説明

電磁誘導加熱調理器

【課題】各規格の加熱性能をもつ製品の構造変化に影響されずに同一部品を使用して温度センサをトッププレートに確実に密着でき、コストアップを招来することなく高い温度検出精度を確保できる電磁誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】接触式温度センサ6を保持するセンサ保持具7を、温度センサ6が設置されるセンサブラケット9と、このセンサブラケット9を保持するブラケットホルダ10とで構成し、ブラケットホルダ10は、筒状の胴部の途中に長手方向と直交する方向に外方に張り出した取付フランジ部10jが形成されると共に、取付フランジ部10jを挟む上下の各胴部は末端までの長さが互いに異なるように形成され、センサブラケット9がブラケットホルダ10の貫通孔10iに遊嵌され、かつセンサブラケット9とブラケットホルダ10間に圧縮バネ12が介在されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱調理器に係り、特には温度センサの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導加熱調理器においては、セラミック等でできたトッププレートの下部に配置された加熱コイルへの通電による電磁誘導作用によりトッププレートの上に載置される磁性体の鍋などの被加熱物を加熱する。この場合、被加熱物を適切な温度に制御する上では、被加熱物の加熱温度を精度良く検出することが必要である。そのため、トッププレートの裏面側に温度センサを配置し、この温度センサによって被加熱物の温度をトッププレートを介して間接的に検出し、この検出出力に基づいて加熱コイルへの通電量を制御するようにしている。
【0003】
ところで、温度センサの取り付け構造として、従来技術では、トッププレートの下方に配置された加熱コイルを支持するコイル支持プレートに嵌合穴を設ける一方、温度センサをセンサホルダの端部に固定し、このセンサホルダをコイル支持プレートの上記嵌合穴に嵌合するとともに、コイル支持プレートとセンサホルダとの間に圧縮バネを介在させ、この圧縮バネで温度センサをトッププレートの下面に押圧密着させるようにした構成のものが提供されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4411763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1記載の温度センサの取り付け構造では、温度センサがトッププレートの下面に密着するので、この温度センサによって被加熱物の温度をトッププレートを介して検出することができるものの、次のような課題が残されている。
【0006】
加熱コイルへの通電による被加熱物に対する電磁誘導作用(加熱性能)は、コイル支持プレート上に配置された加熱コイルからトッププレート上に置かれる被加熱物までの距離やコイル支持プレートの下方に配置されたインバータ等の電気回路や制御回路とを仕切るアルミニュウム等でできた天板までの距離などに影響される。
【0007】
このため、被加熱物に対する電磁誘導作用が適正になるように調整する上で、各規格の加熱性能(例えば最大加熱出力5Kw、3Kw、2.5Kwなど)をもつ各製品に応じて、加熱コイルからトッププレートまでの距離や天板までの距離が変更される。
【0008】
ところが、従来技術では、コイル支持プレートにセンサホルダを取り付けるとともに、コイル支持プレートとセンサホルダとの間に圧縮バネを介在させる構成となっているので、加熱コイルからトッププレートまでの距離や天板までの距離の変更に応じて、センサホルダや圧縮バネの長さ形状が異なるものを予め準備しておく必要がある。
【0009】
すなわち、例えば加熱コイルからトッププレートまでの距離の僅かな変更には、圧縮バネの伸縮によって対応することができるが、両距離間がさらに長くなったり短くなった場合には、圧縮バネの伸縮量だけでは対応できないので、そのときには、加熱コイルとトッププレート間の距離の長短に応じて、センサホルダや圧縮バネの長さ形状が異なるものを使用して温度センサをトッププレートの下面に確実に押圧密着させる必要が生じる。このため、長さ形状が異なる複数種類のセンサホルダや圧縮バネを製作、準備してストックしておかねばならず、コストが余分にかかる。
【0010】
加熱コイルからトッププレートまでの距離の変更に対応するための他の対策として、赤外線温度センサなどの非接触式の温度センサを使用することも考えられるが、このような非接触式の温度センサは接触式の温度センサに比べて高価であり、製品のコストアップにつながるため、実際の使用には採用し難い。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、各規格の加熱性能をもつ製品ごとに、加熱コイルからトッププレートまでの距離やその下方の天板までの距離が変更される場合でも、それに影響されずに共通化された同一部品を使用して温度センサをトッププレートの下面に確実に押圧密着させることができ、余分なコストアップを招来することなく、温度検出を精度良く実施できる電磁誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明にあっては、次の構成を採用している。
