説明

電荷をバランスする有機イオンを含有する粘土および該粘土を含有するナノコンポジット物質

本発明は、電荷をバランスする2以上の有機アニオンを有する層状複水酸化物と、その利用に関する。本発明はさらには、これらの層状複水酸化物を含むナノコンポジット物質と、その利用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷をバランスする2以上の有機アニオンを有する層状複水酸化物,及びその使用に関する。本発明は更に、これら層状複水酸化物を含むナノコンポジット物質、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2種類以上の電荷をバランスする有機アニオンを有する層状複水酸化物(LDH)は従来技術において知られている。例えば、米国特許出願公開第 2003/0114699号明細書には、電荷をバランスする有機アニオンとして3種類の有機アニオンの混合物を有する層状複水酸化物が記されている。特に、ステアリン酸、アクリル酸、および酢酸の混合物を含むヒドロタルサイト様のアニオン性粘土、およびステアリン酸、酢酸、およびヘキサン酸の混合物を含むLDHが記載されている。
【0003】
国際公開第2004/019137号パンフレットには、変性された層状複水酸化物の、例えばトナー樹脂における利用について記されている。これらの変性された層状複水酸化物は、少なくとも2つのアニオン基を持つ電荷をバランスする有機アニオンを含むとして記されている。そのような有機アニオンの例は、セバシン酸のジカルボキシレートである。国際公開第2004/019137号パンフレットにはさらに、電荷をバランスするアニオンとしてセバシン酸とステアリン酸の混合物を持つLDHが記されている。これらの変性されたLDHは粒子の状態において電荷コントロール剤として働くことが記されている。ジカルボキシレートの存在は、粘土の小板間を相互に支え、剥離および層間剥離を非常に困難にし、または不可能にさえする。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0114699号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/019137号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/09599号パンフレット
【非特許文献1】CatalysisToday, 11(1991), pp173〜301
【非特許文献2】Naval Stores, production-chemistry-utilization, 1989, New York, Section II, Chapter 9
【非特許文献3】"Resins, Natural," Chapter 1: "Rosin and Modified Rosins," Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology
【非特許文献4】Solid State Ionics, 1996, 98, pp.73-84
【非特許文献5】"Polypropyrene" Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology
【非特許文献6】brochure 022 PPe 10/01 of Basell "Polypropylene: Textile, Rigid Packaging, Consumer, Film, Automobile, Electrical/Electrronics and HomeAppliances"
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ナノコンポジットにおいてより適切に利用されることのできる変性された層状複水酸化物を提供すること、およびそれらの変性された層状複水酸化物を含有するナノコンポジット物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、 それぞれの層間の距離が1.5nm超であり、8個以上の炭素原子を持つ電荷をバランスする2以上の有機アニオンを有する層状複水酸化物において、該有機アニオンの少なくとも2が異なる炭素数を持ち、該電荷をバランスするアニオンの総量の10%未満が、2以上のアニオン性基を持つ電荷をバランスする有機アニオンである層状複水酸化物によって達成される。従来の有機アニオンを含むLDHと比較して、本発明の層状複水酸化物は一般的に、ポリマーマトリックス中でより容易に剥離および/または層間剥離されやすく、したがってナノコンポジット物質において特に適切に利用されうる。従って、該変性されたLDHはポリマーマトリックス中で容易に加工され、したがってより大量の変性されたLDHが剥離および/または層間剥離されることに帰結しうる。これらのLDHはさらに、これらのナノコンポジット物質を作る工程を、よりエネルギー効率に優れ、かつより安価にする。これらの変性されたLDHのさらなる利点は、電荷をバランスする有機アニオンの混合物が一般的により相容性であり、適当な有機アニオンの組合せを選ぶことにより、ポリマーマトリックスとより相容性になることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書の文中における用語“電荷をバランスする有機アニオン”とは、LDHの結晶性粘土シートの静電気的な電荷欠損の埋め合わせをする有機イオンのことである。粘土が典型的には層状構造を持つため、電荷をバランスする有機イオンは、積層した粘土層の層間、縁または外表面に位置する。積層した粘土層の層間に位置するそのような有機イオンは、インターカレーティングイオンと呼ばれる。
