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電線の着色装置及び電線の着色方法
説明

電線の着色装置及び電線の着色方法

【課題】外表面に付着した着色材を速やかに乾燥させ着色材が外表面から落ちることを防止して電線同士の識別を確実に行うことができるとともに、着色パターンを簡単に変更することができる電線の着色装置及び電線の着色方法を提供する。
【解決手段】着色装置1は、電線5の移動方向Pに沿って移動する電線5の外表面5aを着色する。着色装置1は、ローラ部材31と第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lとを備えている。ローラ部材31は、その外周面31aが電線5の外表面5aに接触して、電線5の移動とともに回転自在に設けられている。第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lは、ローラ部材31の外周面31aに向かって互いに異なる色の着色材を噴出可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向に沿って移動する電線の外表面を着色する電線の着色装置及び電線の着色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車等には、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車等は、前記電子機器に電源等からの電力やコンピュータ等からの制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部等に取り付けられたコネクタ等を備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と、該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタは、端子金具と、該端子金具を収容するコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、導電性の板金等からなり、電線の端部に取り付けられてこの電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり箱状に形成されている。ワイヤハーネスは、コネクタハウジングが前述した電子機器等と結合することにより、端子金具を介して各電線が前述した電子機器と電気的に接続して、前述した電子機器に所要の電力や信号を伝える。
【0004】
前記ワイヤハーネスを組み立てる際には、まず電線を所定の長さに切断した後、該電線の端部等の被覆部を除去(皮むき)して端子金具を取り付ける。必要に応じて電線同士を接続する。その後、端子金具をコネクタハウジング内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネスを組み立てる。
【0005】
前述したワイヤハーネスの電線は、芯線の大きさ、被覆部の材質(耐熱性の有無等)や使用目的等を識別する必要がある。使用目的とは、例えば、エアバックやABS(Antilock Brake System)等の制御信号や動力伝達系統等の電線が用いられる自動車の系統(システム)である。そこで、ワイヤハーネスに用いられる電線は、前述した使用目的(系統)等を識別するために、電線の着色装置を用いて外表面が所望の色に着色されてきた(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0006】
特許文献1に記載された電線の着色装置は、電線切断装置に取り付けられている。電線切断装置は、電線を該電線の長手方向に沿って移動させた後に所定の長さに切断する。電線の着色装置は、複数の噴出ユニットと、吸引手段を有したダクトとを備えている。複数の噴出ユニットは、予め定められた着色パターンに基づいて互いに異なる色の着色材を噴出(滴射)する。ダクトは、電線の着色装置よりも電線の移動方向下流側に配されている。
【0007】
前述した構成の電線の着色装置は、電線切断装置が前記長手方向に沿って電線を移動させている間に、複数の噴出ユニットが前述した着色パターンどおりに電線の外表面に着色材を付着させ、その後この着色材をダクト内で十分に乾燥している。
【0008】
特許文献2に記載された電線の着色装置は、電線を該電線の長手方向に沿って移動させる走行手段と、内部に着色液を収容した収容槽と、送出ローラと、着色ローラと、スキージとを備えている。送出ローラは、回転自在に支持され、その一部が収容槽内の着色液に漬かっている。着色ローラは、回転自在に支持され、送出ローラの上方かつ電線の下方に配されて送出ローラと電線の双方と接触している。着色ローラの外周面には、複数の凹部が設けられている。スキージは、着色ローラよりも電線の移動方向下流側に配されている。スキージは、電線通し孔を有し、電線の外表面に付着した余分な着色液を除去する。
【0009】
前述した構成の電線の着色装置は、送出ローラがその外周面に着色液を付着した状態で回転して、着色液を着色ローラの凹部内に侵入させる。そして、着色ローラは、走行手段が前記長手方向に沿って電線を移動させている間に、電線の外表面に凹部内の着色液を付着させる。
【特許文献1】特開2004−134371号公報
【特許文献2】特開2003−303524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、環境問題を考慮して、着色材の溶媒をトルエン等の速乾性溶媒から水系溶媒やアルコール系溶媒等にする要求が高まっている。このような水系溶媒やアルコール系溶媒を用いた着色材は、速乾性溶媒を用いた着色材と比較して乾燥時間が長い。
【0011】
前述した特許文献1に記載された電線の着色装置は、電線切断装置が電線を移動させている間に噴出ユニットが電線の外表面に着色材を噴出して付着させる。このため、着色材の溶媒が前述した水系溶媒やアルコール系溶媒であると、着色材が完全に乾燥する前に電線が周辺の部材と接触し、未乾燥の着色材が例えば電線を移動させるローラ等に付着して剥がれてしまう虞がある。その結果、電線の外表面上の着色材にムラが生じたり剥がれてローラ等に付着した着色材が再度電線の外表面に付着したりして、電線の着色パターンが予め定められたものと異なったものになって電線同士の識別が困難になるといった問題があった。
【0012】
また、前述した特許文献2に記載された電線の着色装置は、着色パターンの形状や配置等を変更する際に、着色ローラの凹部の形状、配置等を変更する必要があるので、別の着色ローラを用意しかつ該着色ローラに取り替えなければならず、コストや手間がかかるといった問題があった。さらに、着色パターンの色を変更する際に、その度毎に収容槽内の着色液を入れ替える必要があるので、手間がかかるといった問題があった。
【0013】
