説明

電線ホルダ、及び、この電線ホルダの接続方法

【課題】複数の圧接端子と複数の電線とを一括で接続すると同時に、該圧接端子を収容したホルダ受け部に係止する作業工数の低減を図った電線ホルダ、及び、この電線ホルダの接続方法を提供する。
【解決手段】電線ホルダ1は、複数の電線6それぞれを収容するための複数の電線収容溝25と、1つの周壁部23Aに設けられた複数の圧接端子受け入れ溝26と、を有するハウジング2と、一対のカバー部42同士を連結する開き防止部45と、を有するカバー4と、を備え、ハウジングには、一端が天壁部24に固定され、他端が自由端となるアーム部28から突出し、カバーがハウジングを収容すると開き防止部に係止する係止部29が設けられ、開き防止部が係止部に係止した状態で、圧接端子が電線を圧接すると、これら開き防止部と係止部との間には、圧接端子を収容するホルダ受け部に設けられた係止受け部が位置付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の圧接端子と複数の電線と接続する、該複数の電線を取り付けた電線ホルダ、及び、この電線ホルダの接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の天井に取り付けられる従来の車両用ルームランプとして、金属板に打ち抜き加工及び曲げ加工が施されて形成されたバスバが合成樹脂製のハウジングに組み付けられた構造のものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。図11は従来の車両用ルームランプを構成するバスバを示す斜視図である。
【0003】
図11に示すように、上記バスバ103には、電線が圧接される複数の圧接部104と、光源であるバルブが取り付けられる一対の部品取付部107などが設けられている。
【0004】
上記圧接部104は、底壁140と、底壁140の両縁から立設した一対の圧接刃141と、により形成されている。前記電線は、一対の圧接刃141に圧接されて、これら一対の圧接刃141に電気接続される。
【0005】
上述したバスバ103を備えた車両用ルームランプは、以下のように組み立てられる。まず、予め金属板に打ち抜き加工及び曲げ加工が施されて形成されたバスバ103を、ハウジングに組み付ける。そして、バルブを一対の部品取付部107に取り付ける。次に、複数の電線を1本ずつ、複数の圧接部104それぞれに圧接する。最後に、カバーをハウジングに取り付ける。こうして車両用ルームランプが組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−329883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の車両用ルームランプにおいては、以下に示す問題があった。即ち、上述した車両用ルームランプは、複数の電線のうち1本ずつを、各圧接部104に圧接することで、これら複数の電線と複数の圧接部104とは接続されるので、複数の電線と複数の圧接部104とを接続するための作業工数がかかってしまう問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、複数の圧接端子と複数の電線とを一括で接続すると同時に、該圧接端子を収容したホルダ受け部に係止する作業工数の低減を図った電線ホルダ、及び、この電線ホルダの接続方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、底壁部と、前記底壁部と相対する天壁部と、これら底壁部と天壁部とを連結する複数の周壁部と、前記複数の周壁部のうち少なくとも1つの周壁部に互いに平行に設けられ、複数の電線それぞれを収容するための複数の電線収容溝と、前記1つの周壁部の前記電線収容溝の幅方向の両端に設けられ、前記電線を圧接する圧接端子を収容するための凹状の複数の圧接端子受け入れ溝と、を有するハウジングと、前記1つの周壁部と対向し、前記圧接端子受け入れ溝と連通する複数の孔部が形成された基板部と、前記基板部の前記電線収容溝の延在する方向の両端から立設し、互いの間に前記ハウジングを位置付ける一対のカバー部と、を有するカバーと、を備え、前記カバーには、前記一対のカバー部同士を連結する開き防止部が設けられ、前記ハウジングには、一端が前記天壁部に固定され、他端が前記圧接端子受け入れ溝の深さ方向に沿って伸びた自由端となるアーム部と、前記アーム部の表面から突出し、前記カバーが前記ハウジングを収容すると前記開き防止部に係止する係止部と、が設けられ、前記開き防止部が前記係止部に係止した状態で、前記圧接端子が前記電線を圧接し、該圧接端子が前記圧接端子受け入れ溝に収容されると、これら開き防止部と係止部との間には、前記圧接端子を収容するホルダ受け部に設けられた係止受け部が位置付けられることを特徴とする電線ホルダである。