説明

電線分別装置

【目的】 分別される電線15のサイズが変更された場合に容易に対応できると共に同時に複数の電線15の分別を可能とした電線分別装置10を提供する。
【構成】 電線切込部13に、切断刃調整ユニットや電線ガイドユニット33が嵌脱自在に嵌合装着されるユニット嵌合凹23部が備えられると共に切断刃28を固定する複数の切断刃固定部が備えられる。切断刃調整ユニットに切断刃28の突出量を規制する切断刃突出量規制溝が備えられる。電線ガイドユニット33に、切断刃28が切り込みを施す電線15の被覆部15b厚さに対応した長さ量径方向に突出状となるべく、電線貫通孔37が備えられると共に各電線貫通孔37と連通状として切断刃28が挿通状とされる切断刃挿通溝が備えられる。電線切込部13の下流側に電線分離部14が備えられ、電線分離部14に電線15を芯線部15aと被覆部15bに分離する電線分離体42が備えられる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不要となった電線等を芯線部と被覆部とに分別するための電線分別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、製造の開始から規格範囲内に納まるまでに製造された口出しの電線等、製造段階で廃材となった不要の電線等は、電線分別装置により銅線等からなる導体層としての芯線部と樹脂材等からなる被覆層としての被覆部とに分別し、資源の再利用等が図られていた。
【0003】そして、前記電線分別装置としては、図13R>3に示される如く、電線供給部1から順次供給されてくる電線2の被覆部2aに対して、電線切込部3でその電線2の長手方向に沿った切り込みを施し、その切り込み部分を利用して電線2の芯線部2bと被覆部2aとに順次分離し、芯線部2bは巻取り装置4に順次巻き取られ、被覆部2aは送りローラ5により芯線部2bに対して上下に分離されながら送り出されるように構成されたものがある。
【0004】また、異なるサイズの電線2を分別する場合には、図14に示される如く、電線切込部3の電線2を挟持状に案内する上下のガイドローラ6を電線2の外径に適合させるべく上下方向に調整すると共に、被覆部2aに切り込みを入れる切断刃7を備えた左右の刃保持体8を電線2の被覆部の厚みに適合させるべく左右方向に調整することによって対応していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の電線分別装置の構造によれば、分別される電線2のサイズが変更された場合に、各ガイドローラ6や各刃保持体8をそれぞれ調整する必要があり、また、その際における各ガイドローラ6や各刃保持体8の微調整が難しく、調整が面倒な作業となっていた。
【0006】さらに、電線2の被覆部2aには単層構造や複層構造のものがあり、芯線部2bには単線構造や撚線構造のものがあり、これら電線2の各種構造の相違により前記調整をより面倒な作業としていた。
【0007】また、上記電線分別装置によれば、同時に複数の電線を分別することは困難であった。
【0008】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、分別される電線のサイズが変更された場合に容易に対応できると共に、同時に複数の電線の分別を可能とした電線分別装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための技術的手段は、電線切込部に備えられた切断刃で、順次供給される電線の被覆部にその電線の長手方向に沿って切り込みを施し、その切り込み部分より電線の芯線部と被覆部とに順次分離する電線分別装置において、前記電線切込部に、同形同大の切断刃調整ユニットもしくは複数種の電線ガイドユニットが嵌脱自在に嵌合装着されるユニット嵌合凹部が備えられると共に、該ユニット嵌合凹部内に突出状に前記切断刃を固定する複数の切断刃固定部が備えられ、前記切断刃調整ユニットに、前記ユニット嵌合凹部内に突出状とされる各切断刃の突出量を規制する切断刃突出量規制溝がそれぞれ備えられ、前記各電線ガイドユニットに、前記切断刃調整ユニットで突出量が規制された各切断刃が前記切り込みを施す電線の被覆部厚さに対応した長さ量径方向に突出状となるべく、各切断刃固定位置に対応して電線貫通孔がそれぞれ備えられると共に、各電線貫通孔と連通状として各切断刃が挿通状とされる切断刃挿通溝がそれぞれ備えられ、前記電線切込部の下流側に電線分離部が備えられ、該電線分離部に、電線切込部で切り込みが施された各電線を芯線部と被覆部にそれぞれ分離する電線分離体がそれぞれ備えられてなる点にある。