【0007】
そのような積層した粘土または有機粘土はまた、例えばポリマーマトリックス中で剥離または層間剥離されうる。本明細書の文中においては、“層間剥離”という用語は、粘土構造の少なくとも部分的な脱積層により粘土粒子の平均積層度が減少し、従って体積あたりに有意により多くの個々の粘土シートを含む物質に成ることを指す。“剥離”という用語は、完全な層間剥離、すなわち粘土シートに垂直な方向の周期性の消滅を指し、媒体中の個々の層の無作為な分散に至り、それにより積層の秩序が全く残らない。
粘土のインターカレーションとも呼ばれる粘土の膨潤または膨張が、X線回折(XRD)によって観測されうる。なぜならば、基本反射すなわちd(001)反射の位置が、インターカレーションすると距離が増加するところの層間距離の指標であるからである。
平均積層度の減少は、XRD反射のブロードニング(消失まで)、または基本反射(00l)の非対称性の増加により観察される。
【0008】
完全な層間剥離すなわち剥離の評価は未だに分析的な挑戦事項であるが、一般的には元の粘土からの(hk0)でない反射の完全な消失により結論づけられる。
【0009】
層の秩序および、従って層間剥離の程度は、さらに透過型電子顕微鏡(TEM)によって可視化されることができる。
【0010】
電荷をバランスする有機アニオンを有するLDHは次の一般式に従う層状構造を持つ。

式中で、M2+はZn2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Cu2+、Sn2+、Ba2+、Ca2+、Mg2+のような二価の金属イオンであり、M3+はAl3+、Cr3+、Fe3+、Co3+、Mn3+、Ni3+、Ce3+、およびGa3+のような三価の金属イオンであり、mおよびnはm/n=1〜10のような値であり、bは0〜10の範囲の値である。Xは、8以上の炭素原子を有する電荷をバランスする2以上の有機アニオン及び任意的に、ヒドロキシド、カーボネート、ビカーボネート、ナイトレート、クロリド、ブロミド、スルホネート、サルフェイト、ビサルフェイト、バナデート、タングステート、ボレート、およびホスフェイトを包含する任意の他の有機または無機アニオンの組み合わせである。本明細書において、カーボネートおよびビカーボネートアニオンは無機的な性質を有するものと定義される。
【0011】
本発明のLDHは、ヒドロタルサイトおよびヒドロタルサイト様のアニオン性LDHを包含する。そのようなLDHの例は、マイキセネライト、マナッセイト、パイロオーライト、ショグレナイト、スチッヒタイト、バルベロナイト、タコバイト、リーベサイト、およびデソーテルサイトである。
【0012】
本発明の一つの実施様態において、層状複水酸化物は以下の一般式に従う層状構造を持つ。

式中で、mおよびnはm/n=1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは2〜4、さらに最も好ましくは3に近い値を持つ。bは0〜10の値をとり、一般的には2〜6の値をとり、しばしば約4の値を取る。Xは、上記にて定義した様に、電荷をバランスするイオンである。m/nは、2〜4の値、さらに特には3に近い値をとることが好ましい。
【0013】
本LDHは、Cavaniら(Catalysis Today,11(1991), pp173〜301)、あるいはBookinら、(Claysand Clay Minerals, (1993), Vol. 41(5), PP558-564)により記されているように、3H1、3H、3R1、3R2積層のような、従来知られている任意の結晶構造を取りうる。
【0014】
本LDH中の個々の粘土層間の距離は、一般的に、電荷をバランスするイオンとしてカーボネートのみを含むLDHの層間距離よりも大きい。好ましくは、本発明に従うLDH中の層間距離は、少なくとも1.5nmであり、より好ましくは少なくとも1.8nmであり、最も好ましくは少なくとも2.0nmである。個々の層間距離は、前述にて概説したX線回折を用いることで決定されることができる。
【0015】
本発明のLDHは、8個以上の炭素原子を持つ電荷をバランスする有機アニオンを2以上有する。これらの有機アニオンのうち少なくとも2は異なる炭素原子数を持つ。少なくとも8個の炭素原子を持つそのような有機アニオンは、モノ、ジ、またはポリカルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、ナイトレート、およびスルフェイトを含む。好ましくは、有機アニオンは少なくとも10個の炭素原子を含み、好ましくは10〜40個の炭素原子を含み、最も好ましくは12〜30個の炭素原子を含む。2以上の有機アニオンを用い、そのうち少なくとも1が、少なくとも8個の炭素原子を持つことが意図され、、得られるLDHは、少なくとも1.5nmの層間距離を有し、他の有機アニオンのうち一つは、従って8個未満の炭素原子を持ちうる。
【0016】
電荷をバランスする有機アニオンが、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、クロライド、アミン、エポキシ、チオール、ビニル、ジおよびポリスルフィド、カルバメート、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ホスフィニック、イソシアネート、メルカプト、ヒドロキシフェニル、ヒドリド、アセトキシ、および酸無水物基のような官能基を1つ以上有していることがさらに考慮される。そのような有機的に変性されたLDHがポリマーマトリックス中で用いられれば、これらの官能基がポリマーと相互作用または反応しうる。