本発明は、このような問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、外表面に付着した着色材を速やかに乾燥させ着色材が外表面から落ちることを防止して電線同士の識別を確実に行うことができるとともに、着色パターンを簡単に変更することができる電線の着色装置及び電線の着色方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、一方向に沿って移動する電線の外表面を着色する電線の着色装置において、その外周面が前記電線の外表面に接触して、前記電線の移動とともに回転自在に設けられたローラ部材と、前記ローラ部材の外周面に向かって着色材を噴出する噴出手段と、を備えたことを特徴とした電線の着色装置である。
【0015】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された電線の着色装置において、前記噴出手段が、互いに異なる色の着色材を前記ローラ部材の外周面に向かって噴出可能なように複数設けられたことを特徴とした電線の着色装置である。
【0016】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された電線の着色装置において、複数の前記噴出手段が、前記ローラ部材の周方向に沿って並んで設けられたことを特徴とした電線の着色装置である。
【0017】
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載された電線の着色装置において、前記ローラ部材の周方向に沿って該ローラ部材の外周面から凹に設けられた凹部を備えたことを特徴とした電線の着色装置である。
【0018】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された電線の着色装置において、前記凹部が前記電線の長手方向に交差する方向に沿って並んで複数設けられるとともに、前記ローラ部材を前記電線の長手方向に交差する方向に沿って移動させることでそれぞれの前記凹部を対応する前記噴出手段に接離させる移動手段を備えたことを特徴とした電線の着色装置である。
【0019】
請求項6に記載された発明は、一方向に沿って移動する電線の外表面を着色する電線の着色方法において、ローラ部材の外周面に着色材を噴出し、このローラ部材が外周面を前記電線の外表面に接触させて前記電線の移動とともに回転することで、前記電線の外表面に前記着色材を擦り付けて前記電線を着色することを特徴とした電線の着色方法である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載された発明によれば、その外周面が電線の外表面に接触して電線の移動とともに回転自在に設けられたローラ部材と、ローラ部材の外周面に向かって着色材を噴出する噴出手段とを備えているので、ローラ部材が回転することで着色材が電線の外表面に擦り付けられ、電線の外表面上の着色材が非常に薄くかつ均一な膜状に引き延ばされて電線の外表面が着色される。したがって、着色材の乾燥までの時間が大幅に短縮されて、トルエン等の速乾性溶媒の着色材のかわりに水系溶媒やアルコール系溶媒等の着色材を用いることができ、環境問題に配慮した電線を製造することができる。
【0021】
さらに、従来、水系溶媒やアルコール系溶媒等の着色材を用いる場合は、これら着色材を早く乾燥させるために、一つの色の着色材を同時に噴出する噴出手段を複数設けかつこれら噴出手段から噴出される着色材の液滴を微細化していたが、一つの噴出手段とローラ部材とによって着色材の乾燥までの時間を大幅に短縮することができるので、噴出手段の数を減らしてコストを低減することができる。また、着色材を乾燥させる乾燥装置を設ける必要がなく、電線の着色装置の小型化を図ることができる。
【0022】
請求項2に記載された発明によれば、噴出手段が互いに異なる色の着色材をローラ部材の外周面に向かって噴出可能なように複数設けられているので、複数の噴出手段のうちの所望の色の着色材を噴出する噴出手段を選択して駆動するだけで着色パターンの色を変更することができ、色替作業の手間を大幅に軽減することができるとともに、色替作業の時間を大幅に短縮して電線の着色を連続的に行うことができる。
【0023】
請求項3に記載された発明によれば、複数の噴出手段がローラ部材の周方向に沿って並んで設けられているので、すべての噴出手段とローラ部材とを等しく近づけることができ、すべての噴出手段が確実にローラ部材の外表面に着色材を噴出することができる。
【0024】
請求項4に記載された発明によれば、ローラ部材の周方向に沿って該ローラ部材の外周面から凹に設けられた凹部を備えているので、凹部内に噴出手段が着色材を噴出しかつ該凹部内に電線が配されることで、着色材と電線とを確実に接触させて該電線を確実に着色することができる。また、凹部内に着色材を噴出することで、ローラ部材の電線が接触しない部分に着色材を噴出することがなく、着色材のロスを軽減することができる。
【0025】
請求項5に記載された発明によれば、前記凹部が前記電線の長手方向に交差する方向に沿って並んで複数設けられるとともに、前記ローラ部材を前記電線の長手方向に交差する方向に沿って移動させることでそれぞれの前記凹部を対応する前記噴出手段に接離させる移動手段を備えているので、噴出手段と該噴出手段に対応する凹部とを簡単かつ確実に近づけて、それぞれの噴出手段が対応する凹部内に確実に着色材を噴出できる。
【0026】
請求項6に記載された発明によれば、ローラ部材の外周面に着色材を噴出し、このローラ部材が外周面を前記電線の外表面に接触させて前記電線の移動とともに回転することで、前記電線の外表面に前記着色材を擦り付けて前記電線を着色するので、電線の外表面上の着色材が非常に薄くかつ均一な膜状に引き延ばされて電線の外表面が着色される。したがって、着色材の乾燥までの時間が大幅に短縮されて、トルエン等の速乾性溶媒の着色材のかわりに水系溶媒やアルコール系溶媒等の着色材を用いることができ、環境問題に配慮した電線を製造することができる。
【0027】
さらに、従来、水系溶媒やアルコール系溶媒等の着色材を用いる場合は、これら着色材を早く乾燥させるために、一つの色の着色材を同時に噴出する噴出手段を複数設けかつこれら噴出手段から噴出される着色材の液滴を微細化していたが、一つの噴出手段でも着色材の乾燥までの時間を大幅に短縮することができるので、噴出手段の数を減らしてコストを低減することができる。また、着色材を乾燥させる乾燥装置を設ける必要がなく、電線の着色装置を小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態にかかる電線の着色装置(以下、単に着色装置と呼ぶ)を図1ないし図9を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかる着色装置1は、電線切断装置10に取り付けられて、この電線切断装置10が所定の長さに切断する電線5の外表面5aの一部に印6を形成することで、電線5の外表面5aを着色する装置である。