【0010】また、前記電線分離体に、電線の芯線部が挿通される芯線貫通孔と、該芯線貫通孔の芯線部挿入端部側より漸次径大に形成された円錐状の分離部とが備えられてなる構造としてもよい。
【0011】さらに、前記各電線貫通孔が同径の貫通孔とされた電線ガイドユニットや、各電線貫通孔が異径の貫通孔とされた電線ガイドユニットの複数種が交換自在に備えられ、前記芯線貫通孔が同径の挿通孔とされた電線分離体や、芯線貫通孔が異径の挿通孔とされた電線分離体の複数種が交換自在に備えられてなる構造としてもよい。
【0012】
【作用】本発明によれば、電線切込部のユニット嵌合凹部内に切断刃調整ユニットを嵌合装着した状態で、各切断刃固定部に各切断刃を装着する。この際、各切断刃のユニット嵌合凹部内への突出量は切断刃調整ユニットに備えられた切断刃突出量規制溝により規制され、各切断刃はそれぞれユニット嵌合凹部内へ所定長さ突出した状態で固定される。
【0013】次に、切断刃調整ユニットをユニット嵌合凹部より離脱させ、ユニット嵌合凹部内に電線ガイドユニットを嵌合装着すれば、電線ガイドユニットの各電線貫通孔内に、各電線挿通孔に挿通される電線の被覆部厚さに応じた長さ量径方向に突出状とされた状態が得られる。
【0014】そして、電線ガイドユニットの各電線貫通孔に、それぞれ対応するサイズの電線を挿通状に供給していけば、各電線は各電線貫通孔内に突出状に固定されている切断刃によって各電線の被覆部にその長手方向に沿って切り込みが施されていく。
【0015】次に、切り込みが施された各電線は、下流側に備えられた電線分離部の各電線分離体によって芯線部と被覆部に順次分離され、分別される。
【0016】そして、分別される電線のサイズを変更する場合には、ユニット嵌合凹部に現在装着されている電線ガイドユニットを離脱させ、目的とする電線サイズに対応する別の電線ガイドユニットをユニット嵌合凹部内に嵌合装着すれば、新たに装着された電線ガイドユニットの各電線貫通孔内に、各切断刃が、各電線貫通孔に挿通される電線の被覆部厚さに応じた長さ量径方向に突出状とされた状態が得られる。ここに、分別される電線のサイズを変更した場合であっても、電線ガイドユニットを交換するだけでよく、複雑な調整作業が不要となり、容易に対応できる。
【0017】また、各電線貫通孔に対応する各電線をそれぞれ挿通状に供給すれば、同時に複数の電線の分別が行える。
【0018】さらに、前記電線分離体に、電線の芯線部が挿通される芯線貫通孔と、該芯線貫通孔の芯線部挿入端部側より漸次径大に形成された円錐状の分離部とが備えられてなる構造とすれば、電線分離体の芯線貫通孔に挿通された芯線部を順次引き抜くことにより、円錐状の分離部で芯線部と被覆部とが自動的に分離されていく。
【0019】また、前記各電線貫通孔が同径の貫通孔とされた電線ガイドユニットや、各電線貫通孔が異径の貫通孔とされた電線ガイドユニットの複数種が交換自在に備えられ、前記芯線貫通孔が同径の挿通孔とされた電線分離体や、芯線貫通孔が異径の挿通孔とされた電線分離体の複数種が交換自在に備えられてなる構造とすれば、各電線貫通孔の孔径の適宜組合せの電線ガイドユニットを選択して使用することにより、芯線部や被覆部の各サイズの異なる電線や、構造(被覆部の単層構造や複層構造、芯線部の単線構造や撚線構造)の異なる電線の複数種を同時に分別することが可能となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1および図2において、10は電線分別装置で、アングル材やパイプ材等で適宜枠組み構成された架構体11と、架構体11上に取り付けられた装置支持枠12と、装置支持枠12の一端側(上流側)および他端側(下流側)に設けられた電線切込部13および電線分離部14と、分別される各電線15がそれぞれ巻かれた各電線供給ドラム16等が設置されるサプライスタンド等を有する電線供給部17と、分別された各芯線部15aをそれぞれ巻き取る各芯線部巻取りドラム18等からなる芯線部巻取り装置19と、分別された各被覆部15bを収容する被覆部収容容器20とを備えている。
