電線接続用具
【課題】電線を簡単に接続することができ、作業性に優れた電線接続用具を提供する。
【解決手段】両端部近傍に窓部１４を有する導電性スリーブ１２と、両端部近傍にスリーブの窓部と連通する窓部１８を有し、スリーブの外周面を覆う絶縁カバー１６と、一端２４がスリーブに固定され、他端が自由端２６とされているとともに、頂部２８がカバーの窓部から外方に突出した導体接続部材２２と、カバーの中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分より内方に位置し、カバーの両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材を内方に押し込む２個の絶縁スライドリング３０と、両スライドリングがカバーの両端部に位置するときに、両スライドリング間においてカバーに装着される絶縁リングストッパーとを具備する電線接続用具１０とする。
【解決手段】両端部近傍に窓部１４を有する導電性スリーブ１２と、両端部近傍にスリーブの窓部と連通する窓部１８を有し、スリーブの外周面を覆う絶縁カバー１６と、一端２４がスリーブに固定され、他端が自由端２６とされているとともに、頂部２８がカバーの窓部から外方に突出した導体接続部材２２と、カバーの中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分より内方に位置し、カバーの両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材を内方に押し込む２個の絶縁スライドリング３０と、両スライドリングがカバーの両端部に位置するときに、両スライドリング間においてカバーに装着される絶縁リングストッパーとを具備する電線接続用具１０とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電線を接続するための電線接続用具に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電線を接続するための電線接続用具として、略円筒状の金属製圧着スリーブが使用されている（例えば、非特許文献１参照）。この圧着スリーブを用いて電線を接続する場合、電線の導体をスリーブ内に挿入し、次いで専用の圧着工具を用いてスリーブを変形させることにより、導体とスリーブとを圧着させた後、スリーブに絶縁テープを巻き付けることなどにより、スリーブの絶縁を行うものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００３】
【非特許文献１】http://www.asahi-net.or.jp/~yl1h-nkmr/parts/atyaku.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、前述した圧着スリーブは、圧着工具によりスリーブを変形させてスリーブに導体を固定した後、スリーブに絶縁テープを巻き付けることなどによりスリーブの絶縁を行うものであるため、電線の接続作業が面倒で、作業性が悪いものであった。
【０００５】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、電線を簡単に接続することができ、作業性に優れた電線接続用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、前記目的を達成するため、
両端部近傍に窓部を有する略円筒状の導電性スリーブと、
両端部近傍に前記スリーブの窓部と連通する窓部を有するとともに、両端部に外方に突出するフランジ部を有し、前記スリーブの外周面を覆う略円筒状の絶縁カバーと、
断面略山型の導電性物質製板バネからなり、一端が前記スリーブに固定され、他端が自由端とされているとともに、頂部が前記カバーの窓部から外方に突出し、前記スリーブに電線の導体を電気的に接続する導体接続部材と、
前記カバーの外周面の軸方向の一部を覆い、前記カバーの軸方向にスライド可能であって、カバーの中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分より内方に位置し、カバーの両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分を押圧して両導体接続部材を内方に押し込む２個の略円筒状の絶縁スライドリングと、
前記両スライドリングが前記カバーの両端部に位置するときに、両スライドリング間においてカバーに装着される断面円弧状の絶縁リングストッパーとを具備し、
前記両スライドリングを前記導体接続部材の突出部分より内方に位置させた状態で、前記スリーブ内にその両端開口部から電線の導体を挿入し、次いで前記両スライドリングを前記カバーの両端部にスライドさせて両導体接続部材の自由端とスリーブの内周壁との間に前記導体を挟持することにより、前記導体をスリーブに電気的に接続した後、前記リングストッパーをカバーに装着することを特徴とする電線接続用具を提供する。