【0017】
電荷をバランスする有機アニオンの総量のうち10%未満が2つ以上のアニオン基を持つ有機アニオンであることが注記される。本明細書の文中において、“アニオン基”という用語は、アニオン電荷を持つ基を指す。そのようなアニオン基の例は、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、ナイトレート、スルフェイトである。2つ以上のアニオン基を持つこれらの有機アニオンは、それらが一般的に二つの連続した層を相互連結することができて、これらが剥離、または層間剥離することを不可能とするので、ナノコンポジット材料における利用には比較的不向きであるため、比較的好まれない。このため、電荷をバランスする有機アニオンとしてのそのような有機アニオンは、電荷をバランスする有機アニオンの総量の10%(mole/mole)未満、好ましくは5%未満、最も好ましくは2%未満に保たれるべきである。本発明の一つの実施様態においては、2つ以上のアニオン基を持つ有機アニオンは存在しない。
【0018】
本発明のLDHにおける利用に適切な有機アニオンの例は、脂肪酸由来のアニオン、ナフテン酸由来のアニオン、およびロジン由来のイオンのようなモノカルボキシレートである。
【0019】
本発明のLDHは、8〜22個の炭素原子を持つ、飽和もしくは不飽和脂肪酸由来の有機アニオンを2つ以上有しうる。変性されたLDHはナフテン酸由来の有機アニオン(すなわち、シクロペンタン環を有する種々のカルボン酸の混合物)を有しうる。それはまた、飽和もしくは不飽和脂肪酸由来のアニオンと、ロジンに基づく酸の組み合わせを有しうる。
【0020】
8〜22個の炭素原子を持つ脂肪酸由来のアニオンの例は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、デセン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびそれらの組み合わせから由来するアニオンを含む。
【0021】
ロジン由来の酸もしくはロジンは、天然物に由来し、容易に入手でき、そして合成有機アニオンに比べて比較的安価である。ロジンの天然源の典型的な例は、ガムロジン、木材ロジン、トール油ロジンである。ロジンは通例、通常20個の炭素原子を持つモノカルボキシトリ環状ロジン酸の幅広い異性体の混合物である。様々なロジン酸のトリ環状構造は、主に二重結合の位置において異なる。典型的には、ロジンは、レボピマール酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、セコデヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマリン酸、およびイソピマリン酸を含む物質の混合物である。天然物由来のロジンは、特に重合、異性化、不均化、水素化、アクリル酸、酸無水物、およびアクリル酸エステルとのディールズ・アルダー反応により変性されたロジン、すなわちロジン混合物を含む。これらのプロセスにより得られた生成物は、変性ロジンと称される。天然のロジンはまた、例えばロジンのカルボキシル基と金属酸化物、金属水酸化物または塩との反応でロジン石鹸または塩(所謂レジネート)を形成するような、従来知られた手法により化学的に変換されうる。そのような化学的に変換されたロジンは、ロジン誘導体と称される。そのようなロジンは、有機基、アニオン基、またはカチオン基を導入することにより変性、または化学的に変換されることができる。この有機基は1〜40個の炭素原子を持つ、飽和または不飽和の、脂肪族または芳香族炭水化物でありうる。アニオン基は、カルボキシレートまたはスルホネートのような当業者に知られたいかなるアニオン基でもありうる。
【0022】
ロジンに基づく物質についてのさらなる詳細は、D.F.ZinkelおよびJ.Russelらによる文献(Naval Stores, production-chemistry-utilization, 1989, New York, Section II, Chapter 9)および、J.B.Classによる文献("Resins, Natural," Chapter 1: "Rosin and Modified Rosins," Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 2000年12月4日オンライン投稿日)から知ることができる。
【0023】
本発明のさらなる実施様態において、LDHは、8個以上の炭素原子を持つ、電荷をバランスする3つ以上の有機アニオンを含む。好ましくは、本発明のLDHは、8個以上の炭素原子を持つ電荷をバランスする有機アニオンを4つ以上含む。多くの有機アニオンが電荷をバランスする有機アニオンとして存在しているほど、変性されたLDHはポリマーマトリックス中で層間剥離または剥離しやすいと考えられる。さらに、これらの変性されたLDHは一般的に、より幅広い範囲のポリマーマトリックスとより相容性であろう。
【0024】
8個以上の炭素原子を持つ有機アニオンの他に、上で定義された8個未満の炭素原子をもつ他の有機アニオンおよび/または無機アニオンが、本発明の変性されたLDH中で電荷をバランスするアニオンとして存在しうることが意図されている。
【0025】
