説明

電磁放射線に対する障壁特性を有するナノコンポジット材料およびその製造プロセス

有機の表面改質および/または無機の表面改質を有する、または有さない、層状に形成されたナノ添加剤で構成された、電磁放射線に対する障壁特性を有するナノコンボジット材料、ポリマーマトリクス、これらを得るためのプロセス、および、包装、温室フィルム、コーティングなどに用いられる上記ナノコンポジット材料の利用。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、電磁放射線に対する障壁特性を有するナノコンポジット材料、および、放射線(特に赤外線、紫外線−可視光線(UV−VIS))を遮蔽および除去するために有効な能力を与えるためのナノコンポジット材料の開発に関する。この遮蔽は、天然クレイ(natural clay)、および/または、合成クレイ(synthetic clay)によって形成される特定のタイプのナノ層を組み込むことによって得られる。上記ナノ層は、有機性の材料によって、または、有機性の材料と無機性の材料とのハイブリッドによってインターカレート(intercalated)されてもよいし、インターカレートされなくてもよい。上記ナノ層は、in situポリマー化法(in situ polymerization method)によって、樹脂マトリクス内に組み込まれる。加えて、これらのナノコンポジット材料は、特有の特性を備えている。つまり、上記ナノコンポジット材料は、透明性および強靭性に対する影響を最小限に抑えたままで、気体および蒸気に対する障壁としてマトリクスの他の物理的特性を改良したり、熱特性、機械的特性、耐火性、活性特性および生物活性特性を改良したりする。本発明は上記物質を作るプロセスに関する。
【0002】
さらに、本発明は、多様な分野に用いるための新しい物質の利用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
ポリマー分野にて、最大の関心を集める分野の一つがコンポジット材料、特にナノコンポジットの開発である。in situポリマー化法によるこれらナノコンポジットの製造方法には、異なる製造方法がある(Messersmith PB, Giannelis EP. Chem Mater 1993; 5:1064-6, Knani D, Gutman AL, Kohn DH. J Polym Sci Part A: Polym Chem 1993; 31:1221-32, Tong Z, Deng Y. Polymer 2007; 48:4337-43, Paul M-A, Alexandre M. Macromol Rapid Commun 2003; 24:561-6, Tarkin-Tas E, Goswami SK. J App Pol Sci 2008; 107:976-84, Zhang X, Simon LC. Macromol Mater Eng 2005; 290:573-83)。さらに、これらの新しいナノコンポジットおよびその製造方法は、WO/2001/012678、WO/2006/055301、US 7129287 B1、US 2005/0137288、US 7026365 B2、およびEP 1 321 489 A1に開示されている。これらの文献は、in situポリマー化法によって、ポリマー物質内で修飾および混合させたクレイから製造された、ポリマークレイナノコンポジットの特許の例である。これらの文献は、ナノメーター規模の紡錘体構造を有する、オリゴマー、ポリマーまたはその混合物のようなポリマーマトリクス中に分散している、インターカレートされたまたは剥離されたクレイ(clay)で構成されている、剥離またはインターカレートした板のようなナノコンポジット材料を開示している。
【0004】
例えば、特許WO/2001/012678は、ホモポリマー、およびポリアミドおよびケイ酸の共重合体を基にナノコンポジットを得る方法を開示している。製造されたナノコンポジットの上記の物理的特性は、非電荷ポリマーの物理的特性を超えている。
【0005】
しかしながら、in situポリマー化によるナノコンポジットのさまざまな製造法、および、改質(modified)されたクレイの異なるタイプが報告されているにもかかわらず、純粋なポリマーに関して物理的特性、機械的特性および熱的特性が改良されたナノコンポジット材料や、電磁放射線を遮蔽する能力を有するナノコンポジット材料や、活性物質(例えば、抗菌薬、酸化防止剤、脱酸素剤など)および生物活性成分の固定および/または制御された放出を可能にする更なる能力を有するナノコンポジット材料の製造方法は報告されていない。
【0006】
電磁放射線に対する防護は、包装食品の質を保護するような合成樹脂、または温室における合成樹脂などの様々な用途に用いられる合成樹脂にとって不可欠な要求である。上記の場合において不透明な金属および紙の容器は上記防護機能を有しているが、最も広く使用されている合成樹脂容器は、赤外線(IR)、紫外線(UV)および可視光線(VIS)の領域における電磁放射線の大部分を透過する。それ故に、紫外線−可視光線に対する保護能が、過敏である食品(例えば、果実、野菜、ジュース、ビタミン、スポーツドリンクなど)のポリマー容器について研究されている(M. van Aardt, S. E. Duncan, J. E. Marcy, T. E. Long , and C. R. Hackney. J DAIRY SCI 84: 1341-1347 JUN 2001, Conrad, KR, Davidson, VJ, Mulholland, DL, Britt, I.J, Yada, S. J FOOD SCI 70 (1): E19-E25 JAN-FEB 2005, Goldhan G, Rieblinger K. European Food & Drink Review : No. 3, Autumn, 69, 71-72, 2002)。