説明

電磁継電器

【課題】電磁継電器のリレー作動音の放出を効果的に低減する。
【解決手段】電磁石32と電磁石32の作動に伴い開閉する接点部34とを有する電磁継電器本体3と、電磁継電器本体3を支持する端子部材2と、端子部材2を支持するベース部材1とを備える。端子部材2は、一端部に、電磁継電器本体3に電気的に接続される接続部211〜251を、他端部に、ベース部材1を貫通する端子部212〜252をそれぞれ有する複数の板部材21〜25により構成され、接続部211〜251で、ベース部材1と電磁継電器本体3との間に空隙を設けて電磁継電器本体3を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静音機能を有する電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リレー接点の開閉時に発生する動作音を低減するようにした電磁継電器が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の電磁継電器では、電磁継電器本体が収納された内ケースと、内ケースの外周を覆う外ケースと、内ケースと外ケースの間に配設され、一端部が内ケース表面の端子部に接続され、他端部が外ケースから突出して外部端子となる中継端子板とを備え、中継端子に凹凸部を設けて、凹凸部でリレー動作音による振動を減衰させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−215775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の電磁継電器は、内ケースと外ケースの二重ケース構造を有するため、リレー作動時の反響音が大きくなり、十分な静音効果を得ることができない。また、接点やコイル等の発熱部の放熱性も悪化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による電磁継電器は、電磁石と該電磁石の作動に伴い開閉する接点部とを有する電磁継電器本体と、電磁継電器本体を支持する端子部材と、端子部材を支持するベース部材とを備え、端子部材は、電磁継電器本体に電気的に接続される接続部を有し、この接続部で、ベース部材と電磁継電器本体との間に空隙を設けて電磁継電器本体が支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ベース部材と電磁継電器本体との間に空隙を設けて端子部材により電磁継電器本体を支持するようにしたので、リレー作動時の反響音を大きくすることなく、かつ、リレーの発熱部の放熱性を悪化させることなく、リレーの動作音等を端子部材により吸収でき、良好な静音効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電磁継電器の外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る内部構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電磁継電器の分解斜視図である。
【図4】(a)は図3のベース部材の平面図であり、(b)は側面図である。
【図5】図3の端子部材の斜視図である。
【図6】図3のリレー本体の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る電磁継電器の要部構成を示す斜視図である。
【図8】端子部材の一部にフレキシブル基板を用いる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施の形態−
以下、図1〜図6を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁継電器100の外観構造を示す斜視図であり、図2は、その内部構成を示す斜視図、図3は、分解斜視図である。なお、以下では、便宜上、図示のように前後左右方向および上下方向を定義し、これに従い各部の構成を説明する。
【0009】
本実施の形態に係る電磁継電器100は、ベース部材1と、ベース部材1に組み込まれる端子部材2と、端子部材2により支持されるリレー本体3と、ベース部材1に取り付けられて、ベース部材1の上方の端子部材2とリレー本体3とを包囲するカバー4とを有する。
【0010】
