説明

電磁波吸収用中空型金属纎維及びその製造方法

【課題】直径が0.5〜2.5μmである高分子纎維の外部に80〜1500nm厚さの磁性金属層を形成して、これを熱処理して高分子纎維だけ選択的に取除くことで形成された、電磁波吸収用中空型金属纎維。
【解決手段】本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維は、0.5μm以上2.5μm未満の孔12が長さ方向で穿孔されて、0.08μmないし2μmの厚さの金属層14で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直径が0.5〜2.5μmである高分子纎維の外部に80〜1500nm厚さの金属層を形成して、これを熱処理して高分子纎維だけ選択的に取除くことで、軽量化された電磁波吸収用中空型金属纎維及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁波とは、電場と磁場の周期的な変化が一つになりながら波動で伝播されることであり、デジタル技術と半導体技術などが急速に発達することに伴い、電子製品及びコンピューター関連機器などが日常生活と密接な関係を維持している。
【0003】
最近では、電子機器と次世代情報通信機器の発展に伴い、回路の動作周波数が〜GHzの高周波帯域へと増加し、機器が多機能且つ小型化される成り行きであり、このような機器よりの電磁波放出によって、人体に有害な電磁波及び電磁波公害が深刻な問題とされている。
【0004】
過去には、電磁波を遮蔽することで前記の諸問題を解決して来たが、機器内部に反射された電磁波のインターフェア及びノイズ発生によって、機器の誤作動及び信号品質の低下を惹き起こし、このような問題を解決するためには、電磁波を吸収する概念の技術開発が必要不可欠であり、最近、数多い研究が活発に行われている。
【0005】
優れた電磁波吸収能のためには、高透磁率の磁性材料が主に利用されているが、大部分の磁性素材は、高周波数によって共振現象が起きるため、GHz帯域では透磁率をほとんど喪失してしまい、その密度によって吸収素材の重量が非常に高くなってしまう。従って、薄くて軽い電磁波吸収素材の開発が熱くなっている。
【0006】
また、磁性スピンは、方向性を有するので、素子や回路の複雑な方向性に合わせた電磁波エネルギー吸収のための微細調節がとても難しい。これを乗り越えるためには、粒子の形状的な側面で纎維の形状が要求され、重量減少的な側面では、極微細の中空型磁性粒子が必須である。
【0007】
このために、大韓民国特許第2003-0012776号には、中空炭素纎維または中空炭素粒子に金属を蒸着させている。しかし蒸着された金属の厚さが薄くて、内部には炭素基質(Substrate)が残っているため、重量減少をすることができず、重たい問題点がある。
【0008】
また、大韓民国公開特許公報第2007-0041024号には、炭素ナノチューブのような極微細粒子に、無電解メッキを施して金属をコーティングする技術が記載されている。しかし、金属コーティングの厚さが数nmと非常に低くて、吸収素材として製造した場合、高い透磁率を得ることが難しくて炭素基質がそのまま残っていて粒子そのものの重量減少效果がないという短所がある。
【0009】
大韓民国公開特許公報第2005-0048197号には、電磁波遮断用多孔質または中空纎維及びその製造方法が記載されていて、多孔質纎維または中空纎維に導電性粒子が混合された樹脂がコーティングされる。しかし、コーティング層に含まれた金属粉末の重量分率が40〜90%でコーティング厚さが10μm以上であるため、重量が非常に高くて軽い吸収素材を製造するのが難しい。また基質纎維と金属粉末を含んでいるコーティング層の樹脂がそのまま残っているので、高透磁率を具現するのに問題点がある。
【0010】
日本特開平11-193473では、炭素纎維などに無電解メッキにて金属をコーティングした後、酸素雰囲気で炭素纎維を炭化させて、中空型纎維を製造する技術が記載されている。
【0011】
前記引用特許では、炭素纎維の直径が10μm以上であるため、極微細金属纎維を製造することができない。だけでなく、中空型にするために炭素纎維を1000℃以上の温度で長時間熱処理をしなければならないので、多くの費用が必要であり、高い温度で熱処理を行えば、コーティングされている金属が溶融して纎維の形状を維持しにくいという短所がある。
【0012】
