説明

電磁軸受を利用するターボ機械の予備機械軸受のクリアランスを決定する装置および方法

電磁軸受を利用したターボ機械の予備機械軸受のクリアランスおよび摩耗を決定する装置および方法である。シャットダウン中、または電源喪失中の破局的な障害の可能性を低下させるために、回転装置は、電磁軸受を利用してシャフトを操作して、予備機械軸受のクリアランスを測定する。電力が回復したときに、プログラム可能制御装置が、電磁軸受に電力を供給して、所定のシーケンスに従ってシャフトを自動的に移動させ、予備機械軸受と接触させて、予備機械軸受のクリアランスを決定する。これらの値は、制御装置のメモリに記憶される。測定したクリアランスを、以前に測定した予備機械軸受のクリアランスの測定値と比較して、予備軸受の摩耗を決定する。実際の摩耗を、軸受の許容可能な摩耗と比較する。実際の摩耗が所定値を超える場合には、警告を生成する。実際の摩耗が許容可能な摩耗と等しい、またはこれを超える場合には、制御装置は、修理または交換が行われるまで、自動的にターボ機械をロックして、それ以上の動作を妨げる。そうでない場合には、制御装置は、シャフトを心出しして、ターボ機械が通常動作できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に記載するプロセスおよび装置は、一般に、能動型磁気技術を利用して回転シャフトを支持する軸受を有する回転装置に関し、さらに詳細には、摩耗を測定して回転装置内の安全機械軸受を点検するかどうかを判定する自動手続きに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]現在、モータ、コンプレッサ、タービンなど、一部のターボ機械では、電磁軸受の形態の能動型磁気技術を利用して、動作中にロータおよびシャフトを浮かせることにより、自由な回転運動を可能にしながら摩擦を軽減している。電磁軸受は、このような回転装置の動作において転動体軸受や流体膜軸受などの従来技術に取って代わるものであるが、電磁軸受内で、強磁性材料で構成されるシャフトの心出しが必要である。電磁軸受内のシャフトの位置は、位置センサによってモニタリングする。位置センサは、シャフトの位置を表す電気信号を軸受制御装置に送り、軸受制御装置は、電磁軸受に供給される電流を調節して、シャフトを所望の位置に、または所望の許容範囲内に維持する。シャフトの制御では、5軸制御を行う。通常は、それぞれ2つの径方向軸を制御する2つの径方向軸受と、1つの軸を制御する1つのスラスト軸受とがある。望ましいシャフトの径方向位置は、シャフト軸と電磁軸受の軸が、ほぼ同軸に配置される位置である。「ほぼ同軸」とは、シャフトの径方向位置が、ターボ機械の動作に影響を与えない許容差(ターボ機械の設計によって変化する可能性がある)だけ電磁軸受の軸から偏位してもよいということである。本明細書で述べるシャフトの正常径方向動作位置は、心出し位置とも呼ばれ、これは、シャフトの軸が軸受の軸と一致する(または軸受の軸から許容差の範囲内にある)という意味である。ターボ機械は、通常は、少なくとも2組の径方向軸受セットと1組の軸方向軸受セットとを含み、これらはここでは電磁軸受であるので、本明細書の記述は、これらの軸受セットの電磁軸受のそれぞれと、これらの軸受およびそれらと連動する予備機械軸受によって制御される5本の軸に適用される。軸受制御装置は、上述の機能を実行して電磁軸受の動作を管理するが、ターボ機械または回転装置を制御するシステムは、通常は、システム全体の動作を管理するシステム制御装置と呼ばれる別の制御装置によって管理される。例えば、回転装置が遠心冷凍機である場合には、システム制御装置は、冷水器の動作など、冷却システムの全ての様相をモニタリングすることができる。電磁軸受制御装置およびシステム制御装置は、常に通信状態にある。例えば、システム制御装置は、電磁軸受制御装置に対して、機械を始動するためにシャフトの回転を開始する前にシャフトを浮揚させる命令を送信することができる。あるいは、軸受制御装置が電磁軸受の容量を超えたと判断したときに、軸受制御装置からシステム制御装置に対してシャットダウン命令を送信することもできる。
【0003】
[0003]回転中に電磁軸受の電子機器への電力が喪失したり、軸受制御装置が故障したり、電磁軸受が動作不能になったときに機器をシャットダウンしたりするときには、電磁軸受がシャフトを支えることができなくなる。電磁軸受を含む圧縮機の構成要素とシャフトとは、特にターボ機械が正常に動作しているときには、機械的に接触するようには設計されていない。そこで、シャフトは、その目的のために設けられた機械的構成要素によって支持しなければならない。したがって、機械が動作していないとき、または磁気軸受が動作不能になったときに、シャフトを支持するために、機械軸受または安全軸受が、予備または安全対策として設けられる。安全機械軸受との接触は、他の理由でも起こる可能性がある。他の理由の代表的なものとしては、例えば外部からの衝撃などの異常過負荷状態や、ターボ機械のサージなどがある。既定の期間(通常は1秒程度)を超えて実際負荷が軸受の容量を超えると、軸受制御装置が、安全シャットダウン命令を生成することができる。電磁軸受が動作不能になると、シャフトは、重力を受けて機械軸受と接触し、最終的に摩擦など存在する様々な静的荷重によって静止する。ターボ機械内でシャフトの軸が水平向きになっている場合には、静止位置は、通常は重力によってラジアル機械軸受の許容クリアランス内の最低位置となり、ラジアル安全機械軸受に影響を及ぼす。軸方向の静止位置は、予測不能である。軸が垂直向きになっている場合には、静止位置は、通常は重力によってアキシャル機械軸受の許容クリアランス内の最低位置となる。垂直向きのシャフトを有する機械では、径方向の静止位置は予測不能である。シャフトや軸受などの部品間のクリアランスは、機器の大きさによって様々であるが、通常の遠心圧縮機のシャフトと電磁軸受の間の径方向クリアランスは、約0.5mm(0.02インチ)程度であり、シャフトと機械軸受の間の径方向クリアランスは、0.2〜0.25mm(0.008〜0.010インチ)程度である。さらに、シャフトが機械軸受と接触したときの衝撃を減衰させるために、機械軸受とそれらの支持体との間に可撓性減衰リングを挿入してもよい。これらの減衰リングが完全に圧縮されると、さらに0.07mm(0.003インチ)程度の径方向クリアランスが得られる。これらの許容差があるので、正常動作中には、電磁軸受は、シャフトを、心出しされ機械軸受と接触しない状態に維持することにより、シャフトおよび軸受の両方の摩耗を回避し、一方、機械軸受は、転動体技術のものであっても、静止状態を維持する。したがって、シャフトを磁気によって浮揚させたときに、シャフトと予備機械軸受との間にある程度のクリアランスがなければならない。電磁軸受が動作不能になったときには、ターボ機械を停止させる間またはターボ機械が惰性で停止するまでの間、機械軸受がシャフトを支持し、シャフトと電磁軸受を接触させることはない。様々な機械軸受のうちのいずれを予備または安全軸受として使用してもよいが、転動体型の軸受が好まれることが多い。電磁軸受技術を第一の基本とするターボ機械に使用される機械軸受を、本明細書では、安全(機械)軸受または予備(機械)軸受と呼ぶ。予備軸受は、ラジアル機械軸受およびアキシャル機械軸受の両方を含む。これらの安全軸受は、機械内部にあり、また大規模な分解を行わなければ機械には手が届かないので、これらの安全機械軸受が過度に摩耗しても検出されない可能性や、定期検査と定期検査の間に過度の摩耗が生じる可能性がある。安全機械軸受の過度な摩耗が検出されないことで、回転機械が十分な保守を受けることなく動作し続けた場合には、機械に深刻な損傷が生じる可能性もある。
【0004】
[0004]正常動作では、シャフトは、始動時に回転を開始する前に磁気によって浮揚し、シャットダウン時には、機械が完全に停止するまで浮揚したままである。したがって、正常動作中には、機械は、シャフトが機械軸受と接触しているときには回転しないはずである。しかし、いくつかの異常な状況では、回転中の接触が起こることがある。例えば、電源障害が起きたとき、モータは、最初のうちは、それ自体の慣性によって動作し続けるので、減速していく間、モータを発電機として使用して、磁気軸受およびその制御装置に電力を供給することができる。しかし、ある時点で、シャフトの回転による予備電力は不十分になり、シャフトは、単純に重力によって機械軸受上に落下し、電力切断中に惰性で停止する。この電力切断中に、シャフトと軸受の間で摩耗が発生する。通常は、この安全機械軸受との接触は、速度が大きく低下したとき、通常は設計速度の10%程度に低下したときにしか起きない。それでも、この電力切断中に、シャフトと軸受の間の摩耗は発生する。これにより、電源障害時に安全機械軸受が損傷する可能性は大幅に低下するが、依然として摩耗は生じる。その他の様々な場合には、シャフトが回転しながら機械軸受と接触することもある。例えば、軸受の電子機器に障害が発生した場合や、受ける負荷が軸受の容量を超えたときなどである。後者の場合は、外部からの衝撃やターボ機械のサージなどによって起こることがある。