【0021】前記電線切込部13は、装置支持枠12上に固定状に取り付けられた支持ブロック22を備え、該支持ブロック22の上流側の一側面に横長矩形凹状のユニット嵌合凹部23が備えられている。
【0022】また、支持ブロック22の上面側には、ユニット嵌合凹部23に連通状とされる切断刃ガイドスリット24が、ユニット嵌合凹部23の横方向に所定間隔を有して複数、かつ支持ブロック22の上流側の一側面側より下流側方向に向けて形成されている。
【0023】前記各切断刃ガイドスリット24の一方側端縁部に沿った支持ブロック22上面側には、矩形板状の刃取付ブロック25が溶接等によりそれぞれ固着されており、図3に示される如く、各刃取付ブロック25には切断刃ガイドスリット24と連続状とされる位置決め用の刃取付凹部26が形成されている。
【0024】27は刃締付ブロックで、刃取付ブロック25に対応する大きさを有する矩形板状に形成されており、切断刃28を刃取付凹部26に嵌合させた状態で、刃締付ブロック27を刃取付ブロック25にボルト29等により締結することによって切断刃28を挟持状に固定するように構成されている。ここに、刃取付ブロック25、刃締付ブロック27、ボルト29により切断刃28を固定する切断刃固定部が構成される。
【0025】この際、刃締付ブロック27にはボルト29が挿通されるボルト挿通孔30が形成され、刃取付ブロック25の前記ボルト挿通孔30に対応する位置にはボルト29が螺合される雌ネジ孔31が形成されている。
【0026】また、刃取付ブロック25と刃締付ブロック27によって挟持状に固定された各切断刃28は各切断刃ガイドスリット24を介してユニット嵌合凹部23内に突出状とされると共に、各切断刃28の刃部28aは同一方向、即ち電線15が順次供給されてくる供給路の上流側に指向して取り付けられる。そして、各ボルト29の弛緩により、各切断刃28はそれぞれ刃取付凹部26に沿って上下方向に出退調整自在とされる。
【0027】さらに、前記ユニット嵌合凹部23に対して、図4ないし図6に示される如く、対応する横長直方体状の同形同大に形成された切断刃調整ユニット32や電線ガイドユニット33が選択的に電線15供給側より嵌脱自在に嵌合装着されるように構成されている。
【0028】前記切断刃調整ユニット32は、ユニット嵌合凹部23内に嵌合装着された際、前記各切断刃ガイドスリット24と対応する位置にそれぞれ所定の深さを有する切断刃突出量規制溝35が形成されており、各切断刃ガイドスリット24を通じてユニット嵌合凹部23内に突出状とされる各切断刃28が切断刃突出量規制溝35底部に当接されて切断刃28の突出量を規制するように構成されている。
【0029】また、前記電線ガイドユニット33は、ユニット嵌合凹部23内に嵌合装着された際、前記各切断刃ガイドスリット24と対応する位置にそれぞれ所望の深さを有する切断刃挿通溝36が形成されると共に、各切断刃挿通溝36の下端に所望の径を有する電線貫通孔37が連通状にそれぞれ形成されている。
【0030】そして、前記切断刃調整ユニット32によりユニット嵌合凹部23内への突出量が規制された各切断刃28が切り込みを施す各電線15のそれぞれの被覆部15b厚さに対応した長さ量、各電線貫通孔37の径方向に突出状となるべく、各切断刃挿通溝36の長さが設定されている。
【0031】また、図5に示される如く、各電線貫通孔37が同径の貫通孔とされた電線ガイドユニット33の複数種や、図6に示される如く、各電線貫通孔37が異径の貫通孔とされた電線ガイドユニット33の複数種が予め準備されている。
