説明

電磁波検出素子

【課題】センサ部での光の利用効率の低下を防止することができる電磁波検出素子を提供する。
【解決手段】互いに交差して配設された複数の走査配線及び複数の信号配線の各交差部と、2次元状に配列された複数のセンサ部であって、各々が、検出対象とする画像を示す電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層、半導体層の電磁波が照射される照射面側に電磁波に対して透過性を有する導電性部材により形成され、半導体層に対してバイアス電圧を印加する第1電極、及び半導体層の電磁波に対する非照射面側に形成され、半導体層に発生した電荷を収集する第2電極を備えた複数のセンサ部と、センサ部よりも電磁波の下流側に形成され、各々コンタクトホールを介して第1電極に接続されてバイアス電圧を供給する共通電極配線と、走査配線と、信号配線及び共通電極配線との間に形成されている第1の絶縁膜と、を備え、信号配線及び共通電極配線は同層に形成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波検出素子に係り、特に、互いに交差して配設された複数の走査配線及び複数の信号配線の各交差部に対応してセンサ部が設けられ、画像を検出するTFTアクティブマトリクス基板を用いた電磁波検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin film transistor)アクティブマトリックス基板上にX線感応層を配置し、X線情報を直接デジタルデータに変換できるFPD(flat panel detector)等の放射線画像検出装置が実用化されている。このFPDは、従来のイメージングプレートに比べて、即時に画像を確認でき、動画も確認できるといったメリットがあり、急速に普及が進んでいる。
【0003】
この種の放射線画像検出装置は、種々のタイプのものが提案されており、例えば、放射線を直接電荷に変換して蓄積する直接変換方式や、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、変換した光を半導体層で電荷に変換して蓄積する間接変換方式がある(例えば、本願出願人による特許文献1)。
【0004】
一例として、図13には、間接変換型の放射線画像検出装置に用いられる電磁波検出素子10’の1画素単位の構造を示す平面図が示されており、図14には、図13のA−A線断面図が示されている。
【0005】
図13に示すように、電磁波検出素子10’は、互いに交差して配設された複数の走査配線101’及び複数の信号配線3’の各交差部に対応してセンサ部が設けられている。
【0006】
このセンサ部は、図14に示されるように、光が照射されることにより電荷が発生する半導体層6’、半導体層6’の光が照射される照射面側に光透過性を有する導電性部材により形成され、当該半導体層6’に対してバイアス電圧を印加する上部電極7’、及び半導体層6’の光の非照射面側に形成され、当該半導体層6’に発生した電荷を収集する下部電極14’を備えている。
【0007】
また、この電磁波検出素子10’では、上部電極7にバイアス電圧を供給する共通電極配線25’が半導体層6’の上層に配置されている。この共通電極配線25’は、電荷を供給するため抵抗を低くする必要があるため、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とする低抵抗配線材料を用いて形成される。
【0008】
また、特許文献2には、透明導電部材からなる上部電極を各々接続し、共通電極配線の機能も兼ねるようにする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−137080号公報
【特許文献2】米国特許5,777,355号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図14に示されるように、共通電極配線25’を半導体層6’の照射面側に配置した場合、共通電極配線25’下の半導体層6’に光が照射されず光の利用効率が低下する、という問題点があった。
【0011】
ここで、この問題点を解決するために、上記特許文献2に記載の技術を用いて透明導電部材からなる上部電極7’を各々接続して共通電極配線の機能も兼ねさせることが考えられる。
【0012】
しかしながら、通常、透明導電部材の抵抗率は、低抵抗配線材料の50〜200倍と非常に大きく、上部電極7’を各々接続して共通電極配線の機能を兼ねた場合、共通電極配線の配線負荷(抵抗、容量)が増加して所望の応答が実現できない。このため、上部電極7’を各々接続して共通電極配線の機能を兼ねさせることはできない。
【0013】
なお、上記では、半導体層6’が光を検出対象としているため、光の利用効率について記載したが、検出対象が紫外線、赤外線を含む電磁波の何れであっても共通する課題である。
【0014】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、共通電極配線を備えていても、センサ部での電磁波の利用効率の低下を防止することができる電磁波検出素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の電磁波検出素子は、基板上に、互いに交差して配設された複数の走査配線及び複数の信号配線の各交差部と、2次元状に配列された複数のセンサ部であって、各々が、検出対象とする画像を示す電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層、半導体層の電磁波が照射される照射面側に電磁波に対して透過性を有する導電性部材により形成され、半導体層に対してバイアス電圧を印加する第1電極、及び半導体層の電磁波に対する非照射面側に形成され、半導体層に発生した電荷を収集する第2電極を備えた複数のセンサ部と、センサ部よりも電磁波の下流側に形成され、各々コンタクトホールを介して第1電極に接続されてバイアス電圧を供給する共通電極配線と、走査配線と、信号配線及び共通電極配線との間に形成されている第1の絶縁膜と、を備え、信号配線及び共通電極配線は同層に形成されていることを特徴とする。
【0016】
なお、上記電磁波検出素子は、第2電極で収集された電荷を信号配線に読み出すスイッチング素子をさらに備え、スイッチング素子は、ドレイン電極及びソース電極を含み、ドレイン電極、ソース電極、信号配線、及び共通電極配線は同層に形成されていることを特徴とすることが好ましい。
【0017】
また、上記電磁波検出素子は、複数のセンサ部と共通電極配線との間に設けられてセンサ部と共通電極配線とを絶縁し、複数のコンタクトホールが形成され、単層若しくは複層の第2の絶縁膜と、各々一端が何れかのコンタクトホールを介して第1電極に接続され、他端が共通電極配線に接続された複数のコンタクトと、をさらに備えたことを特徴とすることが好ましい。
