説明

電線劣化診断装置

【課題】簡易な構成で電線等のケーブル表面の硬度を精度よく測定することのできる電線劣化診断装置を提供する。
【解決手段】電線劣化診断装置10において、平坦な加圧面6と、加圧面6から突出して設けられた押針5とを有し、押針5を電線サンプル20の測定領域に押圧することで硬度を測定するゴム硬度計1と、電線サンプル20を加圧面6との間で挟持する挟持部122と、加圧面6と挟持部122とを、電線サンプル20を挟持する方向に付勢する付勢機構と、挟持部122における電線サンプル20を挟持する面に設けられた突起部16と、を備え、突起部16は、その中心軸が電線サンプル20を挟持した状態での押針5の中心軸と一致する位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線劣化診断装置に係り、特に、表面硬度を指標として電線やケーブルなどの劣化を非破壊的に診断する電線劣化診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線等のケーブルの劣化を非破壊的に診断する方法として、ケーブル表面の絶縁体またはシースの表面硬度を利用する方法が知られている。この方法では、ケーブル表面の表面硬度を超音波や反発力を用いて測定し、同仕様の新しいケーブルのそれと比較することにより劣化の度合いを診断する。
【0003】
例えば、特許文献1には、電線・ケーブルの表面に向けて衝撃体を衝突させ、その衝撃体の衝突直前の速度と反発直後の速度との関係からシースの表面硬度を測定する装置が開示されている。この装置のように、ケーブルの反発力を用いるタイプの硬度計では、硬度計の測定部とケーブルとの接触条件(位置、角度、押圧力等)を同条件にしないと測定結果にバラツキが生じてしまう。そこで、この装置では、ケーブルを所望の位置に固定するために硬度測定用治具を用いていることとしている。具体的には、この硬度測定用治具は、対向する把持溝を有する把持部と、把持溝間に電線・ケーブルを配置させたときこれを常時把持方向に付勢する付勢部材とを具備し、把持部には、硬度計の衝撃体収容部材の端部を固定する固定部と、衝撃体が通過可能な通過孔とが設けられている。このような治具構成によれば、衝撃体とケーブルとの接触条件のバラツキが抑制される。
【0004】
また、特許文献2には、ケーブル被覆材の劣化診断装置に用いられる探触子固定具が開示されている。この探触子固定具では、丸型のケーブルを載せるために、該ケーブルの長手方向と平行な2本のローラからなるケーブル支持体が設置されている。この固定具によれば、ケーブルをケーブル支持体の上に配置したときに、探触子をケーブル中心に向かう角度でケーブルの外周に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3014947号公報
【特許文献2】特開平10−54827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の装置における硬度測定用治具では、ケーブルの形状によっては測定部とケーブルとの接触条件のバラツキが大きくなる。すなわち、上記従来の硬度測定用治具では、丸型形状のケーブルでは常にケーブル中心付近が測定部と接触するが、平型形状のケーブルでは、そのケーブル接触面の僅かな傾きによって接触条件にバラツキが発生する。このため、劣化等によって非対称に変形した平型ケーブル等を上記従来の硬度測定用治具の固定方法で固定する場合には、ケーブルの表面硬度を精度よく測定できないおそれがある。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、簡易な構成で電線等のケーブル表面の硬度を精度よく測定することのできる電線劣化診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電線劣化診断装置は、平坦な加圧面と、加圧面から突出して設けられた押針とを有し、押針を測定対象電線の測定領域に押圧することで硬度を測定するゴム硬度計と、測定対象電線を加圧面との間で挟持する挟持部と、加圧面と挟持部とを、前記測定対象電線を挟持する方向に付勢する付勢機構と、挟持部における測定対象電線を挟持する面に設けられた突起部と、を備え、突起部は、その中心軸が測定対象電線を挟持した状態での押針の中心軸と一致する位置に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電線劣化診断装置によれば、簡易な構成で電線等のケーブル表面の硬度を精度よく測定することのできるので、電線の劣化診断の信頼度が向上するばかりでなく、幅広く使用されることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1で用いるゴム硬度計の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1で用いる電線劣化診断装置を示す概略図である。