【0005】
[0005]予備機械軸受の摩耗に関連するリスクを回避するための従来技術の方法では、カウンタを利用して、軸受の電子機器がシャフトを制御できなくなった回数をカウントし、その結果によって警報器をトリガしたり、所定のカウント数を超えたときに回転装置をロックアウトしたりする。ランディングのタイプによって摩耗の結果は様々に異なるが、この方法では、ハード・ランディングまたは接触とソフト・ランディングまたは接触とを区別しておらず、また区別することもできない。その後、所定のカウントに基づいて、軸受を検査または交換すべきかどうかを判定する。この方法では、軸受の交換時期が早すぎたり、不必要な軸受の交換を行ってしまったりする可能性があり、それにより、回転装置の運転に不要な中断時間が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]例えば安全機械軸受の摩耗を生じる可能性がある各事象が生じた後など、所望のときに、安全機械軸受の障害を回避することができるように、安全機械軸受の摩耗を自動的かつ正確に測定するシステムが必要とされている。上記の事象とは、通常は、電力停止である。この電力停止は、故意の場合も過失の場合もある。また、上記の事象には、通常は電磁軸受が過負荷になった場合に軸受制御装置によって行われる安全シャットダウンも含まれる。適用業務に応じて、シャットダウンの理由が何であれ、シャットダウンのたびに系統的に測定を行うことができる。
【0007】
[0007]開示するシステムおよび/または方法の所期の利点は、上記の必要の1つまたは複数を満たす、あるいはその他の有利な特徴を提供することである。その他の特徴および利点は、本明細書から明らかになるであろう。開示する教示は、それが前述の必要の1つまたは複数を達成するものであるか否かに関わらず、特許請求の範囲に含まれる実施形態を拡大するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本明細書に記載するシステムは、タッチダウン軸受の摩耗に関し、軸受のクリアランスを自動的に決定し、必要に応じて軸受のクリアランスを記録し、摩耗が生じているかどうかを判定し、摩耗が所定の限界を超えているときに機械を保護するために適当な警告を生成する、またはシャットダウンすることに関する。最低限、安全機械軸受のクリアランスは、回転装置のシャフトの位置が少なくとも2つ既知であることが必要であり、これらの既知の位置のうちの少なくとも1つは、シャフトが安全機械軸受と接触していることを必要とする。例えば、既知のシャフト位置の一方は、安全機械軸受と関連付けられた位置指示器によって測定される、シャフトが安全機械軸受の1つと接触する点の位置であってもよい。他方の既知の位置は、電磁軸受内のシャフトの軸の心出し位置とすることができる。これは、例えば機械を最初に動作させたときに、シャフトを操作することによって計算し、記録することができる数である。図面を参照して、または設置時にシャフトを直接測定して決定することができるラジアル軸受におけるシャフトの半径を、上記2つの位置の間の差から減算して、クリアランスを求めることができる。クリアランスを、軸受内のシャフトの初期クリアランスの記録値、または図面に記載されている軸受に対するシャフトの公称クリアランスと比較することにより、任意の時点で予備機械軸受の摩耗を決定することができ、任意の期間にわたって摩耗の速度を決定することができる。この手続きを使用して、回転装置を備える各予備機械軸受のクリアランスおよび摩耗を測定することができる。
【0009】
[0009]このシステムは、シャットダウン後または始動前に安全機械軸受のクリアランスを決定する。本明細書で使用する「停止」は、シャフトの回転の停止として定義される。シャフトの回転およびシャフトの浮揚は、独立の事象であるが、シャフトが浮揚しない限り、シャフトの回転は起きないはずである。回転装置の正常なシャットダウンシーケンスでは、(1)モータの電源を遮断し、(2)シャフトの回転を中断し、(3)電磁軸受の電源を遮断して、シャフトを浮揚解除して、多くの場合は予備機械軸受と接触させる。その他の任意のシャットダウンは、異常シャットダウンである可能性がある。一方、停止により、電磁軸受の電源を遮断してもしなくても、シャフトの回転が中断されることもある。停止後、電磁軸受は、通常は、次の始動シーケンスまで、再付勢を必要としない。正常なシャットダウンであれ異常なシャットダウンであれ、シャットダウン後には、電磁軸受は、次の始動シーケンス中に再付勢を必要とすることになる。シャットダウンまたは停止によってラジアル機械軸受が受ける力の強度を測定する手段を設ける。これらの力を測定する手段は、制御装置と通信する加速度計であってもよいし、あるいは、制御装置が継続的にモニタリングすることができる電磁軸受内でシャフトを心出し状態に維持するためのアンペア数から、軸受にかかる力を正確に求めることができるので、電磁軸受自体であってもよい。電磁軸受を電源遮断してシャットダウンした後、制御装置によって電磁軸受に付勢して、シャフトを浮揚させなければならず、シャフトは、電磁軸受内で実質的に心出しされなければならない。位置センサを使用して、浮揚したシャフトの位置を決定して、シャフトが心出しされていることを確認することができる。シャフトを浮揚させるために、シャフトは、コバルトなど、電磁場の影響下に置かれたときに磁化することができる強磁性材料などの材料で構成されなければならない。
【0010】
[0010]回転装置は、電源、電磁軸受、シャフト、シャフトの位置決めを制御する制御装置、制御装置がシャフトの運動を制御できるようにするプログラミング手段、ラジアル予備機械軸受、ターボ機械内のシャフトの径方向位置を突き止める1組のラジアル位置センサのセットを備えるので、シャフトは、電磁軸受内で心出しされる。電磁軸受を利用した回転装置内で安全機械軸受のクリアランスを自動的に決定する1つの方法は、以下のステップを含む。電磁軸受内のシャフトの心出し位置は、必要に応じて、電磁軸受内のシャフトの心出し位置の以前に記録した測定値を参照して決定することができる。この記録される測定値は、電磁軸受制御装置のメモリ内、システム制御装置のメモリ内、回転装置と通信するデバイスのメモリ内、または紙媒体に記憶することができる。シャフトが回転運動を実質的に停止した後で、制御装置は、電磁軸受への電力の印加を操作して、以前に記録した電磁軸受内の心出し位置の測定値に基づいて位置センサが決定する電磁軸受内の心出し位置にシャフトがまだ位置していなければ、その心出し位置にシャフトを移動させる。次に、制御装置は、ラジアル電磁軸受のうちの1つへの電力の印加を操作して、シャフトを、所与の径方向に上記心出し位置から離れるように移動させる。ある点で、シャフトがラジアル機械軸受の最大クリアランスに達してラジアル機械軸受と接触するので、シャフトの径方向の移動が制限される。第1の点の位置は、位置センサによって決定され、位置センサは、この第1の点を示す信号を制御装置に送る。その後、シャフトの半径、第1の点の位置、およびシャフトの心出し位置からの第1の点の距離の関数として、ラジアル予備機械軸受のクリアランスを決定する。例えば、シャフトの半径が既知であり、心出し位置にあるシャフトの外径の位置は位置センサによって測定することができるので、シャフトがその心出し位置から安全機械軸受に接触するまでに移動する距離からシャフトの半径を引いた値が、当該の径方向の軸受のクリアランスを示している。次に、ラジアル予備機械軸受の測定したクリアランスをラジアル予備機械軸受のクリアランスの以前に記録した値と比較することによって、ラジアル予備機械軸受の摩耗を決定または計算することができる。この記録されている値は、軸受が新品だったときに同様の測定によって決定し、メモリなどに記録した予備軸受のクリアランスの実測値とすることができる。あるいは、予備機械軸受のクリアランスの以前に記録した値は、通常の技術図面から得られる公称軸受直径であってもよい。
