説明

電磁推進装置

【課題】 推進剤や大気や海水を必要としない、電気と磁力のみで動作する推進装置である。
【解決手段】 推進装置の熱に強く電気を通しにくい面に、放電用の電極を2つ設ける。この電極間に磁界を発生する機能を推進装置に設ける。電極にプラスとマイナスの電圧を加え放電させ、磁界が発生している電極間に電流を流す。この電流と磁界には相互作用が発生し、放電状態の電流は移動する。同時にこの反作用が磁界を発生する装置に発生する。この力は一時的であるが、これらの動作を断続的に繰り返す事によって、この力を継続して得る事が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は宇宙や大気中や水中で利用可能な、電気と磁力により推進力を得る装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
推進剤や大気や海水を必要としない、電気と磁力のみで動作する推進装置である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
推進装置の熱に強く電気を通しにくい面に、放電用の電極を2つ設ける。この電極間に磁界を発生する機能を推進装置に設ける。電極にプラスとマイナスの電圧を加え放電させ、磁界が発生している電極間に電流を流す。この電流と磁界には相互作用が発生し、放電状態の電流は移動する。同時にこの反作用が磁界を発生する装置に発生する。この力は一時的であるが、これらの動作を断続的に繰り返す事によって、この力を継続して得る事が可能である。高電圧放電は宇宙や大気中や水中で発生可能であるため、本発明はこれらの環境で推進力を得る装置になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は本発明を示した外観図である。装置10の面に放電用の電極31、32と磁極21を設ける。磁極21をN極とする強い磁界を発生させ、電極31をプラス、32をマイナスとして高電圧を加えれば電極間に放電が始まり電流が流れる。放電電流は磁界と相互作用により下に移動し、その反作用として磁極21を有する装置10は上方向に力を受ける。放電はやがて磁極21を外れるが、放電を断続的に繰り返す事で装置10は上方向に継続して推進力を得る。
【0006】
図2は本発明を示した外観図である。装置10の面に長い放電用の電極31、32と磁極21を設ける。磁極21をN極とする強い磁界を発生させ、電極31をプラス、32をマイナスとして高電圧を加えれば、放電は間隔が狭い図の上の部分に発生する。放電電流は磁界と相互作用により下に移動し、その反作用として磁極21を有する装置10は上方向に力を受ける。放電が電極の下まで移動したら電流を切り、再度高電圧を加えることで放電はまた電極の上の部分から始まる。この例のように放電が移動できる長い電極を使用する事で、放電が容易に起こり放電距離や放電時間が延びるなど効率の向上が期待できる。
【0007】
本発明は、コイルを使い交流電流と双方向磁界にする事も可能である。もちろんコイルを使って断続的な直流電流と片方向磁界にする事も可能である。推進力は電流の量と磁界の強さと放電時間と放電距離に影響されるので、これらを制御する事で推進力をコントロールする事が可能である。
【0008】
図3は本発明の電気回路の例である。電源51の電圧を上げれば放電用の電極31,32間に電界が発生するが、放電が始まらないと電流は流れずコイル41は磁界を発生しない。更に電圧を上げれば放電が始まる。放電が始まればこの回路に電流が流れコイル41は磁界を発生し磁極21になる。この図では装置の面は省略している。
【0009】
コイル41には電流の変動を抑え放電を安定させる効果も期待できる。電源51に放電後の電流を安定させる回路や大容量コンデンサーを設ける事で、更に安定した動作が期待できる。この回路は断続的な直流や交流回路に使用可能な例である。
【0010】
図4は本発明を複数設けた推進装置の例を示した外観図である。11は機体であり円柱形である。この機体に本発明の装置を片側に3個づつ計6個設けている。これら複数の装置の個々の推進力を制御する事で推進と姿勢制御を可能にしている。機体中央の磁極22部分の電極は横向きであり横方向に推進力を発生する。後退する場合は電極の狭い部分を後ろ向きに半回転させれば可能である。この例のように本発明を複数設ける事や、移動する事で複雑な動きをする推進装置が可能になる。
