説明

電磁波パルス測定装置

【課題】電磁波パルスを利用して取得される試料の情報の画像化を、効率良く行う技術を提供する。
【解決手段】テラヘルツ波測定装置100は、照射部12を試料Wに対して相対的に移動させる移動機構15と、検出部13に入射するプローブ光LP12の光路長が互いに相違する第1の測定用光路長、第2の測定用光路長および第3の測定用光路長のそれぞれに設定されるように遅延部14を制御する制御部17を備えている。また、テラヘルツ波測定装置100は、検出部13にて検出された電界強度を、RGBの階調特性を示す階調データに変換するデータ変換部25と、検出部13にて検出される電界強度に関する情報が前記階調データに応じた色調で表現された画像を生成する画像生成部26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料の情報をイメージングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁波の一種であるテラヘルツ波を用いて、試料の情報を画像化するイメージングに関する研究がなされている。テラヘルツ波は、電波と光の両方の性質を備えており、その透過性の高さや安全性の面で産業応用が期待されている(非特許文献1)。
【0003】
テラヘルツ波を使ったイメージングに関しては、いくつかの手法が知られている。1つは、テラヘルツ時間領域分光法(THz−TDS)を利用するイメージングである。このイメージングでは、THz−TDSにより、試料の各位置についての周波数スペクトルがそれぞれ取得される。そして、試料の位置情報と、各位置に対応する周波数スペクトルの情報とが関連付けられた画像が生成される。
【0004】
また、テラヘルツカメラを用いたイメージングも提案されている。このイメージングでは、テラヘルツ波を、二次元平面状に並べられた撮像素子によって検出することでイメージデータが取得される(非特許文献2)。
【0005】
テラヘルツ波を用いた試料の解析において、高解像度が要求される場合、THz−TDSによって周波数スペクトルを取得する必要がある。テラヘルツ波に関する情報を画像化してディスプレーに表示する場合、テラヘルツ波に関する情報を人間が観察しやすい(視認しやすい)情報に変換する必要がある。ここで、人間の目は可視光に感度を有するため、いわゆる光の3原色のデータに変換することが有効である。しかしながら、THz−TDSで得られる周波数スペクトルは、周波数空間が数テラヘルツ〜数10テラヘルツに及ぶN次元の多次元ベクトル空間で表現される。したがって、周波数スペクトルの情報を3原色で表す三次元空間に変換するには工夫を要する。
【0006】
周波数スペクトルを三次元データに変換する1つの手法として、非特許文献3では、最も分散が大きい方向に第1主成分軸、2番目に分散が大きい方向に第2主成分軸、3番目に分散が大きい方向に第3主成分軸を再定義し、分散が大きいベクトルを軸にして画像化している。この場合、画像上での輝度差が大きくなり、人間にとって識別しやすい画像を取得することができる。
【0007】
また、その他の手法として、非特許文献4では、2〜13テラヘルツのデータを周波数に関して三分割し、それぞれの周波数帯毎に強度を平均化してカラー化している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】斗内政吉、「テラヘルツ波技術の現状と展望」、応用物理、第75巻、第2号(2006)、p.160
【非特許文献2】門勇一、「テラヘルツ波で安全を守る」、応用物理、第80巻、第1号(2011)、p.11
【非特許文献3】保科宏道ら、「ケモメトリクスを用いたテラヘルツ分光イメージデータ解析と肝癌組織への適用」、[online]、[平成23年7月20日検索]、インターネット<URL : http://www.riken.jp/ExtremePhotonics/TH_imaging/No.12.pdf>
【非特許文献4】福永香「テラヘルツ分光による文化財非破壊調査」、情報通信研究機構季報、第54巻、第1号(2008)、p.57
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、THz−TDSによるイメージングを行う場合、テラヘルツ波パルスの復元、フーリエ変換処理および統計処理などを経て画像化が行われる。このため、試料の広い領域についてTHz−TDSを行う場合、測定に非常に多くの時間を要するという問題があった。このため、試料の情報を、効率良く画像化する技術が要求されている。
【0010】
そこで、本発明は、電磁波パルスを利用して取得される試料の情報の画像化を、効率良く行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、試料を透過または反射した電磁波パルスを測定する電磁波パルス測定装置において、レーザ光源から出射されたパルス光を受光して、電磁波パルスを試料に照射する照射部と、前記試料を透過または反射した電磁波パルスを、前記パルス光の照射に応じて検出する検出部と、前記レーザ光源から前記照射部までの前記パルス光の第1光路、または、前記レーザ光源から前記検出部までの前記パルス光の第2光路の光路長を変更する光路長変更部と、前記照射部を前記試料に対して相対的に移動させる相対移動機構と、前記光路長が互いに相違する第1の測定用光路長、第2の測定用光路長および第3の測定用光路長のそれぞれに設定されるように前記光路長変更部を制御する制御部と、前記光路長が前記第1から第3の測定用光路長のそれぞれに設定されているときに前記検出部にて検出される電界強度を、3つの特定色の階調特性を示す階調データにそれぞれ変換する変換部と、前記電界強度に関する情報が前記階調データに応じた色調で表現される画像を生成する画像生成部とを備える。
