説明

電磁誘導推進装置

【課題】磁界の向きを変えずに電極の極性を変える事が可能であり、それにより電極の消耗を抑える事が出来る。交流や三相交流を使用する事も可能であり高周波化も容易である。また磁界の向きが一定で良いので、永久磁石などを使用する事も可能である。
【解決手段】推進装置の先端部分11が回転型であり、磁界を進行方向に向けて発生させる。電流を流す為の電極31〜34を、先端部分の根元に近い部分の外壁に複数設置し、2つ以上の電極間に電流を断続的に流す。これにより電流は推進装置の外側を一周するように渦状に流れ、この電流と磁界の作用により推進力が発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁誘導推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電磁誘導推進装置は、電極の消耗が激しいという問題が有った。電極の消耗を減らする為に電流の向きを周期的に逆にしたい場合は、進行方向に対して磁界と電流の向きがセットであるため、磁界の向きも同時に逆にする必要が有り、大電力の切り替え回路が必要になるなど問題が有った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
推進装置の先端部分が回転型であり、磁界を進行方向に向けて発生させる。電流を流す為の電極を、先端部分の根元に近い部分の外壁に複数設置し、2つ以上の電極間に電流を断続的に流す。これにより電流は推進装置の外側を一周するように渦状に流れ、この電流と磁界の作用により推進力が発生する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は本発明を示した外観図である。11は推進装置の先端部分であり12は胴体部分である。この胴体部分にコイル21を設置し、先端方向に向けて磁界を発生させる。31は電極で、34は31の180度離れた位置にある電極である。電極は等間隔で先端部分の根元を一周する様に6個設置されている。
【0006】
電極31から34に向かって電流を流せば、電流は磁界と電流の相互作用で必ず右回りか左回りのどちらかに曲げられ、先端部分11の片側を被う様に流れる。この曲がる方向は電流と磁界の向きで決まり、どの電極から見ても磁界の向きは同じであるため、電流は必ず同じ方向に曲がる。次に電極34から31に向かって電流を流せば、電流は同じ向きに曲がり先端部分の片側を被う様に流れる。つまりこの一連の電流は、先端部分を一周する様な形に流れる。
【0007】
この電流と磁界の作用により、推進装置の先端部分11の周囲に存在する液体や気体は、先端部分から胴体部分12の方向へ動く。これらの作用により本発明は推進する事が出来る。また電極35と36は図1では見えないが、電極32と電極33の対になるように設置されており、電極32と35の組み合わせや、電極33と36の組み合わせで電流を流しても同様の作用が有る。電極31−34、32−35、33−36に位相の120度違う交流電流を流せば、先端部分被う様な渦状の電流が発生する。
【0008】
このように本発明は、磁界の向きを変えずに電極の極性を変える事が可能であり、それにより電極の消耗を抑える事が出来る。交流や三相交流を使用する事も可能であり高周波化も容易である。また磁界の向きが一定で良いので、永久磁石などを使用する事も可能であるなど、いくつもの効果がある。
【0009】
本発明は多数の電極を設置する事が可能である。そして多数の電極を切り替えながら使用する事で、電極の消耗を分散させると同時に、電極の温度上昇も抑える事が出来る。これにより電極の消耗が減少し、推進装置の長寿命化に効果がある。また複数電極に同時に電流を流せば、より多くの電流を流す事が可能になる。電極は円周位置に増やすだけでなく、同心円状に多段化することも可能である。
【0010】
第2図は本発明を示した外観図である。先端部分11の根元にコイル21があり、コイルの外側にテーパー部分13を設け、複数の電極を設置している。この配置により電極に掛かる磁界が弱くなり、電極付近の回路への磁界の影響を減らすと共に、製造が容易になる効果がある。13を平面にすれば更に製造が容易になる。
【0011】
推進方向を逆にする方法を図2に基づいて説明する。今までは一番遠い電極間に電流を流していたが、より近い距離にある電極、たとえば電極31から32に電流を流すと、電流は最短距離で流れようとし、反対側の遠い距離を流れる事はほとんど無い。そのため磁界の向きと電流の向きによっては、先端部分の周囲に存在する液体や気体を、先端部分の根元から中心方向へ動かす事が可能である。電極の極性を逆にすればその反対も可能であるため、本発明は電極の組み合わせと極性を制御する事で、推進力が発生する方向を前後左右上下に変える事が出来る。
【0012】
近い位置にある電極を使う場合は、同じ電極間では極性を変える事が出来ない。しかし複数設置した電極を切り替えて使用する事で、電極の消耗を抑える事は出来る。もし逆方向で使うことが多ければ、先端部分はお椀や皿の底の様な形より三角錐の様な形の方が向いている。また本発明を機体の前後に設置したり、機体を前後方向に伸ばして軸方向に複数の電極やコイルを設置すれば推進力向上が期待出来るし、縦方向や横方向へ設置しより複雑に推進力をコントロールする事も考えられる。
【0013】
本発明は推進装置周囲の液体や気体が電流を流すときに推進出来る。周囲の物質が電流を流さないときは推進出来ない。しかし高周波や高電圧により周囲の液体や気体をイオン化させる事で推進可能になる。このイオン化装置は別に設けても良いし、電極にその機能をつける事も出来る。また推進装置に覆いを付けて隠せば、安全面が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の外観図
【図2】 本発明の外観図
【符号の説明】
【0015】
11 先端部分
12 胴体部分
21 コイル
31〜34 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進装置の先端部分が回転型であり、磁界を進行方向に向けて発生させる。電流を流す為の電極を、先端部分の根元に近い部分の外壁に複数設置し、2つ以上の電極間に電流を断続的に流す。これにより電流は推進装置の外側を一周するように渦状に流れ、この電流と磁界の作用により推進力が発生する。このように推進力を発生させる推進装置。
【請求項2】
複数の電極の極性や電圧を制御し、直流や周波数可変の交流やパルス電流などを任意の電極間で発生可能な請求項1記載の推進装置。
記載の推進装置。
【請求項3】
請求項2記載の推進装置を機体の前後など複数設置し、その構成要素である電極や磁界発生源を多段に設置した推進装置。
【請求項4】
高電圧や高周波電磁場など、機体周囲の気体や液体をイオン化させる装置や機能を有する請求項1〜3記載の推進装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−30572(P2010−30572A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213308(P2008−213308)
【出願日】平成20年7月27日(2008.7.27)
【出願人】(594147316)