【０００７】
本発明の電線接続用具は、上述した構成としたことにより、スリーブ内に電線の導体を挿入し、次いで両スライドリングをカバーの両端部にスライドさせることにより、導体接続部材で電線の導体をスリーブに接続した後、リングストッパーをカバーに装着するだけで、電線を簡単に接続することができ、そのため作業性に優れている。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の電線接続用具は、電線を簡単に接続することができ、作業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】本発明に係る電線接続用具の一実施形態を示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【図２】図１の電線接続用具の導電性スリーブおよびそれに固定された導体接続部材を示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【図３】図１の電線接続用具の絶縁カバーを示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【図４】図１の電線接続用具の絶縁スライドリングを示すもので、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図５】図１の電線接続用具の絶縁リングストッパーを示すもので、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図６】図１の電線接続用具の絶縁スライドリングをカバーの両端部にスライドさせた状態を示す平面図である。
【図７】（ａ）は図１の電線接続用具において絶縁リングストッパーを絶縁カバーに装着する状態を示す側面図、（ｂ）は図１の電線接続用具において絶縁リングストッパーを絶縁カバーに装着した状態を示す正面図である。
【図８】図１の電線接続用具によって電線を接続した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図１は本発明に係る電線接続用具の一実施形態を示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【００１１】
本例の電線接続用具１０において、１２は最内層をなす導電性スリーブである。スリーブ１２は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼等の金属や、導電性樹脂などの導電性物質（本例では、具体的にはアルミニウムを使用。）により形成された略円筒状のもので、図２に示すように、両端部近傍にそれぞれ長辺が軸方向に沿った長方形の窓部１４が形成されている。
【００１２】
本例の電線接続用具１０において、１６は導電性スリーブ１２の外周面を覆う絶縁カバーである。カバー１６は、絶縁性樹脂などの絶縁性物質（本例では、具体的にはポリカーボネートを使用。）により形成された略円筒状のもので、図３に示すように、両端部近傍にそれぞれスリーブ１２の窓部１４と連通する窓部１８を有し、両窓部１４、１８はほぼ同形状に形成されている。また、カバー１６は、両端部に外方に突出するフランジ部２０を有し、このフランジ部２０によって後述するスライドリング３０がカバー１６から外れることが防止されるようになっている。
【００１３】
本例の電線接続用具１０において、２２はスリーブ１２に取り付けられた導体接続部材である。導体接続部材２２は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼等の金属などの導電性物質（本例では、具体的には鋼板を使用。）により形成された断面略山型の板バネからなり、一端２４がスリーブ１２に固定され、他端が自由端２６とされているとともに、頂部２８を含む中間部分がカバー１６の窓部１８より外方に突出している。両導体接続部材２２は、後述するように、スリーブ１２に電線の導体を電気的に接続する機能を有する。なお、導体接続部材２２を形成する材料は、バネ性を要求されないので、電線の導体と同じ材料でもよく、また、導電率が良く、機械的強度を有するものであれば、導電性樹脂でもよい。
【００１４】
本例の電線接続用具１０において、３０はそれぞれカバー１６の外周面の軸方向の一部を覆う略円筒状の２個の絶縁スライドリングであり、各スライドリング３０の軸方向長さは、カバー１６のフランジ部２０を除いた部分の軸方向長さの１／３〜１／５程度である。図４（ａ）はスライドリング３０の正面図、（ｂ）は側面図である。スライドリング３０は、絶縁性樹脂などの絶縁性物質（本例では、具体的にはポリカーボネートを使用。）により形成された略円筒状のもので、それぞれカバー１６の軸方向にスライド可能である。両スライドリング３０は、カバー１６の中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材２２の突出部分より内方に位置し、カバー１６の両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材２２の突出部分を押圧して両導体接続部材２２を内方に押し込むようになっている。
