電線処理装置
【課題】不良の圧着端子を良好な圧着端子と同じように圧着してしまうことによる無駄を省くとともに、端子付き電線の製作の歩留まりの低下を抑制する。
【解決手段】電線処理装置1は、複数の圧着端子が連続してなる連続端子30を供給する端子供給装置7,8と、圧着端子をプレスすることにより電線10に圧着させる端子圧着装置17,18と、連続端子30の各圧着端子が端子圧着装置17,18に供給される前に各圧着端子の良否を判定する良否判定装置50と、良否判定装置50により不良と判定された圧着端子を除去する端子除去装置45とを備えている。
【解決手段】電線処理装置1は、複数の圧着端子が連続してなる連続端子30を供給する端子供給装置7,8と、圧着端子をプレスすることにより電線10に圧着させる端子圧着装置17,18と、連続端子30の各圧着端子が端子圧着装置17,18に供給される前に各圧着端子の良否を判定する良否判定装置50と、良否判定装置50により不良と判定された圧着端子を除去する端子除去装置45とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に圧着端子を圧着する電線処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワイヤハーネス等として、圧着端子が圧着された電線(以下、端子付き電線という)がよく利用されている。端子付き電線は、被覆の一部が剥ぎ取られて芯線が露出した電線に、圧着端子を圧着することによって製作される。
【0003】
端子付き電線は、電線処理装置によって自動的かつ連続的に作製される。電線処理装置は、複数の圧着端子が連続してなる連続端子を供給する端子供給装置と、圧着端子をプレスすることにより電線に圧着させる端子圧着装置とを備える。
【0004】
ところで、圧着端子が電線に対して良好に圧着されないと、端子付き電線は不良品となる。そこで従来から、圧着後の圧着端子の状態を検査する検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
圧着端子の圧着不良が生じる原因として、端子圧着装置の動作不良に起因するものの他、圧着前の圧着端子自体に不良が生じていることが考えられる。圧着前の圧着端子自体に不良が生じている場合、その圧着端子を電線に圧着したとしても、良品の端子付き電線が得られる可能性は非常に低い。そのため、無駄な圧着動作を行ってしまうことになり、また、不良の端子付き電線は廃棄するので、電線の無駄が生じることになる。
【0006】
特許文献2には、圧着前に圧着端子の不具合を検査することのできる検査装置が記載されている。図18に示すように、特許文献2に記載された検査装置は、ファイバセンサ発光部104aとファイバセンサ受光部104bとを備えている。アンビル103の上に載せられた圧着端子101aに対し、ファイバセンサ発光部104aから光が照射される。ファイバセンサ受光部104bは、圧着端子101aによって部分的に遮られた光110を受ける。上記検査装置では、ファイバセンサ受光部104bの受光量から光110の遮光量を特定し、特定された遮光量と基準の遮光量とを比較し、それらの差に基づいて圧着端子101aの不具合を判定する。圧着端子101aに不具合があると判定されると、インターロックが作動し、装置が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2517381号公報
【特許文献2】特開2008−147125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、特許文献2に記載された検査装置では、圧着前の圧着端子が不良であると、装置が強制的に停止するため、その後に動作復帰するまで、端子付き電線の製作が止まったままとなる。そのため、端子付き電線の製作の歩留まりが低下するという課題があった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不良の圧着端子を良好な圧着端子と同じように圧着してしまうことによる無駄を省くとともに、端子付き電線の製作の歩留まりの低下を抑制できる電線処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電線処理装置は、複数の圧着端子が連続してなる連続端子を供給する端子供給装置と、前記端子供給装置から供給された圧着端子をプレスすることにより電線に圧着させる端子圧着装置と、前記連続端子の各圧着端子が前記端子圧着装置において電線に圧着される前に、前記各圧着端子の良否を判定する良否判定装置と、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、良好と判定された圧着端子から分別する処理を行う分別処理装置と、を備えたものである。
【0011】
上記電線処理装置によれば、良好でない圧着端子は、電線に圧着される前に良否判定装置により不良と判定され、分別処理装置によって、良好な圧着端子から分別される。そのため、不良の圧着端子を良好な圧着端子と同じように圧着してしまうことを避けることができる。また、圧着端子が不良と判定されたとしても、電線処理装置の動作を停止させる必要はないので、電線処理装置を継続して動作させることができる。したがって、端子付き電線の製作の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0012】
前記良否判定装置は、各圧着端子が前記端子圧着装置に供給される前に各圧着端子の良否を判定するように、前記端子供給装置と前記端子圧着装置との間に配置されていることが好ましい。
【0013】
このことにより、良否判定装置が圧着端子の良否を判定してから当該圧着端子が端子圧着装置に供給されるまでの間に、ある程度の時間的余裕を確保することができる。そのため、分別処理装置の処理時間をより長く確保することができる。それにより、より高度な処理や多様な処理を施すことが可能となる。
【0014】
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、電線に圧着される前に除去する除去装置を有していてもよい。
【0015】
このことにより、不良の圧着端子は電線に圧着される前に除去されるので、不良の圧着端子を電線に圧着するという無駄を省くことができる。また、不良の圧着端子を圧着することによる端子圧着装置の破損等を確実に防止することができる。
【0016】
前記電線処理装置は、前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備えていてもよい。前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対する前記電線供給装置による電線の供給を停止させ、当該圧着端子を電線が供給されない状態のまま前記端子圧着装置によりプレスさせるように構成されていてもよい。
【0017】
このことにより、不良の圧着端子を電線に圧着するという無駄を省くことができる。また、端子圧着装置のプレス動作を停止させる必要がないので、端子圧着装置の動作の継続性を保つことができる。
【0018】
前記分別処理装置は、電線が供給されない状態のままプレスされた前記圧着端子を前記端子圧着装置から除去する除去装置を有していることが好ましい。
【0019】
このことにより、プレス後の不良の圧着端子を端子圧着装置から確実に除去することができる。そのため、当該圧着端子が端子圧着装置に残ってしまい、その後の良好な圧着端子の正常な圧着を妨げてしまうことを防止することができる。
【0020】
前記電線処理装置は、前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備えていてもよい。前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対し、良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線を供給するように前記電線供給装置を制御してもよい。
【0021】
このことにより、不良の圧着端子に対しては、良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線が供給される。そのため、不良の圧着端子が圧着された電線を、良好な圧着端子が圧着された電線から容易に分別することができる。なお、不良の圧着端子が圧着された電線は、その後廃棄されることになる。良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線として、良好な圧着端子に供給される電線よりも長さの短い電線を用いるようにしてもよい。この場合、不良の圧着端子が圧着された電線は、通常の電線(すなわち、良好な圧着端子が圧着された電線)よりも短いので、廃棄される電線は、通常よりも短い電線となる。したがって、電線の無駄を抑制することができる。
【0022】
前記電線処理装置は、前記除去装置によって除去された圧着端子を回収する回収容器と、除去された圧着端子が前記回収容器に回収されたことを検出する回収検出装置と、を備えていてもよい。
【0023】
このことにより、回収検出装置によって、不良の圧着端子が回収されたことを確認することができ、不良の圧着端子を良好な圧着端子からより確実に分別することができる。
【0024】
前記圧着端子は金属からなり、前記回収検出装置は、前記除去装置と前記回収容器との間に設置された金属探知機からなっていてもよい。
【0025】
このことにより、除去された圧着端子が回収容器に回収されたことを良好に検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、不良の圧着端子を良好な圧着端子と同じように圧着してしまうことによる無駄を省くとともに、端子付き電線の製作の歩留まりの低下を抑制できる電線処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る電線処理装置の構成を表す平面図である。
【図2】連続端子の平面図である。
【図3】端子圧着装置の側面図である。
【図4】端子圧着装置の主要部の正面図である。
【図5】検査装置および端子除去装置等の正面図である。
【図6】連続端子および検査装置の一部の平面図である。
【図7】(a)は良好な端子を表す平面図、(b)は不良の端子を表す平面図である。
【図8】端子除去装置の構成を表す側面図である。
【図9】除去された端子を回収する機構を示す断面図である。
【図10】除去された端子を回収する機構を示す平面図である。
【図11】第2実施形態に係る電線処理装置の構成を示す平面図である。
【図12】第3実施形態に係る電線処理装置の制御システムを示すブロック図である。
【図13】端子がクリンパに嵌り込んだ状態を説明するための図である。
【図14】端子を掻き落とす機構および端子を跳ね上げる機構を説明するための図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図15】端子を掻き落とす機構および端子を跳ね上げる機構を説明するための図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図16】第4実施形態に係る電線処理装置の制御システムを示すブロック図である。
【図17】(a)は製品電線の送給態様を示す模式図、(b)は不良用電線の送給態様を示す模式図である。
【図18】従来の検査装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
図1は、電線処理装置1の全体構成を模式的に表した平面図である。電線処理装置1は、被覆電線の先端部に圧着端子(以下、単に端子という)が圧着されてなる端子付き電線を製作する装置である。
【0029】
電線処理装置1は、フロント側およびリア側のクランプ11,12と、フロント側およびリア側の搬送ユニット13,14と、フロント側およびリア側の端子圧着装置17,18と、複数の端子35が連続してなる連続端子30(図2参照)を供給するフロント側およびリア側の端子供給装置7,8と、端子の良否を検査するフロント側およびリア側の検査装置40と、カッターユニット9と、それらを制御するコンピュータ2と、表示装置3とを備えている。