【0011】
図5は本発明を回転形の推進装置の下端に設けた例を示した外観図である。機体11の下端部分12は円錐やドーム状に盛り上がっている。コイル42によりほぼ下端全体が磁極になる。磁極24の外周を3分割するように放電用の電極31、32、33を設けている。電極32の半分と電極33は裏側に位置し見えないので網線で表している。
【0012】
電極31をプラス、32をマイナスとして電圧を加えれば、放電は最も電極が近い13の部分に発生する。磁極24がN極の磁界を発生している場合、電流と磁界の相互作用による力は直行方向であり、放電は磁極24の中心に向って移動する。ただし磁極24の中心部分が膨らんでいるので放電は制限を受け下方向に移動する。これにより推進力は斜め上方向に発生する。次に32から33に向って放電電流を流し、次に33から31に向って放電電流を流す。そしてまた最初に戻り31から32に向って放電電流を流す。
【0013】
この一連の放電を繰り返せば、各電極間の放電電流は次々と外周から中心下方向に流れ、推進力は合成されて機体11は図の上方向の推進力を得る。また特定の電極間の放電電流のみを増減すれば、推進力が偏り機体は傾くことになる。図5は磁極が1つでもヘリコプターの様な複雑な姿勢制御をすることが可能な例である。
【0014】
図6は多数の電極を設けた例を複数示している。21は磁極であり31は多数の電極の一つである。多数の電極を設け電極を選択して放電する事で推進力の方向を変える事が可能である。また電極の発熱や消耗を分散させ装置の安定化が期待できる。
【0015】
本発明の装置の動作中は、装置周囲に放電が発生しているため不用意に人間や物が近づけば危険である。その対策として、放電が発生している部分に覆いを付けて隠したり密閉することによって安全性を高める事も重要である。
【0016】
また放電の制御が重要な要素になるため装置の一部は全体に、高電圧や高周波電磁場や、液体や気体や固体の噴射やそれらの塗布など、放電を容易にする装置を設ける事で、放電を容易にし放電電圧を下げる事が可能になる。またそれらを止める事で放電が抑制されるので、放電の制御をする事に繋がる。
【0017】
本発明はモーターの回転子や建築物の荷重低減など推進装置以外への応用も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 本発明の装置の外観図
【図2】 本発明の装置の外観図
【図3】 本発明の回路例を示した図
【図4】 本発明を複数設けた推進装置の例を示した外観図
【図5】 本発明を下端に設けた推進装置の例を示した外観図
【図6】 本発明の装置で電極を多数設けた例を複数示した図
【符号の説明】
【0019】
10 装置
11 機体
12〜13 機体の部分
21〜23 磁極
24 ドーム状磁極
31〜33 電極
41〜42 コイル
51 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進装置の熱に強く電気を通しにくい面に、放電用の電極を2つ設ける。この電極間に磁界を発生する機能を推進装置に設ける。電極にプラスとマイナスの電圧を加え放電させ、磁界が発生している電極間に電流を流す。この電流と磁界には相互作用が発生し、放電状態の電流は移動する。同時にこの反作用が磁界を発生する装置に発生する。この力は一時的であるが、これらの動作を断続的に繰り返す事によって、この力を継続して得る事が可能である。この原理を利用した推進装置や、力を得る機関。
【請求項2】
放電が移動可能な長い電極を有する請求項1記載の装置。
【請求項3】
多数の電極を設け選択的に使用する請求項1〜2記載の装置。
【請求項4】
磁界の発生面に傾斜を付ける事で電流の移動を制限し、力の方向を変える請求項1〜3記載の装置。
【請求項5】
装置の一部分や全体に、高電圧や高周波電磁場や、液体や気体や固体の噴射やそれらの塗布など、放電を容易にする機能を有する請求項1〜4記載の装置。
【請求項6】
請求項1〜5記載の装置に覆いを付けたり密閉した装置。
【請求項7】
請求項1〜6記載の装置を複数組み合わせた装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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