大韓民国特許第2003-0068601号、第1994-0015077号、第2003-0004861号、日本特開平7-138874、特開平7-102476及び米国特許5935706、2007-0116979A1等の発明は、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン及びケブラーなどの合成纎維に金属をコーティングして電磁波遮蔽に適用している。このような技術に適用された基質纎維は、直径が10μm以上であるため微細な金属纎維の製造が不可能であり、基質纎維がそのまま存在するため重量減少效果をあまり期待できない問題点がある。
【特許文献1】大韓民国特許第2003-0012776号
【特許文献2】大韓民国公開特許公報第2007-0041024号
【特許文献3】大韓民国公開特許公報第2005-0048197号
【特許文献4】特開平11-193473号公報
【特許文献5】大韓民国特許第2003-0068601号
【特許文献6】大韓民国公開特許公報第1994-0015077号
【特許文献7】大韓民国公開特許公報第2003-0004861号
【特許文献8】特開平7-138874号公報
【特許文献9】特開平7-102476号公報
【特許文献10】米国特許5935706号
【特許文献11】米国特許2007-0116979A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、かかる前記のような問題点を解決するためのもので、直径が0.5〜2.5μmである高分子纎維の外部に磁性金属を80〜2000nmの厚さでコーティングして、これを高温で熱処理して高分子纎維だけを選択的に取除くことで、電磁波吸収效率を高めるだけでなく軽量化が可能な電磁波吸収用中空型金属纎維及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維は、0.5μm以上2.5μm未満の孔が長さ方向で穿孔されて、0.08μmないし2μmの厚さの金属層で構成されたことを特徴とする。前記金属層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、錫(Sn)中の一つ以上の磁性金属で形成されることを特徴とする。
【0015】
前記金属層は、多数の層で形成されて、それぞれの層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、錫(Sn)中の一つ以上の磁性金属で形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法は、0.5μm以上2.5μm未満の直径を持つ高分子纎維を界面活性剤で洗滌して、表面の不純物を取除く高分子纎維洗滌段階と、前記高分子纎維のメッキ反応性を高めるための纎維敏感化段階と、活性化液で前記高分子纎維を活性化する纎維活性化段階と、前記高分子纎維を3ないし30分間硫酸水溶液に浸して加速化する加速化段階と、前記高分子纎維の外面に無電解メッキ法で金属層を形成する金属層形成段階と、前記金属層内部の高分子纎維を炭化させて取除く高分子纎維炭化段階で構成されることを特徴とする。
【0017】
前記纎維敏感化段階は、常温で塩化錫(SnCl2)水溶液と塩酸(HCl)溶液に、前記高分子纎維を3分ないし30分間接触させる過程であることを特徴とする。
【0018】
前記纎維活性化段階は、パラジウム、金、銀の中で何れかの一つを含む活性化液に、前記高分子纎維を3分ないし30分接触させる過程であることを特徴とする。
【0019】
前記金属層形成段階において、前記高分子纎維は、金属塩、錯化剤、安定剤、促進剤、還元剤及びpH調節剤を含んで構成されるメッキ溶液に、5ないし90分間40〜90℃温度で浸漬されることを特徴とする。
【0020】
前記高分子纎維炭化段階において、前記金属層が形成された高分子纎維は、不活性気体雰囲気下のオーブンで400〜600℃で2〜6時間の間熱処理されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上で説明しているように、本発明では、0.5〜2.5μmの直径を持つ高分子纎維外面に敏感化、活性化、加速化及び無電解メッキにて磁性金属層をコーティングして、これを高温で熱処理して高分子纎維だけを選択的に炭化してとり除いている。したがって、本発明によって製造された金属纎維は、中空形状を持つためより軽い利点があり、纎維形態であるため優れた電磁波吸収性能を持つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、電磁波吸収用中空型金属纎維(以下「金属纎維」とする)の構成を添付された図1を参照して説明する。
【0023】