【0032】例えば、電線ガイドユニット33における各切断刃挿通溝36の深さや各電線貫通孔37の中心位置等の設定は、切断刃調整ユニット32の切断刃突出量規制溝35深さをLとし、電線貫通孔37に挿通される電線15の外径をRとし、その電線15の被覆部15b厚さをTとした場合、切断刃挿通溝36の深さMはL−Tとすればよい。また、電線貫通孔37の中心位置深さNはL−T+R/2とすればよい。さらに、電線貫通孔37の孔径はR+0.1±0.05とすればよい。
【0033】また、図1に示される如く、支持ブロック22のユニット嵌合凹部23の底部に位置した下流側側面には、ユニット嵌合凹部23内に嵌合された電線ガイドユニット33の各電線貫通孔37と対応した位置に、各電線15を遊挿状とする遊挿孔38がそれぞれ形成されている。
【0034】前記電線分離部14は、図1、図2および図7に示される如く、装置支持枠12上に固定状に取り付けられた支持ブロック40を備え、該支持ブロック40には、支持ブロック22の各遊挿孔38に対応する位置に電線15供給方向に沿った雌ネジ孔41がそれぞれ形成されている。そして、各雌ネジ孔41に各電線分離体42の雄ネジ軸部43が着脱自在に螺合されることによって、支持ブロック40に各電線分離体42が装着されている。
【0035】この電線分離体42は、漸次径大に形成された円錐状の分離部44と該分離部44の径大側端面に設けられた前記雄ネジ軸部43とからなり、分離部44の頂部側から雄ネジ軸部43にわたって芯線部15aが挿通される芯線貫通孔45が形成されている。そして、各種孔径の芯線貫通孔45を有する電線分離体42が予め多数準備されている。なお、この芯線貫通孔45の孔径は各電線15の各芯線部15a径より少し大径(例えば、0.1mm程度大径)に形成されている。
【0036】本発明の実施例は以上のように構成されており、その使用に際しては、図8に示される如く、支持ブロック22のユニット嵌合凹部23内に切断刃調整ユニット32を嵌合装着する。
【0037】次に、図9に示される如く、各ボルト29を弛緩した状態で、上方より各刃取付ブロック25と刃締付ブロック27の間より切断刃28をそれぞれ挿入する。この際、各切断刃28は刃取付凹部26、切断刃ガイドスリット24に沿って切断刃突出量規制溝35内に挿入案内され、切断刃突出量規制溝35底部に当接した位置で停止し、それ以上の挿入が規制される。そして、この状態で、各ボルト29を螺合締結すれば、各切断刃28が刃取付ブロック25と刃締付ブロック27によって挟持状に固定される。
【0038】その後、切断刃調整ユニット32をユニット嵌合凹部23より離脱させれば、図10に示される如く、各切断刃28がユニット嵌合凹部23内へ所定長さ突出した状態が得られる。
【0039】そして例えば、同サイズの電線15を分別する場合には、電線15の外径に対応する孔径の電線貫通孔37を有する電線ガイドユニット33を選択して、図11に示される如く、ユニット嵌合凹部23内に電線ガイドユニット33を嵌合装着すれば、電線ガイドユニット33の各電線貫通孔37内に分別される各電線15の被覆部15b厚さに応じた長さ量突出状とされた状態が得られる。
【0040】また、支持ブロック40の各雌ネジ孔41にも各電線15のサイズ、いわゆる外径に対応する孔径を有する電線分離体42をそれぞれ螺合装着する。
【0041】そして、各電線供給ドラム16から引き出された各電線15を電線ガイドユニット33の各電線貫通孔37および遊挿孔38に挿通させる。この際、各切断刃28の刃部28aによって各電線15の被覆部15bにそれぞれその長手方向に沿って切り込みが自動的に施される。
【0042】その後、切り込み部分を利用して各電線15の芯線部15aと被覆部15bとを分離させ、芯線部15aを電線分離体42の分離部44頂部側より芯線貫通孔45に挿入し、その挿入端側を各芯線部巻取りドラム18に巻き付ける。この際、各電線15の被覆部15bは分離部44で分離されて下方に落下する。
【0043】この状態で、各芯線部巻取りドラム18を回転駆動させれば、順次芯線部15aが各芯線部巻取りドラム18に巻取られていく。そして、この巻取りによって、各電線供給ドラム16側から順次各電線15が供給される。また、この各電線15の供給により、電線切込部13位置で、各切断刃28により各電線15の被覆部15bに長手方向に沿って順次切り込みが施され、電線分離部14位置で、各電線15は分離部44により強制的に芯線部15aと被覆部15bとに分離される。