【0011】
[0011]制御装置によって電磁軸受の1つに電力を印加して、シャフトを第1の径方向に移動させて、ラジアル安全軸受の1つの第1の側面と接触させる。位置センサが、この位置にあるときのシャフトの位置を決定し、この位置を示す信号を制御装置に送り、この信号が、制御装置と関連付けられたメモリに記録される。本明細書で使用する「制御装置と関連付けられたメモリ」は、制御装置の一部とすることができるメモリ、または制御装置と通信するデバイスの一部であるメモリを意味する。その後、制御装置によって電磁軸受に電力を印加してシャフトを180°移動させ、安全軸受の反対側の側面と接触させる。位置センサは、再度、この第2の位置にあるときのシャフトの位置を決定し、この第2の位置を示す第2の信号を制御装置に送り、この信号が、メモリに記録される。記録された値を評価するために必要なアルゴリズムを有するメモリと関連付けられたソフトウェアプログラムによって、2つの位置の値の差を決定して、軸受の直径方向のクリアランスを決定する。これらの測定値を、ラジアル軸受が新品だったときに決定して(実測値でも公称値でもよい)、メモリに記録して記憶した軸受の初期直径方向クリアランスと比較することにより、前述の2つの位置に対応する直径に沿った軸受のクリアランスの第1の値および摩耗を示す指標を得、これらの値は、制御装置と関連付けられたメモリに記録することができる。第1の2つの測定位置の軸に沿ったラジアル軸受の全体的なクリアランスの第1の測定値は、このシャフトの移動によって決定することができる。この測定では、安全機械軸受の幾何学的中心がどこに位置するのかに関する第1の測定値も得られる。電力を印加することによってシャフトを所与の一連の位置に移動させるように電磁軸受制御装置をプログラムするプログラミング命令は、電磁軸受制御装置にプログラムすることもできるし、あるいは、電磁軸受制御装置と通信するその他のデバイスから電磁軸受制御装置に送信することもできる。これらは、例えば、回転装置が遠心圧縮機である場合の冷却システム、遠隔に接続されたコンピュータ、または専用ファームウェアなどのシステムの制御装置管理動作を含むことができる。
【0012】
[0012]ここで、電磁軸受制御装置に対して、位置センサによって決定されるその(許容範囲内の)中心位置にシャフトを移動させるように電磁軸受に給電するように命令することができる。次いで、制御装置は、電磁軸受に電力を印加して、上述の第1のシャフト/軸受接触位置と第2のシャフト/軸受接触位置の間の直径に対してほぼ直交する半径に沿ってシャフトを90°移動させて、安全軸受と接触させることができる。この直径に対してほぼ直交する新たな位置が、第3のシャフト/軸受接触位置となる。位置センサは、この接触位置にあるときのシャフトの位置を決定し、この位置を示す信号を制御装置に送り、この信号が、その後、制御装置と関連付けられたメモリに記録される。次に、制御装置は、電磁軸受に電力を印加して、第3のシャフト/軸受接触位置から第4のシャフト/軸受接触位置にシャフトを180°移動させて、安全機械軸受の反対側の側面と接触させる。位置センサは、この位置にあるときのシャフトの位置を決定し、この位置を示す信号を制御装置に送り、この信号が、その後、制御装置と関連付けられたメモリに記録される。次いで、ソフトウェアが、第3のシャフト/軸受接触位置および第4のシャフト/軸受接触位置における記録された位置の値の間の差を計算して、軸受を横切る直径方向距離の第2の値を与える。この第2の値も、記録される。この測定した(かつ記録した)第2の直径方向距離を、ラジアル機械軸受が新品だったときに決定して、制御装置と関連付けられたメモリに記録して記憶した軸受の初期直径方向距離と比較することにより、軸受のクリアランスの第2の値を示す指標を得、この値を記録する。ラジアル軸受の全体的な摩耗の第2の測定値は、このシャフトの移動の振幅によって決定することができる。この測定では、安全機械軸受の幾何学的中心がどこに位置するのかに関する第2の測定値も得られる。機械軸受の摩耗の測定値のいずれかが軸受の摩耗の所定値を超える場合には、これは、危険な状態が存在している可能性があることを示している。この手続きを、ラジアル軸受の各セットに適用して、摩耗を決定することができる。軸方向については、制御装置によって電磁軸受に電力を印加して、シャフトを両方の軸方向に移動させることによってアキシャル安全機械軸受と接触させる。位置指示器は、シャフトの位置を示す信号を制御装置に通信し、この信号が、電磁軸受制御装置と関連付けられたメモリに保存される。ソフトウェアによって計算することができる移動の差が、スラスト機械軸受のクリアランスを示す指標を与える。動きの振幅の差を、アキシャル機械軸受が新品だったときの動きの振幅と比較すると、アキシャル軸受の摩耗を示す指標が得られる。
【0013】
[0013]軸受が過度に摩耗した状態が疑われるときには、ターボ機械をさらに評価するためにシャットダウンすることができる。望ましい場合には、タッチダウン軸受のクリアランステストが安全機械軸受の過度な摩耗を示しているときに、システム制御装置が、ターボ機械のそれ以上の動作をロックダウンすることができる。ただし、異なるしきい値を設定することができる。所定の摩耗値を超えた場合、小さい所定の摩耗値であれば、検査を計画すべきであるという初期の警告のための警報をトリガすることができ、大きい所定の摩耗値であれば、システム制御装置に機械のそれ以上の動作を自動的にロックアウトさせることができる。所定の摩耗によって警告が発せられるときには、この警告は、クリアランスの懸念を示し、問題解消のための積極的な処置を要求するPLCで生成される警告メッセージとすることができる。また、警告は、やはり問題解消のための積極的な処置を要求する、制御パネル上に生じる特定の視覚的な警報灯であってもよい。あるいは、さらなる検査によって過度な摩耗状態が存在しないと判断されるまで、ターボ機械をシャットダウンすることもできる。この検査は、視認検査と、さらには寸法検査を実行できるように、分解を伴うこともある。さらに別の選択肢として、いったん機械を分解した後、それ以上軸受を検査せずに、安全機械軸受を系統的に交換することもできる。
【0014】
[0014]この安全軸受の摩耗を測定する方法で述べられているのは、電磁軸受制御装置が、一体的なシャットダウンまたは始動手続きとして、電磁軸受に電力を供給してシャフトを移動させて、軸方向および任意の径方向にシャフトを系統的に位置決めすることができる能力である。この方法は、電磁軸受制御装置によって電磁軸受に電力を印加するステップを含む。電磁軸受制御装置は、5つの制御軸のそれぞれに沿って、基準位置に、または基準位置に極めて近い位置にシャフトの位置を保持するために、コイルへの電流を変調する内部制御アルゴリズムを有する。通常の動作モードでは、基準位置は、5つの軸のそれぞれに沿ってほぼ心出しされている。本発明によるプロセスでは、磁気軸受制御装置の制御アルゴリズムは、正常に動作し続けるが、基準位置は変化する。電磁軸受制御装置、機械の制御パネルの一部であるシステム制御装置、または電磁軸受制御装置と通信する別の遠隔デバイスに記憶されたプログラムされたシーケンスに従って、異なる連続的な基準位置が、軸受制御装置に与えられる。このプログラムシーケンスは、電力を電磁軸受に印加させ、シャフトを移動させて安全機械軸受と接触させ、これにより、シャフトがほぼ径方向に所定のパターンで移動して、ラジアル安全機械軸受と接触し、シャフトとラジアル安全機械軸受が交錯する点が記録されて、ラジアル安全機械軸受の状態の判定を補助する。また、このプログラムされたシーケンスは、電力を電磁軸受に印加させ、シャフトを軸方向に移動させてアキシャル安全軸受と接触させ、ラジアル安全機械軸受の状態の判定を補助する。シャフトを安全機械軸受と接触させるその後の各移動も、同様に実施される。位置指示装置または位置指示センサを使用して、シャフトの軸と軸受の軸の同軸性を判定し、この情報を使用して、軸受の摩耗を示す指標を与えることができる。論理(プログラミングとも言う)により、所定の順序でシャフトの基準位置の変化を指示し、安全機械軸受に対するシャフトの移動をもたらす。この論理は、シャフトを安全機械軸受と接触させる所定の経路に沿ったシャフトの移動を制御する。位置センサは、制御装置または制御装置と通信することができるその他の機器に通信されるこれらの接触位置を、信号通信する。これらの信号は、位置を示しており、メモリに記憶される。