すなわち、請求項1記載の発明に係る電磁誘導加熱調理器は、鍋等の被加熱物が載置されるトッププレートを有し、このトッププレートの下方に前記被加熱物の温度を検出する接触式の温度センサと、この温度センサを保持するセンサ保持具が設けられ、このセンサ保持具は、温度センサが設置されるセンサブラケットと、このセンサブラケットを保持するブラケットホルダとを備え、前記ブラケットホルダは、その長手方向に沿って貫通孔が形成された筒状の胴部を有するとともに、その胴部の途中には前記長手方向と直交する方向に外方に張り出した取付フランジ部が形成され、かつ、この取付フランジ部を挟む上下の各胴部は前記長手方向に沿う末端までの長さが互いに異なるように形成される一方、前記センサブラケットは、前記ブラケットホルダの前記貫通孔に遊嵌される嵌合部と、この嵌合部の上端から径方向外方に張り出した温度センサ取付用のセンサ取付部とを有し、前記センサ取付部と前記ブラケットホルダとの間に圧縮バネが介在されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明に係る電磁誘導加熱調理器は、請求項1記載の発明の構成において、前記取付フランジ部を挟む上下の各胴部の少なくとも片側には、前記長手方向と直交する方向において互いに寸法が異なる段差が形成されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項3記載の発明に係る電磁誘導加熱調理器は、請求項1または請求項2記載の発明の構成において、前記取付フランジ部を挟む上下の各胴部は、その外形形状が互いに異なるように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、各規格の加熱性能をもつ製品ごとに加熱コイルからトッププレートまでの距離やその下方の天板までの距離が変更される場合でも、それに影響されずに共通化された同一部品を使用して温度センサをトッププレートの下面に確実に押圧密着させることができる。このため、余分なコストアップを招来することなく、温度検出を精度良く確保することができる。
【0016】
また、センサ保持具は、センサブラケットとブラケットホルダとの2つの別部品で構成されているので、コイル支持プレートやその下方に配置された天板に対するブラケットホルダの取り付け位置の自由度が高くなり、温度検出に最適な箇所にセンサ保持具を容易に設置できる。このため、一層信頼性の高い電磁誘導加熱調理器を提供できる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ブラケットホルダの段差を用いてセンサ保持具を取り付けることができるので、加熱コイルからトッププレートまでの距離や天板までの距離が変更される場合でも、その影響を受けずに共通化された同一部品を使用して温度センサをトッププレートの下面にさらに容易に押圧密着させることが可能となる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、請求項1や請求項2記載の発明の効果に加えて、温度センサの取り付け時に、ブラケットホルダを上下反対に組み付けてしまって温度センサがトッププレートの下面に適切に押圧密着させることができなくなるなどの不具合発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1における電磁誘導加熱調理器において、温度センサを設けたセンサ保持具を筐体の天板に取り付けた場合の要部を示す縦断面図である。
【図2】同調理器に使用されるセンサ保持具のセンサブラケットに温度センサを設置した状態を一部切り欠いて示す側面図である。
【図3】同調理器に使用されるセンサ保持具のブラケットホルダを一部切り欠いて示す側面図である。
【図4】同ブラケットホルダの平面図である。
【図5】圧縮バネの伸び代が不足する場合のセンサ保持具の取り付け態様の一例を示す縦断面図である。
【図6】圧縮バネの縮み代が不足する場合のセンサ保持具の取り付け態様の一例を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2における電磁誘導加熱調理器において、センサ保持具のブラケットホルダを筐体の天板に取り付けた場合の要部を示す縦断面図である。
【図8】同ブラケットホルダを筐体の天板に図7と異なる態様で取り付けた場合の要部を示す縦断面図である。
【図9】本発明の電磁誘導加熱調理器において、筐体の天板に直接加熱コイルが設置される場合に、温度センサを設けたセンサ保持具を天板に取り付けた場合の要部を示す縦断面図である。