図1には、本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維を現わした拡大写真が記載されている。
【0024】
図1のように、本発明による金属纎維10は、中央部に孔12が長さ方向で穿孔された円柱形状の外形を持ち、全体的に金属層14によって形成される。
【0025】
前記孔12は、0.5μm以上2.5μm未満の内径を持ち、前記金属層14内部に位置していた高分子纎維が除去されることで形成されたものである。そして、前記金属層14は、0.08μmないし2μmの厚さを持ち、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、錫(Sn)中の一つ以上の磁性金属で形成される。
【0026】
また、前記金属層14は、多数の層で構成されることもできる。より詳細に説明すると前記金属層14は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、錫(Sn)中の一つ以上の磁性金属で多数回無電解メッキを施して、それぞれの金属層14が相互違う材質で形成されるように構成することもできる。
【0027】
以下、電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法を添付された図2を参照して説明する。図2には、本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法を現わした製造工程図が図示されている。
【0028】
図2のように、本発明による金属纎維の製造する方法は、0.5μm以上2.5μm未満の直径を持つ高分子纎維を界面活性剤で洗滌して、表面の不純物を取除く高分子纎維洗滌段階S100と、前記高分子纎維のメッキ反応性を高めるための纎維敏感化段階S200と、前記高分子纎維を活性化液で活性化する纎維活性化段階S300と、前記高分子纎維を3ないし30分間硫酸水溶液に浸して加速化する加速化段階S400と、前記高分子纎維の外面に無電解メッキ法で金属層14を形成する金属層形成段階S500と、前記金属層14内部の高分子纎維を炭化させて取除く高分子纎維炭化段階S600で構成される。
【0029】
前記高分子纎維洗滌段階S100は、金属層形成段階S500の実施を容易くするための過程であり、図示されてはないが、前記高分子纎維は、直径が0.5〜2.5μmの極微細高分子纎維であり、天然纎維とポリエステル纎維、ポリアミド纎維、ポリアクリル纎維、ポリオレフィン纎維、ポリイミド纎維、ポリアリルエーテルケトン纎維のような合成纎維で構成される。
【0030】
そして、前記高分子纎維は、直径が0.5μm未満の場合は、中空型に製造された金属纎維10において重量減少效果が小くなって、直径が2.5μmを超えた場合には、高分子纎維の体積分率(Volume Fraction)が大きくなるから微細な金属纎維10を得るのに望ましくない。
【0031】
前記高分子纎維洗滌段階S100にて洗滌された高分子纎維は、高分子纎維炭化段階S600にて除去されて前記孔12を形成するようなり、前記金属纎維10は、長さ方向の中央に孔12が穿孔された中空型を現わすようになる。
【0032】
前記高分子纎維洗滌段階S100以後には、纎維敏感化段階S200が実施される。前記纎維敏感化段階S200は、常温で塩化錫(SnCl2)水溶液と塩酸(HCl)溶液に前記高分子纎維を3分ないし30分間接触させて、高分子纎維を敏感化(Sensitizing)する過程である。
【0033】
前記纎維敏感化段階S200以後には、纎維活性化段階S300が実施される。前記纎維活性化段階S300は、常温で塩化パラジウム(PdCl2)水溶液と塩酸(HCl)溶液などの活性化液に前記高分子纎維を3分ないし30分接触させて高分子纎維を活性化(Activating)させる過程である。
【0034】
この時前記活性化液は、銀及び金が含まれた溶液であることがあり、硫酸溶液及びアンモニア水の単独及び混合形態の物が添加されることもある。以後前記高分子纎維は、硫酸水溶液に3分ないし30分間浸され加速化(Accelerating)される加速化段階S400を経るようになる。
【0035】
前記加速化段階S400以後には、前記金属層14を形成するための金属層形成段階S500が実施される。前記金属層形成段階S500は、高分子纎維外側に無電解メッキで金属層14を形成する過程である。
【0036】
すなわち、前記金属層形成段階S500では、金属塩、錯化剤、安定剤、促進剤、還元剤及びpH調節剤が投入されたメッキ溶液に、高分子纎維を5分ないし90分間40〜90℃の温度範囲で浸漬させることで、高分子纎維表面に0.08μmないし2μmの厚さを持つ金属層14を形成させるようになる。