【0015】
[0015]電磁軸受制御装置は、電力が電磁軸受の巻き線に印加されるように指示して、第1の予め選択した軸に沿ってシャフトの中心を移動させる。通常は、この軸は、停止しているときのシャフトの中心を通って通常の心出し位置に延び、第1の予め選択された軸は、第1のシャフト/軸受接触位置と第2のシャフト/軸受接触位置の間に延び、第2の位置は、第1の位置が決定された後で決定される。垂直向きのシャフトを有する機械では、最初に電磁軸受でシャフトを移動させて安全機械軸受と接触させ、その後に水平向きのシャフトを有する機械の場合と同様に測定を行うことが必要である。その後、第1の軸と、第1のシャフト/軸受接触位置および第2のシャフト/軸受接触位置とに基づいて、第2の軸を決定する。さらに、これらの予め選択した軸は、単に互いに直交する第1および第2の予め選択された軸に限定されない。第2の軸は、任意の所望の角度に基づいて選択することができ、第1の軸に直交する第2の軸というのは、単なる例示である。上記の一連の基準位置および運動は、円筒座標系を用いて、すなわち中心軸から径方向に説明した。これにより、プログラミングすることも理解することも容易になる。ただし、様々な異なるパターンの運動が、同様の結果をもたらすこともある。例えば、プログラミングで、予備機械軸受の正常なクリアランスを超える半径を有する円運動をシャフトに与えることもできる。予備軸受のクリアランスによって制限されるので、シャフトの中心の運動は、実際には、プログラムされたよりも小さい半径の円運動となり、この半径は、予備機械軸受のクリアランスに等しい。さらに、上記の説明では、簡単にするために、予備機械軸受およびそれらの支持体を、完全な剛性であるものと仮定している。しかし、当業者なら理解するように、これらの構成要素は、ある程度の可撓性を有する。軸受支持体は、柔軟に設計される。また、予備軸受の架台も、シャフトが予備軸受と接触した場合に衝撃を減衰させる必要がある可能性があるので、可撓性を有することができる。これは、予備軸受とそれらの支持体との間に弾性リングを挿入することによって実現することができる。この状況では、シャフトが軸受と接触して軸受に力を加えたときに、この印加された力に抵抗する反力がある。しかし、電磁軸受は、弾性架台が完全に圧縮されるか、または軸受の最大容量に達するか、いずれか早い方が起こるまで、基準位置に到達しようとし続ける。固有の可撓性によるこの小さな変化は、プログラミング、および摩耗の計算に使用される任意のアルゴリズムに、容易に含められる。いずれの場合も、シャフトがクリアランス内で自由に移動することができる限り、電磁軸受は、シャフトの重量のみを支持すればよく、軸受の電子機器から各コイルに送達される電流は、シャフトの位置と無関係になる。シャフトが最初に予備機械軸受と接触すると、電流が変化し始める。コイルに供給される電流は、軸受の荷重を示すので、コイルに供給される電流の変化は、シャフトと予備軸受が接触したことを示す指標として使用できる。軸受の電子機器が、予備機械軸受とシャフトが接触したことによって到達できなくなった位置に向けてシャフトを移動させようとし続けると、電流が増大する一方で、位置センサは、シャフトの位置の変化を示さない。したがって、シャフトの位置、および電磁軸受のコイルに送られる電流の両方を、モニタリングしなければならない。コイルに送られる電流が増大しても、シャフトの位置がほとんど、または全く変化しないときには、シャフトは機械軸受と接触している。動作は、電流が増大し始めたときに停止するようにプログラムすべきであり、電流が安全シャットダウンレベルに達する前に停止しなければならない。
【0016】
[0016]装置および方法の利点としては、信頼性の低い所定のカウントに基づくのではなく、実際の摩耗に基づいて機械軸受の交換が行われることがある。軸受の寿命が実際の軸受の摩耗に基づくことになるので、交換と交換の間の軸受の寿命が長くなり、軸受の交換が、より正確な摩耗データに基づいて行われることになることが予想される。軸受の寿命が長くなるので、軸受の交換と交換の間の平均寿命により、機械の中断時間が短くなり、稼働効率が向上する。
【0017】
[0017]本明細書に記載する実施形態のいくつかの利点は、本発明のプロセスを、追加機器を追加することなく、既存のターボ機械に組み込むことができることである。このプロセスは、タッチダウン軸受の摩耗を検出し、機械軸受の保守、検査および交換に関する判断をより多くの情報に基づいて行うことができるようにして、機械のシャットダウンを最低限に抑え、損傷が生じる可能性を低下させるものである。
【0018】
[0018]代替の例示的な実施形態は、特許請求の範囲に概略的に記載してあることもあるその他の特徴および特徴の組合せに関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】[0019]図1は、地階および屋上の冷却塔に位置するターボ機械および遠心圧縮機を含む加熱冷却システムを備える建物を示す図である。
【図2】[0020]図2は、電磁軸受を利用した図1の遠心圧縮機の概略断面図である。
【図3】[0021]図3は、本発明の遠心圧縮機の詳細部分図である。
【図4A】[0022]図4Aは、正反対の2つの位置のうちの一方で接触するシャフトとラジアル機械軸受の断面図である。
【図4B】図4Bは、正反対の2つの位置のうちの他方で接触するシャフトとラジアル機械軸受の断面図である。
【図5A】[0023]図5Aは、図4に示す2つの位置をほぼ横切る正反対の2つの位置のうちの一方で接触するシャフトとラジアル機械軸受の断面図である。
【図5B】図5Bは、正反対の2つの位置のうちの他方で接触するシャフトとラジアル機械軸受の断面図である。
【図6】[0024]図6は、シャフト、ロータ、電磁軸受、ラジアル機械軸受、および位置センサの相対位置を示す、ターボ機械の部分断面図である。
【図7】[0025]図7は、シャフト、ロータ、電磁軸受、アキシャル機械軸受、および位置センサの相対位置を示す、ターボ機械の部分断面図である。
【図8A】[0026]図8Aは、シャフトが2つの軸方向極限位置のうちの一方にあるときのシャフトおよびアキシャル機械軸受を示す部分断面図である。
【図8B】図8Bは、シャフトが2つの軸方向極限位置のうちの他方にあるときのシャフトおよびアキシャル機械軸受を示す部分断面図である。
【図9】[0027]図9は、ラジアル軸受に対するラジアル位置センサの位置を示す図である。
【図10】[0028]図10は、第2のラジアル軸受に対するアキシャル位置センサの位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0029]図1は、典型的な加熱冷却システムを備えた建物10を示す図である。加熱冷却システムは、地階に、蒸発器および凝縮器15とともに、ボイラ12および遠心圧縮機14を備える。遠心圧縮機14は、電磁軸受を備える。凝縮器15は、冷却塔16と流体連絡している。冷却塔16は、屋上に位置するものとして示してあるが、その位置は屋上に限定されない。建物10の各フロアは、建物の各フロアに空気を流通させる空調システム18を備える。
【0021】
[0030]図2は、図1の遠心圧縮機14の断面図である。遠心圧縮機14は、その他の従来技術の遠心圧縮機と同様であるが、インペラ26を駆動する高速モータ24およびシャフト22の両端の周りの電磁軸受20を備える点が異なる。電源は、圧縮機を駆動し、電磁軸受に給電するための電力を供給する。電力増幅器は、電源からの電力の増幅および調整を行い、電磁石の磁気コイルに電力を供給するために設けられている。電磁軸受は、電磁軸受制御装置と通信している。電磁軸受制御装置は、図2では遠隔に位置して圧縮機の内部と通信しているように示してあり、ターボ機械の制御パネルに位置していることもあるが、その位置はターボ機械の制御パネルに限定されるわけではない。電磁軸受制御装置には、電源からの電力の増幅および調整を行い、電磁石の磁気コイルに電力を供給するために設けられた電力増幅器が含まれる。電磁軸受制御装置は、電磁軸受および位置センサなどのセンサと、任意の好都合な方法で通信することができる。制御装置と位置センサの間の通信は、電磁軸受およびセンサに配線することによって行ってもよいし、送信機および受信器を利用する無線周波(RF)通信によって行ってもよい。電磁軸受とシステム制御装置(またはその他のデバイス)の間の通信方法は、本発明の重要な態様ではない。また、電磁軸受制御装置は、電磁軸受内でシャフトを心出し状態に維持するために、電力増幅器からの電流の変調も行う。シャフトを完璧な心出し状態に維持することは物理的に不可能であるので、電磁軸受制御装置は、位置センサ132から送られる回転するシャフト22の位置を示す信号を常にモニタリングすることによって、回転するシャフトを電磁軸受20内の位置包絡面または許容包絡面の中に維持するように、電流を変調する。給電されると、電磁軸受20は、シャフト22を軸受20内で浮遊させ、シャフト22が最小の摩擦損失で回転することができるようにする。シャフトは、機械の性質によって、様々なユーティリティと関連付けることができる。例えば、機械は、インペラ26を駆動するためのモータ24を含むこともできる。機械が圧縮機である場合には、通常は、シャフト22とハウジング30の間の隙間からの流体の漏れを防止するために、シャフト22とハウジング30の間にガスシール28を設ける。図示の実施形態では、安全予備機械軸受46は、転動体軸受であり、シャフト22の両端に位置する。