【0030】
クランプ11,12は、被覆電線(以下、単に電線という)10を保持するものである。クランプ11,12の構成は何ら限定されず、従来から公知の各種のクランプを用いることができる。
【0031】
搬送ユニット13,14は、クランプ11,12によって保持された電線10を、電線10の長手方向と直交する方向に移動させる。本実施形態では、クランプ11,12は、搬送ユニット13,14によって左右方向に移動可能となっている。ただし、搬送ユニット13,14は、クランプ11,12を鉛直軸周りに旋回させるように構成されていてもよい。搬送ユニット13,14には、従来から公知の各種搬送ユニットを用いることができる。クランプ11,12および搬送ユニット13,14は、端子圧着装置17,18に電線10を供給する電線供給装置を構成している。
【0032】
カッターユニット9は、電線10の切断と、被覆の剥ぎ取りとを行うものである。カッターユニット9には、従来から公知の各種カッターユニットを用いることができる。例えば、カッターユニット9は、上下一対のカッター刃と、それらカッター刃を上下に移動させるモータとを有している。
【0033】
端子圧着装置17,18は、被覆が剥ぎ取られて芯線が露出した電線10の先端部に、端子35を圧着するものである。端子圧着装置17,18には、従来から公知の各種の端子圧着装置を用いることができる。本実施形態では、端子圧着装置17,18は、端子35をプレスすることにより電線10に圧着させるように構成されている。詳しくは、端子圧着装置17,18は、電線10の芯線および被覆の一部を端子35に重ね合わせた状態で、それらを上方からプレスすることによって端子35を圧着するように構成されている。フロント側の端子圧着装置17とリア側の端子圧着装置18とは、仕様が異なっていてもよいが、本実施形態ではそれらの仕様は同一である。端子圧着装置17,18の構成については、後述する。
【0034】
端子供給装置7,8は、それぞれ端子圧着装置17,18に対して連続端子30を供給する装置である。図示は省略するが、端子供給装置7,8は、連続端子30が巻回されたローラと、ローラを回転させるモータとを備えている。
【0035】
図2は、連続端子30の一例を示す平面図である。連続端子30は、電線10に圧着される端子35と、キャリア31とを有している。キャリア31は、それら端子35をつなぐ帯状の部材からなっている。キャリア31の各端子35に対応する位置には、孔32が形成されている。これらの孔32は、連続端子30を移動させる際に利用される。例えば、端子圧着装置17,18は図示しない爪部を有し、この爪部を孔32に引っ掛けて連続端子30を引っ張ることにより、端子35を端子圧着装置17,18に向かって順次移動させる。キャリア31は、端子35の長手方向(図2の上下方向)と直交する方向(図2の左右方向)に延びている。
【0036】
端子35は、端子35の長手方向に延びる底部35aと、底部35aの両側から立ち上がるインシュレーションバレル35bおよびワイヤバレル35cとを有している。底部35aの上には電線10が載せられる。インシュレーションバレル35bは、上方からプレスされることにより、主に電線10の被覆にかしめられる部分である。ワイヤバレル35cは、上方からプレスされることにより、主に電線10の芯線にかしめられる部分である。インシュレーションバレル35bとワイヤバレル35cとは、端子35の長手方向に並んでいる。
【0037】
なお、本実施形態の端子35は一例に過ぎず、他に種々の形態の端子を利用できることは勿論である。本実施形態では、連続端子30のキャリア31は端子35の長手方向と直交する方向に延び、連続端子30は端子35の長手方向と直交する方向に搬送される。このような搬送方式は、サイドフィード方式と呼ばれる。ただし、連続端子は、キャリアが端子の長手方向に延びるもの、例えば、端子の根元部と他の端子の先端部とがキャリアを介して連続しているものであってもよい。この場合、連続端子は端子の長手方向に搬送される。このような搬送方式は、エンドフィード方式と呼ばれる。本発明は、サイドフィード方式で搬送される連続端子30だけでなく、エンドフィード方式で搬送される連続端子にも適用することができる。
【0038】
フロント側の端子圧着装置17とリア側の端子圧着装置18とは、同様の構成を有している。以下では、フロント側の端子圧着装置17の説明は省略し、リア側の端子圧着装置18について説明する。
【0039】
図3に示すように、端子圧着装置18は、図示しないサーボモータによって駆動される回転軸21と、回転軸21に固定された偏心カム22と、リンク機構23を介して偏心カム22に連結されたクリンパ24とを備えている。クリンパ24は、上方および下方に移動自在であり、回転軸21の回転に伴って上下移動する。クリンパ24の下方には、アンビル25が配置されている。なお、図3では、連続端子30のキャリア31の図示は省略している。
【0040】
図4に示すように、クリンパ24の下側部分の手前側には、上端部が略逆W字状の溝24aが形成されている。アンビル25は、略U字状に形成されている。圧着時には、端子35はアンビル25の真上に位置付けられる。クリンパ24は、電線10および端子35をアンビル25に向かってプレスする。図3に示すように、クランプ12は上下移動可能であり、クリンパ24のプレス動作に伴って電線10は下方に移動する。電線10が端子35の底部35aの上に載った状態で、インシュレーションバレル35bおよびワイヤバレル35cはクリンパ24によって内側にかしめられる。その結果、電線10に端子35が圧着される。また、端子35は、電線10に圧着されると同時に、図示しない切断刃によってキャリア31から切り離される。
【0041】
次に、検査装置40について説明する。図1に示すように、フロント側の検査装置40は、端子供給装置7と端子圧着装置17との間に配置されている。リア側の検査装置40は、端子供給装置8と端子圧着装置18との間に配置されている。フロント側およびリア側の検査装置40の構成は同一である。以下では、リア側の検査装置40について説明する。
【0042】
図5および図6に示すように、検査装置40は、投光装置51および受光装置61からなる第1検査ユニット41と、投光装置52および受光装置62からなる第2検査ユニット42と、投光装置53および受光装置63からなる第3検査ユニット43とを備えている。
【0043】
投光装置51は帯状の光(言い換えるとスリット光)71を照射する装置である。投光装置51が照射する光71は、端子35を透過しない光または端子35を透過するときに減衰する光である。端子35は金属製である。投光装置51は、例えば、レーザ光、赤外線、または可視光等を照射する装置であってもよい。投光装置51として、例えばLED等を好適に用いることができる。受光装置61は受光量を測定する装置である。受光装置61として、例えばフォトダイオード等を好適に用いることができる。
【0044】
図5に示すように、投光装置51および受光装置61は、連続端子30の移動経路から外れた位置に配置されている。言い換えると、投光装置51および受光装置61は、連続端子30の移動経路と重ならない位置に配置されている。投光装置51と受光装置61とは、連続端子30を介して互いに対向している。本実施形態では、連続端子30は水平方向に移動する。投光装置51は連続端子30の上方に配置され、受光装置61は連続端子30の下方に配置されている。投光装置51は、下方に向かって光71を照射する。図6に示すように、照射された光71の一部は端子35に遮られ、残りの部分は受光装置61に受光される。
【0045】
第2検査ユニット42の投光装置52および第3検査ユニット43の投光装置53は、第1検査ユニット41の投光装置51と同様の構成を有している。第2検査ユニット42の受光装置62および第3検査ユニット43の受光装置63は、第1検査ユニット41の受光装置61と同様の構成を有している。ただし、第1検査ユニット41、第2検査ユニット42、第3検査ユニット43は、設置位置が異なっている。
【0046】
図6に示すように、第1検査ユニット41は、端子35の長手方向に延びる帯状の光71を照射するように構成されている。なお、端子35の長手方向は、連続端子30の移動方向と直交する方向であり、また、連続端子30の長手方向と直交する方向である。図7(b)に示すように、端子35がキャリア31に対して曲がっている場合、端子35によって遮られる光71の量は、端子35が真っ直ぐな場合(図7(a)参照)に比べて少なくなる。なお、図7(a)および図7(b)では、光71のうち、遮られている部分は破線で示し、遮られていない部分は実線で示している。受光装置61の受光量の情報はコンピュータ2に送られる。コンピュータ2は、受光装置61の受光量に基づいて、端子35の曲がりを検出することができる。このように、第1検査ユニット41は、主に端子35の曲がりを検査するように構成されている。
【0047】
図5および図6に示すように、第2検査ユニット42および第3検査ユニット43は、端子35の長手方向と直交する方向に延びる帯状の光72を照射するように構成されている。第2検査ユニット42および第3検査ユニット43は、端子35の長手方向に並んでいる。第2検査ユニット42は、端子35のワイヤバレル35cに光72を照射するように構成されている。第3検査ユニット43は、端子35のインシュレーションバレル35bに光72を照射するように構成されている。
【0048】
ワイヤバレル35cに変形が生じている場合、第2検査ユニット42の受光装置62の受光量は、ワイヤバレル35cに変形が生じていない場合に比べて少量または多量となる。受光装置62の受光量に関する情報はコンピュータ2に送信される。コンピュータ2は、受光装置62の受光量が予め定められた基準範囲から外れているか否かに基づいて、ワイヤバレル35cの変形の有無を検出することができる。このように、第2検査ユニット42は、主にワイヤバレル35cの変形を検査するように構成されている。
【0049】
インシュレーションバレル35bに変形が生じている場合、第3検査ユニット43の受光装置63の受光量は、インシュレーションバレル35bに変形が生じていない場合に比べて少量または多量となる。受光装置63の受光量に関する情報はコンピュータ2に送信される。コンピュータ2は、受光装置63の受光量が予め定められた基準範囲から外れているか否かに基づいて、インシュレーションバレル35bの変形の有無を検出することができる。このように、第3検査ユニット43は、主にインシュレーションバレル35bの変形を検査するように構成されている。
【0050】
コンピュータ2は、第1検査ユニット41の受光装置61、第2検査ユニット42の受光装置62、および第3検査ユニット43の受光装置63から信号を受け、それぞれの受光量に基づいて端子35の良否を判定する。検査装置40およびコンピュータ2により、端子35の良否を判定する良否判定装置50が構成されている。
【0051】
図1に示すように、検査装置40と端子圧着装置17,18との間には、端子35を除去可能な端子除去装置45が配置されている。端子除去装置45は、コンピュータ2に接続されている。良否判定装置50によって端子35が不良と判定されると、その端子35は端子除去装置45によって、電線10に圧着される前に除去される。
【0052】
図8に示すように、端子除去装置45は、端子35をキャリア31から分離する装置である。端子除去装置45は、上側のカッター45aと、下側のカッター45bと、それらカッター45a,45bを上下移動させるモータ等の駆動装置46とを備えている。図5に示すように、端子除去装置45は、検査装置40に対して、連続端子30の移動経路の下流側に配置されている。端子除去装置45は、不良と判定された端子35が搬送されてくると、コンピュータ2から信号を受け、両カッター45a,45bを互いに接近する方向に移動させることにより、上記端子35をキャリア31から切断する。その結果、不良の端子35は、端子圧着装置18に供給される前に除去される。
【0053】