幾つかの合成樹脂物質のポリマーナノコンポジットについて、紫外線−可視光線の透過スペクトルを示す研究がある(T.D. Fornes, P.J. Yoon, D.R. Polymer 44 (2003) 7545-755), polyamide (Yeh, J.M., Chen, C.L., Kuo, T.H., Su, W.F.H., Huang, S.Y., Liaw, D.J., Lu, H.Y.,Liu, C.F., Yu, Y.H. Journal of Applied Polymer Science, Vol. 92, 1072-1079 (2004)), PVC (Chaoying Wan, Yong Zhang, Yinxi Zhang. Polymer Testing 23 (2004) 299-306), Polyvinyl alcohol (A. H. Bhat, A. K. Banthia. Journal of Applied Polymer Science, Vol. 103, 238-243 (2007)) and other conventional ones (Guo-An Wang, Cheng-Chien Wang, Chuh-Yung Chen. Polymer Degradation and Stability 91 (2006) 2443-2450)。しかしながら、電磁放射線からの保護のためのナノコンポジットの製造工程を説明している明確な構想は、報告されていない。
【0007】
電磁放射線に対する障壁効果におけるもっとも興味深い波長は、主に200nm〜1mmである。電磁スペクトルの前記範囲は、3つの領域に分割され得る。つまり、上記3つの領域は、紫外領域(100〜400nm)、可視領域(400〜700nm)および近赤外領域(700〜2200nm)である。有効な興味深い電磁スペクトルにおける他の領域は、マイクロ波およびラジオ波(すなわち、1mm〜10km)である。紫外線は、地球が受けている総放射線のほんの3%にすぎないが、この放射線は、化学反応、ポリマーの分解、および漂白の原因となる。それ故に、紫外線の遮蔽は、電磁放射線の透過に対する防御について重要性を有する食品容器、温室フィルム、軍事用または民間用を含む民生用コーティングおよびスプレー、クリーム、並びに、塗料製品などの多方面の合成樹脂にとって重要な要素である。
【0008】
〔発明の説明〕
本発明は、全体的または選択的な電磁放射線に対する障壁特性を有するナノコンポジットを開示しており、上記障壁特性は、ナノコンポジットの化学組成、ナノコンポジットの表面修飾、並びに、コンポジット材料を透過する放射線の吸収、屈折および回折を生じさせるクレイナノ層(clay nanolayers)の合成樹脂マトリクス内での良好な分散に起因する。上記の減少した電荷量、ナノメートルスケールの薄さ、および概観の機能性と化学的機能性の高い割合の故に、上記ナノコンポジットの利用は、他の特性の更なる相乗効果を奏するので有利である。当該相乗効果としては、熱的または機械的に改良された気体および蒸気に対する障壁、凝固または制御放出ができること、活性物質(抗菌剤や抗酸化剤のような)および生物活性物質の融合を可能にすることが挙げられる。上記ポリマーマトリクスにおける、上記ポリマーマトリクス内へのナノメートルスケール電荷の混合および分散は、in situポリマー化法によって達成される。上記ナノ添加物は、液体の単量体内、または、幾つかの単量体の溶液もしくはその分散物の混合物内に分散される。続いて、ポリマー化が開始されて、所望の食品製品の包装および他利用にとって有利な、ナノコンポジットが形成される。
【0009】
それゆえ、本発明の第1の不可欠な局面は、少なくとも以下で構成されるナノコンポジット材料に関する。
【0010】
・有機性の表面改質および/または無機性の表層改質を有する、または有さない、層状に形成されたナノ添加物(クレイナノ層)。
【0011】
・実質的に限定されない、熱可塑性タイプ、エラストマータイプ、耐熱性タイプのポリマーマトリクス、または、バイオマスおよび/または生分解性のポリマーによって形成されたポリマーマトリクス。
【0012】
このとき、有機性の表面改質若しくは無機性の表面改質を有する、または、有機性の表面改質若しくは無機性の表面改質を有さない全ての場合において、薄板型のナノ添加物は、主に、層状に形成されたフィロケイ酸塩、および/または、二重層の水酸化物、および/または、これらの混合物若しくはこれらと他のフィロケイ酸塩との混合物に基づいている。これらの3種類の無機物は、電磁放射線に対する障壁として機能するときに、特有の性質を示す。当該性質は、これら3種類の無機物の、組成、天然の色、および、上記放射線の吸収性および/または遮蔽性に関して機能化させ得る潜在的な能力に起因する。
【0013】
上記層状に形成されたナノ添加物は、ポリマーマトリクスに対して、0.01〜98重量%、好ましくは1〜50重量%の割合である。
【0014】
上記層状に形成されたフィロケイ酸塩は限定されないが、モンモリロナイト、カオリナイト、ギブサイト、ディッカイト、ナクライト(nacrite)、セピオライト、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、セピオライト、サポナイト、ハロナイト、バーミキュライトおよび雲母からなる群から選ばれ、層状に形成されたフィロケイ酸塩は、バーミキュライト、雲母およびカオリナイト類の材料に基づいていることが好ましい。上記の最も知られた、ハイドロタルサイトまたはLDHのような二重層の水酸化物は、遮蔽機能を有する層構造を有する合成材料または天然材料である。上記二重層の水酸化物は、層状に形成された構造の表面において正電荷を有し、および、上記電荷を中和する層の間で交換できるアニオンを有している。全ての場合において、層状に形成された材料は、有機類および/または無機類の材料によってインターカレーションされ得る、または、インターカレーションされ得えない。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、上記のような、表面改質をともなう層状に形成されたナノ添加物を有するナノコンポジット材料に関し、当該表面改質は、ポリマー化の開始剤の添加である。表面改質が応用できるとき、その表面改質は、層状に形成されたナノ添加物に対して、ポリマー化反応の開始剤を導入する。その開始剤は、フリーラジカル、カチオン性化合物、アニオン性化合物、配位化合物および/または有機金属化合物によって構成される群から選択される。そして、その開始剤は混合物の構成要素と相溶化する。そこで、ポリマー化反応が起こる。結果として、クレイ(clay)のよりよい剥離(exfoliation)は、ポリマーマトリクス内にて得られる。このように、それは電磁放射線に対する障壁特性および遮蔽特性を改良する、良好な形態を成し遂げることができる。上記表面改質は、ナノ添加物の電磁放射線の遮蔽能をも増大させ得る。