【0029】
電線切断装置10は、図1に示すように、切断装置本体としてのフレーム11と、ガイドロール12と、電線送出手段としての送出ロール13と、張力付与手段としての矯正ユニット14と、弛み吸収手段としての弛み吸収ユニット20と、加工手段としての切断機構15とを備えている。
【0030】
フレーム11は、工場等のフロア上等に設置される。フレーム11は、水平方向に伸びている。ガイドロール12は、フレーム11の一端部に回転自在に取り付けられている。ガイドロール12は、長尺でかつ印6が形成されていない電線5を巻いている。ガイドロール12は、矯正ユニット14と弛み吸収ユニット20と噴出ユニット40A〜40L(後述)とエンコーダ34(後述)と切断機構15とに順に、電線5を送り出す。
【0031】
送出ロール13は、フレーム11の他端部に一対設けられている。これら一対の送出ロール13は、フレーム11に回転自在に支持されかつ鉛直方向に沿って並べられている。送出ロール13は、図示しないモータ等により、互いに逆方向に同回転数で回転される。一対の送出ロール13は、互いの間に電線5を挟み、かつこの電線5の長手方向に沿って該電線5をガイドロール12から引っ張る。
【0032】
前述した構成の送出ロール13は、電線5の長手方向に沿って該電線5を引っ張って移動させる引っ張り手段をなしている。送出ロール13は、電線5の長手方向に沿って電線5を移動させることで、電線5と着色装置1の後述するローラ部材31とを電線5の長手方向に沿って相対的に移動させる。電線5は、ガイドロール12から送出ロール13に向かって図1中の矢印P方向に沿って移動する。矢印Pは、電線5の移動方向Pをなしている。
【0033】
矯正ユニット14は、ガイドロール12の送出ロール13側に設けられ、ガイドロール12と送出ロール13との間に設けられている。即ち、矯正ユニット14は、ガイドロール12より電線5の移動方向Pの下流側に設けられ、送出ロール13より電線5の移動方向Pの上流側に設けられている。矯正ユニット14は、板状のユニット本体14aと、複数の第1ローラ14bと、複数の第2ローラ14cとを備えている。ユニット本体14aは、フレーム11に固定されている。
【0034】
第1ローラ14bと第2ローラ14cとは、それぞれ、ユニット本体14aに回転自在に支持されている。複数の第1ローラ14bは、電線5の移動方向Pに沿って並べられ、電線5の上方に配されている。複数の第2ローラ14cは、電線5の移動方向Pに沿って並べられ、電線5の下方に配されている。第1ローラ14bと第2ローラ14cとは、千鳥状に配されている。
【0035】
前述した構成の矯正ユニット14は、送出ロール13によってガイドロール12から送り出される電線5を第1ローラ14bと第2ローラ14cとの間に挟む。そして、矯正ユニット14は、電線5を直線状にする。また、矯正ユニット14は、第1ローラ14bと第2ローラ14cとの間に電線5を挟むことで、該電線5に摩擦力を付与する。即ち、矯正ユニット14は、送出ロール13が電線5を引っ張る方向(電線5の移動方向P)と逆方向の第1の付勢力Q1の摩擦力を電線5に付与する。この第1の付勢力Q1は、送出ロール13が電線5を引っ張る力よりも弱い。このため、矯正ユニット14は、電線5にその長手方向に沿った張力を付与して、該電線5を張る。
【0036】
弛み吸収ユニット20は、矯正ユニット14の送出ロール13側に設けられ、矯正ユニット14と送出ロール13との間に設けられている。即ち、弛み吸収ユニット20は、矯正ユニット14より電線5の移動方向Pの下流側に設けられ、送出ロール13より電線5の移動方向Pの上流側に設けられている。また、弛み吸収ユニット20は、矯正ユニット14と着色装置1の後述するローラ部材31との間に設けられている。
【0037】
弛み吸収ユニット20は、一対の案内ローラ支持フレーム21と、一対の案内ローラ22と、移動ローラ支持フレーム23と、移動ローラ24と、エアシリンダ25とを備えている。
【0038】
案内ローラ支持フレーム21は、フレーム11に固定されている。案内ローラ支持フレーム21は、フレーム11から上方に立設している。一対の案内ローラ支持フレーム21は、電線5の移動方向Pに沿って、互いに間隔をあけて並べられている。
【0039】
一対の案内ローラ22は、それぞれ、案内ローラ支持フレーム21に回転自在に支持されている。案内ローラ22は、電線5の下方に配され、その外周面が電線5と接触することで電線5の移動方向Pから電線5が脱落しないように電線5を案内する。このため、案内ローラ22は、電線5の移動方向を案内する。
【0040】
移動ローラ支持フレーム23は、フレーム11に固定されている。移動ローラ支持フレーム23は、フレーム11から上方に立設している。移動ローラ支持フレーム23は、一対の案内ローラ支持フレーム21間に設けられている。
【0041】
移動ローラ24は、移動ローラ支持フレーム23に回転自在に支持されているとともに、鉛直方向に沿って移動自在に支持されている。移動ローラ24は、電線5の上方に配され、一対の案内ローラ22間の中央に設けられている。
【0042】
エアシリンダ25は、シリンダ本体25aと、このシリンダ本体25aから伸縮自在な伸縮ロッド25bとを備えている。シリンダ本体25aは、移動ローラ支持フレーム23に固定されており、電線5の上方に配されている。伸縮ロッド25bは、シリンダ本体25aから下方に向かって伸長する。即ち、伸縮ロッド25bは、シリンダ本体25aから電線5に近づく方向に伸長する。伸縮ロッド25bには、移動ローラ24が取り付けられている。
【0043】
前述した構成のエアシリンダ25は、シリンダ本体25a内に加圧された気体が供給されることで、伸縮ロッド25b即ち移動ローラ24を第2の付勢力Q2で鉛直方向に沿って下方に付勢する。このため、エアシリンダ25は、移動ローラ24を、第2の付勢力Q2で電線5に近づく方向に付勢する。第2の付勢力Q2は、第1の付勢力Q1よりも弱い。
【0044】
切断機構15の後述する一対の切断刃15aが互いに近づいて、電線5を切断するために一旦電線5の移動が停止すると、慣性によって矢印Pに沿って電線5が移動して該電線5は一対の案内ローラ22間で弛む。すると、前述した構成の弛み吸収ユニット20は、エアシリンダ25の伸縮ロッド25bが伸長して、移動ローラ24が下方に変位する(図1中、一点鎖線で示す)。そして、弛み吸収ユニット20は、前述した案内ローラ22間で弛んだ電線5を、鉛直方向に沿って第2の付勢力Q2で付勢して弛みを吸収し、電線5を張った状態に保つ。
【0045】
