にある目標立体物71を、放射ビームと予め計画した関係に保持することが重要である。また、本製品は、基準座標の目標座標に対する位置を他の手段で決めることができないような、他の場合にも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年5月6日に出願された米国仮特許出願第60/468,366号の優先権を主張する。その内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0002】
一形態において、位置制御製品は、電磁場センサ11からの信号を用いて、位置決めサブシステム31に、少なくとも1つの基準座標111との予め計画した関係で、少なくとも第1の目標座標121を保持させる。
【0003】
この製品は、特に放射線腫瘍学、または本体81内の目標立体物(target volume) 71を放射ビームと予め計画した関係に保持することが重要なその他の用途において有用である。この製品は、目標座標に対する基準座標の位置が他の手段では容易に、または精度高く判定することができない場合に用いることができる。
【背景技術】
【0004】
磁気コンパスを用いて船舶を操舵すること、および荷電粒子ビームが生成する磁場を測定して粒子ビームを導くことは共に旧来からの技術であるが、いずれの旧来技術も、固定基準座標に対して事前に計画した固定位置の少なくとも1ミリメートル以内に目標座標を保持するために、中和直線運動が得られるように改造することができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
一形態では、前述の製品は、固定基準座標に対して事前に計画した固定位置の9mm、7mm、5mm、3mm、2mm、1mm以内というような1センチメートル以内、または0.5mm以内にでさえも目標座標を保持する中和直線運動が得られる。
【0006】
この製品の一形態の要素を模式的に図1に示す。
図1の製品の要素間の接続を、模式的に図2に示す。
この位置制御製品の一形態では、位置決めコントローラを位置決めサブシステム31と共に用い、使用中の位置決めサブシステムが目標立体物71を移動させて、目標立体物を事前に計画した位置に保持することができる。これを行うために、位置決めサブシステムは、本体21を移動させることができ、本体内の目標立体物を移動させることができ、これらの組み合わせを移動させることができる。
【0007】
位置決めコントローラは、電磁場源11によって模式的に表されている電磁場12、21で模式的に表されている電磁場センサ、および22で模式的に表されている信号を備えている。
【0008】
センサが測定した場の変化は、目標直交三次元座標121、122、123の少なくとも1本の軸の、基準直交座標111、112、113の少なくとも1本の軸に対する運動を表す。センサは、この運動を表す信号22を出力する。この信号が、位置決めサブシステム31に、少なくとも1つの基準座標との事前に計画した関係に少なくとも1つの目標座標を保持するために、中和運動を生じさせる。
【0009】
目標座標は、目標立体物に対して既知の三次元関係を有することができる。基準座標は、目標立体物上で作用するデバイスと既知のデバイス関係を有することができる。これらの関係のいずれかまたは双方は、静的とすることができ、動的とすることができ、これらの組み合わせとすることができる。いずれか、および双方の関係は、予め知ることができ
、製品を使用している間に測定することができ、これらの組み合わせによって知ることができる。放射線腫瘍学の場合、目標立体物は、癌性腫瘍とすることができ、「デバイス」は放射線ビームとすることができる。
【0010】
本発明の位置形態では、センサ21は、目標座標と既知のセンサ関係を有し、場12は、図1において場発生源11で模式的に示すように、基準座標と既知の場関係を有する。この形態では、センサは、図1に模式的に示すように、本体内に埋め込むことができる。
【0011】
センサおよび場の発生源は、相互交換することができる。つまり、本発明の別の形態では、場(この場合、図1では場発生源21によって模式的に表される)は、目標座標と既知の関係を有し、センサ(この場合、図1では11によって模式的に表される)は、基準座標と既知の関係を有する。この形態では、場発生源を本体内に埋め込むことができる。
【0012】
この製品は、これらの形態の組み合わせも用いることができる。
これらの形態のいずれにおいても、既知のセンサ関係は静的とすることができ、動的とすることができ、そしてこれらの組み合わせとすることができる。また、既知の場関係も、静的とすることができ、動的とすることができ、これらの組み合わせとすることができる。センサ関係および場関係のいずれかまたは双方は、予め知ることができ、製品を使用している間に測定することができ、これらの組み合わせとすることができる。
【0013】
この製品の一形態では、センサは直交直線運動のセンサ三次元座標の直線運動を検出することができ、基準座標に対する目標座標の直交方向回転のセンサ三次元座標を検出することができる。この形態では、信号は、位置決めサブシステム31に、直交中和直線運動、例えば、位置決め三次元運動41、42、43を行わせることができ、直交中和回転、例えば、位置決め三次元運動51、52、53を行わせて、目標および基準座標間で予め計画した関係を維持することができる。
【0014】