除去された端子35は、回収容器48(図1および図5では図示せず。図9参照)に回収される。例えば、端子除去装置45の下方に回収容器48を設置することにより、両カッター45a,45bによってキャリア31から切断された端子35は、重力を受けて落下し、回収容器48に回収される。
【0054】
不良の端子35が回収されたことを確認するために、除去された端子35が回収されたことを検出する回収検出装置を設けてもよい。例えば、図9および図10に示すように、端子除去装置45の下方に略漏斗状の端子受け47と回収容器48とを順に設置し、端子受け47の中途部に、回収検出装置として、物品の通過を検出する通過センサ49を設けてもよい。キャリア31から切り離された端子35は落下し、端子受け47を通じて回収容器48に回収される。この際、通過センサ49により、端子35の通過が検出される。これにより、端子35が回収容器48に回収されたことが確実に検出され、切断された不良端子35が端子圧着装置17,18や他機器に不具合を起こさないことを確認できる。なお、端子35の通過が検出されない場合は、所定の処理、例えば装置1を停止する等の処理を行ってもよい。
【0055】
通過センサ49の具体的構成は何ら限定されない。例えば、通過センサ49は、光学式のセンサであってもよい。例えば、通過センサ49は、端子受け47の互いに対向する内壁に固定された発光部および受光部を備えていてもよい。端子35が通過する際には、発光部からの光が端子35によって遮られ、受光部の受光量が変化する。通過センサ49は、その受光量の変化に基づいて、端子35の通過を検出することができる。あるいは、通過センサ49は磁気センサであってもよい。
【0056】
端子35は金属製である。そこで、回収検出装置として、従来から周知の各種の金属探知器59を利用してもよい。図9に示すように、金属探知器59を端子除去装置45と回収容器48との間に設置することにより、端子35が回収容器48に回収されたことを好適に検出することができる。
【0057】
なお、図9では、通過センサ49および金属探知器59の両方を図示しているが、いずれか一方のみでよいことは勿論である。ただし、検出精度を高めるため、両方設けることも勿論可能である。
【0058】
次に、電線処理装置1の動作を説明する。図1に矢印で示すように、フロント側のクランプ11からリア側のクランプ12に電線10が送り出された後、カッターユニット9によって、電線10の切断と、その端部の被覆の剥ぎ取りとが行われる。フロント側のクランプ11に保持された電線10は、搬送ユニット13によってフロント側の端子圧着装置17の手前の位置に搬送される。リア側のクランプ12に保持された電線10は、搬送ユニット14によってリア側の端子圧着装置18の手前の位置に搬送される。
【0059】
フロント側の端子供給装置7からは、フロント側の端子圧着装置17に向かって連続端子30が順次供給され、リア側の端子供給装置7からは、リア側の端子圧着装置18に向かって連続端子30が順次供給される。連続端子30の各端子35は、良否判定装置50によってその良否が判定される。良否判定装置50によって良好と判定された端子35は端子圧着装置17,18に供給され、不良と判定された端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に、端子除去装置45によって除去される。
【0060】
端子圧着装置17,18に供給された電線10および端子35は、端子圧着装置17,18によって圧着される。端子35が圧着されたフロント側の電線10は、クランプ11に保持されたまま、搬送ユニット14によって図1の左方向に搬送され、カッターユニット9の手前に位置付けられる。端子35が圧着されたリア側の電線10は、クランプ12に保持されたまま、搬送ユニット14によって図1の左方向に搬送される。その後、このリア側の電線10は、例えばクランプ12から図示しないハンドに受け渡され、ハンドにより回収トレイ5に回収される。
【0061】
その後、再びフロント側のクランプ11からリア側のクランプ12に電線10が送り出され、上述の動作が繰り返される。これにより、端子付き電線が連続的に製作される。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る電線処理装置1によれば、良否判定装置50によって不良と判定された端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に、端子除去装置45によって除去される。不良の端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に、良好な端子35から分別される。そのため、電線10に対して不良の端子35が圧着されることを未然に防止することができる。電線処理装置1によれば、不良の端子35を良好な端子35と同じように電線10に圧着してしまうことを避けることができる。電線処理装置1によれば、端子付き電線の不良品の発生を未然に防止することができる。
【0063】
また、電線処理装置1では、端子35が不良と判定された場合であっても、不良の端子35は除去されるが、連続端子30の搬送は継続される。すなわち、端子35が不良と判定された場合であっても、電線処理装置1は動作を停止せず、その動作を継続することとしている。したがって、端子付き電線の製作を継続して実行することができる。よって、装置の運転を停止することによる製作の歩留まりの低下を避けることができ、結果的に、端子付き電線の製作の歩留まりの向上を図ることができる。
【0064】
なお、端子35が不良と判定され、その端子35がキャリア31から除去された場合、その端子35に対して供給するはずであった電線10の供給を省略するようにしてもよい。例えば、搬送ユニット13,14の動作を一時的に停止し、搬送ユニット13,14による電線10の搬送を一回分だけ省略するようにしてもよい。
【0065】
あるいは、端子35が不良と判定され、その端子35がキャリア31から除去された場合、その端子35が端子圧着装置17,18に供給されるはずであったタイミングのときに、その次の端子35が供給されるように、連続端子30の供給速度を一時的に速めるようにしてもよい。
【0066】
本実施形態によれば、良否判定装置50(厳密には、検査装置40)は、各端子35が端子圧着装置17,18に供給される前に各端子35の良否を判定するように、端子供給装置7,8と端子圧着装置17,18との間に配置されている。そのため、端子圧着装置17,18において端子35の良否を判定するものに比べて、端子35の良否を判定してから当該端子35が端子圧着装置17,18に供給されるまでの間に、ある程度の時間的余裕を確保することができる。したがって、端子35を端子圧着装置17,18に供給される前に除去するための時間を、十分に確保することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、不良の端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に除去されるので、端子圧着装置17,18においてプレスされることがない。そのため、不良の端子35を圧着することに起因するクリンパ24の破損または低寿命化を防止することができる。
【0068】
また、通過センサ49または金属探知器59等の回収検出装置を設けることとすれば、端子除去装置45によって除去された端子35が回収容器48に回収されたことを確実に把握することができる。したがって、不良の端子35が良好な端子35から分別されたことを容易に確認することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、良否判定装置50は、投光装置51,52,53と受光装置61,62,63とを備えた光学式の検査装置40と、受光装置61,62,63の受光量に基づいて端子35の良否を判定するコンピュータ2とによって構成されていた。しかし、端子35の良否を判定する装置は、何ら限定される訳ではない。良否判定装置50は、光学式の装置に限らず、例えば、磁気を利用した装置、画像認識技術を利用した装置等であってもよい。端子35の良否の判定方法は何ら限定されるものではない。
【0070】
<第2実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る電線処理装置1は、電線10の切断、被覆の剥ぎ取り、および端子35の圧着の際に、電線10を左右にスライドさせるものであった。しかし、前述したように、電線10の搬送方向は特に限定されない。図11に示すように、第2実施形態に係る電線処理装置1は、電線10の切断、被覆の剥ぎ取り、および端子35の圧着の際に、電線10を鉛直軸回りに旋回させるものである。以下の説明では、第1実施形態と同様の要素には同様の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0071】
図11に示すように、本実施形態に係る電線処理装置1は、鉛直軸L1周りに旋回自在なフロント側のクランプ11と、鉛直軸L2周りに旋回自在なリア側のクランプ12とを備えている。クランプ11,12が図11の反時計回りに旋回することにより、クランプ11,12に保持された電線10は、カッターユニット9の手前の位置から、端子圧着装置17,18の手前の位置に搬送される。逆に、クランプ11,12が時計回りに旋回することにより、クランプ11,12に保持された電線10は、端子圧着装置17,18の手前の位置からカッターユニット9の手前の位置に搬送される。
【0072】
端子供給装置7,8は、水平軸7a,8aを中心として回転可能なリールによって構成されている。端子供給装置7と端子圧着装置17との間、および端子供給装置8と端子圧着装置18との間には、検査装置40と端子除去装置45とが設けられている。端子除去装置45は、検査装置40よりも端子圧着装置17,18側に配置されている。図示は省略するが、本実施形態に係る電線処理装置1もコンピュータを備えている。検査装置40および上記コンピュータにより、端子の良否を判定する良否判定装置が構成されている。
【0073】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、第1実施形態と第2実施形態とを適宜組み合わせることも可能である。例えば、フロント側のクランプ11は電線10をスライドさせるように構成され、リア側のクランプ12は電線10を旋回させるように構成されていてもよい。
【0075】
<第3実施形態>
第1および第2実施形態に係る電線処理装置1は、不良の端子35を圧着前に除去するものであった。しかし、良否判定装置50が端子35を不良と判定したときに行われる処理は、端子35の除去に限定される訳ではない。第3実施形態に係る電線処理装置1は、良否判定装置50により不良と判定された端子35に対して電線10を供給せず、端子圧着装置17,18において、当該端子35を電線10がない状態でプレスするようにしたものである。すなわち、本実施形態に係る電線処理装置1は、不良と判定された端子35を空打ちするようにしたものである。
【0076】
図12に示すように、本実施形態に係る電線処理装置1のコンピュータ2は、検査装置40からの信号を受けて端子35の良否を判定する判定部2Aと、端子圧着装置17,18に電線10を供給する電線供給装置55(第1実施形態のクランプ11,12および搬送ユニット13,14、第2実施形態の旋回式クランプ11,12など)を制御する電線供給制御部2Bと、端子圧着装置17,18を制御する圧着制御部2Cとを備えている。
【0077】
判定部2Aが端子35に不良が生じていると判定すると、電線供給制御部2Bは、端子圧着装置17,18においてその端子35に電線10が供給されないように、電線供給装置55を制御する。一方、圧着制御部2Cは、電線10がない状態のままその端子35をプレスするように端子圧着装置17,18を制御する。
【0078】