【0037】
前記メッキ溶液に含まれた金属は、ニッケル、銅、鉄、金、銀、鉛、コバルト及び錫であることがあり、単独または混合して使われることもある。そして、高透磁率を具現するためには、ニッケル、鉄及びコバルトの単独または混合形態での使用が望ましい。
【0038】
前記金属層形成段階S500が完了すれば、前記高分子纎維は、金属層14の内部中央に長さ方向で長く挟まれた状態になる。
【0039】
そして、前記金属層14は、ニッケル、銅、鉄、金、銀、鉛、コバルト及び錫が、単独または混合して構成されることができる単層または多層で形成されることがある。
【0040】
前記金属層14の厚さは、0.08μmないし2μmであることが望ましいが、0.08μm未満の場合は、十分な量の中空型金属纎維10を得ることと、その強度が弱くて纎維の形状を維持することが難しくなる。
【0041】
また、金属層14の厚さが2μmを超えた場合には、高分子纎維の除去による中空型を通じての重量減少效果が落ちるため、望ましくない。以後前記金属層形成段階S500によって金属層14が形成されれば、前記高分子纎維炭化段階S600が実施される。
【0042】
前記高分子纎維炭化段階S600は、金属層14と高分子纎維の中で高分子纎維のみを選択的に取除いて、前記金属纎維10内部に孔12を形成することで中空型を形成するようにする過程である。
【0043】
このために、内部に高分子纎維が挟まれた状態の金属層14は、不活性気体雰囲気下のオーブンで400〜600℃で2〜6時間の間熱処理されて、この際、前記金属層14内部の高分子纎維は炭化されて除去されて、前記金属層14内部には孔12が形成されることで、中空型金属纎維10の製造は完了する。
【0044】
以下、本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法を実施例をあげて説明することにする。
<実施例1>
【0045】
前記実施例1に使われた高分子纎維は、直径が1μmである極微細ポリエステルであり、アルキルベンゼンスルホン酸塩2g/L水溶液に1時間の間浸漬させて精錬した後、前記高分子纎維を蒸溜水に充分に水洗して乾燥して使う(高分子纎維洗滌段階:S100)。
【0046】
敏感化のために、前記精錬、乾燥した高分子纎維を塩化錫10g/L水溶液と塩酸溶液7ml/Lに入れて常温で10分間処理する(纎維敏感化段階:S200)。
【0047】
敏感化された高分子纎維は、活性化のための塩化パラジウムを使う。塩化パラジウム0.5g/L水溶液と塩酸溶液2ml/Lの混合溶液を40℃に維持して、高分子纎維を混合溶液に投入して30分間接触させる(纎維活性化段階:S300)。
【0048】
塩化パラジウム処理された高分子纎維は、硫酸15%溶液に10分間処理して加速化させる(加速化段階:S400)。前記金属層形成段階S500では、無電解ニッケルメッキを適用してあり、下のような組成のメッキ浴を製造して実施している。
【0049】
【表1】

【0050】
前記金属層形成段階S500は、pH=9、90℃のメッキ浴で10分間行い、メッキ反応が終わった以後、ニッケルがコーティングされた高分子纎維は、真空乾燥される。中空型のニッケル金属纎維10に製造するために、500℃の高温オーブンでアルゴン雰囲気下で4時間の間熱処理して、ポリエステルに形成された高分子纎維を炭化させるようになる(高分子纎維炭化段階:S600)。実施例1によって製造された金属纎維10は、コーティング厚さ、金属組成及び電磁波特性を測定して表3に現わしている。
<実施例2>
【0051】
ポリエステル高分子纎維に鉄で構成された金属層14を形成するため、実施例1のように精錬S100、敏感化S200、活性化S300及び加速化S400過程を行う。そして、金属層形成段階S500は、表2のような組成のメッキ浴を製造して実施している。
【0052】
【表2】

【0053】
前記金属層形成段階S500で非電解鉄メッキは、pH=8.5、80℃のメッキ浴で60分間行い、金属層14が形成された高分子纎維は、真空乾燥している。
【0054】
以後中空型の鉄金属纎維10に製造するために500℃の高温オーブンでアルゴン雰囲気下で4時間の間熱処理して、ポリエステル高分子纎維を炭化させている(高分子纎維炭化段階:S600)。実施例2によって製造された中空型鉄金属纎維10は、コーティング厚さ、金属組成及び電磁波特性を測定して表3に現わしている。
【0055】
【表3】


※組成:EDSにて測定している。
