説明

電線の被覆剥き方法及び電線の被覆剥き装置

【課題】芯線へのダメージを排除できる被覆剥き方法及び被覆剥き装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、測長ローラ5及び第1被覆剥き刃6を制御して、一対の第1被覆剥き刃6によって被覆部4の電線2の端末から所定長さL/2離れた位置に第1の切り込みを入れた後、第1被覆剥き刃6によって第1の切込みよりも端末側の被覆部4を端末側に寄せて電線2から除去する。その後、制御装置は、測長ローラ5及び第2被覆剥き刃7を制御して、第2被覆剥き刃7によって被覆部4の第1の切込みよりも電線2の端末から離れた位置に第2の切込みを入れ、第2の切込みと第1の切込みとの間の被覆部4を端末側に寄せて電線2を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の被覆剥き方法及び電線の被覆剥き装置に係り、特に、電線の端末の被覆部を剥ぐ電線の被覆剥き方法及び電線の被覆剥き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端末に取り付けられたコネクタなどを備えている。電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の被覆樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。
【0003】
前述した電線は、コネクタに取り付けるために端末の被覆部を剥く必要がある。この電線の被覆部を剥く被覆剥き装置100として、図4に示されたものが提案されている(例えば特許文献1〜7)。この被覆剥き装置100は、電線200の端末の被覆部201を剥く装置である。
【0004】
上記被覆剥き装置100は、一対の被覆剥き刃101と、電線200をその長手方向Y1に沿って移動させる移動手段として一対の測長ローラ102と、これら一対の被覆剥き刃101及び一対の測長ローラ102を制御して電線200の被覆部201を剥く図示しない制御装置と、を備えている。
【0005】
上記一対の被覆剥き刃101は、互いの間に電線200を位置付けるように配置され、互いに接離可能に設けられている。一対の測長ローラ102は、例えば鉛直方向に沿って並べられていて、図示しないモータなどにより互いに逆方向に同回転数で回転される。
【0006】
上記一対の測長ローラ102は、電線200を互いの間に挟んだ状態で回転することによって電線200を長手方向Y1に移動させる。即ち、図4(A)に示すように、一対の測長ローラ102のうち鉛直方向上側を反時計回り、鉛直方向下側を時計回りに回転させると、電線200がその端末方向Y11に移動する。
【0007】
一方、図4(B)に示すように、一対の測長ローラ102のうち鉛直方向上側を時計回り、鉛直方向下側を反時計回り回転させると、電線200が端末から離れる方向Y12に移動する。また、上述した図示しない制御装置は、マイクロコンピュータからなり、一対の被覆剥き刃101の接離方向の駆動と、一対の測長ローラ102を回転と、を制御する。
【0008】
次に、上述した構成の被覆剥き装置100の動作について説明する。まず、上述した図示しない制御装置は、図4(A)に示すように、一対の測長ローラ102のうち鉛直方向上側を反時計回り、鉛直方向下側を時計回りに回転させて、電線200を端末方向Y11に向かって移動させて、一対の被覆剥き刃101が電線200の端末から所定の被覆剥き代Lだけ離れた位置に位置付ける。
【0009】
次に、図示しない制御装置は、図4(B)に示すように、一対の被覆剥き刃101を互いに近づけて、電線200の被覆部201に切込みを入れる。その後、図示しない制御装置は、一対の被覆剥き刃101を互いに近づけて被覆部201に食い込ませた状態で、一対の測長ローラ102のうち鉛直方向上側を時計回り、鉛直方向下側を反時計回りに回転させて、電線200を端末から離れる方向Y12に向かって被覆剥き寸法Sだけ移動させる。これにより、一対の被覆剥き刃101によって切込みよりも端末側の被覆部201が端末側に寄せられ、被覆剥き寸法L分の被覆部201を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−31027号公報
【特許文献2】特開2000−133066号公報
【特許文献3】特開2001−112137号公報
【特許文献4】特開2006−158170号公報
【特許文献5】特開2005−33929号公報
【特許文献6】特開2007−166871号公報