切断機構15は、着色装置1の後述するエンコーダ34の一対の回転子34aよりも電線5の移動方向Pの下流側に配されている。切断機構15は、一対の切断刃15aを備えている。一対の切断刃15aは、鉛直方向に沿って並べられている。一対の切断刃15aは、鉛直方向に沿って互いに近づいたり離れたりする。一対の切断刃15aは、互いに近づくと、一対の送出ロール13によって送り出された電線5を互いの間に挟んで切断する。一対の切断刃15aは、互いに離れると、勿論、電線5から離れる。
【0046】
前述した構成の電線切断装置10は、切断機構15の一対の切断刃15aを互いに離した状態で、一対の送出ロール13間に電線5を挟んで、該電線5を矢印Pに沿って送り出す。そして、所定の長さの電線5を送り出した後、送出ロール13が停止する。すると、一対の切断刃15aが互いに近づいて、これら切断刃15a間に電線5を挟んで切断する。こうして、電線切断装置10は、電線5を矢印Pに沿って移動させた後に切断する。
【0047】
着色装置1は、矢印Pに沿って移動する電線5の外表面5aを着色する。電線5は、移動体としての自動車等に配索されるワイヤハーネスを構成する。
【0048】
電線5は、図5に示すように、導電性の芯線51と、絶縁性の被覆部52とを備えている。芯線51は、複数の素線51aが撚られて形成されている。芯線51を構成する素線51aは、導電性の金属からなる。また、芯線51は、一本の素線から構成されていてもよい。被覆部52は、例えば、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる。被覆部52は、芯線51を被覆している。このため、被覆部52の外表面は、電線5の外表面5aをなしている。
【0049】
このような被覆部52は、単色Nとされている(図6中、白抜きで示す)。なお、被覆部52を構成する合成樹脂に所望の着色剤を混入することで電線5の外表面5aを単色にしてもよく、また、被覆部52を構成する合成樹脂に着色剤を混入することなく単色Nを合成樹脂自体の色としてもよい。後者のように単色Nが合成樹脂自体の色である場合、被覆部52即ち電線5の外表面5aは、無着色であるという。このように、無着色とは、被覆部52を構成する合成樹脂に着色剤を混入せずに、電線5の外表面5aが合成樹脂自体の色であることを示している。
【0050】
着色装置1によって電線5の外表面5aが着色されると、電線5の外表面5aには、例えば、図6に示すような印6が形成される。印6の色は、第1の色A(図6中、平行斜線で示す)である。第1の色Aは、単色Nとは異なる。印6の平面形状は、電線5の長手方向(電線5の移動方向P)に沿った略角丸四角形状である。印6は、予め定められたパターンにしたがって、その形状や配置(電線5上の位置)等が決定される。
【0051】
前述した構成の電線5は、前述した電線切断装置10によって所定の長さで切断された後、複数束ねられるとともに端部等にコネクタ等が取り付けられて、前述したワイヤハーネスを構成する。そして、コネクタが自動車等の各種の電子機器のコネクタにコネクタ結合して、ワイヤハーネス即ち電線5は、各電子機器に各種の信号や電力を伝える。
【0052】
さらに、前述した印6の第1の色Aを、種々の色(本実施形態においては、第2〜第12の色B〜Lのいずれか一つ)に変更することにより、電線5同士を識別可能としている。第1〜第12の色A〜Lは、互いに異なる色とされている。印6の第1〜第12の色A〜Lは、ワイヤハーネスの電線5の線種、系統(システム)の識別等を行う際の目印となる。即ち、前述した電線5の印6の第1〜第12の色A〜Lは、ワイヤハーネスの各電線5の使用目的を識別するために用いられる。
【0053】
着色装置1は、図1に示すように、前述した構成の印6を電線5の外表面5aに形成する装置である。着色装置1は、弛み吸収ユニット20の送出ロール13側に設けられ、弛み吸収ユニット20と送出ロール13との間に設けられている。即ち、着色装置1は、弛み吸収ユニット20より電線5の移動方向Pの下流側に設けられ、送出ロール13より電線5の移動方向Pの上流側に設けられている。
【0054】
着色装置1は、図2及び図3に示すように、支持フレーム30と、ローラ部材31と、移動手段としてのリニアガイド32と、エアシリンダ33と、噴出手段としての第1〜第12の噴出ユニット40A〜40L(図3には一部のみ示す)と、検出手段としてのエンコーダ34(図1)と、制御装置35(図1)とを備えている。支持フレーム30は、フレーム11に固定されている。支持フレーム30は、フレーム11から上方に立設している。
【0055】
ローラ部材31は、電線5の上方に配され、電線5の長手方向に直交(交差)するように配されている。ローラ部材31は、図3に示すように、軸心31bと、ローラ部31cと、第1〜第12の凹部36A〜36Lとを備えている。軸心31bは、例えばセラミックス等からなり、円柱状に形成されている。軸心31bの長手方向一端部は、リニアガイド32の後述するスライダ32bに設けられた軸受け32cに嵌合され、該スライダ32bに回転自在に支持されている。このように、ローラ部材31は、回転自在に支持されている。
【0056】
ローラ部31cは、例えばセラミックス等からなり、中空円柱状に形成されている。ローラ部31cは、軸心31bの外側に設けられている。このため、ローラ部31cの外周面は、ローラ部材31の外周面31aをなしている。ローラ部31cの長手方向一端部からは、軸心31bの前述した一端部が突出している。軸心31bの他端部は、ローラ部31c内に配されている。
【0057】
第1〜第12の凹部36A〜36Lは、それぞれ、ローラ部31c即ちローラ部材31の外周面31aから凹に設けられ、ローラ部材31の周方向に沿って該周方向全長に亘って溝状に形成されている。凹部36A〜36Lは、ローラ部材31の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並んでいる。即ち、凹部36A〜36Lは電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って並んで設けられている。第1〜第12の凹部36A〜36Lは、それぞれ、第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lに対応しており、これら噴出ユニット40A〜40Lと同数(12個)設けられている。凹部36A〜36Lの内側には、それぞれ、対応する噴出ユニット40A〜40Lのいずれかによって着色材が噴出される。また、凹部36A〜36Lは、内側に電線5を配することができる大きさに形成されており、その内側に電線5を配する。
【0058】
前述した構成のローラ部材31は、鉛直方向に沿って移動自在に支持されている。そして、印6を形成する着色装置1の作動時におけるローラ部材31の鉛直方向の位置は、図4に示すように、第1の凹部36Aの電線5寄りの奥底面36a(図4中、点線で示す)が、電線5のローラ部材31寄りの外表面5a(図4中、一点鎖線で示す)よりも下方になる位置とされている。これによって、第1の凹部36Aの電線5側の奥底面36aは、鉛直方向に沿って電線5のローラ部材31側の外表面5aを下方に押圧する。そして、図4中に一点鎖線で示された電線5の外表面5aは、図4中に二点鎖線で示された位置まで押し下げられる。