【図3】測定サンプルとしての電線の一例を示す図であって、図中(A)は電線の側面図を、(B)は断面図をそれぞれ示している。
【図4】ゴム硬度計を用いて電線サンプルの硬度を測定する方法を説明するための図であって、図中(A)は硬度測定前の状態を、(B)は硬度測定中の状態を、それぞれ示している。
【図5】電線劣化診断装置を用いて電線サンプルの硬度を測定する前の状態を示す図である。
【図6】電線劣化診断装置に電線サンプルを配置した状態を示す図である。
【図7】電線劣化診断装置を用いて電線サンプルの硬度を測定している状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1で用いる電線劣化診断装置の変形例を説明するための図である。
【図9】本評価試験で実施される絶縁抵抗値の測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
[本実施の形態の構成]
先ず、図1を参照して本実施の形態で用いるゴム硬度計の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1で用いるゴム硬度計1の概略を示す図である。この図に示すとおり、ゴム硬度計1は、硬度を示す文字盤2と、取り付け部3と、接触板4と、測定ツールとしての押針5と、から構成されている。接触板4は、測定するサンプルに当てる平坦な加圧面6を有しており、該加圧面6の中央部付近から押針5が突出するように設けられている。このようなゴム硬度計1としては、例えば、高分子計器(株)製のAL型ゴム硬度計を用いることができる。
【0013】
次に、図2を参照して、本実施の形態の電線劣化診断装置の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態1で用いる電線劣化診断装置10を示す概略図である。この図に示すとおり、電線劣化診断装置10は、クランク型に形成された板材として、第1の部材11と第2の部材12とを備えている。第1の部材11と第2の部材12とは互いに交差するように配置され、その交差部はピン13によって回動自在に接合されている。このような構成によれば、第1の部材11および第2の部材12の一端側に外力を入力することで、他端側を動作させることができる。以下の説明では、第1の部材11および第2の部材12における外力入力側を入力部111および121と称し、他端側を挟持部112および122と称することとする。
【0014】
本実施の形態の電線劣化診断装置10は、ゴム硬度計1を備えている。ゴム硬度計1は、その取り付け部3が第1の部材11の挟持部112に固定されることにより、加圧面6が第2の部材12の挟持部122と対向するように配設される。また、第2の部材12の挟持部122には、測定対象電線を所定の測定位置に配置するためのガイド部14が設置されている。ガイド部14は、測定対象電線の幅方向の位置決めを行うための突起物であって、押針5の中心軸Cを中心として電線幅の溝が形成されるように設けられている。
【0015】
第1の部材11の入力部111と第2の部材12の入力部121との間にはスプリング15が取り付けられている。スプリング15は、加圧面6と挟持部122とを測定対象電線が挟持される方向に常時付勢するためのものである。このため、この図に示すとおり、外力を装置に入力しない状態においては、加圧面6とガイド部14の上面とが接触した状態に維持される。
【0016】
また、第2の部材12の挟持部122には、球状の先端形状を有する突起部16が設置されている。突起部16は、その中心軸が測定対象電線を挟持した状態での押針5の中心軸Cと一致する位置に設置されている。突起部16の高さおよびガイド部14の高さは、測定対象電線を挟持した場合に該電線の測定面がガイド部14よりも若干高くなり、且つ測定対象電線を配置していない場合に押針5と突起部16とが接触しない高さに設定されている。
【0017】
[本実施の形態の特徴的動作]