【0016】
合成樹脂材料は限定されないが、熱可塑性材料、耐熱性材料および弾性体(例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリケトン、ポリイソシアネート、ポリスルホン、スチレン樹脂、フェノール樹脂、アミド樹脂、尿素樹脂(ureic resins)、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸塩、天然ゴムおよび生ゴム、ポリウレタン、シリコーン、アラミド、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリロニトリル、PVDF、PVA、PVOH、EVOH、PVC、PVDC、またはバイオマス由来物)、および、生分解性材料(例えば、たんぱく質、多糖類、脂質およびバイオポリエステル)、または以上すべてのものの混合物からなる群から選ばれる。そして、合成樹脂材料は、それらの製造および/または加工またはこれらの特性を改良するために樹脂へ加えられる典型的な添加物の全てのタイプを含み得る。
【0017】
上記ポリマーマトリクスは、構成材料の総量に対して、2〜99.99重量%の割合であり、特に50〜99.99重量%の割合が好ましい。
【0018】
好ましい実施形態によると、上記合成樹脂タイプの材料は、抗菌性の有機金属塩および無機金属塩(特に銀、銅、ニッケル、コバルトが好ましい)、活性若しくは生物活性を有する低分子物質(エタノールもしくはエチレンもしくはエッセンシャルオイル類(特にチモール、カルバロール、リナロールおよび混合物が好ましい)から選ばれる)、小さい抗菌性天然ペプチド(特にバクテリオシン(bacteriocins)が好ましい)であって天然または遺伝子操作で得られるペプチド(特に、ニシン(nisins)、エンテロシン(enterocins)、ラクチシン(lacticins)およびイゾザイム(lisozyme)が好ましい)、天然抗酸化剤もしくは合成抗酸化剤(好ましくは、ポリフェノール、フラボノイド、ローズマリーもしくはその他植物の抽出物、およびビタミン、好ましくはアスコルビン酸塩またはビタミンC)、薬剤(抗生物質、抗がん剤など)、酵素若しくは生物にとって有用なカルシウムの化合物、生物前駆体(prebiotics)(未消化繊維(undigestible fibre))、または、有機金属塩および無機金属塩(好ましくは銀、銅、ニッケルもしくはコバルトが好ましい)からなる群から選択される他の物質を含有している。なお、上記他の物質は、効果を増強する電磁放射線の障壁として機能し得、耐火性を与える材料、および/または活性もしくは生物活性を付与する材料が加えられ得る。
【0019】
上記材料は、何れの場合においても、基本的に、in situポリマー化工程の間にナノ粒子化される厚さであって、ナノメートルの範囲の厚さを、層型の電荷(layered type charge)の樹脂マトリクスへ導入するという点において特徴付けられる。上記物質は、純粋な物質に対して、より良い障壁、耐火性、熱的特性および機械的特性を有しており、抗菌性、抗酸化性または生物活性を有する物質を制御しながら制限放出できることに加えて、電磁放射線に対する障壁を増加させることを可能にしている。
【0020】
本発明の二番目に不可欠な局面は、上記物質を製造するプロセスに関する。
【0021】
ナノコンポジットを形成するためのナノ添加物の混合は、in situポリマー化タイプのプロセスを介して行われ、クレイ粒子(clay particles)の内部層内におけるポリマー化反応に必要な開始剤システムをインターカレーションする工程、単量体を有する開始剤システムによってインターカレーションされたクレイの混合物を準備する工程、および、ポリマー化反応を開始する工程から成る。ポリマー鎖が成長するにしたがって、クレイの層は、それらを分散するようになるまで分離する。
【0022】
得られたナノコンポジット材料は、濃縮物またはマスターバッチとして利用されることもあり得る。さらに、得られたナノコンポジット材料は、最終的な利用に適した形状をポリマーへ付与する工程として用いられる、あらゆるタイプの技術によって変形され得る。
【0023】
それ故に、本発明は、以下の工程を有する、本発明で説明されたナノコンポジット材料を製造するプロセスを開示する。つまり、
・機械的な作用によって、層状に形成された粒子の大きさを減少させる工程。
【0024】
・前の工程で得られた粒子を湿式分級または乾式分級する工程。
【0025】
・濃縮(enriched)された層構造を得るまでに、有機物質、酸化物の結晶、および、改質されていない硬い粒子を除去する工程。
【0026】
・前駆体、および/または改質剤、および/または活性物質および生物活性物質によって、層状に形成された構造体を前処理する工程。
【0027】
・ポリマー化開始剤、触媒、または、これらの混合物を導入する工程。
【0028】
・単量体、クレイ(clay)および、場合によっては他のシステムを混合する工程であって、当該他のシステムは、放射線に対して障壁特性を示すシステム、耐火性および/または活性および/または生物活性を示すシステムである工程。
【0029】
・上記添加剤の濃縮物を獲得するために、in situポリマー化反応を開始する工程。
【0030】
・他の放射線に対する障壁および/またはその効果を強化する活性物質および生物活性物質を合成する可能性を有する合成樹脂加工法による、上記混合物の同じ合成樹脂マトリックスまたは他の合成樹脂マトリックスへの任意の取り込む工程。
【0031】
実施される上記工程を、更に詳細に以下に示す。
【0032】
1)機械的な作用に基づく手段によって、層状に形成された粒子の大きさを減少させる工程。上記手段は、本質的に限定されないが、例えば、研削技術に基づく手段である。この減少は、D90にて30ミクロン以下の粒子の大きさを獲得するように行われる。
【0033】
2)振動するスクリーン、遠心分離機、フィルタープレス、または、あらゆる他のタイプの乾式若しくは湿式のろ過装置によって分級(classification)する工程。当該工程は、粒子の大きさが0.1〜100ミクロンになるまで行われる。特に、D90にて25ミクロン以下の粒子の大きさになることが好ましい。さらに、3ミクロン以下であればさらに好ましい(上記材料のわずか10%が、上記値を超えている)。
