説明

電磁波遮断ケース

【課題】全体重量を減少させながらも電磁波遮断効果を大きくすることができる電磁波遮断ケースを提供する。
【解決手段】コネクタ47を有する回路基板40の電磁波遮断ケースであって、電磁波遮断ケース内に積載された回路基板40の上部を覆う上部ケース20と、上部ケースと結合して、回路基板40が積載された内部空間を形成する下部ケース30と、電磁波を遮断することができるシールド10と、を有して構成され、シールド10は、内部空間に積載された回路基板40を覆って装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁波遮断ケースに関し、より詳細には、電磁波を効率的に遮断することができる電磁波遮断ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電磁波を遮断するためのケースの製造方法には、電磁波を遮断することができる金属材質でケースを直接製造したり、ケースの表面に電磁波を遮断することができる特殊塗料をペイントする方法が用いられる。
しかし、金属材質でケース全体を製造しようとすると、全体の重量が大きくなり扱い難くなるばかりか、製造コストも嵩んでくる。一方、電磁波遮断塗料を用いると、重量を減らす上ではよいが、肝心の電磁波遮断効果が金属材質に比べて低下する問題がある。
【0003】
また、電磁波遮断部材を一部に用いて軽量化を図った電子機器ケースが提案され、例えば、ケースの少なくとも一部に電磁波を遮断する部材を設けたICカード用ケース〔特許文献1〕、導電性を有する繊維が編み込まれたメッシュ地をはり合わせて電磁波遮断材として用いた電子機器ケース〔特許文献2〕、織編物生地の表面側に電磁波遮断層、裏面側に電磁波吸収層を有する記録媒体の保護材〔特許文献3〕、2つの電磁波遮断層を互いに離間させた介在層を置いて重ねて構成した携帯電話ケース〔特許文献4〕などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−030014号公報
【特許文献2】特開平10−071016号公報
【特許文献3】特開2006−341871号公報
【特許文献4】特開2008−036042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題点を解決するためになされた本発明の目的は、全体重量を減少させながらも電磁波遮断効果を大きくすることができる電磁波遮断ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明の電磁波遮断ケースは、コネクタを有する回路基板の電磁波遮断ケースであって、電磁波遮断ケース内に積載された回路基板の上部を覆う上部ケースと、上部ケースと結合して、回路基板が積載された内部空間を形成する下部ケースと、電磁波を遮断することができるシールドと、を有して構成され、シールドが、内部空間に積載された回路基板上を覆って装着される。
【0007】
本発明の電磁波遮断ケースの好ましい形態では、上部ケースには、コネクタを収容する収容溝が形成される。
【0008】
また、回路基板には、少なくとも1つ以上の固定溝が形成され、シールドには固定溝に対応する固定突起が形成され、固定溝に固定突起が結合することによってシールドが回路基板上に設置される。
【0009】
上部ケースと下部ケースは、共にプラスチック材質で形成され、シールドは、電磁波を遮断することができる金属材質で形成される。
【0010】
シールドは、その下部が開口して、回路基板上の部品を覆うことができる形体にする。また、シールドが、回路基板上の一部の部品を覆って、その一部の部品で発生した電磁波を遮断するするように形成することができる。
【0011】
上部ケースは、シールドとインサート射出成形されて一体に形成される。このとき、シールドは、上部ケースよりも小さく形成され、シールドが設定された位置にくるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電磁波遮断ケースは、電磁波を遮断する金属材質を部分的に用いることにより、軽量にすることができる。また、部分的な電磁波遮断が可能になることにより、ケース外部との遮断だけではなく、ケース内の部品間の電磁波までも遮断することができる。
さらに、金属材質のシールド(shield)をプラスチックケースと一体に加工することにより、工程が簡単ながらも電磁波遮断効果を最大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電磁波遮断ケースの分解図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電磁波遮断ケースの斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿って切開した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図3を参照すると、本発明の電磁波遮断ケースは、シールド10、上部ケース20、および下部ケース30を有する構成であり、この電磁波遮断ケース内に回路基板40が積載される。
【0015】
回路基板40は、銅箔(copper sheet)が印刷(laminated)され、集積回路、抵抗器、スイッチなどの電気部品41、42が備えられた印刷回路基板(printed circuit boardd)などであり、回路基板40にコネクタ47が備えられ、さらに固定溝45が形成される。
【0016】
コネクタ47は、回路基板40を他の電子装置あるいは電源供給源と連結できるようにするもので、回路基板40の側方向に一部突出して設けられる。また、固定溝45は、回路基板40を貫通してもよい。
【0017】
シールド10は、電磁波を遮断することができる金属で形成され、回路基板40で発生する電磁波を遮断する。図1では、シールド10を六面体の形状で示したが、この形体に限定されるものではない。
【0018】
また、シールド10は、回路基板40に設けられた電気部品41、42のうちから選ばれた特定の部品41のみを覆う大きさでもよい。さらに、図3を参照すると、シールド10は、その下部が開口して形成されて、電気部品41を覆うことができるようにする。そして、このシールド10の一端に固定突起15が形成され、固定溝45に収容されて、シールド10を回路基板40に固定させている。
【0019】
上部ケース20は、回路基板40の上部を広く覆う。図1では、上部ケースをその下部が開口した六面体の形状で示したが、これに限定されるものではない。