次に、図3乃至図7を参照して、本実施の形態の電線劣化診断装置10の特徴的動作について説明する。本実施の形態では、上記電線劣化診断装置10を用いて電線の硬度を測定する。図3は、測定サンプルとしての電線の一例を示す図である。尚、この図中の(A)は、サンプルとしての電線の側面図を、(B)は(A)に示す電線を延在方向に垂直な方向に切断した場合の断面図を、それぞれ示している。この図に示すとおり、電線サンプル20は、銅線21を各色(白、赤、黒)の絶縁層22で被覆した導線を、さらに塩化ビニルなどの絶縁性のシース層23で被覆して構成されている。一般に、電線に電極端子などを接続する際には、図2中の(A)のように、端部の絶縁層22およびシース層23を剥いて、銅線21と電極端子とを接続して用いる。以下、測定対象電線として電線サンプル20を用いて説明するが、電線劣化診断装置10で硬度測定が可能な電線はこれに限られない。
【0018】
次に、図4を参照して、本実施の形態の電線劣化診断装置10で用いるゴム硬度計1の基本動作について説明する。図4は、ゴム硬度計1を用いて電線サンプル20の硬度を測定する方法を説明するための図である。尚、この図中(A)は硬度測定前の状態を、(B)は硬度測定中の状態を、それぞれ示している。この図に示すとおり、硬度を測定する際には、ゴム硬度計1の押針5の先端で電線サンプル20の測定面(シース層23)を押圧する。この際、押針5の中心軸が電線サンプル20の測定面に対して垂直となる方向(すなわち図中の矢印Fの方向)に押圧する。そして、ゴム硬度計1の加圧面6が電線サンプル20の測定面と接触した時点で文字盤2の針が示す値を、その測定部の硬度として取得する。尚、ゴム硬度計1の内部には、JIS K6253に準拠したバネ定数を有するスプリングが内蔵されており、このスプリングに対する反発力を硬度と定義している。ゴム硬度計1は、JIS K6253に従って、異なるゴム硬度のサンプルを測定できるが、シース表面硬さの点からはA型、またはAL型が望ましい。また、電線サンプル20のシース層23の硬度は一般に78〜84で、熱や紫外線、酸化や湿度の影響でシース層23が硬化した場合は、90以上となる。
【0019】
次に、本実施の形態の電線劣化診断装置10を用いて電線サンプル20の表面硬度を測定する方法について説明する。図5は、電線劣化診断装置10を用いて電線サンプル20の硬度を測定する前の状態を示す図である。電線サンプル20の硬度を測定する際には、先ず、この図に示すとおり、挟持部112と122とが離反するように図中のT方向に外力を加える。これにより、挟持部122のガイド部14に接していたゴム硬度計1の加圧面6が上方へと移動する。
【0020】
次に、電線サンプル20を配置する。図6は、電線劣化診断装置10に電線サンプル20を配置した状態を示す図である。この図に示すとおり、挟持部122におけるガイド部14の間に電線サンプル20が配置される。これにより、電線サンプル20は、その下面が突起部16で支持されるとともに、電線の側面がガイド部14により支持される。尚、上述したとおり、電線サンプル20の上面(測定面)は、ガイド部14よりも若干高くなる。これにより、電線サンプル20の幅方向の位置決めを行いつつ、測定時に加圧面6を電線サンプル20の上面に有効に接触させることが可能となる。
【0021】
次に、電線サンプル20の硬度を測定する。図7は、電線劣化診断装置10を用いて電線サンプル20の硬度を測定している状態を示す図である。この図に示すとおり、入力部111,112に加えていた外力を抜くと、ゴム硬度計1が電線サンプル20に向かって降下し、押針5が電線サンプル20の上面(測定面)を押圧するとともに、加圧面6が電線サンプル20の上面(測定面)に接触する。電線サンプル20はその下面が突起部16によって一点支持されている。このため、電線サンプル20の測定面は、加圧面6に密着する方向(すなわち加圧面6と平行になる方向)にその向きが補正される。これにより、常に同じ条件で電線サンプル20の測定面に押針5を押圧させることができるので、測定バラツキが有効に抑制される。このように、本実施の形態の電線劣化診断装置10によれば、平型の電線や劣化等により変形した電線であっても、高精度に硬度を測定することができる。
【0022】
ところで、上述した実施の形態1では、第1の部材11および第2の部材12として板材を用いることとしているが、これらの部材は板である必要ははく、測定に問題ない強度を有する線材を折り曲げ加工や溶接することで同様の機能を持たせてもよい。これにより、軽量化および小型化を図ることが可能となるため、より使い勝手のよい電線劣化診断装置を提供することが可能となる。
【0023】