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の電線ホルダにおいて、前記ハウジングと前記カバーとは、可撓性を有する樹脂からなるヒンジ部を介して一体に設けられており、前記ヒンジ部の一端部は、前記一対のカバー部の前記開き防止部から離れた端部同士を連結するように設けられ、前記ヒンジ部の他端側は、前記底壁部に連なっていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の電線ホルダにおいて、前記複数の周壁部のうち前記1つの周壁部と隣り合う他の周壁部から外方向に立設した立設部と、前記立設部に連なり、前記カバー部を前記他の周壁部との間に位置付ける対向部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載された発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の電線ホルダの接続方法であって、前記複数の電線それぞれを、前記電線収容溝に収容する第1工程と、前記複数の電線それぞれが前記電線収容溝に収容された状態で、前記ハウジングと前記カバー部との間に前記電線を挟むように前記ハウジングを前記カバーに収容する第2工程と、前記ハウジングが前記カバーに収容された状態で、前記基板部を前記圧接端子に近付けて、前記圧接端子を前記孔部に通した後前記圧接端子を前記電線に圧接し、これら電線と圧接端子とを接続した後、前記圧接端子を前記圧接端子受け入れ溝に収容し、前記係止受け部を前記開き防止部と前記係止部との間に位置付ける第3工程と、を順次行うことを特徴とする電線ホルダの接続方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項4記載の本発明によれば、底壁部と、前記底壁部と相対する天壁部と、これら底壁部と天壁部とを連結する複数の周壁部と、前記複数の周壁部のうち少なくとも1つの周壁部に互いに平行に設けられ、複数の電線それぞれを収容するための複数の電線収容溝と、前記1つの周壁部の前記電線収容溝の幅方向の両端に設けられ、前記電線を圧接する圧接端子を収容するための凹状の複数の圧接端子受け入れ溝と、を有するハウジングと、前記1つの周壁部と対向し、前記圧接端子受け入れ溝と連通する複数の孔部が形成された基板部と、前記基板部の前記電線収容溝の延在する方向の両端から立設し、互いの間に前記ハウジングを位置付ける一対のカバー部と、を有するカバーと、を備えている。前記カバーには、前記一対のカバー部同士を連結する開き防止部が設けられ、前記ハウジングには、アーム部と、前記アーム部の表面から突出し、前記カバーが前記ハウジングを収容すると前記開き防止部に係止する係止部と、が設けられ、前記係止部は、圧接端子を収容したホルダ受け部に係止するので、基板部をホルダ受け部に収容された圧接端子に近付ける容易な作業で、複数の圧接端子と複数の電線とを一括で接続すると同時に、該圧接端子を収容したホルダ受け部に係止する作業工数の低減を図った電線ホルダ、及び、この電線ホルダの接続方法を提供することができる。
【0014】
また、ハウジングに設けられた係止部に係止する開き防止部は、一対のカバー部同士を連結するように設けられていることで、複数の電線が一対のカバー部が互いに離れる方向に引っ張られた際においても、これら一対のカバー部同士が互いに離れる方向に開くのを、防止することができる。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、前記ハウジングと前記カバーとは、可撓性を有する樹脂からなるヒンジ部を介して一体に設けられており、前記ヒンジ部の一端部は、前記一対のカバー部の前記開き防止部から離れた端部同士を連結するように設けられ、前記ヒンジ部の他端側は、前記底壁部に連なっているので、組付け作業性の向上を図るとともに、部品数を増やすことなくカバーの強度の向上を図ることができる。
【0016】
また、ヒンジ部の一端部は、一対のカバー部の開き防止部から離れた端部同士を連結するように設けられているので、複数の電線が一対のカバー部が互いに離れる方向に引っ張られた際においても、これら一対のカバー部同士が互いに離れる方向に開くのを、より一層確実に防止することができる。
【0017】