一般的に、本発明に従うLDH類中のインターカレーティングイオンの総量の少なくとも10%が、8個以上の炭素原子を持つ有機アニオンの2以上の混合物であり、好ましくは、インターカレーティングイオンの総量の少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは90%が、8個以上の炭素原子を持つ2以上の有機アニオンの混合物である。本発明の一つの実施様態において、電荷をバランスする有機アニオンの総量のうち少なくとも10%が、脂肪酸由来のアニオン、またはロジン由来のアニオン、または双方のアニオンの組み合わせである。そして、好ましくは、電荷をバランスするイオンの総量に対して少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは90%が脂肪酸由来のアニオン、またはロジン由来のアニオン、または双方のアニオンの混合物である。
【0026】
本発明に従うLDHは、従来技術の有機粘土の調製法に類似した様式にて調製されることができる。LDHのためののそのような調製法の例は、国際公開第00/09599号パンフレットに見ることができる。
【0027】
本発明に従う有機粘土の適した調製法は、下記を包含する:
a. 有機イオンによるイオン交換
b. 有機イオン存在下での粘土合成
c. 有機イオン存在下での粘土の焼成およびそれに続く再水和化
d. 粘土中のカーボネートイオンの鉱酸での交換および、それに続く有機イオンでのイオン交換。
【0028】
さらなる手法についてはCarlinoの文献(Solid State Ionics, 1996, 98, pp.73-84)を参照されたい。この記事では、熱的または融解反応法、およびグリセロール誘発交換法のような手法が記されている。熱的または融解反応法に従えば、LDHおよび有機アニオン混合物は、高められた温度、好ましくは最も高い融点を持つ有機アニオンの融点より高い温度で、密に混合される。グリセロール誘発交換法に従えば、LDHのグリセロールによる中間膨張があり、その後、有機アニオンの混合物が導入され、続くインターカレーションが起こる。この手法はまた、エタノール、2-エトキシプロパノール、2-プロパノール、ブタノール、トリエチレングリコール等のような、グリセロール以外の膨張剤を用いても実行されることができる。代わりに、本発明のLDHは、電荷をバランスするアニオンと粘土を溶融混合することにより調製されることができる。
【0029】
本発明のLDHは、コーティング組成物、(印刷)インク製剤、粘着性付与剤、樹脂に基づく組成物、ゴム組成物、クリーニング剤、掘削液、セメント、石膏製剤、不織布、繊維、フォーム、膜、ギプス、(プレ)セラミック物質、およびポリマーに基づくナノコンポジットのような有機-無機ハイブリッド物質の構成成分として用いられることができる。本発明のLDHはさらに、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のような重合反応において用いられることができる。本有機粘土はさらに、ポリプロピレンのような半結晶性ポリマー中における結晶化促進剤として働きうる。本発明のLDHはさらに、製紙過程または洗剤産業においてのような、LDHと有機アニオンの別々の機能が組み合わされる用途において用いられることができる。さらに、本発明のLDHは、薬剤、殺虫剤、および/または肥料などの制御された放出において、および汚染物質、着色剤などのような有機化合物の吸収剤としても利用されることができる。
【0030】
本発明はまた、ポリマーマトリックスおよび本発明に従う変性されたLDHを含むナノコンポジット物質にも関する。本発明の変性されたLDHの利用により、より高い程度の層間剥離および/または剥離が、より幅広い種類のポリマーマトリックス中において得られ、マイクロメートル寸法の変性されたLDHの量が一般的に少なく、または不存在でさえある。これは、ナノコンポジット物質中の変性されたLDHの使用量をより少なくすることを可能にする。従って、ナノコンポジット物質に比較的低い密度および良い機械的特性を付与することが可能でありうる。ナノコンポジット物質中で完全に層間剥離および/または剥離したLDHは、該物質を可視光に対して透明に出来、従ってそれを光学用途での利用に適するようにする。
【0031】
“ナノコンポジット物質”という用語は、少なくとも一つの構成成分が、0.1〜100ナノメートルの範囲にある少なくとも一つの寸法を有する無機相を含むコンポジット物質を指す。
【0032】
本発明のナノコンポジット物質における特に利用に適したものは、電荷をバランスする有機アニオンの少なくとも一つがポリマーマトリックスとより相容性または反応性であるように化学的に変換されている、電荷をバランスする有機アニオンの混合物を含むLDHである。これは、LDHとポリマーマトリックスの間の相互作用の改善を結果し、向上された機械的および/または粘弾性特性をもたらす。より相容性の有機アニオンは、1〜40個の炭素原子を持つ、飽和または不飽和の、脂肪族または芳香族炭化水素を含む。代わりに、またはさらに、有機アニオンのうち少なくとも1つは、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、クロライド、アミン、エポキシ、チオール、ビニル、ジおよびポリスルフィド、カルバメート、アンモニウム、スルホン、スルフィン、スルホニウム、ホスホニウム、ホスフィン、イソシアネート、メルカプト、ヒドロキシフェニル、ヒドリド、アセトキシ、および酸無水物基からなる群から選択される反応性基を含んでもよい。
【0033】