【0022】
[0031]図3は、ハウジング30の一端の遠心圧縮機14の詳細図である。図3では、シャフトの一端の安全軸受46が見えている。一実施形態では、一方のターボ機械のラビリンスシール28とインペラ26の間の径方向クリアランス、および他方のラビリンスシール28とシャフト22の間の径方向クリアランスは、少なくともシャフト22と安全機械軸受46の間のクリアランス以上である。このような寸法の関係にすることで、ラビリンスシールとそれらの対合部品との間の損傷または不要な摩耗を防止し、本実施形態では安全機械軸受46が摩耗面として作用することができる。圧縮機や、さらに詳細には空調業務または冷蔵業務で使用される遠心圧縮機14など、電磁軸受20を有するターボ機械の回転シャフト22と、正常なシャットダウン時または電源障害時など遠心圧縮機14の電力が落ちたときの圧縮機シャフト22と安全機械軸受46の間の関係を、図4に示す。図4Aは、電磁軸受20の電力が落ちたときの、シャフトおよび安全機械軸受の位置を示す図である。通常は転動体軸受である安全予備機械軸受46は、従来の方法でシャフト22の周りに360度にわたって延び、電力喪失時にシャフト22を受けて、電磁軸受20の電力が落ちた後も依然として回転している可能性があるシャフト22が、惰性で安全に停止できるようにする。シャフトが惰性で停止する間に、シャフト22と安全機械軸受46の間で摩耗が生じる可能性がある。シャフトが回転している間に電磁軸受の電力が落ちるたびに、安全機械軸受46とシャフト22の間で接触が生じ、これにより摩耗が生じる可能性がある。また、摩耗は、機械動作中のその他の理由で生じる可能性もある。例えば、摩耗は、例えば地震やサージ、またはその他の過負荷事象など、外部からの衝撃によって生じる可能性もある。このような事象により、機械が耐えることを期待される通常の状態の範囲からの逸脱が生じるが、その事象の間も、機械は、一時的に動作し続ける可能性がある。しかし、このような事象によって実際の負荷が電磁軸受の容量を事前に選択した回数超えると、このような状態が検出されたときに、自動シャットダウンを開始することができる。安全機械軸受の摩耗は、時間とともに蓄積する。しかし、安全機械軸受は、密閉された圧縮機の中にあるので、視認検査であれ寸法検査であれ、検査のために容易にアクセスすることはできない。したがって、定期保守と定期保守の間の期間であっても、蓄積摩耗が、時間とともに過度に大きな摩耗になる恐れがある。
【0023】
[0032]機械が停止している任意の時点、すなわちシャフト22が回転していない任意の時点で、安全機械軸受46が受ける摩耗を自動的に決定する手続きを実施することができる。この簡単な手続きで、損傷がないかどうか機械軸受46をさらに評価または検査する必要があるかどうか、または軸受46を交換する必要があるかどうかを判定する。軸受が摩耗した状態でターボ機械が動作した場合には、ターボ機械がさらに損傷する可能性があり、状況によっては、その損傷が破局的な障害をもたらす恐れもある。この損傷は、通常は、修理を実施してターボ機械を非稼働状態にする大規模なシャットダウンを必要とするのに十分な損傷をもたらす。ターボ機械をシャットダウン後に再び動作させる前に安全機械軸受が受ける摩耗を決定する手続きについて、図4Aおよび図4Bならびに図5Aおよび図5Bを参照して説明する。
【0024】
[0033]図6および図7は、遠心圧縮機などのターボ機械の典型的なシャフトの一端の部分断面図である。シャフト22は、電磁軸受20の間に延びるものとして示してある。図6には、ラミネーションも示してある。図6および図7に示すシャフト22は、第1の軸方向位置では第1のシャフト直径127を有し、第2の軸方向位置では第2のシャフト直径129を有する。当業者なら、シャフト22がその軸方向に一様な直径を有していても、あるいは連続して異なる直径を有していてもよいことが分かるであろう。この例では、第1のシャフト直径127は、電磁軸受20を超えて延び、第2の直径129より大きい。ラミネーション125は、シャフト22から延び、シャフト22を電磁軸受20と対合させている。シャフト22に隣接して、アキシャル位置センサ130も配置されている。径方向には、ラジアル位置センサ132を、各ラジアル機械軸受および各ラジアル磁気軸受と共通の構成に含むことができる。安全軸受46も、シャフト22に隣接して配置される。ロータを起動してシャフト22を回転させる前に、電磁軸受20に付勢して、シャフト22を浮揚させ、電磁軸受20内でシャフト22を心出しする。電磁軸受20内でシャフト22を心出しすることで、シャフト22は安全軸受46内でも実質的に心出しされる。ラジアル位置センサ132は、シャフト22の位置を測定して、この位置を示す信号を制御装置に供給する。シャフト22が電磁軸受20内で心出しされていると制御装置が判定すると、アキシャル位置センサ130がシャフトの軸方向位置などを測定して、回転装置の動作を開始することができる。図6に示すように、安全機械軸受46は、第2のシャフト直径129に隣接して位置する。しかし、安全機械軸受の位置は、ラジアル安全機械軸受を示す図6に示す構成に限定されるわけではなく、安全機械軸受は、シャフト122の軸に沿った任意の位置に配置することができる。図7は、アキシャル電磁軸受、アキシャル安全機械軸受150、および電磁軸受20とラジアル安全機械軸受46の間のアキシャル位置センサ130も示している。
【0025】
[0034]電磁軸受20の電力が喪失したり、場合によっては圧縮機ターボ機械が深刻なサージ状態に陥ったりといった摩耗状況では、シャフト22は、電磁軸受20内で心出し状態を維持できない。しかし、安全機械軸受46が、このような状態でシャフト22と接触して、シャフト22と、電磁軸受20と、その他のターボ機械の重要な構成要素とが接触することを防止するように配置されている。図6〜図8に示すようにターボ機械が水平向きに配置されているときには、シャフト22には重力によって下向きの力が加わり、ラジアル安全機械軸受46と接触する。ターボ機械が垂直向きに配置されているときには、シャフト22は、安全機械軸受46の内側レースに沿って無作為にラジアル安全機械軸受46と接触することになる。しかし、安全機械軸受により、電磁軸受またはその他の重要な機械構成要素が不慮の損傷を受けることが防止される。このような状態で、シャフト22は、安全機械軸受46と接触することになる。しかし、安全機械軸受46に障害が生じると、最低でもシャフト22もしくはその他のシステム構成要素または電磁軸受20の損傷を招く恐れがあり、最悪の場合には、ターボ機械の破局的な障害を招く恐れがある。
【0026】