図4(a),(b)は、それぞれベース部材1の平面図および側面図である。図3,4に示すように、ベース部材1は、平面視略矩形状の板状のベース部10と、ベース部10の上面から上方に突設された平面視略コ字形状の膨出部11とを有する。ベース部材1は左右対称形状をなし、樹脂成形により一体に形成されている。膨出部11は、ベース部10の上面後端部において左右方向に延在する略直方体形状の第1膨出部111と、第1膨出部111の前面左右両端部から前方に延在する略直方体形状の左右一対の第2膨出部112とを有する。第1膨出部111の上面高さは第2膨出部112の上面高さよりも高い。
【0011】
ベース部10の上面には、第1膨出部111の前後方向中央部からベース部10の後端部にかけて左右一対の浅溝13(第1浅溝131、第2浅溝132)が形成されている。また、第1膨出部111の前後方向中央部からベース部10の前端部にかけて3列の浅溝13(第4浅溝134、第3浅溝133、第5浅溝135)が形成されている。これら浅溝131〜135の底面高さは互いに等しい。
【0012】
第1浅溝131および第2浅溝132は、それぞれ一定の幅(左右方向長さ)にて左右の第2突出部112のほぼ延長線上に延設されている。第4浅溝134および第5浅溝135は、それぞれ一定の幅にて第2膨出部112の左右内側面および前面に沿って形成され、平面視略クランク形状をなしている。第3浅溝133は、第4浅溝134と第5浅溝135の間を前後方向直線状に延びている。第3浅溝133は、第4浅溝134および第5浅溝135よりも幅広であり、ベース板部10の前端部近傍にて幅が狭まり、第4浅溝134および第5浅溝135と同程度の幅となっている。第1浅溝131および第2浅溝132の幅は第4浅溝134および第5浅溝135の幅と同程度である。
【0013】
第1浅溝131、第2浅溝132の前端部および第3浅溝133、第4浅溝134、第5浅溝135の後端部は、左右方向同一直線上に位置し、かつ、それぞれ第1膨出部112内において段付き状に幅が変化するように形成されている。一方、第1浅溝131、第2浅溝132の後端部および第3浅溝133、第4浅溝134、第5浅溝135の前端部には、それぞれベース部10を上下方向に貫通する貫通穴14が設けられている。
【0014】
図5は、図3とは異なる方向から見た端子部材2の斜視図である。端子部材2は、リレー本体3に電気接続される導電性板部材であり、この電気接続部に対応した数(ここでは5本)の互いに独立した細長形状の板部材(第1板部材21〜第5板部材25)により構成されている。各板部材21〜25は、リレー本体3に電気接続される開口部211〜251を一端部に、電磁継電器100の外部端子である端子部212〜252を他端部にそれぞれ有する。図5において、前後、左右および上下方向をそれぞれX,Y,Z方向と定義すると、各板部材21〜25は、共通のXZ面(右面部26)からYZ面(後面部27)およびXY面(底面部28)にかけてそれぞれ折り曲げて延設され、さらにXY平面から下方に折り曲げられている。すなわち、端子部材2は互いに直交する3つの面に沿って形成され、XZ面とYZ面との交差部およびYZ面とXY面との交差部にそれぞれ折り曲げ部20a,20bが設けられている。
【0015】
各板部材21〜25の形状をさらに詳述する。各板部材21〜25は、XZ面では隣り合う板部材21〜25同士との間に隙間を空けて、一定の幅(上下方向長さ)にて前後方向に互いに平行に延設されている。さらに、YZ面では、一定幅にて左右方向に互いに平行に延設された後、隣り合う板部材21〜25同士との間隔を一定に保ったまま下方に向きを換えて延設されている。すなわち、各板部材21〜25は、互いに接触することなく、YZ面では略L字形状をなしている。各板部材21〜25の幅は、後述するように板部材21〜25に電気接続されるリレー本体3の端子部34の種類に応じて定められ、第2板部材22と第3板部材23の幅が最も広く、第4板部材24と第5板部材25の幅が最も狭い。
【0016】
YZ面で下方に延設された板部材21〜25のうち、左右両側の第1板部材21と第2板部材22は、折り曲げ部20bで略直角に後方に折り曲げられ、第3板部材23〜第5板部材25は、折り曲げ部20bで略直角に前方に折り曲げられている。折り曲げ後の板部材21〜25は、XY面において互いに接触することなく延設され、各板部材21〜25の先端部はその後、下方に折り曲げられ、端子部212〜252が形成されている。
【0017】