本発明のナノコンポジット物質において利用に適するポリマーは、従来知られたいずれのポリマーマトリックスでもありうる。本明細書においては、“ポリマー”という用語は、オリゴマー、コポリマー、ポリマー状樹脂を包含する、少なくとも2つの構成単位(すなわちモノマー)から成る有機物質を指す。ポリマーマトリックスにおいて利用に適したポリマーは、ポリ付加物およびポリ縮合物の両方である。ポリマーはさらにはホモポリマーまたはコポリマーでありうる。
【0034】
好ましくは、ポリマーマトリックスの重合度は、少なくとも20であり、より好ましくは少なくとも50である。これに関係して、重合度の定義に関しては、P. J. Flory, Principles of Polymer Chemistry, New York, 1953を参照されたい。
【0035】
適したポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンのようなビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリ酢酸、ポリ(ε-カプロラクトン)のような飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリルエーテル、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエステルケトン、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエポキシド、および2種類以上のポリマーの混合物である。好ましくはポリオレフィン、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、またはポリエポキシドを用いる。
【0036】
本発明に従う有機粘土は特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのような熱可塑性ポリマー、ポリオキシメチレン(POM)のようなアセタール(コ)ポリマー、および、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソブチレン(IIR)、ハロゲン化ポリイソブチレン、ブタジエンニトリルゴム(NBR)、水素化ブタジエンニトリル(HNBR)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、および同様のスチレンブロックコポリマー、ポリ(エピクロルヒドリン)ゴム(CO, ECO, GPO)、シリコンゴム(Q)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ポリスルフィドゴム(T)、フッ素ゴム(FKM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVA)、ポリアクリルゴム(ACM)、ポリノルボルネン(PNR)、ポリウレタン(AU/EU)、およびポリエステル/エーテル熱可塑性エラストマーなどのゴム中で用いるのに適している。
【0037】
少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーの重合により得られるポリマーまたはコポリマーが特に好ましい。そのようなポリマーの例は、当業者に知られているところのポリオレフィンまたは変性されたポリオレフィンである。そのポリオレフィンまたは変性されたポリオレフィンは、ホモポリマーまたはコポリマーでありうる。そのような(変性された)ポリオレフィンの適当な例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、およびエチレン-プロピレンゴム、プロピレン-ブテンコポリマー、エチレン-塩化ビニルコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、アクリロニトリル-アクリレート-スチレンコポリマー(AAS)、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、エチレン-アクリレートコポリマー、塩化ビニル-プロピレンコポリマー、およびそれらの混合物である。さらに好ましいポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびポリ塩化ビニルである。
【0038】
ポリエチレンの具体例は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンである。エチレンに基づくコポリマーの例は、エチレン-酢酸ビニルコポリマ−(EVA)、エチレン-酢酸エチルコポリマー(EEA)、エチレン-酢酸メチルコポリマー(EMA)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)である。
【0039】
最も好ましいポリマーは、ポリプロピレンである。従来知られたいかなるポリプロピレンも本発明では利用に適している。ポリプロピレンの例はR. B. Lieberman による"Polypropyrene"(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 2000年12月4日にオンライン投稿された)の第1章"Properties"に記載されている。本発明のポリプロピレンの具体的な部類は、ポリプロピレンおよびEPRゴムのブレンドまたは反応器等級を包含する、所謂熱可塑性ポリオレフィン(TPO)により形成される。
【0040】