[0035]ラジアル安全機械軸受46が受ける摩耗は、容易にモニタリングして、障害を防止し、定期または臨時の保守を決定し、検査を行うことができる。この手続きは、ターボ機械を始動するたびに、またはシャットダウンするときに、一続きに実行することができる。図4は、水平向きのシャフトを有する回転装置またはターボ機械の、軸に沿った点60で安全機械軸受46と接触しているシャフト22を示している。垂直向きのシャフトを有する回転装置またはターボ機械では、制御装置が電磁軸受20を起動して、シャフト22を点60で安全機械軸受46と接触するまで移動させたときに、シャフト22を点60で安全機械軸受46と接触させることができる。これは、電磁コイルの一方に大電流を供給して、シャフトを対応する極に引き寄せることによって実施することができる。あるいは、電磁軸受制御装置が、シャフトが予備機械軸受と接触するまで一連の基準位置に従って軸受に電力を供給することによってシャフトを操作することもできる。接触状態は、位置センサによって決定される実測位置と基準位置とを比較することによって判定され、電磁軸受の電子機器が、その偏位を求める。上記の一連の基準位置は、システム制御装置の制御ソフトウェア、電磁軸受制御装置、または電磁軸受制御装置と通信する何らかの遠隔機械に含まれるソフトウェアルーチンによって生成することができる。シャフトの向きに関わらず、ラジアル位置センサ132は、シャフト22の径方向位置を決定し、この位置を示す信号を電磁軸受制御装置に通信することができる。その後、制御装置が、電磁軸受20に給電して、上述の方法のいずれかを用いて、シャフト22を、図4Bに示すように点74でラジアル安全機械軸受46と接触するまで、点60から180°の正反対の位置にシャフト22を移動させる。換言すれば、制御装置は、電磁軸受20に対して、ラジアル安全機械軸受46と接触する点60の第1の接触位置から、軸受46の直径を横切って正反対のところにある、シャフトがラジアル安全接触軸受と再び接触する点74の第2の接触位置まで移動させるように命令する。ラジアル位置センサ132は、点74におけるシャフト122の位置を決定し、シャフトの位置を示す信号を電磁軸受制御装置に送り、ここで、これらの信号は、メモリに記録され、記憶される。あるいは、関連情報を、上述のシステム制御装置など別のメモリに記憶し、処理することもできる。ここで述べている制御装置は、2つの測定位置の値の差を求めることができ、これが記録され、記憶される。新たに決定された値を、以前に記録した値および安全機械軸受46が新品だったときに記録した値と比較する。最新の測定値を安全機械軸受46が新品だったときにメモリに記憶された測定値と比較することで、安全機械軸受46の点60および74によって定義される直径(線)方向の全体的なクリアランスまたは摩耗を示す指標が得られる。軸受46が交換または保守を必要としているかどうかを判定することができる。これは、摩耗が所定値に達している、または所定値を超過しているかどうかを判定することによって行うことができる。望ましいなら、最も最近の始動時に記録された値を、以前の一回の始動時に得られた値または予め選択した連続した複数回の始動時に得られた値と比較して、予め選択した任意の期間にわたる摩耗を決定して、摩耗が増大する様子および当該の予め選択した期間における摩耗速度を追跡することもできる。これは、電磁軸受制御装置20、システム制御装置、または軸受制御装置20と通信するデバイスまたは機械にプログラムされたソフトウェアに、アルゴリズムとして含めることができる。この摩耗速度を、以前に記録した期間の以前の摩耗の測定値に基づく摩耗速度と比較することができる。これらの測定値が、摩耗自体は所定の許容レベル内に収まっていても、予め選択した期間の以前に記録した摩耗値との比較から判断して、摩耗速度が増大または加速していることを示している場合には、あるいは摩耗が所定の摩耗速度を超えていることを示している場合には、PLCで、または制御パネル上の警告灯を点灯させることによって警告信号を生成することができる。以前に開示したように、この警告灯をクリアまたは除去するには、積極的な処置が必要となることがある。
【0027】
[0036]図面には、例示を目的として、初期点60を水平向きのシャフトを有するターボ機械の低い点として示しているが、点60および74によって定義される直径は、この低い点60を含まなくてもよい。任意の方向の任意の2点によって定義される直径を選択することができる。通常は、ラジアル軸受の極は、軸受を横断する水平直径または垂直直径に対して角度をつけて配置され、通常は、この角度は水平方向および垂直方向の両方から45°である。これらの直径が例えば水平向きの軸に対して直交する直径に対して45°など所定の角度で配向されるように、これらの極に位置する点を選択するのが、容易であり、好ましい可能性がある。したがって、図6に示すように線W1−W3およびV1−V3に沿って位置する直径が、好ましい可能性がある。ただし、制御装置はプログラム可能であるので、各テストで同じ点および同じ直径を選択するだけでなく、プログラミングに無作為な選択特性を含めることによって無作為に、点と、ひいては直径とを選択するようにプログラムすることもできる。
【0028】
[0037]必要に応じて、始動手続きの一部として、または好ましくはシャットダウン後に、摩耗の測定を繰り返すことができる。再度図5Aおよび図5Bを参照すると、制御装置は、電磁軸受20に電力を供給して、図4Aに示す点60または図4Bに示す点74からから90°の位置にシャフト22を移動させる。図4の点60または点74から機械軸受の内周に沿って90°移動させるというのは、例としてあげたものであり、その他の任意の角度間隔を選択することができる。図5Aでは、シャフト22は、点78でラジアル安全機械軸受46と接触する。ラジアル位置センサ132は、シャフト22の位置を測定して、この位置を示す信号を制御装置に送り、制御装置で、それらの位置は記録される。その後、制御装置は、電磁軸受20に電力を供給して、シャフト22が図5Bに示すように点80でラジアル安全機械軸受46と接触するまで、シャフト22を約180°移動させる。ラジアル位置センサ132は、点80のシャフト122の位置を決定し、前述のように制御装置に信号を送り、制御装置で、この新たな位置も記録される。クリアランスを、上述のように計算する。さらなる測定を同様に行うこともできる。その後、クリアランスは、最悪例測定に基づく絶対値計算として制御装置によって決定することもできるし、あるいは測定値の平均値計算またはその他の任意の所望の統計関数によって決定することもできる。その後、この決定または測定したクリアランスを、安全機械軸受の継続使用の許容性を評価するために使用される所定値と比較する。例えば、安全機械軸受が約20%の所定の摩耗を受けていると判定された場合に、保守またはさらなる検査が必要であることを示す警告をトリガすることができる。安全機械軸受46が約50%の所定の摩耗を受けていると判定された場合には、制御装置によるターボ機械の自動ロックアウトをトリガして、それ以上の動作が危険であり、それ以上の動作を許可する前に安全機械軸受46を交換する必要があることを示すことができる。
【0029】
[0038]アキシャル安全機械軸受のクリアランス測定も、同様に行うことができる。アキシャル軸受は、シャフト22の軸方向の移動を相殺するために使用される。電磁軸受の電力が落ちたとき、シャフト22は、アキシャル安全機械軸受によって、軸方向に過度に動くことを防止される。アキシャル安全機械軸受は、電力が落ちた後のシャフト22の軸方向変位による荷重を支承することができる。ラジアル安全機械軸受と同様に、アキシャル安全機械軸受が受ける摩耗も、容易にモニタリングして、障害を防止し、定期または臨時の保守を決定し、検査を行うことができる。アキシャル安全機械軸受のクリアランス測定は、シャットダウン後、すなわちシャフト22が回転を停止した後で行うことが好ましい。図8は、アキシャル安全機械軸受150のクリアランス測定を実施する方法を説明する図である。制御装置は、電磁軸受20に付勢して、シャフト22を、移動が妨げられるまでアキシャル安全軸受の内側レースをシャフト22に沿って摺動させて、図Aに示すように第1の軸方向に移動させる。アキシャル位置センサ130は、安全機械軸受に対するシャフト22の第1の位置を測定して、この位置を示す信号を制御装置に送り、制御装置で、これらの結果が記録される。その後、制御装置は、電磁軸受20に電力を供給して、シャフト22を、再度移動が妨げられるまで安全軸受の内側レースをシャフト22に沿って摺動させて、図Bに示すように第2の軸方向に移動させる。アキシャル位置センサ130は、再度、アキシャル安全軸受に対するシャフト22の位置を測定して、信号を制御装置に送り、制御装置で、これらの結果が記録される。再度制御装置が計算した、測定して記録した位置の間の差を記録し、この差によって、アキシャル軸受のクリアランスが与えられる。この記録値を、軸受が新品だったときに行った測定の測定値と比較することができる。最も最近の始動時にとった位置の測定値、および軸受が新品だったときに行った測定の測定値の差が、全体的な軸受の摩耗に関するデータを与える。摩耗の増分は、最も最近の測定値を1つまたは複数の以前に記録した測定値と比較することによって決定することができる。ラジアル安全機械軸受の場合と同様に、その後、アキシャル安全機械軸受の測定した摩耗を、軸受の継続使用の許容性を評価するために使用される所定値と比較する。