【0012】
また、第2の態様は、第1の態様に係る電磁波パルス測定装置において、前記3つの特定色が、赤、緑および青である。
【0013】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係る電磁波パルス測定装置において、前記第1の測定用光路長は、前記試料の特定位置を透過または反射した前記電磁波パルスが略ピークとなるピーク時の前記光路長とされる。
【0014】
また、第4の態様は、第3の態様に係る電磁波パルス測定装置において、前記電磁波パルスの電界強度が最大の半値となるときのパルス半値幅を取得するパルス半値幅取得部と、前記パルス半値幅に対応する前記光路長の光路差を取得する光路差取得部とをさらに備え、前記第2および第3の測定用光路長が、前記ピーク時の前記光路長に前記光路差を加算した光路長、または、前記ピーク時の前記光路長から前記光路差を減算した光路長とされる。
【0015】
また、第5の態様は、第1から第4の態様までのいずれか1態様に係る電磁波パルス測定装置において、前記電磁波パルス波が、周波数が0.01THz以上100THz以下のテラヘルツ波パルスを含む。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る電磁波パルス測定装置によると、光路長が3つの測定用光路長に設定された状態で、電界強度が検出されて画像化される。したがって、イメージングに必要な測定時間を短くすることができるため、効率良くイメージング用の画像を生成することができる。
【0017】
また、第2の態様に係る電磁波パルス測定装置によると、検出された電界強度を人にとって識別しやすい色で表現することができる。したがって、生成された画像から電界強度を適切に把握することができる。
【0018】
また、第3の態様に係る電磁波パルス測定装置によると、光路長を第1の測定用光路長に固定して、試料の様々な位置に電磁波パルスを照射したとき、試料の特定位置とその他の位置とで物性が大きく異ならない限り、試料を透過または反射した電磁波パルス自体の電界強度を有効に検出することができる。
【0019】
また、第4の態様に係る電磁波パルス測定装置によると、試料の特定位置に電磁波パルスを照射したときに検出される電界強度が略ピークとなるときと、パルス半値幅分早いタイミングまたは遅いタイミングで電界強度が検出されることとなる。したがって、試料の特定位置とその他の位置とで物性が大きく異ならない限り、試料を透過または反射する電磁波パルス自体の電界強度を有効に検出することができる。
【0020】
また、第5の態様に係る電磁波パルス測定装置によると、テラヘルツ波パルスを用いて試料の物性測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係るテラヘルツ波測定装置の構成を示す図である。
【図2】参照波を解析するときの流れ図である。
【図3】THz−TDSにより復元された参照波の時間波形の一例を示す図である。
【図4】試料についてイメージングが行われるときの流れ図である。
【図5】試料についてイメージングが行われるときの流れ図である。
【図6】試料についてイメージングが行われるときの流れ図である。
【図7】図4に示すステップS203において復元された透過波の時間波形の一例を示す図である。
【図8】テラヘルツ波の検出タイミング、測定用光路長、および、反射ミラーの位置の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0023】
<1. 実施形態>
<1.1. テラヘルツ波測定装置100の構成および機能>
図1は、実施形態に係るテラヘルツ波測定装置100の構成を示す図である。テラヘルツ波測定装置100(電磁波パルス測定装置)は、テラヘルツ波パルス(以下、単にテラヘルツ波とも称する。)を利用した、テラヘルツ時間領域分光法(THz−TDS)により、試料Wについてイメージングを行うための装置である。ここで、テラヘルツ波は、0.01THz以上100THz以下(特に0.1THz以上30THz以下)の任意の周波数帯の成分を有する電磁波をいう。また測定対象である試料Wは、半導体ウェハ、表示装置用パネル、または太陽電池パネルなどの各種基板などが想定される。ただし、これら以外の各種人工物もしくは各種自然物を試料Wとしてもよい。
【0024】
図1に示したように、テラヘルツ波測定装置100は、レーザ光源11、照射部12、検出部13、遅延部14、移動機構15および制御部17を備えている。
【0025】
レーザ光源11は、パルス光(パルス光LP1)を放射する。レーザ光源11としては、例えば、フェムト秒パルスレーザが用いられる。パルス光は、例えば、中心波長が近赤外領域のうちの780〜830nm程度、周期が数kHzから数百MHz、パルス幅が、数十〜数百fsec(例えば10〜150fsec)程度の直線偏光のパルス光とされる。フェムト秒ファイバーレーザが用いられる場合、波長は1〜1.5μm程度とされる。
【0026】
