説明

電磁波検出装置

【課題】 構成が簡単で、小型、軽量で携帯に便利であり、しかも安価な電磁波検出装置を提供する。
【解決手段】 選択度Qの小さい誘導コイル1とコンデンサ2からなる並列共振回路と、この並列共振回路にバイアス電圧を供給するバイアス電圧供給回路(ハイインピーダンス抵抗器3)と、上記並列共振回路から出力される検出信号を増幅する増幅回路8を備えたことを特徴とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、例えばテレビジョン受信機や電磁調理器など各種家電器具などから発生する電磁波ノイズを検出する電磁波検出装置に係り、特に構成が簡単で安価な電磁波検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビジョン受信機などから発生する電磁波の非常に微少な信号を検出する電磁波検出装置として、大きなコア材とコイルの巻き数を多くした低インピーダンス型の大型誘導コイルを用いた検出装置がある。また、現在研究開発されている磁気−インピーダンス(MI)効果素子を、この種の電磁波検出装置として用いることも提案されている。
【0003】
これらに関する提案として、例えば特開平5−87943号公報、特開平6−331754号公報、特開平9−61506号公報、特開平9−80134号公報、特開平9−318719号公報などを挙げることができる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
前述のように大型の誘導コイルを用いた検出装置の場合、大きなコア材を用い、コイルの巻き数を多くすることにより、それなりの検出精度が得られるが、回路規模が大きくなり、装置全体が大型化し重量が重く携帯に不便であり、コスト高になるなどの欠点を有している。
【0005】
一方、MI効果素子を用いた検出装置の場合、高感度検出が可能で検出精度が高く、広範囲の周波数帯域で電磁波の検出が可能であるが、MI効果素子自体が高価で、バイアス磁界などを供給する必要があり、回路的に複雑で規模が大掛かりとなり、非常に高価なものとなるなどの欠点を有している。
【0006】
本考案の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、構成が簡単で、小型、軽量で携帯に便利であり、しかも安価な電磁波検出装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、選択度Qの小さい誘導コイルとコンデンサからなる並列共振回路と、この並列共振回路にバアイス電圧を供給するバアイス電圧供給回路と、上記並列共振回路から出力される検出信号を増幅する増幅回路を備えたことを特徴とする第1の手段により達成される。
【0008】
また上記目的は、選択度Qの小さい誘導コイルとコンデンサからなる並列共振回路と、この並列共振回路にバアイス電圧を供給するバアイス電圧供給回路と、上記並列共振回路から出力される検出信号を増幅する増幅回路と、増幅後の検出信号と基準信号を比較して電磁波の有無を判定する判定手段と、その判定手段による判定結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする第2の手段により達成される。
【0009】
また上記目的は、上記第1の手段または第2の手段において、上記バアイス電圧供給回路は、トランジスタのコレクタとDC電源との間に直列に抵抗体を接続した定電圧源であることを特徴とする第3の手段により達成される。
【0010】
また上記目的は、上記第3の手段において、上記DC電源が電池であって、装置全体が携帯可能になっていることを特徴とする第4の手段により達成される。
【0011】
また上記目的は、上記第1の手段または第2の手段において、上記並列共振回路の共振点が数十キロヘルツで、数ヘルツから数百ヘルツの周波数帯域で電磁波が検出可能になっていることを特徴とする第5の手段により達成される。
【0012】
また上記目的は、上記第2の手段において、上記表示手段が、例えばLEDなどの発光体と、その発光体を点滅動作するための単安定マルタバイブレータとを有していることを特徴とする第6の手段により達成される。
【0013】
【考案の実施の形態】
請求項1記載の本考案によれば、選択度Qを小くしても、上記並列共振回路にはバイアス電圧が供給されるため、電磁波を感度よく検出することができ、従って誘導コイルが小さくできて、構成が簡単で、小型、軽量で携帯に便利であり、しかも安価な電磁波検出装置を提供することができる。
【0014】
請求項2記載の本考案によれば、選択度Qを小さいしても、上記並列共振回路にはバイアス電圧が供給されるため、電磁波を感度よく検出することができ、従って誘導コイルが小さくできて、構成が簡単で、小型、軽量で携帯に便利であり、しかも安価な電磁波検出装置を提供することができる。また、電磁波有無の判定と、その判定結果の表示が自動的にできて便利である。
【0015】
請求項3記載の本考案によれば、共振回路をハイインピーダンスに近い状態にすることができ、非常に小さい消費電流ですみ、そのため電源として小型電池の使用が可能となり、より一層小型化、軽量化でき携帯に便利である。
【0016】
請求項4記載の本考案によれば、電源として小型電池の使用が可能となり、より一層小型化、軽量化でき携帯に便利である。
【0017】
請求項5記載の本考案によれば、人体に悪影響をおよぼす電磁波(約1ヘルツから200キロヘルツの範囲)を感度良く検出することができる 請求項6記載の本考案によれば、判定結果が点滅表示されるため、より確実に電磁波の検出結果を認知することができる。
【0018】
以下、本考案の実施の形態を図1ならびに図2に基づいて説明する。図1は電磁波検出装置の構成ブロック図、図2はその電磁波検出装置の各部(■〜■)での波形図である。
【0019】
図中の1はコイルの選択度Qを小さくした誘導コイル、2はコンデンサで、この誘導コイル1とコンデンサ2により選択度Qの小さいLとCからなる並列共振回路が形成され、数十キロヘルツに共振点をもたせることにより、数ヘルツから数百キロヘルツまでの広い周波数帯域で動作可能となり、人体に悪影響を及ぼす電磁波(約1ヘルツから200キロヘルツの範囲)を感度良く検出することができる。