【0030】
[0039]安全機械軸受46を評価するために使用される所定値は、システムによって異なり、変数の数によって決まる。例えば、安全軸受46に使用される材料、安全軸受のサイズ、シャフトのサイズ、シャフトの速度、シャフトに使用される材料などが全て、安全機械軸受46の継続使用を評価するために使用される所定値の選択に影響を及ぼす変数である。安全機械軸受の摩耗を測定する自動テストシーケンスは、このような構成のターボ機械では、ターボ機械のシャットダウン後または始動前に、図6に示すようなラジアル安全機械軸受および図7に示すようなアキシャル安全軸受について別々に行うことができる。
【0031】
[0040]図9および図10は、シャフトおよびラジアル軸受に対するアキシャル位置センサ130およびラジアル位置センサ132の相対位置を単に示す図である。
[0041]本願は、以下の説明に記載する、または図面に示す詳細または方法に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用する用語および述語は、説明を目的としたものに過ぎず、限定的なものとして解釈すべきではないことも理解されたい。
【0032】
[0042]図面に示し、本明細書で説明した例示的な実施形態は、現段階で好ましいものであるが、これらの実施形態は、単に例示を目的として与えたものであることを理解されたい。したがって、本願は、特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な修正形態に拡大される。任意のプロセスまたは方法ステップの順序または並びは、代替の実施形態では、変更する、または並べ替えることができる。
【0033】
[0043]本願は、シャフトの所要の運動を実施する方法およびシステム、ならびにシャフトの動作を実施する任意の機械可読媒体上のプログラム製品を企図したものである。本願の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサまたは制御装置を使用することによって、またはこの目的もしくは別の目的のために組み込まれた適当なシステムの特殊目的コンピュータプロセッサによって、あるいはハードワイヤードシステムによって、実施することができる。
【0034】
[0044]図面に示して説明した例示的な実施形態は、現段階で好ましいものであるが、これらの実施形態は、単に例示を目的として与えたものであることを理解されたい。したがって、本願は、特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な修正形態に拡大される。任意のプロセスまたは方法ステップの順序または並びは、代替の実施形態では、変更する、または並べ替えることができる。
【0035】
様々な例示的な実施形態に示すシステムの構成および配列は、単なる例示であることに留意されたい。本開示では、ごく少数の実施形態について詳細に説明したが、本開示を検討する当業者なら、特許請求の範囲に記載する主題の新規の教示および利点を実質的に逸脱することなく、多くの修正(例えば様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状および比率、パラメータの値、取り付け構成、使用する材料、色、向きなど)が可能であることを容易に理解するであろう。例えば、一体に形成されるものとして示してある要素を、複数の部品または要素で構成したり、複数の要素の姿勢を逆にするなどして変化させたり、別個の要素また配置の性質または数を改変または変更したりすることができる。したがって、このような修正は全て、本願の範囲に含まれるものとする。任意のプロセスまたは方法のステップの順序または並びは、代替の実施形態では、変更する、または並べ替えることができる。特許請求の範囲では、任意のミーンズプラスファンクション条項は、説明した機能を実行するものとして本明細書で説明した構造を含み、また構造的な均等物だけでなく等価な構造も含むものとする。その他にも、本願の範囲を逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件および構成において、様々な代用、修正、変更および省略を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁軸受を利用する回転装置中の安全機械軸受のクリアランスを自動的に決定する方法であって、
(a)電源、電磁軸受、シャフト、前記シャフトの位置を制御する制御装置、前記制御装置が前記シャフトの運動を制御できるようにするプログラミング手段、少なくとも2つのラジアル予備機械軸受、および前記ターボ機械内の前記シャフトの位置を突き止める各ラジアル予備軸受の近傍にあるラジアル位置センサを含む回転装置を提供するステップと、
(b)前記電磁軸受内の前記シャフトの心出し位置を決定するステップと、
(c)前記シャフトが回転運動を実質的に停止した後で、前記制御装置から前記電磁軸受への電力の印加を操作して、前記シャフトが第1の点で第1のラジアル予備機械軸受と接触する第1の位置に前記シャフトを移動させるステップと、
(d)前記第1の点の位置を決定するステップと、
(e)前記第1の点の位置を示す信号を前記制御装置に送るステップと、
(f)前記シャフトの半径、前記第1の点の位置、および前記第1のラジアル予備機械軸受内の前記シャフトの心出し位置からの前記第1の点の距離の関数として、前記ラジアル予備機械軸受のクリアランスを決定するステップと、
さらに別のラジアル予備軸受についてステップ(b)〜(f)を繰り返すステップと、
前記ラジアル予備機械軸受の測定したクリアランスを以前に決定した各ラジアル予備機械軸受のクリアランスと比較することによって各ラジアル予備機械軸受の摩耗を決定するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記電磁軸受は、径方向に配置された、前記シャフトの周囲に離間した複数のコイルを含み、前記シャフトの運動が、十分な電力の印加を前記複数のコイルのうちの1つに向けて前記シャフトを前記極に引き寄せることによって実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クリアランスの測定値、前記摩耗の測定値、および前記測定の時間が記録される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)の前に、以前の摩耗履歴の制御装置評価に基づいて、またはシャットダウン中または停止中に測定され、制御装置に伝達された力が所定のしきい値力を超えたかどうかに基づいて、さらなるステップの実行が保証されるかどうかを判定する追加ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
クリアランスの測定値および摩耗の測定値を評価する追加ステップと、クリアランスまたは摩耗の測定値が所定の限界を超えるかどうかを判定する追加ステップと、摩耗の測定値が所定の限界の50%以内であるときに視覚的警告を与える追加ステップと、所定の限界を超えたときにそれ以上の通常動作を防止する追加ステップとをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の点の位置を決定した後で、
前記制御装置と関連付けられたメモリ記憶装置に前記第1の点の位置を記録する追加ステップ、
その後、前記シャフトを第2の軸受内の心出し位置に維持しながら、前記制御装置から前記電磁軸受への電力の印加を操作して、前記シャフトを、前記第1の位置から180°のところにある、前記第1の点に対して正反対の第2の点で前記シャフトが前記第1のラジアル予備機械軸受と接触する第2の位置に移動させる追加ステップ、
前記第2の点の位置を決定する追加ステップ、
前記第2の点の位置を示す信号を前記制御装置に送る追加ステップ、
前記制御装置と関連付けられた前記メモリ記憶装置に前記第2の点の位置を記録する追加ステップ、
その後、前記制御装置から前記電磁軸受への電力の印加を操作して、前記シャフトを、前記第2の位置から所定の角度距離のところにある、前記シャフトが第3の点で前記第1のラジアル予備機械軸受と接触する第3の位置に移動させる追加ステップ、