その結果、不良の端子35には電線10が圧着されない。良好な端子35には電線10が圧着されるので、不良の端子35は良好な端子35から容易に分別される。なお、端子圧着装置17,18は、プレスに伴って端子35をキャリア31から切断するように構成されている。そのため、不良の端子35は、端子圧着装置17,18において、自動的に除去されることになる。
【0079】
ところで、図13に示すように、端子35は、クリンパ24にプレスされたときに、クリンパ24の溝24aに嵌り込むことがある。端子35が電線10に圧着されている場合には、電線10が端子35を保持するので、クリンパ24の上昇に伴って端子35は溝24aから取り除かれる。しかし、電線10に圧着されていない端子35では、図13に示すように、クリンパ24と共に上昇し、溝24a内に残ってしまうおそれがある。また、端子35がアンビル25の上に残ったままになる場合もあり得る。ところが、端子35がクリンパ24の溝24a内またはアンビル25の上に残ったままであると、次に供給される端子35の邪魔になったり、端子圧着装置17,18の次回の圧着動作が良好に行われなくなる可能性がある。そこで、電線10に圧着されていない端子35を端子圧着装置17,18から強制的に除去する除去装置を設けることが好ましい。
【0080】
上記除去装置として、例えば、図14(a)および(b)に示すように、クリンパ24の上昇に伴って端子35を掻き落とす機構90を設けるようにしてもよい。掻き落とし機構90は、クリンパ24が上昇したときの溝24aの前後を挟むような位置に配置された板状体91と、板状体91を支持する支持体92とを備えている。端子35が溝24a内に嵌り込んだ場合、クリンパ24の上昇は板状体91によって規制されないが、端子35の上昇は板状体91によって規制される。そのため、クリンパ24の上昇に伴って、端子35は自動的に溝24aから掻き落とされる。
【0081】
また、図14(a)および(b)に示すように、アンビル25の上に残った端子35を跳ね上げる機構93を設けてもよい。跳ね上げ機構93は、アンビル25の後方に配置された棒状体94と、棒状体94を支持する支持体96と、支持体96に接続されたエアシリンダ95とを備えている。エアシリンダ95は上下に伸縮可能であり、伸長することにより、支持体96および棒状体94を上昇させる。アンビル25の上に端子35が残っていた場合、その端子35は棒状体94によって跳ね上げられる。その結果、端子35はアンビル25上から除去される。なお、端子35を跳ね上げる駆動源はエアシリンダ95に限られない。例えば、電動モータ等であってもよい。
【0082】
クリンパ24から端子35を除去する機構として、図15(a)および(b)に示すような可動式の掻き落とし機構90Bを設けてもよい。この掻き落とし機構90Bは、クリンパ24の溝24aの前後に配置された板状体91と、板状体91を支持するL字状の支持体92Bと、支持体92Bに接続されたエアシリンダ97とを備えている。エアシリンダ97は上下に伸縮可能であり、収縮することにより、支持体92Bおよび板状体91を下降させる。クリンパ24の溝24a内に端子35が嵌り込んでいた場合、その端子35は支持体92Bによって掻き落とされる。なお、板状体91をクリンパ24の前後いずれかに固定した状態で平行に配置し、クリンパ24が圧着後上昇するときに、嵌り込んだ端子35を板状体91の下端部に当てることにより掻き落とすようにしてもよい。
【0083】
図示は省略するが、クリンパ24またはアンビル25から端子35を除去する装置は、端子35を吸引する吸引装置であってもよい。端子35は金属製であるので、除去装置として磁石を利用してもよい。その他、端子35を除去できる限り、どのような装置であってもよい。
【0084】
このような除去装置を設けることにより、端子35がクリンパ24の溝24a内またはアンビル25の上に残留することを確実に防止することができる。したがって、連続端子30の供給および端子圧着装置17,18の次回の圧着動作を良好に行うことができる。
【0085】
以上のように、本実施形態においても、不良の端子35は電線10に圧着されることなく除去されるので、不良の端子35を電線10に圧着するという無駄を省くことができる。また、端子圧着装置17,18のプレス動作を停止させる必要がないので、端子圧着装置17,18の動作の継続性を保つことができる。よって、電線処理装置1を継続して動作させることができ、動作を停止させることによる端子付き電線の製作の歩留まりの低下を回避することができる。
【0086】
<第4実施形態>
前記各実施形態は、不良の端子35に電線10を圧着させないことにより、不良の端子35を良好な端子35から分別するものであった。しかし、不良の端子35を良好な端子35から分別する処理は、不良の端子35に電線10を圧着させないことに限定されない。本実施形態に係る電線処理装置1は、不良の端子35に対し、良好な端子35に圧着される電線(以下、「製品電線」という)とは長さの異なる電線(以下、「不良用電線」という)を圧着させるようにしたものである。
【0087】
ここで、製品電線と長さの異なる電線とは、製品電線から容易に区別できる電線のことである。例えば、製品電線が長尺電線の場合、不良用電線として、製品電線より明らかに短い電線を用いることができる。また、製品電線が短い電線の場合は、不良用電線として、製品電線より明らかに長い電線を用いることができる。
【0088】
製品電線と長さの異なる電線は、カッターユニット9に対する電線の送り量を調節することにより、電線処理装置1自体で容易に製作することができる。詳しくは、電線10の長さは、電線10の送り量(図1の矢印に示す方向の送り量)を調節することによって、容易に調節することができる。本実施形態に係る電線処理装置1では、カッターユニット9における電線の切断長さを調節することにより、不良用電線を製作する。
【0089】
図16に示すように、本実施形態に係る電線処理装置1のコンピュータ2は、検査装置40からの信号を受けて端子35の良否を判定する判定部2Aと、電線10をカッターユニット9に向かって送り出す電線送り装置28を制御する電線送り量制御部2Dとを備えている。なお、電線送り装置28の構成は何ら限定されず、例えば、図17(a)および(b)に示すように、電線10を挟みながら回転することによって電線10を送り出す一対のローラであってもよい。あるいは、それぞれ複数のローラによって駆動され、電線10を挟んで対峙する一対のベルト等であってもよい。
【0090】
図17(a)は、フロント側の良否判定装置50によって良好と判定された端子35がフロント側の端部10fに圧着され、リア側の良否判定装置50によって良好と判定された端子35がリア側の端部10rに圧着される予定の電線10を表している。このように、フロント側およびリア側の両方の端子35が良好と判定された場合、電線送り量制御部2Dは、カッターユニット9による切断後の長さが正規の長さLとなるように、電線送り装置28の送り量を制御する。
【0091】
一方、図17(b)は、フロント側の良否判定装置50によって不良と判定された端子35がフロント側の端部10fに圧着された電線10、または、リア側の良否判定装置50によって不良と判定された端子35がリア側の端部10rに圧着される予定の電線10を表している。このように、フロント側の端子35が不良と判定された場合、電線送り量制御部2Dは、カッターユニット9による切断後の長さが正規の長さLよりも短い長さL´となるように、電線送り装置28の送り量を制御する。
【0092】
本実施形態によれば、不良の端子35が圧着された電線10は、良好な端子35が圧着された電線10に比べて短いため、不良の端子35と良好な端子35とを容易に分別することができる。本実施形態においても、不良の端子35を良好な端子35と同じように圧着してしまうこと(すなわち、正規の長さLの製品電線10に圧着してしまうこと)を避けることができる。また、本実施形態においても、端子35が不良と判定された場合に、電線処理装置1の運転を停止させる必要はなく、その運転を継続させることができる。
【0093】
なお、不良の端子35と良好な端子35とを分別するために、不良用電線10の長さL´を製品電線10の長さLよりも長くしてもよい。しかし、不良の端子35が圧着された不良用電線10は、その後廃棄されることになる。本実施形態のように、不良用電線10の長さL´を製品電線10の長さLよりも短くすることとすれば、廃棄される電線10の量を少なく抑えることができる。したがって、電線10の無駄を抑制することができ、材料コストの低減を図ることができる。
【0094】
本実施形態では、製品電線10と異なる不良用電線10に対してではあるが、不良の端子35も電線10に圧着させることになる。そのため、不良の端子35があったとしても、端子圧着装置17,18は通常の動作を繰り返すことになる。したがって、端子圧着装置17,18を通常と異なる態様で動作させる必要がなく、端子圧着装置17,18の負荷を抑えることができる。よって、端子圧着装置17,18の信頼性を維持することができ、寿命の低下を抑制することができる。
【0095】
なお、電線処理装置1が製作する端子付き電線の長さは、必ずしも一定とは限らず、適宜変更する場合がある。言い換えると、電線処理装置1は、長さの異なる複数種類の端子付き電線を製作することができる。そこで、いずれの種類の電線とも区別できるように、不良用電線は、複数種類の製品電線のうち最も短い電線よりも短いことが好ましい。
【符号の説明】
【0096】
1 電線処理装置
7,8 端子供給装置
10 電線
11,12 クランプ
17,18 端子圧着装置
30 連続端子
35 圧着端子
40 検査装置
45 端子除去装置(分別処理装置)
50 良否判定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に圧着端子を圧着する電線処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワイヤハーネス等として、圧着端子が圧着された電線(以下、端子付き電線という)がよく利用されている。端子付き電線は、被覆の一部が剥ぎ取られて芯線が露出した電線に、圧着端子を圧着することによって製作される。
【0003】
端子付き電線は、電線処理装置によって自動的かつ連続的に作製される。電線処理装置は、複数の圧着端子が連続してなる連続端子を供給する端子供給装置と、圧着端子をプレスすることにより電線に圧着させる端子圧着装置とを備える。
【0004】
ところで、圧着端子が電線に対して良好に圧着されないと、端子付き電線は不良品となる。そこで従来から、圧着後の圧着端子の状態を検査する検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
圧着端子の圧着不良が生じる原因として、端子圧着装置の動作不良に起因するものの他、圧着前の圧着端子自体に不良が生じていることが考えられる。圧着前の圧着端子自体に不良が生じている場合、その圧着端子を電線に圧着したとしても、良品の端子付き電線が得られる可能性は非常に低い。そのため、無駄な圧着動作を行ってしまうことになり、また、不良の端子付き電線は廃棄するので、電線の無駄が生じることになる。
【0006】
特許文献2には、圧着前に圧着端子の不具合を検査することのできる検査装置が記載されている。図18に示すように、特許文献2に記載された検査装置は、ファイバセンサ発光部104aとファイバセンサ受光部104bとを備えている。アンビル103の上に載せられた圧着端子101aに対し、ファイバセンサ発光部104aから光が照射される。ファイバセンサ受光部104bは、圧着端子101aによって部分的に遮られた光110を受ける。上記検査装置では、ファイバセンサ受光部104bの受光量から光110の遮光量を特定し、特定された遮光量と基準の遮光量とを比較し、それらの差に基づいて圧着端子101aの不具合を判定する。圧着端子101aに不具合があると判定されると、インターロックが作動し、装置が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2517381号公報