請求項3記載の本発明によれば、前記複数の周壁部のうち前記1つの周壁部と隣り合う他の周壁部から外方向に立設した立設部と、前記立設部に連なり、前記カバー部を前記他の周壁部との間に位置付ける対向部と、を備えているので、複数の電線が一対のカバー部が互いに離れる方向に引っ張られた際においても、これら一対のカバー部同士が互いに離れる方向に開くのを、より一層確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の電線ホルダが取り付けられる室内照明装置の一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1に示された電線ホルダが、室内照明装置を構成するハウジング部に近付けられる様子を示す斜視図である。
【図3】図1に示された室内照明装置の分解斜視図である。
【図4】図1中のI−I線に沿う室内照明装置の一部の概略を示す断面図である。
【図5】図1に示された室内照明装置を構成する電線ホルダを示す斜視図である。
【図6】図5に示された電線ホルダの側面図である。
【図7】図6中のII−II線に沿う断面図である。
【図8】図5に示された電線ホルダの分解斜視図である。
【図9】図8に示された電線ホルダを組み立てる様子を示す図であり、(a)は、電線ホルダの電線収容溝に電線を収容する様子を示す斜視図であり、(b)は、電線収容溝に電線を収容した状態を示す斜視図であり、(c)は、電線収容溝に電線が収容された状態のハウジングを、カバーに収容する様子を示す斜視図であり、(d)は、カバーにハウジングを収容した状態を示す斜視図である。
【図10】図8に示された電線ホルダに取り付けられた電線と、圧接端子とが接続される様子を示す概略図であり、(a)は、圧接端子に電線が取り付けられた電線ホルダが近付けられる様子を示す断面図であり、(b)は、圧接端子に電線が圧接されて接続された状態を示す断面図であり、(c)は、電線に接続された圧接端子が電線ホルダに収容され、ホルダ受け部の係止受け部に電線ホルダが係止した状態を示す断面図である。
【図11】従来の車両用ルームランプを構成するバスバを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電線ホルダが取り付けられる室内照明装置の一実施の形態を、図1乃至図11に基づいて説明する。図1などに示された室内照明装置10は、車両としての自動車の室内に配置される図示しないルーフトリム(自動車の天井を構成する、合成樹脂で構成される部品、内張り部品)に設けられた開口窓(図示しない)に取り付けられる。
【0020】
上記室内照明装置10は、意匠部としてのレンズ部11と、本発明の電線ホルダ1を有する照明ユニット14と、を備えている。
【0021】
上記レンズ部11は、図2、図3に示すように、透明な合成樹脂で構成され、平板状に形成されている。レンズ部11は、前述した開口窓を塞ぐように、該開口窓に取り付けられる。また、レンズ部11には、照明ユニット14の後述するスイッチユニット8を通す挿通孔13が設けられている。レンズ部11は、照明ユニット14の発する光を乗員室に導く。また、レンズ部11は、室内照明装置10の外観をなしている。
【0022】
上記照明ユニット14は、図3に示すように、複数のバルブ15と、電源からの電力を複数のバルブ15に供給する電線ホルダ1と、複数のバルブ15と電線ホルダ1とを接続するバスバ7と、前記バスバ7と接続して、複数のバルブ15の点灯・消灯を制御する複数のスイッチユニット8と、これら複数のバルブ15とバスバ7とスイッチユニット8とを収容する絶縁性の合成樹脂からなるハウジング部9と、を備えている。
【0023】
上記複数のバルブ15は、2つ設けられている。2つのバルブ15は、光を照射する発光部16と、正極・負極からなる一対の電極17と、を有した周知の構成のウェッジバルブである。また、本発明では、ウェッジバルブの代わりにLEDウェッジバルブを用いることもできる。
【0024】
上記電線ホルダ1は、図4、図5、図6に示すように、バッテリに接続された複数の電線6を取り付けるハウジングとしての内ホルダ2と、前記内ホルダ2を収容するカバー4と、これら内ホルダ2とカバー4と一体に設けられ、これらを互いに連結するヒンジ部5(図8に示す)と、を備えている。
【0025】
上記複数の電線6は、電源からの電力を前述したバルブ15に供給する電源線61と、例えば、制御部からの制御信号を伝送する信号線62と、グランド線63と、によって構成されている。
【0026】
上記内ホルダ2は、図7、図8に示すように、底壁部21と、前記底壁部21と相対する天壁部24と、これら底壁部21と天壁部24とを連結する複数の周壁部23A、23B(図5に示す)、23Cと、によって矩形状に形成されている。また、特許請求項の範囲に示された「1つの周壁部」は、周壁部23Aを示している。
【0027】