【0059】
つまり、第1の凹部36Aの奥底面36a即ちローラ部材31の外周面31aは、鉛直方向に沿って電線5の外表面5aと接触する。そして、図4に示された位置に位置付けられたローラ部材31は、矢印Pに沿った電線5の移動とともに、軸心31bを中心に矢印R方向に回転自在に設けられている。
【0060】
また、ローラ部材31は、水平方向に沿って移動自在に支持されている。そして、印6を形成する着色装置1の作動時におけるローラ部材31の水平方向の位置は、図5に示すように、第1の凹部36A内に電線5が配される位置とされている。
【0061】
リニアガイド32は、図3に示すように、レール32aと、スライダ32bとを備えている。レール32aは、直線状に形成されている。レール32aは、水平方向に沿って、かつ、電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って設けられている。レール32aは、支持フレーム30に鉛直方向に沿って移動自在に支持されている。スライダ32bは、レール32aに該レール32aの長手方向に沿って移動自在に支持されている。スライダ32bは、図示しないモータ等の駆動源によってレール32aの長手方向に沿って移動する。スライダ32bには、ローラ部材31が取り付けられている。
【0062】
前述した構成のリニアガイド32は、スライダ32bをレール32aの長手方向に沿って移動させることで、ローラ部材31をレール32aの長手方向、即ち電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って移動させる。そして、リニアガイド32は、ローラ部材31を電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って移動させることで、凹部36A〜36Lのそれぞれを対応する噴出ユニット40A〜40Lに接離させる(近づけたり遠ざけたりする)。
【0063】
エアシリンダ33は、シリンダ本体33aと、このシリンダ本体33aから伸縮自在な伸縮ロッド33bとを備えている。シリンダ本体33aは、フレーム11に固定され、電線5の下方に配されている。伸縮ロッド33bは、シリンダ本体33aから上方に向かって伸長する。即ち、伸縮ロッド33bは、シリンダ本体33aから、電線5から離れる方向に伸長する。伸縮ロッド33bには、リニアガイド32のレール32aが取り付けられている。
【0064】
前述した構成のエアシリンダ33は、伸縮ロッド33bを伸縮させることで、電線5とリニアガイド32とを鉛直方向に沿って接離させる。リニアガイド32のスライダ32bにはローラ部材31が取り付けられているので、エアシリンダ33は、伸縮ロッド33bを伸縮させることで、電線5とローラ部材31とを鉛直方向に沿って接離させる。
【0065】
第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lは、図2及び図3に示すように、電線5の移動方向Pに沿って並んで設けられているとともに、ローラ部材31の周方向に沿って放射状に並んで設けられている。噴出ユニット40A〜40Lは、フレーム11に固定された一つの噴出ユニットホルダ(図示せず)に取り付けられている。噴出ユニット40A〜40Lは、弛み吸収ユニット20の送出ロール13側に設けられており、弛み吸収ユニット20と送出ロール13との間に設けられている。即ち、噴出ユニット40A〜40Lは、弛み吸収ユニット20より電線5の移動方向Pの下流側に設けられ、送出ロール13より電線5の移動方向Pの上流側に設けられている。
【0066】
これら第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lは、それぞれ、第1〜第12の着色材をローラ部材31の外周面31aに向かって噴出可能である。第1〜第12の着色材は、それぞれ、第1〜第12の色A〜Lを有している。第1〜第12の色A〜Lは、互いに異なる。第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lは、互いに略同構造であるので、以下、第1の噴出ユニット40Aを代表して説明する。
【0067】
第1の噴出ユニット40Aは、第1のノズル41Aと、第1の弁42Aとを備えている。第1のノズル41Aは、図3等に示すように、ローラ部材31の外周面31aに相対している。第1のノズル41Aは、第1の色Aの第1の着色材を通すことのできる孔を備えている。孔は、ローラ部材31の外周面31aに向かって直線状に伸びている。前記孔の開口部は、ローラ部材31の外周面31aに相対しており、内側に第1の着色材を通すことができる。第1のノズル41Aには、第1の着色材供給源43Aが連結している。前記孔内には、第1の着色材供給源43Aから第1の着色材が供給される。
【0068】
第1の弁42Aは、図7に示すように、第1のノズル41Aと第1の着色材供給源43Aとの間に設けられ、これらと連結している。また、第1の着色材供給源43Aには、さらに、加圧気体供給源45が連結している。加圧気体供給源45は、加圧された気体を第1の着色材供給源43A内に供給する。なお、この加圧気体供給源45は、第2〜第12の着色材供給源43B〜43Lにも連結されており、加圧された気体を第2〜第12の着色材供給源43B〜43L内に供給する。
【0069】
第1の弁42Aが開くと、加圧気体供給源45から供給される加圧された気体によって、第1のノズル41Aの孔内の第1の着色材が前述した開口部を通ってローラ部材31の外周面31aに向かって噴出される。また、第1の弁42Aが閉じると、第1のノズル41A内の第1の着色材の噴出が止まる。
【0070】
前述した構成の第1の噴出ユニット40Aは、制御装置35の後述する弁駆動回路37等からの信号によって第1の弁42Aが予め定められている時間開いて、一定量の第1の着色材をローラ部材31の外周面31aに向かって噴出する。こうして、第1の噴出ユニット40Aは、一定量ずつ第1の着色材を滴射する。なお、滴射とは、液状の第1の着色材が、第1のノズル41Aから液滴の状態即ち滴の状態で電線5の外表面5aに向かって付勢されて打ち出されることを示している。
【0071】
前述した第1の噴出ユニット40Aと同様に、第2〜第12の噴出ユニット40B〜40Lも、それぞれ、一定量の第2〜第12の着色材をローラ部材31の外周面31aに向かって噴出可能である。第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lは、それぞれ、前述したローラ部材31の第1〜第12の凹部36A〜36Lに対応する。そして、これら噴出ユニット40A〜40Lの開口部は、それぞれ、前述したようにリニアガイド32がローラ部材31を水平方向に移動させることで対応する凹部36A〜36Lと相対する。そして、噴出ユニット40A〜40Lは、ローラ部材31の外周面31aに向かって第1〜第12の着色材を噴出して、該凹部36A〜36Lの内側に第1〜第12の着色材を噴出する。