本発明のナノコンポジット物質はさらに、従来知られている添加物を含みうる。そのような添加物の例は、顔料、染料、紫外線安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、フィラー(タルク、チョーク、石灰、ヒドロキシアパタイト、シリカ、カーボンブラック、グラスファイバー、天然または合成繊維、およびその他の無機物質など)、難燃剤、核形成剤、耐衝撃剤、可塑剤、レオロジー調節剤、架橋剤、カップリング剤、脱気剤である。
【0041】
これらの選択的な追加物およびそれらの対応する量は、必要に応じて選ばれることができる。
【0042】
本ナノコンポジット物質中のLDHの量は、混合物の合計質量に対して、好ましくは0.01〜75重量%であり、より好ましくは0.05〜50%であり、さらに好ましくは0.1〜30%である。
【0043】
10質量%以下、好ましくは1〜10%、より好ましくは1〜5重量%のLDH量は、ポリマーに基づくナノコンポジット、すなわち層間剥離(剥離まで)した、有機的に変性されたLDHを含む、本発明に従う、ポリマーを含む組成物、の調製に特に有利である。
【0044】
10〜70%、より好ましくは10〜50%のLDH量は、所謂マスターバッチ、すなわち、例えばポリマーコンパウンディングのための、非常に高濃度の添加物プレミックスの調製に特に有利である。そのようなマスターバッチ中における粘土は一般的に、完全には層間剥離および/または剥離していないが、望むならば後の段階でマスターバッチをさらなるポリマーと混合して真のポリマーに基づくナノコンポジットを得る際に、さらなる層間剥離および/または剥離を後から起きる。
【0045】
本発明のナノコンポジット物質は、当業者に知られた方法に従って調製されることができる。当業者は、例えば溶融混合法を用いて、ポリマーマトリックスと本発明に従う有機粘土を緊密にブレンドすることができる。この方法は、単純であり、安価であり、存在するプラントにおいてすぐに適応可能であるため、好まれる。また、ポリマーマトリックスの存在下、またはモノマーおよび/またはオリゴマーの存在下で、モノマーおよび/またはオリゴマーが重合されてポリマーマトリックスになる前、最中、または後において、本発明の粘土を調製することが意図される。ポリプロピレンの調製および加工についてのさらなる詳細は、R. B. Lieberman による"Polypropyrene"(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 2000年12月4日にオンライン投稿された)の第2章"Manufacture"、第3章"Processing"に記載されている。
【0046】
本発明のナノコンポジット物質は、これらのコンポジット物質が通常用いられているいかなる用途にも利用されることができる。本ナノコンポジット物質は、絨毯地、自動車部品、容器の蓋、弁当箱、蓋、医用装置、家庭用品、食料用容器、皿洗い機、戸外用家具、中空成形容器、使い捨て不織布、ケーブルおよびワイヤー、および包装において適切に使用されることができる。ポリプロピレンのさらなる詳細は、R. B. Lieberman による"Polypropyrene"(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 2000年12月4日にオンライン投稿された)の第5章"Uses"、および、brochure 022 PPe10/01 of Basell の題名"Polypropylene: Textile, Rigid Packaging, Consumer, Film, Automobile, Electrical/Electrronics and Home Appliances" に記載されている。
【0047】
ゴムを含有するナノコンポジット物質は、グリーンタイヤ、トラックタイヤ、オフロードタイヤ、および飛行機タイヤなどのタイヤ生産に、冬用タイヤに、手袋、コンドーム、風船、カテーテル、ラテックス糸、フォーム、カーペットの裏張り、およびゴム貼りされたコイアおよび毛を包含するラテックス製品において、履物に、橋のベアリング、ゴム-金属ラミネートされたベアリングのような土木建築製品に、ベルト類およびホースに、エンジンマウント、ゴムベアリング、シール、グロメット、ワッシャーおよびブーツを含む、タイヤ以外の自動車部品に、ワイヤーおよびケーブルに、およびパイプシール、医用とじ具、ローラー、小さいソリッドタイヤ、家庭用および工業用器具、ゴムボールおよびチューブ類、搾乳用膨張具、およびその他農業用材料において適切に適用されることができる。
【0048】
ゴムがシリコンゴムであり、変性された層状復水酸化物が本発明に従うとき、これらのナノコンポジット物質は、感圧接着剤、プラスチックハードコート、および剥離紙のコーティングを含むコーティング材、繊維および髪ケア用途を含む繊維仕上げ用途、シーラント、接着剤、カプセル材、および太陽電池ユニットにおいて適切に適用される。
【0049】
本発明はさらに以下の実施例にて例証される。
【実施例】
【0050】
商業的に入手可能な脂肪酸を、入手したままで使用した。パルミチン酸とステアリン酸の混合物であるKortacid(商標) PH05は、アクゾノーベルケミカルズの一社であるOleochemicals GmbHにより供給された。
さらにまた、安定化されたロジンを使用した。安定化されたロジンは、中国ガムロジンを溶融し、235℃まで加熱することにより自社で生産された。溶融の間に、ロジンの重量に対して3.5%のVultac(商標)-2(Arkema inc. より入手)を加えた。融解されたロジンは235℃で15時間撹拌され、その後樹脂は冷却されて使用される状態になった。
【0051】
[実施例1]