上記複数の周壁部23Cは、一対設けられている。一対の周壁部23Cは、互いに対向しており、該一対の周壁部23C間に周壁部23Aは位置している。即ち、一対の周壁部23Cは、周壁部23Aと隣り合う位置に設けられており、特許請求項の範囲に示された「他の周壁部」を示している。
【0028】
また、内ホルダ2には、複数の電線6それぞれを収容するための複数の電線収容溝25と、複数の電線6それぞれに接続される、後述する圧接端子75を収容するための複数の圧接端子受け入れ溝26と、ハウジング部9の後述する係止受け部96に係止する係止アーム27と、カバー4が差し込まれる複数のカバー差込部30と、が設けられている。
【0029】
また、図8などに示す矢印Yは、底壁部21及び天壁部24の長手方向、及び、電線ホルダ1が、圧接端子75を収容する後述のホルダ受け部94に近付く方向を示しており、矢印Xは、底壁部21及び天壁部24の幅方向を示している。また、矢印Yと矢印Xとは直交しており、矢印Zは、矢印Yと矢印Xとの双方と直交する方向であり、内ホルダ2の高さ方向を示している。
【0030】
上記複数の電線収容溝25は、図8に示すように、矢印Zに沿って互いに平行に3つ設けられている。また、これら3つの電線収容溝25は、一対の周壁部23C及び周壁部23Aに設けられており、これら壁部23A、23Cの表面から凹に形成されている。即ち、電線収容溝25は、周壁部23Cの長手方向(矢印Y方向)、及び、周壁部23Aの幅方向(矢印X方向)に延在している。また、各電線収容溝25それぞれは、互いに平行に並んだ複数の電線61、62、63それぞれを収容している。
【0031】
上記複数の圧接端子受け入れ溝26は、周壁部23Aに設けられている。また、複数の圧接端子受け入れ溝26は、前述した3つの電線収容溝25それぞれに1つずつ、合計3つ設けられており、これら3つの圧接端子受け入れ溝26は、矢印Xに沿って位置をずらされている。また、各圧接端子受け入れ溝26は、電線収容溝25の幅方向(矢印Z方向)の両端に設けられ、電線61、62、63を圧接する圧接端子75を収容するために、周壁部23Aの表面から凹(凹状)に形成されている。
【0032】
上記係止アーム27は、板状に形成され、一端が天壁部24の周壁部23A側の端部に固定され、他端が矢印Y(圧接端子受け入れ溝26の深さ方向)に沿って伸びた自由端となるアーム部28と、アーム部28の表面から突出し、カバー4に内ホルダ2が収容されると、カバー4の後述する開き防止部45に係止する係止部29と、を備えている。
【0033】
上記係止部29には、前記一端から前記他端に向かうにしたがって、アーム部28から離れる方向に傾斜するテーパ部29aが設けられている。
【0034】
上記複数のカバー差込部30は、2つ設けられている。2つのカバー差込部30は、一対の周壁部23Cそれぞれから外方向に突出している。また、カバー差込部30は、一対の周壁部23Cの底壁部21側でかつ、前述した他端側の隅部に設けられている。また、カバー差込部30は、周壁部23Cから矢印X方向に立設した立設部31と、前記立設部31に連なり、周壁部23Cと対向する対向部32と、を備えている。
【0035】
上記立設部31は、各周壁部23Cと平行な第1立設部31Aと、底壁部21及び天壁部24と平行な第2立設部31Bと、を備え、L字状に形成されている。
【0036】
上記カバー4は、図9(c)、(d)に示すように、前述した周壁部23Aと対向する基板部41と、前記基板部41から、該基板部41の電線収容溝25の延在する方向(矢印X方向)の両端から立設し、互いの間に内ホルダ2を位置付ける一対のカバー部42と、一対のカバー部42同士を連結する開き防止部45と、を備えている。
【0037】
上記基板部41には、複数の孔部としての圧接端子通し孔41aが設けられている。複数の圧接端子通し孔41aは、カバー4が内ホルダ2を収容すると、圧接端子受け入れ溝26と連通する位置に設けられている。また、各圧接端子通し孔41aは、基板部41を貫通している。
【0038】
上記一対のカバー部42は、互いに対向するように設けられている。また、一対のカバー部42それぞれには、前述した内ホルダ2のカバー差込部30に差し込む差込部43と、複数の溝部44と、が設けられている。
【0039】
上記差込部43は、図9(b)に示すように、カバー部42のヒンジ部5側でかつ基板部41から矢印Y方向に離れた端部に設けられている。また、差込部43は、カバー部42の基板部41から矢印Y方向に離れた側の縁と、カバー部42のヒンジ部5側の縁とをL字状に切り欠くことで形成されている。
【0040】
上記複数の溝部44は、カバー4が内ホルダ2を収容すると、前述した3つの電線収容溝25のうち、天壁部24側の2つの電線収容溝25と対向する位置に設けられている。各溝部44は、カバー部42の内表面から凹に形成されている。