【特許文献7】特開平6−276636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した被覆剥き装置100では、1回だけ切込みをいれて被覆部201を端末側に寄せて除去するので、例えば二重被覆電線のように被覆剥き代Lを長くする必要があると、被覆部201と芯線202との間で接触面積が多くなり摩擦抵抗が大きくなる。このため、特に、芯線202が細い場合、芯線202が断線などのダメージを受ける可能性がある。
【0012】
そこで、本発明は、芯線へのダメージを排除できる被覆剥き方法及び被覆剥き装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、電線の端末の被覆部を剥く電線の被覆剥き方法において、被覆剥き刃によって前記被覆部の前記電線の端末から所定長さ離れた位置に第1の切込みを入れる第1切込み工程と、前記第1の切込みよりも端末側の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線から除去する第1除去工程と、被覆剥き刃によって前記被覆部の前記第1の切込みよりも前記電線の端末から離れた位置に第2の切込みを入れる第2切込み工程と、前記第1除去工程後に前記第2の切込みと前記第1の切込みとの間の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線を除去する第2除去工程と、を行うことを特徴とする電線の被覆剥き方法に存する。
【0014】
請求項2記載の発明は、互いの間に電線を位置付けるように配置された互いに接離可能な一対の被覆剥き刃と、前記電線及び前記一対の被覆剥き刃の少なくとも一方を前記電線の長手方向に沿って移動させる移動手段と、前記被覆剥き刃及び前記移動手段を制御して前記電線の端末の被覆部を剥く制御手段と、を備えた電線の被覆剥き装置において、前記制御手段が、前記被覆剥き刃によって前記被覆部の前記電線の端末から所定長さ離れた位置に第1の切込みを入れる第1切込み手段と、前記被覆剥き刃によって前記第1の切込みよりも端末側の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線から除去する第1除去手段と、前記被覆剥き刃によって前記被覆部の前記第1の切込みよりも前記電線の端末から離れた位置に第2の切込みを入れる第2切込み手段と、前記第1除去手段により除去が終了した後に前記被覆剥き刃によって前記第2の切込みと前記第1の切込みとの間の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線から除去する第2除去手段と、を有することを特徴とする電線の被覆剥き装置に存する。
【0015】
請求項3記載の発明は、前記一対の被覆剥き刃が、前記電線の長手方向に沿って互いに間隔をあけて二対設けられ、前記移動手段が、前記電線を互いの間に挟んだ状態で回転することによって前記電線を長手方向に移動させる一対のローラから構成され、前記第1切込み手段が、前記二対の被覆剥き刃のうち前記端末側の前記一対の被覆剥き刃を互いに近づけて前記第1の切込みを入れ、前記第2切込み手段が、前記第1除去手段による除去が終了した後に前記二対の被覆剥き刃のうち前記端末から離れた側の前記一対の被覆剥き刃を互いに近づけて前記第2の切込みを入れることを特徴とする請求項2に記載の電線の被覆剥き装置に存する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1及び2記載の発明によれば、少なくとも2回に分けて被覆部を除去するので、1回に除去する被覆部の長さが短く、除去する被覆部と芯線との間の接触面積を抑えることができるため、摩擦抵抗による芯線へのダメージを排除できる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、一対の被覆剥き刃を電線の長手方向に沿って互いに間隔をあけて二対設けているので、一対の被覆剥き刃によって第1切込み、第2切込みの双方を入れる場合に比べて電線の移動を少なくすることができるため、迅速に被覆部を剥くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の被覆剥き方法を実施した被覆剥き装置の一実施形態を示す部分側面図である。
【図2】図1に示す被覆剥き装置の動作を説明するための説明図である。
【図3】図1に示す被覆剥き装置を構成する制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】従来の被覆剥き装置の構成及び動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の電線の被覆剥き方法を実施した電線の被覆剥き装置(以下単に被覆剥き装置と呼ぶ)を図1及び図2に基づいて説明する。被覆剥き装置1は、電線2の端末の被覆部4を剥く装置である。