前記第3の点の位置を決定する追加ステップ、
前記第3の点の位置を示す信号を前記制御装置に送る追加ステップ、
前記制御装置と関連付けられたメモリ記憶装置に前記第3の点の位置を記録する追加ステップ、
その後、前記制御装置から前記電磁軸受への電力の印加を操作して、前記シャフトを、前記第3の位置から180°のところにある、前記第3の点に対して正反対の第4の点で前記シャフトが前記第1のラジアル予備機械軸受と接触する第4の位置に移動させる追加ステップ、
前記第4の点の位置を決定する追加ステップ、
前記第4の点の位置を示す信号を前記制御装置に送る追加ステップ、ならびに
前記制御装置と関連付けられた前記メモリ記憶装置に前記第4の点の位置を記録する追加ステップをさらに含み、
前記第1のラジアル予備機械軸受のクリアランスを決定するステップは、前記第1および第2の点によって決まる第1の直径と、前記第3および第4の点によって決まる第2の直径の関数として前記クリアランスを決定することをさらに含んでおり、
この方法が、前記シャフトを前記第1のラジアル予備軸受内の心出し位置に維持しながら前記第2のラジアル予備軸受について上記のステップ全体を繰り返して、前記第2の予備軸受のクリアランスを決定する追加ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の予備軸受のクリアランスを決定する前記ステップで計算したラジアル軸受のクリアランスを以前に記録したクリアランスと比較して、前記ラジアル予備機械軸受の摩耗を決定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ラジアル予備機械軸受の以前に記録したクリアランスが、前記安全機械軸受が新品だったときに測定して決定したクリアランスである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記以前のクリアランスが、以前に前記シャフトの回転を中断したときに測定して決定した前記ラジアル予備機械軸受のクリアランスであり、摩耗を決定することで、以前に前記シャフトの回転を中断したときから現在の測定までの期間の測定クリアランスの差を示す、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記制御装置がプログラム可能であり、前記シャフトが回転運動を実質的に停止した後で、前記各ステップが、前記プログラミング手段によって命令された通りに前記制御装置によって所定のシーケンスで実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記シャフトを第3の位置に移動させるように電力の印加を操作する際に、前記所定の角度距離が90°である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記決定した摩耗を、前記制御装置に記憶された所定の摩耗値と比較する追加ステップをさらに含み、前記所定の摩耗値を超えるときに、前記制御装置が前記シャフトの回転を防止する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記決定した摩耗を、前記制御装置に記憶された所定の摩耗値と比較する追加ステップをさらに含み、前記所定の摩耗値を超えるときに、前記制御装置が警告を与える信号を生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記以前に決定したクリアランスが、以前に前記シャフトの回転を中断したときに測定して決定した前記ラジアル予備機械軸受のクリアランスであり、摩耗を決定することで、以前に前記シャフトの回転を中断したときから現在の測定までの期間の測定クリアランスの差を示し、前記期間の摩耗値の差が、摩耗速度を示す指標を与え、前記摩耗速度が所定の摩耗速度と比較され、前記摩耗速度が前記所定の摩耗速度を超えるときに、前記制御装置が、前記所定の摩耗速度を超えたことを示す警告を与える信号を生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記制御装置から前記電磁軸受への電力の印加を操作して、前記シャフトを、第1の軸方向に、前記シャフトがそれ以上移動しない第5の点に移動させるステップと、
前記第5の点の位置を決定するステップと、
前記第5の点の位置を示す信号を前記制御装置に送るステップと、
前記制御装置と関連付けられたメモリ記憶装置に前記第5の点の位置を記録するステップと、
その後、前記制御装置から前記電磁軸受への電力の印加を操作して、前記シャフトを、前記第1の軸方向とは反対の第2の軸方向に、前記シャフトがそれ以上移動しない第6の点に移動させるステップと、
前記第6の点の位置を決定するステップと、
前記第6の点の位置を示す信号を前記制御装置に送るステップと、
前記制御装置と関連付けられたメモリ記憶装置に前記第6の点の位置を記録するステップと、
前記第5の点と前記第6の点の間の距離を決定することによって、前記アキシャル予備機械軸受のクリアランスを決定するステップと、
前記アキシャル軸受のクリアランスを、前記制御装置に関連付けられた前記メモリ記憶装置に記憶された以前に決定されたクリアランスと比較して、前記アキシャル予備機械軸受の摩耗を決定するステップとをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
強磁性材料を含むシャフトと、
前記シャフトを支持する能動型電磁軸受であり、前記シャフトの周囲の少なくとも2対の磁気コイル、および前記シャフトを電磁軸受内の所望の位置に維持するように電流の印加を制御するための軸受電子機器をさらに備えた電磁軸受と、
電力を供給する電源と、
前記電磁軸受の電力が落ちたときに前記シャフトを支持する複数の予備機械軸受と、
前記シャフトの位置を決定して前記シャフトの位置を示す信号を提供する、各予備機械軸受に隣接して位置する位置センサと、
前記電源からの電力を増幅および調整して、前記磁気コイルに電力を供給する電力増幅器と、
前記シャフトが回転している間、前記電磁軸受内の予め選択された位置包絡面内に前記シャフトを維持するように前記電力増幅器からの電流を変調するプログラム可能制御装置であり、前記シャフトを、少なくとも1つのその他の予備機械軸受と関連付けられた電磁軸受内で心出し状態に維持しながら、少なくとも1つの予備機械軸受と接触するように所定のシーケンスで移動させるように前記電磁軸受に給電し、前記シャフトの位置を示す信号を受信し、前記シャフトが前記少なくとも1つの予備機械軸受と接触する点の位置を決定し、前記少なくとも1つの予備機械軸受のクリアランスを決定するようにプログラムされた制御装置とを備える、回転装置。
【請求項17】
前記プログラム可能制御装置が、前記シャフトが前記予備機械軸受と接触する点の位置、および前記予備機械軸受のクリアランスを記憶するメモリ記憶装置をさらに含む、請求項16に記載の回転装置。
【請求項18】
前記プログラム可能制御装置が、さらに、測定したクリアランスと記憶したクリアランスとの比較に基づいて前記予備機械軸受の摩耗を決定し、所定の摩耗を超えるときに、前記回転装置の動作を防止する、請求項17に記載の回転装置。
【請求項19】
前記回転装置は遠心圧縮機である、請求項16に記載の回転装置。
【請求項20】
前記プログラム可能制御装置が、前記電磁軸受の電力が回復した後で、請求項1に記載の一連の動作を実行するソフトウェアを含む、請求項16に記載の回転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−500471(P2013−500471A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521773(P2012−521773)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042853
【国際公開番号】WO2011/011573
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(598147400)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (224)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【Fターム(参考)】