説明

電磁弁

コイル支持体に巻回されたコイルと、電機子と、コアと、磁路形成装置とからなる電磁回路を備える電磁弁であって、
前記電機子は、実質的に中空に形成されており、内側に向いた面によってガイドピンの上に可動に支承されており、少なくとも間接的に弁閉鎖要素に作用する、
電磁弁において、
少なくとも、径方向外側に向いた前記ガイドピン(12)の表面が、コア(6)の方に向いた磁化可能に構成された第1部分(13)と、電機子(5)の方に向いた磁化不可能に構成された第2部分(14)とを形成し、前記第1部分(13)と前記第2部分(14)との間に制御縁部(15)が形成されている、
ことを特徴とする電磁弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル支持体に巻回されたコイルと、電機子と、コアと、磁路形成装置とからなる電磁回路を備える電磁弁であって、前記電機子は、実質的に中空に形成されており、内側に向いた面によってガイドピンの上に可動に支承されており、少なくとも間接的に弁閉鎖要素に作用する、電磁弁に関する。
【0002】
このような電磁弁はDE10248125から公知である。ここでは電磁弁はブローオフバルブの駆動部として使用される。とりわけ内燃機関の分野においては、種々のタイプの弁の精確な駆動制御を保証するために、構造スペースを最小限に抑えつつ、電磁弁に、広い調整範囲に亘ってできるだけ線形に推移するできるだけ大きい磁力を与えるという要求が常になされている。公知の電磁弁はとりわけ磁力の大きさおよび磁力の推移の線形性に関して欠点を有する。
【0003】
したがって本発明の課題は、上記の欠点を回避した電磁弁を提供することである。
【0004】
この課題は、少なくとも、径方向外側に向いたガイドピンの表面が、コアの方に向いた磁化可能に構成された第1部分と、電機子の方に向いた磁化不可能に構成された第2部分とを形成し、前記第1部分と前記第2部分との間に制御縁部が形成されていることによって解決される。
【0005】
このような構成によって磁力を簡単に格段に向上させることができる。さらに磁力は、弁ストロークに亘って均一に推移するようになる。ガイドピンを、磁化可能な第1部分と磁化不可能な第2部分とから形成して、これらを例えば相互に溶接またはプレスする場合には、このような電磁弁を特に低コストに製造可能である。第1部分と第2部分との間の制御縁部が、例えばドーム形の面または尖頭形の面のような、電機子の方に向いて規定された輪郭を有することによって、磁力の付加的な調整設定が可能となる。
【0006】
ガイドピン全体が磁化可能な材料から形成されており、第2部分が磁化不可能なスリーブ、例えばプラスチックスライドスリーブを有する場合には、電磁弁を特に簡単に製造することができる。
【0007】
ガイドピンの磁化不可能な第2部分を電機子のための軸受として使用し、第2部分が第1部分よりも大きな直径を有する場合には、特に有利な実施形態が得られる。
【0008】
さらにはガイドピンを、ネジによってコアの中に調節可能に配置することによって、特に有利な実施形態が達成される。こうすることによって所定の領域における磁力をさらに一層微細に調整できるようになる。
【0009】
本発明の実施形態を図面に図示し、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、位置1における本発明の電磁弁の断面図である。
【図2】図2は、位置2における本発明の電磁弁の断面図である。
【図3】図3は、従来構造による電磁弁の場合と、本発明による電磁弁の場合とにおける、弁ストロークに亘る磁力の推移を示す図である。
【図4】図4は、本発明の電磁弁の別の1つの実施形態の部分図である。
【0011】
図1は、本発明の電磁弁1の第1実施形態を示す。このような電磁弁はとりわけ内燃機関の分野において使用され、例えばブローオフバルブ、電気−空圧力変換器等を駆動するために使用される。本発明の電磁弁は、実質的に、コイル支持体3に巻回されたコイル4と、電機子5と、コア6と、磁路形成装置7とが中に配置されているケーシング2からなる。この実施形態においては、磁路形成装置7は磁路形成プレート8およびヨーク9からなる。可動の電機子5は、詳細には図示していないバルブロッドとして構成されており、このバルブロッドは、詳細には図示していない弁閉鎖要素に対して直接的または間接的に作用する。電機子5は、この実施形態においては、プラスチックスライドスリーブとして形成された、自身の内側に配置された軸受10を有する。電機子5はこの軸受10と共に圧縮バネ11を介してコア6に接するよう支えられている。圧入された軸受10および電機子5は周知のようにガイドピン12の上でスライドする。ガイドピン12は、この実施形態においてはコア6の中に固定的に配置されており、圧縮バネ11も収容している。
【0012】
ガイドピン12は、この実施形態においては磁化可能な第1部分13と磁化不可能な第2部分14とからなる。これら2つの部分13,14の間には制御縁部15が形成されている。制御縁部15は、電機子5への磁力線のより良好な移行を保証し、これによって、構造スペースの寸法が同じ場合に磁力をより大きくすることが可能となる。
【0013】