図3に示すように、端子部材2の右面部26では、第1板部材21と第2板部材22の前端部が最前部に位置し、その後方に第4板部材24と第5板部材25の前端部が位置している。第3板部材23の前端部は、XZ面の後端側に位置している。第1板部材21と第2板部材22の前端部には上下方向内側に向けて凸部が形成され、第4板部材24と第5板部材25の前端部にも上下方向内側に向けて凸部が形成されている。これら凸部にはそれぞれ略矩形の開口部211,221,241,251が設けられている。第3板部材23の前端部にも略矩形の開口部231が設けられている。これら開口部211〜251は、後述するリレー本体3の端子部34の位置に対応して設けられ、各開口部211〜251にリレー本体3の端子部34が挿入される。この端子部34の挿入を容易にするために、各開口部211〜251から板部材21〜25の端面にかけてスリットが形成されている。
【0018】
リレー本体3は、ベースブロック31と、ベースブロック31に支持される電磁石32と、電磁石32の作動に伴い開閉動作する接点部33と、ベースブロック31の端面から突設された端子部34とを有し、全体が略直方体形状をなしている。ベースブロック31は、リレー本体3の基部を形成する電気絶縁性の樹脂成形品であるが、本実施の形態では、リレー本体3を横に倒して配置し、ベースブロック31の底面を端子部材2の右面部26に面して配置している。
【0019】
図6は、リレー本体3の内部構成を示す断面図である。なお、図6では、リレー本体3を立てた状態で示しており、図6のリレー本体3を紙面手前側に90度倒すと図3の状態となる。ここでは、図6に示すように前後方向、上下方向を定義し、リレー本体3の構成を説明する。
【0020】
図6に示すように、電磁石32は、ベースブロック31上に立設された中空状の巻枠321と、巻枠321の内部に収容された鉄心322と、巻枠321の周面に装着されたコイル323とを有する。コイル323の巻線の両端部には、一対のコイル用端子344,345が接続され、コイル用端子344,345はベースブロック31を貫通して下方に突設されている。鉄心322の下端部には継鉄324が固定的に連結されている。継鉄324は、例えば磁性鋼から形成される断面L字状の剛性板部材であり、コイル323の後方を延在し、その上端部には、接極子325が上下方向に揺動可能に支持されている。接極子325は、例えば磁性鋼から形成される剛性板部材であり、接点部33に装備される可動接点ばね部材338を介して継鉄324に弾性的相対移動可能に支持されている。電磁石32が作動すると、鉄心322、継鉄324および接極子325の間に磁気回路が形成される。
【0021】
接点部33は、上下に離間して配置された第1固定端子部材336および第2固定端子部材337と、第1固定端子部材336と第2固定端子部材337の間に配置された可動接点ばね部材338とを有する。第1固定端子部材336の先端部下面および第2固定端子部材337の先端部上面にはそれぞれ第1固定接点331,第2固定接点332が突設され、可動接点ばね部材338の先端部の上下面にはそれぞれ可動接点333が突設されている。第1固定接点331、第2固定接点332、可動接点333、第1固定端子部材336、第2固定端子部材337および可動接点ばね部材338はそれぞれ導電性の金属材料により構成されている。
【0022】
図3に示すように、第1固定端子部材336および第2固定端子部材337は、ベースブロック31に向けて延設された略L字状の板部材により構成され、その先端部にはそれぞれベースブロック31を超えて固定端子用端子部341,342が形成されている。図6に示すように、可動接点ばね部材338は継鉄324の後方を通ってベースブロック31を貫通し、その先端部には可動端子用端子部343が形成されている。以上の固定端子用端子部341,342、可動端子用端子部343およびコイル用端子部344,345は、それぞれリレー本体3の端子部34を構成する。
【0023】
図3において、固定端子用端子部341,342は、それぞれリレー本体3の前端部の上面および下面から右方に突設され、可動端子用端子部343は、リレー本体3の後端面中央部から右方に突設されている。コイル用端子部344,345は、固定端子用端子部341,342よりも後方かつ上下方向内側から右方に突設されている。すなわち、各端子部341〜345は、端子部材2の開口部211〜251の位置に対応している。
【0024】
カバー4は、底面が開口された全体が略ボックス形状をなし、樹脂成形によって形成されている。カバー4の底面形状はベース部材1の外形形状とほぼ等しく、カバー4の内側面にベース部材1を取付け可能である。
【0025】