【0020】
なお、上記コイルの選択度QはQ=(W・L)/(R)で定義され、式中のWはコイルの大きさ(径×長さ)、Lはコイルのインダクタンス、Rはコイルの内部抵抗である。
【0021】
3はその並列共振回路にバイアス電圧を供給するためのバイアス電圧供給回路の一部となるバイアス電圧供給用のハイインピーダンス抵抗器(例えば抵抗値が10MΩ前後)である。上記バイアス電圧供給回路は図示していないが、トランジスタのコレクタとDC電源との間に直列に大きな抵抗体を接続した定電圧源で、電源として小型の電池(1次電池または2次電池で、例えば端子電圧が3V)
が使用でき、そのため携帯タイプの電磁波検出装置が実現可能である。
【0022】
4はハイインピーダンス入力バッファ回路で、誘導コイル1に発生した起電力の電流分、すなわち上記並列共振回路から出力される検出信号を増幅する増幅回路となっている。5は、帰還容量コンデンサーおよび整流器である。
【0023】
6は抵抗体、7は基準バイアス供給フィルター回路、8は上記抵抗体6からの入力信号を数百倍程度に増幅する差動増幅器である。上記バッファ回路4と増幅器8により、誘導コイル1に誘起した交流分のみ検出することができる。
【0024】
差動増幅器8で増幅された信号はコンパレータ9に入力され、基準値(基準電圧)と比較することにより人体に悪影響を及ぼす電磁波の有無を判定し、その判定結果が単安定マルチバイブレータ(M・M)を介して発光ダイオード(LED)に入力され、検出結果などがLEDで点滅表示される。
【0025】
図2は、この電磁波検出装置の各部における波形図で、■は誘導コイル1の出力波形で、Nが誘導コイル1で検出された電磁ノイズ、VB がバイアス電圧である。■はフィードパックされた信号で、波高値が■のものよりも若干小さくなっている。■はバッファ回路4の出力波形、■は抵抗体6の出力波形で、■と■は同一波形である。■は基準バイアス供給フィルター回路7の出力波形で、これが電磁波ノイズの有無を判断するための基準となる。■は差動増幅器8の出力波形で、波形が所定の比率で増幅されている。■はコンパレータ9の出力波形で、電磁波ノイズ有りと判定された波形である。■は単安定マルチバイブレータM・Mの出力波形で、tがLEDがONする時間で、電磁波ノイズ有りと判定された場合にLEDが点滅表示される。
【0026】
本実施の形態では電磁波ノイズ有りと判定された場合にLEDにより表示したが、例えばブザー、メロデイー、電子音声あるいはバイブレータによる振動など他の手段による表示(報知)も可能である。
【0027】
【考案の効果】
請求項1記載の本考案によれば、選択度Qを小さくしても、上記並列共振回路にはバイアス電圧が供給されるため、電磁波を感度よく検出することができ、従って誘導コイルが小さくできて、構成が簡単で、小型、軽量で携帯に便利であり、しかも安価な電磁波検出装置を提供することができる。
【0028】
請求項2記載の本考案によれば、選択度Qを小さいしても、上記並列共振回路にはバイアス電圧が供給されるため、電磁波を感度よく検出することができ、従って誘導コイルが小さくできて、構成が簡単で、小型、軽量で携帯に便利であり、しかも安価な電磁波検出装置を提供することができる。また、電磁波有無の判定と、その判定結果の表示が自動的にできて便利である。
【0029】
請求項3記載の本考案によれば、共振回路をハイインピーダンスに近い状態にすることができ、非常に小さい消費電流ですみ、そのため電源として小型電池の使用が可能となり、より一層小型化、軽量化でき携帯に便利である。
【0030】
請求項4記載の本考案によれば、電源として小型電池の使用が可能となり、より一層小型化、軽量化でき携帯に便利である。
【0031】
請求項5記載の本考案によれば、人体に悪影響をおよぼす電磁波(約1ヘルツから200キロヘルツの範囲)を感度良く検出することができる 請求項6記載の本考案によれば、判定結果が点滅表示されるため、より確実に電磁波の検出結果を認知することができるなどの特長を有している。
【提出日】平成10年7月3日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 選択度Qの小さい誘導コイルとコンデンサからなる並列共振回路と、この並列共振回路にバアイス電圧を供給するバアイス電圧供給回路と、上記並列共振回路から出力される検出信号を増幅する増幅回路を備えたことを特徴とする電磁波検出装置。
【請求項2】 選択度Qの小さい誘導コイルとコンデンサからなる並列共振回路と、この並列共振回路にバアイス電圧を供給するバアイス電圧供給回路と、上記並列共振回路から出力される検出信号を増幅する増幅回路と、増幅後の検出信号と基準信号を比較して電磁波の有無を判定する判定手段と、その判定手段による判定結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする電磁波検出装置。
【請求項3】 請求項1または2記載において、上記バアイス電圧供給回路は、トランジスタのコレクタとDC電源との間に直列に抵抗体を接続した定電圧源であることを特徴とする電磁波検出装置。
【請求項4】 請求項3記載において、上記DC電源が電池であって、装置全体が携帯可能になっていることを特徴とする電磁波検出装置。
【請求項5】 請求項1または2記載において、上記並列共振回路の共振点が数十キロヘルツで、数ヘルツから数百ヘルツの周波数帯域で電磁波が検出可能になっていることを特徴とする電磁波検出装置。
【請求項6】 請求項2記載において、上記表示手段が、発光体と、その発光体を点滅動作するための単安定マルタバイブレータとを有していることを特徴とする電磁波検出装置。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3054770号
【登録日】平成10年(1998)9月30日
【発行日】平成10年(1998)12月18日
【考案の名称】電磁波検出装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平10−4017
【出願日】平成10年(1998)6月8日
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)