説明

電磁波シールド用電解銅箔及びその製造方法

【課題】プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面パネルに使用される電磁波シールド導電性フィルムに適し、その後に行われる黒色化処理に適合する表面処理層を有する電解銅箔及びその製造方法の提供。
【解決手段】銅箔S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜50μg/dmであり、且つ銅箔S面のクロム付着量(Cr(s))と銅箔M面のクロム付着量(Cr(m))の比Cr(s)/Cr(m)が0.5〜1.8である処理面を備えていることを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔。亜鉛を主成分とするバリヤー層メッキ浴2及びクロムを主成分とする防錆層メッキ浴3を用い、銅箔S面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層、及び銅箔M面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層を形成することを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色化処理を必要とするプラズマ ディスプレイ パネル(PDP)の前面パネルに使用される電磁波シールド導電性フィルムに適した表面処理層を有する電磁波シールド用電解銅箔及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ ディスプレイ パネル(PDP)は、Xe(キセノン)などのガスに高電圧を印加して得られるプラズマ放電を利用した表示パネルであるが、その駆動回路に比較的大きなパルス電流が流れるため、同パネルから数十〜数千MHz程度の電磁波が放出される。これらの電磁波は、他の電子機器への好ましくない影響を与えるので、光透過性の導電性フィルムである電磁波シールドがPDPの全面に装着される(非特許文献1参照)。
【0003】
PDPの表面に装着される部材には、当然ながら電磁波の遮蔽性と光の透過性(高透明性)が要求される。このための好適な材料として、エッチング加工により得た銅細線のメッシュを用いた電磁波シールドが使用されている。
この電磁波シールドは、ベースフィルムとして透明なポリエステル(PET)フィルムを使用し、その上に接着剤を介して銅箔を接着し、次にこの銅箔をフォトエッチング工程で微細な格子パターンの金属メッシュ(網目)に加工するものである。
この場合の金属の線幅は、約10μm、ピッチが200〜300μmのメッシュが形成される。この金属メッシュの線幅とピッチによって光透過性と電磁波遮蔽性が決定され、通常光透過率が80%以上、電磁波遮蔽性約45dBの特性が得られる(非特許文献2参照)。
【0004】
PDP用電磁波シールド導電性フィルムのメッシュ部に使用される電解銅箔として、特許文献1−4に示すような銅箔M面に黒色化処理を施した電解銅箔が使用されている。このような銅箔をベースフィルムである透明ポリエステル(PET)フィルムに貼付した後に、金属メッシュ(網目)状に加工することが行われている。下記に示す特許文献4−7も同様である。
【0005】
従来技術を紹介すると、電磁波シールド用銅箔としては、銅箔の少なくとも片面に銅−コバルト、コバルト−ニッケル又は銅−コバルト−ニッケルからなる合金微細粗化粒子層、この粗化粒子層の上にコバルト又はコバルト−ニッケル合金からなる平滑層を設けた電磁波シールドが提案されている。またこの平滑層の上には、さらに防錆処理、シランカップリング剤処理を施すことも提案されている。以上によって、電磁波シールド性と透過率を向上させ、粉落ちのない電磁波シールドを提供するというものである(特許文献4参照)。この技術は、黒色化処理層を備えた銅箔が前提である。
【0006】
また、特許文献5には、銅箔の少なくとも片面に、銅又は銅合金の微細粗化粒子層、この粗化粒子層の上に、コバルト、ニッケル、インジウム又はこれらの合金からなる平滑層を設けた電磁波シールドが提案されている。また、この平滑層の上には、さらに防錆処理、シランカップリング剤処理を施すことも提案されている。これによって、電磁波シールド性、透過率を向上させ、粉落ちのない電磁波シールドを提供するという記載がなされている。この技術は、黒色化処理層を備えた銅箔が前提である。
【0007】
また、特許文献6には、銅箔の少なくとも片面に、銅からなる銅微細粗化粒子層を形成し、この層の上に銅合金の微細粗化粒子層、及びこの粗化粒子層の上に、コバルト、ニッケル、インジウム又はこれらの合金からなる平滑層を設けた電磁波シールドが提案されている。
また、この平滑層の上には、さらに防錆処理、シランカップリング剤処理を施すことも提案されている。これによって、電磁波シールド性、透過率を向上させ、粉落ちのない電磁波シールドを提供するという記載がなされている。この技術は、黒色化処理層を備えた銅箔が前提である。