【００１５】
本例の電線接続用具１０において、３２は絶縁リングストッパーであり、このリングストッパー３２の軸方向長さは、両スライドリング３０がカバー１６の両端部に位置するときの両スライドリング３０間の距離とほぼ等しい（図７参照）。図５（ａ）はリングストッパー３２の正面図、（ｂ）は側面図である。リングストッパー３２は、絶縁性樹脂などの絶縁性物質（本例では、具体的にはポリカーボネートを使用。）により形成された断面円弧状のもので、その断面円弧長は、半円の円弧長よりも若干大きく形成されている。リングストッパー３２は可撓性を有し、外周面の開口部３４からリングストッパー３２内にカバー１６を押し込むと、上記開口部３４の幅が広がってリングストッパー３２内にカバー１６が入り、その後上記開口部３４の幅が元の状態に復帰することにより、リングストッパー３２内にカバー１６が収納されるようになっている。リングストッパー３２は、両スライドリング３０がカバー１６の両端部に位置するときに、両スライドリング３０間においてカバー１６に装着されるものである。
【００１６】
本例の電線接続用具７０を用いた電線の接続は、下記（１）〜（３）の手順で行う。なお、電線の種類に特に限定はない。
（１）両スライドリング３０を導体接続部材２２の突出部分より内方に位置させた状態（図１の状態）で、被覆を取り除いた一方の電線４０の導体４２および他方の電線４４の導体４６をスリーブ１２内にその両端部から挿入する（図８参照）。
（２）図６に示すように、両スライドリング３０をそれぞれカバー１６の両端部にスライドさせる。これにより、両スライドリング３０が、両導体接続部材２２の突出部分を押圧して両導体接続部材２２を内方に押し込み、両導体接続部材２２の自由端２６とスリーブ１２の内周壁との間に導体４２、４６が挟持され、導体４２、４６がスリーブ１２に電気的に接続される。なお、カバー１６のフランジ部２０に両スライドリング３０が当接するため、両スライドリング３０がカバー１６から外れることはない。
（３）図７に示すように、リングストッパー３２の開口部３４をカバー１６の両スライドリング３０間の部分に押し付け、さらにリングストッパー３２を押し込む。これにより、リングストッパー３２の可撓性によって開口部３４が広がり、カバー１６が開口部３４からリングストッパー３２内に入って、カバー１６にリングストッパー３２が装着される。その結果、図８に示すように、両スライドリング３０がカバー１６の両端部に位置決めされ、両導体接続部材２２の自由端２６とスリーブ１２の内周壁との間に導体４２、４６が挟持された状態が維持されるため、導体４２、４６とスリーブ１２との接続が解除されることが防止されるとともに、スリーブ１２、導体接続部材２２、導体４２、４６が電気的に絶縁される。
【００１７】
以上のように、本実施形態の電線接続用具は、スリーブ内に電線の導体を挿入し、次いで両スライドリングをカバーの両端部にスライドさせた後、リングストッパーをカバーに装着するだけで、電線を簡単に接続することができるため、作業性に優れている。
【００１８】
なお、本発明の電線接続用具は、上記実施形態に限定されるものではなく、導電性スリーブ、絶縁カバー、導体接続部材、絶縁スライドリング、絶縁リングストッパーの材質、形状、構造等は適宜設定することが可能である。
【符号の説明】
【００１９】
１０ 電線接続用具
１２ 導電性スリーブ
１４ 窓部
１６ 絶縁カバー
１８ 窓部
２０ フランジ部
２２ 導体接続部材
２４ 一端
２６ 自由端
３０ 絶縁スライドリング
３２ リングストッパー
３４ 開口部
４０、４４ 電線
４２、４６ 導体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電線を接続するための電線接続用具に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電線を接続するための電線接続用具として、略円筒状の金属製圧着スリーブが使用されている（例えば、非特許文献１参照）。この圧着スリーブを用いて電線を接続する場合、電線の導体をスリーブ内に挿入し、次いで専用の圧着工具を用いてスリーブを変形させることにより、導体とスリーブとを圧着させた後、スリーブに絶縁テープを巻き付けることなどにより、スリーブの絶縁を行うものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００３】
【非特許文献１】http://www.asahi-net.or.jp/~yl1h-nkmr/parts/atyaku.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、前述した圧着スリーブは、圧着工具によりスリーブを変形させてスリーブに導体を固定した後、スリーブに絶縁テープを巻き付けることなどによりスリーブの絶縁を行うものであるため、電線の接続作業が面倒で、作業性が悪いものであった。