【0018】
また、上記電磁波検出素子は、複数のコンタクトホールは、複数のセンサ部の各々に対応して設けられ、複数のコンタクトは、各々一端が何れかのコンタクトホールを介して第1電極に接続され、他端が共通電極配線に接続されていることを特徴とすることが好ましい。
【0019】
また、上記電磁波検出素子は、基板上に、走査配線と、第1の絶縁膜と、ドレイン電極、ソース電極、信号配線、及び共通電極配線と、第2の絶縁膜と、第2電極と、がこの順に形成されたことを特徴とすることが好ましい。
【0020】
また、上記電磁波検出素子は、各半導体層の周囲に形成された第3の絶縁膜をさらに備え、第3の絶縁膜には、第2の絶縁膜に設けられたコンタクトホールとは異なる第2のコンタクトホールが形成され、共通電極配線は、コンタクトホール及び第2のコンタクトホールを介して第1電極に接続されていることを特徴とすることが好ましい。
【0021】
また、上記電磁波検出素子の第3の絶縁膜は、無機材料で形成されたことを特徴とすることが好ましい。
【0022】
また、上記電磁波検出素子は、半導体層と第2電極の両方がスイッチング素子を覆う様に形成されていることが好ましい。
【0023】
また、上記電磁波検出素子は、照射された放射線を吸収して電磁波に変換するシンチレータ層をさらに備え、半導体層は、シンチレータ層にて変換された電磁波を受けて電荷が発生することを特徴とすることが好ましい。
【0024】
上記第2の絶縁膜は、膜厚1μm以上、かつ、比誘電率2〜4の層間絶縁膜であることが好ましい。
【0025】
また、上記電磁波検出素子は、少なくとも複数のセンサ部の外周を覆うと共に、複数のコンタクトホールが形成された第4の絶縁膜をさらに備え、複数のコンタクトが、各々第2の絶縁膜及び第4の絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して一端が第1電極に接続され、他端が共通電極配線に接続されてもよい。
【0026】
また、上記電磁波検出素子は、複数のコンタクトが、第1電極と同じ部材により形成されてもよい。
【0027】
また、上記電磁波検出素子は、第1電極が、隣接する他の第1電極と、接続部位を介して電気的に接続されることが好ましい。
【0028】
また、第1電極を、信号配線に沿って隣接する他の第1電極と接続してもよい。また、第1電極を、走査配線に沿って隣接する他の第1電極と接続してもよい。
【0029】
ここで、電磁波は上記センサ部で主として検出される電磁波を意味し、たとえば間接変換方式の放射線画像検出装置に用いられる電磁波検出素子の場合はシンチレータによって発せられる光がこれに相当する。したがって、半導体層のシンチレータと向き合う側が電磁波照射面となり、シンチレータとは反対側が電磁波の非照射面となる。一方、その他の配線層等についてはそのシンチレータ側を上流側、その反対側を下流側と表記するものとする。
【発明の効果】
【0030】
このように、本発明によれば、第1電極にバイアス電圧を供給する遮光性の低抵抗配線材料からなる共通電極配線をセンサ部よりも電磁波の下流側に形成しているので、共通電極配線を備えていても、センサ部での電磁波の利用効率の低下を防止することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1及び第2の実施の形態に係る放射線画像検出装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る電磁波検出素子の線断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るシンチレータが貼り付けられた電磁波検出素子の線断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る電磁波検出素子の製造工程を説明するための図である。
【図6】第2の実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る電磁波検出素子の線断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係るシンチレータが貼り付けられた電磁波検出素子の線断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る電磁波検出素子の製造工程を説明するための図である。
【図10】他の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。
【図11】他の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。
【図12】他の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。
【図13】従来の電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。
【図14】従来の電磁波検出素子の線断面図である。
【図15】実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の他の構成を示す平面図である。
【図16】他の構成の電磁波検出素子の線断面図である。
【図17】第3の実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。
【図18】第3の実施の形態に係る電磁波検出素子の線断面図である。
【図19】第3の実施の形態に係る電磁波検出素子の製造工程を説明するための図である。
【図20】第3の実施の形態に係る電磁波検出素子の別な例を示す線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下では、本発明を、間接変換方式の放射線画像検出装置100に適用した場合について説明する
【0033】
[第1の実施の形態]
【0034】
図1には、第1の実施の形態に係る放射線画像検出装置100の全体構成が示されている。ただし、放射線を光に変換するシンチレータは省略されている。
【0035】
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線画像検出装置100は、電磁波検出素子10を備えている。
【0036】
電磁波検出素子10は、後述する上部電極と半導体層と下部電極を備え、照射された放射線をシンチレータで変換した光を受けて電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素が2次元状に多数設けられている。
【0037】