【0041】
上記開き防止部45は、カバー部42のヒンジ部5から矢印Z方向に離れた側でかつ基板部41から矢印Y方向に離れた端部に設けられている。即ち、開き防止部45は、前述した差込部43から矢印Z方向に離れた端部に設けられている。また、図9(d)に示すように、開き防止部45は、カバー4が内ホルダ2を収容すると、係止部29よりも矢印Y方向の他端側に設けられている。また、カバー4が内ホルダ2を収容すると、開き防止部45と係止部29との間には、後述するホルダ受け部94の係止受け部96が位置付けられるとともに、係止受け部96は、係止部29に係止する。
【0042】
上記ヒンジ部5は、可撓性を有する樹脂からなる。また、ヒンジ部5の一端部は、図9(b)に示すように、カバー4の矢印Y方向の基板部41側でかつ、一対のカバー部42の開き防止部45から矢印Z方向に離れた端部同士を連結するように設けられ、他端側は、底壁部21に連なっている。
【0043】
上記バスバ7は、図3に示すように、導電性の金属板に打ち抜き加工や曲げ加工が施されることで得られるものである。また、バスバ7は、電源線61に接続される電源用バスバ71と、信号線62に接続される信号用バスバ72と、グランド線63に接続されるグランド用バスバ73と、を備えている。また、電源用バスバ71とグランド用バスバ72とは、間隔をあけて設けられている。
【0044】
また、バスバ7には、前述した複数のバルブ15それぞれに接続する複数の電極接続部74と、前述した3つの電線それぞれに接続する複数の電線接続部としての圧接端子75と、後述するスイッチユニット8に接続される複数のスイッチ接続部(図示しない)と、が設けられている。
【0045】
上記複数の電極接続部74は、図示例では2つ設けられている。2つの電極接続部74は、矢印Y方向の一端側の、矢印X方向の両端部に設けられている。また、各電極接続部74は、バスバ71、73それぞれから立設し、互いに間隔をあけて相対した一対の帯状の電極挟持片74A、74Bを備えている。また、これら一対の電極挟持片74A、74Bは、該電極挟持片74A、74Bのバスバ71、72側の一端部で曲げられることで、矢印Z方向の上方(図2中の下方から上方)に立設している。また、電極挟持片74Aは、電源用バスバ71に設けられており、電極挟持片74Bは、グランド用バスバ72に設けられている。また、一対の電極挟持片74A、74Bは、互いに近付く方向に凸に湾曲されており、これらの間に前述したバルブ15の電極17が挿入されると、電極挟持片74Aと電極17の正極とが接続され、電極挟持片74Bと電極17の負極とが接続される。
【0046】
上記複数の圧接端子75は、図10(a)などに示すように、図示例では3つ設けられている。また、3つの圧接端子75は、各バスバ71、72、73それぞれに設けられている。また、3つの圧接端子75は、前述した2つの電極接続部74間に設けられており、矢印Zに沿って並んでいる。
【0047】
各圧接端子75には、互いに相対する一対の圧接刃75A、75Bが設けられている。一対の圧接刃75A、75Bは、矢印Zに沿って間隔をあけて設けられており、該圧接刃75A、75Bの先端は、前述した電線ホルダ1に向かって伸びている。即ち、圧接刃75A、75Bの先端は、矢印Y方向に伸びている。この圧接端子75は、一対の圧接刃75A、75B間に前述した各電線61、62、63を圧入すると、各電線61、62、63が圧接端子75に圧接される。また、各圧接端子75に各電線61、62、63が圧接された後、該圧接端子75は、電線ホルダ1の圧接端子受け入れ溝26に収容される。
【0048】
上記複数のスイッチ接続部は、図示例では3つ設けられている。3つのスイッチ接続部は、矢印Y方向の他端側に設けられ、矢印X方向に間隔をあけて並んでいる。また、スイッチ接続部は、互いに間隔をあけて設けられた一対のコンタクト受け部(図示しない)によって構成されている。上記一対のコンタクト受け部同士は、スイッチユニット8の後述するコンタクト81によって接続される。また、スイッチユニット8の後述する操作部(図示しない)がオンされると、これら一対のコンタクト受け部同士をコンタクト81が接続し、閉回路が形成される。
【0049】
上記複数のスイッチユニット8は、図示例では3つ設けられている。各スイッチユニット8は、前述した一対のコンタクト受け部同士を接続する、導電性のコンタクト81と、前記コンタクト81を保持する、絶縁性のスイッチノブ82と、を備えている。
【0050】
上記コンタクト81は、後述する操作部がオン・オフされると、前述した一対のコンタクト受け部間に設けられ、これら一対のコンタクト受け部同士を電気的に接続したり、これら一対のコンタクト受け部同士を電気的に遮断したりする。こうして、コンタクト81は、後述する操作部が、オン・オフされることによって、バルブ15へ電力を供給し該バルブ15を点灯したり、バルブ15への電力の供給を遮断して、該バルブ15を消灯する。