68.2gの酸化マグネシウム(Zolitho 40, Martin Marietta Magnesia Specialties LLCより入手)および43.6gの三水酸化アルミニウム(Alumill F505)を840gの脱塩水中で混合し、平均粒径(d50)が2.5μmになるまで挽いた。そのスラリーを、オイルにより熱された、高速撹拌子を装着したオートクレーブに入れ、80℃まで加熱した。次に、Kortacid(商標)PH05と上記で準備された安定化されたロジンの重量で50/50の懸濁物132gを15分間でオートクレーブに加えた。加える前に、該酸懸濁を80℃まで加熱した。酸を加えた後、オートクレーブを閉じ170℃に加熱し、1時間この温度に保った。次に、オートクレーブを40℃に冷却し、得られたスラリーを取り出した。スラリーを次に2000rpmにて約10分間遠心分離した。液体をデカンテーションにて取り除き、固体を80℃にてオーブン中で一晩減圧乾燥した。
【0052】
生成した、脂肪酸とロジンに基づくイオンを含むヒドロタルサイト様の粘土をX線回折により分析して、ギャラリー間(inter-gallery)の間隔すなわちd間隔を決定した。上記で生成されたヒドロタルサイト様の粘土のXRDパターンは、ヒドロタルサイトに関連する小さい非(hk0)反射を示し、これはアニオン性粘土のインターカレーションを示す。該インターカレート物は、純粋なqドロタルサイト粘土の7.6Åまたは8.0Åのd間隔よりもはるかに大きい、28Åの特徴的なd(00l)値を示す。
【0053】
[比較例2]
300gの酸化マグネシウム(Zolitho 40, Martin Marietta Magnesia Specialties LLCより入手)および230gの三水酸化アルミニウム(Alumill F505)を648gの脱塩水中で混合し、平均粒径(d50)が2.5μmになるまで挽いた。そのスラリーを、オイルにより熱された、高速撹拌子を装着したオートクレーブに入れ、120℃まで加熱した。次に、670gのステアリン酸(Acrosより入手)を30分間でオートクレーブに加えた。加える前に、該脂肪酸を120℃まで加熱した。酸を加えた後、オートクレーブを170℃に加熱し、その温度に1時間保った。次にオートクレーブを約40℃に冷却し、得られたしたスラリーを取り出した。スラリーをグラスフィルターにて濾過し、得られた固体を80℃にてオーブン中で一晩減圧乾燥した。
【0054】
生成した、脂肪酸を含むヒドロタルサイト様の粘土をX線回折により分析し、ギャラリー間(inter-gallery)の間隔すなわちd間隔を決定した。上記で生成されたヒドロタルサイト様の粘土のXRDパターンは、ヒドロタルサイトに関連する小さい非(hk0)反射を示し、これはアニオン性粘土のインターカレーションを示す。該インターカレート物は29Åの特徴的なd(00l)値を示す。
【0055】
[実施例3]
商業的に入手可能な脂肪酸を入手しtままで使用した。パルミチン酸とステアリン酸の混合物であるKortacid(商標) PH05は、アクゾノーベルケミカルズの一社であるOleochemicals GmbHにより供給された。
【0056】
50gの酸化マグネシウム(Zolitho 40, Martin Marietta Magnesia Specialties LLCより入手)および39gの三水酸化アルミニウム(Alumill F505)を648gの脱塩水中で混合し、平均粒径(d50)が2.5μmになるまで挽いた。そのスラリーを、オイルにより熱された、高速撹拌子を装着したオートクレーブに入れ、120℃まで加熱した。次に、102gのKortacid(商標)PH05を30分間でオートクレーブに加えた。加える前に、該脂肪酸ブレンドを120℃まで加熱した。酸を加えた後、オートクレーブを170℃に加熱し、この温度に1時間保った。次にオートクレーブを約40℃に冷却し、得られたスラリーを取り出した。スラリーを次に2000rpmにて約10分間遠心分離した。液体をデカンテーションにて取り除き、固体を80℃にてオーブン中で一晩減圧乾燥した。
【0057】
生成した、脂肪酸ブレンドを含むヒドロタルサイト様の粘土をX線回折により分析し、ギャラリー間(inter-gallery)の間隔すなわちd間隔を決定した。上記で生成されたヒドロタルサイト様の粘土のXRDパターンは、ヒドロタルサイトに関連する小さい非(hk0)反射を示し、これはアニオン性粘土のインターカレーションを示す。インターカレート物は、28Åの特徴的なd(00l)値を示す。
【0058】
[比較例4、および実施例5]
比較例2の変性された層状複水酸化物を、Hosokawa Alpine50 ZPScircoplex 多重プロセスミルにより別途に挽いた。生成した粉末は、DIN 13320に従い測定した結果、1.9μmのd50値を持ち、5.7μmのd90値を持っていた。
【0059】
粉末状の変性された比較例2のLDH50重量%、およびIntol(商標)1502(SBSゴム、Polimeriより入手)50重量%からなるマスターバッチを調製した。Intol(商標)1502を開放型二本ロールミル(Agila)に入れ、その後粉末状の変性されたLDHを30分間で加えた。二本ロールミルは、50〜70℃の間で、摩擦因子1.2で運転された。
【0060】
生成したマスターバッチを、上記と同一の条件で運転される開放型二本ロールミル上で同じゴム前駆体で希釈して、ゴム中の変性されたLDHの最終的な濃度を10phrにした。第二段階において、該希釈されたコンパウンドのサンプルを、内部ミキサー(ローラーローターを含む60CCの混合房であるRheomix(商標)600を取り付けたRheocord(商標)90)にて、60℃、50rpmで、10分間で剥離した。