【0034】
3)本質的に限定されるものではないが、デカンテーション技術(decanting techniques)、上澄みを集めること、または、過酸化物のような酸化剤を用いる化学反応によって有機物質を除去する工程。
【0035】
4)酸化物結晶、および、改質されていない硬い粒子を除去する工程。当該工程は、遠心分離に基づく手段、および/または、溶液中での比重測定プロセス、または、ターボドライヤーによって行われる。当該工程は、好ましくは、湿式若しくは乾式遠心分離の何れかの遠心分離プロセス、制御された沈降による粉砕プロセス(atomization process)、または、凍結乾燥を含む他の産業的な乾燥プロセスである。
【0036】
5)懸濁液中で細かい層を獲得する、または、前段階で説明した方法による後の粉末への乾燥処理による細かい層の獲得のどちらか。液体または懸濁液両方の前記方式は、本発明の開始物としてみなされる。
【0037】
6)表1に示したエキスパンダータイプ(expander type)の前駆体を使用して、1または数個の工程にて層状に形成された構造体を前処理する工程。
【0038】
【表1】

【0039】
好ましくは、上記エキスパンダーが、DMSO、アルコール、酢酸または水、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、当該エキスパンダーは、層の基本的な間隔を最初に増加させることによって微粒子を活性化し、そして、クレイの表面の特性を改質する。上記前駆体の浸透は、温度、乱状ホモジナイザー(turbulent regime homogenizer)、超音波、圧力またはこれらの組み合わせの利用によって加速される。上記乾燥は、オーブン内での蒸発、凍結乾燥、遠心分離、および/または、溶液内での比重測定プロセス、ターボドライヤー、または粉砕によって行われる。本発明の他の好ましい実施形態によると、インターカレーション(intercalation)した前駆体の溶解は、先に洗浄工程および/または乾燥工程が行われること無く、上記変質剤の混合に続く開始手段として利用される。上記前駆体は、0.01〜98%の量、好ましくは1〜60%の量で加えられる。
【0040】
7)任意に、塩基性水溶液(aqueous base)中においてインターカレートする工程、または層状に形成された構造で極性溶媒、無機物質、有機物質、混成物質とインターカレートする工程。同様の意味で、インターカレーションされる化合物は、本質的に限定されることはないが、PVOH、EVOHおよび同じファミリーの誘導体、および/または、バイオポリマー(天然ペプチドまたは合成ペプチド、化学合成または遺伝子組み換えした微生物もしくは植物から得られるたんぱく質、化学合成または遺伝子組み換えした微生物もしくは植物から得られる天然多糖または合成多糖、化学合成または遺伝子組み換えした植物から得られる天然多糖または合成多糖、ポリペプチド、脂質、ワックス(waxes)、核酸、化学合成または遺伝子組み換えした微生物若しくは植物から得られる核酸のポリマー)、生分解性ポリマー(例えば、ポリ酢酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、アジピン酸および誘導体)、ポリヒドロキシアルカノエート、好ましくはポリヒドロキシ酪酸およびその吉草酸塩を有する共重合体からなる群から選ばれる。インターカレーションされる化合物は、ヒドロキシアパタイトのようなバイオ医薬品、および法律上食品への添加が許されている有機塩リン酸塩、ホスホニウム塩および四級アンモニウム塩を含むことができ、(好ましくは臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ペンタデカフルオロオクタン酸、塩化ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシプロピル−3−(ドデシルオキシ)メチルアンモニウム、およびモノカルボン酸脂肪酸(C6〜C22)およびそのアンモニウム塩を有するポリエチレングリコールエステル)、および硫酸ナトリウム、シラン(好ましくは3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、(ガンマ)−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシランおよびテトラメチルオルトケイ酸塩)、および酸化チタンおよび電磁放射障壁能を有するその他典型的なもののような電磁放射障壁能を有する他の粒子またはナノ粒子を含有することが可能である。以上のものは0.01〜98%の量で、好ましくは1〜60%の量でインターカレーションされる。
【0041】
インターカレーションされる有機物質が、モルエチレン容積(molar ethylene content)で、好ましくは48%よりも少ない、およびさらに好ましくは29%よりも少ないEVOHまたはそのファミリーのあらゆる物質であるとき、この有機物質は、水媒体中、アルコール類の特定の溶媒中、および、アルコールと水との混合物中で飽和する。より好ましくは、50体積%よりも多い水を含有する、水およびイソプロパノールの混合液中で飽和する。
【0042】
一方で、合成樹脂を有するまたは有さないバイオポリマー、架橋剤を有するまたは有さないバイオポリマー、および、乳化剤、界面活性剤もしくは他のナノ添加剤を有するまたは有さないバイオポリマーは、セルロースおよびその誘導体、カラギーナンおよびその誘導体、アルギン酸、デキストラン、アラビアゴムおよび好ましくはキトサンまたはその天然および合成両方の誘導体の一部、さらに好ましくはキトサン塩、最も好ましくは酢酸キトサン、およびトウモロコシたんぱく質(ゼイン)、グルテン誘導体(グルテンまたはグリアジン(gliadin)、グルテン断片(glutenine fractions)など)のような植物および動物由来の両方のたんぱく質、好ましくはゼラチン、カゼイン、大豆たんぱく質およびその誘導体、(天然エラスチン類または化学合成エラスチン類、または微生物もしくは植物の遺伝子操作で得られたエラスチン類だけではない)、および蜜蝋、カルバワックス、カンデリラワックス(candelilla wax)、シェラック(shellac)および脂肪酸のような脂質、およびモノグリセリドおよび/または以上の混合物である。