また、電磁波検出素子10には、上記TFTスイッチ4をON/OFFするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。
【0038】
各信号配線3には、当該信号配線3に接続された何れかのTFTスイッチ4がONされることによりセンサ部103に蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されており、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をON/OFFするための制御信号を出力するスキャン信号制御装置104が接続されている。
【0039】
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路により増幅して検出することにより、画像を構成する各画素の情報として、各センサ部103に蓄積された電荷量を検出する。
【0040】
この信号検出回路105及びスキャン信号制御装置104には、信号検出回路105において検出された電気信号に所定の処理を施すとともに、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御装置104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する信号処理装置106が接続されている。
【0041】
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る電磁波検出素子10についてより詳細に説明する。なお、図2には、本実施形態に係る電磁波検出素子10の1画素単位の構造を示す平面図が示されており、図3(A)には、図2のA−A線断面図が示されており、図3(B)には、図2のB−B線断面図が示されている。
【0042】
図3(A)(B)に示すように、電磁波検出素子10は、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図2参照。)。走査配線101及びゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0043】
この走査配線101及びゲート電極2上には、走査配線101及びゲート電極2を覆い一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiN等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0044】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0045】
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3、及び当該信号配線3と並行に共通電極配線25が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている。信号配線3、ソース電極9、及び共通電極配線25が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
このソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間にはコンタクト層(不図示)が形成されている。このコンタクト層は、不純物添加アモルファスシリコン等の不純物添加半導体からなる。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。
【0047】
そして、これら半導体活性層8、ソース電極9、ドレイン電極13、信号配線3、及び共通電極配線25を覆い、基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFT保護膜層11が形成されている。このTFT保護膜層11は、例えば、SiN等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0048】
このTFT保護膜層11上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率ε=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。本実施の形態に係る電磁波検出素子10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。これにより、上層に配置される半導体層6の形状が平坦化されるため、半導体層6の凹凸による吸収効率の低下や、リーク電流の増加を抑制することができる。この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層11には、ドレイン電極13と対向する位置、及び走査配線101が形成された領域の照射面側の位置に各々コンタクトホール16、及びコンタクトホール22Aが形成されている。
【0049】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール16を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極14が形成されており、この下部電極14は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極14は、後述する半導体層6が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITO(酸化スズインジウム)など導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0050】
一方、半導体層6の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層6で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、もしくは積層膜とすることが好ましい。
【0051】
下部電極14上には、フォトダイオードとして機能する半導体層6が形成されている。本実施の形態では、半導体層6として、PIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn層、i層、p層を順に積層して形成する。なお、本実施の形態では、下部電極14を半導体層6よりも大きくしている。なお、半導体層6の膜厚が薄い場合(例えば、0.5μm以下の場合)には、TFTスイッチ4への光入射を防ぐ目的で、遮光性金属を配置してTFTスイッチ4を覆うことが好ましい。
【0052】
好ましくは、デバイス内部の光の乱反射によるTFTスイッチ4への光進入を抑制するため、TFTスイッチ4のチャネル部から遮光性金属からなる下部電極14の端部への間隔を5μm以上確保している。