【特許文献2】特開2008−147125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、特許文献2に記載された検査装置では、圧着前の圧着端子が不良であると、装置が強制的に停止するため、その後に動作復帰するまで、端子付き電線の製作が止まったままとなる。そのため、端子付き電線の製作の歩留まりが低下するという課題があった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不良の圧着端子を良好な圧着端子と同じように圧着してしまうことによる無駄を省くとともに、端子付き電線の製作の歩留まりの低下を抑制できる電線処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電線処理装置は、複数の圧着端子が連続してなる連続端子を供給する端子供給装置と、前記端子供給装置から供給された圧着端子をプレスすることにより電線に圧着させる端子圧着装置と、前記連続端子の各圧着端子が前記端子圧着装置において電線に圧着される前に、前記各圧着端子の良否を判定する良否判定装置と、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、良好と判定された圧着端子から分別する処理を行う分別処理装置と、を備えたものである。
【0011】
上記電線処理装置によれば、良好でない圧着端子は、電線に圧着される前に良否判定装置により不良と判定され、分別処理装置によって、良好な圧着端子から分別される。そのため、不良の圧着端子を良好な圧着端子と同じように圧着してしまうことを避けることができる。また、圧着端子が不良と判定されたとしても、電線処理装置の動作を停止させる必要はないので、電線処理装置を継続して動作させることができる。したがって、端子付き電線の製作の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0012】
前記良否判定装置は、各圧着端子が前記端子圧着装置に供給される前に各圧着端子の良否を判定するように、前記端子供給装置と前記端子圧着装置との間に配置されていることが好ましい。
【0013】
このことにより、良否判定装置が圧着端子の良否を判定してから当該圧着端子が端子圧着装置に供給されるまでの間に、ある程度の時間的余裕を確保することができる。そのため、分別処理装置の処理時間をより長く確保することができる。それにより、より高度な処理や多様な処理を施すことが可能となる。
【0014】
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、電線に圧着される前に除去する除去装置を有していてもよい。
【0015】
このことにより、不良の圧着端子は電線に圧着される前に除去されるので、不良の圧着端子を電線に圧着するという無駄を省くことができる。また、不良の圧着端子を圧着することによる端子圧着装置の破損等を確実に防止することができる。
【0016】
前記電線処理装置は、前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備えていてもよい。前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対する前記電線供給装置による電線の供給を停止させ、当該圧着端子を電線が供給されない状態のまま前記端子圧着装置によりプレスさせるように構成されていてもよい。
【0017】
このことにより、不良の圧着端子を電線に圧着するという無駄を省くことができる。また、端子圧着装置のプレス動作を停止させる必要がないので、端子圧着装置の動作の継続性を保つことができる。
【0018】
前記分別処理装置は、電線が供給されない状態のままプレスされた前記圧着端子を前記端子圧着装置から除去する除去装置を有していることが好ましい。
【0019】
このことにより、プレス後の不良の圧着端子を端子圧着装置から確実に除去することができる。そのため、当該圧着端子が端子圧着装置に残ってしまい、その後の良好な圧着端子の正常な圧着を妨げてしまうことを防止することができる。
【0020】
前記電線処理装置は、前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備えていてもよい。前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対し、良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線を供給するように前記電線供給装置を制御してもよい。
【0021】
このことにより、不良の圧着端子に対しては、良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線が供給される。そのため、不良の圧着端子が圧着された電線を、良好な圧着端子が圧着された電線から容易に分別することができる。なお、不良の圧着端子が圧着された電線は、その後廃棄されることになる。良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線として、良好な圧着端子に供給される電線よりも長さの短い電線を用いるようにしてもよい。この場合、不良の圧着端子が圧着された電線は、通常の電線(すなわち、良好な圧着端子が圧着された電線)よりも短いので、廃棄される電線は、通常よりも短い電線となる。したがって、電線の無駄を抑制することができる。
【0022】
前記電線処理装置は、前記除去装置によって除去された圧着端子を回収する回収容器と、除去された圧着端子が前記回収容器に回収されたことを検出する回収検出装置と、を備えていてもよい。
【0023】
このことにより、回収検出装置によって、不良の圧着端子が回収されたことを確認することができ、不良の圧着端子を良好な圧着端子からより確実に分別することができる。
【0024】
前記圧着端子は金属からなり、前記回収検出装置は、前記除去装置と前記回収容器との間に設置された金属探知機からなっていてもよい。
【0025】
このことにより、除去された圧着端子が回収容器に回収されたことを良好に検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、不良の圧着端子を良好な圧着端子と同じように圧着してしまうことによる無駄を省くとともに、端子付き電線の製作の歩留まりの低下を抑制できる電線処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る電線処理装置の構成を表す平面図である。
【図2】連続端子の平面図である。
【図3】端子圧着装置の側面図である。
【図4】端子圧着装置の主要部の正面図である。
【図5】検査装置および端子除去装置等の正面図である。
【図6】連続端子および検査装置の一部の平面図である。
【図7】(a)は良好な端子を表す平面図、(b)は不良の端子を表す平面図である。
【図8】端子除去装置の構成を表す側面図である。
【図9】除去された端子を回収する機構を示す断面図である。
【図10】除去された端子を回収する機構を示す平面図である。
【図11】第2実施形態に係る電線処理装置の構成を示す平面図である。
【図12】第3実施形態に係る電線処理装置の制御システムを示すブロック図である。
【図13】端子がクリンパに嵌り込んだ状態を説明するための図である。
【図14】端子を掻き落とす機構および端子を跳ね上げる機構を説明するための図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図15】端子を掻き落とす機構および端子を跳ね上げる機構を説明するための図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図16】第4実施形態に係る電線処理装置の制御システムを示すブロック図である。
【図17】(a)は製品電線の送給態様を示す模式図、(b)は不良用電線の送給態様を示す模式図である。
【図18】従来の検査装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
図1は、電線処理装置1の全体構成を模式的に表した平面図である。電線処理装置1は、被覆電線の先端部に圧着端子(以下、単に端子という)が圧着されてなる端子付き電線を製作する装置である。
【0029】
電線処理装置1は、フロント側およびリア側のクランプ11,12と、フロント側およびリア側の搬送ユニット13,14と、フロント側およびリア側の端子圧着装置17,18と、複数の端子35が連続してなる連続端子30(図2参照)を供給するフロント側およびリア側の端子供給装置7,8と、端子の良否を検査するフロント側およびリア側の検査装置40と、カッターユニット9と、それらを制御するコンピュータ2と、表示装置3とを備えている。
【0030】
クランプ11,12は、被覆電線(以下、単に電線という)10を保持するものである。クランプ11,12の構成は何ら限定されず、従来から公知の各種のクランプを用いることができる。
【0031】
搬送ユニット13,14は、クランプ11,12によって保持された電線10を、電線10の長手方向と直交する方向に移動させる。本実施形態では、クランプ11,12は、搬送ユニット13,14によって左右方向に移動可能となっている。ただし、搬送ユニット13,14は、クランプ11,12を鉛直軸周りに旋回させるように構成されていてもよい。搬送ユニット13,14には、従来から公知の各種搬送ユニットを用いることができる。クランプ11,12および搬送ユニット13,14は、端子圧着装置17,18に電線10を供給する電線供給装置を構成している。
【0032】
カッターユニット9は、電線10の切断と、被覆の剥ぎ取りとを行うものである。カッターユニット9には、従来から公知の各種カッターユニットを用いることができる。例えば、カッターユニット9は、上下一対のカッター刃と、それらカッター刃を上下に移動させるモータとを有している。
【0033】
端子圧着装置17,18は、被覆が剥ぎ取られて芯線が露出した電線10の先端部に、端子35を圧着するものである。端子圧着装置17,18には、従来から公知の各種の端子圧着装置を用いることができる。本実施形態では、端子圧着装置17,18は、端子35をプレスすることにより電線10に圧着させるように構成されている。詳しくは、端子圧着装置17,18は、電線10の芯線および被覆の一部を端子35に重ね合わせた状態で、それらを上方からプレスすることによって端子35を圧着するように構成されている。フロント側の端子圧着装置17とリア側の端子圧着装置18とは、仕様が異なっていてもよいが、本実施形態ではそれらの仕様は同一である。端子圧着装置17,18の構成については、後述する。
【0034】
端子供給装置7,8は、それぞれ端子圧着装置17,18に対して連続端子30を供給する装置である。図示は省略するが、端子供給装置7,8は、連続端子30が巻回されたローラと、ローラを回転させるモータとを備えている。
【0035】
図2は、連続端子30の一例を示す平面図である。連続端子30は、電線10に圧着される端子35と、キャリア31とを有している。キャリア31は、それら端子35をつなぐ帯状の部材からなっている。キャリア31の各端子35に対応する位置には、孔32が形成されている。これらの孔32は、連続端子30を移動させる際に利用される。例えば、端子圧着装置17,18は図示しない爪部を有し、この爪部を孔32に引っ掛けて連続端子30を引っ張ることにより、端子35を端子圧着装置17,18に向かって順次移動させる。キャリア31は、端子35の長手方向(図2の上下方向)と直交する方向(図2の左右方向)に延びている。
【0036】
端子35は、端子35の長手方向に延びる底部35aと、底部35aの両側から立ち上がるインシュレーションバレル35bおよびワイヤバレル35cとを有している。底部35aの上には電線10が載せられる。インシュレーションバレル35bは、上方からプレスされることにより、主に電線10の被覆にかしめられる部分である。ワイヤバレル35cは、上方からプレスされることにより、主に電線10の芯線にかしめられる部分である。インシュレーションバレル35bとワイヤバレル35cとは、端子35の長手方向に並んでいる。
【0037】