また、この製品の一形態は、目標座標の基準座標に対する歪みを検出することができ、信号は、位置決めサブシステムに中和歪みを発生させ、目標および基準座標間に予め計画した関係を維持することができる。
【0015】
場は磁石によって発生することができる。磁石は、永久磁石とすることができ、電磁石とすることができ、更にこれらの組み合わせとすることができる。場は、地球の磁場とすることもできる。場は、製品を用いる環境において通常存在する発生源によって生ずる場とすることもできる。
【0016】
場は、いくつかの成分発生源を有する可能性がある。
場発生源、あるいは場の少なくとも1つの成分の発生源は、送信機が生ずる電磁放射線から成る可能性がある。
【0017】
場、あるいは場の少なくとも1つの成分の発生源は、機械的手段によって、電気的手段によって、更にこれらの組み合わせによって変調することができる。これによって、センサが検出するが利用できないいずれの場をも、前述の場から区別し易くなる。
【0018】
場は、当該場に最大空間変化が得られるように構成することができる。
予め計画した関係は、静的関係とすることができ、動的関係とすることができ、これらの組み合わせとすることができる。
【0019】
センサは、構成部品を有することができる。センサ構成部品は、場のそれぞれの特性を構成部品に検出させるように構成することができる。
センサが本体内に埋め込まれている本発明の形態では、有線手段、無線手段、およびこれらの組み合わせによって、信号を本体から搬送することができる。本体に埋め込んだセンサが電力を必要とする場合、電力は、センサと共に埋め込んだ電源によって供給することができ、有線手段によって供給することができ、無線手段によって供給することができ、更にこれらの組み合わせによって供給することができる。本体内に埋め込んだ場発生源が電力を必要とする場合、電力は、場発生源と共に埋め込んだ電源によって供給することができ、有線手段によって供給することができ、無線手段によって供給することができ、更にこれらの組み合わせによって供給することができる。
【0020】
信号は、信号プロセッサを通じて、位置決めサブシステムに作動させることができる。信号プロセッサは、センサの一部とすることができ、位置決めサブシステムの一部とすることができ、センサおよび位置決めサブシステムとは独立することができ、更にこれらの組み合わせとすることができる。
【0021】
位置決めサブシステムは、目標立体物に直接作用することができ、目標立体物を収容する本体に作用することができ、更にこれらの組み合わせに作用することができる。
位置決めサブシステムは、信号によって、有線手段によって、無線手段によって、更にこれらの組み合わせによって作動させることができる。
【0022】
位置決めサブシステムは、本製品を用いる環境内に通常存在する位置決めシステムとすることができる。例えば、放射線腫瘍学の場合、位置決めサブシステムは、既に放射ビームと共に用いられている既存の位置決め寝台とすることができ、これの変更物とすることができる。
【0023】
位置決めサブシステムは、機械的手段、電気的手段、空気式手段、およびこれらの組み合わせというような、当技術分野では公知の種々の手段を用いることができ、予想し得ない手段を用いることができ、更にこれらの組み合わせを用いることができる。
【0024】
既存の場構成手段および既存のセンサを用いる場合、運動は、1/100秒にミリメートル未満で測定することができる。センサ技術および材料の電磁特性は急速に発展しているので、予測できない新たな手段が出現する場合もあり得る。
【0025】
位置制御製品の種々の形態を用いることができ、少なくとも一形態では、センサが、少なくとも1ミリメートルの基準座標に対する目標座標の運動を表す電磁場の変化を検出し、位置決めサブシステムに少なくとも直線補償運動を行わせ、少なくとも1つの目標座標と少なくとも1つの基準座標との間の予め計画した固定関係を維持するようにするのである限り、予測不能な形態も含む。
【0026】
本製品の一形態は、三次元での追跡を行い、繰り返し、または連続的にでもリアル・タイムで補償を行い、少なくとも1つの目標座標と少なくとも1つの基準座標との間で予め計画した固定関係を維持し、放射ビームまたはその他の製品の使用中に、リアル・タイムの位置決めを行うこと、および/または運動補償データを供給することができる。
【0027】
電磁場発生源およびセンサの数は、同じである必要はなく、センサは、既知の方向に沿って大きさおよび/または傾斜を測定することを可能とすることができる。用途によっては、電磁場発生源の数の方がセンサの数よりも多い方が有利であったり、またはその逆の方が有利である場合もあり得る。一形態では、一部のセンサを、局地的な機器からの浮遊場、または長く徐々に低くなる傾斜場(地球からの)の監視に専用とすることもでき、この場合、位置決めサブシステム31の移動を決定する際に、位置制御製品を用いて、かかる浮遊場を除去または考慮することができるようにする。
【0028】
言い換えると、ある種のセンサのような外部要素の一部を変調して用いると、幾何学形状を発生したりまたは強度を発生して、位置決めサブシステム31の移動を決定する際に生じ得る曖昧さを除去したり、または精細化することができる。
【0029】
一形態では、発生源の位置をセンサに対して変調することができる。センサの配置にしたがって、センサの位置または向きでさえも、発生源に対して変調することができる。例えば、目標立体物71の近くに1つのデバイスを固定し、小型のスピントロニックセンサが既知の経路上および種々の面/方向で100cpsで回転または発振し、埋め込んだ永久二極磁石の所与のアレイがそれら自体の軸に対して既知のベクトル場を供給し、このアレイに対するデータを得ることができる。