上部ケース20は、締結ホール23とコネクタ収容溝27を有している。締結ホール23とコネクタ収容溝27は、上部ケース20の側面に形成されていてもよい。コネクタ収容溝27は、上部ケース20が回路基板40の上部を覆うようにコネクタ47を収容する。
【0020】
下部ケース30は、回路基板40の下部を支えながら上部ケース20と結合する。図1では、下部ケース30を厚みのある平板で示したが、勿論これに限定するものではない。
【0021】
下部ケース30には、締結突起33を設ける。締結突起33は、例えば下部ケース30の側面に形成して、上部ケース20に設けられた締結ホール23に嵌め込まれて、上部ケース20と下部ケース30が互いに結合される。
【0022】
上部ケース20と下部ケース30は、プラスチック材質で形成されるのが便利である。図3を参照すれば、上部ケース20と下部ケース30の結合によって内部空間50が形成され、回路基板40とシールド10は、その内部空間50に位置するようにする。
【0023】
図1では、電磁波遮断ケースの各構成要素を分解した状態で示したが、上部ケース20とシールド10は一体に形成される。一体化形成の一例を挙げれば、電磁波を遮断することができる金属で加工されたシールド10を固定させて、上部ケース20のプラスチック材質をインサート成形(insert molding)してできる。シールド10が上部ケース20の設定された位置に備えられるように加工され、シールド10の位置に合わせて回路基板40の固定溝45が形成される。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る電磁波遮断ケースの斜視図である。上部ケース20の開口した下部に下部ケース30を塞いで結合して電磁波遮断ケースとなる。従って、回路基板40、シールド10、およびコネクタ47の一部は結合したケース20、30の内部に位置し、コネクタ47は結合したケース20、30の外部に部分的に突出したようになる。
【0025】
また、シールド10は、回路基板40上の特定の一部の部品41のみを部分的に覆うことにより、その特定部品41に対して電磁波を遮断することもできる。
【0026】
図3には、シールド10と上部ケース20がインサート射出成形されて一体に形成されて、シールド10の上面が上部ケース20の上面に浅く挿入している形状を示した。ここで、インサート射出成形(insert injection molding)は、金型内で異質のプラスチックやプラスチック以外の部品を鋳造物と一体化させるインサート成形(insert molding)による射出成形(injection)が用いられたことを意味する。
【0027】
上述したように、本発明の電磁波遮断ケースは、電磁波を遮断することができる金属が部分的に用いられたプラスチック材質ケースであって、これにより軽量とすることができる。
また、部分的な電磁波遮断が可能になることにより、ケース外部との遮断だけではなく、ケース内の特定部品の電磁波を遮断することができる。
【0028】
さらに、金属材質のシールド10をプラスチックで形成された上部ケース20と一体に加工することにより、製作工程を簡単にすることができる。
【0029】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態から当業者が容易に変更でき、あるいは均等であると認められる範囲の全てを含むものである。
【符号の説明】
【0030】
10:シールド
15:固定突起
20:上部ケース
23:締結ホール
27:コネクタ収容溝
30:下部ケース
33:締結突起
40:回路基板
45:固定溝
47:コネクタ
50:内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタを有する回路基板の電磁波遮断ケースであって、
前記電磁波遮断ケース内に積載された回路基板の上部を覆う上部ケース、
前記上部ケースと結合して、前記回路基板が積載された内部空間を形成する下部ケース、
電磁波を遮断することができるシールド、
を有して構成され、
前記シールドが、前記内部空間に積載された前記回路基板上を覆って装着されることを特徴とする電磁波遮断ケース。
【請求項2】
前記上部ケースには、前記回路基板に備えられたコネクタを収容する収容溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮断ケース。
【請求項3】
前記回路基板には少なくとも1つ以上の固定溝が形成され、前記シールドには前記固定溝に対応する固定突起が形成され、前記固定溝に前記固定突起が嵌入結合することによって前記シールドが前記回路基板上に装着されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮断ケース。
【請求項4】
前記上部ケースおよび前記下部ケースは、プラスチック材質で形成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮断ケース。
【請求項5】
前記シールドは、電磁波を遮断することができる金属材質で形成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮断ケース。
【請求項6】
前記シールドは、その下部が開口して、前記回路基板上の部品を覆うことができることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮断ケース。
【請求項7】
前記シールドは、前記回路基板上の一部の部品を覆い、前記一部の部品から発生する電磁波を遮断するように形成されることを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮断ケース。
【請求項8】
上部ケースは、前記シールドとインサート射出成形されて一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮断ケース。
【請求項9】
前記シールドは、前記上部ケースよりも小さく形成され、
前記上部ケースは、前記シールドが設定された位置に備えられるようにインサート射出成形されることを特徴とする請求項8に記載の電磁波遮断ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−55312(P2013−55312A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258743(P2011−258743)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【出願人】(511288005)韓国オムロン電装株式会社 (1)
【Fターム(参考)】