【0072】
前述した第1〜第12の着色材とは、本明細書に記載した着色材をなしており、色材(工業用有機物質)が溶媒に溶解、分散した液状物質である。色材としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。また、溶媒としては、トルエン等の速乾性溶媒、水系溶媒やアルコール系溶媒等の遅乾性溶媒がある。より具体的な例として、第1〜第12の着色材とは、着色液または塗料である。
【0073】
着色液とは、溶媒中に染料が溶けているものまたは分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液が電線5の外表面5aに付着すると染料が被覆部52内に染み込み、塗料が電線5の外表面5aに付着すると顔料が被覆部52内に染み込むことなく外表面5aに接着する。また、溶媒と分散液とは、被覆部52を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部52内に確実に染み込んだり、顔料が電線5の外表面5aに確実に接着したりすることとなる。
【0074】
即ち、第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lは、電線5の外表面5aの一部を染料で染める、または、電線5の外表面5aに顔料を塗る。このため、電線5の外表面5aを着色するとは、電線5の外表面5aの一部を染料で染める(染色する)ことと、電線5の外表面5aの一部に顔料を塗ることとを示している。
【0075】
エンコーダ34は、図1に示すように、回転子34aを一対備えている。回転子34aは、送出ロール13より電線5の移動方向Pの下流側に設けられている。回転子34aは、軸心回りに回転自在である。回転子34aの外周面は、一対の送出ロール13間に挟まれた電線5の外表面5aと接触している。一対の回転子34aは、互いの間に電線5を挟んでいる。回転子34aは、矢印Pに沿って電線5が移動すると回転する。回転子34aの回転数と、矢印Kに沿った電線5の移動距離とは比例する。
【0076】
このエンコーダ34は、制御装置35の後述するパルス計数回路35bに接続されている。エンコーダ34は、回転子34aが所定角度ずつ回転すると、制御装置35に向かってパルス信号を出力する。即ち、エンコーダ34は、矢印Pに沿った電線5の移動速度に応じた情報を測定して、該情報をパルス計数回路35bに向かって出力する。通常、エンコーダは、電線5とエンコーダ取付ロールの摩擦によって電線5の移動量に応じたパルス信号を出力する。しかし、電線5の外表面5aの状態により電線5の移動量とパルス数が必ずしも一致しない場合は、別の場所で速度情報を入手し、その情報をフィードバックし、比較演算してもよい。
【0077】
制御装置35は、図8に示すように、箱状の装置本体35aと、パルス計数回路35bと、記憶手段及び制御手段としての弁選択回路35cと、第1〜第12の弁駆動回路37A〜37Lとを備えている。装置本体35aは、パルス計数回路35bと弁選択回路35cと第1〜第12の弁駆動回路37A〜37L等を内部に収容している。
【0078】
パルス計数回路35bは、前述したエンコーダ34から入力されるパルス信号をカウントする。パルス計数回路35bは、弁選択回路35cに接続されており、現在何番目のパルス信号がエンコーダ34から入力されたかを示す情報を弁選択回路35cに向かって出力する。パルス計数回路35bでは、パルス分解能を上げるため、非常に高周波数のエンコーダ34で発生したパルス信号を分周してパルス計数回路35bに入れる場合もある。
【0079】
弁選択回路35cは、各弁駆動回路37A〜37Lに接続されている。弁選択回路35cは、予め定められた順番のパルス信号が入力された際に、各弁駆動回路37A〜37Lに各弁42A〜42Lを開かせる信号を出力する。弁選択回路35cは、電線5の外表面5aに形成する印6のパターンに応じて、各弁駆動回路37A〜37Lに各弁42A〜42Lを開かせる信号を出力する。
【0080】
即ち、弁選択回路35cは、エンコーダ34から入力されたパルス信号毎に各弁42A〜42Lのうちいずれかを開くか、またはいずれとも閉じたままとするかを記憶しており、この記憶したパターンに従って各弁駆動回路37A〜37Lを制御する。ただし、パルス計数回路35bと弁駆動回路37A〜37Lとが直接繋がる場合は、弁選択回路35cを省略することができる。
【0081】
こうして、弁選択回路35cは、電線5の外表面5aを着色するパターンを予め記憶している。また、弁選択回路35cは、エンコーダ34から入力される電線5の移動速度に応じて、記憶したパターン通りに、各噴出ユニット40A〜40Lに一定量ずつ第1〜第12の着色材を電線5の外表面5aに向かって噴出させることができる。前述したパルス計数回路35bと弁選択回路35cとは、周知のデジタル回路等からなる。
【0082】
弁駆動回路37A〜37Lは、噴出ユニット40A〜40Lと同数設けられており、それぞれ各噴出ユニット40A〜40Lに対応している。弁駆動回路37A〜37Lには、図示しないインターフェースを介して対応する噴出ユニット40A〜40Lの弁42A〜42Lが接続されている。弁駆動回路37A〜37Lは、弁選択回路35cから対応する弁42A〜42Lを開く信号が入力されると、該信号を弁42A〜42Lに向かって出力する。弁駆動回路37A〜37Lが対応する弁42A〜42Lを開く信号を弁42A〜42Lに向かって出力すると、対応する弁42A〜42Lが開く。こうして、弁駆動回路37A〜37Lは、前述した信号を対応する弁42A〜42Lに向かって出力することで、対応する弁42A〜42Lの開閉を制御する。
【0083】
前述した構成の着色装置1で電線5の外表面5aに印6を形成する即ち電線5の外表面5aを着色する際には、まず、ガイドロール12をフレーム11に取り付ける。一対の切断刃15aを互いに離しておき、ガイドロール12に巻かれた電線5を矯正ユニット14と弛み吸収ユニット20と着色装置1とに順に通して、一対の送出ロール13間に挟む。そして、各噴出ユニット40A〜40Lに対応する着色材供給源43A〜43Lを連結し、これら着色材供給源43A〜43Lに加圧気体供給源45を連結する。
【0084】
そして、エアシリンダ33の伸縮ロッド33bを伸ばしてローラ部材31を鉛直方向に沿って上方に移動させ、ローラ部材31を電線5から離れた位置に位置付ける。次いで、リニアガイド32のスライダ32bを移動させてローラ部材31を電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って移動させ、第1の噴出ユニット40Aの第1のノズル41Aの孔の開口部と、対応する凹部36Aとを相対させる。その後、エアシリンダ25の伸縮ロッド25bを縮めてローラ部材31を鉛直方向に沿って下方に移動させ、凹部36A内に電線5を配してローラ部材31を前述した電線5を押圧する位置に位置付けて、ローラ部材31の外周面31aと電線5の外表面5aとを押圧(接触)させる。