【0008】
銅箔又は銅合金箔の片面に、銅又は銅合金からなる黒色乃至褐色処理層を設け、この黒色乃至褐色処理層上に、銅、コバルト、ニッケル、インジウム又はこれらの合金からなる平滑層を設けた電磁波シールドが提案されている。これによって、電磁波シールド性、透過率を向上させ、粉落ちのない電磁波シールドを提供するという記載がなされている。この技術は、黒色化処理層を備えた銅箔が前提である。
【0009】
しかしながら、最近はPDP用電磁波シールド導電性フィルムメーカーで、黒化色処理を行うケース増えている。すなわち、ベースフィルムである透明ポリエステル(PET)フィルムに貼付した後に、銅箔をフォトエッチング工程で微細な格子パターンの金属メッシュ(網目)に加工し、その後に、黒色化処理するのである。
このため、銅箔の製造及び表面処理を行う場合に、黒色化していない表面処理層、すなわち、黒色化していない表面処理層を持つことを前提とし、そのための好適な表面処理電解銅箔が求められているのであるが、従来このような観点から表面処理を行った電解銅箔はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】佐々木博友、他5名著,「銀塩方式PDP用電磁波シールドフィルム「シールドレックス」の開発」,FUJIFILM RESARCH & DEVELOPMENT,No.51−2006,P63−66
【非特許文献2】野村宏、他3名著,「PDP用電磁波シールドフィルム」,日立化成テクニカルレポート,No.42(2004−1),P35−38
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−256832号公報
【特許文献2】特開2005−139544号公報
【特許文献3】特開2005−139546号公報
【特許文献4】特開2004−260068号公報
【特許文献5】特開2005−150155号公報
【特許文献6】特開2008−199051号公報
【特許文献7】特開2006−278881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、プラズマ ディスプレイ パネル(PDP)の前面パネルに使用される電磁波シールド導電性フィルムに適した表面処理層を有する電解銅箔及びその製造方法であり、その後に行われる黒色化処理に適合する銅箔の表面処理技術を確立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明者が銅箔上に表面処理を行う条件等について鋭意検討した結果、以下の表面処理層を有する電解銅箔が、ベースフィルムである透明ポリエステル(PET)フィルムに貼付した後に、該銅箔をフォトエッチング工程で微細な格子パターンの金属メッシュ(網目)に加工し、その後に、黒色化処理する電磁波シールド用電解銅箔に有効であることが分かった。
【0014】
以上から、本願発明は、以下の発明を提供する。
1)銅箔S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜50μg/dmであり、且つ銅箔S面のクロム付着量(Cr(s))と銅箔M面のクロム付着量(Cr(m))の比Cr(s)/Cr(m)が0.5〜1.8である処理面を備えていることを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔。
【0015】
2)銅箔S面の亜鉛付着量が60〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜40μg/dmであり、且つ銅箔S面のクロム付着量(Cr(s))と銅箔M面のクロム付着量(Cr(m))の比Cr(s)/Cr(m)が0.7〜1.6である処理面を備えていることを特徴とする上記1)記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【0016】
3)銅箔S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜50μg/dmであり、且つ銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.4〜3.3である処理面を備えていることを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔。
【0017】
4)銅箔S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜40μg/dmであり、且つ銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.5〜1.7である処理面を備えていることを特徴とする上記3)記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【0018】