パルス光LP1は、ビームスプリッタB1により2つに分割される。分割されたパルス光LP1のうちの一方は、ミラーM1を経由してポンプ光(ポンプ光LP11)として照射部12に入射する。照射部12は、光スイッチ素子を備えている。該光スイッチ素子にポンプ光LP11が照射されることにより、テラヘルツ波(テラヘルツ波LT1)が発生する。つまり、照射部12は、テラヘルツ波の発生部として機能する。発生したテラヘルツ波は曲面鏡M2,M3で構成される光学系によって集光され、試料Wに照射される。つまり、照射部12は、ポンプ光LP11の照射に応じて、試料Wに向けてテラヘルツ波を照射する。試料Wを透過したテラヘルツ波は、曲面鏡M4,M5で構成される光学系によって集光され、検出部13に入射する。
【0027】
ビームスプリッタB1により分割されたパルス光LP1のうちの他方は、プローブ光(プローブ光LP12)として遅延部14およびミラーM6,M7を経由し、検出部13に入射する。検出部13は、光スイッチ素子を備えている。光スイッチ素子に試料Wを透過したテラヘルツ波が照射された状態で、プローブ光LP12が光スイッチ素子に照射されると、光スイッチ素子に瞬間的にテラヘルツ波の電場強度に応じた電流が生じる。この電場強度に応じた電流は、I/V変換回路、A/D変換回路などを介してデジタル量に変換される。このようにして、検出部13は、プローブ光の照射(受光)に応じて、試料Wを透過したテラヘルツ波の電場強度を検出する。なお、本実施形態では、照射部12または検出部13において光スイッチ素子を利用しているが、その他の素子、例えば非線形光学結晶を利用することもできる。
【0028】
遅延部14は、ビームスプリッタB1から検出部13までのプローブ光LP12の到達時間を連続的に変更するための光学素子である。遅延部14は、プローブ光LP12をその入射方向に向けて折り返させる反射ミラー14Mと、該反射ミラー14Mをプローブ光LP12の入射方向に沿って移動させる移動ステージ141とを備えている。遅延部14は、制御部17の制御に基づいて移動ステージ141を駆動して反射ミラー14Mを直線的に移動させることにより、プローブ光の光路長を精密に変更する。これにより、遅延部14は、テラヘルツ波が検出部13に到達する時間と、プローブ光LP12が検出部13へ到達する時間との時間差を変更する。遅延部14を駆動して、プローブ光LP12の光路長(レーザ光源11から検出部13までの第2光路の光路長)を変更するによって、検出部13がテラヘルツ波の電界強度を検出するタイミング(検出タイミング、または、サンプリングタイミング)を遅延させることができる。以上のように、本実施形態においては、遅延部14が光路長変更部を構成している。
【0029】
具体的に、例えば反射ミラー14MをビームスプリッタB1から15μm遠ざけた場合、プローブ光LP12の光路長は往復分である30μm延長されることとなる。光路長が30μm延長された場合、プローブ光LP12が検出部13に到達する時間は、光速cを秒速3.0x108mとすると、100fsecだけ遅延されることとなる。
【0030】
なお、遅延部14は、その他の方法でテラヘルツ波とプローブ光LP12の検出部13への到達時間を変更するようにしてもよい。例えば、電気光学効果を利用してもよい。すなわち、印加する電圧を変化させることで屈折率が変化する電気光学素子を、遅延素子として用いてもよい。具体的には、特開2009-175127号公報に開示されている電気光学素子を利用してもよい。
【0031】
また、本実施形態では、プローブ光LP12の光路長を変更させているが、ポンプ光LP11の光路長(レーザ光源11から照射部12までの第1光路の光路長)を変更するようにしてもよい。このような場合においても、検出部13が照射部12から出射されたテラヘルツ波を検出するタイミングを任意に遅延させることができる。
【0032】
移動機構15は、図示を省略するX−Yテーブルを備えている。移動機構15は、このX−Yテーブルにより、試料Wを保持した状態で、照射部12に対して試料Wを相対移動させる。テラヘルツ波測定装置100は、移動機構15により、試料Wを二次元平面内で任意の位置に移動させる。これにより、テラヘルツ波測定装置100は、試料Wの広い範囲にテラヘルツ波を照射することができる。
【0033】
なお、移動機構15の駆動機構は、X−Yテーブルに限定されるものではなく、試料Wを二次元平面上において移動させることができるのであれば、どのように構成されていてもよい。また、移動機構15は、オペレーターが手動で操作することにより、試料Wを移動させることができるように構成されていてもよい。また、試料Wを移動させる代わりに、または、試料Wを移動させるとともに、照射部12、曲面鏡M2〜M5および検出部13などを二次元平面内で移動できるようにしてもよい。これらの場合においても、試料Wの広い範囲について、テラヘルツ波を照射することが可能となる。
【0034】
制御部17は、CPUおよびRAMなど備えた一般的なコンピュータとして構成されている。制御部17は、レーザ光源11、照射部12、検出部13、遅延部14、移動機構15に接続されており、これらの要素の動作を制御したり、これらの要素からデータを受け取ったりする。具体的に、制御部17は、検出部13からテラヘルツ波の電界強度に関するデータを受け取る。また、制御部17は、遅延部14の移動ステージに対して移動を指示したり、移動ステージに設けられたリニアスケールなどから移動距離などの反射ミラー14Mの位置に関するデータを受け取ったりする。
【0035】
また、テラヘルツ波測定装置100は、パルス復元部21、パルス半値幅取得部22、光路差取得部23、ミラー位置設定部24、データ変換部25および画像生成部26とを備えている。これらの各要素は、制御部17に接続されている。