【図10】加熱コイルの中心部から外れた箇所にセンサ保持具を設置する場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における電磁誘導加熱調理器において、温度センサを設けたセンサ保持具を筐体の天板に取り付けた場合の要部構成を示す縦断面図である。また、図2は同調理器に使用されるセンサ保持具のセンサブラケットに温度センサを設置した状態を一部切り欠いて示す側面図、図3は同調理器に使用されるセンサ保持具のブラケットホルダを一部切り欠いて示す側面図、図4は同ブラケットホルダの平面図である。
【0021】
この実施の形態1の電磁誘導加熱調理器は、鍋等の被加熱物が載置されるセラミック等でできたトッププレート1を有し、このトッププレート1の下方には加熱コイル2を支持するコイル支持プレート3が配置され、さらに、このコイル支持プレート3の下方には、加熱コイル2の電力制御のための図示しないインバータ等の電気回路や制御回路を囲む筐体の一部を構成するアルミニュウム等でできた天板4が配置されている。
【0022】
そして、この実施の形態1では、このトッププレート1の下方に被加熱物の温度を検出する接触式の温度センサ6と、この温度センサ6を保持するセンサ保持具7が設けられている。
【0023】
この場合の温度センサ6としては、サーミスタが適用されるが、サーモスタットや熱電対なども使用可能である。また、センサ保持具7は、温度センサ6が設置されるセンサブラケット9と、このセンサブラケット9を保持するブラケットホルダ10とからなる。
【0024】
センサブラケット9は、図2に示すように、ブラケットホルダ10の後述の貫通孔10iに遊嵌される円筒状の嵌合部9aと、この嵌合部9aの上端から径方向外方に張り出したセンサ取付部9bとを有する。そして、センサ取付部9bの上端に温度センサ6が設置され、また嵌合部9aの内部に温度センサ6のリード線6aが挿通されている。
【0025】
一方、ブラケットホルダ10は、図3および図4に示すように、その長手方向(図の上下方向)に沿って貫通孔10iが形成された円筒状の胴部10a〜10dを有するとともに、その胴部10a〜10dの途中には長手方向と直交する方向に外方に張り出した取付フランジ部10jが形成されている。そして、この取付フランジ部10jを挟む上下の各胴部10aと10b、および10cと10dは、その末端までの合計の長さが互いに異なるように形成されている。
【0026】
すなわち、取付フランジ部10jの上側に位置する両胴部10a,10bの長手方向の長さの合計をL1、取付フランジ部10jの下側に位置する両胴部10c,10dの長手方向の長さの合計をL2としたとき、L1>L2となるように形成されている。また、取付フランジ部10j側に近接した上下の各胴部10b,10cの外径を共にD1、これらの胴部10b,10cよりも末端側に位置する上下の各胴部10a,10dの外径を共にD2としたとき、末端側の胴部10a,10dの外径が小径となるように、すなわちD1>D2となるように形成されている。このため、互いに隣接する胴部10aと10bおよび10cと10dの間にそれぞれ段差10m,10nが形成されている。また、取付フランジ部10jには、ブラケットホルダ10を天板4やコイル支持プレート3などに固定するための固定穴10qが形成されている。
【0027】
上記構成の温度センサ6およびセンサ保持具7を天板4に組み付ける際には、ブラケットホルダ10の長尺側の胴部10a,10bが上方に位置した状態で、胴部10aの外側に圧縮バネ12を挿入し、またセンサブラケット9の嵌合部9aをブラケットホルダ10の貫通孔10iに挿入することで、センサ取付部9bとブラケットホルダ10の段差10mとの間に圧縮バネ12を介在させるとともに、温度センサ6のリード線6aを貫通孔10iを通じて下方に引き出す。
【0028】
そして、コイル支持プレート3の中央に形成されたセンサ設置穴3aを通して温度センサ6がトッププレート1に臨むように、センサ設置穴3aの対応位置に予め形成された天板4の取付穴4aに対してブラケットホルダ10を天板4の下側から挿通して天板4の底面に取付フランジ部10jを当接させる。次いで、取付フランジ部10jの固定穴10qにネジ13を螺合してブラケットホルダ10を天板4に固定する。これにより、ブラケットホルダ10の上端からトッププレート1の底面までの距離が適正に設定され、圧縮バネ12のバネ力で温度センサ6がトッププレート1の下面に押圧されて密着する。
【0029】
ここで、被加熱物に対する電磁誘導作用が適正になるように、各規格の加熱性能をもつ製品に応じて、加熱コイル2からトッププレート1までの距離や天板4までの距離が変更された結果、圧縮バネ12の伸び代が不足する場合には、例えば図5に示すように、ブラケットホルダ10の長尺側の胴部10a,10bが上方に位置した状態で、天板4の取付穴4aに対してブラケットホルダ10を天板4の上側から挿通して天板4の上面に取付フランジ部10jを当接させる。そして、取付フランジ部10jの固定穴10qにネジ13を螺合してブラケットホルダ10を天板4に固定する。これにより、ブラケットホルダ10の上端からトッププレート1の底面までの距離が適正に調整され、圧縮バネ12の伸び代の不足分が解消されるので、圧縮バネ12のバネ力で温度センサ6がトッププレート1の下面に押圧されて密着する。