【0053】
層間絶縁膜12及び半導体層6上には、各半導体層6部分で開口を持つように保護絶縁膜17が形成されている。そして、半導体層6及び保護絶縁膜17上には、少なくとも保護絶縁膜17の開口部を覆うように上部電極7が形成されている。この上部電極7には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。上部電極7は、下層に配置された、上部電極7にバイアス電圧を供給するための共通電極配線25と接続する導電部材も兼ねている。図3(B)に示すように、共通電極配線25は、第1の層間絶縁膜12に設けられたコンタクトホール22Aを介して下部電極14の層に形成されたコンタクトパッド24と接続され、さらに保護絶縁膜17に設けられたコンタクトホール22B上を上部電極7で覆うことで、上部電極7と共通電極配線25とが電気的に接続されている。
【0054】
ここで、上部電極7と、共通電極配線25に接続する導電部材とは別層の金属で形成してもかまわない。例えば、図15、及び図16に示す電磁波検出素子10の他の構成例では、半導体層6と上部電極7とのコンタクト抵抗を低減するため、上部電極7と半導体層6とを一体形成しており、図16(A)(B)に示すように、上部電極7と半導体層6とが同一形状になっている。また、保護絶縁膜17の開口部上には上部電極7と別層に共通電極配線25に接続する導電部材26を配置している。この導電部材26は上部電極7と同じく、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。
【0055】
このように形成された電磁波検出素子10には、図4に示すように、光吸収性の低い接着樹脂28等を用いてGOS等からなるシンチレータ30が貼り付けられている。
【0056】
次に、図5(A)〜(I)を参照して、第1の実施形態に係る電磁波検出素子10の製造工程の一例を説明する。
【0057】
まず、基板1上に、第1信号配線層として、ゲート電極2、走査配線101を形成する(図5(A))。この第1信号配線層は、Al、Al合金等の低抵抗金属、もしくは高融点金属からなるバリアメタル層との積層膜からなり、膜厚が100−300nm前後でスパッタリング法にて基板1上に堆積される。その後、フォトリソグラフィー技術にてレジスト膜のパターンニングを行う。その後、Al用のエッチャントによるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にて金属膜をパターンニングする。その後、レジストを除去することにより第1信号配線層が完成する。
【0058】
次に、第1信号配線層上に、絶縁膜15、半導体活性層8、コンタクト層(不図示)を順次堆積する(図5(B))。絶縁膜15はSiNxからなり膜厚は200−600nm、半導体活性層8はアモルファスシリコンからなり膜厚20−200nm前後、コンタクト層は不純物添加アモルファスシリコンからなり膜厚10−100nm前後で、P−CVD(Plasma-Chemical Vapor Deposition)法にて堆積する。その後、第1信号配線層と同様に、フォトリソグラフィー技術によりレジストのパターンニングを行う。その後、半導体活性層8と不純物添加半導体によるコンタクト層を絶縁膜15に対し選択的にドライエッチングすることにより半導体活性領域を形成する。
【0059】
次に、絶縁膜15、及び半導体活性層8の上層に、第2信号配線層として、信号配線3、ソース電極9、ドレイン電極13、共通電極配線25を形成する(図5(C))。この第2信号配線層は、第1信号配線層と同様に、Al、Al合金等の低抵抗金属、もしくは高融点金属からなるバリアメタル層との積層膜、又はMo等の高融点金属膜単層からなり、膜厚が100−300nm前後である。第1信号配線層と同様に、フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、Al用のエッチャントによるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にて金属膜をパターンニングする。その際、選択的にエッチング法を採用することにより絶縁膜15は除去されない。ドライエッチ法にて、コンタクト層と半導体活性層8の一部を除去しチャネル領域を形成する。
【0060】
次に、上記のように形成された層の上層に、TFT保護膜層11及び層間絶縁膜12を順次形成する(図5(D))。TFT保護膜層11及び層間絶縁膜12は無機材料単体の場合や、無機材料からなる保護絶縁膜と有機系材料からなる層間絶縁膜の積層により形成する場合や、有機系からなる層間絶縁膜単層により形成する場合がある。本実施形態では、下層の共通電極配線25と下部電極14間との静電容量を抑制する一方で、TFTスイッチ4の特性を安定させるため感光性の層間絶縁膜12と無機材料からなるTFT保護膜層11の積層構造としており、例えば、CVD成膜によりTFT保護膜層11を形成し、塗布系材料である感光性の層間絶縁膜12材料を塗布、プリベーク後、露光、現像のステップを通過後、焼成を行なって各層を形成する。
【0061】
次に、フォトリソグラフィー技術によりTFT保護膜層11をパターンニングする(図5(E))。なお、TFT保護膜11を配置しない場合には、このステップは必要ない。
【0062】
次に、上記の層の上層にAl系材料もしくはITO等の金属材料をスパッタリング法により堆積する。膜厚は20−200nm前後である。フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、メタル用のエッチャント等によるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にてパターンニングして下部電極14を形成する(図5(F))。
【0063】
次に、CVD法で下層より順にn、i、pの各層を堆積して半導体層6を形成する(図5(G))。膜厚は、それぞれn層50−500nm、i層0.2〜2μm、p層50−500nmである。半導体層6は各層を順に積層してフォトリソグラフィー技術により、半導体層6をパターンニングし、ドライエッチ、もしくはウェットエッチによる下層の層間絶縁膜12との選択エッチすることにより完成する。
【0064】
ここでは、n、i、pの順で積層したが、p、i、nの順で積層し、PINダイオードとしてもかまわない。
【0065】
次に、CVD法等で、半導体層6を覆うようにSiNx膜からなる保護絶縁膜17を堆積する。膜厚は100〜300nm前後である。フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、ドライエッチ法にてパターンニングし、開口部を形成する。(図5(H))。ここでは、一例としてCVD成膜のSiNxを記載したが、絶縁材料であれば適用でき、SiNxに限定するものではない。