※コーティング厚さ:SEMで観察している。
※電磁波吸収性能:それぞれの中空型金属纎維を、エポキシ樹脂に30wt%を投入し硬化させて複合材料を製作した後、ネットワークアナライザにて吸収性能を測定している。
<実施例3>
【0056】
ポリエステル高分子纎維にコバルト金属層14を形成するため、実施例1のように精錬S100、敏感化S200、活性化S300及び加速化S400段階を行う。そして、前記金属層形成段階S500は、表4のような組成のメッキ浴を製造して実施している。
【0057】
【表4】

【0058】
前記実施例3での金属層形成段階S500は、pH=9、80℃のメッキ浴で60分間行い、コバルト金属層14が形成された以後、高分子纎維及び金属層14は真空乾燥される。
【0059】
以後中空型のコバルト金属纎維10に製造するために、500℃の高温オーブンでアルゴン雰囲気下で4時間の間熱処理して、ポリエステルに形成された高分子纎維だけ炭化させて取除くようになる(高分子纎維炭化段階:S600)。実施例3によって製造された中空型コバルト金属纎維10は、コーティング厚さ、金属組成及び電磁波特性を測定して表3に現わしている。
<実施例4>
【0060】
ポリエステル高分子纎維にニッケル-鉄金属層14を形成するため、実施例1のように精錬S100、敏感化S200、活性化S300及び加速化S400過程を行う。そして、前記金属層形成段階S500のための無電解メッキ浴は、表5のような組成で製造している。
【0061】
【表5】

【0062】
前記金属層形成段階S500のためのメッキ浴は、pH=9に調整して、90℃で60分間行い、金属層14が形成された高分子纎維は、真空乾燥している。以後中空型金属纎維10に製造するために、500℃の高温オーブンでアルゴン雰囲気下で4時間の間熱処理して、ポリエステルに形成された高分子纎維が炭化されるようにしている(S600)。
【0063】
実施例4で中空型金属纎維10は、コーティング厚さ、金属組成及び電磁波特性を測定して表3に現わしている。
<実施例5>
【0064】
ポリエステル高分子纎維にニッケル-鉄-コバルトコーティングをするために、実施例1のように精錬S100、敏感化S200、活性化S300及び加速化S400過程を行う。そして、前記金属層形成段階S500のための無電解メッキ浴は、表6のような組成で製造している。
【0065】
【表6】

【0066】
前記金属層形成段階S500のためのメッキ浴は、pH=9に調整して、90℃で60分間行い、メッキ反応が終わった以後、金属層14が形成された高分子纎維は、真空乾燥している。
【0067】
以後中空型金属纎維10に製造するために、500℃の高温オーブンでアルゴン雰囲気下で4時間の間熱処理して、ポリエステルに形成された高分子纎維が炭化されるようにしている(S600)。
【0068】
実施例5によって製造された中空型金属纎維10は、コーティング厚さ、金属組成及び電磁波特性を測定して表3に現わしている。
<実施例6>
【0069】
ポリエステル高分子纎維にニッケル金属層14と鉄金属層14を順次に形成するため、実施例1のように精錬S100、敏感化S200、活性化S300及び加速化S400過程を行う。そして、前記金属層形成段階S500のための無電解メッキ浴組成は、表7のように製造している。
【0070】
【表7】

【0071】
前記金属層形成段階S500のためのメッキ浴は、pH=9に調整して、90℃で10分間行い、メッキ反応が終わった後、ニッケル金属層14が形成された高分子纎維は、真空乾燥している。
【0072】
前記ニッケル金属層14の外面に2次的に鉄金属層14を形成するために、ニッケル金属層14が形成された高分子纎維に敏感化S200、活性化S300及び加速化S400段階を実施する。
【0073】
前記纎維敏感化段階S200は、塩化錫3g/L水溶液と塩酸溶液5ml/Lに入れて常温で5分間実施している。
【0074】
前記纎維活性化段階S300は、塩化パラジウム0.2g/L水溶液と塩酸溶液2ml/Lの混合溶液を40℃に維持して、ニッケル金属層14が形成された高分子纎維を投入した後10分間実施している。
【0075】
前記加速化段階S400は、硫酸15%溶液に5分間浸けて実施している。以後前記金属層形成段階S500は、表7のような組成で無電解メッキしてニッケル金属層14の外面に鉄金属層14を形成するようになる。
【0076】
このようにした後、前記鉄金属層14とニッケル金属層14の外側で順次に積層形成された高分子纎維は、500℃の高温オーブンでアルゴン雰囲気下で4時間の間熱処理されて炭化される(S600)されることで、図1のような中空型の金属纎維10の製造が完了する。