【0020】
電線2は、移動体としての自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。上記電線2は、図2(C)及び(D)に示すように、導電性の芯線3と、絶縁性の被覆部4と、を備えている。本実施形態において芯線3は、複数の導線が撚られて形成されるものとするが、芯線3としては一本の導線から構成されてもよい。
【0021】
上記被覆部4は、芯線3を被覆していて、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。本実施形態において被覆部4は、2層重ねて構成されている。即ち、この電線2は所謂二重電線であるが、被覆部4としては1層で構成されてもよい。
【0022】
前述した構成の電線2は、複数束ねられるとともに端末にコネクタなどが取り付けられて前述したワイヤハーネスを構成する。コネクタが自動車などの各種の電子機器のコネクタにコネクタ結合して、ワイヤハーネス即ち電線2は、各電子機器に各種の信号や電力を伝える。このように電線2は、コネクタを取り付けるために端末の被覆部4を剥く必要がある。
【0023】
上記被覆剥き装置1は、電線2をその長手方向Y1に沿って移動させる移動手段としての測長ローラ5と、第1、第2被覆剥き刃6、7と、これら測長ローラ5及び第1、第2被覆剥き刃6、7を制御して電線2の被覆部4を剥く制御装置8などを備えている。
【0024】
上記測長ローラ5は、工場などのフロア上に設置される図示しないフレームに一対設けられている。これら一対の測長ローラ5は、回転自在に支持され、かつ鉛直方向に沿って並べられている。なお、図1及び図2に示す一例では、測長ローラ5は、鉛直方向に沿って並べられているが、水平方向に沿って並べてもよい。この一対の測長ローラ5は、図示しないモータなどにより互いに逆方向に同回転で回転される。また、一対の測長ローラ5は、電線2を互いの間に挟んだ状態で回転することによって電線2を長手方向Y1に移動させる。
【0025】
即ち、図2(A)に示すように、一対の測長ローラ5のうち鉛直方向上側を反時計回り、鉛直方向下側を時計回りに回転させると、電線2がその端末方向Y11に移動する。 一方、図2(B)に示すように、一対の測長ローラ5のうち鉛直方向上側を時計回り、鉛直方向下側を反時計回りに回転させると、電線2がその端末から離れる方向Y12に移動する。
【0026】
上記第1被覆剥き刃6は、上記測長ローラ5よりも端末方向Y11側に一対設けられている。これら一対の第1被覆剥き刃6は、鉛直方向に沿って並べて設けられている。一対の第1被覆剥き刃6は、互いの間に電線2を位置付けるように配置されるとともに鉛直方向に沿って互いに接離可能に設けられている。この一対の第1被覆剥き刃6が互いに近づくと、電線2を挟んでその被覆部4に切込みが入る。一対の第1被覆剥き刃6が離れると、勿論、電線2から離れる。
【0027】
上記第2被覆剥き刃7は、上記測長ローラ5と第1被覆剥き刃6との間に一対設けられている。即ち、第1被覆剥き刃6及び第2被覆剥き刃7は、電線2の長手方向Y1に沿って互いに間隔をあけて並べられている。また、これら一対の第2被覆剥き刃7は、鉛直方向に沿って並べて設けられている。一対の第2被覆剥き刃7は、互いの間に電線2を位置付けるように配置されるとともに鉛直方向に沿って互いに接離可能に設けられている。この一対の第2被覆剥き刃7が互いに近づくと、電線2を挟んでその被覆部4に切込みが入れる。一対の第2被覆剥き刃7が離れると、勿論、電線2から離れる。
【0028】
上記制御装置8は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置8は、測長ローラ5、第1、第2被覆剥き刃6、7などと接続しており、これらの動作を制御することにより、被覆部4の予め定めた被覆剥き代Lを2等分して、2回に分けて剥く。
【0029】
次に、上述した構成の被覆剥き装置1の動作について図2の説明図及び図3のフローチャートを参照して説明する。まず、制御装置8は、図2(A)に示すように、測長ローラ5の鉛直方向上側を反時計回り、鉛直方向下側を時計回りに回転させて、電線2を端末方向Y11に向かって移動させて、電線2の端末から被覆剥き代Lの半分の長さL/2(=所定長さ)離れた位置に第1被覆剥き刃6を位置付けた後、測長ローラ5の回転を停止させる(ステップS1)。
【0030】