【0051】
上記スイッチノブ82は、絶縁性の樹脂からなり、前述したレンズ部11の挿通孔13を通されて乗員室内に位置付けられる。また、スイッチノブ82には、前述したバルブ15の点灯・消灯を制御するための操作部(図示しない)が設けられている。上記操作部は、乗員によってオン・オフされる。
【0052】
上記ハウジング部9は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。また、ハウジング部9は、図3に示すように、バスバ7と平行な底板部91と、前記底板部91の周縁部から立設した側板部92とによって、箱状に形成されている。また、ハウジング部9には複数の間隙が設けられており、前述した2つのバルブ15、及び、3つのスイッチユニット8がバスバ7に接続された状態で組み付けられている。また、ハウジング部9には、前述した電線ホルダ1が接続するホルダ受け部94が設けられている。
【0053】
上記ホルダ受け部94は、ハウジング部9の中央部に設けられている。また、ホルダ受け部94は、矢印Y方向(電線ホルダ1側)に開口を有した枠状に形成されている。また、ホルダ受け部94は、側板部92から、矢印Yに沿って立設した複数の周板部95によって構成されている。この周板部95の内側に、前述した電線ホルダ1が挿入される。また、ホルダ受け部94の内側には、前述した圧接端子75が収容されている。圧接端子75は、側板部92から、矢印Y方向に(電線ホルダ1に向かって)突出するように設けられている。
【0054】
上記周板部95には、図4に示すように、前述した電線ホルダ1が挿入されると、電線ホルダ1のアーム部28が重ねられる重なり板部95Aが設けられている。上記重なり板部95Aは、底板部91と対向するように設けられている。また、重なり板部95Aには、前述した電線ホルダ1の係止部29が係止する係止受け部96が設けられている。上記係止受け部96は、電線ホルダ1が矢印Yに沿って近付けられると、該電線ホルダ1の係止部29が進入する、係止孔95aが形成されることで得られるものである。上記係止孔95aは、重なり板部95Aを貫通している。
【0055】
次に、上述した室内照明装置10の組み立て方法、及び、電線ホルダ1の接続方法について、以下説明する。ハウジング部9と、バスバ7と、前記バスバ7に接続されたスイッチユニット8とが、インサート成型によって一体に成形された状態で、各バルブ15の電極17を、電極接続部74の一対の電極挟持片74A、74B間に挿入し、バルブ15と電極接続部74とを接続する。
【0056】
次に、上述した電線ホルダ1の組み立て方法について、図9を参照して説明する。まず、図9(a)に示すように、ヒンジ部5の前記一端部を該ヒンジ部5の他端側に近付けるように前記ヒンジ部5をU字状に撓ませて、内ホルダ2を露出させた状態で、図9(b)に示すように、内ホルダ2の電線収容溝25それぞれに、各電線61、62、63を収容する(第1工程に相当する)。次に、図9(c)に示すように、電線収容溝25それぞれに各電線61、62、63が収容された状態で、ヒンジ部5を、該ヒンジ部5が撓む前の状態に戻すように、カバー4を回転させる。すると、開き防止部45が、係止部29に当接する。さらに、回転させると、係止部29が、開き防止部45に押されてアーム部28が撓み、アーム部28が撓むことで、開き防止部45が係止部29を乗り上げる。さらに、回転されると、開き防止部45が係止部29を乗り越えて、係止部29が開き防止部45に係止する。この際、開き防止部45は、係止部29よりも矢印Y方向の他端側に設けられている。すると、係止部29が開き防止部45に係止する、と同時に、カバー4の差込部43が内ホルダ2のカバー差込部30に差し込まれる。こうして、カバー4は内ホルダ2との間に電線6を挟むように該内ホルダ2を収容し(第2工程に相当する)、電線ホルダ1が組み立てられる。
【0057】
次に、図10(a)に示すように、電線ホルダ1をホルダ受け部94に近付ける。すると、電線ホルダ1の基板部41が、ホルダ受け部94に収容された複数の圧接端子75に近付けられる。さらに近付けると、基板部41の圧接端子通し孔41aに圧接端子75が通される。さらに近付けると、図10(b)に示すように、電線収容溝25に収容された各電線61、62、63が、圧接端子通し孔41aを通された複数の圧接端子75の先端に当接し、係止部29のテーパ部29aが、係止受け部96に当接する。
【0058】