【0036】
パルス復元部21は、検出部13において検出される電場強度から、パルス波形を復元する。詳細には、制御部17が遅延部14(光路長変更部)を制御することによって、相互に異なる複数の検出タイミングにて、電場強度が検出部13により検出される。そして、取得されたデータが制御部17に送られた後、パルス復元部21にて時間波形が構築される。パルス復元部21によって復元される時間波形の詳細については後述する。
【0037】
パルス半値幅取得部22は、電磁波パルスの電界強度が最大の半値となるときのパルス半値幅を取得する。ここでパルス半値幅とは、テラヘルツ波パルスの電界強度が最大となる時の前後において、その電界強度の最大値の半分の値が検出されるときの2つの時間の時間差をいう。パルス半値幅の具体例については、後述する。
【0038】
光路差取得部23は、パルス半値幅取得部22によって取得されたパルス半値幅に相当する光路差を取得する。具体的に、光路差取得部23は、パルス半値幅(遅延時間)に相当する光路差を演算により取得する。例えば、パルス半値幅が200fsecである場合、このパルス半値幅は、光速を3.0×108m/secとして、60μm(=3.0×108(m/sec)×200(fsec))のプローブ光LP12の光路差に相当する。
【0039】
ミラー位置設定部24は、測定時に反射ミラー14Mを配置する位置を設定する。本実施形態では、後述するように、プローブ光の光路長が、3つの測定用光路長(第1〜第3の測定用光路長)に設定された状態で、試料Wにテラヘルツ波が照射される。この3つの測定用光路長は、後述するように、基準となるテラヘルツ波の電界強度がピーク(最大)となるときのピーク時光路長と、光路差取得部23によって算出された光路差とに基づいて決定される。
【0040】
データ変換部25は、検出部13にて検出された電界強度を、特定色の階調特性を示す多階調データに変換する。具体的に、本実施形態では、プローブ光LP12の光路長が3つの測定用光路長のそれぞれに設定された状態で、試料Wの各位置にテラヘルツ波が照射される。このため、各位置毎に、3つの電界強度が取得されることとなる。データ変換部25は、この3つの電界強度のそれぞれを、JIS慣用色名で赤(R)、緑(G)または青(B)の濃淡度を示す階調データに変換する。階調データにおいては、RGBのそれぞれの濃淡度が、例えば、256階調(=8ビット)で表現される。ただし、256階調に限定されるものではなく、それ以外の複数の階調で特定色の濃淡度が表現されてもよい。
【0041】
画像生成部26は、試料Wの各位置に対応する部分の電界強度を、階調データに対応した色で表現したイメージング用の画像を生成する。このイメージング用の画像においては、電界強度に対応する3つの色(RGB)の色調が合成された合成色で表現される。また、各画素位置は試料W上の位置に対応する。したがって、イメージング用の画像は、各画素毎に、試料Wに対応する位置情報と、その位置で検出された電界強度とが表現した画像となっている。画像生成部26において生成された画像は、表示部33に適宜表示される。
【0042】
また、図1に示したように、制御部17には、記憶部31、入力部32、および、各種画像を表示する表示部33が接続されている。記憶部31は、ハードディスクなどの記憶媒体で構成されており、各種データを保存することができる。入力部32は、操作者が各種データをテラヘルツ波測定装置100に対して入力するために操作するマウス、キーボードなどの入力デバイスで構成されている。また、表示部33は液晶パネルなどで構成される。なお、表示部33をタッチパネルで構成することによって、表示部33が入力部32の機能の一部または全部を備えていてもよい。以上がテラヘルツ波測定装置100の構成についての説明である。次に、テラヘルツ波測定装置100を用いたイメージングについて説明する。
【0043】
<1.2.テラヘルツ波測定装置100を用いたイメージング>
図2は、参照波を解析するときの流れ図である。なお、以下の説明においては、特に断らない限り、制御部17の制御に基づいてテラヘルツ波測定装置100が動作するものとする。
【0044】
参照波とは、照射部12から出射されるテラヘルツ波である。後述するように、この参照波を解析することによって、パルス半値幅が取得される。なお、パルス半値幅がすでに既知である場合は、参照波の解析は省略することもできる。
【0045】
参照波の解析が行われる場合、移動機構15のX−Yテーブルには、試料Wなどが設置されていない状態(つまり、何もない状態)で、THz−TDSが行われる(ステップS11)。具体的には、反射ミラー14Mを移動させることで、プローブ光LP12が検出部13に到達するタイミングを変更しながら、検出部13によりテラヘルツ波の電界強度が取得される。そして、取得された電界強度に基づいて、パルス復元部21によりテラヘルツ波(参照波)の波形(時間波形)の復元が行われる。そして、パルス半値幅取得部22により、復元されたテラヘルツ波(参照波)の時間波形からパルス半値幅WHMが取得される(ステップS12)。このパルス半値幅WHMを取得する手法について、図3を参照しつつ説明する。
【0046】