図2は、通電状態における図1の電磁弁1を図示している。圧入された軸受10を有する電機子5は、圧縮バネ11の力に逆らってコア6の方向に移動されている。圧入された軸受10を有する電機子5が実質的に、磁化不可能の第2部分14上でスライドしている様子が明瞭に認識できる。
【0014】
図3は、弁ストロークに亘る、電機子5に作用する磁力の推移を示している。破線は従来の電磁弁の磁力の推移を示す。実線は図1および2に図示した本発明の電磁弁の磁力の推移を示す。図1および2に図示した位置1と2の間の領域において磁力が上昇し、曲線が平坦になっている様子が明瞭に認識できる。これによって弁の精確な駆動制御が可能となる。
【0015】
図4は、本発明の電磁弁の別の1つの実施形態の部分図を示す。ここではガイドピン12が、ネジ17によって調節可能にコア6の中に配置されている。取り付け後に微調整を実施できるようにするために、ケーシング2は切欠部16を有しており、この切欠部16を通ってガイドピン12の微調整を実施することができる。微調整の後、ガイドピンを例えば溶接スポットによって固定して、切欠部を公知の方法によって封鎖することができる。
【0016】
さらにはもちろん、ここでは詳細に記載していない本発明の別の実施形態も考えられる。例えばガイドピン全体を磁化不可能な材料から形成し、コアの方に向いた第1部分を、被覆によって、または被着された磁性材料によって、磁化可能に構成することができる。また、ガイドピン全体を磁化可能な材料から形成することも考えられ、この場合には、ガイドピンの第2部分が磁化不可能なスリーブを有し、このスリーブの上で電機子がスライドできるようにする。いずれにせよ重要なのは、磁力線の移行を保証する制御縁部が、ガイドピンの第1部分と第2部分との間に形成されていることである。
【0017】
ガイドピンの第1部分および第2部分を、実施形態で示したように固体材料から形成すべき場合には、これら2つの部分を例えばはんだ付けや溶接等の公知の接続技術によって相互に接続することができる。これら2つの部分の間の制御縁部を平坦に構成するのではなく、例えばドーム形の面または尖頭形の面のような輪郭を有するようにすることも考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル支持体に巻回されたコイルと、電機子と、コアと、磁路形成装置とからなる電磁回路を備える電磁弁であって、
前記電機子は、実質的に中空に形成されており、内側に向いた面によってガイドピンの上に可動に支承されており、少なくとも間接的に弁閉鎖要素に作用する、
電磁弁において、
少なくとも、径方向外側に向いた前記ガイドピン(12)の表面が、コア(6)の方に向いた磁化可能に構成された第1部分(13)と、電機子(5)の方に向いた磁化不可能に構成された第2部分(14)とを形成し、前記第1部分(13)と前記第2部分(14)との間に制御縁部(15)が形成されている、
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記ガイドピン(12)は、磁化可能な第1部分(13)と磁化不可能な第2部分(14)とから形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電磁弁。
【請求項3】
前記第1部分(13)と第2部分(14)との間の前記制御縁部(15)は、ドーム形の面または尖頭形の面のような、電機子(5)の方に向いて規定された輪郭を有する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の電磁弁。
【請求項4】
前記ガイドピン(12)全体が、磁化可能な材料から形成されており、
前記第2部分は、磁化不可能なスリーブ(10)、例えばプラスチックスライドスリーブを有する、
請求項1記載の電磁弁。
【請求項5】
前記ガイドピン(12)の磁化不可能な前記第2部分(14)は、前記電機子(5)のための軸受として使用され、
前記第2部分(14)は、前記第1部分(13)よりも大きい直径を有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の電磁弁。
【請求項6】
前記ガイドピンは、ネジ(17)によって前記コアの中に調節可能に配置されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521446(P2013−521446A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555342(P2012−555342)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051212
【国際公開番号】WO2011/107310
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(593209987)ピールブルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (19)
【氏名又は名称原語表記】Pierburg GmbH
【住所又は居所原語表記】Alfred−Pierburg−Strasse 1,D−41460 Neuss,Germany
【Fターム(参考)】