【0085】
そして、送出ロール13を回転駆動して、電線5をガイドロール12から引っ張って該電線5の長手方向に沿って移動させるとともに、矯正ユニット14により電線5に第1の付勢力Q1の摩擦力を付与して、該電線5を張っておく。そして、エアシリンダ25で移動ローラ24即ち電線5を第2の付勢力Q2で付勢しておく。
【0086】
そして、エンコーダ34から所定の順番のパルス信号がパルス計測回路に入力されると、第1の弁42Aに接続した第1の弁駆動回路37Aが該第1の弁42Aを所定時間1回開く。すると、第1の噴出ユニット40Aは、図5に示すように、対応する凹部36Aの内側に第1の着色材を一定量噴出(滴射)する。
【0087】
そして、電線5の移動とともにローラ部材31が矢印R方向に回転すると、凹部36A内に噴出された第1の着色材が電線5に近づいていき、この第1の着色材が電線5の外表面5aに擦り付けられる。このように第1の着色材が電線5の外表面5aに擦り付けられることによって、第1の着色材は、非常に薄くかつ均一な厚さの膜状に引き延ばされる。
【0088】
そして、この第1の着色材から前述した溶媒または分散液が蒸発して、電線5の外表面5aを染料で染めるまたは外周面31aに顔料を塗る。第1の着色材は、非常に薄く引き延ばされているので、溶媒や分散液が水系やアルコール系等の比較的蒸発しにくいものであっても該溶媒や分散液が素早く蒸発して、素早く乾燥する。こうして、図6に示すように、矢印Pに沿って移動する電線5の外表面5aに印6が形成され、電線5の外表面5aが着色される。
【0089】
エンコーダ34等からの情報により、制御装置35が所定の長さの電線5を送り出したと判定すると、制御装置35は送出ロール13を停止させる。すると、特に、弛み吸収ユニット20の一対の案内ローラ22間で電線5が弛む。すると、弛み吸収ユニット20のエアシリンダ25の伸縮ロッド25bが伸長して、第2の付勢力Q2で付勢された移動ローラ24が図1中に一点鎖線で示す位置に変位する。そして、弛み吸収ユニット20は、電線5の弛みを吸収する。そして、一対の切断刃15aが互いに近づいて、これら切断刃15a間に電線5を挟んで切断する。こうして、電線5の外表面5aに第1の色Aの印6が形成された電線5が得られる。
【0090】
印6の色を第1の色Aから他の色(例えば第2の色B)に変更する際には、送出ローラを停止させた状態で、エアシリンダ33の伸縮ロッド33bを伸ばしてローラ部材31を鉛直方向に沿って上方に移動させ、ローラ部材31を電線5から離れた位置に位置付ける。次いで、リニアガイド32のスライダ32bを移動させてローラ部材31を電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って移動させ、第2の噴出ユニット40Bの第2のノズル41Bの孔の開口部と、対応する第2の凹部36Bとを相対させる。その後、エアシリンダ33の伸縮ロッド33bを縮めてローラ部材31を鉛直方向に沿って下方に移動させ、第2の凹部36B内に電線5を配してローラ部材31を前述した電線5を押圧(接触)する位置に位置付ける。その後、前述したように送出ロール13を回転駆動する。
【0091】
本実施形態によれば、その外周面31aが電線5の外表面5aに接触して電線5の移動とともに回転自在に設けられたローラ部材31と、ローラ部材31の外周面31aに向かって第1〜第12の着色材を噴出する第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lとを備えているので、ローラ部材31が回転することで着色材が電線5の外表面5aに擦り付けられ、電線5の外表面5a上の着色材が非常に薄くかつ均一な膜状に引き延ばされて電線5の外表面5aが着色される。したがって、着色材の乾燥までの時間が大幅に短縮されて、トルエン等の速乾性溶媒の着色材のかわりに水系溶媒やアルコール系溶媒等の着色材を用いることができ、環境問題に配慮した電線5を製造することができる。
【0092】
さらに、従来、水系溶媒やアルコール系溶媒等の着色材を用いる場合は、これら着色材を早く乾燥させるために、一つの色Aの着色材を同時に噴出する噴出ユニットを複数設けかつこれら噴出ユニットから噴出される着色材の液滴を微細化していたが、本実施形態においては第1の噴出ユニット40Aとローラ部材31とによって着色材の乾燥までの時間を大幅に短縮することができるので、噴出ユニットの数を減らしてコストを低減することができる。また、着色材を乾燥させる乾燥装置を設ける必要がなく、着色装置1の小型化を図ることができる。
【0093】
互いに異なる第1〜第12の色A〜Lの第1〜第12の着色材をローラ部材31の外周面31aに向かって噴出可能なように第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lが設けられているので、噴出ユニット40A〜40Lのうちの所望の色の着色材を噴出する噴出ユニットを選択して駆動するだけで着色パターンの色を変更することができ、色替作業の手間を大幅に軽減することができるとともに、色替作業の時間を大幅に短縮して電線5の着色を連続的に行うことができる。
【0094】
第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lがローラ部材31の周方向に沿って並んで設けられているので、これら噴出ユニット40A〜40Lとローラ部材31とを等しく近づけることができ、噴出ユニット40A〜40Lが確実にローラ部材31の外周面31aに着色材を噴出することができる。
【0095】
ローラ部材31の周方向に沿って該ローラ部材31の外周面から凹に設けられた第1〜第12の凹部36A〜36Lを備えているので、第1〜第12の凹部36A〜36L内に着色材を噴出しかつ該凹部36A〜36L内に電線5が配されることで、着色材と電線5とを確実に接触させて該電線5を確実に着色することができる。また、凹部36内に着色材を噴出することで、ローラ部材31の電線5が接触しない部分に着色材を噴出することがなく、着色材のロスを軽減することができる。
【0096】
第1〜第12の凹部36A〜36Lが電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って並べられて設けられるとともに、ローラ部材31を電線5の長手方向に直交(交差)する方向に沿って移動させることでこれら凹部36A〜36Lをそれぞれ対応する噴出ユニット40A〜40Lに接離させるリニアガイド32を備えているので、噴出ユニット40A〜40Lと対応する凹部36A〜36Lとを簡単かつ確実に近づけて、それぞれの噴出ユニット40A〜40Lが対応する凹部36A〜36L内に確実に着色材を噴出できる。