【0043】
上記キトサンの場合に、脱アセチル化の割合は、好ましくは80%よりも高く、さらに好ましくは87%よりも高い。上記前駆体の浸透は、温度、乱状ホモジナイザー、超音波、圧力またはこれらの組み合わせの利用によって加速される。
【0044】
後の工程内にて、または、上記で示した前駆体および変質剤を用いて前処理することによって粒子を改質する代わりとして、低分子量の物質が、任意に加えられる。なお、当該低分子量の物質は、制御された形態にてインターカレーションおよび/または放出されて、活性化能または生物活性化能を有する化合物を生じるために、考えられる電磁放射線の浸透の障壁、耐火性、活性または生物活性として機能する。上記活性物質は、エタノール、エチレン、エッセンシャルオイル類(特にチモール、カルバロール、リナロールおよび混合物が好ましい)、天然の小さい大きさの抗菌性ペプチド(バクテリオシン)、遺伝子操作で得られる天然の小さい大きさの抗菌性ペプチド(好ましくは、ニシン(nisins)、エンテロシン(enterocins)、ラクチシン(lacticins)およびイゾザイム(lisozyme))、天然もしくは合成の抗菌性もしくは抗酸化特性を有する金属性ナノ添加物(好ましくは、ポリフェノール、さらに好ましくはフラボノイド)、ローズマリー抽出物、ビタミン(好ましくは、アスコルビン酸もしくはビタミンC)、医薬品(抗生物質、抗がん剤など)、酵素、または生物的に有効なカルシウムである。上記成分は、固定されたまま、および/または、ナノコンポジットから放出されてから、産物を制御された形態になる(マトリクスの制御)。上記成分は、マトリクスからまたは両方から放出され得、ナノクレイ(nanoclays)は反応速度(kinetics)を制御する(ナノ添加物の制御)。一般的に、加えられる容積は、溶液の体積の80%よりも少なく、好ましくは12%よりも少なく、さらに好ましくは8%よりも少ない。上記前駆体の浸透は、温度、乱状ホモジナイザー、超音波、圧力またはこれらの組み合わせによって加速される。
【0045】
8)固体状または液体状である前の工程の産物中へ、ポリマー化反応の開始剤、触媒または幾つかのものの混合物を導入する。その結果、開始剤の分子が、クレイ層の表面に吸収され、および/または、クレイ層の間にインターカレートされる。導入された上記分子または上記分子内の官能基は、ラクトン、酸化エチレンまたは環状シロキサンの単量体をポリマー化するために環を開裂させる、ポリマー化反応の開始剤のグループに所属していることが好ましい。上記開始剤は、AlEtを用いる反応によって、環を開裂することによってポリマー化を開始するラジカルアルコキシドへ変化されうる第一級アルコールの官能基を含み得る。上記分子または導入された上記分子の官能基は、例えば、窒素酸化物に結合している第二級ベンジル基のような、不飽和エチレン単量体のフリーラジカルによってポリマー化を開始する開始剤のグループにも属し得る。上記分子は、アニオンまたはカチオンの官能基を含み得る。当該、アニオンまたはカチオンの官能基は、中間層のスペース内に予め存在しているアニオンまたはカチオンとイオン交換することによって、それらをクレイ層へ付着させることができる。上記前駆体またはポリマー化反応の触媒またはこれらの混合物は、不飽和の単量体(少なくとも1つの二重結合を含んでいる)で構成された群、または、二つ以上の官能基を有する単量体で構成された群から選ばれ、これらは、0.01〜99.99%の量にて加えられる。
【0046】
9)少なくとも1つのタイプの単量体(化学結合(一般的には共有結合)によって同じタイプまたは異なるタイプの他の単量体と結合する、小さい分子量を有する分子であって、ポリマーと呼ばれる巨大分子を形成する分子)、および、前述した工程によって任意に改質されたクレイの少なくとも一つのタイプを有する混合物を準備する工程。上記モノマーの混合物は、一つもしくは幾つかの溶媒中または分散媒中にて、溶解もしくは分散(エマルジョン状に)し得る、または、溶解もしくは分散(エマルジョン状に)し得ない。上記使用される単量体は、不飽和な形態(少なくとも一つの二重結合を含む)、または、二つ以上の官能基を有する形態であり得る。本質的に限定されないが、上記モノマーの少なくとも一つが、エチレン、プロピレン、スチレン、メチルメタクリル酸、ビニル、ラクトンまたはビニレン単量体からなる群から選ばれることが好ましい。上記混合物は、加工またはその特性を改良するために典型的に合成樹脂へ加えられる、すべてのタイプの添加物を含み得る。電磁放射線に対する固有の障壁特性を備えているあらゆる可能な組成物に対して、補うためまたは強化するために、付加的に他の生成物を加え得る。当該他の生成物としては、例えば、防御を強化するための二酸化チタンなど、または、耐火性および/または活性物質および/または生物活性物質などが挙げられる。
【0047】
10)単量体の少なくとも一つのタイプの単量体がポリマー化して、その結果、上記ポリマーマトリクス中に分散されたナノ添加物を有する上記ナノコンポジットを形成するように、上記混合物中でin situポリマー化反応を開始する工程。上記ポリマー化反応の開始には、熱、攪拌、放射、圧力、酸化剤またはこれらの組み合わせを利用し得る。
【0048】
11)上記マトリクスを変換するために、任意で、上記添加剤の濃縮物に対して化学修飾が施され得る。当該化学修飾は、例えば、加水分解プロセスによる手段、または、前駆体として機能する別のポリマーへの化学修飾によって派生するポリマーに対して典型的に適用される別のプロセスによる手段によって行われる(反応押出成形(reactive extrusion)を含む)。
【0049】
12)あらゆる合成樹脂加工技術によって加工する工程(例えば、最終物を手に入れるために、ペレット化する工程および成形する工程が、後に続く)。上記加工する工程の間に、上記ナノ添加物の濃縮物に対して、合成樹脂の加工工程および/または特性を改良するための工程に典型的に用いられる物質が加えられ得る。さらに任意で、電磁放射線に対する障壁特性、耐火性および/または活性および/または生物活性を強化する他の添加剤を、当該工程で加工している間に組み込むことも可能である。
【0050】