5)銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.4〜3.3である処理面を備えていることを特徴とする上記1)又は2)記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【0019】
6)銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.5〜1.7である処理面を備えていることを特徴とする上記5)記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【0020】
7)前記電解銅箔のS面に、銅の粗化微粒子層と、該銅の粗化微粒子層の上に、前記処理面が形成されていることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一項に記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【0021】
8)前記電解銅箔のS面に、シランカップリング剤からなる耐酸化処理が施されていることを特徴とする上記1)〜7)のいずれか一項に記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【0022】
9)亜鉛を主成分とするバリヤー層メッキ浴及びクロムを主成分とする防錆層メッキ浴を用い、銅箔S面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層、及び銅箔M面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層を形成することを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔の製造方法。
【0023】
10)亜鉛を主成分とするバリヤー層メッキ浴及びクロムを主成分とする防錆層メッキ浴を用い、銅箔S面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層、及び銅箔M面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層を形成することを特徴とする上記1)〜9)のいずれか一項に記載の電磁波シールド用電解銅箔の製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本願発明は、プラズマ ディスプレイ パネル(PDP)の前面パネルに使用される電磁波シールド導電性フィルムに適した表面処理層を有する電解銅箔及びその製造方法であって、銅箔のS面はPETフィルムとの密着強度に優れると共に、黒色化処理液の耐裏廻り性、耐熱性及び耐候性(耐錆性)を有し、他方銅箔のM面は黒色化処理性、耐熱性及び耐候性(耐錆性)に優れているという大きな効果を有する。
特に、ベースフィルムである透明ポリエステル(PET)フィルムに貼付した後に、該銅箔をフォトエッチング工程で、微細な格子パターンの銅メッシュ(網目)に加工し、その後に黒色化処理し、プラズマ ディスプレイ パネル(PDP)の前面パネルとして使用するという一連の工程において、電解銅箔の腐食と変質(熱による)を抑制し、電磁波シールド用銅メッシュの剥離を防止できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】PETフィルムに電解銅箔を貼り付けて作製したPDPの前面パネル用電磁波シールド用導電性フィルムの断面構造を示す概略説明図である。
【図2】同一のバリヤー層電解浴槽と同一の防錆層電解浴槽を使用して、銅箔のS面とM面のそれぞれに処理を施す工程の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の理解を容易にするため、本発明を具体的かつ詳細に説明する。
この新たな表面処理層を有する電解銅箔に要求される特性としては以下が挙げられる。
M面:黒化処理性、耐熱性、耐候性(耐錆性)
S面:接着剤を介したPETフィルムとの密着性、耐薬品性(黒色化処理裏周り性)、耐熱性、耐候性(耐錆性)
【0027】
一般的には、これらの特性を有する電解銅箔の表面処理として、比較的高濃度のニッケル層を付与する表面処理方法が採用されてきた。しかし、ニッケルの大量使用はコストがかかることから、より安価で汎用的な金属(亜鉛、クロム)を主成分とする代替表面処理技術が望まれる。
PDPの前面パネル用電磁波シールド用導電性フィルムは、図1に示すような構造を持つ。すなわち、ベースフィルムである透明ポリエステル(PET)フィルムに、接着剤(アクリル系、ポリエチレン系等)を介して、電解銅箔のS面側を接着し、この電解銅箔をエッチングによりメッシュ状に加工した後、このメッシュ状に加工したM面側に黒色化処理を行って電磁波シールド用導電性フィルムとするものである。
【0028】