【0077】
そして、中空型の金属纎維10は、コーティング厚さ、金属組成及び電磁波特性を測定して表3に現している。
【0078】
このような本発明の範囲は、前記で例示した実施例に限定するのではなく、前記のような技術範囲内で通常の技術を有する当業者においては、本発明を基にする他の数多い変形が可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維を現わした拡大写真。
【図2】本発明による電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法を現わした製造工程図。
【符号の説明】
【0080】
10 金属纎維
12 孔
14 金属層
S100 高分子纎維洗滌段階
S200 纎維敏感化段階
S300 纎維活性化段階
S400 加速化段階
S500 金属層形成段階
S600 高分子纎維炭化段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5μm以上2.5μm未満の孔が長さ方向で穿孔されて、0.08μmないし2μmの厚さの金属層で構成されたことを特徴とする電磁波吸収用中空型金属繊維。
【請求項2】
前記金属層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、錫(Sn)中の一つ以上の磁性金属で形成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収用中空型金属纎維。
【請求項3】
前記金属層は、多数の層で形成されて、それぞれの層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、錫(Sn)中の一つ以上の金属で形成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収用中空型金属纎維。
【請求項4】
0.5μm以上2.5μm未満の直径を持つ高分子纎維を界面活性剤で洗滌して、表面の不純物を取除く高分子纎維洗滌段階と、前記高分子纎維のメッキ反応性を高めるための纎維敏感化段階と、活性化液で高分子纎維を活性化する纎維活性化段階と、前記高分子纎維を3ないし30分間硫酸水溶液に浸して加速化する加速化段階と、前記高分子纎維の外面に無電解メッキ法で金属層を形成する金属層形成段階と、前記金属層内部の高分子纎維を炭化させて取除く高分子纎維炭化段階と、で構成されることを特徴とする電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法。
【請求項5】
前記纎維敏感化段階は、常温で塩化錫(SnCl2)水溶液と塩酸(HCl)溶液に、前記高分子纎維を3分ないし30分間接触させる過程であることを特徴とする請求項4に記載の電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法。
【請求項6】
前記纎維活性化段階は、パラジウム、金、銀の中で何れかの一つを含む活性化液に、前記高分子纎維を3分ないし30分接触させる過程であることを特徴とする請求項4に記載の電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法。
【請求項7】
前記金属層形成段階において、前記高分子纎維は、金属塩、錯化剤、安定剤、促進剤、還元剤及びpH調節剤を含んで構成されるメッキ溶液に、5ないし90分間40〜90℃の温度で浸漬されることを特徴とする請求項4に記載の電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法。
【請求項8】
前記高分子纎維炭化段階において、前記金属層が形成された高分子纎維は、不活性気体雰囲気下のオーブンで400〜600℃で2〜6時間の間熱処理されることを特徴とする請求項4又は請求項7に記載の電磁波吸収用中空型金属纎維の製造方法。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−185378(P2009−185378A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263853(P2008−263853)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(501384562)コリア インスティチュート オブ マシナリー アンド マテリアルズ (15)
【Fターム(参考)】