13)任意に、前の工程で得られたナノ添加物の濃縮物に対して、合成樹脂を加工するためのあらゆる技術によって、同じポリマーまたは異なるポリマーを加える工程。最終物を得るために、当該工程の後に、例えば、ペレット化する工程および成形する工程が行われる。当該工程で加工している間に、電磁放射線に対する障壁特性、耐火性および/または活性および/または生物活性を強化する他の添加物を加えることも可能である。
【0051】
本発明の別の基本的な局面によると、本発明において説明されている上記工程によって得られる上記ナノコンポジット材料は、一般的な包装用、食品用、特に食品成分用、温室フィルム用、軍隊用、一般的なコーティング用(軍隊用および民生用を含む)、スプレー、クリームおよび画材などの製品用、ナノバイオ複合材のような生物医学用、任意に有効成分および/または生物活性成分を放出する薬品用、ガス、蒸気、溶媒、(アロマ、アロマ成分、石油、油脂および炭水化物、および有機的特徴および無機的特徴の混合製品のような)有機製品の障壁用、生分解性または堆肥化性の特徴を必要とするもの用、低分子物質(好ましくは、揮発性物質)を制御放出する必要がある抗菌剤または抗酸化剤の特徴または他の特徴を有する活性容器用、抗菌能の必要があるもの用、可塑剤の使用を必要としない、または、低量の可塑剤を必要とするバイオポリマーの使用のため、およびより熱的および機械的特徴を有し、透明性および硬さにおいて最小の影響を有する材料のために利用される。得られた上記ナノ添加物の濃縮物(ナノコンポジット材料)は、あらゆる合成樹脂の加工工程におけるマスターバッチとして利用される。それは、耐火性を有する材料としても機能する。
【0052】
上記発明の他の発明はもちろん、すべての特徴および利点は、下記の実施例からより理解されうる。一方で、当該実施例は、限定するものではなく、上記の発明がより良く理解されるために、特徴点を示している。
【0053】
〔図面の簡単な説明〕
添付された図を参照して、本発明を以下に説明する。つまり、
図1は、本発明にて得られた上記のナノコンポジット内で観察され得る主な形態を表した、透過電子顕微鏡(transmission electron microscopy(TEM))を走査することによって得られた図である。この図は、クレイ層が、上記ポリマトリクス内で剥離されていること、および、クレイ層が、ナノスケールの厚さを有していることを示している。外見の大きな比(great ratio)を観察すれば(長さと厚さとの比)、上記分散した層が、電磁放射線の透過に対して、並びに、気体および蒸気に対して、優れた保護を保証している。
【0054】
図2は、紫外可視分光光度計によって得られる、上記紫外可視吸収スペクトルを示している。この図は、高い透明度を有するポリ乳酸のポリマーからなる30ミクロンのフィルムのスペクトルを示している。また、この図は、バーミキュライトに基づいたクレイを10%含有するナノコンポジットであって、実施例1にしたがって、ナノ添加物の存在下で乳酸をin situポリマー化することによって調製されたナノコンポジットのスペクトルを示している。ナノ添加剤を導入することによって、紫外線−可視光線の強度が、より抑えられることが示されている。このy軸は、x軸に示す透過率の%に対する、波長(nm)である。
【0055】
〔実施例〕
〔実施例1〕
40%の量(40% by mass of)の臭化ヘキサアデシルトリメチルアンモニウムによって改質されたバーミキュライト類のクレイを異なる含有量(1%、5%、10%、20%)にて含むポリ乳酸フィルム(PLA)と、ポリマー化反応の開始剤としてのトリエチルアルミニウム(AlEt)との比率が1:1、および、40%の量(40% by mass of)の臭化ヘキサアデシルトリメチルアンモニウムによって改質されたモンモリロナイト類のクレイ(5%)を含むポリ乳酸フィルム(PLA)と、トリエチルアルミニウム(AlEt)との比率が1:1。はじめに、上記改質されたクレイを、70℃、不活性気体中にて、0.025Mの乳酸を含むテトラヒドロフラン(THF)溶液に対して分散させた。その溶媒を、減圧条件下で除去した。1時間、上記クレイを膨張(swelling)させた後、乳酸のin situポリマー化反応を、120℃、48時間で行った。30ミクロンの厚さのフィルムは、結果的に生じたナノコンポジットの溶解圧縮(melt compression)によって形成された。これらのナノコンポジットは、TEMによって形態を研究することで特徴付けられた。
【0056】
〔実施例2〕
紫外線−可視光の分散能を説明した他の研究。これを行うために、約30ミクロンの上記フィルムにおいて、上記紫外線−可視放射の吸収能を、紫外可視分光光度計によって評価した。上記純粋なポリマーは100%近くの透過率を有する一方で、上記PLA+10%クレイは、83〜90%でUV光の透過を減らすことができる。このようにUV放射線および可視放射線の大部分を効果的に遮蔽することができる。10%のクレイの添加を有していれば、可視光領域にて、最大65%の放射線の遮蔽ができる(図2参照)。マトリクス内で達成された、優れたナノスケールの分散によって、適切に改質された上記バーミキュライト類のクレイが、紫外線領域および可視光領域の両方で光を強く遮蔽する。ポリ乳酸によって形成された、これらの生分解性のナノコンポジットを用いれば、例えば、紫外線−可視光線、酸素のような低分子ガス、水蒸気およびリモネン(limonene)に敏感な食品の保存に用いることができる包装材料の製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明にて得られた上記のナノコンポジット内で観察され得る主な形態を表した、透過電子顕微鏡を走査することによって得られた図である。
【図2】紫外可視分光光度計によって得られる、上記紫外可視吸収スペクトルを示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要素を含有していることを特徴とする、電磁放射線に対する障壁特性を有するナノコンポジット材料。
(a)有機性の表面改質および/または無機性の表面改質を有する、または、有機性の表面改質および/または無機性の表面改質を有さない、層状に形成されたナノ添加物。
(b)ポリマーマトリクス。
【請求項2】
上記ナノ添加物が、有機性の表面改質または無機性の表面改質を有する、または、有機性の表面改質または無機性の表面改質を有さない、フィロケイ酸塩、二重層の水酸化物、または、これらの混合物若しくはこれらと他のフィロケイ酸との混合物であることを特徴とする、請求項1に記載のナノコンポジット材料。