なお、本実施形態の端子35は一例に過ぎず、他に種々の形態の端子を利用できることは勿論である。本実施形態では、連続端子30のキャリア31は端子35の長手方向と直交する方向に延び、連続端子30は端子35の長手方向と直交する方向に搬送される。このような搬送方式は、サイドフィード方式と呼ばれる。ただし、連続端子は、キャリアが端子の長手方向に延びるもの、例えば、端子の根元部と他の端子の先端部とがキャリアを介して連続しているものであってもよい。この場合、連続端子は端子の長手方向に搬送される。このような搬送方式は、エンドフィード方式と呼ばれる。本発明は、サイドフィード方式で搬送される連続端子30だけでなく、エンドフィード方式で搬送される連続端子にも適用することができる。
【0038】
フロント側の端子圧着装置17とリア側の端子圧着装置18とは、同様の構成を有している。以下では、フロント側の端子圧着装置17の説明は省略し、リア側の端子圧着装置18について説明する。
【0039】
図3に示すように、端子圧着装置18は、図示しないサーボモータによって駆動される回転軸21と、回転軸21に固定された偏心カム22と、リンク機構23を介して偏心カム22に連結されたクリンパ24とを備えている。クリンパ24は、上方および下方に移動自在であり、回転軸21の回転に伴って上下移動する。クリンパ24の下方には、アンビル25が配置されている。なお、図3では、連続端子30のキャリア31の図示は省略している。
【0040】
図4に示すように、クリンパ24の下側部分の手前側には、上端部が略逆W字状の溝24aが形成されている。アンビル25は、略U字状に形成されている。圧着時には、端子35はアンビル25の真上に位置付けられる。クリンパ24は、電線10および端子35をアンビル25に向かってプレスする。図3に示すように、クランプ12は上下移動可能であり、クリンパ24のプレス動作に伴って電線10は下方に移動する。電線10が端子35の底部35aの上に載った状態で、インシュレーションバレル35bおよびワイヤバレル35cはクリンパ24によって内側にかしめられる。その結果、電線10に端子35が圧着される。また、端子35は、電線10に圧着されると同時に、図示しない切断刃によってキャリア31から切り離される。
【0041】
次に、検査装置40について説明する。図1に示すように、フロント側の検査装置40は、端子供給装置7と端子圧着装置17との間に配置されている。リア側の検査装置40は、端子供給装置8と端子圧着装置18との間に配置されている。フロント側およびリア側の検査装置40の構成は同一である。以下では、リア側の検査装置40について説明する。
【0042】
図5および図6に示すように、検査装置40は、投光装置51および受光装置61からなる第1検査ユニット41と、投光装置52および受光装置62からなる第2検査ユニット42と、投光装置53および受光装置63からなる第3検査ユニット43とを備えている。
【0043】
投光装置51は帯状の光(言い換えるとスリット光)71を照射する装置である。投光装置51が照射する光71は、端子35を透過しない光または端子35を透過するときに減衰する光である。端子35は金属製である。投光装置51は、例えば、レーザ光、赤外線、または可視光等を照射する装置であってもよい。投光装置51として、例えばLED等を好適に用いることができる。受光装置61は受光量を測定する装置である。受光装置61として、例えばフォトダイオード等を好適に用いることができる。
【0044】
図5に示すように、投光装置51および受光装置61は、連続端子30の移動経路から外れた位置に配置されている。言い換えると、投光装置51および受光装置61は、連続端子30の移動経路と重ならない位置に配置されている。投光装置51と受光装置61とは、連続端子30を介して互いに対向している。本実施形態では、連続端子30は水平方向に移動する。投光装置51は連続端子30の上方に配置され、受光装置61は連続端子30の下方に配置されている。投光装置51は、下方に向かって光71を照射する。図6に示すように、照射された光71の一部は端子35に遮られ、残りの部分は受光装置61に受光される。
【0045】
第2検査ユニット42の投光装置52および第3検査ユニット43の投光装置53は、第1検査ユニット41の投光装置51と同様の構成を有している。第2検査ユニット42の受光装置62および第3検査ユニット43の受光装置63は、第1検査ユニット41の受光装置61と同様の構成を有している。ただし、第1検査ユニット41、第2検査ユニット42、第3検査ユニット43は、設置位置が異なっている。
【0046】
図6に示すように、第1検査ユニット41は、端子35の長手方向に延びる帯状の光71を照射するように構成されている。なお、端子35の長手方向は、連続端子30の移動方向と直交する方向であり、また、連続端子30の長手方向と直交する方向である。図7(b)に示すように、端子35がキャリア31に対して曲がっている場合、端子35によって遮られる光71の量は、端子35が真っ直ぐな場合(図7(a)参照)に比べて少なくなる。なお、図7(a)および図7(b)では、光71のうち、遮られている部分は破線で示し、遮られていない部分は実線で示している。受光装置61の受光量の情報はコンピュータ2に送られる。コンピュータ2は、受光装置61の受光量に基づいて、端子35の曲がりを検出することができる。このように、第1検査ユニット41は、主に端子35の曲がりを検査するように構成されている。
【0047】
図5および図6に示すように、第2検査ユニット42および第3検査ユニット43は、端子35の長手方向と直交する方向に延びる帯状の光72を照射するように構成されている。第2検査ユニット42および第3検査ユニット43は、端子35の長手方向に並んでいる。第2検査ユニット42は、端子35のワイヤバレル35cに光72を照射するように構成されている。第3検査ユニット43は、端子35のインシュレーションバレル35bに光72を照射するように構成されている。
【0048】
ワイヤバレル35cに変形が生じている場合、第2検査ユニット42の受光装置62の受光量は、ワイヤバレル35cに変形が生じていない場合に比べて少量または多量となる。受光装置62の受光量に関する情報はコンピュータ2に送信される。コンピュータ2は、受光装置62の受光量が予め定められた基準範囲から外れているか否かに基づいて、ワイヤバレル35cの変形の有無を検出することができる。このように、第2検査ユニット42は、主にワイヤバレル35cの変形を検査するように構成されている。
【0049】
インシュレーションバレル35bに変形が生じている場合、第3検査ユニット43の受光装置63の受光量は、インシュレーションバレル35bに変形が生じていない場合に比べて少量または多量となる。受光装置63の受光量に関する情報はコンピュータ2に送信される。コンピュータ2は、受光装置63の受光量が予め定められた基準範囲から外れているか否かに基づいて、インシュレーションバレル35bの変形の有無を検出することができる。このように、第3検査ユニット43は、主にインシュレーションバレル35bの変形を検査するように構成されている。
【0050】
コンピュータ2は、第1検査ユニット41の受光装置61、第2検査ユニット42の受光装置62、および第3検査ユニット43の受光装置63から信号を受け、それぞれの受光量に基づいて端子35の良否を判定する。検査装置40およびコンピュータ2により、端子35の良否を判定する良否判定装置50が構成されている。
【0051】
図1に示すように、検査装置40と端子圧着装置17,18との間には、端子35を除去可能な端子除去装置45が配置されている。端子除去装置45は、コンピュータ2に接続されている。良否判定装置50によって端子35が不良と判定されると、その端子35は端子除去装置45によって、電線10に圧着される前に除去される。
【0052】
図8に示すように、端子除去装置45は、端子35をキャリア31から分離する装置である。端子除去装置45は、上側のカッター45aと、下側のカッター45bと、それらカッター45a,45bを上下移動させるモータ等の駆動装置46とを備えている。図5に示すように、端子除去装置45は、検査装置40に対して、連続端子30の移動経路の下流側に配置されている。端子除去装置45は、不良と判定された端子35が搬送されてくると、コンピュータ2から信号を受け、両カッター45a,45bを互いに接近する方向に移動させることにより、上記端子35をキャリア31から切断する。その結果、不良の端子35は、端子圧着装置18に供給される前に除去される。
【0053】
除去された端子35は、回収容器48(図1および図5では図示せず。図9参照)に回収される。例えば、端子除去装置45の下方に回収容器48を設置することにより、両カッター45a,45bによってキャリア31から切断された端子35は、重力を受けて落下し、回収容器48に回収される。
【0054】
不良の端子35が回収されたことを確認するために、除去された端子35が回収されたことを検出する回収検出装置を設けてもよい。例えば、図9および図10に示すように、端子除去装置45の下方に略漏斗状の端子受け47と回収容器48とを順に設置し、端子受け47の中途部に、回収検出装置として、物品の通過を検出する通過センサ49を設けてもよい。キャリア31から切り離された端子35は落下し、端子受け47を通じて回収容器48に回収される。この際、通過センサ49により、端子35の通過が検出される。これにより、端子35が回収容器48に回収されたことが確実に検出され、切断された不良端子35が端子圧着装置17,18や他機器に不具合を起こさないことを確認できる。なお、端子35の通過が検出されない場合は、所定の処理、例えば装置1を停止する等の処理を行ってもよい。
【0055】
通過センサ49の具体的構成は何ら限定されない。例えば、通過センサ49は、光学式のセンサであってもよい。例えば、通過センサ49は、端子受け47の互いに対向する内壁に固定された発光部および受光部を備えていてもよい。端子35が通過する際には、発光部からの光が端子35によって遮られ、受光部の受光量が変化する。通過センサ49は、その受光量の変化に基づいて、端子35の通過を検出することができる。あるいは、通過センサ49は磁気センサであってもよい。
【0056】
端子35は金属製である。そこで、回収検出装置として、従来から周知の各種の金属探知器59を利用してもよい。図9に示すように、金属探知器59を端子除去装置45と回収容器48との間に設置することにより、端子35が回収容器48に回収されたことを好適に検出することができる。
【0057】
なお、図9では、通過センサ49および金属探知器59の両方を図示しているが、いずれか一方のみでよいことは勿論である。ただし、検出精度を高めるため、両方設けることも勿論可能である。
【0058】
次に、電線処理装置1の動作を説明する。図1に矢印で示すように、フロント側のクランプ11からリア側のクランプ12に電線10が送り出された後、カッターユニット9によって、電線10の切断と、その端部の被覆の剥ぎ取りとが行われる。フロント側のクランプ11に保持された電線10は、搬送ユニット13によってフロント側の端子圧着装置17の手前の位置に搬送される。リア側のクランプ12に保持された電線10は、搬送ユニット14によってリア側の端子圧着装置18の手前の位置に搬送される。
【0059】
フロント側の端子供給装置7からは、フロント側の端子圧着装置17に向かって連続端子30が順次供給され、リア側の端子供給装置7からは、リア側の端子圧着装置18に向かって連続端子30が順次供給される。連続端子30の各端子35は、良否判定装置50によってその良否が判定される。良否判定装置50によって良好と判定された端子35は端子圧着装置17,18に供給され、不良と判定された端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に、端子除去装置45によって除去される。
【0060】