なお、制御装置8は、測長ローラ5の回転数を制御することにより、電線2の長手方向Y1の位置を制御している。続いて、制御装置8は、第1切込み手段として働き、図2(B)に示すように、第1被覆剥き刃6を互いに近づけて電線2の被覆部4に第1の切込みを入れる(ステップS2)。上述したステップS2が請求項中の第1切込み工程に相当する。
【0031】
その後、制御装置8は、図2(B)に示すように、第1除去手段として働き、測長ローラ5の鉛直方向上側を時計回り、鉛直方向下側を反時計回りに回転させて、電線2を端末から離れる方向Y12に向かって予め定めた被覆剥き寸法Sだけ移動させる(ステップS3)。これにより、図2(C)に示すように、第1被覆剥き刃6によって第1の切込みよりも端末側の被覆部4が端末側に寄せられて、被覆剥き寸法S分の被覆部4を電線2から除去することができる。上述したステップS3が請求項中の第1除去工程に相当する。
【0032】
その後、制御装置8は、図2(C)に示すように、第1被覆剥き刃6を互いに離して電線2から離す(ステップS4)。次に、制御装置8は、第2切込み手段として働き、第2被覆剥き刃7を互いに近づけて電線2の被覆部4に第2の切込みを入れる(ステップS5)。これにより、第2被覆剥き刃7によって被覆部2の第1切込みよりも電線2の端末から離れた位置に第2の切込みを入れることができる。上述したステップS5が請求項中の第2切込み工程に相当する。
【0033】
また、図2に示すように、第1被覆剥き刃6と第2被覆剥き刃7との距離を、被覆剥き代Lの半分の長さL/2と被覆剥き寸法Sとを合わせた長さ(L/2+S)に設定しておけば、ステップS3が終了した後、電線2を移動させなくても第2被覆剥き刃7が第1切込みからL/2だけ離れた位置に位置する。即ち、被覆剥き代Lを2等分するように第1切込み、第2切込みを入れることができる。
【0034】
次に、制御装置8は、第2除去手段として働き、図2(C)に示すように、測長ローラ5の鉛直方向上側を時計回り、鉛直方向下側と反時計回りに回転させて、電線2を端末から離れる方向Y12に向かって予め定めた被覆剥き寸法L2だけ移動させる(ステップS6)。これにより、図2(D)に示すように、第2被覆剥き刃7によって第2の切込みと第1の切込みとの間の被覆部4を端末側に寄せられて、被覆剥き寸法S分の被覆部4を電線2から除去することができる。上述したステップS6が請求項中の第2除去工程に相当する。
【0035】
その後、制御装置8は、第2被覆剥き刃7を互いに離して電線2から離した後(ステップS7)、処理を終了する。
【0036】
上述した被覆剥き装置1によれば、少なくとも2回に分けて被覆部4を除去するので、1回に除去する被覆部4の長さが短く、除去する被覆部4と芯線3との間の接触面積を抑えることができるため、摩擦抵抗による芯線3へのダメージを排除できる。
【0037】
上述した被覆剥き装置1によれば、一対の被覆剥き刃6、7を電線2の長手方向Y1に沿って互いに間隔をあけて二対設けているので、一対の被覆剥き刃だけで第1切込み、第2切込みの双方を入れる場合に比べて電線2の移動を少なくすることができるため、迅速に被覆部4を剥くことができる。
【0038】
なお、上述した実施形態によれば、2回に分けて被覆部4を除去していたが、本発明はこれに限ったものではない。本発明は、少なくとも第1の切込み、第2の切込みを入れて2回に分けて被覆部4を除去すればよく、第3の切込み、第4の切込み…を入れて3回以上に分けて被覆部4を除去してもよい。
【0039】
また、上述した実施形態によれば、第1被覆剥き刃6と第2被覆剥き刃7との距離を被覆剥き代Lの半分の長さL/2と被覆剥き寸法Sとを合わせた長さ(L/2+S)に設定して、ステップS3が終了した後に電線2を移動させることなく第2被覆剥き刃7を近づけて第2切込みを入れていたが、本発明はこれに限ったものではない。第1被覆剥き刃6と第2被覆剥き刃7との距離を長さ(L/2+S)に設定するのが難しければ、ステップS3が終了した後、第2被覆剥き刃7が第1切込みからL/2だけ離れた位置に位置するように電線2を移動させるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態によれば、第1の切込み、第2の切込みを入れて被覆剥き代Lを等分して除去していたが、本発明はこれに限ったものではない。