【請求項3】
上記ナノ添加物が、カオリナイトまたはバーミキュライトから選択されるフィロケイ酸であることを特徴とする、請求項2に記載のナノコンポジット材料。
【請求項4】
上記ナノ添加物が、上記マトリクスに対して、0.01〜98重量%の割合であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のナノコンポジット材料。
【請求項5】
上記ナノ添加物が、上記マトリクスに対して、1〜50重量%の割合であることを特徴とする、請求項4記載のナノコンポジット材料。
【請求項6】
上記マトリクスを形成するポリマーが、熱可塑性樹脂、エラストマー、熱安定物質またはこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のナノコンポジット材料。
【請求項7】
上記マトリクスを形成するポリマーが、バイオマスおよび/または生分解性に由来するバイオポリマーであることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のナノコンポジット材料。
【請求項8】
上記マトリクスが、ナノコンポジット材料の全体に対して、2〜99.99重量%の割合であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のナノコンポジット材料。
【請求項9】
上記マトリクスが、ナノコンポジット材料の全体に対して、50〜99.99重量%の割合であることを特徴とする、請求項8に記載のナノコンポジット材料。
【請求項10】
上記ポリマーマトリクスが、電磁放射線に対して障壁として機能する物質、耐火性を有する物質、活性もしくは生物活性を有する物質、または、これらの組み合わせから選択される他の物質をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載のナノコンポジット材料。
【請求項11】
上記有機性の改質を有するまたは有さない層状に形成されたナノ添加物が、フリーラジカル、カチオン性化合物、アニオン性化合物、配位化合物および/または有機金属化合物からなる群から選択される、ポリマー化反応の開始剤を含んでいることを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載のナノコンポジット材料。
【請求項12】
以下の工程を有している、請求項1〜11の何れか1項に記載のナノコンポジット材料を得るためのプロセス。
(a)機械的な作用によって、層状に形成された粒子の大きさを減少させる工程;
(b)前の工程で得られた粒子を湿式分級または乾式分級する工程;
(c)層状に形成されたナノ添加物を得るまでに、有機物質、酸化物の結晶、改質されていない硬い粒子を除去する工程;
(d)ポリマー化開始剤、触媒またはこれらの混合物を導入する工程;
(e)上記マトリクスの前駆体単量体のうちの少なくとも1種類、および、前の工程で得られる層状に形成されたナノ添加物のうち少なくとも1種類を混合する工程;
(f)上記ナノコンポジット材料の凝縮物を得るために、in situポリマー化反応を開始する工程;および、
(g)前の工程で得られた物質を加工する工程。
【請求項13】
上記工程(a)では、上記層状の粒子の大きさが、D90にて30ミクロン以下の粒子の大きさに減少されることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
上記工程(b)の分級が、D90にて0.1〜100ミクロンの粒子の大きさになるまで行われることを特徴とする、請求項12または13に記載のプロセス。
【請求項15】
上記工程(b)の分級が、D90にて0.1〜25ミクロンの粒子の大きさになるまで行われることを特徴とする、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
上記工程(b)の分級が、D90にて0.1〜3ミクロンの粒子の大きさになるまで行われることを特徴とする、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
上記工程(c)の有機物質の除去が、デカンテーション技術、上澄みを集めること、または、酸化剤を用いる化学反応によって行われることを特徴とする、請求項12〜16の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
上記工程(c)の酸化物結晶および硬い粒子の除去が、遠心分離、溶液中での比重測定、および/またはターボドライヤーによって行われることを特徴とする、請求項12〜16の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
上記工程(c)で得られた層状に形成されたナノ添加物を、前駆体、活性および生物活性を有する物質、またはこれらの組み合わせによって前処理する工程を更に有する、請求項12〜18の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
上記前駆体は、膨張タイプ、互換タイプ、抗菌タイプまたはその混合物であることを特徴とする、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
上記前駆体が、上記層状に形成されたナノ添加物に対して、0.01〜98重量%の量で加えられることを特徴とする、請求項19または20に記載のプロセス。
【請求項22】
上記前駆体が、上記層状に形成されたナノ添加物に対して、1〜60重量%の量で加えられることを特徴とする、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
上記前駆体による層状に形成されたナノ添加物を前処理する工程の後で、乾燥工程が行われることを特徴とする、請求項19〜22の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
上記前駆体による層状に形成されたナノ添加物を前処理する工程の後で、有機物質または混成物質を用いるインターカレーション工程が行われることを特徴とする、請求項19〜23の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項25】