係止部29のテーパ部29aが、係止受け部96に当接した状態で、さらに近付けると、アーム部28がテーパ部29aに沿って天壁部24に近付けられるように撓み、係止受け部96が、係止部29を乗り上げる。
【0059】
さらに近付けると、係止受け部96が、係止部29を乗り越えて、図10(c)に示すように、係止部29が、係止孔95aに進入する。こうして、係止部29は、係止受け部96に係止する。この際、係止受け部96は、開き防止部45と係止部29との間に位置付けられている。
【0060】
また、係止部29が係止受け部96に係止する、と同時に、電線収容溝25に収容された各電線61、62、63それぞれが、一対の圧接刃75A、75B間に圧入する。こうして、複数の圧接端子75が各電線61、62、63を一括で圧接し、これら複数の圧接端子75と各電線61、62、63とが接続する。また、複数の圧接端子75が各電線61、62、63を圧接するとともに、各電線61、62、63を圧接した圧接端子75は、圧接端子受け入れ溝26に収容される(第3工程に相当する)。こうして、電線ホルダ1に取り付けられた各電線61、62、63と、圧接端子75(バスバ7)とが接続される。
【0061】
次に、電線ホルダ1に取り付けられた各電線61、62、63と圧接端子75(バスバ7)とが接続された状態の照明ユニット14を、自動車のルーフトリムに設けられた開口窓に挿入し、レンズ11を該開口窓が塞がれるように取り付ける。こうして、室内照明装置10が組み立てられる。
【0062】
上述した実施形態によれば、底壁部21と、前記底壁部21と相対する天壁部24と、これら底壁部21と天壁部24とを連結する複数の周壁部23A、23B、23Cと、前記複数の周壁部23A、23B、23Cのうち少なくとも1つの周壁部23Aに互いに平行に設けられ、複数の電線61、62、63それぞれを収容するための複数の電線収容溝25と、前記1つの周壁部23Aの前記電線収容溝25の幅方向(矢印Z方向)の両端に設けられ、前記電線61、62、63を圧接する圧接端子75を収容するための凹状の複数の圧接端子受け入れ溝26と、を有するハウジングとしての内ホルダ2と、前記1つの周壁部23Aと対向し、前記圧接端子受け入れ溝26と連通する複数の孔部としての圧接端子通し孔41aが形成された基板部41と、前記基板部41の前記電線収容溝25の延在する方向(矢印X方向)の両端から立設し、互いの間に前記内ホルダ2を位置付ける一対のカバー部42と、を有するカバー4と、を備えている。前記カバー4には、前記一対のカバー部42同士を連結する開き防止部45が設けられ、前記内ホルダ2には、アーム部28と、前記アーム部28の表面から突出し、前記カバー4が前記内ホルダ2を収容すると前記開き防止部45に係止する係止部29と、が設けられ、前記係止部29は、圧接端子75を収容したホルダ受け部94に係止するので、基板部41をホルダ受け部94に収容された圧接端子75に近付ける容易な作業で、複数の圧接端子75と複数の電線61、62、63とを一括で接続すると同時に、該圧接端子75を収容したホルダ受け部94に係止する作業工数の低減を図った電線ホルダ1、及び、この電線ホルダの接続方法を提供することができる。
【0063】
また、内ホルダ2に設けられた係止部29に係止する開き防止部45は、一対のカバー部42同士を連結するように設けられていることで、複数の電線6が一対のカバー部42が互いに離れる方向(矢印X方向)に引っ張られた際においても、これら一対のカバー部42同士が互いに離れる方向(矢印X方向)に開くのを、防止することができる。
【0064】
また、内ホルダ2とカバー4とは、可撓性を有する樹脂からなるヒンジ部5を介して一体に設けられており、ヒンジ部5の一端部は、一対のカバー部42の開き防止部45から離れた端部同士を連結するように設けられ、ヒンジ部5の他端側は、底壁部21に連なっているので、組付け作業性の向上を図るとともに、部品数を増やすことなくカバー4の強度の向上を図ることができる。
【0065】
また、ヒンジ部5の一端部は、一対のカバー部42の開き防止部45から離れた端部同士を連結するように設けられているので、複数の電線61、62、63が一対のカバー部42が互いに離れる方向(矢印X方向)に引っ張られた際においても、これら一対のカバー部42同士が互いに離れる方向(矢印X方向)に開くのをより一層確実に防止することができる。
【0066】
また、前記複数の周壁部23A、23B、23Cのうち前記1つの周壁部23Aと隣り合う他の周壁部23Cから外方向に立設した立設部31と、前記立設部31に連なり、前記カバー部42を前記他の周壁部23Cとの間に位置付ける対向部32と、を備えているので、複数の電線61、62、63が一対のカバー部42が互いに離れる方向(矢印X方向)に引っ張られた際においても、これら一対のカバー部42同士が互いに離れる方向(矢印X方向)に開くのをより一層確実に防止することができる。