【０００５】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、電線を簡単に接続することができ、作業性に優れた電線接続用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、前記目的を達成するため、
両端部近傍に窓部を有する略円筒状の導電性スリーブと、
両端部近傍に前記スリーブの窓部と連通する窓部を有するとともに、両端部に外方に突出するフランジ部を有し、前記スリーブの外周面を覆う略円筒状の絶縁カバーと、
断面略山型の導電性物質製板バネからなり、一端が前記スリーブに固定され、他端が自由端とされているとともに、頂部が前記カバーの窓部から外方に突出し、前記スリーブに電線の導体を電気的に接続する導体接続部材と、
前記カバーの外周面の軸方向の一部を覆い、前記カバーの軸方向にスライド可能であって、カバーの中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分より内方に位置し、カバーの両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分を押圧して両導体接続部材を内方に押し込む２個の略円筒状の絶縁スライドリングと、
前記両スライドリングが前記カバーの両端部に位置するときに、両スライドリング間においてカバーに装着される断面円弧状の絶縁リングストッパーとを具備し、
前記両スライドリングを前記導体接続部材の突出部分より内方に位置させた状態で、前記スリーブ内にその両端開口部から電線の導体を挿入し、次いで前記両スライドリングを前記カバーの両端部にスライドさせて両導体接続部材の自由端とスリーブの内周壁との間に前記導体を挟持することにより、前記導体をスリーブに電気的に接続した後、前記リングストッパーをカバーに装着することを特徴とする電線接続用具を提供する。
【０００７】
本発明の電線接続用具は、上述した構成としたことにより、スリーブ内に電線の導体を挿入し、次いで両スライドリングをカバーの両端部にスライドさせることにより、導体接続部材で電線の導体をスリーブに接続した後、リングストッパーをカバーに装着するだけで、電線を簡単に接続することができ、そのため作業性に優れている。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の電線接続用具は、電線を簡単に接続することができ、作業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】本発明に係る電線接続用具の一実施形態を示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【図２】図１の電線接続用具の導電性スリーブおよびそれに固定された導体接続部材を示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【図３】図１の電線接続用具の絶縁カバーを示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【図４】図１の電線接続用具の絶縁スライドリングを示すもので、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図５】図１の電線接続用具の絶縁リングストッパーを示すもので、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図である。
【図６】図１の電線接続用具の絶縁スライドリングをカバーの両端部にスライドさせた状態を示す平面図である。
【図７】（ａ）は図１の電線接続用具において絶縁リングストッパーを絶縁カバーに装着する状態を示す側面図、（ｂ）は図１の電線接続用具において絶縁リングストッパーを絶縁カバーに装着した状態を示す正面図である。
【図８】図１の電線接続用具によって電線を接続した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図１は本発明に係る電線接続用具の一実施形態を示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。
【００１１】
本例の電線接続用具１０において、１２は最内層をなす導電性スリーブである。スリーブ１２は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼等の金属や、導電性樹脂などの導電性物質（本例では、具体的にはアルミニウムを使用。）により形成された略円筒状のもので、図２に示すように、両端部近傍にそれぞれ長辺が軸方向に沿った長方形の窓部１４が形成されている。
【００１２】