次に、銅箔に要求される性能について説明する。銅箔S面側は、接着剤を介してPETフィルムに貼付されるため、該PETフィルムとの密着強度が要求される。その理由は、エッチング液によるメッシュ加工後の中間製品のハンドリングで、メッシュの剥離・脱落を防止するためである。また、銅箔M面側の黒色化処理の際に、銅箔S面側へ黒色化処理液の裏周り(耐薬品性不良起因)が生じないようにするためである。以上から、銅箔S面のPETフィルムとの密着強度は極めて重要な特性である。
【0029】
一方、銅箔M面側に要求される特性は、黒色化処理性、つまり、黒色化処理を施した後の箔表面の色度である。
銅箔S面側とM面側の両方に要求される特性としては、耐熱性、耐候性(耐錆性)が挙げられる。耐熱性が求められる理由は次の通りである。すなわち、図1に示すように、ベースフィルムである透明ポリエステル(PET)フィルムと電解銅箔を貼り合わせるため、アクリル系、ポリエチレン系等の接着剤が使用されるが、両者貼り合わせ後、接着剤をキュアさせるため、熱処理を行うことがある。したがって、この熱処理による酸化変色を防止するような処理層を銅箔表面に付与する必要がある。
【0030】
また、耐候性が求められる理由は次の通りである。すなわち、銅箔S面と透明ポリエステル(PET)フィルムの貼り合わせ前、また、フォトエッチング工程で微細な格子パターンの金属メッシュ加工前に、銅箔表面が酸化変色してしまうと、銅箔S面のPET密着強度が十分得られない、銅箔M面のフォトレジストの密着性が悪くなり格子パターンの形状が乱れる等の不具合が生じる可能性がある。
また、黒色化処理は、多くの場合エッチング液によるメッシュ加工後に行われるものであり、黒色化処理に至るまでの、電解銅箔は大気中でむき出しの状態である。したがって、酸化に耐えうる処理層を銅箔表面に付与する必要がある。
本願発明の理解を容易にするために、本願の電解銅箔に求められる特性を、表1に示す。
【0031】
【表1】

銅箔S面のPETフィルムとの密着性、銅箔M面の黒色化処理裏廻り性は、表面処理成分の亜鉛が少ない程良好な密着性が維持されるが、同時に要求される耐熱性を保持するためには、逆に亜鉛量を増やす必要がある。然るに、両特性を満足するための亜鉛量の影響は相反し、両特性を満足する最適な亜鉛量が存在する。また、銅箔S面には耐候性(耐錆性)を保持させる必要があり、このためにはクロム量をあるレベル以上にする必要がある。
【0032】
銅箔M面の黒色化処理性は、表面処理成分のクロムが少ないほど良好であるが、同時に要求される耐候性を保持するためには、逆にクロム量を増やす必要がある。然るに、両特性を満足するためのクロム量の影響は相反し、両特性を満足する最適なクロム量が存在する。また、銅箔M面には耐熱性を保持させる必要があり、このためには亜鉛量をあるレベル以上にする必要がある。
なお、銅箔S面のクロム量、銅箔M面の亜鉛量は必要以上に付与しても、それにより発現する効果が飽和され、しかもメッキ薬品の使用が増えて不経済となり、なるべく少なくした方が良いということは容易に理解されるべきことである。
以上のように、銅箔S面とM面に要求される諸特性を満足させるためには、各面の亜鉛とクロムの組成を最適化する必要がある。
【0033】
表面処理実機における、銅箔表面へのバリヤー層、防錆層の形成プロセス(例)は、次の通りである。図2に、バリヤー層及び防錆層を形成する工程の概略説明図を示す。
この図2に示すように、バリヤー層及び防錆層形成のために必要な、それぞれ独立した電解浴槽を設置し、各電解浴槽に銅箔と対面するアノード4、5を配置し、各電解浴槽の内側と外側にガイドロール1を配置し、これらのガイドロール1を介して銅箔を搬送させ、銅箔側(カソード)が−極、アノード側が+極となるように銅箔−アノード間に電流を負荷し、電解浴中に含有する有効な金属イオン成分を銅箔S面、M面に析出させる。
図2において、符号2は、バリヤー層を形成するためのメッキ浴、符号3は、防錆層を形成するためのメッキ浴を、それぞれ示す。
【0034】
バリヤー層電解浴では、電解メッキ法により、銅箔S面とM面に亜鉛を主成分とする金属成分を析出させる。このとき、銅箔表面に析出した亜鉛成分は電解浴中で容易に溶解してしまうため、これを防止すべく、電解槽の出口側で電解メッキを行う。
防錆層電解浴では、銅箔S面とM面にクロムの金属酸化皮膜を形成させる。このクロムの酸化皮膜は、バリヤー層電解浴で形成された亜鉛をクロムで置換することにより形成され、その置換量を浸漬あるいは電気メッキで調節する。電気メッキ法でクロム酸化皮膜を形成させる場合、電解槽の入口側、出口側のいずれか、或いは、両側で行っても良い。
【0035】
電解銅箔に一般的に使用されるベース銅(表面処理前の生銅箔)は、両面の粗度が異なる。具体的には、S面側は製箔ドラム面の転写側であるため、表面粗度が小さく、M面側は銅メッキの結晶成長面であるため表面粗度が大きい。