【0066】
次に、上部電極7及び共通電極配線25との接続部位を形成する(図5(I))。上部電極7及び共通電極配線25との接続部位は上記のようにして形成された層の上層に、ITO等の透明電極材料をスパッタリング法により堆積する。膜厚は20−200nm前後である。フォトリソグラフィー技術にてパターンニングを行い、ITO用のエッチャント等によるウェットエッチ法か、ドライエッチ法にて上部電極7をパターンニングする。その際、選択的にエッチングを採用することにより、下層の保護絶縁膜17はダメージを受けない。
【0067】
最後にこのように形成された電磁波検出素子10に接着樹脂28等を用いてGOSからなるシンチレータ30が貼り付けることにより、図4に示すような電磁波検出素子10が形成される。
【0068】
次に、上記構造の放射線画像検出装置100の動作原理について説明する。
【0069】
図4の上方からX線が照射されると、照射されたX線は、シンチレータ30に吸収され、可視光に変換される。X線は、図4の下方から照射してもかまわない。この場合にも、X線はシンチレータ30に吸収され、可視光に変換される。シンチレータ30から発生する光量は、通常の医療診断用のX線撮影では0.5〜2μW/cmである。この発生した光は、接着樹脂28の層を通過して、TFTアレイ基板上にアレイ状に配置されたセンサ部103の半導体層6に照射される。
【0070】
電磁波検出素子10には、半導体層6が各画素単位に分離して備えられている。半導体層6は、共通電極配線25を介して上部電極7から所定のバイアス電圧が印加されており、光が照射されると内部に電荷が発生する。例えば、半導体層6が下層からn−i−p(nアモルファスシリコン、アモルファスシリコン、pアモルファスシリコン)の順に積層したPIN構造の場合は、上部電極7に負のバイアス電圧が印加されるものとされており、I層の膜厚が1μm程度の場合、印加されるバイアス電圧が−5〜−10V程度である。半導体層6には、このような状態で光が未照射の場合、数〜数+pA/mm以下の電流しか流れない。一方、半導体層6には、このような状態で光が照射(100μW/cm)されると、0.3μA/mm程度の明電流が発生する。この発生した電荷は下部電極14により収集される。下部電極14は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されており、TFTスイッチ4のソース電極9は、信号配線3に接続されている。画像検出時には、TFTスイッチ4のゲート電極2に負バイアスが印加されてオフ状態に保持されており、下部電極14に収集された電荷が蓄積される。
【0071】
画像読出時には、TFTスイッチ4のゲート電極2に走査配線101を介して順次ON信号(+10〜20V)が印加される。これにより、TFTスイッチ4が順次ONされることにより下部電極14に蓄積された電荷量に応じた電気信号が信号配線3に流れ出す。信号検出回路105は、信号配線3に流れ出した電気信号に基づいて各センサ部103に蓄積された電荷量を、画像を構成する各画素の情報として検出する。これにより、電磁波検出素子10に照射されたX線により示される画像を示す画像情報を得ることができる。
【0072】
ところで、本実施形態に係る電磁波検出素子10では、共通電極配線25をセンサ部103に対し、シンチレータ30からの可視光の非照射面側(可視光の下流側)に形成しており、コンタクトホール22A、22Bを介して上部電極7にバイアス電圧を供給している。
【0073】
これにより、シンチレータ30により可視光に変換されて半導体層6に照射される光が共通電極配線25よって遮断されることが無くなるため、センサ部103での光の利用効率の低下を防止することができる。
【0074】
[第2の実施の形態]
【0075】
ところで、電磁波検出素子10では、異なる種類の配線を同一の配線層で形成した場合、パターンニング不良により配線間でリークが発生しやすい。
【0076】
そこで、第2の実施の形態では、走査配線101、信号配線3、及び共通電極配線25を異なる配線層により形成した場合について説明する。
【0077】
図6には、第2の実施形態に係る電磁波検出素子10の1画素単位の構造を示す平面図が示されており、図7(A)には、図6のA−A線断面図が示されており、図7(B)には、図6のB−B線断面図が示されている。なお、図6及び図7における図2及び図3と同一部分については説明を省略する。
【0078】
図7(A)(B)に示すように、電磁波検出素子10は、基板1上に、走査配線101、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図6参照。)。
【0079】
この走査配線101及びゲート電極2上には、走査配線101及びゲート電極2を覆い一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。
【0080】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。
【0081】
この半導体活性層8の上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されており、絶縁膜15の上層には信号配線3と並行に共通電極配線25が形成されている。
【0082】
このソース電極9、ドレイン電極13及び共通電極配線25上には、ソース電極9、ドレイン電極13及び共通電極配線25を覆い、基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面に第1のTFT保護膜層11Aが形成されている。
【0083】
第1のTFT保護膜層11A上には、信号配線3、コンタクトパッド24A、及びコンタクトパッド38が形成されている。信号配線3はコンタクトホール36を介してソース電極9に接続されており(図6参照。)、コンタクトパッド24Aはコンタクトホール22Aを介して共通電極配線25に接続されており、コンタクトパッド36はコンタクトホール40を介してドレイン電極13に接続されている。
【0084】
この信号配線3、コンタクトパッド24A、及びコンタクトパッド38上には、信号配線3、コンタクトパッド24A、及びコンタクトパッド38を覆い、基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面に第2のTFT保護膜層11Bが形成され、第2のTFT保護膜層11B上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。
【0085】
この第2のTFT保護膜層11B及び層間絶縁膜12には、コンタクトパッド24Aと対向する位置、及び走査配線101が形成された領域の照射面側のコンタクトパッド38が設けられた位置に各々コンタクトホール22C及びコンタクトホール16が形成されている。