本例の電線接続用具１０において、１６は導電性スリーブ１２の外周面を覆う絶縁カバーである。カバー１６は、絶縁性樹脂などの絶縁性物質（本例では、具体的にはポリカーボネートを使用。）により形成された略円筒状のもので、図３に示すように、両端部近傍にそれぞれスリーブ１２の窓部１４と連通する窓部１８を有し、両窓部１４、１８はほぼ同形状に形成されている。また、カバー１６は、両端部に外方に突出するフランジ部２０を有し、このフランジ部２０によって後述するスライドリング３０がカバー１６から外れることが防止されるようになっている。
【００１３】
本例の電線接続用具１０において、２２はスリーブ１２に取り付けられた導体接続部材である。導体接続部材２２は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼等の金属などの導電性物質（本例では、具体的には鋼板を使用。）により形成された断面略山型の板バネからなり、一端２４がスリーブ１２に固定され、他端が自由端２６とされているとともに、頂部２８を含む中間部分がカバー１６の窓部１８より外方に突出している。両導体接続部材２２は、後述するように、スリーブ１２に電線の導体を電気的に接続する機能を有する。なお、導体接続部材２２を形成する材料は、バネ性を要求されないので、電線の導体と同じ材料でもよく、また、導電率が良く、機械的強度を有するものであれば、導電性樹脂でもよい。
【００１４】
本例の電線接続用具１０において、３０はそれぞれカバー１６の外周面の軸方向の一部を覆う略円筒状の２個の絶縁スライドリングであり、各スライドリング３０の軸方向長さは、カバー１６のフランジ部２０を除いた部分の軸方向長さの１／３〜１／５程度である。図４（ａ）はスライドリング３０の正面図、（ｂ）は側面図である。スライドリング３０は、絶縁性樹脂などの絶縁性物質（本例では、具体的にはポリカーボネートを使用。）により形成された略円筒状のもので、それぞれカバー１６の軸方向にスライド可能である。両スライドリング３０は、カバー１６の中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材２２の突出部分より内方に位置し、カバー１６の両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材２２の突出部分を押圧して両導体接続部材２２を内方に押し込むようになっている。
【００１５】
本例の電線接続用具１０において、３２は絶縁リングストッパーであり、このリングストッパー３２の軸方向長さは、両スライドリング３０がカバー１６の両端部に位置するときの両スライドリング３０間の距離とほぼ等しい（図７参照）。図５（ａ）はリングストッパー３２の正面図、（ｂ）は側面図である。リングストッパー３２は、絶縁性樹脂などの絶縁性物質（本例では、具体的にはポリカーボネートを使用。）により形成された断面円弧状のもので、その断面円弧長は、半円の円弧長よりも若干大きく形成されている。リングストッパー３２は可撓性を有し、外周面の開口部３４からリングストッパー３２内にカバー１６を押し込むと、上記開口部３４の幅が広がってリングストッパー３２内にカバー１６が入り、その後上記開口部３４の幅が元の状態に復帰することにより、リングストッパー３２内にカバー１６が収納されるようになっている。リングストッパー３２は、両スライドリング３０がカバー１６の両端部に位置するときに、両スライドリング３０間においてカバー１６に装着されるものである。
【００１６】
本例の電線接続用具７０を用いた電線の接続は、下記（１）〜（３）の手順で行う。なお、電線の種類に特に限定はない。
（１）両スライドリング３０を導体接続部材２２の突出部分より内方に位置させた状態（図１の状態）で、被覆を取り除いた一方の電線４０の導体４２および他方の電線４４の導体４６をスリーブ１２内にその両端部から挿入する（図８参照）。
（２）図６に示すように、両スライドリング３０をそれぞれカバー１６の両端部にスライドさせる。これにより、両スライドリング３０が、両導体接続部材２２の突出部分を押圧して両導体接続部材２２を内方に押し込み、両導体接続部材２２の自由端２６とスリーブ１２の内周壁との間に導体４２、４６が挟持され、導体４２、４６がスリーブ１２に電気的に接続される。なお、カバー１６のフランジ部２０に両スライドリング３０が当接するため、両スライドリング３０がカバー１６から外れることはない。
（３）図７に示すように、リングストッパー３２の開口部３４をカバー１６の両スライドリング３０間の部分に押し付け、さらにリングストッパー３２を押し込む。これにより、リングストッパー３２の可撓性によって開口部３４が広がり、カバー１６が開口部３４からリングストッパー３２内に入って、カバー１６にリングストッパー３２が装着される。その結果、図８に示すように、両スライドリング３０がカバー１６の両端部に位置決めされ、両導体接続部材２２の自由端２６とスリーブ１２の内周壁との間に導体４２、４６が挟持された状態が維持されるため、導体４２、４６とスリーブ１２との接続が解除されることが防止されるとともに、スリーブ１２、導体接続部材２２、導体４２、４６が電気的に絶縁される。