また、上述した実施の形態1では、第1の部材11と第2の部材12とを交差させてピン13で結合することとしているが、電線劣化診断装置10としての構成はこれに限られない。図8は、本発明の実施の形態1で用いる電線劣化診断装置の変形例を説明するための図である。この図に示す装置では、第1の部材11と第2の部材12とは、交差せずにピン13で結合されている。また、スプリング15は、加圧面6と挟持部122とを測定対象電線が挟持される方向、すなわち入力部121と122とを離反する方向に常に付勢するためのものが使用される。このように構成された電線劣化診断装置によれば、入力部121と入力部122とを手で握る動作で該装置の挟持部112,122を離反させることができるので、使い勝手が向上する。
【0024】
[評価実験]
次に、本実施の形態1の電線劣化診断装置10を用いた評価実験について説明する。本評価試験では、ゴム硬度計1として、高分子計器(株)製のAL型ゴム硬度計を用いた。また、電線サンプル20としては、矢崎電線工業(株)製の塩化ビニル被覆、塩化ビニルシース電線、銅線7の径φ1.6mm、絶縁層8の色が、端から赤(R)、白(W)および黒(B)の3芯で、シース9が灰色のものを用意し、シース9の長さを20cm、両端部の絶縁層8の長さを3cm、銅線7の長さを1cmとなるように切断したものを18本作成した。本実施の形態1の電線劣化診断装置10を用いて電線サンプル20の硬度を測定した結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
表1に示す結果より、シース9の表面硬度は79〜81と測定された。一方、比較例として、本発明の電線劣化診断装置10を用いずに、ゴム硬度計1を直接手で保持して同様の測定を行った。ここでは、具体的には、テーブル上に電線サンプルを置き、ゴム硬度計1の押針5を同サンプルのシース表面に手動で押し当てて測定した。比較例の測定結果を表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
表2に示す結果より、シース9の表面硬度は、72〜81とバラツキが大きくなり、特に低めの硬度が多数測定された。これは、電線サンプルが比較的軟らかく、また一様に平坦な形状ではないために、押針5をシース表面に対して常に同条件で接触させることができないことが原因と推測される。以上により、本発明の電線劣化診断装置10が、測定バラツキ少なく、高精度に電線サンプルの表面硬度を測定できることが示された。
【0029】
次に、電線サンプル20を8本用意し、100℃に設定した高温槽の中で0、100、250、および1000時間保持した後の表面硬度および絶縁抵抗値を測定した。尚、絶縁抵抗値は、電線の劣化度を示す指標として使用することができる。これは、熱や紫外線、湿度や酸化などで絶縁層またはシースが硬化する際、絶縁性能も低下し、絶縁抵抗値が低下するからである。本評価試験において、電線サンプル20の絶縁抵抗値は、以下の方法で測定した。図9は、本評価試験で実施される絶縁抵抗値の測定方法を説明するための図である。この図に示すとおり、今回の測定では、電線サンプル20の一端側の赤線(R)と他端側の白線(W)とを接続し、絶縁抵抗計(例えば、ヒューレットパッカード(株)製 4339A)を用いて、所定プローブで前記銅線部を挟んで電圧をかけることにより測定した。尚、電圧は500Vとし、測定時間をロングモードにセットして、測定開始後30秒後の絶縁抵抗値R1を測定した。測定結果を、それぞれ表3、表4、表5、および表6に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

【0033】
【表6】

【0034】
表3乃至表6に示す結果より、電線の硬度は熱処理時間の増加に伴い上昇するが、硬度が94以上になると絶縁抵抗が顕著に低下することがわかる。以上より、本発明によって、電線サンプルのシース表面硬度の測定精度が向上し、これによって電線の劣化度も高精度に推定できることが示された。
【0035】
実施の形態2.
本実施の形態2では、上述した実施の形態1で示した電線劣化診断装置10を、板材ではなく、線材を曲げたり溶接することにより作製し、同様の評価試験を行った。その結果、電線サンプル20の硬度測定結果は、実施の形態1で得られたものと全く同様となった。本実施の形態2の電線劣化診断装置10では、装置の重量が軽くなったことから、電線サンプル20をセットする時間を短縮することが可能となり、その効果は、電線サンプルを20本測定するのに要する時間を約1/2まで短縮することができた。以上より、装置重量を軽くすることにより、測定精度の向上を図りつつ作業効率を有効に高めることができることが示された。
【0036】
実施の形態3.