【0030】
また、加熱コイル2からトッププレート1までの距離や天板4までの距離が変更された結果、圧縮バネ12の縮み代が不足する場合には、例えば図6に示すように、ブラケットホルダ10の短尺側の胴部10d,10cが上方に位置した状態で、胴部10dの外側に圧縮バネ12を挿入し、またセンサブラケット9の嵌合部9aをブラケットホルダ10の貫通孔10iに挿入することで、センサ取付部9bとブラケットホルダ10の段差10nとの間に圧縮バネ12を介在させるとともに、温度センサ6のリード線6aを貫通孔10iを通じて下方に引き出す。
【0031】
そして、天板4の取付穴4aに対してブラケットホルダ10を天板4の上側から挿通して天板4の上面に取付フランジ部10jを当接させる。そして、取付フランジ部10jの固定穴10qにネジ13を螺合してブラケットホルダ10を天板4に固定する。これにより、ブラケットホルダ10の上端からトッププレート1の底面までの距離が適正に調整され、圧縮バネ12の縮み代の不足分が解消されるので、この圧縮バネ12のバネ力で温度センサ6がトッププレート1の下面に押圧されて密着する。
【0032】
さらに、図6に示すセンサ保持具7の取り付け態様では圧縮バネ12の縮み代が不足するような場合には、図示していないが、例えば天板4の取付穴4aに対してブラケットホルダ10を天板4の下側から挿通して天板4の下面に取付フランジ部10jを当接させた状態でブラケットホルダ10を天板4に固定することも可能である。
【0033】
以上のように、この実施の形態1によれば、被加熱物に対する電磁誘導作用が適正になるように、各規格の加熱性能をもつ製品に応じて、加熱コイル2からトッププレート1までの距離や天板4までの距離が変更される場合でも、それに影響されずに同一のセンサ保持具7を使用して、ブラケットホルダ10の取り付け態様を変更することにより、ブラケットホルダ10の上端からトッププレート1の底面までの距離が適正に調整される。これにより、圧縮バネ12で温度センサ6をトッププレート1の下面に確実に押圧密着させることができるため、各規格の加熱性能をもつ製品を製作する場合でも、センサ保持具7を共通化することができ、余分なコストアップを招来することなく、温度検出を精度良く確保することができる。
【0034】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2における電磁誘導加熱調理器において、センサ保持具のブラケットホルダを筐体の天板に取り付けた場合の要部を示す縦断面図である。また、図8は同ブラケットホルダを筐体の天板に図7と異なる態様で取り付けた場合の要部を示す縦断面図である。
【0035】
上記の実施の形態1では、図1〜図6に示したように、ブラケットホルダ10の取付フランジ部10jを挟んで長尺側と短尺側にそれぞれ外径が異なる2つの胴部10aと10bおよび10cと10dをそれぞれ設けて各段差10m,10nを形成しているが、この実施の形態2では、取付フランジ部10jを挟む長尺側にそれぞれ外径が異なる3つの胴部10e,10f,10gを、短尺側に1つの胴部10hを設けている。このため、長尺側には2つの段差10r,10sが形成されている。その他の構成は基本的に実施の形態1の場合と同じである。
【0036】
この実施の形態2の構成の場合、センサ保持具7を天板4に組み付ける際には、図7に示すように、ブラケットホルダ10の長尺側の胴部10e〜10gが上方に位置した状態で、天板4の下方から取付穴4aにブラケットホルダ10を挿入して天板4の底面に取付フランジ部10jを当接させて天板4に固定することができるが、圧縮バネ12の縮み代などを確保するためには、例えば図8に示すように、天板4の取付穴4aを図7の場合よりも小径にして、天板4の下方から取付穴4aにブラケットホルダ10を挿入して天板4の底面に胴部10gを当接させ、取付フランジ部10jの固定穴10qおよび胴部10gに形成した固定穴10pにネジ13を螺合してブラケットホルダ10を天板4に固定することもできる。
【0037】
なお、ここでは、取付フランジ部10jを境にした長尺側に外径の異なる3つの胴部10e〜10fを形成しているが、短尺側に外径の異なる胴部を形成してもよく、さらに、外径の異なる胴部の数はこのような3段に限らず、4段以上に形成してもよい。
【0038】
このように、この実施の形態2では、ブラケットホルダ10の外径の異なる胴部10e〜10fにより生じる段差10sを用いてセンサ保持具7を取り付けることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、トッププレート1と加熱コイル2間の距離や、加熱コイル2とその下方の天板4間の距離が変更された場合でも、その影響を受けずに共通化された同一部品を使用して温度センサ6をトッププレート1の下面にさらに容易に押圧密着させることが可能となる。
変形例.