本実施の形態に係る電磁継電器100の組立手順を説明する。まず、ベース部材1の第2浅溝22の貫通穴14に上方から第2板部材22の端子部222を挿通し、第2板部材22の底面部28を第1膨出部11およびベース部10の第2浅溝132に嵌合する。同様に、第5浅溝135の貫通穴14に第5板部材25の端子部252を、第3浅溝133の貫通穴14に第3板部材23の端子部232を、第4浅溝134の貫通穴14に第4板部材24の端子部242を、第1浅溝131の貫通穴14に第1板部材21の端子部212をそれぞれ挿通する。そして、第5板部材25、第3板部材23、第4板部材24および第1板部材21の底面部28を、それぞれ第1膨出部11およびベース部10の第5浅溝135、第3浅溝133、第4浅溝134および第1浅溝131に嵌合する。以上の手順によれば、各板部材21〜25が互いに干渉することなく、複数の板部材21〜25からなる端子部材2をベース部材1に組み付けることができる。
【0026】
次いで、図3に示すようにリレー本体3を横に倒してベースブロック31の底面を端子部材2の右面部26に対向させた状態で、リレー本体3を右面部26に向けて移動し、リレー本体3の各端子部341〜345を端子部材2の開口部211〜251にそれぞれ挿入する。その後、各端子部341〜345をはんだ付けによって端子部材2の開口部211〜251に固定する。これによりリレー本体3の各端子部341〜345が端子部材2の各板部材21〜25に電気的に接続されるとともに、図2に示すようにリレー本体3は、ベース部材1の上面から隙間を空けた状態で、端子部341〜345を介して端子部材2の右面部26に片持ちで支持される。
【0027】
最後に、ベース部材1の上方からカバー4を被せ、接着剤によりベース部材1にカバー4を固定する。以上により、図1に示すように電磁継電器100が完成する。この電磁継電器100は、基板等に実装され、電磁継電器100の底面から突出した端子部212〜252が外部の電気部品に電気的に接続される。例えば、端子部材212〜232が各種電気部品に電力を供給するうめの電力供給回路に接続され、端子部214,215がコイル323に電圧を印加するための電源回路に接続される。
【0028】
本実施の形態に係る電磁継電器100の動作を説明する。外部の電源回路から端子部242,252に電圧が印加されると、第4板部材24、コイル用端子344、コイル323、コイル用端子345および第5板部材25を順次電流が流れ、コイル323が励磁される。これにより電磁石32が作動し、その磁気吸引力により接極子325が可動ばね部材338のバネ力に抗して鉄心322の端面に吸引され、可動接点333が第1固定接点331から離間して、第2固定接点332に当接する。その結果、端子部222から第2板部材22、固定端子用端子部342、第2固定接点332、可動接点333、可動端子用端子部343、第3板部材23および端子部232までの回路が形成される。
【0029】
一方、端子部242,252への電圧の印加が停止すると、コイル323が非励磁となる。これにより可動ばね部材338のバネ力により接極子325が鉄心322の端面から離間し、可動接点333が第2固定接点332から離間して第1固定接点331に当接する。その結果、端子部212から第1板部材21、固定端子用端子部341、第1固定接点331、可動接点333、可動端子用端子部343、第3板部材23および端子部232までの回路が形成される。
【0030】
以上のように電磁石32の作動、非作動が切り換わると、リレー本体3から動作音が発生する。この動作音は端子部材2に伝達し、板部材21〜25を伝播する際に減衰される。本実施の形態では、板部材21〜25を長尺に形成しているため、リレー本体3の動作音を端子部材2内で十分に減衰することができ、ベース部材1や端子部212〜252を介して外部へ音が伝達することを抑制することができ、十分な静音化を図ることができる。
【0031】
本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)ベース部材1に端子部材2を取り付け、端子部材2にリレー本体3の端子部34を接続し、ベース部材1から隙間を空けてリレー本体3を支持するようにした。これによりリレー本体3で発生した作動音がベース部材1に直接伝わらず、端子部材2で作動音を減衰させることができ、良好な静音効果を発揮することができる。この場合、リレー本体3を単一のカバー4により覆うので、二重カバー構造のものと比べ、反響音を低減することができ、放熱性も高めることができる。
【0032】
(2)端子部材2をリレー本体3の端子部34に対応した複数の板部材21〜25により構成するとともに、板部材21〜25の端部に開口部211〜251を設け、各端子部34をそれぞれ開口部211〜251に貫通させてリレー本体3を支持するので、リレー本体3を端子部材2によりバランスよく支持することができる。