上記有機物質または上記混成物質が、上記層状に形成されたナノ添加物に対して、0.01〜98重量%の量で加えられる、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
上記有機物質または上記混成物質が、上記層状に形成されたナノ添加物に対して、1〜60重量%の量で加えられる、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
上記インターカレーション工程の後に、低分子量の物質を加える工程が行われることを特徴とする、請求項24〜26の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項28】
上記低分子量の物質が、上記層状に形成されたナノ添加物および上記単量体の分散体に対して、80体積%よりも少ない割合で加えられる、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
上記低分子量の物質が、上記層状に形成されたナノ添加物および上記単量体の分散体に対して、12体積%よりも少ない割合で加えられる、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
上記低分子量の物質が、上記クレイおよび上記単量体の分散体に対して、8体積%よりも少ない割合で加えられる、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
上記工程(d)で導入される上記ポリマー化開始剤、触媒またはこれらの混合物が、不飽和な単量体からなる群、または、二つ以上の官能基を有する単量体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12〜30の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項32】
上記工程(d)で導入される上記ポリマー化開始剤、触媒またはこれらの混合物が、溶媒、ナノ添加物および単量体の分散体に対して、0.01〜99.99体積%の量で加えられることを特徴とする、請求項12〜31の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項33】
上記工程(e)の単量体の混合物は、1つまたは数種類の溶媒または分散媒中に、溶解するもしくは分散する、または、溶解しないもしくは分散しないことを特徴とする、請求項12〜32の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項34】
上記工程(e)の単量体が、不飽和の単量体または二つ以上の官能基を有する単量体からなる群から選択され、
上記単量体の少なくとも1つは、好ましくは、エチレン、プロピレン、スチレン、メタクリル酸メチル、ビニル、ラクトンまたはビニレンの単量体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12〜33の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項35】
上記工程(e)の混合物が、合成樹脂に加えられた添加物を含有することを特徴とする、請求項12〜34の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項36】
生成物に対して、保護を強化するために、二酸化チタンまたは他の物質などの固有の電磁放射線に対する障壁特性が加えられることを特徴とする、請求項12〜35の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項37】
加工する工程(g)にて、強化するための添加剤が、電磁放射線に対する障壁特性、耐火性および/または活性および/または生物活性物質を加えることを特徴とする、請求項12〜36の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項38】
上記加工する工程(g)の後で、添加する工程が行われることを特徴とする、請求項12〜37の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項39】
上記ポリマー化反応を開始する工程(f)の後に化学修飾を施す工程が行われて、前の工程で得られたナノコンポジット材料の濃縮物のマトリクスを変質させることを特徴とする、請求項12〜38の何れか1項に記載のプロセス。
【請求項40】
包装用としての合成樹脂、温室フィルム、軍事用および民生用を含む一般的な用途に用いられるコーティング、スプレー、クリームおよび画材としての製品、生物医学用のためのナノバイオ複合材、有効成分および/または生物的有効成分を放出する薬品、溶媒および有機製品の障壁、生分解性または堆肥化性の特徴を必要とするもの、低分子物質を制御放出する必要がある抗菌剤の特徴または他の形態を有する活性容器、抗菌能を必要とするもの、可塑剤の使用を必要としないバイオポリマー、耐火性を有する物質、合成樹脂加工段階で利用するマスターバッチとして利用するための、請求項1〜11の何れか1項に記載のナノコンポジット材料の利用。
【請求項41】
電磁放射線に対する生成物の保護のための、請求項1〜11の何れか1項に記載のナノコンポジット材料の利用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−504671(P2012−504671A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529587(P2011−529587)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070411
【国際公開番号】WO2010/037890
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(510339153)ナノバイオマターズ,エス.エル. (3)
【氏名又は名称原語表記】NANOBIOMATTERS,S.L.
【住所又は居所原語表記】Avda.Louis Pasteur,11,nave 6,E−46980 Paterna(Valencia) Spain
【Fターム(参考)】