このため、亜鉛を主成分とするバリヤー層電解浴処理液とクロムを主成分とする防錆層電解浴処理液を使用して、図2に示すような同一電解条件下で銅箔S面とM面に処理を施すと、亜鉛とクロムの付着量に大きな差異が生じる。従って、銅箔S面とM面の亜鉛及びクロムの付着量を所定の範囲に抑えこむには、両面に異なる処理を施す必要がある。
【0036】
我々は、PDP電磁波シールド導電性フィルムを作製する上で必要な上記諸特性を得るために必要な、亜鉛、クロムの成分構成を特定し、これを同一のバリヤー層電解浴、防錆層電解浴を用い、図2で示すように、同一電解槽内で銅箔S面とM面に施すべき処理条件を設定した。
【0037】
以上から、本願発明の電磁波シールド用電解銅箔は、クロム付着量を中心に制御すれば、S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、M面のクロム付着量が25〜50μg/dmであり、且つS面のクロム付着量(Cr(s))とM面のクロム付着量(Cr(m))の比Cr(s)/Cr(m)を0.5〜1.8である処理面とすることが可能となった。
好ましくは、S面の亜鉛付着量が60〜110μg/dm、M面のクロム付着量が25〜40μg/dmであり、且つS面のクロム付着量(Cr(s))とM面のクロム付着量(Cr(m))の比Cr(s)/Cr(m)が0.7〜1.6である処理面とする。
【0038】
他方、本願発明の電磁波シールド用電解銅箔は、亜鉛付着量を中心に制御すれば、S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、M面のクロム付着量が25〜50μg/dmであり、且つM面の亜鉛付着量(Zn(m))とS面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.4〜3.3である処理面とすることができる。好ましくは、S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、M面のクロム付着量が25〜40μg/dmであり、且つM面の亜鉛付着量(Zn(m))とS面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.5〜1.7以下である処理面とする。
【0039】
前記電解銅箔のS面に、銅の粗化微粒子層と、該銅の粗化微粒子層の上に、前記処理面を形成することができる。
すなわち、本願発明の電解銅箔のPETフィルム貼付面 (S面)については、粗化処理を施して、接着強度を高めることができる。例えば、PETフィルムと積層後の銅箔の剥離(ピール)強度を向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面に、例えば銅の「ふしこぶ」状の電着を行う粗化処理が施した電解銅箔をそのまま使用することができる。
【0040】
一般に、ドラム型の電解銅箔の製造装置においては、片側(ドラム側)が光沢面で、反対側が粗面となる。本発明においては、電解銅箔の粗面と光沢面があるが、粗面の場合は、そのまま使用することができる。電解銅箔の光沢面については、さらにピール強度を高めるために、上記の通り、粗化処理を施し粗化面とすることができる。すでに公知の粗化処理を用いることができ、特に制限はない。
【0041】
電磁波シールド用電解銅箔は、前記電解銅箔のS面に、シランカップリング剤からなる耐酸化処理を施すことができる。この条件は、電解銅箔の製造では、周知の処理であるが、前記本願発明の電磁波シールド用電解銅箔においても、同様に適用できるものである。
【0042】
本願発明の電磁波シールド用電解銅箔の製造に際しては、亜鉛を主成分とするバリヤー層メッキ浴及びクロムを主成分とする防錆層メッキ浴を用い、銅箔S面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層、及び銅箔M面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層を形成することができる。これにより、上記に述べた電磁波シールド用電解銅箔を製造することが可能となる。
【0043】
上記の通り、本願発明の電解銅箔のPETと接合するS面側は、電解銅箔のS面に形成した亜鉛を主成分とするバリヤー層(電気めっき)、クロムを主成分とする防錆層(クロメート皮膜層)及び必要に応じてシランカップリング剤から構成することができる。
シランカップリング剤の塗布は、PETフィルムとの初期密着強度を向上させることができる。経時的な密着強度低下を防止することに有効である。
【0044】
クロメート皮膜層は、電解クロメート皮膜層又は浸漬クロメート皮膜層を用いることができる。他方、M面側には、同様に亜鉛を主成分とするバリヤー層(電気めっき)、クロムを主成分とする防錆層(クロメート皮膜層)を形成する。クロメート皮膜層は、電解クロメート皮膜層又は浸漬クロメート皮膜層を用いることができる。
【0045】
亜鉛層は、通常下記の条件で形成する。
(めっき液組成)