【0067】
なお、上述した実施形態によれば、電線収容溝25は、一対の周壁部23C及び周壁部23Aに設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、電線収容溝25は、少なくとも周壁部23Aのみに設けられていればよい。
【0068】
また、上述した実施形態によれば、立設部31は、各周壁部23A、23Bと平行な第1立設部31Aと、底壁部21及び天壁部24と平行な第2立設部31Bと、を備えているが、本発明はこれに限ったものではなく、立設部31には、第1立設部31Aと、第2立設部31Bと、のうち、少なくともいずれか一方が設けられていればよい。
【0069】
また、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 電線ホルダ
2 内ホルダ(ハウジング)
21 底壁部
23A、23B、23C 複数の周壁部
23A 1つの周壁部
23C 他の周壁部
24 天壁部
25 (複数の)電線収容溝
26 (複数の)圧接端子受け入れ溝
28 アーム部
29 係止部
31 立設部
32 対向部
4 カバー
41 基板部
41a 圧接端子通し孔(孔部)
42 (一対の)カバー部
45 開き防止部
5 ヒンジ部
6 (複数の)電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、前記底壁部と相対する天壁部と、これら底壁部と天壁部とを連結する複数の周壁部と、前記複数の周壁部のうち少なくとも1つの周壁部に互いに平行に設けられ、複数の電線それぞれを収容するための複数の電線収容溝と、前記1つの周壁部の前記電線収容溝の幅方向の両端に設けられ、前記電線を圧接する圧接端子を収容するための凹状の複数の圧接端子受け入れ溝と、を有するハウジングと、
前記1つの周壁部と対向し、前記圧接端子受け入れ溝と連通する複数の孔部が形成された基板部と、前記基板部の前記電線収容溝の延在する方向の両端から立設し、互いの間に前記ハウジングを位置付ける一対のカバー部と、を有するカバーと、を備え、
前記カバーには、前記一対のカバー部同士を連結する開き防止部が設けられ、
前記ハウジングには、一端が前記天壁部に固定され、他端が前記圧接端子受け入れ溝の深さ方向に沿って伸びた自由端となるアーム部と、前記アーム部の表面から突出し、前記カバーが前記ハウジングを収容すると前記開き防止部に係止する係止部と、が設けられ、
前記開き防止部が前記係止部に係止した状態で、前記圧接端子が前記電線を圧接し、該圧接端子が前記圧接端子受け入れ溝に収容されると、これら開き防止部と係止部との間には、前記圧接端子を収容するホルダ受け部に設けられた係止受け部が位置付けられることを特徴とする電線ホルダ。
【請求項2】
前記ハウジングと前記カバーとは、可撓性を有する樹脂からなるヒンジ部を介して一体に設けられており、
前記ヒンジ部の一端部は、前記一対のカバー部の前記開き防止部から離れた端部同士を連結するように設けられ、
前記ヒンジ部の他端側は、前記底壁部に連なっていることを特徴とする請求項1記載の電線ホルダ。
【請求項3】
前記複数の周壁部のうち前記1つの周壁部と隣り合う他の周壁部から外方向に立設した立設部と、
前記立設部に連なり、前記カバー部を前記他の周壁部との間に位置付ける対向部と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電線ホルダ。
【請求項4】
請求項1に記載の電線ホルダの接続方法であって、
前記複数の電線それぞれを、前記電線収容溝に収容する第1工程と、
前記複数の電線それぞれが前記電線収容溝に収容された状態で、前記ハウジングと前記カバー部との間に前記電線を挟むように前記ハウジングを前記カバーに収容する第2工程と、
前記ハウジングが前記カバーに収容された状態で、前記基板部を前記圧接端子に近付けて、前記圧接端子を前記孔部に通した後前記圧接端子を前記電線に圧接し、これら電線と圧接端子とを接続した後、前記圧接端子を前記圧接端子受け入れ溝に収容し、
前記係止受け部を前記開き防止部と前記係止部との間に位置付ける第3工程と、を順次行うことを特徴とする電線ホルダの接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−150913(P2012−150913A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6954(P2011−6954)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】