端子圧着装置17,18に供給された電線10および端子35は、端子圧着装置17,18によって圧着される。端子35が圧着されたフロント側の電線10は、クランプ11に保持されたまま、搬送ユニット14によって図1の左方向に搬送され、カッターユニット9の手前に位置付けられる。端子35が圧着されたリア側の電線10は、クランプ12に保持されたまま、搬送ユニット14によって図1の左方向に搬送される。その後、このリア側の電線10は、例えばクランプ12から図示しないハンドに受け渡され、ハンドにより回収トレイ5に回収される。
【0061】
その後、再びフロント側のクランプ11からリア側のクランプ12に電線10が送り出され、上述の動作が繰り返される。これにより、端子付き電線が連続的に製作される。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る電線処理装置1によれば、良否判定装置50によって不良と判定された端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に、端子除去装置45によって除去される。不良の端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に、良好な端子35から分別される。そのため、電線10に対して不良の端子35が圧着されることを未然に防止することができる。電線処理装置1によれば、不良の端子35を良好な端子35と同じように電線10に圧着してしまうことを避けることができる。電線処理装置1によれば、端子付き電線の不良品の発生を未然に防止することができる。
【0063】
また、電線処理装置1では、端子35が不良と判定された場合であっても、不良の端子35は除去されるが、連続端子30の搬送は継続される。すなわち、端子35が不良と判定された場合であっても、電線処理装置1は動作を停止せず、その動作を継続することとしている。したがって、端子付き電線の製作を継続して実行することができる。よって、装置の運転を停止することによる製作の歩留まりの低下を避けることができ、結果的に、端子付き電線の製作の歩留まりの向上を図ることができる。
【0064】
なお、端子35が不良と判定され、その端子35がキャリア31から除去された場合、その端子35に対して供給するはずであった電線10の供給を省略するようにしてもよい。例えば、搬送ユニット13,14の動作を一時的に停止し、搬送ユニット13,14による電線10の搬送を一回分だけ省略するようにしてもよい。
【0065】
あるいは、端子35が不良と判定され、その端子35がキャリア31から除去された場合、その端子35が端子圧着装置17,18に供給されるはずであったタイミングのときに、その次の端子35が供給されるように、連続端子30の供給速度を一時的に速めるようにしてもよい。
【0066】
本実施形態によれば、良否判定装置50(厳密には、検査装置40)は、各端子35が端子圧着装置17,18に供給される前に各端子35の良否を判定するように、端子供給装置7,8と端子圧着装置17,18との間に配置されている。そのため、端子圧着装置17,18において端子35の良否を判定するものに比べて、端子35の良否を判定してから当該端子35が端子圧着装置17,18に供給されるまでの間に、ある程度の時間的余裕を確保することができる。したがって、端子35を端子圧着装置17,18に供給される前に除去するための時間を、十分に確保することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、不良の端子35は、端子圧着装置17,18に供給される前に除去されるので、端子圧着装置17,18においてプレスされることがない。そのため、不良の端子35を圧着することに起因するクリンパ24の破損または低寿命化を防止することができる。
【0068】
また、通過センサ49または金属探知器59等の回収検出装置を設けることとすれば、端子除去装置45によって除去された端子35が回収容器48に回収されたことを確実に把握することができる。したがって、不良の端子35が良好な端子35から分別されたことを容易に確認することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、良否判定装置50は、投光装置51,52,53と受光装置61,62,63とを備えた光学式の検査装置40と、受光装置61,62,63の受光量に基づいて端子35の良否を判定するコンピュータ2とによって構成されていた。しかし、端子35の良否を判定する装置は、何ら限定される訳ではない。良否判定装置50は、光学式の装置に限らず、例えば、磁気を利用した装置、画像認識技術を利用した装置等であってもよい。端子35の良否の判定方法は何ら限定されるものではない。
【0070】
<第2実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る電線処理装置1は、電線10の切断、被覆の剥ぎ取り、および端子35の圧着の際に、電線10を左右にスライドさせるものであった。しかし、前述したように、電線10の搬送方向は特に限定されない。図11に示すように、第2実施形態に係る電線処理装置1は、電線10の切断、被覆の剥ぎ取り、および端子35の圧着の際に、電線10を鉛直軸回りに旋回させるものである。以下の説明では、第1実施形態と同様の要素には同様の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0071】
図11に示すように、本実施形態に係る電線処理装置1は、鉛直軸L1周りに旋回自在なフロント側のクランプ11と、鉛直軸L2周りに旋回自在なリア側のクランプ12とを備えている。クランプ11,12が図11の反時計回りに旋回することにより、クランプ11,12に保持された電線10は、カッターユニット9の手前の位置から、端子圧着装置17,18の手前の位置に搬送される。逆に、クランプ11,12が時計回りに旋回することにより、クランプ11,12に保持された電線10は、端子圧着装置17,18の手前の位置からカッターユニット9の手前の位置に搬送される。
【0072】
端子供給装置7,8は、水平軸7a,8aを中心として回転可能なリールによって構成されている。端子供給装置7と端子圧着装置17との間、および端子供給装置8と端子圧着装置18との間には、検査装置40と端子除去装置45とが設けられている。端子除去装置45は、検査装置40よりも端子圧着装置17,18側に配置されている。図示は省略するが、本実施形態に係る電線処理装置1もコンピュータを備えている。検査装置40および上記コンピュータにより、端子の良否を判定する良否判定装置が構成されている。
【0073】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、第1実施形態と第2実施形態とを適宜組み合わせることも可能である。例えば、フロント側のクランプ11は電線10をスライドさせるように構成され、リア側のクランプ12は電線10を旋回させるように構成されていてもよい。
【0075】
<第3実施形態>
第1および第2実施形態に係る電線処理装置1は、不良の端子35を圧着前に除去するものであった。しかし、良否判定装置50が端子35を不良と判定したときに行われる処理は、端子35の除去に限定される訳ではない。第3実施形態に係る電線処理装置1は、良否判定装置50により不良と判定された端子35に対して電線10を供給せず、端子圧着装置17,18において、当該端子35を電線10がない状態でプレスするようにしたものである。すなわち、本実施形態に係る電線処理装置1は、不良と判定された端子35を空打ちするようにしたものである。
【0076】
図12に示すように、本実施形態に係る電線処理装置1のコンピュータ2は、検査装置40からの信号を受けて端子35の良否を判定する判定部2Aと、端子圧着装置17,18に電線10を供給する電線供給装置55(第1実施形態のクランプ11,12および搬送ユニット13,14、第2実施形態の旋回式クランプ11,12など)を制御する電線供給制御部2Bと、端子圧着装置17,18を制御する圧着制御部2Cとを備えている。
【0077】
判定部2Aが端子35に不良が生じていると判定すると、電線供給制御部2Bは、端子圧着装置17,18においてその端子35に電線10が供給されないように、電線供給装置55を制御する。一方、圧着制御部2Cは、電線10がない状態のままその端子35をプレスするように端子圧着装置17,18を制御する。
【0078】
その結果、不良の端子35には電線10が圧着されない。良好な端子35には電線10が圧着されるので、不良の端子35は良好な端子35から容易に分別される。なお、端子圧着装置17,18は、プレスに伴って端子35をキャリア31から切断するように構成されている。そのため、不良の端子35は、端子圧着装置17,18において、自動的に除去されることになる。
【0079】
ところで、図13に示すように、端子35は、クリンパ24にプレスされたときに、クリンパ24の溝24aに嵌り込むことがある。端子35が電線10に圧着されている場合には、電線10が端子35を保持するので、クリンパ24の上昇に伴って端子35は溝24aから取り除かれる。しかし、電線10に圧着されていない端子35では、図13に示すように、クリンパ24と共に上昇し、溝24a内に残ってしまうおそれがある。また、端子35がアンビル25の上に残ったままになる場合もあり得る。ところが、端子35がクリンパ24の溝24a内またはアンビル25の上に残ったままであると、次に供給される端子35の邪魔になったり、端子圧着装置17,18の次回の圧着動作が良好に行われなくなる可能性がある。そこで、電線10に圧着されていない端子35を端子圧着装置17,18から強制的に除去する除去装置を設けることが好ましい。
【0080】
上記除去装置として、例えば、図14(a)および(b)に示すように、クリンパ24の上昇に伴って端子35を掻き落とす機構90を設けるようにしてもよい。掻き落とし機構90は、クリンパ24が上昇したときの溝24aの前後を挟むような位置に配置された板状体91と、板状体91を支持する支持体92とを備えている。端子35が溝24a内に嵌り込んだ場合、クリンパ24の上昇は板状体91によって規制されないが、端子35の上昇は板状体91によって規制される。そのため、クリンパ24の上昇に伴って、端子35は自動的に溝24aから掻き落とされる。
【0081】
また、図14(a)および(b)に示すように、アンビル25の上に残った端子35を跳ね上げる機構93を設けてもよい。跳ね上げ機構93は、アンビル25の後方に配置された棒状体94と、棒状体94を支持する支持体96と、支持体96に接続されたエアシリンダ95とを備えている。エアシリンダ95は上下に伸縮可能であり、伸長することにより、支持体96および棒状体94を上昇させる。アンビル25の上に端子35が残っていた場合、その端子35は棒状体94によって跳ね上げられる。その結果、端子35はアンビル25上から除去される。なお、端子35を跳ね上げる駆動源はエアシリンダ95に限られない。例えば、電動モータ等であってもよい。
【0082】
クリンパ24から端子35を除去する機構として、図15(a)および(b)に示すような可動式の掻き落とし機構90Bを設けてもよい。この掻き落とし機構90Bは、クリンパ24の溝24aの前後に配置された板状体91と、板状体91を支持するL字状の支持体92Bと、支持体92Bに接続されたエアシリンダ97とを備えている。エアシリンダ97は上下に伸縮可能であり、収縮することにより、支持体92Bおよび板状体91を下降させる。クリンパ24の溝24a内に端子35が嵌り込んでいた場合、その端子35は支持体92Bによって掻き落とされる。なお、板状体91をクリンパ24の前後いずれかに固定した状態で平行に配置し、クリンパ24が圧着後上昇するときに、嵌り込んだ端子35を板状体91の下端部に当てることにより掻き落とすようにしてもよい。
【0083】
図示は省略するが、クリンパ24またはアンビル25から端子35を除去する装置は、端子35を吸引する吸引装置であってもよい。端子35は金属製であるので、除去装置として磁石を利用してもよい。その他、端子35を除去できる限り、どのような装置であってもよい。
【0084】