(3)各板部材21〜25を、互いに直交するXZ面、YZ面およびXY面にかけて延設するようにしたので、板部材21〜25を長尺化することができ、作動音の減衰効果を高めることができる。
【0033】
−第2の実施の形態−
図7,図8を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、ベース部材1とリレー本体3との間の隙間に緩衝材を設ける点である。
【0034】
図7は、第2の実施の形態に係る電磁継電器100の要部構成を示す斜視図であり、図では、リレー本体3とカバー4の図示を省略している。なお、図1〜図6と同一の箇所には同一の符号を付し、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。ベース部材1の左右の第2膨出部112の上面には、平面視略矩形状の緩衝材5が配置されている。第2膨出部112の前端部には、上方に突出する突起部112aが設けられ、緩衝材5は突起部112aにより位置が規制されている。なお、突起部112aの上面は緩衝材5の上面よりも低い。緩衝材5は、ゴムやウレタン等により構成され、弾力性を有する。
【0035】
このようにベース部材1の上面に緩衝材5を配置した状態で、第1の実施の形態と同様にして、端子部材2にはリレー本体3が取り付けられる。この場合、緩衝材5の厚さは、ベース部材1とリレー本体3との間の隙間と同程度であり、緩衝材5の上面はリレー本体3に接触している。この状態で端子部材2を支点にしてリレー本体3が振動すると、リレー本体3は緩衝材5を反力を受けて振動するが、リレー本体3はベース部材1には接触しない。これにより、リレー本体3とベース部材1との接触時に生じる振動音(がたつき音)の発生を抑えることができる。この場合、緩衝材5は音を伝達しにくい性質があるため、リレー本体3が緩衝材5に接触した場合であっても、リレー本体3の作動音が緩衝材5を介してベース部材1へ伝達することを防止できる。なお、緩衝材5の厚さをベース部材1とリレー本体3との間の隙間よりも薄くし、緩衝材5とリレー本体3との間に微少の隙間を設けるようにしてもよい。
【0036】
以上では、リレー本体3を緩衝材5に接触させることで振動音を抑制するようにしたが、ベース部材1から突出した突起部112aに接触させることで振動音を抑制するようにしてもよい。この場合、突起部112aの高さを図7のものより高くして、突起部112aをリレー本体3の底面に当接させ、リレー本体3の底面を突起部112aで支持するようにしてもよい。これによりリレー本体3の振動音の発生を抑えることができる。この場合、リレー本体3の作動音は突起部112aを介してベース部材1に伝達されるが、リレー本体3と突起部112aとの接触面積は小さいため、作動音の伝達量は少ない。なお、突起部112aと微少の隙間を設けるようにしてもよい。突起部112aを高くした場合には緩衝材5を省略することができるが、緩衝材5をそのまま配置してもよい。
【0037】
ベース部材1とリレー本体3との間に緩衝材5を配置した場合、あるいは突起部112aでリレー本体3の底面を支持する場合に、端子部材2の一部をフレキシブル基板により構成してもよい。例えば、端子部材2の右面部26をフレキシブル基板により構成してもよい。図8は、その場合のフレキシブル基板6の一例を示す平面図である。フレキシブル基板6には、リレー本体3の端子部34に対応した位置に貫通穴61〜65が開口されている。さらに、フレキシブル基板6の後端部には、端子部材2の後面部27の板部材21〜25に対応して上下方向に貫通穴71〜75が開口されている。各貫通穴61〜65と各貫通穴71〜75とは、基板上に形成された回路パターン81〜85を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0038】
電磁継電器100を組み立てる際は、端子部材2の後面部27における板部材21〜25の端部を貫通穴71〜75に挿通し、はんだ付けにて接続して端子部材2を形成する。この端子部材2をベース部材1に取り付けた状態で、緩衝材5あるいは突起部112a(図7)によりリレー本体3の底面を支持しつつ、リレー本体3の端子部34を貫通穴61〜65に挿通してはんだ付けする。このようにして構成された電磁継電器本体100によれば、リレー作動音をフレキシブル基板6にて減衰させることができる。なお、フレキシブル基板6を端子部材3の他の部位に設けるようにしてもよい。リレー本体3を端子部材2により安定して支持できるのであれば、緩衝材5や突起部112aを省略してもよい。
【0039】