被覆剥き代Lは等分しなくてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態によれば、第1の切込みを入れて、第1の切込みよりも端末側の被覆部4を端末側に寄せた後、第2の切込みを入れて、第2の切込みと第1の切込みとの間の被覆部4を端末側に寄せていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、第1の切込み、第2の切込みを先に入れた後に、第1の切込みよりも端末側の被覆部4を端末側に寄せて、その後、第2の切込みと第1の切込みとの間の被覆部4を端末側に寄せてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態によれば、移動手段としては、電線2を移動させていたが、本発明はこれに限ったものではない。移動手段は、電線2及び第1、第2被覆剥き刃6、7の少なくとも一方を長手方向Y1に沿って移動させればよく、電線2を固定して第1、第2被覆剥き刃6、7を移動させて被覆部4を剥くようにしてもよい。また、電線2及び第1、第2被覆剥き刃の双方を移動させて被覆部4を剥くようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態によれば、被覆剥き刃は、第1、第2被覆剥き刃5、6の二対設けていたが、本発明はこれに限ったものでない。例えば、一対の被覆剥き刃を用いて第1の切込み及び第2の切込みの双方を入れて除去するようにしてもよい。
【0044】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 被覆剥き装置
2 電線
4 被覆部
5 測長ローラ(移動手段)
6 第1被覆剥き刃(被覆剥き刃)
7 第2被覆剥き刃(被覆剥き刃)
8 制御装置(制御手段、第1切込み手段、第1除去手段、第2切込み手段、第2除去手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末の被覆部を剥く電線の被覆剥き方法において、
被覆剥き刃によって前記被覆部の前記電線の端末から所定長さ離れた位置に第1の切込みを入れる第1切込み工程と、
前記第1の切込みよりも端末側の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線から除去する第1除去工程と、
被覆剥き刃によって前記被覆部の前記第1の切込みよりも前記電線の端末から離れた位置に第2の切込みを入れる第2切込み工程と、
前記第1除去工程後に前記第2の切込みと前記第1の切込みとの間の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線を除去する第2除去工程と、
を行うことを特徴とする電線の被覆剥き方法。
【請求項2】
互いの間に電線を位置付けるように配置された互いに接離可能な一対の被覆剥き刃と、前記電線及び前記一対の被覆剥き刃の少なくとも一方を前記電線の長手方向に沿って移動させる移動手段と、前記被覆剥き刃及び前記移動手段を制御して前記電線の端末の被覆部を剥く制御手段と、を備えた電線の被覆剥き装置において、
前記制御手段が、前記被覆剥き刃によって前記被覆部の前記電線の端末から所定長さ離れた位置に第1の切込みを入れる第1切込み手段と、前記被覆剥き刃によって前記第1の切込みよりも端末側の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線から除去する第1除去手段と、前記被覆剥き刃によって前記被覆部の前記第1の切込みよりも前記電線の端末から離れた位置に第2の切込みを入れる第2切込み手段と、前記第1除去手段により除去が終了した後に前記被覆剥き刃によって前記第2の切込みと前記第1の切込みとの間の前記被覆部を端末側に寄せて前記電線から除去する第2除去手段と、を有する
ことを特徴とする電線の被覆剥き装置。
【請求項3】
前記一対の被覆剥き刃が、前記電線の長手方向に沿って互いに間隔をあけて二対設けられ、
前記移動手段が、前記電線を互いの間に挟んだ状態で回転することによって前記電線を長手方向に移動させる一対のローラから構成され、
前記第1切込み手段が、前記二対の被覆剥き刃のうち前記端末側の前記一対の被覆剥き刃を互いに近づけて前記第1の切込みを入れ、
前記第2切込み手段が、前記第1除去手段による除去が終了した後に前記二対の被覆剥き刃のうち前記端末から離れた側の前記一対の被覆剥き刃を互いに近づけて前記第2の切込みを入れる
ことを特徴とする請求項2に記載の電線の被覆剥き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−5220(P2012−5220A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137041(P2010−137041)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】