【0097】
電線5の移動速度を検出するエンコーダ34と、電線5を着色するパターンを記憶しかつエンコーダ34が検出した電線5の移動速度に応じてパターン通りに第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lに着色材をローラ部材31の外周面31aに向かって噴出させる弁選択回路35cとを備えているので、ローラ部材31を取り替えることなく噴出ユニット40A〜40Lを制御するだけで着色パターンの形状や配置を簡単に変更することができ、異なる着色パターンの電線5を簡単に製造することができる。
【0098】
第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lに対応して第1〜第12の凹部36A〜36Lが設けられているので、噴出手段が対応する凹部36A〜36L内にのみ着色材を噴出することで、異なる色の着色材が混ざってしまうことがなく電線5を確実に所望の色に着色できる。
【0099】
第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lが電線5の移動方向に沿って並んで設けられているので、電線5の移動方向Pに直交(交差)する方向(図1中、紙面手前方向と紙面奥方向)に沿った電線5の着色装置1を小型化できる。
【0100】
電線5を矢印Pに沿って移動させた後に切断する電線切断装置10に取り付けられているので、長尺の電線5を所定の長さに切断する際に該電線5に所定の着色を行うことができ、装置の設置に必要なスペースを抑制できるとともに、電線5の加工にかかる工数等を抑制できる。
【0101】
本実施形態においては、着色装置1によって角丸四角形状の印6が1つ形成されていた。しかしながら本発明では、印6の形状はこれに限定されるものではなく、様々な形状の印6を形成することができる。例えば、第1のノズル41Aが所定時間3回開いて凹部36内に第1の着色材が3点噴出され、これらが電線5の外表面5aに擦り付けられることによって、図9に示すように、それぞれが互いに繋がった長尺線状の印6を形成することができる。
【0102】
また、本実施形態においては、第1〜第12の噴出ユニット40A〜40Lと第1〜第12の凹部36A〜36Lとが12個ずつ設けられていた。しかしながら本発明では噴出ユニット40と凹部36との数に何ら制限はない。
【0103】
また、本実施形態においては、制御装置35は主にデジタル回路等から構成されていた。しかしながら本発明では、制御装置35を周知のRAM、ROM、CPUと、EPROM等の周知の不揮発性メモリ等を備えたコンピュータから構成してもよい。この場合、EPROM等の不揮発性メモリが記憶手段をなし、CPUが制御手段をなす。
【0104】
また、本実施形態においては、自動車に配索されるワイヤハーネスを構成する電線5に関して記載していた。しかしながら本発明では、電線5を自動車に限らず、ポータブルコンピュータ等の各種の電子機器や各種の電気機械に用いてもよいことは勿論である。
【0105】
さらに、本発明では、着色液及び塗料として、アクリル系塗料、インク(染料系、顔料系)、UVインクなどの種々のものを用いてもよい。
【0106】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電線の着色装置が取り付けられた電線切断装置10の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された電線の着色装置のローラ部材近傍を拡大して示す説明図である。
【図3】図2に示された電線の着色装置のローラ部材近傍を示す斜視図である。
【図4】図3に示された電線の着色装置の作動時における電線とローラ部材との位置関係を示す側面図である。
【図5】図4に示された電線とローラ部材の正面図である。
【図6】図5に示された電線が着色された状態を示す上面図である。
【図7】図1に示された電線の着色装置の主に噴出ユニットの構成を示す説明図である。
【図8】図1に示された電線の着色装置の主に制御装置の構成を示す説明図である。
【図9】図6に示された着色された電線の変形例である。
【符号の説明】
【0108】
1 着色装置
5 電線
5a 外表面
10 電線切断装置
31 ローラ部材
31a 外周面
32 リニアガイド(移動手段)
34 エンコーダ(検出手段)
35c 弁選択回路(記憶手段、制御手段)
36A〜36L 第1〜第12の凹部
40A〜40L 第1〜第12の噴出ユニット(噴出手段)
P 電線の移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って移動する電線の外表面を着色する電線の着色装置において、
その外周面が前記電線の外表面に接触して、前記電線の移動とともに回転自在に設けられたローラ部材と、
前記ローラ部材の外周面に向かって着色材を噴出する噴出手段と、を備えたことを特徴とする電線の着色装置。
【請求項2】
前記噴出手段が、互いに異なる色の着色材を前記ローラ部材の外周面に向かって噴出可能なように複数設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電線の着色装置。
【請求項3】
複数の前記噴出手段が、前記ローラ部材の周方向に沿って並んで設けられたことを特徴とする請求項2に記載の電線の着色装置。
【請求項4】
前記ローラ部材の周方向に沿って該ローラ部材の外周面から凹に設けられた凹部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の電線の着色装置。
【請求項5】
前記凹部が前記電線の長手方向に交差する方向に沿って並んで複数設けられるとともに、前記ローラ部材を前記電線の長手方向に交差する方向に沿って移動させることでそれぞれの前記凹部を対応する前記噴出手段に接離させる移動手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の電線の着色装置。
【請求項6】
一方向に沿って移動する電線の外表面を着色する電線の着色方法において、
ローラ部材の外周面に着色材を噴出し、このローラ部材が外周面を前記電線の外表面に接触させて前記電線の移動とともに回転することで、前記電線の外表面に前記着色材を擦り付けて前記電線を着色することを特徴とする電線の着色方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−193747(P2009−193747A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31348(P2008−31348)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】