Ni:10g/L〜30g/L、 Zn:1g/L〜15g/L、 硫酸(HSO):1g/L〜12g/L、を基本浴とする。
必要に応じて、塩化物イオン:1g/L〜5g/Lを添加する。
(電流密度) 3〜40A/dm2
【0046】
次に、クロメート処理であるが、このクロメート皮膜層の作製には、電解クロメート処理、浸漬クロメート処理およびクロメート浴中に亜鉛を含んだ亜鉛クロメート処理のいずれも適用することが可能である。
いずれの場合においても、クロム付着重量が30μg/dm未満では、耐酸性と耐熱性を増す効果が少ないので、クロム付着重量は30μg/dm以上とする。また、クロム付着重量が100μg/dmを超えるとクロメート処理の効果が飽和してこれ以上クロム付着重量が増えなくなる。これらを総合すると、クロメート処理層中単位面積あたりのクロム付着重量は30〜100μg/dmであることが望ましいと言える。
【0047】
前記クロメート皮膜層を形成するための条件の例を、以下に記載する。しかし、上記の通り、この条件に限定される必要はなく、すでに公知のクロメート処理はいずれも使用できる。
一般に、浸漬クロメート処理の場合は、単位面積あたりのクロム付着重量30〜40μg/dmを達成できる。また電解クロメート処理の場合は、単位面積あたりのクロム付着重量30〜100μg/dmを達成できる。
この防錆処理は、銅箔の耐酸性と耐熱性に影響を与える因子の一つであり、クロメート処理により、銅箔の耐薬品性と耐熱性はより向上するので有効である。
【0048】
(a) 浸漬クロメート処理の一例
CrOまたはKCr:1〜12g/L、Zn(OH)またはZnSO・7HO :0〜10g/L、NaSO :0〜20g/L、pH 2.5〜12.5、温 度:20〜60°C、時間:0.5〜20秒
(b) 電解クロメート処理の一例
CrOまたはKCr:1〜12g/L、Zn(OH)またはZnSO・7HO :0〜10g/L、NaSO :0〜20g/L、pH 2.5〜12.5、温 度:20〜60°C、電流密度0.5〜5A/dm、時間:0.5〜20秒
【0049】
本発明の印刷回路基板用銅箔に使用するシランカップリング剤としては、少なくともテトラアルコキシシランと、樹脂との反応性を有する官能基を備えたアルコキシシランを1種以上含んでいることが望ましい。このシランカップリング剤の選択も任意ではあるが、樹脂との接着性を考慮した選択が望ましい。
【0050】
(電解銅箔とPETフィルムとのラミネート方法)
本願の電解銅箔とPETフィルムとのラミネート方法は次の通りである。
(接着剤)
接着剤は、東洋モートン(株) 製:2液混合型接着剤(主材AD -76P1/ 硬化剤TCS-4277)、 酢酸エチルを使用。
混合比は、AD−76P1:TCS−4277希釈溶剤:酢酸エチル=7.5:1:6.5とし、2液混合型接着剤を混ぜ合わせ後、酢酸エチルを少しずつ加えて希釈する。
【0051】
(接着剤塗布)
凹凸の無い平面板上の厚み100μmのペットフィルムに、厚み25μmになるよう接着剤を均一に塗布する。次に、塗布したペットフィルムを90°Cのオーブンで、約3分間加熱させ、溶剤を揮発させる。なお、使用する電解銅箔の表面処理層の安定性を考慮し、製作後5日を経過した後、接着剤の塗布を行った。
(ラミネート法)
銅箔のドラム面とペットフィルムの接着剤塗布面を、ゴムローラーを押しながら圧着させる。
(熱硬化法)100°C、10時間加熱し、接着剤を加速的に硬化させる。
【0052】
(ピール測定)
本願発明のピール強度の測定は、次のように行う。
1)サンプルを15mm幅、長さ20cmのサイズに切り出す。
2)銅箔側にテープを貼り付ける(ピールできるよう、銅箔を補強する)。
3)数センチ手でピールする。
4)引っ張り試験機にピールしたペットフィルムと、テープつき銅箔を上下にセットし、180度ピールを測定する。(測定条件:速度50mm/min 、単位葉N/15mm)
【0053】
(黒化処理の方法と評価方法)
(前処理)
防錆層をある程度除去するため、12%塩酸(液温50°C)に1min浸漬させる。
(黒化処理)
亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、燐酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中、95 °Cで 2分間処理し、金属の表面を酸化( 黒化) させて黒色の酸化皮膜を形成する。
(黒化処理性評価)
目視により、黒化処理の色調・ムラの有無を確認する。
【実施例】
【0054】
次に、実施例及び比較例について説明する。その結果を、以下の各表に示す。なお、本実施例は好適な一例を示すもので、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。したがって、本発明の技術思想に含まれる変形、他の実施例又は態様は、全て本発明に含まれる。
なお、本発明との対比のために、比較例を掲載した。
【0055】
(実施例1)