図3は、THz−TDSにより復元された参照波の時間波形41の一例を示す図である。図3中、横軸は時間を示しており、縦軸は電界強度を示している。時間波形41は、各タイミングで検出部13にて検出される電界強度を時間軸に沿ってプロットすることによって復元される。ここで、参照波の電界強度の最大値をE0、そのときの時間をt10とする。すると、パルス半値幅WHMは、最大値E0となるタイミングt10の前後の時間であって、電界強度が最大値E0の半値(E0/2)となる2つのタイミングの時間差(または期間)に相当する。したがって、図3に示した例では、タイミングt11とタイミングt12との時間差(=t12−t11)が、パルス半値幅WHMとなる。次に、このパルス半値幅WHMを使って、試料Wのイメージングが行われる。
【0047】
図4、図5および図6は、試料Wについてイメージングが行われるときの流れ図である。試料Wのイメージングを行うため、移動機構15のX−Yテーブルに試料Wが固定される(ステップS201)。そして移動機構15を駆動することにより、試料Wを所要位置に移動させる(ステップS202)。このときの試料Wの位置は、任意に設定されるものである。そして、THz−TDSが実行され、試料Wを透過するテラヘルツ波(透過波)の時間波形が復元される(ステップS203)。
【0048】
次に、ミラー位置設定部24により、反射ミラー14Mを固定する位置が決定される(ステップS204)。上述したように、本実施形態では、プローブ光LP12の光路長が。3つの測定用光路長にそれぞれ設定された状態で、テラヘルツ波の検出が行われる。ステップS204では、その3つの測定用光路長が具体的に設定される。3つの測定用光路長の設定方法について、図7および図8を参照しつつ説明する。
【0049】
図7は、図4に示すステップS203において復元された透過波の時間波形43の一例を示す図である。図7中、横軸は時間を示しており、縦軸は電界強度を示している。また、図8は、テラヘルツ波の検出タイミング、測定用光路長、および、反射ミラー14Mの位置の関係を説明するための図である。
【0050】
図7に示した透過波の時間波形43においては、タイミングt20において、電界強度が略ピーク(=E20)となっている。この電界強度の略ピークが検出されるときに対応するピーク時光路長L20が、テラヘルツ波を検出するときの3つの測定用光路長(第1の測定用光路長)に設定される。また、図8中、下段に示したように、反射ミラー14Mの位置が位置Z20に配置されることで、プローブ光LP12の光路長がピーク時光路長L20に設定される。
【0051】
また、3つの測定用光路長のうちの残りの2つは、ステップS203にて復元される透過波の電界強度が略ピークとなるとき(タイミングt20)よりもパルス半値幅WHM分早いタイミングt21と、パルス半値幅WHM分遅いタイミングt22とのそれぞれに対応する光路長L21(第2の測定用光路長)および光路長L22(第3の測定用光路長)とされる。パルス半値幅WHM分に相当する光路長の差(光路差ΔL)は、光路差取得部23によって取得される。具体的に、光路差ΔLは、光速をcとすると、以下の式で表させる。
【0052】
ΔL=c×WHM
【0053】
そして、光路長L20から光路差ΔLを減算した値が、光路長L21となる。また、光路長L21から光路差ΔLを加算した値が、光路長L22となる。そして、図8中、下段に示したように、反射ミラー14Mを位置Z20からプローブ光LP12の入射方向とは反対方向へΔZ分移動させた位置Z21に配置されたとき、プローブ光LP12の光路長がL21となる。また、反射ミラー14Mをプローブ光LP12の入射方向にΔZ分移動させた位置Z22に配置させたとき、プローブ光LP12の光路長L22となる。なお、このときのΔZは、反射ミラー14Mが折り返しタイプの光学素子であるため、以下の式で表される。
【0054】
ΔZ=ΔL/2=c×WHM÷2
【0055】
以上のようにして、ステップS204における、測定中における反射ミラー14Mの3箇所の配置位置(位置Z20,Z21,Z22)が設定される。
【0056】
再び図4に戻って、ステップS204の反射ミラー14Mの位置設定が完了すると、反射ミラー14Mを位置Z20に移動させる(ステップS205)。この位置Z20は、ステップS202において検出されたテラヘルツ波(透過波)の電界強度が略ピークとなるときの、反射ミラー14Mの位置である。
【0057】
そしてテラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを位置Z20に固定した状態で、移動機構15を駆動することにより、試料Wを二次元面内で移動させる。これにより、試料W上の各位置にテラヘルツ波が照射され、その透過波の電界強度が検出部13にて検出される(ステップS206)。このとき、試料Wの連続する連続領域についてテラヘルツ波を照射する場合には、例えば、テラヘルツ波を照射しながら、試料Wを主走査方向および主走査方向に直交する副走査方向への移動を繰り返し行うようにすることで、効率良く測定することができる。もちろん、その他の方法で試料Wを移動させて、テラヘルツ波を照射するようにしてもよい。
【0058】
ステップS206にて取得された電界強度の検出データは、試料W上のテラヘルツ波を照射した位置に関する情報(位置情報)と、その位置にテラヘルツ波を照射したときに検出された電界強度に関する情報(電界強度情報)とが関連付けられたデータとなっている。このデータは、記憶部31に適宜保存される。
【0059】
次に、テラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを、位置Z20から位置Z21に移動させる(ステップS207)。この位置Z21は、上述したように、プローブ光LP12の光路長が、位置Z20のときの光路長L20よりもパルス半値幅WHMに相当する光路差ΔL分短い光路長L21(第2の測定用光路長)となる位置である。