【００１７】
以上のように、本実施形態の電線接続用具は、スリーブ内に電線の導体を挿入し、次いで両スライドリングをカバーの両端部にスライドさせた後、リングストッパーをカバーに装着するだけで、電線を簡単に接続することができるため、作業性に優れている。
【００１８】
なお、本発明の電線接続用具は、上記実施形態に限定されるものではなく、導電性スリーブ、絶縁カバー、導体接続部材、絶縁スライドリング、絶縁リングストッパーの材質、形状、構造等は適宜設定することが可能である。
【符号の説明】
【００１９】
１０ 電線接続用具
１２ 導電性スリーブ
１４ 窓部
１６ 絶縁カバー
１８ 窓部
２０ フランジ部
２２ 導体接続部材
２４ 一端
２６ 自由端
３０ 絶縁スライドリング
３２ リングストッパー
３４ 開口部
４０、４４ 電線
４２、４６ 導体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
両端部近傍に窓部を有する略円筒状の導電性スリーブと、
両端部近傍に前記スリーブの窓部と連通する窓部を有するとともに、両端部に外方に突出するフランジ部を有し、前記スリーブの外周面を覆う略円筒状の絶縁カバーと、
断面略山型の導電性物質製板バネからなり、一端が前記スリーブに固定され、他端が自由端とされているとともに、頂部が前記カバーの窓部から外方に突出し、前記スリーブに電線の導体を電気的に接続する導体接続部材と、
前記カバーの外周面の軸方向の一部を覆い、前記カバーの軸方向にスライド可能であって、カバーの中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分より内方に位置し、カバーの両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分を押圧して両導体接続部材を内方に押し込む２個の略円筒状の絶縁スライドリングと、
前記両スライドリングが前記カバーの両端部に位置するときに、両スライドリング間においてカバーに装着される断面円弧状の絶縁リングストッパーとを具備し、
前記両スライドリングを前記導体接続部材の突出部分より内方に位置させた状態で、前記スリーブ内にその両端開口部から電線の導体を挿入し、次いで前記両スライドリングを前記カバーの両端部にスライドさせて両導体接続部材の自由端とスリーブの内周壁との間に前記導体を挟持することにより、前記導体をスリーブに接続した後、前記リングストッパーをカバーに装着することを特徴とする電線接続用具。
【請求項１】
両端部近傍に窓部を有する略円筒状の導電性スリーブと、
両端部近傍に前記スリーブの窓部と連通する窓部を有するとともに、両端部に外方に突出するフランジ部を有し、前記スリーブの外周面を覆う略円筒状の絶縁カバーと、
断面略山型の導電性物質製板バネからなり、一端が前記スリーブに固定され、他端が自由端とされているとともに、頂部が前記カバーの窓部から外方に突出し、前記スリーブに電線の導体を電気的に接続する導体接続部材と、
前記カバーの外周面の軸方向の一部を覆い、前記カバーの軸方向にスライド可能であって、カバーの中央部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分より内方に位置し、カバーの両端部にスライドさせたときには、両導体接続部材の突出部分を押圧して両導体接続部材を内方に押し込む２個の略円筒状の絶縁スライドリングと、
前記両スライドリングが前記カバーの両端部に位置するときに、両スライドリング間においてカバーに装着される断面円弧状の絶縁リングストッパーとを具備し、
前記両スライドリングを前記導体接続部材の突出部分より内方に位置させた状態で、前記スリーブ内にその両端開口部から電線の導体を挿入し、次いで前記両スライドリングを前記カバーの両端部にスライドさせて両導体接続部材の自由端とスリーブの内周壁との間に前記導体を挟持することにより、前記導体をスリーブに接続した後、前記リングストッパーをカバーに装着することを特徴とする電線接続用具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１０−１９８９０１（Ｐ２０１０−１９８９０１Ａ）
【公開日】平成２２年９月９日（２０１０．９．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−４２２３４（Ｐ２００９−４２２３４）
【出願日】平成２１年２月２５日（２００９．２．２５）
【出願人】（５９１０８６８４３）古河電工産業電線株式会社 (40)
【公開日】平成２２年９月９日（２０１０．９．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年２月２５日（２００９．２．２５）
【出願人】（５９１０８６８４３）古河電工産業電線株式会社 (40)
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