なお、上記実施の形態において、端子部材2には導電率の高い材質を用いることが好ましい。これにより端子部材2を薄肉化することができ、振動吸収効果が高まる。端子部材2に、ばね性を有する材質を用いることによっても、振動吸収効果を高めることができる。上記実施の形態では、接着剤によりカバー4をベース部材1に接着するようにしたが、接着剤にはウレタン接着剤を用いることが好ましい。ウレタン接着剤は、エポキシ樹脂系の接着剤と比べて柔らかいので、これによっても振動吸収効果を高めることができる。なお、他の接着箇所にも同様にウレタン接着剤を用いることができる。
【0040】
上記実施の形態では、折り曲げ部20a,20bを有する板部材21〜25により、互いに直交するXZ面(第1の面)、YZ面(第2の面)およびXY面(第3の面)に沿って端子部材2を構成したが、リレー本体3に電気的に接続される接続部(貫通穴211〜251)を有し、この接続部でリレー本体3との間に空隙を設けてリレー本体3を支持するのであれば、端子部材2の形状はいかなるものでもよい。リレー本体3の接点部33が第1固定接点331と第2固定接点332と可動接点333とを有するものとしたが、電磁石32の作動に伴い開閉する接点部の構成もこれに限らない。電磁継電器本体としてのリレー本体3の構成も上述したものに限らない。端子部材2を支持するのであれば、ベース部材1の構成もいかなるものでもよい。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の電磁継電器に限定されない。
【符号の説明】
【0041】
1 ベース部材
112a 突起部
2 端子部材
21〜25 板部材
211〜251 開口部
212〜252 端子部
3 リレー本体
32 電磁石
34 接点部
4 カバー
5 緩衝材
6 フレキシブル基板
100 電磁継電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石と該電磁石の作動に伴い開閉する接点部とを有する電磁継電器本体と、
前記電磁継電器本体を支持する端子部材と、
前記端子部材を支持するベース部材とを備え、
前記端子部材は、前記電磁継電器本体に電気的に接続される接続部を有し、この接続部で、前記ベース部材と前記電磁継電器本体との間に空隙を設けて前記電磁継電器本体が支持されることを特徴とする電磁継電器。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁継電器において、
前記端子部材は、一端部に前記接続部を、他端部に前記ベース部材を貫通する端子部をそれぞれ有する複数の板部材により構成され、
前記接続部は、前記電磁石のコイルおよび前記接点部に電気的に接続されることを特徴とする電磁継電器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電磁継電器において、
前記端子部材は、互いに直交する第1の面から第2の面および第3の面にかけて延設されていることを特徴とする電磁継電器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁継電器において、
前記ベース部材と前記電磁継電器本体との間の前記空隙に、緩衝材が介装されていることを特徴とする電磁継電器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁継電器において、
前記電磁継電器本体に対向する前記ベース部材の表面に、前記電磁継電器本体に向けて突起部が設けられていることを特徴とする電磁継電器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁継電器において、
前記電磁継電器本体および前記端子部材を包囲して前記ベース部材に接着剤により接着されるカバー部材をさらに備え、
前記接着剤は、ウレタン接着剤であることを特徴とする電磁継電器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁継電器において、
前記端子部材は、その一部がフレキシブル基板により構成されていることを特徴とする電磁継電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−243510(P2012−243510A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111445(P2011−111445)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)