【0060】
テラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを位置Z21に固定した状態で、テラヘルツ波の照射を行う(ステップS208)。このステップS208では、ステップS206と同様に、試料Wが水平面内で移動することで、試料Wの各位置にテラヘルツ波が照射され、検出部13により電界強度が検出される(ステップS208)。ステップS208において取得された電界強度の検出データは、記憶部31に保存される。
【0061】
ステップS207において取得される電界強度のデータは、記憶部31に適宜保存される。そして、次のステップS209では、ステップS208にて取得された電界強度が略ゼロとなる位置の数が、所定の閾値を越えているかどうか判定される。
【0062】
ステップS208においてテラヘルツ波の測定するタイミングは、ステップS202にて復元される透過波を基準にして決定されている。このため、試料Wの位置毎に試料Wの状態が異なる(例えば、厚みが異なるなど)ことによって、テラヘルツ波が試料Wを透過する時間が、位置毎に相違する場合がある。したがって、検査する位置によっては、ステップS208の測定が、透過波が検出されないタイミングで行われることにより、検出された電界強度が略ゼロとなっている場合も想定される。
【0063】
そこで、本実施形態では、ステップS209において、電界強度が略ゼロとなる位置の数が所定の閾値を超える場合(ステップS209において“YES”)、反射ミラー14Mを位置Z23へ移動させる(ステップS301、図5)。この位置Z23は、図示を省略するが、図8下段に示した位置Z21から、さらにプローブ光LP12の入射方向へさらにΔZ移動させた位置となっている。位置Z23に反射ミラー14Mを配置した場合、プローブ光LP12の光路長が、光路長L20よりも2・ΔL分短くなる。
【0064】
テラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを位置Z23に固定した状態で、ステップS206など同様に、試料Wにテラヘルツ波を照射する(ステップS302)。このとき、試料Wが二次元平面内で移動することで、試料Wの各位置にテラヘルツ波が照射され、検出部13により電界強度が検出される。取得された電界強度の検出データは、記憶部31に適宜保存される。
【0065】
このステップS302では、反射ミラー14Mが位置Z23に配置されているため、検出タイミングt20よりも、パルス半値幅WHMの2倍分早いタイミングで電界強度の検出が行われることとなる。したがって、ステップS202で検出したテラヘルツ波よりも早く透過するなどといったために、ステップS208の測定で検出できなかったテラヘルツ波の電界強度についても、検出できる可能性を高めることができる。
【0066】
ステップS209において略ゼロとなる位置が所定の閾値を越えない場合(ステップS209において“NO”)、または、ステップS302の測定が完了した場合、テラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを位置Z21(または位置Z23)から、位置Z22へ移動させる(ステップS210)。この位置Z22は、上述したように、プローブ光LP12の光路長が、位置Z20のときの光路長L20よりもパルス半値幅WHMに相当する光路差ΔL分長い光路長L22となる位置である。
【0067】
テラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを位置Z22に固定した状態で、テラヘルツ波の照射を行う(ステップS211)。このステップS211では、ステップS206などと同様に、試料Wが二次元平面内を移動することで、試料Wの各位置にテラヘルツ波が照射され、検出部13により電界強度が検出される。ステップS211において取得された電界強度の検出データは、記憶部31に適宜保存される。
【0068】
テラヘルツ波測定装置100は、ステップS211において取得された電界強度の検出データにおいて、電界強度が略ゼロとなる位置の数が所定の閾値を超えるかどうか判定する(ステップS212)。ステップS211において電界強度が略ゼロとなる位置の数が所定の閾値を超える場合(ステップS211において“YES”)、テラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを位置Z24へ移動させる(ステップS401、図6)。
【0069】
位置Z24は、図示を省略するが、反射ミラー14Mを、図8下段に示した位置Z22から、さらにプローブ光LP12の入射方向に沿ってさらにΔZ移動させた位置となっている。したがって、位置Z24に反射ミラー14Mを配置した場合、プローブ光LP12の光路長が、光路長L20よりも2・ΔL分長くなる。
【0070】
テラヘルツ波測定装置100は、反射ミラー14Mを位置Z24に固定した状態で、ステップS206など同様に、試料Wにテラヘルツ波を照射する(ステップS402)。このとき、試料Wが二次元平面内で移動することで、試料Wの各位置にテラヘルツ波が照射され、検出部13により電界強度が検出される。取得された電界強度の検出データは、記憶部31に適宜保存される。
【0071】