【0061】
二本ロールミル中で、得られたサンプルの約50gを、0.52phrの過酸化ジクミル(Perkadox(商標)BC-ff アクゾノーベル社より入手)と混合した。二本ロールミルは、50〜70℃の間で、摩擦因子1.2で運転された。そのように得られた混合物を最後に、170℃、400kNにて15分間で、2mm厚の厚さのシート状に圧縮成形して、SBSゴムのナノコンポジット物質(比較例4のナノコンポジット物質)を得た。
このナノコンポジット物質を透過型電子顕微鏡で分析した。得られたTEM像を図1に示す。
【0062】
実施例3の変性されたLDHを上記の手順と同じに挽いた。得られた粉末は4.0μmのd50値、および10.5μmのd90値を持っていた。
【0063】
粉末状の変性された実施例3のLDH50重量%およびIntol(商標)150250重量%からなる第二のマスターバッチを、上記の方法と同様に調製した。
このナノコンポジット物質(実施例5のナノコンポジット物質)のTEM像を図2に示す。
【0064】
図1および図2のTEM像は、SBRゴムマトリックス中の粘土の分布を示している。図1がゴムマトリックス中の大きい粘土粒子を示しているのに対し、図2ではこのような大きい粒子が存在しないことが明らかに見られる。。さらに、図2の粘土小板の分布は、図1に見られる分布より良い。結論として、本発明のLDHを含むナノコンポジットは、粘土がより容易に層間剥離/剥離されやすいことを明らかにし、さらに、比較例2のLDHよりも改善された、SBTゴムマトリックス中の粘土分布を示す。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】比較例4における、SBRゴムナノコンポジット物質のTEM像。
【図2】実施例5における、SBRゴムナノコンポジットのTEM像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの層間の距離が1.5nm超であり、8個以上の炭素原子を持つ電荷をバランスする2以上の有機アニオンを有する層状複水酸化物において、該有機アニオンの少なくとも2が異なる炭素数を持ち、該電荷をバランスするアニオンの総量の10%未満が、2以上のアニオン性基を持つ電荷をバランスする有機アニオンである層状複水酸化物。
【請求項2】
8個以上の炭素原子を持つ電荷をバランスする3以上の有機アニオンを有する、好ましくは電荷をバランスする4以上の有機アニオンを有する、請求項1に記載の層状複水酸化物。
【請求項3】
8個以上の炭素原子を持つ有機アニオンが、電荷をバランスするイオンの総量の少なくとも50%を成す、請求項1または2に記載の層状複水酸化物。
【請求項4】
ポリマーマトリックス中に請求項1〜3の いずれか1項に記載の層状複水酸化物を含有するナノコンポジット物質。
【請求項5】
ポリマーマトリックスが、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られる(コ)ポリマーからなる、請求項4に記載のナノコンポジット物質。
【請求項6】
ポリマーがゴムであるところの、請求項4に記載のナノコンポジット物質。
【請求項7】
8個以上の炭素原子を持つ有機アニオンのうちの少なくとも1が、アクリル、メタクリル、ヒドロキシル、クロリド、アミン、エポキシ、チオール、ビニル、ジまたはポリスルフィド、カルバメート、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ホスフィニック、イソシアネート、メルカプト、ヒドロキシフェニル、ヒドリド、アセトキシ、及び酸無水物基からなる群の中から選択される反応性基を有する、請求項4〜6のいずれか1に記載のナノコンポジット物質。
【請求項8】
ナノコンポジット物質の総重量に対して1〜10質量%の層状複水酸化物を含む、請求項4〜7のいずれか1に記載のナノコンポジット物質。
【請求項9】
コンポジット物質の総重量に対して、請求項1〜3のいずれか1に記載の層状複水酸化物を10〜70質量%含み、かつポリマーを30〜90質量%含むマスターバッチ。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか1に記載の層状複水酸化物を、コーティング組成物、インク製剤、粘着性付与剤、樹脂に基づく組成物、ゴム組成物、クリーニング剤、掘削液、セメント、石膏製剤、不織布、フォーム、膜、骨折ギブス、セラミック物質、重合反応、紙、洗剤、薬剤の制御された放出への応用、殺虫剤、および/または肥料、または有機物の吸収剤において用いる方法。
【請求項11】
請求項4〜9のいずれか1に記載のナノコンポジット物質を、絨毯地、自動車部品、容器の蓋、弁当箱、蓋、医療用デバイス、家財道具、食料用容器、皿洗い機、アウトドア家具、中空成形容器、使い捨て不織布、ケーブルおよびワイヤー、または包装において用いる方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−518266(P2009−518266A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543800(P2008−543800)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069207
【国際公開番号】WO2007/065861
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】