【0086】
そして、この層間絶縁膜12上には、第1の実施の形態と同様に、センサ部103の下部電極14、半導体層6、上部電極7、及び保護絶縁膜17が形成されている。コンタクトパッド24Aは第1の層間絶縁膜12に設けられたコンタクトホール22Cを介して下部電極14の層に形成されたコンタクトパッド24Bと接続され、さらに保護絶縁膜17に設けられたコンタクトホール22B上を上部電極7で覆うことで、上部電極7と共通電極配線25とが電気的に接続されている。
【0087】
そして、このように形成された電磁波検出素子10には、図8に示すように、光吸収性の低い接着樹脂28等を用いてGOS等からなるシンチレータ30が貼り付けられている。
【0088】
次に、図9(A)〜(J)を参照して、第2の実施形態に係る電磁波検出素子10の製造工程の一例を説明する。なお、図9における図5と同一部分については説明を省略する。また、各層の材料、膜圧、形成手法について、第1の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
【0089】
まず、基板1上に、ゲート電極2、走査配線101を形成し、当該ゲート電極2及び走査配線101を覆うように一面に絶縁膜15を形成し、さらに、絶縁膜15上に半導体活性層8、コンタクト層(不図示)を形成する(図9(A))。
【0090】
次に、半導体活性層8の上層に、ソース電極9、ドレイン電極13を形成し、絶縁膜15上に共通電極配線25を形成する(図9(B))。
【0091】
次に、ソース電極9、ドレイン電極13及び共通電極配線25上を覆うようにほぼ全面に第1のTFT保護膜層11Aを形成し、フォトリソグラフィー技術により第1のTFT保護膜層11Aをパターンニングする(図9(C))。
【0092】
次に、第1のTFT保護膜層11A上に信号配線3、コンタクトパッド24A、及びコンタクトパッド38を形成する(図9(D))。
【0093】
そして、上記のようにして形成された層の上層に、第2のTFT保護膜層11B及び層間絶縁膜12を順次形成する(図9(E))。
【0094】
次に、フォトリソグラフィー技術により第2のTFT保護膜層11Bをパターンニングする(図9(F))。
【0095】
次に、上記の層の上層にAl系材料もしくはITO等の金属材料をスパッタリング法により堆積し、パターンニングして下部電極14を形成する(図9(G))。
【0096】
そして、この層間絶縁膜12上には、第1の実施の形態と同様の構成で、半導体層6を形成し(図9(H))、保護絶縁膜17を形成する(図9(I))。そして、上部電極7及び共通電極配線25との接続部位を形成する(図9(J))。
【0097】
このように本実施形態に係る電磁波検出素子10は、走査配線101、信号配線3、及び共通電極配線25が異なる配線層で形成されている。
【0098】
これにより、共通電極配線25形成時にパターンニング不良が発生し、導電材料の膜が残った場合であっても、走査配線101、信号配線3とのリーク不良を生じない。
【0099】
[第3の実施の形態]
【0100】
ところで、第1及び第2の実施の形態では、上部電極7及び共通電極配線25との接続部位を保護絶縁膜17上に形成しているが、下層の保護絶縁膜17の急峻な角度の変化や、クラック等によって接続部位の断線等が発生する場合がある。
【0101】
そこで、第3の実施の形態では、各半導体層6の周囲に層間絶縁膜18をさらに形成した場合について説明する。
【0102】
図17には、第3の実施形態に係る電磁波検出素子10の1画素単位の構造を示す平面図が示されており、図18(A)には、図17のA−A線断面図が示されており、図18(B)には、図17のB−B線断面図が示されている。なお、図17及び図18における図2及び図3と同一部分については説明を省略する。
【0103】
図18(A)(B)に示すように、電磁波検出素子10は、層間絶縁膜12上に、各半導体層6部分で開口を持ちつつ各半導体層6の外周を覆うように、塗布型の層間絶縁膜18が形成されている。この層間絶縁膜18は層間絶縁膜12と同様に、低誘電率の感光性の有機材料により、センサ部103の半導体層6よりも厚く、1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0104】
また、層間絶縁膜18には、コンタクトパッド24の位置に各々コンタクトホール22Bが形成されている。なお、本実施の形態では、コンタクトホール22Bを深さ方向に径が小さくなる円錐状(テーパ形状)に形成しており、図18(B)に示すように、コンタクトホール22Bの円錐軸に対する内面の角度θが60°以下でかつ半導体層6のエッジの垂直方向に対する角度よりも大きい角度で形成している。
【0105】
半導体層6及び層間絶縁膜18上には、少なくとも層間絶縁膜18の開口部を覆うように上部電極7が形成されいる。この上部電極7は、下層に配置された、上部電極7にバイアス電圧を供給するための共通電極配線25と接続する導電部材も兼ねている。共通電極配線25は、第1の層間絶縁膜12に設けられたコンタクトホール22Aを介して下部電極14の層に形成されたコンタクトパッド24と接続され、さらに層間絶縁膜18に設けられたコンタクトホール22Bを上部電極7で覆うことで、上部電極7と共通電極配線25とが電気的に接続されている。
【0106】
そして、この層間絶縁膜18及び上部電極7上のほぼ全面には、保護絶縁膜17が形成されている。
【0107】
このように形成された電磁波検出素子10には、光吸収性の低い接着樹脂28等を用いてGOS等からなるシンチレータ30が貼り付けられている。
【0108】
次に、図19(A)〜(J)を参照して、第3の実施形態に係る電磁波検出素子10の製造工程の一例を説明する。なお、図19(A)〜(G)は図5(A)〜(G)と同一部分であるため説明を省略する。また、各層の材料、膜圧、形成手法について、第1の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
【0109】
層間絶縁膜12上に層間絶縁膜18を順次形成する(図19(H))。この層間絶縁膜18は、層間絶縁膜12を形成する際と同様に、塗布系材料である感光性の材料を塗布、プリベーク後、露光、現像のステップを通過後、焼成を行なってコンタクトホール22Bも形成する。
【0110】
そして、この層間絶縁膜18上には、第1の実施の形態と同様の構成で、上部電極7及び共通電極配線25との接続部位を形成し、上部電極7上のほぼ全面に保護絶縁膜17を形成する(図18(I))。
【0111】