【0039】
本発明は上記の実施の形態1、2に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において各種の変形を加えることができる。
【0040】
(a)例えば、上記の実施の形態1、2では、ブラケットホルダ10の各胴部10a〜10d、10e〜10hおよび取付フランジ部10jは全て円筒状に形成されているが、これに限らず、取付フランジ部10jを挟む上下の各胴部の外形形状が互いに異なるように形成してもよい。例えば、図3において、取付フランジ部10jおよびその下側の短尺側の胴部10c,10dは、貫通孔10iの軸方向から見た平面視で外形が四角形状に、長尺側の胴部10a,10bは外形が円形状にそれぞれ形成した構成としてもよい。
【0041】
このような構成にすれば、温度センサ6の取り付け時に、取付フランジ部10jを挟む長尺側の胴部10a,10bと短尺側の胴部10c,10dとが上下のいずれの方向に向いているかを明確に把握できるので、このブラケットホルダ10を上下反対に組み付けてしまって温度センサ6がトッププレート1の下面に適切に押圧密着させることができなくなるなどの取り付けミスを起こすといった不具合発生を確実に防止することができて都合が良い。
【0042】
(b)また、上記の実施の形態1、2では、コイル支持プレート3の下方に位置する天板4にブラケットホルダ10を取り付けているが、本発明に係るセンサ保持具7は、温度センサ6とブラケットホルダ10とが独立した個別部品になっているので、コイル支持プレート3にブラケットホルダ10を簡単に取り付けることも可能である。さらに、図9に示すように、コイル支持プレート3が省略されて加熱コイル2が天板4に直接設置される構成の場合にも、ブラケットホルダ10を天板4に容易に取り付けることができる。
【0043】
この場合も各規格の加熱性能をもつ製品に応じて、加熱コイル2からトッププレート1までの距離が変更されても、それに影響されずに同一のセンサ保持具7を使用して、ブラケットホルダ10の取り付け態様を変更することにより、ブラケットホルダ10の上端からトッププレート1の底面までの距離を適正に調整することができる。
【0044】
(c)また、温度センサ6は、通常、同心円状に巻回された加熱コイル2の中心に設置されることが多いが、例えば図10に示すように加熱コイル2が2重に巻回されているような場合には、2重の加熱コイル2の間の位置でコイル支持プレート3に隙間14があれば、その下方の天板4にブラケットホルダ10を固定することで隙間14を通して温度センサ6をトッププレート1に密着させることができる。
【0045】
これにより、トッププレート1上で一番温度が高くなる箇所に近接して温度センサ6を設置することができるので、トッププレート1による温度伝達の遅延が抑えられ、温度制御の応答性が高まるとともに、温度検出精度も高めることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 トッププレート、2 加熱コイル、3 コイル支持プレート、4 天板、
6 温度センサ、7 センサ保持具、9 センサブラケット、9a 嵌合部、
9b センサ取付部、10 ブラケットホルダ、
10a〜10d,10e〜10h 胴部、10i 貫通孔、
10j 取付フランジ部、10m,10n,10r,10s 段差、
10q 固定穴、12 圧縮バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物が載置されるトッププレートを有し、このトッププレートの下方に前記被加熱物の温度を検出する接触式の温度センサと、この温度センサを保持するセンサ保持具が設けられ、
このセンサ保持具は、温度センサが設置されるセンサブラケットと、このセンサブラケットを保持するブラケットホルダとを備え、
前記ブラケットホルダは、その長手方向に沿って貫通孔が形成された筒状の胴部を有するとともに、その胴部の途中には前記長手方向と直交する方向に外方に張り出した取付フランジ部が形成され、かつ、この取付フランジ部を挟む上下の各胴部は前記長手方向に沿う末端までの長さが互いに異なるように形成される一方、
前記センサブラケットは、前記ブラケットホルダの前記貫通孔に遊嵌される嵌合部と、この嵌合部の上端から径方向外方に張り出した温度センサ取付用のセンサ取付部とを有し、
前記センサ取付部と前記ブラケットホルダとの間に圧縮バネが介在されていることを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記取付フランジ部を挟む上下の各胴部の少なくとも片側には、前記長手方向と直交する方向において互いに寸法が異なる段差が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記取付フランジ部を挟む上下の各胴部は、その外形形状が互いに異なるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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