厚さ11μmの電解銅箔に、亜鉛を主成分とするバリヤー層形成用電気メッキ浴及びクロムを主成分とする防錆層形成用メッキ浴を用い、電解銅箔のS面側とM面側に、亜鉛層とクロム層を形成した。
メッキ条件は、次の通りである。
バリヤー層形成用メッキ条件
Zn:15〜20g/L、Ni:3.6g/L〜5.6g/L、pH:2.8〜3.4(HSO、NaOHで調整)、温度:36〜44°C
S面のメッキ電気量:0.45 As/dm、M面のメッキ電気量:0.55As/dm
Znの供給源としてZnSO・7HO(67〜86g/L)を使用、Niの供給源としてNiSO・6HO(17〜27g/L)を使用
防錆層形成用メッキ条件
CrO:2.3〜2.7g/L、Zn:0.35g/L〜0.45g/L、NaSO:8.0〜12.0g/L、温度:51〜57°C
pH:4.60〜5.0(HSO、NaOHで調整)
S面のメッキ電気量:0.80 As/dm、M面のメッキ電気量:0.18As/dm
【0056】
表2に示すように、銅箔S面の亜鉛層を形成する電流条件(単位面積当りの電気量)を0.45As/dmとし、防錆層を形成する電流条件を0.55As/dmとした。これにより、銅箔S面の亜鉛量は35μg/dmであり、クロム量は27μg/dmとなった。
また、銅箔M面の亜鉛層を形成する電流条件を0.80A/dmとし、防錆層を形成する電流条件を0.18A/dmとした。これにより、銅箔M面の亜鉛量は40μg/dmであり、クロム量は40μg/dmとなった。
【0057】
上記により、Cr(s)/Cr(m)は0.7、Zn(s)/Zn(m)は1.1となった。また、銅箔S面の粗さは、Raが0.22μm、Rzが1.7μm、PET密着強度は8.6N/15mm、銅箔M面の粗さは、Raが0.4μm、Rzが2.6μmとなった。厚みは10.5μmであった。
【0058】
【表2】

【0059】
(実施例2〜7)
実施例1に準じ、実施例2〜7では、S面のメッキ電気量、M面のメッキ電気量のみを下記の範囲で振り、電解銅箔のS面側とM面側に、亜鉛層とクロム層を形成した。メッキ電気量以外の条件は全て実施例1の範囲とした。
亜鉛層条件(S面、M面)、防錆層条件(S面、M面)、亜鉛量(S面、M面)、クロム量(S面、M面)、銅箔S面のPET密着強度、Cr(s)/Cr(m)、Zn(s)/Zn(m)、S面粗さ(Ra,Rz)、M面粗さ(Ra,Rz)、厚み(μm)を、実施例1と同様に、表2に示す。
(バリヤー層形成用メッキ条件)
S面のメッキ電気量:0.45〜0.90 As/dm、M面のメッキ電気量:0.55〜0.95As/dm
防錆層形成用メッキ条件
S面のメッキ電気量:0.80〜1.00 As/dm、M面のメッキ電気量:0.00〜0.18As/dm
【0060】
上記実施例1〜7で得られた電解銅箔のS面のPET密着強度、耐熱性、耐候性、M面の黒化処理性、耐熱性、耐候性は、表3に示すように、いずれも良好であった。ここで、S面の密着強度については、6.0N/15mm以上を「良好」とみなした。
【0061】
【表3】

【0062】
(比較例1〜5)
次に、比較例として、S面のメッキ電気量、M面のメッキ電気量のみを下記の範囲で振り、電解銅箔のS面側とM面側に、亜鉛層とクロム層を形成した。メッキ電気量以外の条件は全て実施例1の範囲とした。亜鉛層条件(S面、M面)、防錆層条件(S面、M面)、亜鉛量(S面、M面)、クロム量(S面、M面)、銅箔S面のPET密着強度、Cr(s)/Cr(m)、Zn(s)/Zn(m)、S面粗さ(Ra,Rz)、M面粗さ(Ra,Rz)、厚み(μm)を、実施例1と同様に、表2に示す。
(バリヤー層形成用メッキ条件)
S面のメッキ電気量:0.00〜1.32 As/dm2、M面のメッキ電気量:0.00〜1.30As/dm2
防錆層形成用メッキ条件
S面のメッキ電気量:0.00〜5.46 As/dm2、M面のメッキ電気量:0.00〜0.75As/dm2
【0063】
比較例1〜5で得られた電解銅箔のS面のPET密着強度、耐熱性、耐候性、M面の黒化処理性、耐熱性、耐候性を表3に併記した。比較例1〜5においては、銅箔S面、M面に要求される全ての特性を同時に満足することはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本願発明は、プラズマ ディスプレイ パネル(PDP)の前面パネルに使用される電磁波シールド導電性フィルムに適した表面処理層を有する電解銅箔及びその製造方法であって、銅箔のS面はPETフィルムとの密着強度に優れると共に、黒色化処理液の耐裏廻り性、耐熱性及び耐候性(耐錆性)を有し、他方銅箔のM面は黒色化処理性、耐熱性及び耐候性(耐錆性)に優れているという大きな効果を有する。特に、ベースフィルムである透明ポリエステル(PET)フィルムに貼付した後に、該銅箔をフォトエッチング工程で、微細な格子パターンの銅メッシュ(網目)に加工し、その後に黒色化処理し、プラズマ ディスプレイ パネル(PDP)の前面パネルとして使用するという一連の工程において、電解銅箔の腐食と変質(熱による)を抑制し、電磁波シールド用銅メッシュの剥離を防止できるという優れた効果を有する。したがって、プラズマ ディスプレイ パネル(PDP)の前面パネルに使用される電磁波シールド導電性フィルムに適した表面処理層を有する電磁波シールド用電解銅箔として有用である。