本実施の形態3では、上記実施の形態2で行った評価試験を、電線サンプルの種類を増やして実施した。その例として、同じ矢崎電線製の銅線径がφ2.0mmの3芯線、古河電工、住電日立の同様のφ2.0mmの3芯線と4芯線、さらに、シース材を塩化ビニルだけでなく、エコ電線(各社各様で材料等詳細不明)、ゴム、架橋ポリエステルなど変えて実施した。さらに、電線サンプルの処理条件を、85℃高温放置、85℃、85%RHの高温高湿処理などに変えて、同様の評価を行った。
【0037】
その結果、シース材のゴム硬度と絶縁抵抗値との関係は、硬度が90以上の場合に、絶縁抵抗値が10−11以下になっていることを確認した。この結果から、シース材のゴム硬度が90以上の場合にNGと判定することで、劣化している電線と判定できることが示された。また、実際に工事現場で、シース材の表面硬度と絶縁抵抗との関係について調査を行った結果、同様の結果を得た。このように、電線の硬度は劣化の程度に密接に関連している。したがって、各種電線毎にNGを判定すべき硬度を予め特定しておき、測定した硬度が特定された所定値よりも高いか否かを判定する劣化診断手段を備えることで、電線の劣化有無を精度よく判定することができる。
【0038】
本発明をベースに、例えばゴム硬度計1の押針5の形状を、表面を平坦化し、電線の径以下の径とすることにより、さらに高信頼化が可能である。すなわち、ゴム硬度計1は現段階ではJISで、押針5の形状や、内蔵されているバネの強度(バネ定数)が規定されており、電線のシースや絶縁層の硬化度によっては適当でない状態になるが、押針5の形状や内蔵されているバネ定数を使用電線に応じて変えることにより、高信頼化が可能となる。しかし、現段階ではJIS規格から外れるため、データの汎用性から考えると、A型、またはAL型が最も望ましい。
【符号の説明】
【0039】
1 ゴム硬度計
5 押針
6 加圧面
11 第1の部材(付勢機構)
12 第2の部材(付勢機構)
122 挟持部
13 ピン(付勢機構)
14 ガイド部
15 スプリング(弾性部材,付勢機構)
16 突起部
20 電線サンプル(測定対象電線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な加圧面と、前記加圧面から突出して設けられた押針とを有し、前記押針を測定対象電線の測定領域に押圧することで硬度を測定するゴム硬度計と、
前記測定対象電線を前記加圧面との間で挟持する挟持部と、
前記加圧面と前記挟持部材とを、前記測定対象電線を挟持する方向に付勢する付勢機構と、
前記挟持部における前記測定対象電線を挟持する面に設けられた突起部と、を備え、
前記突起部は、その中心軸が前記測定対象電線を挟持した状態での前記押針の中心軸と一致する位置に配置されていることを特徴とする電線劣化診断装置。
【請求項2】
前記付勢機構は、
一端側に前記ゴム硬度計が配設され、他端側に外力を入力するための入力部を備えた第1の部材と、
一端側に前記挟持部が配設され、他端側に外力を入力するための入力部を備えた第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材とを回動自在に連結するピンと、
前記第1の部材と前記第2の部材とを前記測定対象電線を挟持する方向に付勢する弾性部材と、
を含むことを特徴とする請求項1記載の電線劣化診断装置。
【請求項3】
前記挟持部に設けられ、前記測定対象電線の幅方向の位置決めを行うガイド部を更に備え、前記ガイド部の高さは、前記測定対象電線を挟持したときに前記加圧面と接触しない高さに設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の電線劣化診断装置。
【請求項4】
前記電線劣化診断装置は、大きさ、重量、および強度が、片手で操作可能な範囲に調整されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の電線劣化診断装置。
【請求項5】
前記ゴム硬度計で測定された硬度が所定値よりも高い場合に、前記測定対象電線が劣化していることを判定する劣化診断手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の電線劣化診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−78283(P2012−78283A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225600(P2010−225600)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】