このステップS402では、反射ミラー14Mが位置Z24に配置されているため、検出タイミングt20よりも、パルス半値幅WHMの2倍分遅いタイミングで電界強度の検出が行われることとなる。したがって、ステップS202で検出したテラヘルツ波よりも試料Wを透過する透過時間が長いなどといったために、ステップS211の測定で検出できなかったテラヘルツ波の電界強度についても、検出できる可能性を高めることができる。
【0072】
ステップS211において略ゼロとなる位置が所定の閾値を越えない場合(ステップS211において“NO”)、または、ステップS402の測定が完了した場合、テラヘルツ波測定装置100は、電界強度を階調データに変換する(ステップS213)。具体的には、データ変換部25により、ステップS205、ステップS208(ただし、ステップS301が行われた場合は、ステップS302)、および、ステップS209(ただし、ステップS401が行われた場合は、ステップS402)において取得された電界強度の検出データのそれぞれを、R、GおよびBの階調特性を示す階調データに変換する。なお、ステップS205,S208,S209で取得された3種の電界強度のそれぞれは、R,GまたはBの階調データのいずれかに重複せずに変換されればよい。例えば、ステップS205で取得される電界強度をRの階調データ、ステップS208で取得される電界強度をBの階調データ、ステップS209で取得される電界強度をGの階調データに変換するようにしてもよいし、あるいは、ステップS205で取得される電界強度をBの階調データ、ステップS208で取得される電界強度をGの階調データ、ステップS209で取得される電界強度をRの階調データに変換するようにしてもよい。このように、3種の電界強度と変換後のR,G,Bに関する階調データとの組合せは、任意に設定することができる。
【0073】
なお、階調データへの変換は、変換用のテーブルを利用してもよい。この変換用のテーブルは、例えば、参照波(図3参照)または透過波(図7参照)の電界強度の最大値および最小値の間を所定の階調数分(例えば256)に区切り、区切られた電界強度の範囲毎に特定の階調値を定義したものとされる。ただし、変換用のテーブルは、参照波または透過波に依らずに、電界強度毎に階調値を適宜定義したものであってもよい。
【0074】
テラヘルツ波測定装置100は、ステップS213のデータ変換を完了すると、取得された階調データに基づいて、イメージング用の画像を生成して該画像を表示部33に表示する(ステップS214)。本実施形態では、試料Wの各位置において、それぞれ3つ分の電界強度値が取得される。イメージング用の画像では、この3つ分の電界強度が、その強度の応じた特定の階調特性(濃淡度)を持つ3つの色(RGB)を混合した合成色で表現される。なお、イメージング用の画像について、一般的な画像処理(例えば、エッジ強調、階調変更など)を行うようにしてもよい。
【0075】
以上が、テラヘルツ波測定装置100を利用したイメージングについての説明である。
【0076】
本実施形態では、プローブ光LP12の光路長を、3つの測定用光路長に限定してイメージングが行われる。このため、イメージングに必要な測定時間を短くすることができるため、効率良くイメージングを行うことができる。
【0077】
また、3つの測定用光路長が、試料W上の特定位置にテラヘルツ波を照射したときの透過波の電界強度が略ピークとなるピーク時光路長と、その透過波のパルス半値幅WHM分に相当する光路差ΔLとに基づいて決定される。このため、試料Wの様々な位置にテラヘルツ波を照射した場合に、試料Wの特定位置とその他の位置とで物性が大きく異ならない限り、透過波の電界強度を有効に検出することができる。
【0078】
また、本実施形態では、その3つの測定用光路長のもとで検出された電界強度が、人が識別できるRGBの色にそれぞれ変換される。したがって、イメージング用の画像において、これらの色を混合した合成色で表現することで、試料Wの各位置における3つの電界強度の程度を有効に把握することができる。
【0079】
なお、ステップS205〜ステップS206(第1の測定用光路長での測定)、ステップS207〜ステップS209(第2の測定用光路長での測定)、および、ステップS210〜ステップS212(第3の測定用光路長での測定)は、図2に示した順番で実行される必要はなく、任意に変更することができる。
【0080】
<2.変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0081】
例えば、上記実施形態では、パルス半値幅WHMを基準にして、反射ミラー14Mの位置を設定しているが、その他の基準を利用することができる。例えば、図3に示した参照波の時間波形41からパルス幅(電界強度がゼロになるタイミングtaとタイミングtbとの時間差に相当する)をパルス半値幅WHMの代替として利用してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、パルス半値幅WHMを参照波(図3に示す時間波形41)から取得するようにしているが、試料Wを透過した透過波(図7に示す時間波形43)から取得するようにしてもよい。この場合、図2に示した参照波の解析は省略することができる。
【0083】
また、上記実施形態では、試料Wを透過した透過波(図7に示す時間波形43)の電界強度が略ピークとなるときの光路長(光路長L20)を、第1の測定用光路長(ステップS205の測定時における光路長)としている。しかしながら、参照波(図3に示す時間波形41)の電界強度が略ピークとなる時の光路長を、第1の測定用光路長としてもよい。また、光路長L20に依らずに、所要の固定タイミングを第1の測定用光路長としてもよい。ただし、第1の測定用光路長は、少なくとも試料Wを透過するテラヘルツ波の電界強度を検出できるときのプローブ光LP12の光路長とされることが望ましい。