【符号の説明】
【0065】
1:ガイドロール
2:バイヤー層メッキ浴
3:防錆層メッキ浴
4:銅箔S面に、所定の成分を析出させるための電解用アノード
5:銅箔M面に、所定の成分を析出させるための電解用アノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜50μg/dmであり、且つ銅箔S面のクロム付着量(Cr(s))と銅箔M面のクロム付着量(Cr(m))の比Cr(s)/Cr(m)が0.5〜1.8である処理面を備えていることを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項2】
銅箔S面の亜鉛付着量が60〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜40μg/dmであり、且つ銅箔S面のクロム付着量(Cr(s))と銅箔M面のクロム付着量(Cr(m))の比Cr(s)/Cr(m)が0.7〜1.6である処理面を備えていることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項3】
銅箔S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜50μg/dmであり、且つ銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.4〜3.3である処理面を備えていることを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項4】
銅箔S面の亜鉛付着量が30〜110μg/dm、銅箔M面のクロム付着量が25〜40μg/dmであり、且つ銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.5〜1.7である処理面を備えていることを特徴とする請求項3記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項5】
銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.4〜3.3である処理面を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項6】
銅箔M面の亜鉛付着量(Zn(m))と銅箔S面の亜鉛付着量(Zn(s))の比Zn(m)/Zn(s)が0.5〜1.7である処理面を備えていることを特徴とする請求項5記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項7】
前記電解銅箔のS面に、銅の粗化微粒子層と、該銅の粗化微粒子層の上に、前記処理面が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項8】
前記電解銅箔のS面に、シランカップリング剤からなる耐酸化処理が施されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁波シールド用電解銅箔。
【請求項9】
亜鉛を主成分とするバリヤー層メッキ浴及びクロムを主成分とする防錆層メッキ浴を用い、銅箔S面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層、及び銅箔M面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層を形成することを特徴とする電磁波シールド用電解銅箔の製造方法。
【請求項10】
亜鉛を主成分とするバリヤー層メッキ浴及びクロムを主成分とする防錆層メッキ浴を用い、銅箔S面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層、及び銅箔M面側に電気メッキによる亜鉛層と電気メッキ又は浸漬クロメートによるクロム層を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電磁波シールド用電解銅箔の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−184498(P2012−184498A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−284625(P2011−284625)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(502362758)JX日鉱日石金属株式会社 (482)
【Fターム(参考)】