このような除去装置を設けることにより、端子35がクリンパ24の溝24a内またはアンビル25の上に残留することを確実に防止することができる。したがって、連続端子30の供給および端子圧着装置17,18の次回の圧着動作を良好に行うことができる。
【0085】
以上のように、本実施形態においても、不良の端子35は電線10に圧着されることなく除去されるので、不良の端子35を電線10に圧着するという無駄を省くことができる。また、端子圧着装置17,18のプレス動作を停止させる必要がないので、端子圧着装置17,18の動作の継続性を保つことができる。よって、電線処理装置1を継続して動作させることができ、動作を停止させることによる端子付き電線の製作の歩留まりの低下を回避することができる。
【0086】
<第4実施形態>
前記各実施形態は、不良の端子35に電線10を圧着させないことにより、不良の端子35を良好な端子35から分別するものであった。しかし、不良の端子35を良好な端子35から分別する処理は、不良の端子35に電線10を圧着させないことに限定されない。本実施形態に係る電線処理装置1は、不良の端子35に対し、良好な端子35に圧着される電線(以下、「製品電線」という)とは長さの異なる電線(以下、「不良用電線」という)を圧着させるようにしたものである。
【0087】
ここで、製品電線と長さの異なる電線とは、製品電線から容易に区別できる電線のことである。例えば、製品電線が長尺電線の場合、不良用電線として、製品電線より明らかに短い電線を用いることができる。また、製品電線が短い電線の場合は、不良用電線として、製品電線より明らかに長い電線を用いることができる。
【0088】
製品電線と長さの異なる電線は、カッターユニット9に対する電線の送り量を調節することにより、電線処理装置1自体で容易に製作することができる。詳しくは、電線10の長さは、電線10の送り量(図1の矢印に示す方向の送り量)を調節することによって、容易に調節することができる。本実施形態に係る電線処理装置1では、カッターユニット9における電線の切断長さを調節することにより、不良用電線を製作する。
【0089】
図16に示すように、本実施形態に係る電線処理装置1のコンピュータ2は、検査装置40からの信号を受けて端子35の良否を判定する判定部2Aと、電線10をカッターユニット9に向かって送り出す電線送り装置28を制御する電線送り量制御部2Dとを備えている。なお、電線送り装置28の構成は何ら限定されず、例えば、図17(a)および(b)に示すように、電線10を挟みながら回転することによって電線10を送り出す一対のローラであってもよい。あるいは、それぞれ複数のローラによって駆動され、電線10を挟んで対峙する一対のベルト等であってもよい。
【0090】
図17(a)は、フロント側の良否判定装置50によって良好と判定された端子35がフロント側の端部10fに圧着され、リア側の良否判定装置50によって良好と判定された端子35がリア側の端部10rに圧着される予定の電線10を表している。このように、フロント側およびリア側の両方の端子35が良好と判定された場合、電線送り量制御部2Dは、カッターユニット9による切断後の長さが正規の長さLとなるように、電線送り装置28の送り量を制御する。
【0091】
一方、図17(b)は、フロント側の良否判定装置50によって不良と判定された端子35がフロント側の端部10fに圧着された電線10、または、リア側の良否判定装置50によって不良と判定された端子35がリア側の端部10rに圧着される予定の電線10を表している。このように、フロント側の端子35が不良と判定された場合、電線送り量制御部2Dは、カッターユニット9による切断後の長さが正規の長さLよりも短い長さL´となるように、電線送り装置28の送り量を制御する。
【0092】
本実施形態によれば、不良の端子35が圧着された電線10は、良好な端子35が圧着された電線10に比べて短いため、不良の端子35と良好な端子35とを容易に分別することができる。本実施形態においても、不良の端子35を良好な端子35と同じように圧着してしまうこと(すなわち、正規の長さLの製品電線10に圧着してしまうこと)を避けることができる。また、本実施形態においても、端子35が不良と判定された場合に、電線処理装置1の運転を停止させる必要はなく、その運転を継続させることができる。
【0093】
なお、不良の端子35と良好な端子35とを分別するために、不良用電線10の長さL´を製品電線10の長さLよりも長くしてもよい。しかし、不良の端子35が圧着された不良用電線10は、その後廃棄されることになる。本実施形態のように、不良用電線10の長さL´を製品電線10の長さLよりも短くすることとすれば、廃棄される電線10の量を少なく抑えることができる。したがって、電線10の無駄を抑制することができ、材料コストの低減を図ることができる。
【0094】
本実施形態では、製品電線10と異なる不良用電線10に対してではあるが、不良の端子35も電線10に圧着させることになる。そのため、不良の端子35があったとしても、端子圧着装置17,18は通常の動作を繰り返すことになる。したがって、端子圧着装置17,18を通常と異なる態様で動作させる必要がなく、端子圧着装置17,18の負荷を抑えることができる。よって、端子圧着装置17,18の信頼性を維持することができ、寿命の低下を抑制することができる。
【0095】
なお、電線処理装置1が製作する端子付き電線の長さは、必ずしも一定とは限らず、適宜変更する場合がある。言い換えると、電線処理装置1は、長さの異なる複数種類の端子付き電線を製作することができる。そこで、いずれの種類の電線とも区別できるように、不良用電線は、複数種類の製品電線のうち最も短い電線よりも短いことが好ましい。
【符号の説明】
【0096】
1 電線処理装置
7,8 端子供給装置
10 電線
11,12 クランプ
17,18 端子圧着装置
30 連続端子
35 圧着端子
40 検査装置
45 端子除去装置(分別処理装置)
50 良否判定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧着端子が連続してなる連続端子を供給する端子供給装置と、
前記端子供給装置から供給された圧着端子をプレスすることにより電線に圧着させる端子圧着装置と、
前記連続端子の各圧着端子が前記端子圧着装置において電線に圧着される前に、前記各圧着端子の良否を判定する良否判定装置と、
前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、良好と判定された圧着端子から分別する処理を行う分別処理装置と、
を備えた電線処理装置。
【請求項2】
前記良否判定装置は、各圧着端子が前記端子圧着装置に供給される前に各圧着端子の良否を判定するように、前記端子供給装置と前記端子圧着装置との間に配置されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項3】
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、電線に圧着される前に除去する除去装置を有している、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項4】
前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備え、
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対する前記電線供給装置による電線の供給を停止させ、当該圧着端子を電線が供給されない状態のまま前記端子圧着装置によりプレスさせるように構成されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項5】
前記分別処理装置は、電線が供給されない状態のままプレスされた前記圧着端子を前記端子圧着装置から除去する除去装置を有している、請求項4に記載の電線処理装置。
【請求項6】
前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備え、
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対し、良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線を供給するように前記電線供給装置を制御する、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項7】
前記除去装置によって除去された圧着端子を回収する回収容器と、
除去された圧着端子が前記回収容器に回収されたことを検出する回収検出装置と、を備えている、請求項3または5に記載の電線処理装置。
【請求項8】
前記圧着端子は金属からなり、
前記回収検出装置は、前記除去装置と前記回収容器との間に設置された金属探知機からなっている、請求項7に記載の電線処理装置。
【請求項1】
複数の圧着端子が連続してなる連続端子を供給する端子供給装置と、
前記端子供給装置から供給された圧着端子をプレスすることにより電線に圧着させる端子圧着装置と、
前記連続端子の各圧着端子が前記端子圧着装置において電線に圧着される前に、前記各圧着端子の良否を判定する良否判定装置と、
前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、良好と判定された圧着端子から分別する処理を行う分別処理装置と、
を備えた電線処理装置。
【請求項2】
前記良否判定装置は、各圧着端子が前記端子圧着装置に供給される前に各圧着端子の良否を判定するように、前記端子供給装置と前記端子圧着装置との間に配置されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項3】
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子を、電線に圧着される前に除去する除去装置を有している、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項4】
前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備え、
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対する前記電線供給装置による電線の供給を停止させ、当該圧着端子を電線が供給されない状態のまま前記端子圧着装置によりプレスさせるように構成されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項5】
前記分別処理装置は、電線が供給されない状態のままプレスされた前記圧着端子を前記端子圧着装置から除去する除去装置を有している、請求項4に記載の電線処理装置。
【請求項6】
前記端子圧着装置に供給された圧着端子に電線を供給する電線供給装置を備え、
前記分別処理装置は、前記良否判定装置により不良と判定された圧着端子に対し、良好な圧着端子に供給される電線と長さの相違する電線を供給するように前記電線供給装置を制御する、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項7】
前記除去装置によって除去された圧着端子を回収する回収容器と、
除去された圧着端子が前記回収容器に回収されたことを検出する回収検出装置と、を備えている、請求項3または5に記載の電線処理装置。
【請求項8】
前記圧着端子は金属からなり、
前記回収検出装置は、前記除去装置と前記回収容器との間に設置された金属探知機からなっている、請求項7に記載の電線処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−216492(P2012−216492A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237225(P2011−237225)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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