【0044】また、分離された被覆部15bは被覆部収容容器20内に落下していき、回収される。
【0045】次に、分別される各電線15のサイズが変更されて、各種外径の電線15を分別する場合には、ユニット嵌合凹部23内より装着されている電線ガイドユニット33を離脱させ、対応する各電線15の外径に応じた組合せの電線貫通孔37を有する電線ガイドユニット33を選択して、図12に示される如く、ユニット嵌合凹部23内に嵌合装着すれば、新たに装着された電線ガイドユニット33の各電線貫通孔37内に、各電線貫通孔37に挿通される電線15の被覆部15b厚さに応じた長さ量径方向に突出状とされた状態が得られる。
【0046】また、支持ブロック40に取り付けられた各電線分離体42も対応する孔径を有する電線分離体42に交換すればよい。
【0047】ここに、分別される電線15のサイズが変更された場合であっても、単に電線ガイドユニット33を交換すると共に、電線分離体42を交換するだけでよく、複雑な調整作業も不要となり、電線15サイズの変更に容易に対応できる。
【0048】また、各電線貫通孔37に対応する各電線15をそれぞれ挿通状に供給すれば、同時に複数の電線15の分別が行え、作業性の向上が図れる。しかも、芯線部15aや被覆部15bの各サイズの異なる電線15や、構造(被覆部15bの単層構造や複層構造、芯線部15aの単線構造や撚線構造)の異なる電線15の複数種を同時に分別することもできる。
【0049】さらに、漸次径大に形成された円錐状の分離部44を備えた電線分離体42が設けられているため、電線分離体42の芯線貫通孔45に挿通された芯線部15aを順次引き抜くことにより、円錐状の分離部44で芯線部15aと被覆部15bとを自動的に分離でき、芯線部15aと被覆部15bの分離のための構造の簡素化が図れる。
【0050】なお、電線分離体42の分離部44頂部側は、分離作用の都合上、角張って構成されていることがより好ましい。また、同時に分別される電線15の数が4本とされた構造を示しているが、同時に分別される電線15の数は適宜設定すればよい。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明の電線分別装置によれば、電線切込部に、同形同大の切断刃調整ユニットもしくは複数種の電線ガイドユニットが嵌脱自在に嵌合装着されるユニット嵌合凹部が備えられると共に、該ユニット嵌合凹部内に突出状に切断刃を固定する複数の切断刃固定部が備えられ、前記切断刃調整ユニットに、前記ユニット嵌合凹部内に突出状とされる各切断刃の突出量を規制する切断刃突出量規制溝がそれぞれ備えられ、前記各電線ガイドユニットに、前記切断刃調整ユニットで突出量が規制された各切断刃が前記切り込みを施す電線の被覆部厚さに対応した長さ量径方向に突出状となるべく、各切断刃固定位置に対応して電線貫通孔がそれぞれ備えられると共に、各電線貫通孔と連通状として各切断刃が挿通状とされる切断刃挿通溝がそれぞれ備えられ、前記電線切込部の下流側に電線分離部が備えられ、該電線分離部に、電線切込部で切り込みが施された各電線を芯線部と被覆部にそれぞれ分離する電線分離体がそれぞれ備えられてなるものであり、分別される電線のサイズを変更する場合には、電線ガイドユニットを交換するだけでよく、複雑な調整作業が不要となり、容易に対応できるという利点がある。
【0052】また、各電線貫通孔に対応する各電線をそれぞれ挿通状に供給すれば、同時に複数の電線の分別が行え、作業性に優れるという利点がある。
【0053】さらに、前記電線分離体に、電線の芯線部が挿通される芯線貫通孔と、該芯線貫通孔の芯線部挿入端部側より漸次径大に形成された円錐状の分離部とが備えられてなる構造とすれば、電線分離体の芯線貫通孔に挿通された芯線部を順次引き抜くことにより、円錐状の分離部で芯線部と被覆部とが自動的に分離されていくという利点がある。