本実施の形態のように、層間絶縁膜18をさらに設けることにより、図18(B)に示すように、コンタクトホール22Bの内面の角度θを緩やかにすることができるため、上部電極7及び共通電極配線25との接続部の断線等が発生することを抑制することができる。特に、上部電極7としてIZO若しくはITOを用いた場合は、急峻な角度の変化や、クラック等によって断線が発生しやすいため、本実施の形態のような構成とすることが有効である。
【0112】
また、層間絶縁膜18は、透湿性が高く、空気中の水分が浸透した場合、半導体層6からのリーク電流が増加して電磁波検出素子10のデバイス特性が変化してしまう場合があるが、本実施の形態のように、層間絶縁膜18を保護絶縁膜17で覆うことにより、層間絶縁膜18に空気中の水分が浸透することを抑制することができる。
【0113】
なお、上記第3の実施の形態では、各半導体層6の周囲に層間絶縁膜18を設けた場合について説明したが、各半導体層6の上面を覆うように設けて、各半導体層6の上面にコンタクトホールを形成するようにしてもよい。
【0114】
また、上記第3の実施の形態では、図20(A)(B)に示すように、層間絶縁膜12と層間絶縁膜18の間に、保護絶縁膜19を形成するようにしてもよい。この場合、図18(G)の工程に形成された層間絶縁膜12及び半導体層6上に、例えば、CVD成膜により無機材料からなる保護絶縁膜19を形成した後に、上述した図18(H)の工程を行って層間絶縁膜18を形成し、フォトリソグラフィー技術によりコンタクトホール22B部分及び上部電極7との接続部分の保護絶縁膜19をパターンニングする。これにより、層間絶縁膜18にコンタクトホール22Bを形成した際にコンタクトホール22B内に発生する残渣を保護絶縁膜19をパターンニングする際に除去することができる。
【0115】
また、上記各実施の形態によれば、上部電極7と共通電極配線25を接続するコンタクトホール(第1及び第3の実施の形態ではコンタクトホール22A、22B、第2の実施の形態ではコンタクトホール22A、22B、22C)を、隣合うセンサ部103の間に配置しているため、センサ部103の受光領域の面積(フィルファクター)の低下を防ぐことができる。
【0116】
通常、センサ部103は、信号配線3および走査配線101の配線負荷を低減するため、信号配線3および走査配線101の位置で分離されている。したがって、コンタクトホールは、信号配線3上又は走査配線101上に配置することになるが、画像検出ノイズを低減するため走査配線101上に配置する方が好ましい。
【0117】
また、上記各実施の形態によれば、共通電極配線25を絶縁膜(第1及び第3の実施の形態ではTFT保護膜層11及び層間絶縁膜12、第2の実施の形態ではTFT保護膜層11A、11B及び層間絶縁膜12)を介して下部電極14の非照射面側に形成しているので、下部電極14−共通電極配線25間の容量を減り、TFTスイッチ4のスイッチングノイズを減少させることができる。すなわち、このスイッチングノイズは、容量に比例して増加する。例えば、絶縁膜がSiNx等である場合、比誘電率7前後、膜厚は0.5μmぐらいが限界のため、下部電極14−共通電極配線25間の容量が大きい。そこで、本実施の形態のように層間絶縁膜12(例えば、誘電率3.5、膜厚2μm)を設けることにより容量が、例えば、1/8になり、センサ部103の容量に対して小さくなり無視できる程度になる。
【0118】
また、上記各実施の形態によれば、共通電極配線25を信号配線3と並行に形成しているので、信号配線3が共通電極配線25と交差しなくなり、信号配線3に共通電極配線25と交差したことによる配線の静電容量の増加を防ぐことができるため、信号配線3に発生する電子ノイズを低減することができる。
【0119】
また、上記各実施の形態によれば、上部電極7の一部を信号配線3に沿って延伸して、信号配線3に沿って隣接する他の画素の上部電極7と接続して共通電極配線25を冗長化している。これにより、上部電極7と共通電極配線25を接続するコンタクトホールにコンタクト不良が発生した場合でも、隣接画素から上部電極7にバイアス電圧を印加することができるためセンサ部103の動作不良を抑制できる。
【0120】
なお、上記各実施の形態では、上部電極7を信号配線3に沿って隣接する他の画素の上部電極7と接続した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、さらに上部電極7を走査配線101に沿って隣接する他の画素の上部電極7と接続してもよい。これにより、走査配線101方向に沿った電極電位分布に起因したアーティファクトの発生を抑制できる。なお、上部電極7を走査配線101に沿って隣接する他の画素の上部電極7のみと接続するようにしてもよい。
【0121】
また、図11に示すように、上部電極7を独立させ、他の画素の上部電極7と接続しないようにしてもよい。
【0122】
また、上記各実施の形態では、共通電極配線25を信号配線3と並行に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図12に示すように、共通電極配線25を走査配線101と並行に形成してもよい。
【0123】
また、上記各実施の形態では、放射線を一度シンチレータ30で光に変換し、変換した光を半導体層6で電荷に変換して蓄積する間接変換方式の電磁波検出素子10に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線を直接、アモルファスシリコン等の半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の電磁波検出素子に適用してもよい。
【0124】
間接変換方式の電磁波検出素子10では、放射線がシンチレータ30で光に変換され、シンチレータ30で変換された光を受けてセンサ部103に電荷を蓄積される。このため、間接変換方式の電磁波検出素子の場合は、本発明のセンサ部が検出対象とする画像を示す電磁波は、光である。また、本実施の形態に係る電磁波検出素子10は基板1側から放射線が照射された場合でも放射線がシンチレータ30で光に変換され、変換された光がセンサ部103に照射されて半導体層6で電荷が発生する。このため、基板1側から放射線が照射される場合でも、半導体層6の出対象とする電磁波が照射される照射面側はシンチレータ30側であり、非照射面側は基板1側となる。
【0125】
一方、直接変換方式の電磁波検出素子では、放射線を半導体層で直接電荷に変換する。このため、直接変換方式の電磁波検出素子では、本発明のセンサ部が検出対象とする画像を示す電磁波は放射線である。また、直接変換方式の電磁波検出素子の場合は、放射線を半導体層で直接電荷に変換するため、半導体層の電磁波が照射される照射面側は放射線が照射される側であり、非照射面側は放射線が照射されない側である。例えば、基板側から放射線が照射された場合は半導体層の電磁波が照射される照射面側は基板側であり、非照射面側は半導体層に対して基板の反対側となる。