【0084】
また、上記実施形態では、第1の測定用光路長に対してパルス半値幅WHMに相当する光路差ΔLを減算または加算することで、第2および第3の測定用光路長を決定している。しかしながら、ステップS301,S401でも説明したように、光路差ΔLを所要倍した値を減算または加算することで、第2および第3の測定用光路長を決定するようにしてもよい。また、パルス半値幅WHMに依らずに、所要の値を加算または減算することで、第2および第3の測定用光路長を決定するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、照射部12から出射したテラヘルツ波を試料Wに照射し、透過した透過波を検出部13にて検出するようにしている。しかしながら、テラヘルツ波を照射した試料Wの面側に反射してくるテラヘルツ波を検出部13が検出するようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態に示した、パルス復元部21、パルス半値幅取得部22、光路差取得部23、ミラー位置設定部24、データ変換部25および画像生成部26は、CPUが所定のプログラムにしたがって動作させることでソフトウェア的に実現してもよいし、これらの機能の一部または全部を専用の論理回路などでハードウェア的に実現してもよい。
【0087】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0088】
100 テラヘルツ波測定装置(電磁波パルス測定装置)
11 レーザ光源
12 照射部
13 検出部
14 遅延部
141 移動ステージ
14M 反射ミラー
15 移動機構
17 制御部
21 パルス復元部
22 パルス半値幅取得部
23 光路差取得部
24 ミラー位置設定部
25 データ変換部
26 画像生成部
31 記憶部
32 入力部
33 表示部
41 時間波形(参照波)
43 時間波形(透過波)
20 光路長(第1の測定用光路長)
21 光路長(第2の測定用光路長)
22 光路長(第3の測定用光路長)
23,L24 光路長
LP1 パルス光
LP11 ポンプ光
LP12 プローブ光
LT1 テラヘルツ波
W 試料
WHM パルス半値幅
20,Z21,Z22,Z23,Z24 位置
ΔL 光路差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を透過または反射した電磁波パルスを測定する電磁波パルス測定装置において、
レーザ光源から出射されたパルス光を受光して、電磁波パルスを試料に照射する照射部と、
前記試料を透過または反射した電磁波パルスを、前記パルス光の照射に応じて検出する検出部と、
前記レーザ光源から前記照射部までの前記パルス光の第1光路、または、前記レーザ光源から前記検出部までの前記パルス光の第2光路の光路長を変更する光路長変更部と、
前記照射部を前記試料に対して相対的に移動させる相対移動機構と、
前記光路長が互いに相違する第1の測定用光路長、第2の測定用光路長および第3の測定用光路長のそれぞれに設定されるように前記光路長変更部を制御する制御部と、
前記光路長が前記第1から第3の測定用光路長のそれぞれに設定されているときに前記検出部にて検出される電界強度を、3つの特定色の階調特性を示す階調データにそれぞれ変換するデータ変換部と、
前記電界強度に関する情報が前記階調データに応じた色調で表現される画像を生成する画像生成部と、
を備える電磁波パルス測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁波パルス測定装置において、
前記3つの特定色が、赤、緑および青である電磁波パルス測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電磁波パルス測定装置において、
前記第1の測定用光路長は、前記試料の特定位置を透過または反射した前記電磁波パルスが略ピークとなるピーク時の前記光路長とされる電磁波パルス測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電磁波パルス測定装置において、
前記電磁波パルスの電界強度が最大の半値となるときのパルス半値幅を取得するパルス半値幅取得部と、
前記パルス半値幅に対応する前記光路長の光路差を取得する光路差取得部と、
をさらに備え、
前記第2および第3の測定用光路長が、前記ピーク時の前記光路長に前記光路差を加算した光路長、または、前記ピーク時の前記光路長から前記光路差を減算した光路長とされる電磁波パルス測定装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の電磁波パルス測定装置において、
前記電磁波パルス波が、周波数が0.01THz以上100THz以下のテラヘルツ波パルスを含む電磁波パルス測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−40893(P2013−40893A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179563(P2011−179563)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】