【0054】また、前記各電線貫通孔が同径の貫通孔とされた電線ガイドユニットや、各電線貫通孔が異径の貫通孔とされた電線ガイドユニットの複数種が交換自在に備えられ、前記芯線貫通孔が同径の挿通孔とされた電線分離体や、芯線貫通孔が異径の挿通孔とされた電線分離体の複数種が交換自在に備えられてなる構造とすれば、各電線貫通孔の孔径の適宜組合せの電線ガイドユニットを選択して使用することにより、芯線部や被覆部の各サイズの異なる電線や、構造(被覆部の単層構造や複層構造、芯線部の単線構造や撚線構造)の異なる電線の複数種を同時に分別することが可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す概略説明図である。
【図2】同要部斜視図である。
【図3】切断刃固定部の分解平面図である。
【図4】切断刃調整ユニットの斜視図である。
【図5】電線ガイドユニットの斜視図である。
【図6】電線ガイドユニットの斜視図である。
【図7】電線分離体の側面図である。
【図8】調整行程の説明図である。
【図9】調整行程の説明図である。
【図10】調整行程の説明図である。
【図11】調整行程の説明図である。
【図12】調整行程の説明図である。
【図13】従来例を示す説明図である。
【図14】同電線切込部の説明図である。
【符号の説明】
10 電線分別装置
13 電線切込部
14 電線分離部
15 電線
15a 芯線部
15b 被覆部
23 ユニット嵌合凹部
25 刃取付ブロック
27 刃締付ブロック
28 切断刃
29 ボルト
32 切断刃調整ユニット
33 電線ガイドユニット
35 切断刃突出量規制溝
36 切断刃挿通溝
37 電線貫通孔
42 電線分離体
44 分離部
45 芯線貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電線切込部に備えられた切断刃で、順次供給される電線の被覆部にその電線の長手方向に沿って切り込みを施し、その切り込み部分より電線の芯線部と被覆部とに順次分離する電線分別装置において、前記電線切込部に、同形同大の切断刃調整ユニットもしくは複数種の電線ガイドユニットが嵌脱自在に嵌合装着されるユニット嵌合凹部が備えられると共に、該ユニット嵌合凹部内に突出状に前記切断刃を固定する複数の切断刃固定部が備えられ、前記切断刃調整ユニットに、前記ユニット嵌合凹部内に突出状とされる各切断刃の突出量を規制する切断刃突出量規制溝がそれぞれ備えられ、前記各電線ガイドユニットに、前記切断刃調整ユニットで突出量が規制された各切断刃が前記切り込みを施す電線の被覆部厚さに対応した長さ量径方向に突出状となるべく、各切断刃固定位置に対応して電線貫通孔がそれぞれ備えられると共に、各電線貫通孔と連通状として各切断刃が挿通状とされる切断刃挿通溝がそれぞれ備えられ、前記電線切込部の下流側に電線分離部が備えられ、該電線分離部に、電線切込部で切り込みが施された各電線を芯線部と被覆部にそれぞれ分離する電線分離体がそれぞれ備えられてなることを特徴とする電線分別装置。
【請求項2】 前記電線分離体に、電線の芯線部が挿通される芯線貫通孔と、該芯線貫通孔の芯線部挿入端部側より漸次径大に形成された円錐状の分離部とが備えられてなることを特徴とする請求項1記載の電線分別装置。
【請求項3】 前記各電線貫通孔が同径の貫通孔とされた電線ガイドユニットや、各電線貫通孔が異径の貫通孔とされた電線ガイドユニットの複数種が交換自在に備えられ、前記芯線貫通孔が同径の挿通孔とされた電線分離体や、芯線貫通孔が異径の挿通孔とされた電線分離体の複数種が交換自在に備えられてなることを特徴とする請求項2記載の電線分別装置。

【図1】
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【図3】
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【図7】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開平8−339730
【公開日】平成8年(1996)12月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−146347
【出願日】平成7年(1995)6月13日
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)