【0030】
一形態では、位置決めサブシステム(ロボット・アーム等)は、目標立体物71を移動させる代わりに、放射ビームを出射するデバイスのような、目標立体物に作用するデバイスを移動させ、第1の目標座標を、第1の基準座標との予め計画した関係に保持する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本製品の一形態の要素の模式図。
【図2】図1の製品の要素間の接続の模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置コントローラを位置決めサブシステムと共に用い、前記位置決めサブシステムを用いて目標立体物を予め計画した位置に保持する位置制御製品であって、前記位置コントローラが、
電磁場と、
電磁場センサと、
信号とを備え、
前記信号が前記センサから出力され、
前記信号が、前記センサが測定した場の変化を表し、
前記場の変化は、少なくとも第1の目標座標の少なくとも第1の固定基準座標に対する少なくとも第1の直線運動を表し、
前記信号は、前記位置決めサブシステムに、前記第1の目標座標との事前に計画した少なくとも第1の固定関係の少なくとも1ミリメートル以内に、前記目標座標を保持させる、
位置制御製品。
【請求項2】
前記センサは、前記第1の目標座標と既知のセンサ関係を有し、前記場は、前記第1の基準座標と既知の場関係を有する、請求項1記載の製品。
【請求項3】
前記センサは、前記第1の基準座標と既知のセンサ関係を有し、前記場は、前記第1の目標座標と既知の場関係を有する、請求項1記載の製品。
【請求項4】
前記場を変調する、請求項1記載の製品。
【請求項5】
前記センサは、直交直線運動のセンサ三次元座標を検出することができ、直交回転のセンサ三次元座標を検出することができ、前記信号は、前記位置決めサブシステムに、位置決め三次元直交中和直線運動を発生させることができ、位置決め三次元直交中和回転を発生させることができる、請求項1記載の製品。
【請求項6】
前記場を磁石によって発生する、請求項1記載の製品。
【請求項7】
前記場を送信機によって発生する、請求項1記載の製品。
【請求項8】
前記場は、場発生源成分を有する、請求項1記載の製品。
【請求項9】
前記センサは、センサ構成部品を有する、請求項1記載の製品。
【請求項10】
前記場の変化は、少なくとも第1の固定基準座標に対する少なくとも1つの目標座標の、少なくとも5ミリメートルの少なくとも第1の直線運動を表す、請求項1記載の製品。
【請求項11】
位置コントローラを位置決めサブシステムと共に用い、前記位置決めサブシステムを用いて、目標立体物と該目標立体物に作用するデバイスを、互いに対して予め計画した位置に保持する位置制御製品であって、前記位置コントローラが、
電磁場と、
電磁場センサと、
信号とを備え、
前記信号が前記センサから出力され、
前記信号が、前記センサが測定した場の変化を表し、
前記場の変化は、前記目標立体物に関係する少なくとも第1の目標座標の、前記デバイ
スに関係する少なくとも第1の基準座標に対する少なくとも第1の直線運動を表し、
前記信号は、前記位置決めサブシステムに、前記目標立体物および該目標立体物に作用する前記デバイスの少なくとも1つの少なくとも第1の直線中和運動を発生させて、前記第1の目標座標を、前記第1の基準座標との第1の予め計画した関係に保持する、
位置制御製品。
【請求項12】
前記センサは、前記第1の目標座標と既知のセンサ関係を有し、前記場は、前記第1の基準座標と既知の場関係を有する、請求項11記載の製品。
【請求項13】
前記センサは、前記第1の基準座標と既知のセンサ関係を有し、前記場は、前記第1の目標座標と既知の場家計を有する、請求項11記載の製品。
【請求項14】
前記場を変調する、請求項11記載の製品。
【請求項15】
前記センサは、直交直線運動のセンサ三次元座標を検出することができ、直交回転のセンサ三次元座標を検出することができ、前記信号は、前記位置決めサブシステムに、位置決め三次元直交中和直線運動を発生させることができ、位置決め三次元直交中和回転を発生させることができる、請求項11記載の製品。
【請求項16】
前記場を磁石によって発生する、請求項11記載の製品。
【請求項17】
前記場を送信機によって発生する、請求項11記載の製品。
【請求項18】
前記場は、場発生源成分を有する、請求項11記載の製品。
【請求項19】
前記センサは、センサ構成部品を有する、請求項11記載の製品。
【請求項20】
前記場の変化は、少なくとも第1の固定基準座標に対する少なくとも1つの目標座標の、少なくとも5ミリメートルの少なくとも第1の直線運動を表す、請求項11記載の製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−525732(P2007−525732A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514305(P2006−514305)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/014122
【国際公開番号】WO2004/099796
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(502343735)
【Fターム(参考)】