【0126】
また、上記各実施の形態では、検出対象とする電磁波としてX線を検出することにより画像を検出する放射線画像検出装置100に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、検出対象とする電磁波は可視光や紫外線、赤外線等いずれであってもよい。
【0127】
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像検出装置100の構成(図1参照。)及び電磁波検出素子10の構成(図2〜図12)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0128】
3 信号配線
6 半導体層
7 上部電極(第1電極、コンタクト)
10 電磁波検出素子
11 TFT保護膜層 (第2の絶縁膜)
12 層間絶縁膜(第2の絶縁膜)
14 下部電極(第2電極)
15 絶縁膜(第1の絶縁膜)
17 保護絶縁膜 (第3の絶縁膜)
18 層間絶縁膜(第4の絶縁膜)
19 保護絶縁膜
22A、22B、22C コンタクトホール
24、24A、24B コンタクトパッド(コンタクト)
25 共通電極配線
101 走査配線
103 センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
互いに交差して配設された複数の走査配線及び複数の信号配線の各交差部と、
2次元状に配列された複数のセンサ部であって、各々が、検出対象とする画像を示す電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層、前記半導体層の前記電磁波が照射される照射面側に前記電磁波に対して透過性を有する導電性部材により形成され、当該半導体層に対してバイアス電圧を印加する第1電極、及び前記半導体層の前記電磁波に対する非照射面側に形成され、当該半導体層に発生した電荷を収集する第2電極を備えた複数のセンサ部と、
前記センサ部よりも前記電磁波の下流側に形成され、各々コンタクトホールを介して前記第1電極に接続されて前記バイアス電圧を供給する共通電極配線と、
前記走査配線と、前記信号配線及び前記共通電極配線との間に形成されている第1の絶縁膜と、
を備え、
前記信号配線及び前記共通電極配線は同層に形成されていることを特徴とする電磁波検出素子。
【請求項2】
前記第2電極で収集された電荷を前記信号配線に読み出すスイッチング素子をさらに備え、
前記スイッチング素子は、ドレイン電極及びソース電極を含み、前記ドレイン電極、前記ソース電極、前記信号配線、及び前記共通電極配線は同層に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁波検出素子。
【請求項3】
前記複数のセンサ部と前記共通電極配線との間に設けられて当該センサ部と前記共通電極配線とを絶縁し、前記複数のコンタクトホールが形成された、単層若しくは複層の第2の絶縁膜と、
各々一端が何れかの前記コンタクトホールを介して前記第1電極に接続され、他端が前記共通電極配線に接続された複数のコンタクトと、
をさらに備えたことを特徴とする
請求項2記載の電磁波検出素子。
【請求項4】
前記複数のコンタクトホールは、前記複数のセンサ部の各々に対応して設けられ、
前記複数のコンタクトは、各々一端が何れかの前記コンタクトホールを介して前記第1電極に接続され、他端が前記共通電極配線に接続されていることを特徴とする請求項3記載の電磁波検出素子。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の電磁波検出素子であって、
前記基板上に、
前記走査配線と、
前記第1の絶縁膜と、
前記ドレイン電極、前記ソース電極、前記信号配線、及び前記共通電極配線と、
前記第2の絶縁膜と、
前記第2電極と、
がこの順に形成されたことを特徴とする
電磁波検出素子。
【請求項6】
各前記半導体層の周囲に形成された第3の絶縁膜をさらに備え、
前記第3の絶縁膜には、前記第2の絶縁膜に設けられたコンタクトホールとは異なる第2のコンタクトホールが形成され、前記共通電極配線は、前記コンタクトホール及び前記第2のコンタクトホールを介して前記第1電極に接続されていることを特徴とする
請求項3から請求項5の何れか1項記載の電磁波検出素子。
【請求項7】
前記第3の絶縁膜は、無機材料で形成されたことを特徴とする
請求項6記載の電磁波検出素子。
【請求項8】
前記半導体層と前記第2電極の両方が前記スイッチング素子を覆う様に形成されていることを特徴とする
請求項2から請求項7の何れか1項記載の電磁波検出素子。
【請求項9】
照射された放射線を吸収して電磁波に変換するシンチレータ層をさらに備え、
前記半導体層は、前記シンチレータ層にて変換された電磁波を受けて電荷が発生することを特徴とする
請求項1から請求項8の何れか1項記載の電磁波検出素子。
【請求項10】
前記第2の絶縁膜は、膜厚1μm以上、かつ、比誘電率2〜4の層間絶縁膜であることを特徴とする請求項3から請求項9の何れか1項記載の電磁波検出素子。
【請求項11】
少なくとも前記複数のセンサ部の外周を覆うと共に、複数のコンタクトホールが形成された第4の絶縁膜をさらに備え、
前記複数のコンタクトは、各々前記第2の絶縁膜及び前記第4の絶縁膜に形成された前記コンタクトホールを介して一端が前記第1電極に接続され、他端が前記共通電極配線に接続された
請求項3から請求項10の何れか1項記載の電磁波検出素子。
【請求項12】
前記複数のコンタクトは、前記第1電極と同じ部材により形成された
請求項3から請求項11の何れか1項記載の電磁波検出素子。
【請求項13】
前記第1電極は、隣接する他の第1電極と、接続部位を介して電気的に接続されている
請求項1から請求項12の何れか1項記載の電磁波検出素子。
【請求項14】
前記第1電極は、前記信号配線に沿って隣接する他の第1電極と接続されている
請求項13記載の電磁波検出素子。
【請求項15】
前記第1電極は、前記走査配線に沿って隣接する他の第1電極と接続されている
請求項13又は請求項14記載の電磁波検出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−102198(P2013−102198A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6699(P2013−6699)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2008−209179(P2008−209179)の分割
【原出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】